公開：1980
監督：Michael Apted
出演：Sissy Spacek、Tommy Lee Jones、Levon Helm、Beverly D'Angeloほか
範疇：原作もの（Loretta Lynnの自伝）／ドラマ／C&W

私の評価 ：☆1/2

【Part 1】

Sissy Spacek（シシー・スペイセク）演ずるCountry & Western歌手Loretta Lynn（ロレッタ・リン）の少女時代からC&Wの女王となるまでの伝記映画。

Loretta Lynnはケンタッキー州山間部にある炭鉱の、六人の子持ちの炭坑夫の長女である。普段はC&Wを子守唄として歌いながら弟や妹の世話に明け暮れている。町で陸軍の軍服を来た男が大勢の炭坑夫を相手に「ジープでボタ山を登れるか」という賭けをしているのに出会う。Loretta Lynnはスリップしながらも必死でボタ山を登るジープの男を応援する。

Tommy Lee Jones（トミィ・リー・ジョーンズ）演ずるその男の名はDoolittle（ドゥーリトル）で、愛称は"Doo"（ドゥー）。Dooとの何度かのデイトでLoretta Lynnは彼を好きになる。ある日、Dooが家に来て、「結婚してくれ」と云う。Loretta Lynnは「パパに聞いて」と云う。父は「娘はまだ14歳なんだ。まだ子供だ」と反対するが、Dooが「彼女を愛しているし、必ず幸せにすると約束する」と説得する。父は「カミさんに聞け」と答える。DooはLoretta Lynnの母親のところへ行き承諾を求める。母は「亭主に聞いて」と云うので、また父親のところへ戻ろうとすると、Loretta Lynnが「何で行ったり来たりしてるの？」と呆れる。「俺にも分からんよ」と云いつつ、父親に妻の答えを告げる。父親は遂に「娘に聞け」と云う。

二人は結婚する。Dooは炭坑夫になる。しかし、これは彼の望んだ生活ではなかった。Dooは西海岸北部のワシントン州に行き、製材の仕事に就く。Loretta Lynnも呼ばれ、数年のうちに四人の子持ちになる。彼女の歌が気に入ったDooは、結婚記念日にギターをプレゼントする。全く弾けなかったが、家事の合間に稽古し、爪弾きながら歌えるようになる。

Dooがホンキィ・トンク（安酒場兼ダンス・ホール）でLoretta Lynnに歌わせる。聴衆が気に入り、アンコールが要求される。これに勇気を得た二人は、地元のスタジオでシングル盤を吹き込む。Dooは妻の写真と手紙、シングル盤をアメリカ中のC&WのDJに送り付ける。

父が亡くなり、二人でケンタッキーの葬儀に駆けつける。悲しみを振り払い、四人の子供を母親に預け、二人はテネシー州各地のC&W専門ラジオ局行脚を始める。生放送に出て、レコードをかけて貰う。いつの間にか、彼女の歌は全米ヒット・チャート14位に上っていた。Loretta Lynnは憧れのNashville（ナッシュヴィル）のグランド・オール・オープリィに出演し、さらに当時のC&WのスターPatsy Cline（パッツィ・クライン）とジョイント・ツァーを開始し、彼女の人気はうなぎ登りとなって行く…。

'Nashville'『ナッシュヴィル』(1975)もそうでしたが、この映画も俳優達が自分で歌っていて吹替えではありません。主役のSissy Spacekと、Patsy Clineを演じたBeverly D'Angelo（ビヴァリー・ダンジェロ）は、自分の声で歌っています。数曲はSissy Spacekの作曲とも云われていますが、どれがそうか定かではありません。

Tommy Lee Jones演ずる夫は向こう見ずで短気で浮気っぽいのですが、妻の才能を見抜き、その開花に生涯を捧げる男として描かれています。原作である自伝を読んだ人が、「映画はかなり原作に忠実である」と云っていますから、こういうヤクザな男だったのでしょう。『ナッシュヴィル』に出て来たRonee Blakley（ロニー・ブレイクリィ）が演じた“C&Wの女王”Barbara Jean（バーバラ・ジーン）のモデルは、このLoretta Lynnだと云われています。となると、あちらに出て来た過保護なくらいに妻をカヴァーするマネージャー兼夫は、このTommy Lee Jonesと同一人物なんですね。

おずおずと世間に登場し、次第に牧場まで買える身分になっても飾り気無く振るまい、'Coal Miner's Daughter'という曲で「私は炭坑夫の娘として育った」と歌う、大らかな女性を描いた映画です。

(May 30, 2001)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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