[English] [Japanese Home] [Studio BE] [America Offline] [公民権運動] [英語の冒険] [Golf] [Hummingbird]



[Banner]



The Red Badge of Courage

『勇者の赤いバッヂ』

[Video]


・原題をクリックするとamazon.comのInternet Movie Databaseの詳細データが見られます。邦題をクリックすると「allcinema」のデータが見られます。

・Part 2は普段は隠れていて、クリックするとJavaScriptによるウィンドウにて表示されます。取り扱いには十分お気をつけ下さい。

公開:1951
監督:John Huston
地域:ヴァージニア州
出演:Audie Murphy、Bill Mauldin、Andy Devine、Arthur Hunnicuttほか
範疇:原作もの/ドラマ/南北戦争

私の評価 :☆☆1/2

【Part 1】

原作の短編小説'The Red Badge of Courage'『勇者の赤いバッジ』は、作家Stephen Crane(スティーヴン・クレイン)による南北戦争を描いたアメリカ文学の古典です。題名“勇者の赤いバッジ”とは“名誉の負傷”を指しています。原作では戦場は特定されていませんが、小説の続編で同じ主人公が「それはChancellorsville(チャンセラーズヴィル)だった」と述べているので、ヴァージニア州フレデリクスバーグ西方の戦場が主舞台であることが分っています。実際に従軍していた作者の兄に聞いたり多数の文献をもとにリアルな背景を設定し、そこにフィクショナルな人物群を投入した物語です。

1863年、南下する北軍New York 304連隊の新兵Audie Murphy(オーディ・マーフィ)は次第に近づく戦場の恐怖に怯えていた。戦友達には強がって見せていたが、道端に転がる戦死者を見ても足が竦んでしまう状態だった。

森を抜け、広大な野原に出ると、そこは戦場だった。Audie Murphyが属するNew York 304連隊は、比較的後方に陣を据えた。轟く大砲の音、炸裂音、硝煙のカーテン。突如、味方の先陣の兵士が逃げ帰って来る。将校が「臆病者め!戦列に戻れ!」と声を嗄らすが、兵士たちは逃走する。煙幕の蔭から南軍が現われる。北軍の一斉射撃により、南軍は後退する。ホッとしたのも束の間、南軍はインディアンのような奇声と共に怒涛のように押し寄せる。Audie Murphyはたまりかねて逃げ出す。上官を突き飛ばし、森の中をひた走る。

Audie Murphyは北軍傷病兵達が後方へ戻る行列に遭遇する。全員、脚や手を撃たれたり、頭に包帯を巻いている。Audie Murphyは自分も“勇者の赤いバッジ”が欲しかった。群れの中に顔見知りの戦友がいた。その兵士は列を離れて戦場が見える丘に登り、そこで息絶えた。Audie Murphyは自分の臆病さを恥じ、連隊に戻る決意をする…。

Audie Murphyは第二次大戦で27個も勲章を手にし、その中にはアメリカ最高の栄誉章Medal of Honorを含み、更にフランス、ベルギーからも勲章を貰ったという、アメリカ軍の歴史の中でも最高の英雄です。James Cagney(ジェイムズ・キャグニィ)の勧めで演技の勉強を始め、いくつかの映画に出演。この映画を企画した監督John Huston(ジョン・ヒューストン)は、MGM上層部の反対を押し切ってAudie Murphyを主役に抜擢しました。本物の英雄を臆病者として登場させ、次第に勇敢な兵士に変身させるという趣向が、なんとも曰く言い難い味わいを醸し出しています。

白黒撮影ですが、非常にシャープで締まりのいい画面で見応え十分です。後年のJohn Hustonはダラダラした構成が多くなりましたが、この映画は隙がありません。実際に膨大な群衆を使った戦闘シーンも素晴らしい。

(December 07, 2001)


Poster shown above is a courtesy of Nostalgia Factory.
なおIMDbはamazon.com、「allcinema」は株式会社スティングレイの登録商標です。




Copyright ©  2001-2011   高野英二  (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.