公開：1994
監督：Deepa Mehta
地域：ジョージア州
出演：Jessica Tandy、Bridget Fonda、Elias Koteas、Maury Chaykin、Hume Cronynほか
範疇：原作もの／女性もの／老女と若い娘の友情／音楽（ロックとクラシック）

私の評価 ：☆

【Part 1】

原題の"Camilla"（カミラ）はJessica Tandy（ジェシカ・タンディ）の役名。

カナダのトロントに住むBridget Fonda（ブリジット・フォンダ）はロック・バンドの作曲家である。夫でグラフィック・デザイナーのElias Koteas（イライアス・コティーズ）と、ヴァカンスでアメリカ南部へ車で出掛ける。

ジョージア州Savannah（サヴァナ）。大西洋に浮かぶ島に渡る。大家の屋敷の隣りの小屋がしばらくの間の宿である。二人は大家の老女Jessica Tandyと、その中年の息子Maury Chaykin（モーリー・チェイキン）と親しくなる。Jessica Tandyは元はトロントのコンサート・ホールでブラームスのヴァイリン協奏曲を弾いたほどのヴァイオリニスト、息子は映画のプロデューサーである。

Jessica Tandyの息子は、Elias Koteasに映画のポスター製作の仕事をくれる。Elias Koteasは有頂天になり、すぐ夫婦でトロントのアトリエに戻ろうとする。しかし、Bridget Fondaは「私は残る」と云って動かない。仕方なく、夫は車を妻に預けて飛行機で帰る。

Bridget Fondaは島に滞在中に作った新作を、近くのホンキー・トンクで自演する。しかし、スロー・バラードは酔客に受けずやじり倒される。失意の彼女は夜更けにもかかわらず、Jessica Tandyの家の戸を叩く。Bridget Fondaの話を聞いた彼女は、何故か取り乱す。実は彼女もコンサートで失敗をしたことがあったのだ。Bridget Fondaは「トロントでブラームスのヴァイリン協奏曲のコンサートがある。二人で行こう」と誘う。Jessica Tandyは「ナイアガラ瀑布を見られるのなら行く」と答える。

二人がフェリーに乗船して間もなく、船長が「パーキング・ブレーキは確実にかけたか？」と聞いている間に車はボチャンと海に落ち、水没してしまう。船長が自分の住む宿に案内する。

Jessica Tandyの息子とElias Koteasは、女性たちと連絡が取れなくなったのを案じて島に戻り、捜索願いを出す。息子の留守番電話に「身代金を用意しろ」とのメッセージが入る…。

Jessica Tandyはこの後一本の映画に出演してこの世を去ります。背後からとはいえ、全裸で海に駆けて行くシーンがあったり、ヴァイオリン作りの老人Hume Cronyn（ヒューム・クローニン、実生活ではJessica Tandyの夫）との愛を表現するシーンがあったり、天国へ行く前にJessica Tandyの全てを曝け出したような映画となっています。特に、過去に自分が失敗したブラームスのヴァイリン協奏曲を若手の女性がコンサートで弾くのを聞く場面の表情は秀逸。

Bridget Fondaは不健康な顔色が気に入りませんが、彼女の他のチャラチャラした役よりはかなりよく演じていると云えます。しかし、喋る時に意味もなく笑顔になる演技プランは疑問。現場でずっと見ていた監督の責任でもありますが。

Bridget Fondaの夫を演じるElias Koteasは'Thin Red Line'(1998)で、部下思いゆえに司令官の命令を拒否する良心的大尉を演じていました。ここでも誠実な男を自然に表現しています。

女性二人が北へ向かう途中で出会う男としてGraham Greene（グレアム・グリーン）も出ています。

(October 03, 2003)

Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。