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The Secret Life of Bees

『リリィ、はちみつ色の秘密』


[Poster]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「全洋画オンライン」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:2008
監督:Gina Prince-Bythewood
地域:サウス・キャロライナ州
出演:Dakota Fanning、Queen Latifah、Jennifer Hudson、Alicia Keys、Sophie Okonedo、Paul Bettanyほか
範疇:原作もの/少女の逃避行/母の過去探し/養蜂/人種差別

私の評価 :☆

【Part 1】

結構豪華キャストによる少女もの。様々な映画で大スター、名監督と組んでいるDakota Fanning(ダコタ・ファニング)を中心に、人気絶頂のQueen Latifah(クウィーン・ラティファ)、'Dreamgirls'『ドリームガールズ』(2006)で素晴らしい歌唱を披露したJennifer Hudson(ジェニファー・ハドスン)、そしてDakota Fanningの父として南部名物(?)レッドネックをPaul Bettany(ポウル・ベタニィ)が演じています。

サウス・キャロライナ州。Dakota Fanningが四歳の頃、母は夫と娘を捨て、どこかへ姿をくらましていた。ある日、母が家に戻って来て怒ったPaul Bettanyと掴み合いになる。母は棚から拳銃を取り出して「ほっといて!」と頼むがPaul Bettanyは聞かない。拳銃が娘の前に転がって来て、母が「それを頂戴!」と手を伸ばす。娘は拳銃を渡そうとして引き金を引いてしまい、母親を射ってしまう。

L.B. Johnson(ジョンソン大統領)が公民権法案に署名した1964年。粗暴な父に育てられているDakota Fanningは14歳で、自分の考えで行動出来るまでに成長していた。お手伝いの黒人女性Jennifer Hudsonは選挙権登録をするなど、当時の公民権運動の先端を走っていた。二人が徒歩で町へ買い物に行くと、公民権運動を快く思っていないレッドネック男性数人が取り囲み、嫌がらせを始める。当時、黒人と白人が並んで歩くなどということはあり得なかったからだ。黒人は白人の目をまともに見てもいけないとまでされていて、何を云われても"Yes, sir."と応じなくてはならなかった。しかし、目覚めた女性Jennifer Hudsonは白人の恫喝に屈せず、逆に彼らを侮辱する行動に出て、ひどく殴られてしまう。

Dakota FanningはJennifer Hudsonを誘って家出する決意をする。少しの着替えをボストン・バッグに詰め、入院中のJennifer Hudsonを助けて、ヒッチハイクで町を出る。彼女の目的地は、母の遺品に書かれていた「サウス・キャロライナ州Tiburon(ティブロン)」であった。

小さな町Tiburon【架空の地名】も人種差別が濃厚であったが、白人娘Dakota Fanningには誰もが親切であった。彼女がJennifer Hudsonと二人分の食べ物を買おうとした時、軽食堂のウィンドウに黒人のマリアが黒人のイエスを抱いている絵が目に止まった。それはDakota Fanningの母の遺品にあったものと同じだった。軽食堂の親父は、それがQueen Latifahの農園が出荷している蜂蜜のラベルであることを教える。

Dakota FanningとJennifer HudsonはQueen Latifahの家に赴き、数日の滞在を許される。Queen Latifahの一家は不思議な家で、娘たちに全てに月の名前を付けていた。April(四月)は既に亡くなっていたが、May(Sophie Okonedo、五月)、June(Alicia Keys、六月)がいて、Queen Latifahの名前はAugust(八月)であった。Sophie Okonedoは躁鬱体質で、何か悲しいことがあると外に石を積み上げた“嘆きの壁”で泣き濡れねばならなかった。

Queen LatifahはDakota Fanningに養蜂のABCを教える。Dakota Fanningは女たちの若い従兄の黒人少年Tristan Wilds(トリスタン・ワイルズ)と親しくなる。ある日、Tristan WildsがDakota Fanningを映画に誘う。黒人少年と白人少女が並んで腰掛けて映画を観ているのに激怒したレッドネックたちが二人を摘み出し、少年を留置場に入れる。心配性のSophie Okonedo(五月)は、皆がTristan Wildsのことを隠しているので、少年が死んだと誤解し、自分も川に身を投げて死んでしまう…。

公民権運動がらみの硬派な映画かと思うと、そうではありません。少女の父Paul Bettanyを含むレッドネックたちの行動が、お話にサスペンスを添える程度です。少女が、自分の知らなかった母親の実像を追うという筋立てもさほど響いて来ません。自分の本心を隠してQueen Latifahに接近するという素直でない行動も共感を呼びません。唯一Queen Latifah姉妹の珍しい個性が興味を引く程度の映画です。

Jennifer Hudsonはまだ芝居が出来ないようで、脳足りんの黒人娘を演じているとしか見えません(本当はそうでないのに)。'Dreamgirls'『ドリームガールズ』で迫力ある存在感を示した彼女はどこへ行ってしまったのか?歌わないと駄目なのかも知れませんが。

豪華な材料で作られても、冷えたおせち料理ていどでしかないという出来映えです。原作の問題なのかも知れませんが、何を描きたかったのかよく分りません。撮影はノース・キャロライナ州で行なわれており、カナダでロケするよりはいいのですが、南部の地方色もさほど出ていません。

DVDの監督・俳優たちによるコメンタリーも聞いてみましたが、「あの時はこうだった、ああだった」という思い出話で「わはは…」と笑い合うばかりで、制作意図などは語られていませんでした。

この項にPart 2はありません。

(February 28, 2009)


Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「全洋画オンライン」は株式会社スティングレイの登録商標です。




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