[English] [Japanese Home] [Studio BE] [America Offline] [公民権運動] [英語の冒険] [英語の冒険2] [Golf] [Hummingbird]



[Banner]



Dixie: Changing Habits

『デキシー・シスターズ』

[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1983年
監督:George Englund
地域:ルイジアナ州ニューオーリンズ
出演:Suzanne Pleshette、Cloris Leachman、Kenneth McMillan、John Considine、Maureen Sillimanほか
範疇:TV映画/娼館の女将/罪の意識の欠如/女子修道院での保護観察処分/性格改造/尼僧たち/人助け

私の評価 : 1/2

【Part 1】

'The Birds'『ヒッチコックの鳥』(1963)で、美しくも孤独な小学校教師を演じたのが印象的だったSuzanne Pleshette(スザンヌ・プレシェット)なので、私は彼女を映画俳優だとばかり思っていましたが、IMDbで彼女の経歴を見ると、主にTV畑で長く仕事をした女優なんですね。ですから、この映画がTV映画であっても何ら不思議はないわけです。

ルイジアナ州ニューオーリンズ。Suzanne Pleshetteはプール付きの豪華な娼館の女主人で、市の要人たちを相手に商売をしている町の人気者。

ある日、警察の手入れがあり、Suzanne Pleshetteと娼婦たち全員が逮捕される。裁判の際、Suzanne Pleshetteは悪びれたところが全くない態度で判事を唖然とさせる。過去に二回も売春防止法違反で逮捕されているにもかかわらず反省の色がないので、判事はSuzanne Pleshetteを六ヶ月刑務所に送るのではなく、道徳に目覚めさせるべく三ヶ月の女子修道院暮らしを命ずる。

Cloris Leachman(クロリス・リーチマン)を長とするニューオーリンズ郊外の修道院は、十数名の修道尼の手による陶器などの工芸品の製造・販売で生計を立てているのだが、かなり経済的に困窮していた。このままでは修道院を閉鎖し、散り散りばらばらにならねばならない。陶器増産のため、Suzanne Pleshetteも工房の清掃など雑役を担当させられることになる。掃除など嫌いなSuzanne Pleshetteは、陶器の製造から販売までのマネージメント業務を希望するのだが、修道院長は聞き入れない。

Suzanne Pleshetteは山羊の出産に立ち会ったり、修道尼Maureen Silliman(モウリーン・シリマン)が弦楽四重奏の伴奏で歌う『明日に架ける橋』(S&G作)を聴いたりして感動する。

修道尼たちはSuzanne Pleshetteの工房清掃の完璧さに驚嘆し、賞賛を惜しまなかったのだが、実はSuzanne Pleshetteは近所の農家の娘を雇って掃除させていたことが判明する。常々Suzanne Pleshetteに批判的で冷たい修道尼Judith Ivey(ジュディス・アイヴィ)は「彼女は善悪の区別がつかないのよ!」と糾弾する。修道院長Cloris Leachmanは「このまま滞在を許すが、様々な特典は制限する」と云い渡し、聖フランシスの祈祷書の一章を暗唱するよう命ずる。

陶器製造が一定量に達したため、修道尼数名がニューオーリンズ港までトラックで運ぶ。折しも、陶器受け入れ先の企業では労働争議の真っ最中で、ピケを張った港湾労務者たちが修道院のトラックに襲いかかり、全ての陶器を破壊してしまう。その企業の社長も、対立する港湾労務者組合の親玉も、何と二人ともSuzanne Pleshetteの娼館の上得意であった…。

Suzanne Pleshetteはこの頃46歳ですが、まだまだ美貌を保っています。ただし、私としては彼女の下瞼の濃いアイラインが気になります。ここまで濃いとまるで舞台化粧のようです。彼女はコメディを演ずるのも得意だったようですが、ここでは拙劣な演出のせいもあって、あまり活かされておらず、単に軽い演技に終始しているようにしか見えません。

修道尼たちはいずれも適役で存在感を出しています。修道院長を演ずるCloris Leachmanは、この項執筆時までに240本の映画・TVに出演しています。ここでは修道院長という枯れた存在を、渋く着実に演じて光っています。Suzanne Pleshetteが祈祷文の前半を暗唱してみせ、彼女が「いいお祈りだわ」と云うと、Cloris Leachmanは「そうでしょう。私が最初に覚えさせられたのもこれなの」と感慨深く云います。Cloris Leachmanが「残りは一緒に唱えましょうね」と云い、二人で揃って口ずさみます。お祈りの暗唱を終え、Suzanne Pleshetteがジーンと来た表情をします。Cloris Leachmanの確かな演技に支えられて、嘘っぽく見えません。

修道尼Maureen Sillimanが歌う『明日に架ける橋』は、S&Gのオリジナルを聞き慣れた耳にはちょっと異質ですが、弦楽四重奏をバックに聖歌のように歌われるこの歌も、なかなかいいものです。彼女は後にオフ・ブロードウェイのミュージカルにも主演しています。

修道院の外景は有名なOak Alley Plantation(ニューオーリンズ郊外のオークアレイ・プランテーション)で撮影されています。素晴らしい樫の並木の景観を堪能することが出来ます。

(June 04, 2010)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




Copyright (C) 2001-2011    高野英二   (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.