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Home from the Hill

『肉体の遺産』


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1960
監督:Vincente Minnelli
地域:テキサス州
出演:Robert Mitchum、Eleanor Parker、George Peppard、George Hamilton、Everett Sloaneほか
範疇:原作もの/女たらしの父/夫婦不和/長男の教育/ドラマ

私の評価 :☆

【Part 1】

テキサスが舞台の映画は“原則として”当全集に含めないことにしています。しかし、この映画はCATVのTurner Classic Moviesで放映された際も“南部もの”と云われていましたし、大方の批評・紹介も「南部の物語」と定義しています。二つのシーンがミシシッピ州で撮影されたという縁もあるので、堂々と含めることにします。原題'Home from the Hill'の意味は映画の最初で字幕によって説明されます。「船乗りにとっての家は海から戻るところ。狩人にとっての家は丘から戻るところである」と。

1960年頃のテキサス州の小さな町。大地主のRobert Mitchum(ロバート・ミッチャム)は、いい歳こいて銃のコレクションとハンティングが大好き。もっと好きなのが色の道で、町で彼から口説かれなかった女性は皆無ではないかという噂。Eleanor Parker(エレナー・パーカー)との夫婦仲も悪く、17歳になる一人息子George Hamilton(ジョージ・ハミルトン)ともあまり接触していなかった。

ある時、純真な息子が町のカウボーイたちから子供扱いされたのを目撃したRobert Mitchumは、急に息子を一人前の男にしようと決意する。彼は息子に「祖父が父に、父がおれに伝えてくれたことを教えよう。400エーカー(約1.6平方キロ)の土地で綿、ビート糖、木材、家畜などを扱えるのは特別な人間だ。ママのお人形さんでは駄目だ」と云い、銃の使い方を教える。George Hamiltonは、父の子飼いの雇い人George Peppard(ジョージ・ペパード)とハンティングをし、めきめきと腕を上げる。

その頃、Robert Mitchumが貸している土地に猪が出没し、家畜が殺され畑が荒らされていた。地主の責任として猪退治をすることになり、George Hamiltonがその役を任される。犬三頭を連れて猪を追跡するが、一頭、また一頭と犬が殺されてしまう。やっと猪を追いつめ、向かって来る猪をGeorge Hamiltonは一発で仕留める。

Robert Mitchumは猪の肉のバーベキューとダンス大会を催す。George Hamiltonは近くの娘Luana Patten(ルアナ・パットン)をダンスに誘いたいが初心なので、とても云い出せず、雇い人George Peppardに「代わりに誘ってくれ」と頼む。George Peppardも呆れるが、もっと呆れたLuana Pattenから断られる。夜、George Hamiltonは正装し花束を持ってLuana Pattenを誘いに行くが、彼がRobert Mitchumの息子と知った彼女の父親が門前払いを食わす。

しかし、その後George HamiltonとLuana Pattenは親しくなる。Eleanor Parkerは「その娘さんを食事に連れて来なさい」と云い、George Hamiltonは「ボクは彼女の父親に嫌われてるんだ」と答える。Eleanor Parkerは「あなたが嫌われてるんじゃない。あなたのパパが嫌われてるのよ」と、Robert Mitchumの不品行を暴く。そして、George PeppardがGeorge Hamiltonと腹違いの兄であることも…。

二大スターRobert MitchumとEleanor Parkerがいがみ合う夫婦の物語かと思うと、実はGeorge Hamiltonを中心に展開する青年の物語なのでした。邦題『肉体の遺産』は無茶苦茶です。この映画にはベッド・シーンは出て来ませんし、裸の男性も女性も出ません。Robert Mitchumの色好みの実態は台詞で語られるだけです。150分と長い映画ですが、エピソードも興味深いものを揃えているので厭きません。

最も見応えのあるエピソードは猪狩りのシーンです。犬と猪の死闘は非常にリアルで、ド迫力。最近ですと、「この映画では動物を虐待しておりません」とか、「動物は死んでいません」などと最後に字幕が出ますが、この当時は動物愛護委員会もハリウッドに文句を云わなかったのでしょうか?本当に犬と猪は命を賭けて闘っているように見えます。猪がGeorge Hamiltonに迫って来る映像は出来過ぎの感じもしますが、かなりよく撮れています。

George Peppardは四年ほどTVに出ていた後、やっと掴んだ劇場映画の大役。この映画の成功が翌年の'Breakfast at Tiffany's'『ティファニーで朝食を』(1961)に結びつきます。ここでは行動的で頼もしく、くだけた性格の雇い人をうまく演じています。

George HamiltonもTVで活躍していて抜擢された一人。まだ硬い感じですが、この映画の役どころも初心で世間知らずという設定なので何とか救われています。

(March 23, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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