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The Curious Case of Benjamin Button

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2008
監督:David Fincher
地域:ルイジアナ州ニューオーリンズ
出演:Brad Pitt、Cate Blanchett、Julia Ormond、Jason Flemyng、Taraji P. Hensonほか
範疇:原作もの/ホラ話/奇想天外な男の一生/冒険/ロマンス

私の評価 :☆☆☆

【Part 1】

2005年、ルイジアナ州ニューオーリンズ。ハリケーン・カトリナがニューオーリンズを直撃しかけていた時、81歳の老婦人Cate Blanchett(ケイト・ブランシェット)は死の床にあった。彼女は娘Julia Ormond(ジュリア・オーモンド)に、一冊の日記帳を朗読するように頼む。それは、以下のようなある男の奇想天外な一生を綴ったものだった。

1918年、ルイジアナ州ニューオーリンズ。第一次大戦が終り、町は喜ぶ人々でごったがえしていた。親代々のボタン工場の社長Jason Flemyng(ジェイスン・フレミング)は自宅で分娩した妻の元に急ぐ。赤ん坊は無事だったが、妻は亡くなった。妻が産み落した赤ん坊を見たJason Flemyngは驚愕した。それは赤ん坊なのに丸で老人のような皺くちゃの醜い顔をしていたのだ。彼は赤ん坊を老人ホームに捨てる。

老人ホームの黒人女性マネージャーTaraji P. Henson(タラジ・P・ヘンソン)が赤ん坊を拾い、Benjamin(ベンジャミン)と名付けて育てる決意をする。医師は「この赤ん坊は80歳の死にかけた老人のような固い身体と筋肉痛を病んでいる」と云う。Brad Pitt(ブラッド・ピット)演ずる成長したBenjaminは、たった五歳なのに禿頭に眼鏡、皺クチゃの顔で車椅子に乗って老人ホーム内を徘徊する。そのうち、育ての親のTaraji P. HensonがBenjaminを教会に連れて行き、牧師が祈祷するとBenjaminは松葉杖で歩けるようになる。

1930年老人ホームのガーデン・パーティで12歳のBenjaminは青い目の美しい少女と出会う。二人は仲良しになる。

ある日、成長したBenjaminはタグボートの労務者に雇われる。船長はBenjaminがまだ童貞であることを知り、娼窟に案内する。Benjaminは凄まじい精力で売春婦を辟易させる。娼窟を出て、彼は立派な紳士と遭遇した。その紳士はBenjaminの父だったが、父は名乗らないままBenjaminをバーに誘い、様々な話をする。

17歳になったBenjaminは老人ホームを出る。彼は、青い目の美しい少女(若き日のCate Blanchett)に「行った先から必ず手紙を出す」と約束する。Benjaminはタグボートの船員としてあちこちの港で働く。長く滞在したムルマンスク(ロシア)で、彼は英国の人妻Tilda Swinton(ティルダ・スウィントン)と知り合い、恋に陥る。その頃、Cate Blanchettはニューヨークのバレエ団に加わり、花形のダンサーとなっていた。

1941年、アメリカは第二次大戦に参入し、Benjaminが働くタグボートは海軍に接収される。船員たちはみな海軍軍属となり、敵の機銃掃射を浴びたりするハメになった。1945年、ついに戦争が終り、Benjaminは老人ホームに戻る。父がやって来て、ボタン工場を見せ、「お前は私の息子だ」と告げる…。

この後は結ばれそうで中々結ばれないCate Blanchettとのロマンスが続きます。2時間40分の大作です。ちと長過ぎる感じもあります。'Forrest Gump'より一寸長いだけですが…(図らずも同じ脚本家の作品です)。この原作の映画化権は1970年代後半から、何人ものプロデューサーたちの間を転々とし、監督や主演の候補もどんどん変わったのだそうです。私は'Forrest Gump'『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)や'Big Fish'『ビッグ・フィッシュ』(2004)のようなホラ話は嫌いではありません。この映画も厭きないで2時間40分を楽しみました。

この映画、もともとは“南部もの”に入る予定ではなかったようです。脚本は北部のメリーランド州Baltimore(ボルチモア)が舞台でしたが、ハリケーン・カトリナで大被害を受けたルイジアナ州が、格安税率で映画の撮影隊を受け入れるというオファーをしたのが引き金となり、脚本をニューオーリンズに書き換えたのだそうです。私はBaltimoreの風物を知らないので比較は出来ませんが、ニューオーリンズの方が背景としては良かったのではないでしょうか。建物や街路にも趣があり、娼窟がある猥雑さも似合っていますし、何よりもこうしたホラ話は南部に相応しいと思うからです。

演出も丁寧で、撮影にも味わいがあります(特に照明と色彩が良い)。特殊メークは絶品です。Brad Pittなどはどこで素顔になったのか分らないほどでした。81歳のCate Blanchettは演技(特に台詞廻し)もいいのですが、顎の下のたるみ具合などがとても自然に見える特殊メークで、素晴らしいと思いました。

'The Load of the Rings'『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)の撮影は、ホビット族のElijah Wood(イライジャ・ウッド)のプロポーションが彼当人の場合と吹き替えの子供の場合でチグハグで苛々させられました。こちらの方も子役の吹き替えを使っていますが、車椅子に乗せたりしている上に、老けた特殊メークを施しているので非常にうまく行っています。安心して見ていられました。

Cate Blanchettにバレエの素養があってもおかしくないのですが、しかし、巧すぎる気がしました。これも吹き替えを交えているのだとしたら、とても上手く処理されています。ミュージカル『回転木馬』のバレエ・シーンは中々良かったです。

(December 28, 2009)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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