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公開:1941
監督:Victor Schertzinger
地域:ルイジアナ州ニューオーリンズ
出演:Bing Crosby、Mary Martin、Brian Donlevy、Eddie 'Rochester' Anderson、Jack Teagardenほか
範疇:白人によるディキシーランド・ジャズ/音楽/ドラマ
私の評価 :☆
【Part 1】
映画が始まる前に「メンフィスとニューオーリンズの、ジャズのパイオニアたちに捧ぐ」という献辞が出ます。
1890年代のルイジアナ州ニューオーリンズ。ベイジン・ストリートの街頭で、黒人のディキシーランド・ジャズ・バンドの演奏に合わせて黒人の男女が踊る。いつの間にか白人の少年がクラリネットで演奏に参加する。黒人ミュージシャンたちは、白人が(それも子供が)見事にジャズを演奏するので驚く。そこへ少年の父親が駆けつけ、ジャズを罵倒し、少年の襟首を掴んで家に連れて帰る。
少年の家は曾祖父の代からクラシックのクラリネット奏者だった。「クラシックを真面目に練習しろ」という父親に、少年は「誰かが音符にしたものを音にするだけでは、誰でも同じような演奏になってしまう。ジャズは心にあるものを解き放って、感じたままを演奏するんです」と主張し、お尻をぶたれる。
数十年後。Bing Crosby(ビング・クロスビィ)演じる成長した少年は、ベイジン・ストリートで働く白人男性たちとバンドを結成していた。完全なディキシーランド・ジャズ・バンドとして足りないのはコルネット(トランペットの短いもの。音色があたたかい)奏者だった。父の時代に召使いを勤めていたEddie 'Rochester' Anderson(エディ“ロチェスター”アンダースン)が、「旦那!白人のコルネット奏者を見つけましたぜ!」と報告に来る。しかし、その男は拘置所に入れられているという。Bing Crosbyはバンドの仲間を誘い、それぞれ楽器を持って拘置所に赴く。
コルネット奏者Brian Donlevy(ブライアン・ドンレヴィ)は拘置所の窓からコルネットを吹いて見せる。バンドの一同はその音色と演奏に満足する。Bing CrosbyはBrian Donlevyに「バンドに加わってくれ」と頼むが、20ドルの罰金を払わないと拘置所を出られないという答え。Bing Crosbyは仲間から金を集めるが、とても足りない。明日何とかしようということで、彼らは拘置所の中と外で賑やかに演奏を始める。
そこへ通りかかった馬車の馬がジャズの音響に驚き、車輪が溝にはまってしまう。客の女性Mary Martin(メアリィ・マーティン)が馭者から20ドルという法外な額を取られそうになるのを見掛けて、Bing Crosbyがその金をインターセプトし、馭者には5ドルやって追い払う。Mary Martinは「お金を返して」と云うが、Brian Donlevyを請け出すために金が必要なBing Crosbyは返さない。Mary Martinは「州の郡部から来て祖父のところへ行く途中だが、もうお金がない」と云う。Bing Crosbyは仲間の馬車で彼女を送らせる。
翌日、Bing CrosbyはBrian Donlevyを請け出し、自分のアパートに連れて帰る。そこには、何とMary Martinが待っていた。「祖父は亡くなっていた。文無しの叔母さんを残して」と云う。Bing Crosbyが「お気の毒に」と云うと、「その叔母さんもここに連れて来ている。汽車賃もないし、どこにも行けないので」とのこと。その叔母さんというのはたった6歳ぐらいの少女だった。仕方なく、彼らに自分の部屋を明け渡し、Bing Crosbyはトロンボーン奏者のJack Teagarden(ジャック・ティーガーデン)の部屋で寝ることにする。
バンドは映画館の余興としてお披露目公演をしようとするが、演奏を始めると「黒人の音楽じゃないの!」と怒った御婦人たちが席を立ってしまい、館主は立腹する。Bing CrosbyとBrian Donlevyはレストランやカフェを廻って「演奏させてくれ」と頼むが、まだジャズは白人のダンス音楽として認知されていない時代だったため、どこでも断られる。
Brian DonlevyはMary Martinに「バンドの専属歌手として歌え」と勧め、Mary Martinを鼓舞する。彼女はヤクザ経営のカフェのオーディションに行き、彼女の容姿に惚れたオーナーのJ. Carrol Naish(J.キャロル・ナイシュ)が雇うことにする。すかさず、Mary Martinは「私のバンドも一緒に雇ってくれ」と頼む…。
Bing Crosbyが38歳の時の作品。この人は若い時も歳取ってからも、例の飄々とした表情・物腰は変わりません。この映画ではかなりの数の歌を唄っています(ヒット曲'My Melancholy Baby'を含む)。
驚くべきはJack Teagardenの若さです(この当時36歳)。私が初めて彼の歌を聴いたのは'The Playboy Jazz All Stars'という各楽器の1957年の人気投票No.1を集めたオムニバスLPで、これに彼がLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)と掛け合いで唄う'Rockin' Chair'が入っていました(1947年の吹き込み)。彼の姿を見たのは、ドキュメンタリー映画'Jazz on a Summer's Day'『真夏の夜のジャズ』(1959) で、ここでもルイと共演の'Rockin' Chair'でした。既にその頃は顔も声もお爺さんっぽくなっていました。『ブルースの誕生』の彼は、トロンボーンは持っていても、若過ぎてまるで別人のようです。Bing CrosbyとMary Martinと三人で唄う場面があり、この当時から歌手としても認められていたことが判ります。ディキシーランド・ジャズのファンには、若きJack Teagardenが観られるだけでも価値があるDVDでしょう。
昔はBing Crosby家の召使いで現在はアパートの掃除人であるEddie 'Rochester' Anderson(エディ “ロチェスター” アンダースン)はブロードウェイ・ミュージカル'Cabin in the Sky'(1943) が映画化された際に、舞台を勤めた俳優を押し退けて映画に出演出来たほどの人気者でした。この映画のポスターの一種には、彼の姿が出ているほどです。彼が一寸だけ唄い踊る場面はありますが、見せ場というほどではありません。
他愛無い物語ですが、短いし(87分)音楽が満載なので退屈はしません。DVDは白黒画像が鮮明でしっとりとしいて、音質も良好です。古い映画なのによく修復されています。
(March 19, 2007)
Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
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