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Elizabethtown

『エリザベスタウン』

[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2005年
監督:Cameron Crowe
地域:ケンタッキー州、テネシー州
出演:Orlando Bloom、Kirsten Dunst、Susan Sarandon、Bruce McGill、Alec Baldwinほか
範疇:コメディ/靴デザイナーの失敗・失意/父の死/ロマンス/南部横断ドライヴ

私の評価 : ☆☆

【Part 1】

オレゴン州の靴メーカーの若手デザイナーOrlando Bloom(オーランド・ブルーム)は、斬新なスポーツ・シューズを考案したが「欠陥商品」として返品の山を作り、会社に約10億ドルの損害をかけた。彼が自宅で自殺しようとした瞬間、妹から電話で「父がケンタッキー州の郷里Elizabethtown(エリザベスタウン)で亡くなった」と伝えて来る。母Susan Sarandon(スーザン・サランドン)は夫の親戚一同とそりが合わないため、息子Orlando Bloomに「火葬にしてお骨を持って帰って来て」と頼む。

長男としての務めを果たすため、Orlando Bloomは自殺を一旦延期して深夜便でケンタッキー州に飛ぶ。空っぽの飛行機のスチュアーデスKirsten Dunst(キアステン・ダンスト)は「歩くのが面倒だからファースト・クラスに座ってくんない?」などと、やや押し付けがましい気さくな態度でOrlando Bloomに接し、ホテルのディスカウント・クーポンをくれたりする。彼女は(ケンタッキー州の南隣りの)テネシー州に住んでいると云い、電話番号を教えてくれる。

Orlando BloomはElizabethtownで数え切れないほどの親戚に出会う。彼らはOrlando Bloomの父の遺体をお棺に入れてこの地に埋葬することしか考えておらず、火葬にして灰を持ち帰るという方針に異議を唱える。また、彼らはケンタッキー以西にはカリフォーニアしかないと考えており、いくらOrlando Bloomが「おれたちはオレゴンに住んでるんだ」と訂正しても無駄であった。

Orlando Bloomは、テネシー州Nashiville(ナッシュヴィル)の自宅に戻ったスチュアーデスKirsten Dunstと電話で話す。二人は互いに車を走らせて州境の町で会う。そこでOrlando Bloomは父のための骨壺を購入する。二人は大きな墓地を訪れ、子供のように遊び回る。そこにはKFC創立者サンダース大佐の墓もあった。

Orlando Bloomが泊まっているホテルの宴会場で盛大な結婚披露宴が準備されていて、彼はその花婿と知り合う。Orlando BloomはKirsten Dunstの愛らしい性格に惚れ込んでしまう。Kirsten DunstもOrlando Bloomが気に入る。その夜、二人はベッドを共にする。Orlando Bloomは靴のデザイナーとしての失敗を告白するが、Kirsten Dunstは「失敗が何よ。あなたは靴に革命を起こそうとしたんだから、その夢を果たすべきよ」とハッパをかける。

Orlando Bloomの父のための追悼パーティがホテルの広間で開催される。母Susan Sarandonと妹もやって来た。親戚一同のスピーチに続き、母が「いま、スタンダップ・コメディ(漫談)とタップ・ダンスの講習を受けてるの」と云い、やや卑猥な冗談で参加者を笑わせ、'Moon River'の曲で踊りを披露する。Orlando Bloomの従兄のロック・バンドの演奏が始まる。Kirsten Dunstがやって来て、Orlando Bloomが車でオレゴン州に戻るまでに見て歩くべき名所の数々を含めた地図とCDのセットをくれる。

Orlando Bloomの父のお棺は、遺体無しで故人愛用の青いスーツだけで埋葬される。Orlando Bloomは父の骨壺を助手席に置き、一人で長いドライヴを始める。Kirsten Dunstの選曲による音楽CDを聞きながら、彼女の手書きの地図を頼りのドライヴであった…。

以上でお分かりのように、123分の映画の70分ほどはケンタッキー州のお話です。ケンタッキー州は北軍にも南軍にも加わらず、「中立」の立場を取り、北と南の"border state"(境界州)と呼ばれました。緯度もかなり上の方ですし、南部には該当しません。ですから、Orlando Bloomの父の葬儀が終わるまでは、この映画は“南部もの”とは云えないのです。しかし、彼がその後ドライヴを始めると、南部を横断する観光映画に変貌します。

脚本・監督のCameron Crowe(キャメロン・クロウ)は、脚本執筆の段階から男はOrlando Bloom、女はKirsten Dunstを念頭においていたそうです。しかし、Orlando Bloomは'Kingdom of Heaven'『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)の撮影中だったので、他の男優たちをオーディションしたそうです。Kirsten Dunstも他の作品への出演が決まっていました。で、監督はクランクインを半年伸ばしてOrlando Bloomを待ち、その間にKirsten Dunstも他の作品を蹴ってこちらに参加することを決意したのだそうです。監督はベストの主演者を得たことになります。

Orlando Bloomは到底自殺を図るような暗い男には見えませんが、親戚の人たちの押しつけががましさにたじたじとなりながらも、彼らの良さを認めるという素直な若者を好演しています。彼はKirsten Dunstの押し付けがましさも受け入れるのですから、その性格に齟齬はありません。

Kirsten Dunstは私にはあまり魅力的には思えないのですが、この物語ではOrlando Bloomに生きる喜びを教える役割なので、強い性格の娘を演じる女優としてぴったりです。可愛さを装う必要もないので、ごく自然に芝居しているように見えます。

【註】Kirsten Dunstの"Kirsten"の発音はIMDbによれば"Keer-sten" (not "Kur-sten").と書かれており、「キルステン」でも「カーステン」でもなく、正しくは「キアステン」であることが解ります。

Susan Sarandonはまあ適役ですが、見せ場である筈のダンスがあまり上手くなく、がっかりさせられます。靴会社の社長Alec Baldwin(アレック・ボールドウィン)は、出番も少ないせいでほとんど地で勝負している感じ。伯父の一人を演ずるBruce McGill(ブルース・マギル)は達者な名脇役ですが、ここではあまり書き込まれていない脚本なので、芝居のしどころがありません。

DVDプレイヤーのカウンターが1:4:04になる頃、Orlando Bloomはテネシー州Memphis(メンフィス)のLoraine Motel(ロレイン・モテル)を訪れます。1968年4月4日、キング牧師が暗殺されたモテルです。私も一度行ったことがあります(参照 http://www2.netdoor.com/~takano/civil_rights/civil_22.html)。Orlando Bloomはモテルの看板をバックに、カメラ方向を感慨深げに見ていますが、肝心のモテルは看板の向こうにあり、カメラ側に見るべきものは何もありません。映画がよくやる嘘の一つです。

このモテルは全体がThe National Civil Rights Museum(公民権展示館)として改装されており、キング牧師が泊まった部屋が、シーツや吸い殻で一杯の灰皿なども彼が亡くなった時のままに保存されているのは、映画に描かれている通りです。公民権運動の流れの展示もよく出来ています。別館へ行くと、殺人犯James Earl Ray(ジェイムズ・アール・レイ)が滞在していた下宿があり、キング牧師の部屋が何の邪魔もなく見通せ、射撃に好都合だったことが分るようになっています(この下宿は映画に出て来ませんが)。

このモテルのシーンを見るだけでも、この映画は一見の価値があります。

(July 16, 2011)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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