公開：2011年
監督：Alex Kendrick
地域：ジョージア州
出演：Alex Kendrick、Ken Bevel、Ben Davies、Kevin Downes、Robert Amayaほか
範疇：宗教もの／教会・信徒による自主制作映画／父親の役割／保安官補／捜査／麻薬／誓い

私の評価 ： ☆

【Part 1】

'Flywheel'（2003、本邦未公開）、'Facing the Giant'『フェイシング・ザ・ジャイアント』（2006）、'Fireproof'『ファイアー･ストーム』（2008）など、強固な信仰心を抱くことを動機づけようとする映画を自主制作し、アメリカ全土だけでなく世界中から好評をもって迎えられたジョージア州Albany（オルバニィ）の教会の牧師・事務員たちとその信徒一同による手作り映画の第四弾。スタッフとキャストのほとんどが無報酬の牧師や信徒のヴォランティア活動によるもの。彼らの製作法については'Facing the Giant'の項を御覧下さい。

今回の主題は「父親の役割」で、保安官補四人に脚光が当てられます。そのうち二人は職業俳優で、コミック・リリーフ的に絡むメキシコ人も職業俳優が演じています。「作れば必ずヒットする」という自信に裏付けられ、金を惜しまずに内容のレヴェル向上を図った配役かも知れません。

なお、"courageous"とは「勇気のある」という形容詞です。

ジョージア州の小さな町。保安官補Alex Kendrick（アレックス・ケンドリック）の長男は、父親と町で開催される5キロ・マラソンに出場したがっており、毎日ランニングに余念がない。しかし、Alex Kendrickは走るのに自信もないし、マラソン大会の話も聞こうとしない。妻は「問答無用じゃなく、もっとあの子と話をして」と頼む。

保安官事務所。黒人保安官補Ken Bevel（ケン・ビヴェル）が転勤して来る。新米保安官補のBen Davies（ベン・デイヴィス）がKen Bevelのパートナーに任命される。Alex KendrickのパートナーはヴェテランのKevin Downes（ケヴィン・ダウンズ）である。

その日、Alex Kendrickは仕事で幼い娘のピアノ発表会に出られなかった。娘から「お友達のお誕生パーティに招ばれてるの。行っていいでしょ？」と聞かれ、「ずっといい子だったから、行っていいよ」と答える。

保安官事務所の朝のミーティングで保安官が訓話をする。『父親のない子は、そうでない子供の五倍も自殺したり麻薬中毒になったりしている。20倍は刑務所行きになっている。君らも忙しいだろうが、勤務が終わったら家族を愛してくれ』

その日、四人の保安官補は麻薬の売人を検挙に向かう。若い黒人青年たちを追って走り回り、Alex Kendrickは息切れしてぜえぜえ云う。

その頃、メキシコ人の妻子持ちRobert Amayaは建築現場の仕事を馘になり、必死で職探しをする。

黒人保安官補Ken Bevelの15歳の娘は、ある黒人青年からデイトに誘われて浮き浮きしている。しかし、父親Ken Bevelは「お前が17歳になるまではデイトは許さん」と云い渡す。

Alex Kendrickが幼い娘を車に乗せて町の広場へ行った折、ラジオに娘の好きな曲がかかり、娘は「パパ、ダンスしよ！」とせがむ。町の真ん中でダンスすることをためらうAlex Kendrickは、「お前だけ踊りなさい。見てて上げるから」と云う。娘は一人で笑いながら踊る。

Alex Kendrickは他の三人の同僚を裏庭のBBQ（バーベキュー）に招ぶ。保安官の訓話をどう思うかという話題になる。ヴェテランKevin Downesと新米Ben Daviesの両親は離婚しており、Kevin Downes自身も離婚し、一人の幼い息子がいる。黒人Ken Bevelの父は「三人の女に六人の子を生ませ、おれは五番目だ」と云う。

一方、メキシコ人Robert Amayaは職にあぶれ、とぼとぼと通りを歩きながら「神様、一生懸命やってもどうにもなりません。どうすればいいのですか？」としくしく泣く。物置の建築に助っ人が必要だったAlex Kendrickは、通りかかったRobert Amayaを、頼んであったメキシコ人助っ人と勘違いし、結構いい日当で雇う。Robert Amayaは棚ぼたで大喜び。

友達の誕生パーティに行ったAlex Kendrickの娘を乗せた車が事故に遭い、娘が死んでしまう。Alex Kendrickは落ち込む。「もっといい父親であるべきだった」と自分を責め、娘とダンスしなかったことを悔いる。妻は「あなたはまだ（息子の）パパよ」と云う。

六週間後。Alex Kendrickは三人の仲間とメキシコ人Robert Amayaを、自宅の昼食に招び、各人にプリントを渡す。それは「どういう父であるべきか」について記された彼の誓いであった。他の四人もそれぞれその誓いを実行することを約束する。Alex Kendrickは、息子と一緒にマラソン用の靴を買いに行く。

新米保安官補Ben Daviesには、学生時代にチアリーダーに生ませた四歳の娘があった。彼はその責任を取るべく、相手の女性に手紙を書き、「関係を修復したい」と告げる。

Alex Kendrickの紹介で紡績工場作業員として働いていたメキシコ人Robert Amayaに配送係昇進の話が持ち上がるが、それは記録を改竄せよという義務が付随していた。夢のような昇給だが、インチキをしたくないRobert Amayaは悩む。

Alex Kendrickは証拠品置き場の麻薬が、登録した数量より少ないことに気づく。保安官補の誰かがくすねているのだ。一体、誰が…？

四作目となって、脚本も演出も手慣れて来て、ユーモアと深刻なシーンが適度にないまぜになって飽きさせません。素人ばかりでなく職業俳優との混成チームですから、演技もスムーズです。アクション・シーンもあり、（ハリウッド映画のように爆発・炎上したりはしませんが）それなりに見られます。

黒人保安官補を演じているKen Bevelは、'Fireproof'『ファイアー･ストーム』（2008）出演の頃は海兵隊員でしたが、除隊後は監督・主演のAlex Kendrickと同じ教会の準牧師になってしまいました。

（March 28, 2012）

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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