公開：1927
監督：Clyde Bruckman, Buster Keaton
地域：ジョージア州〜テネシー州
出演：Buster Keaton、Marion Mack、Glen Cavender、Jim Farley、Frederick Vroomほか
範疇：無声映画／実話／原作もの／コメディ／ロマンス／アクション／南北戦争／蒸気機関車

私の評価 ：☆☆☆☆

【Part 1】

この映画は古くは『キートン将軍』として、また『キートンの大列車強盗』としても公開されました。原題の'The General'（将軍）は蒸気機関車の愛称であって、Buster Keaton（バスター・キートン）が将軍になるわけではなく、彼が強盗になるわけでもありません。『キートンの大列車追跡』が一番内容に即しています。

1861年春、物語はジョージア州のMarietta（マリエッタ）で始まる。アトランタの北西にある町である。Buster Keatonには二つの愛があった。一つは彼の蒸気機関車「将軍号」で、もう一つは恋人のMarion Mack（マリオン・マック）だった。彼は機関士として鉄道で働いていた。

ある日、南北戦争が勃発。恋人の父も兄も南軍の志願兵となる。恋人Marion MackはBuster Keatonも当然兵役に就くと思っている。Buster Keatonは志願兵登録所に行くが、鉄道技師には闘うよりも重要な仕事があるとして受け付けて貰えない。彼の恋人には臆病ゆえ参戦しないのだと誤解され、絶交されてしまう。

一年後。Buster Keatonの「将軍号」はテネシー州に向う。戦争で怪我をした父を見舞いに行くMarion Mackが乗っていた。ある駅の食事休憩で乗客が下りた時、「将軍号」は北軍のスパイによって奪われてしまう。列車に残っていたMarion Mackも拉致される。愛する「将軍号」を奪われたBuster Keatonは必死で追いかける。トロッコ、自転車、そして別の機関車で。

テネシー州チャタヌーガ付近。機関車を走らせながら、一心不乱に薪を割っている彼の背後を南軍の大部隊が退却して行く。彼が気付かぬまま、今度は北軍の大部隊が進軍して行く。いつしか彼は"Behind Enemy Lines"（敵陣の背後）へ入ってしまったのだ！果たして、彼は恋人を救い、北軍の怒涛の進撃を食い止めることが出来るのであろうか…。

Buster Keatonは何十年も機関士をやっているかのように、機関車を走らせながら乗ったり下りたりして、敵が仕掛けた障害物を排除しながら「将軍号」を追いかけます。Buster Keatonは危険な撮影でもスタントマンを使わず、全部自分で演じたことで有名ですから、全くトリック無しなのです。大変な運動神経とスタミナです。上映時間74分ですが、全くダレないので長いとは感じません。ギッシリ詰まったギャグを堪能出来ます。

クライマックスはBuster Keatonが火を点けた橋の上を敵の蒸気機関車が渡るシーン。ミニチュアではなく、実寸大の機関車が橋と共に崩れ落ちて谷川に転落します。このワン・テークのために$42,000かけたという、壮絶なるショット。

Buster Keatonは製作、脚本および共同監督の一人として名を連ねています。当時としては破格の$400,000という予算を注ぎ込んだそうで、Buster Keatonの意気込みも並々ならぬものがありますが、出来栄えも彼自身が誇る作品中の一本となったそうです。

サイレント時代末期のスラップスティック喜劇の傑作です。

(January 23, 2002)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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