公開：1995
監督：Charles Matthau
地域：アラバマ州
出演：Piper Laurie、Sissy Spacek、Walter Matthau、Edward Furlong、Jack Lemmonほか
範疇：原作もの／ドラマ／オールドミス／老いらくの恋

私の評価 ：☆☆

【Part 1】

いい役者がぞろぞろ出て来て、誰もが憎めない役を演じ、心暖まる後味を残してくれるという珍しい映画。主演女優は観終るまで気が付きませんでしたが、'The Hustler'『ハスラー』(1961)のPiper Laurie（パイパー・ローリー）でした。実に可愛いく老けたものです。青年Edward Furlong（エドワード・ファーロング）は'Terminator 2'『ターミネーター２』(1991)の少年。監督はWalter Matthau（ウォルター・マッソー）の息子Charles Matthau（チャールズ・マッソー）です。原作はTruman Capote（トルーマン・カポーティ）の自伝的小説で、作者自身が実際にこの映画のように従姉二人の手で育てられたそうです。

1935年頃のアラバマ州の田舎。Edward Furlongが11歳の頃、母が病死。父親は最愛の妻の死を嘆き自暴自棄の毎日を送っていた。これでは少年の成長に良くないと、従姉のSissy Spacek（シシー・スペイセク）が少年を預る。その数日後、父親が妻を追って自殺したため、少年はその後ずっと従姉の家で育つことになる。

Sissy Spacekはホテルと雑貨屋その他を経営し、日々の売り上げを秘密の金庫に貯えているようなビジネス一途の女性で、独身。Piper Laurie演ずるその妹もオールド・ミスで同じ家で一緒に暮している。Piper Laurieは野草に詳しく、ジプシー秘伝の処方で薬を調合し、通信販売をしている。少年はPiper Laurieと彼女に忠実な黒人女中と三人、よく野草採取に草原へ出掛けた。Piper Laurieは「耳を澄ませなさい。草がハープを奏でているのが聞こえるでしょう？あれは亡くなった人々が私達に語りかけているのよ」と云う。少年はこの“自由の魂”を持つ従姉に淡い恋心を抱く。

少年が16歳になったある日、Sissy Spacekがシカゴの博士Jack Lemmon（ジャック・レモン）を招く。妹の薬を近代的な工場で作って売ろうという魂胆で、Jack Lemmonは相談役というわけ。しかし、Piper Laurieは「私の調合は誰にも教えられない」と拒否。姉妹の喧嘩の末、Piper Laurieは家を出て、墓地近くにあるチャイナ・ツリーの上のツリー・ハウスに寝泊まりすることになる。Edward Furlongと黒人女中も彼女に従う。

Sissy Spacekが妹と従弟、女中の失踪届けを出していたため、シェリフ、牧師、町の婦人有志、Walter Matthau（ウォルター・マッソー）演ずる判事らがやって来て、木から三人を下ろそうとする。三人は人々に水をぶっかけて撃退する。Walter MatthauはPiper Laurieの応接の言葉が気に入り、一緒に木に寝泊まりすることになる。二人は次第に親密になる。

町へMary Steenburgen（メアリー・スティーンバージェン）演ずる15人の子持ちの“シスター・アイダ”がやって来て募金活動を始め、地元教会との“宗教戦争”が起る。樹上の家出人捕獲作戦もエスカレートする。小さな町の大騒動は一体どうなるのか…。

Sissy Spacekは眼鏡をかけ、口元を引き締め、女性版スクルージのように冷たいビジネス・ウーマン兼家長役を楽しそうに演じています。別に楽しそうな顔をするわけではないのですが、あれだけ凝った芝居をしているのは、楽しんでいる証拠です。

あまり世に認められそうもない小品ですが、機会があれば是非御覧下さい。楽しいです。

(July 06, 2001)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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