公開：1964
監督：Gene Nelson
地域：テネシー州
出演：Elvis Presley、Arthur O'Connell、Glenda Farrell、Jack Albertsonほか
範疇：歌謡もの／ミサイル基地建設計画／山家の従兄・従妹との出会い／コメディ

私の評価 ：☆

【Part 1】

"Kissin' cousins"あるいは"Kissin' kin"というのは「会えば挨拶のキスを交わすぐらい親しい親類」という意味だそうです。

国防総省はテネシー州山地のスモーキィ・マウンテンにミサイル基地を建設する決定をする。しかし、そこに100年以上住み続けている人々は土地買収に応じない。業を煮やした将軍は「七日以内に土地買収を成功させよ」という無茶苦茶な命令を下す。担当となった大尉Jack Albertson（ジャック・アルバートスン）はテネシー州、ノース・キャロライナ州、ジョージア州のどこかで育った南部訛りを話す者を交渉の任に当たらせるというアイデアを出し、スモーキィ・マウンテン生まれでノース・キャロライナ州育ちの空軍中尉Elvis Presley（エルヴィス・プレスリー）が選ばれる。

何という偶然か:-)、Elvis Presleyは建設予定地の地主の親戚であることが分る。山に住む人々を警戒させないようElvis Presleyは私服着用とし、大尉率いる小隊はスモーキィ・マウンテンへと出発する。

小隊はElvis Presleyのリードで陽気に歌いながら:-)、ジープを連ねて山道を登る。Elvis Presleyは二人の従妹（どっちも美女）と出会い、驚いたことに彼にそっくりな金髪の従弟（二役）にも出会う。この従弟は山中のレスリングのチャンピオンだと威張り、二人は取っ組み合いの喧嘩を始めるが、駆けつけた大尉によって止められる。

地主のArthur O'Connell（アーサー・オコネル）とその妻Glenda Farrell（グレンダ・ファレル）は、Elvis Presleyと大尉を夕食に招待する。大尉が「今までに味わったことのない御馳走だ」とお世辞を云うと、それも道理、とんでもないゲテモノが材料だったことが分り、青ざめた大尉は「急に用事を思い出した」と外へ出て行く。

Elvis Presleyが本題に入る。
Presley: "The U.S. Govermnent is going to build an ICBM base."（政府はICBM基地を作る計画なんだ）
O'Connell: "BM?"（BMだと？）
Presley: "Ballistic Missile."（弾道ミサイルだよ）
O'Connell: "Oh, I see."（あ、そう）
Presley: "That's right. I-See-BM (ICBM)."（その通り。ICBMさ）
O'Connell: "You see BM? No, I don't."（あんたはBMが見えるのか？俺には見えん）

国防に無関心なArthur O'Connellは土地買収に応ぜず、時間は刻々と過ぎて行くが、Elvis Presleyは美しい従妹たちに囲まれラヴソングを歌ったり、男に飢えた山の美女集団に追われたりして、充実した日々を過ごす。Elvis Presleyがビキニ姿の美女に囲まれている写真と、「ミサイル基地建設か？」という見出しの新聞記事が公になり、怒った将軍が乗り込んで来ることになる。

任務失敗を自覚したElvis Presleyが従妹たちにさよならする決意をした頃、狩猟に出たArthur O'Connellの犬だけが戻って来る。Arthur O'Connellの身に何かあったのだ。小隊が捜索に向かうが、山道に潜んでいる山の美女集団が最後尾の兵士を一人ずつ薮に拉致してねちょりんこんを始め、大尉一人が取り残される…。

撮影は全部カリフォーニアで行なわれ（ほとんどがセット）、14日間という猛スピードで終了したそうです。日本でも裕次郎や加山雄三が歌ったり恋したり喧嘩したりするだけの他愛無いプログラム・ピクチャーが沢山ありました。これもそんなものです。監督はミュージカル'Oklahoma!'『オクラホマ！』(1955)で'Kansas City'を歌い踊ったGene Nelson（ジーン・ネルスン）。この映画の脚本を書いた一人でもあります。これで程度が分りますよね。Elvis Presleyは何曲も歌いますが、残念ながら今に残る名曲は一つもありません（少なくとも、私の耳に馴染んだ曲は皆無）。

僅かに印象に残った場面を挙げれば、Arthur O'Connellと大尉が一気呑みの試合をし、周囲がかけ声（「イッキ、イッキ」の英語版）を掛けること。一気呑みは日本の専売じゃなかったんですね。もう一つは、名傍役Arthur O'ConnellがElvis Presleyの歌に合わせて踊るのが、中々様になっていたこと。すぐ止めちゃいますが。

この映画は、私にとって憎い映画なのです。数年前、十分ほど観たところで「こんな下らない映画のリヴューまで書かなきゃなんないの？」と見続ける気力を喪失させ、二年ほどこの“南部もの”の更新を途絶えさせた張本人なのです。2006年、他の映画に迂回してなんとか更新を再開させましたが、相変わらずこの'Kissin' Cousins'は恐ろしくて敬遠していました。今回、やっとこのリヴューを終え、長く苦しい便秘が解消した思いです。やれやれ。

この映画に限りPart 2はありません。ハリウッドのスタジオで撮影されたお馬鹿な映画に、Part 2など書けるものではありません。

(December 24, 2006)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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