Golf Tips Vol. 23

メンタル障害の傾向と対策

'Golf's Mental Hazards'
by Alan Shapiro, Ph.D. (Simon and Schuster, 1996, $12.00)

心理学者Dr. Shapiro(シャピロ)の説は、「人間の性格」が日常生活の問題を作り出すようにゴルフでの惨事も引き起こすというもの。彼はゴルフをプレイする際に出現する障害を六つに分類しました。

[Hazards]

障害1:恐れることを恐れる
心配性で、ラウンド前から心配し通し、No.1ティーで脂汗を流し、大事な局面でビクつく。

障害2:冷静さを失う
堪え性が無く、うまくコトが運ばないとクラブを池に放り込んだりする。

障害3:気分の浮き沈みが激しい
情緒不安定で、喜びも憤慨も極端。翌日まで影響が残ったりする。

障害4:他人の目を慮(おもんぱか)る
自意識過剰で、劣等感、恥辱感が過剰。

障害5:全てをコントロールしたがる
分析的過ぎて、フィーリングのゴルフが出来ない。スウィングの前にフリーズしがち。

障害6:怠け者
厭きやすく、結果を追い求めるものの、練習をしたがらない。

自分がどれに当てはまるかのチェックですが、「クラブを放り投げたいと思うことがしばしばある」、「私は完璧主義だと思う」などというような文章が48個並んでいますので、「正しい」、「間違い」、「どちらとも云えない」というように答えを書いて行きます。その答えを横6×縦8に巧妙に配置された舛に引き写します。「正しい」は1点、「間違い」は3点、「どちらとも云えない」が2点。縦の列の合計点を出し、16〜24点を取った場合、立派な障害者であることが判明します。

私の場合ですが、「障害4:他人の目を慮る」が22点で重度、「障害5:全てをコントロールしたがる」が20点でこれも重度、「障害3:気分の浮き沈みが激しい」が17点でこれもまあ重度に近い。後は15点以下でした。「他人の目を慮る」がトップというのは予想外でしたが、間違いではありません。ゴルファーであれグリーンキーパーであれ、こちらを見てもいない通行人がいる場合でさえも、「ここで失敗はしたくない」、「出来れば上手いところを見せたい」てな気持ちになるからです。「全てをコントロールしたがる」のも事実。ゴルフ本を読み漁る異常な熱意からでも、それは分るでしょう:-)。「気分の浮き沈みが激しい」も当り。No.1で池ボチャだと、もうその日のやる気が失せてしまうぐらい。…ということで、この本の分析はかなり確かで、後はその対策に期待することになります。

【障害1:恐れることを恐れる】の対策

分析的タイプで、常に考えている。しばしば心配し、何でも理解しようとする。「呼吸の要諦」の深呼吸が必要。「自己催眠」によってリラックスする方法を身につける。

【障害2:冷静さを失う】の対策

このタイプのゴルファーは、日常でも常に何か(誰か)から脅かされていると思い込んでいる。'Three Rs'テクニックを使うのが良い。先ず、ストレス過大な状況を"Recognize"(認識)し、ヴィデオ・テープのようにストップ・モーションをかけ、深呼吸や全身の筋肉をリラックスさせてテンションを"Reduce"(低下)させる。最後に、元の状況に"Reenter"(再突入)するが、既に気分は落ち着いているので、カッカとした行動にはならない。

【障害3:気分の浮き沈みが激しい】の対策

オール・オア・ナッスィングのタイプ。日常でも常に何か(誰か)から脅かされていると思い込んでいる。自尊心が不足で、自分を攻撃しがち。「自己催眠」でポジティヴな思考に親しむこと。過去と未来のショットを忘れ、いま直面しているショットだけ考える。これはビジネスで成功する人のイデオロギーと同じである。

【障害4:他人の目を慮(おもんぱか)る】の対策

恥をベースにした考え方を止める。八歳の息子を初めてコースに連れて来たと仮定しよう。いくらあなたが厳しい性格でも、彼の貧弱なプレイを批判したりしないだろう。彼を懸命にサポートする筈だ。彼が結構長いパットを沈めようものなら、あなたは褒めちぎるのではないか?なぜ、自分自身に対しても同じ態度でサポート出来ないのか?

【障害5:全てをコントロールしたがる】の対策

真面目で研究熱心だが、分析し過ぎでフィーリングのゴルフが出来ない。流れるようなゴルフ・スウィングを追求するより、一個一個正しいがバラバラのスウィング・キイを繋ぎ合わせている。典型的な左脳派である。何か"trigger"(引き金)を設定し、考えるのを止めること。"trigger"は言葉でもいいし、フォワード・プレスのような動作でもいい。

【障害6:怠け者】の対策

数回のギター・レッスンでロック・スターになりたがる若者のようなタイプ。成功のためのハード・ワークというものを理解しない。「物を頼むなら忙しい人物に」という原則がある。金持ちがより金持ちになるように、生産的でキチンとしている忙しい人々はタイム・マネジメントがしっかりしていて責任感もあるので、ちゃんと頼まれたことを実行する。「怠け者」タイプは自分に嘘をつくタイプでもある。目標を紙に書き、自分を偽らず、出来るものから実行すること。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(June 13, 1999)


雷対策

「大金稼ぎプロの秘密」の筆者Jerry Heard(ジェリイ・ハード)は、Johnny Miller(ジョニイ・ミラー)などと共に将来を嘱望されていたプロでした。28歳の時のこと、あるトーナメントでLee Trevino(リー・トレヴィノ)と傘に入っていて一緒に雷に打たれました。その最終ラウンドには差し支えなかったものの、次第に身体の痛みに見舞われます。Trevinoの主治医の勧めで手術を決断しますが、薬物の事情により待機することになり、その後数年痛みを堪えながらプレイを続行。遂に手術に踏み切りましたが、もはやツァーのホットでクールな存在ではなくなり、結婚は破綻し、お金は底をつくという三重苦。その後はあるリゾートのゴルフ・ディレクターとして生活しているそうです。雷は一生を左右する災難となったわけです。

'Lightning Safety Tips'
by USGA (from 'The Rules of Golf 1998-1999, USGA, 1998)

【避けよ】

・開けた場所
・水
・金属
・金網、頭上のワイアー、電線
・孤立している樹木
・盛り上がった地面
・メンテナンス用工作機械
・カート

 雷が近い場合、ゴルフ・クラブや傘を頭上にかざすのは危険である。メタル・スパイクによる悪影響はない。

【探せ】

・避雷施設
・クラブハウス
・メンテナンス用施設
・コース内の建物
・自動車

 

 もし上のようなものが見当たらない時は、濃い茂みか窪地を探す。

(June 16, 1999、増補January 02, 2017)


ゴルフする心

スコットランドのSt. Andrews大学で教鞭を取ったこともあるというスポーツ心理学者Robert Brown(ロバート・ブラウン博士)が分析するゴルファーの傾向。

'The Golfing Mind'
by Robert Brown, Ph.D. (Lyons & Burford, Publishers, 1994, $22.95)

「どんなゴルファーもメンタルな基礎を知っている。"One shot at a time"(一打に専念する)ための自信と集中は、誰にとっても鍵である。不幸にして、我々は共通のネガティヴな基礎も持っている。怒りがスウィングをハードにするなどがそれだ。

不安は“早くミスしちゃおう”という方向へ我々を導く。ショットがあまりにも難しい場合(特にパットで)、我々は速いスウィングによって手っ取り早くコトを済ませ、不安を軽減しようとする。失望は不安よりも御し易いからだ。

視覚化の背後にある理論は、心がクラブを振る筋肉に信号を送るというアイデアに基づいている。心がスウィングの細部あるいは適切な感覚をイメージ出来るなら、同じメッセージが実際のスウィングの際に筋肉に送られる。肉体的練習でなくメンタルな練習だ。これが本当に実現することは科学的に実証されている。百聞は一見にしかずだが、一見(視覚化)することは実行に等しいのだ("Seeing is believing and believing is doing.")。

心と身体の実験として、あるリサーチャーが被験者に「これからあなたの指に軽くタッチしますよ」と注意を喚起した。実際には全くタッチしなかったのだが、指に関連する脳の無数の部分で血液の流量が増加した。タッチを予期することによって、被験者は脳の中にリアリティを創り出したのだ。

かなり早起きしなければならないことを考えつつベッドに入ったことがある筈。そして、目覚ましが鳴る一分か二分前に起きたことも。これは潜在意識の仕事である。心は、現在と来たるべき未来と双方において、リアリティを創り出す恐ろしいまでの力を持っている」

画像はvision54.comにリンクして表示させて頂いています。

(June 19, 1999、増補May 29, 2015)


瑞典式英才教育

'Swedish Scoring Secrets'
by Pia Nilsson ('Golf Magazine, November 1997)

[Pia]

瑞典(スウェーデン)のSwedish National Golf TeamはAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)、Liselotte Neumann(リセロッテ・ノイマン)、Helen Alfredsson(ヘレン・アルフレドソン)、Jesper Parnevik(ヤスパー・パーナヴィク)、Per-Ulrik Johansson(ペル・ウルリック・ヨハンソン)などの超一流プロを育てた組織です。Pia Nilsson(ピア・ニルソン)はそのチームのヘッド・コーチで、1998年のソルハイム・カップのキャプテンも勤めた人物。アリゾナ州立大にゴルフ留学し、卒業後プロとしてLPGAツァーに加わりましたが、伝統的トレーニングのあり方、チャンピオン達が名声とは裏腹にあまりハッピーでないこと等に疑問を抱き、ツァーを離れて帰国したところをスカウトされたのだそうです。彼女はスウィングを教えることはしません(メンバーは選抜される前から個々にコーチについている)。この組織が教えるのは、「いかにスコアを減らすか」とそれをサポートする心理学、栄養学、ヨガ、医学、哲学など50科目。

「'54 Vision'というのが私達の目標の一つ。どのホールもバーディで廻れば54になる。59が出せて54が出せないわけはない。

スコアを減らすのは、何といってもショート・ゲーム。一時間の半分は100ヤード以内のショットの練習に費やす。'Par-two scorecard'というものを開発した。100ヤード以内はワン・アプローチ、ワン・パットがパー。'54 Vision'への第一歩である。

過度の筋肉の緊張は大敵だ。胸ではなくお腹の底で呼吸するのが、劇的に緊張を緩める方法。プレッシャー下では長く深い呼吸をする。鼻唄を歌い、ゆっくり歩き、穏やかに自分に語りかけ、ホールではなく周りの景色を眺め、足元の感覚を感じ取る。

自分自身のコーチとして自分のプレイを客観的に分析しておき、プレイが危機に瀕した時に常に元に戻れるようにしておく。

実戦と同じ状態で練習する。パットやバンカー・ショットはホール・アウトまで一個のボールだけ使う。寄せは場所を変え、異なるクラブ、異なるライを練習する。チームのお気に入りは、10個所の異なる場所から10回連続で寄せワンを果たす練習だ。

パッティングでは銅貨を目標にし、ピッチでは開いた傘、フル・ショットでは練習場の木の幹や電柱を狙う。小さい的で練習しておけば、ホールやグリーン、フェアウェイを狙うのはいとも簡単になる。

半年間練習出来ない国のゴルファーとして、パッティングは不得手で当然と思われて来たが、冬はインドアで技術を磨き、他のシーズンはグリーンの読み方をマスターすることで、何らハンディキャップは無いという風に考え方を改めた。その結果、パットの名人達が育ちつつある。

二つのゴールが考えられる。一つは長期目標で、U.S. Openで優勝するとか、平均70台で廻るとかいう部類。短期目標はワンラウンド単位のもので、いいショットを呼ぶ引き金に焦点を合わせる。例えば、きびきびと胸を張って頭を上げて歩く時、私はいいプレイが出来るので、目標はどんなことが起ろうとそういう風に歩くといったこと。他の例としては、練習の習慣を変える、ラウンド中自分に語りかける方法を調整する…など。短期目標にはプレイの改良に無関係なものを設定する」

【おことわり】画像はhttps://www.iawaketechnologies.com/にリンクして表示させて頂いています。


(June 20, 1999)


スランプ

'Masterstroke'
by Harry Alder and Karl Morris (Judy Piatkus, 1996, $13.95)

「Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)は、彼が遭遇したいくつかのスランプは、一般的に彼が過度にテクニカルになり、スウィング・メカニックスを吸収しようとした時である事実を認める。分析は、完全なスウィングでなく、麻痺をもたらした(Analysis has created paralysis.)。工夫を重ね、ぎくしゃくした自意識過剰のスウィングは正しく機能しない。

Ian Woosnam(イアン・ウーズナム)は、心の目でピンに引き寄せられるボールを見、スウィングに実行させる。Ian Woosnamのトラブルは、彼が本能的スウィングを信じるよりメカニックスを過剰に吸収しようとした時に起った。

Ben Hogan(ベン・ホーガン)は、ある時点で彼がスウィングの基礎をマスターし、もう心配しないでいいことを悟った。以後、彼は初期の細心さを捨て、より自然にプレイした」

(June 24, 1999)


入射角・反射角

'Dave Pelz's Short Game Bible'
by Dave Pelz with James A. Frank (Broadway Books, 1999, $45.95)

「入射角、反射角」はビリヤードをやる人には必須の知識ですが、ゴルフでも重要な要素だとは知りませんでした。

[Bounce]

着地点が平らなら、ボールは入射角に等しい反射角でハネます(柔らかいグリーンで深いボール・マークが出来て止まる場合は別)。勿論、着地によってエネルギー(勢い)が削がれますから、角度は同じでもハネる巾は小さくなります。

Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)によれば、「22゜の上り斜面に着地したボールは垂直にハネ上がってしまうので、全く前進しない(手前に転がり落ちる)」そうです。彼は物理学を専攻し、NASAに長いこと勤務したほどなので、こうした解説は説得力があります。「斜面にピッチ・ショットするな」というのがDave Pelzの結論です。

「受けているグリーンはショートし易い」ということは経験則として知っていましたが、単純に上り坂によってブレーキがかかるだけでなく、高度な物理学的現象(?)が起っていたのですね。


(June 25, 1999)


Quantum Golf(クォンタム・ゴルフ)

これは素晴らしい本です。日本語版を見つけたら、是非お読みになることをお薦めします。著者Kjell Enhager(シェル・イエンハーガー、スウェーデン生まれ)は経済学を学び、経営、ビジネス、リーダーシップなどの講演者、コンサルタント、コーチとなった人ですが、スポーツ心理学の分野にも分け入っており、テニスのBjörn Borg(ビヨン・ボルグ)、ゴルフのNick Faldo(ニック・ファルド)などをサポートしたことがあるそうです。

[Quantum Golf]

'Quantum Golf'
by Kjell Enhager with Samantha Wallace (Warner Books, 1991, $9.99)

「瑞典式英才教育」で御紹介したスウェーデンのNational Golf Teamヘッド・コーチのPia Nilsson(ピア・ニルソン)は「'Quantum Golf'は我々の青写真である」と云い切っています。それほど示唆に富んだ本なのです。

この本は一種のおとぎ話であり、同時に画期的なレッスン書でもあります。自分のゴルフに愛想を尽かしていたニューヨークの実業家Mr. Smithが、アイオワ州に住むスウィング・コーチを訪ねます。そのコーチLinc St. Clair(リンク・セント・クレア)は年齢定かでない不思議な風貌。彼が提唱するのがQuantum Golf。通常のレッスン書やインストラクターが教えるのはグリップだのスタンスだの部分的メカニクスの集合でしかなく、それら全てを貫くものが欠けている。そういう古典的ゴルフを脱却し、Quantum Golfを習得すべし…と主張します。

"Quantum"とは、理学用語では「量子」(原子・電子・微粒子などの最小の単位量)、普通の形容詞では「画期的な、飛躍的な」という意味です。

「物理的状態には固体、液体、気体があるが、四つ目として"superfluid"(超液体)というものがある。液状ヘリウムを絶対零度に近い温度まで冷やすと、液状ヘリウムは驚くべき変化を遂げ、超液体となって巨視的な量子結合の状態に達する。言葉を変えれば、淀みなく流れる状態("frictionless flow")であり、これが量子界の特質である」当然、Mr. Smithには何のことやら解らないわけですが、「浴槽で滑る石鹸みたいなものですか?」と尋ねて、「そのイメージでもいいし、高級オイル、滑る氷、何でもよろしい」これを理解した上で、スムーズで"effortless"(努力しているように見えない)スウィングのレッスンに入ります。コーチは「当分の間、距離は望まないこと」をMr. Smithに約束させます。

【Qスウィング】

バックスウィングでゆっくり息を吸いながら"super"と云います。トップからダウンスウィングまでには明瞭な間(ま)を置きます。クラブを振り下ろしながら、"fluid"(フルイド)と云い、息を吐き切ります。このあいだ、「滑る石鹸」、「高級オイル」などのイメージを持続させます。マスター出来たら、後には言葉を口にしないで思い浮かべるだけでいいそうです。これをQスウィングと呼びます。

一週間後にMr. Smithはコーチと卒業ラウンドをしますが、そこでSt. Clairから「バックスウィングでのトップの間(ま)が、特に素晴らしい」と誉められます。St. Clairにとって、量子界のリズムの代表である振り子の運動も、両端で短い休息があるという見解なので、「トップの間」はQuantum Golfの重要な要素と云えます。

「クラブをダンスのパートナーと考えること。普通、パートナーを(固いグリップで)のど輪で締めたり、乱暴に振り回したりしない。"Superfluid"を考える場合、ダンスフロアを流れるように、優雅に、しかも目的を持ってパートナーをリードするような状態を思い描く」

ラウンドしながら、ワン・ショット毎にQスウィングが達成出来たらスコアカードにQ、古典的スウィングが出てしまったらClassicalの略でCと記入します。全ショット数で割ったパーセンテージを記録し、Qスウィングがどんどん増えるように努力します。

【Qポイント】

一番自信のあるクラブを振り、そのフィニッシュのポーズのまま深呼吸し、リラックスする。この状態をQポイントと呼びます。7番アイアンを手に、素振りの後Qポイントを数秒間続け、そのポジションを記憶する。ボールに向かい、フィニッシュのイメージが明確であることを確認したら、それを忘れ、superfluidスウィングを実行します(忘れるのはsuperfluidスウィングに専念するため)。

【Qヴィジョン】

視覚化のことですが、「必ず自分の通常飛距離の85%以下に目標を設定する。100%だと緊張してしまい、力まないsuperfluidスウィングが実行出来ない。バスケット・ボールでは、プレイヤーAからプレイヤーB(目標)へパスするのであって、プレイヤーAから“出来るだけ遠くにパス”ではない」

「パットでは自分がボールになったと想像し、五感をフルに使う。パットの前に、ラインを見て、感じ、味わい、匂いを嗅ぎ、コトンと落ちる音を聞く」

【-25%ドリル】

「ボールを三つ使う。7番か8番アイアンで最初はsuperfluidスウィングをする。次に、75ヤードを目標に、パワーを25%落として繊細なsuperfluidスウィングで打つ。最後に通常の1/3の距離を目標に、さらに25%落とした力でスウィングする。これを繰り返す。実際には力を抜いた方が飛距離が出る。これはスウィングへの信頼感を作り出し、"effortless"でsuperfluidなスウィングを確立する練習となる」

以上はドリルのいくつかを抜粋しただけで、お話としてはスコアを減らしたい一心で量子の世界などどうでもいいMr. Smithを納得させるため、St. Clairの含蓄に富んだ講釈が展開します。たとえば、"Find your own game"という一節。この本は1991年発行ですから、Taylor MadeのCMである"Find your game"はここからのイタダキのようです。「あなたの敵はあなたである。他のプレイヤーのプレイや、彼の思惑を推量して不安になったり、恐れたりするのは自分を傷つけるだけだ。自分の内的リズムを持続させるには、他人に関係無く自分のゲームをプレイしなければならない」

SuperfluidスウィングによってMr. Smithのボールは正確に真っ直ぐ飛ぶようになり、満足出来る飛距離をももたらし、そのリズムがパッティングにも役立ちます。Mr. Smithは五日目で80を切り、六日目をホール・イン・ワンで飾って特訓を終了します。めでたしめでたし。

私にとって、Ernie Els(アーニイ・エルス)やFred Couples(フレッド・カプルズ)のスムーズで"effortless"なスウィングは憧れなので、この'Quantum Golf'はとてもいい教科書になりそうです。

【おことわり】画像はhttp://ecx.images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。

(June 26, 1999)


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