公開：1957
監督：Nunnally Johnson
地域：ジョージア州
出演：Joanne Woodward、David Wayne、Lee J. Cobb、Edwin Jerome、Alistair Cookeほか
範疇：原作もの／実話／多重人格

私の評価 ：☆

【Part 1】

映画の冒頭、ナレーターのAlistair Cooke（アリステア・クック、ジャーナリスト）が画面に登場に、「これは本当の実話である」と念を押します。ある精神分析医が自分の患者の「多重人格症」を'The Three Faces of Eve'『イヴの三つの顔』として発表し話題になり、それを映画化したものがこれ。後に、患者自身が'I'm Eve'『私がイヴ』という本も出版しました。

監督のNunnally Johnson（ナナリィ・ジョンスン）は、'Thr Grapes of Wrath'『怒りの葡萄』(1940) を初めとする64本の脚本作家として有名ですが、これは彼の8本の監督作品の一つで、当然脚本も彼自身が書いています。

1951年。ジョージア州。精神分析医Lee J. Cobb（リー・J・コッブ）の所へ、Joanne Woodward（ジョアン・ウッドワード）演ずるEve White（イヴ・ホワイト）やって来る。彼女は時々激しい頭痛に襲われ、数時間〜半日間の記憶を失うと訴える。

翌年、夫David Wayne（デヴィッド・ウェイン）はJoanne Woodwardが派手なハイヒールや様々な洋服を$218も買い物して来たことを知るが、彼女は「あなたが買ってくれたものだと思った。いずれにしろ、私には合わないから返す」と云うが、夫は信じない。夫が返品する衣料品をまとめていると、幼い娘の叫び声。飛んで行くと、Joanne Woodwardが娘の首を絞めていた。

Joanne Woodwardは精神分析医Lee J. Cobbに「私は娘の首を絞めたりしていない」と断言する。さらに、「一ヶ月前から、頭の中で女の声がする」と云う。突然頭痛が彼女を襲い、顔を上げた彼女は別人のように明るいプレイガールに変身し、医師をダンスに誘う。彼女は自分をEve Black（イヴ・ブラック）と自己紹介する。

彼女は大学病院に入院する。Lee J. Cobbは"Mrs. White"、"Mrs. Black"と呼びかけて、それぞれの人格を呼び出す方法を発見する。彼はJoanne Woodwardの夫に「彼女は多重人格の持ち主であり、クレージーではない」と説明する。丁度夫はフロリダ州に職を得て、彼女も退院したのだが、医師たちの勧めで彼女だけジョージア州に残ることになる。にわか独身となったJoanne WoodwardをプレイガールEve Blackが支配し、夜な夜なセクシーなドレスに身を飾り、バーに出掛けて男たちとのダンスに明け暮れる。

夫がJoanne Woodwardをフロリダに連れて行く。ここでもEve Blackの夜遊びは止まず、夫は彼女を張り飛ばし結婚生活に見切りをつける。戻って来たJoanne WoodwardにLee J. Cobbが催眠術をかけると、Joanne Woodwardに第三の人格が現われ「私はJane（ジェイン）」と名乗る…。

変装でいくつかの人格を演じ分ける役は珍しくありませんが、これは同じメーク、同じ衣装のままで演じ分けなければいけないので、成功・不成功は演技力一つにかかって来ます。演技派を自認するJoanne Woodwardにうってつけの題材で、彼女も見事に三役を演じ分けています。「ギャラも三人分頂戴」と云ったかどうかは知りませんが、三人分の演技プランを考えなくてはならず、大変だったことと思われます。当然ながら、彼女はこの役で1958年のアカデミー主演女優賞を獲得しました。

Lee J. Cobbは悪役が多い俳優ですが、ここでは神妙に精神科医を演じています。'12 Angry Men'『12人の怒れる男』(1957) と同じ年の映画ですから、彼の油が乗り切っていた頃です。

「allcinema ONLINE」によれば、この映画は日本未公開となっています。アカデミー主演女優賞を獲得した映画が輸入されなかったというのは、ちと恥ずかしい話です。

(May 08, 2003)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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