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公開:1980
監督:Stuart Rosenberg
地域:アーカンソー州
出演:Robert Redford、Yaphet Kotto、Jane Alexander、Murray Hamilton、David Keithほか
範疇:原作もの/ドラマ/刑務所の改善
私の評価 :☆
【Part 1】
アーカンソー州のWakefield(ウェイクフィールド)という刑務所に、新入りの囚人たちを乗せたバスがやって来る。その中には、何やら落ち着かない顔のRobert Redford(ロバート・レッドフォード)がいた。彼らの一連の入所手続きを通して、看守からいい扱いを受けるための賄賂の横行、多くの人間が押し込められている汚い雑居房、動く虫が入っている食事など、この刑務所の惨憺たるありさまが描かれる。囚人仲間からオカマを掘られる男もいる。見せしめのために、囚人たちの目の前で鞭打たれる囚人もいる。看守が残した肉なども売買される。囚人たちは無報酬で町の商売人を助ける仕事をし、看守がうまい汁を吸う。
ここでは看守の人手不足を補うため、模範囚数名を看守代行として銃も持たせて囚人たちを統率させていた。その代表は黒人のYaphet Kotto(ヤフェット・コットー)だった。
ある日、Robert RedfordがいつもサングラスをかけているDavid Keith(デイヴィッド・キース)と独房の清掃をしていると、Morgan Freeman(モーガン・フリーマン)がDavid Keithを人質にとり、独房の衛生状態、住環境の改善、囚人の健康管理などいくつかの人権を主張する。「所長を呼べ!」と叫ぶMorgan Freemanに、Robert Redfordは「俺は新任の所長で刑務所の実態を調査している最中だ。何でも俺に話せ」と応じ、機転を利かせてMorgan Freemanを独房に戻す。看守やYaphet Kottoは「うまい嘘だ」とゲラゲラ笑う。
しかし、それは嘘ではなかった。Robert RedfordはHenry Brubaker(ヘンリィ・ブルベイカー)という名の新任の刑務所長だったのだ。就任の前に、顔を知られてからでは不可能な実態調査を行ったのだった。州政府の行政担当の女性Jane Alexander(ジェイン・アレクザンダー)と刑務所理事会代表のMurray Hamilton(マレイ・ハミルトン)がやって来る。Robert Redfordは宣誓も済ませ、正式に所長となる。
Robert Redfordは先ず独房の囚人たちを日光の下に出し、投票によって囚人自治会を組織させるなどの改革を推し進める。ある日、老朽化した建物が壊れ多数の怪我人が出る。彼は医師の常駐を行政にリクエストする。州政府の顧問委員会は、刑務所に金をかけず、逆に囚人労働によって利益を上げることを厳命し、「奴隷のような労働はさせない」とするRobert Redfordと対立する。
黒人の老いた囚人がRobert Redfordのもとにやって来る。彼は「刑務所内に無数の死体が埋められている」と語る。老人の刑期を尋ねたRobert Redfordは愕然とする。老人は三年前に刑期を終えていたのに、誰も気付かなかったのだ。死体を掘り出そうとするRobert Redfordに、スキャンダルを恐れた州上院議員、刑務所理事会などの圧力がかかって来る…。
13年前に“ブッチ・キャシディ”のPaul Newman(ポール・ニューマン)主演で'Cool Hand Luke'『暴力脱獄』(1967)という佳作を作った監督Stuart Rosenberg(スチュアート・ローゼンバーグ)が、今度は“サンダンス・キッド”のRobert Redfordでまた刑務所を描いた作品。
私はRobert Redfordは受刑囚の一人だと思って観ていたので、「ただの博打打ちが実は大岡越前だった」と知ったように驚きました。そのような意外性を味わって頂くには、本当は上のようなあらすじを書いてはいけないのでしょうが、この映画の紹介文はどれも「新任の刑務所長Robert Redfordは…」となっており、読者の大半もそれを知らずには済まないだろうと判断しました。
この物語は実際にあったことをベースにしているそうです。囚人の側から見た刑務所運営というのは非常に珍しい視点で、ドラマチックでもあります。
Morgan Freemanは主にTVに出ていた頃で、これは映画出演五本目でした。痩せて精悍な顔つきが、今の彼とは大違いで見ものです。David Keithもまだ売り出し中の初々しさがあります。いつも市長だの政治家だのを演じるMurray Hamiltonは、ここでは打算的な刑務所理事会代表で、常に作り笑いを浮かべた政治家的表情が上手い。
(April 28, 2003)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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