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The Biscuit Eater

(未)


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1972
監督:Vincent McEveety
地域:テネシー州
出演:Earl Holliman、Pat Crowley、Godfrey Cambridge、Johnny Whitaker、George Spellほか
範疇:原作もの/リメイク/少年二人と犬/鳥探しの猟犬/猟犬コンテスト

私の評価 :☆

【Part 1】

原作者はミシシッピ州出身ですが、原作には物語の舞台はアラバマ州南部と書かれています。1940年に製作されたオリジナルはヴァージニア州で撮影され、犬も州の名にちなんだ名前をつけられていました。リメイク版は製作したディズニィのホームページで「テネシー州の田舎」とありますので、それに従っておきます。

Earl Holliman(アール・ホリマン)は猟犬のトレーナー。犬舎の持ち主は別にいて、彼は雇われているだけである。彼が手塩にかけているSilver Belle(シルヴァー・ベル)という雌犬は、猟犬コンテスト全国大会二連覇していて、雇い主のEarl Hollimanに対する信頼も厚い。彼には12歳になる息子Johnny Whitaker(ジョニー・ウィッテカー)がいた。少年は父親が訓練を見放したチョコレート色の犬を可愛がっていた。父はこの犬を"suck-egg biscuit eater"(卵吸いのビスケット喰らい)と呼んでいた。犬が鶏の卵を見つけると足で割って中身を飲むのが好きで、ビスケットも餓鬼のようにばくばく食うからだった。少年は「そう呼ばれるとこの犬は自分が侮辱されたことが分るんだ。ほら見て、尻尾を垂らして歩いてくでしょ。もう云わないで」と父に頼む。

[biscuit]

【アメリカのビスケットは日本のものと異なります。もっと大きく分厚く、表面は油っこく固いものの、中はぼろぼろになる位柔らかいものです(右の写真)。日本のビスケットはアメリカではクッキーと呼ばれる類いです】

Earl Hollimanは能無しの"biscuit eater"を厄介払いすることにする。黒人のガソリン・スタンド・オーナーGodfrey Cambridge(ゴドフリー・ケンブリッジ)に押し付けようとするが、この男はしたたかで「卵を食うような犬には餌代が必要だ」と主張し、3ドルの“持参金”を貰ってようやく引き取る。このやり取りを聞いていた息子Johnny Whitakerは、仲良しの黒人少年George Spell(ジョージ・スペル)のところへ行く。

George Spellは兄が犬を連れて引っ越して行ってしまい、寂しがっていたところだった。Johnny WhitakerはGodfrey Cambridgeから犬を取り返し、二人で全国大会を目指そうと説得する。George Spellは鶏舎から卵を二個持ち出し、Godfrey Cambridgeの庭で密かに"biscuit eater"に食べさせ、黒人オーナーにショックを与える。結局、黒人オーナーへの勤労奉仕と卵の貢ぎ物をする約束で、少年たちは犬を貰い受ける。

George Spellのお母さんBeah Richards(ビー・リチャーズ)が子供たちから「犬に名前を付けて」と頼まれ、聖書のコンコーダンス(用語索引)を読み始める。人名でも何でもない"moreover"(さらに)という言葉が気に入ったGeorge Spellは、犬を"Moreover"と呼ぶことに決める。

近所の農園主Clifton James(クリフトン・ジェイムズ)は傲慢で粗暴な男だった。彼は少年たちに「もし、お前らの犬がおれの馬を脅したり敷地内に入って来たら、遠慮なく射ち殺す」と警告する。

少年たちは野原でMoreoverを訓練する。父Earl Hollimanと名犬Silver Belleの後をついて行って、Moreoverにお手本を見せて貰ったりする。Moreoverは地面に隠れている鳥を見つけると、猟犬の勤めである"point"(方向指示)の姿勢を取る。そんなことを予期していなかったEarl Hollimanは驚く。

猟犬コンテスト地区予選が近づく。Earl Hollimanは少年たちとMoreoverの参加に怒る。彼の妻Pat Crowley(パット・クロウリィ)は「子供たちに負けるのが恐いの?やっつけて、人生はそう甘いものじゃないことを教えたら?」とうまく少年たちの参加を援護する。

いよいよ地区予選本番。Silver BelleとMoreoverが勝ち残り、明日最終日が決戦となる。Silver Belleの持ち主で犬舎のオーナーでもあるLew Ayres(ルー・エアーズ)とEarl Hollimanは、食堂で記者団に囲まれる。オーナーは「もし負けたらトレーナーを替えなければ」と冗談を云う。それを真に受けた黒人ウェイターが「明日、Silver Belleが負けたらEarl Hollimanは馘だそうだ」とコックに話し、黒人少年George Spellがそれを聞いてしまう。少年たちはショックを受け、どう対処すべきか悩むのだった…。

ディズニィの製作ではありますが、最近のディズニィの実写映画(アニメでない映画)が常に一定レヴェルの質を保っているのに較べると、この頃のディズニィ映画はちと安普請です。先ずEarl Hollimanが看板ということで分りますが、他の配役もB級以外の何ものでもありません。この映画の翌年に作られた'Tom Sawyer'『トム・ソーヤーの冒険』(1973)では、子役のJohnny Whitakerはクレディットの最初に名前が出ますが、こちらでは大人の俳優六人の後になっています。つまり、この子もまだ看板になる前だったわけです。

黒人のガソリン・スタンド・オーナーを演ずるGodfrey Cambridgeは、一見Wesley Snipes(ウェズリィ・スナイプス)が太っていた頃か?と思わされるほど感じが似ていますが、別人。登場直後から臭い芝居をするので、「こいつは只の端役じゃないな」と思わされますが、その通り何度も登場し他の俳優を食ってしまいます。

黒人少年のお母さんBeah Richardsは'Guess Who's Coming to Dinner'『招かれざる客』(1967) でSidney Poitier(シドニィ・ポワティエ)のお母さんを演じた人。一見個性が弱いようですが、じわじわと人間味を醸し出します。

(February 14, 2007)



Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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