公開：1997
監督：John Kent Harrison
出演：Matthew Modine、Claire Bloom、Tom Skerritt、James Earl Jonesほか
範疇：原作もの／TV映画／ドラマ／聾唖者

私の評価 ：☆

【Part 1】

これは'Hallmark Hall of Fame'（ホールマーク・ホール・オヴ・フェイム）というCBS TVが放送する、「心暖まるTV映画」のシリーズの一本。

1940年。アラバマ州バーミングハムからジョージア州バーリントンへ向う長距離バスに、Frankie Muniz（フランキイ・ミューニス）演ずる10歳の少年Sammy（サミィ）とその母親が乗っていた。夜間、バスがトイレ・タイムで寄った町で、母親はバーに行き飲み物を求めた。表で踊り狂っている群衆の中から、一人の男が彼女の手を取り踊りを誘う。抵抗していた彼女もいつしか踊り出す。しかし、出発しかけるバスを見て、慌てて戻ろうとするが、男が放さない。それどころか、彼女の口を封じてバーの裏の空き地に引き摺りこんで行く。

少年は眠りこけていて、何も知らない。バスは一路バーリントンへとひた走る。バーの裏には少年の母親の着衣が散乱し、彼女の腕は冷たく動かなくなっていた。

終点バーリントン。運転手がまだ眠っていた少年を起し、バス・ターミナル責任者のTom Skerritt（トム・スケリット）に預ける。Tom Skerrittは何を話しかけても答えない少年を聾唖者であると決め込んでしまう。ターミナル・カフェの女主人が少年に朝食をサーヴィスする。少年はTom Skerrittとカフェの女主人の好意を受け入れ、彼等が思い込んでいるように聾唖者として振舞うことにした。

少年は母親が次の便で追いかけて来ると信じ、ずっとバス停で待った。母親は来ない。Tom Skerrittはターミナルの物置に彼を寝せることにした。何日待っても母親は現われなかった。

20年後、Matthew Modine（マシュー・モディーン）演ずる成長したSammyは、まだターミナルの物置に住み、町のハンディマン（便利屋）になっている。Tom Skerrittとカフェの女主人にとって、彼は息子のような存在だった。“聾唖者”の彼の前で、町の人々は様々なことを全く警戒心無く話した。時には可笑しくて笑い出しそうになるが、“聾唖者”が笑うわけにはいかない。

Sammyは大金持ちの家の掃除に行き、Jake Weber（ジェイク・ウェバー）演ずるその家の息子が、教会を材料に大金をせしめる詐欺の計画を練っているのを耳にする。さあ、どうする？

Frankie Munizは'My Dog Skip'『マイ・ドッグ・スキップ』の主役の少年、Matthew Modineは'The Blackout'『ブラックアウト』の主役、Jake Weberは'Meet Joe Black'『ジョー・ブラックをよろしく』や'U-571'『U-571』などに出ていました。他に、金持ちの未亡人として往年の大スターClaire Bloom（クレア・ブルーム）、古物回収業の役でJames Earl Jones（ジェイムズ・アール・ジョーンズ）、牧師でJerry O'Connell（ジェリイ・オコネル）も出ています。Tom Skerrittも含め、結構豪華キャストです。

私は当家の猫に人間の言葉が解ったらどうだろう？と時々思うことがあります。「この猫缶、臭くない？」「でも、死なないだろう。大丈夫だよ」などと話しているのが解ったら、「こんな家、もう居たくない」と出て行ってしまうのじゃないか、とか:-)。聾唖者だと思って安心して陰口や秘密を喋っていたら、全部聞かれていた…というのは、何やら似たような状況です。原作者は新聞の編集者だそうですが、アイデアの勝利です。

いつ、彼が口を開くかというのが興味の的です。

(April 29, 2001)

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