インストラクターChuck Cook(チャック・クック)のこの本'Perfectly Balanced Golf'(完全にバランスのとれたゴルフ)の存在はずっと前から知っていましたが、あまりユニークそうでもないので無視していました。しかし、最近パワーゴルフを追求するようになり、「バランス」が不可欠であることを自覚したため、必読書の筆頭にセリ上がって来ました。
'Perfectly Balanced Golf'
by Chuck Cook with Roger Sciffman (Doubleday, 1997, $25.00)
「数年前、私は1,200人以上を対象に『ハンデの違いによるプレイの実態』を調査した。ゴルフの四つの局面に合わせたテストである。
1) ティー・ショット
妥当な回数フェアウェイにボールを放てるクラブを見極めるテスト。ドライヴァー、3番ウッド、5番ウッド、そしてその次に大きいクラブ(各人で異なる)で20発ずつ打って貰った。
2) グリーン方向へ運ぶショット(届かない距離)
地面から打てる最も大きいクラブで、妥当な回数フェアウェイをキープしたパーセンテージを記録した。ここでも3番ウッド、5番ウッド、そしてその次に大きいクラブ(各人で異なる)で20発ずつ打って貰った。
3) グリーンを捉えるショット
各人がグリーンに届かせられる最も遠い距離で、なおかつ50%以上の成功率が得られる距離を見定めるテスト。女性の場合は50ヤードから始めて20発打って貰い、同じことを75ヤード、100ヤード、125ヤード、150ヤードという風に実施した。男性の場合は75ヤードからスタートし、25ヤード刻みで後退して貰った。
4) ショート・ゲーム
全ての要素(ショート・パット、ロング・パット、チップ、ピッチ、バンカー・ショット)のテスト。
瞠目すべき結果が出た。ハンデ14以上で、ドライヴァー・ショットを50%フェアウェイに放てるゴルファーは皆無だった。つまり、ハンデ14以下でないならあなたはドライヴァーを使うべきではないということだ!ハンデ29以上で、ドライヴァーあるいは3番ウッドのテストに合格した人はいなかった。つまり、あなたのハンデが29以上なら、ティー・ショットには5番ウッドかそれ以下を使うべきだということだ!
私はこの驚くべき結果の理由を解明しようとした。距離=質量×速度である。だから、クラブヘッド・スピードが十分でない人は、クラブヘッドの重いクラブを使うべきなのだ。あなたが85mph(137km/h)のクラブヘッド・スピードの持ち主でないなら、あなたの3番ウッドはドライヴァーより飛ぶのである。フェアウェイ・ウッドの良さはまだある。ロフトの多いクラブはサイド・スピンをバック・スピンに変えるので、ロフトの少ないクラブより真っ直ぐ飛ぶ。大抵の人は3番ウッドか5番ウッドを使う方が、ドライヴァーより長く、ストレートに打てるわけだ。
グリーン方向へ運ぶショットのうち3番ウッドのテストに、ハンデ15以上の人で合格した人は皆無だった。ハンデ28以上で3番ウッドか5番ウッドに合格した人もいない。
グリーンを捉えるショットで、ハンデ8以上の人で150ヤードから50%乗せられる人はいなかった。ハンデ15以上で、125ヤードから50%成功した人はゼロだった。ハンデ30以上で、最低の距離(男性で75ヤード、女性で50ヤード)から50%乗せた人はいなかった。
【ハンディキャップ別作戦】
・ハンデ36以上のゴルファーは、5番ウッドより大きいクラブでティー・ショットすべきでない。次の地面からのショットであなたが使う最も大きいクラブは、5番アイアンだ。ホールから40ヤード以内になるまで、あなたはグリーンの安全な部分に向ってプレイする。グリーンをミスしたら、短いショットにはサンド・ウェッジだけを使い、グリーンと滑らかなグリーン周りではパターを使う。
・ハンデ15〜35のゴルファーは、ティーからは3番ウッドより大きいクラブを使ってはいけない。地面からは5番ウッドが最も大きいクラブである。ハンデ15〜20の女性と全ての男性はグリーンから100ヤード以内、ハンデ21以上の女性はグリーンから50ヤード以内に近づくまで、グリーンの安全なサイドへボールを運ぶ。
・トーナメント・プレイヤーのためには次の作戦がある。これはあるLPGAプロが使って劇的にスコアを縮めたtipだ。7番アイアン〜パターには緑色のマークをつける。5番と6番アイアンは黄色、4番アイアンからドライヴァーまでは赤。もし、緑色のクラブを持っている場合は、ピンがどこにあろうとピンを狙う。黄色のクラブを手にしていたら、失敗した場合にOB、池、ひどいライなどのトラブルが待っていない場合に限りピンを狙う。赤いクラブであれば、安全な方向だけを考える。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(February 01, 2001)
'Our Friend, Mr. Hogan'
by Bruce Selcraig ('Golf Digest,' October 1997)
Ben Hogan(ベン・ホーガン)はテキサス州Fort Worth(フォートワース)にあるShady Oaks(シェイディ・オークス) C.C. で、日々練習と昼食をするのが日課でした。クラブハウスの窓際にある円テーブルが彼の定席で、サーヴするのもCharles Hudson(チャールズ・ハドスン)という黒人ウェイターと決っていました。そのウェイターの談話:
「ある日、クラブハウスにいた私にMr. Hogan(ホーガンさん)の奥さんから電話があって、町の洋服屋へMr. Hoganを連れてってくれという話でした。私は車でMr. Hoganをお連れし、洋服選びが終わるのを待っていました。終わったところで、Mr. Hoganは洋服屋に私のも誂えると云い、私に無理やり選ばせました。本当に嬉しかった。茶色のダブルを作って貰ったんですが、今でも私の一番高価な洋服になっています」
私の友人のMike(マイク)が話してくれたヴァージョンは一寸違います。出所不明なので、どこまで信用していいかは判りません。
「黒人ウェイターの親しい友人が亡くなった。しかし、そのウェイターは葬式に着て行く洋服が無くて途方に暮れていた。それを聞いたBen Hoganは、ある日の昼食時に『時間内に戻るから』と云ってウェイターを町へ連れ出した。行った先は洋服屋で、何とHoganは五着もウェイターの洋服を注文した。洋服選びが終わったところでHoganはウェイターに聞いた。『どれが一番好きだね?』ウェイターは『どれも好きです、Mr. Hogan(ホーガンさん)』『しかし、中でも好きなのがある筈だ。云ってみなさい』『へい。この服はとりわけ好きです』『よし。私の葬式にはそれを着るんだ。いいね?』
(February 07, 2001)
'Focused for Golf'
by Wayne Glad, PhD and Chip Beck (Human Kinetics, 1999, $16.95)
もう呼吸については出尽くしていたと思っていましたが、まだありました。
「普通の胸を脹らまして息を吸う呼吸法は、心拍と血圧を高め、筋肉を緊張させ、アドレナリンを噴出し、“逃げるか闘うか”という恐竜時代に培われた反応を導き出す。これは一時的に一寸逞しくなった感じをもたらす。
あなたが、ティー・ショットやフェアウェイからのロング・ゲームの際、昂ぶった状態にある方がいい結果が出るタイプならば、通常の胸による呼吸でやる気を漲らせた方がいい。しかし、そういうタイプであると否とを問わず、チッピングやウェッジ、パッティングなどのショート・ゲームには深い腹式呼吸が有効である。
腹式呼吸はテンションを柔らげる。腹式呼吸をマスターするには、横になるか椅子に腰掛け、片手をお腹に置き、もう一方の手を胸に置く。お腹を脹らまして息を吸い(この動きはお腹に置いた手を押し上げる。胸および胸に置いた手は動かない)、同様に胸と胸に置いた手を動かさずにお腹で息を吐く。
腹式呼吸は自然な動きではないので、最初はぎごちない感じがする。これは実際には幼児、小児の呼吸法である」
(February 11, 2001)
スポーツ心理学者三人によるいいプレイ、いいラウンドの記憶法。
'Golf: The Mind-Body Connection'
by Tom Saunders, M.D. (Mind-Body Golf Limited, 1996, $39.95)
「いいショットが続いた時は、小休止してメンタル、フィジカル両面のイメージをおさらいする。自信、リラクセーション、信頼の"anchor"(錨)を作り出すことが出来る。特に、いいショットのテンポに焦点を合わせるのに時間をかける」
ここで"anchor"(錨)というのは、脳というハード・ディスクにファイル(いいショットのイメージ)をバックアップ保存することです。
「他の感覚も総動員すること。ボールの背後のクラブヘッドの位置や、スウィート・スポットでヒットされたボールの音など。"Anchor"は意識的なアクションだが、潜在意識の領域で機能する。"Anchor"がどう機能するか考える必要は無い。ただやるだけだ」
'Mind Under Par'
by by David F. Wright, Ph. D (Behavior Change Media, 1997, $15.96)
「Andrew Maggee(アンドルー・マギー)はこう云う、『練習に最適のタイミングは、あなたがいいボールを打っている時だ。スウィングを分析してはいけない。練習でそのベスト・スウィングがどんな感じかを記憶係に引き継ぐ。もしとてもいいプレイが出来た場合は、ラウンド後に練習する。これをいいスウィングのフィーリングを“預金”すると呼んでいる』
'The Golfing Mind'
by Robert Brown, Ph.D. (Lyons & Burford, Publishers, 1994, $22.95)
「多くのメンタル関連の本はあなたの最高の日、最高のプレイを思い起こすテクニックを紹介する。あなたの持つ最高の能力を発揮するための正しいメンタルな状態に導くための助けとしてである。全ての感覚を使って、完璧なショットのディテールを呼び起こすことが推奨される。それが心に焦点を合わせ、疑念を取り除き、現在が過去の成功の直前と何ら変わらないことに気付かせる。このテクニックはとても効果がある」
事実、最初のTom Saunders, M.D.(トム・ソーンダース博士)の'Golf: The Mind-Body Connection'のCDでは目を閉じてヴィデオ・ルームを思い描き、そこに投影される自分のベスト・ショットをイメージします。最初はTV中継のように正面から自分を見た客観的映像、次いで自分自身がスウィングする映像の二種類。その日の天候、気温、周囲の人物、芝生の匂い、自分の感覚、満足感、感動など、五感で得られる全てを記憶すると、ベスト・ショットのディテールを記憶する助けとなります。正確にバックアップ保存されれば、後々までクラブヘッドの動きや筋肉の動きも克明に再現出来るわけです。
【おことわり】画像はhttps://www.stellarinfo.com/にリンクして表示させて頂いています。
(February 13, 2001、増補Mar 30, 2015)
'The Complete Golfer'
by Tom Dorsel, Ph,D. (Allyn and Bacon, 1996, $19.00)
この本で紹介されている心理学者Dr. Peter Cranford(ピーター・クランフォード博士)の九戒です。 (1) 異なるスポーツをあれこれ齧るなかれ。 |
解説:
1. 「広く浅く」でどれも上達しないだろうから。
2. たまには勝たないと自信に繋がらない。
3. 緊張して通常のプレイが出来ないのは失敗への近道。
4. ゴルフに専念出来ないのでは、全てを悪くする。
5. しばらく中断して、レッスンを受けるか他のことをやりなさい。
6. Ben Hogan(ベン・ホーガン)は新しい技の習得に数カ月かけたものだ。
7. ハンデを上げるにしろ貰うにしろ、困難な状況に陥るだけ。
8. 賭けという動機づけによって方向転換させようとする試みだが、賭けは方向転換に一役買ったりしない。いま辿っている下降線を増幅するだけである。既にお金を失っているなら、更に失うのは馬鹿げている。
9. ショート・パットが恐ろしくなって打てなくなる。
(February 16, 2001)
'Extraordinary Golf'
by Fred Shoemaker with Pete Shoemaker (Perigee Book, 1996, $12.95)
"Extraordinary"は1) 異常な、異例の、奇妙な、変な、風変わりな、2) 並外れた、非凡な、驚くべき、意外な、すばらしい(『リーダーズ英和』第二版による)というような意味です。多分「驚くべき」、「すばらしい」あたりが合っているのでしょうが、著者は「これ迄のゴルファーの常識的姿勢を脱却せよ」と口を酸っぱくして説いています。そういう観点では、「非凡な」や「異例の」という意味も含まれています。私としては皆さんに読んで貰うための“普通じゃない”題名が必要なので、若干私流の味付けで「普通じゃないゴルフ」にしました。別項の「クラブ投擲レッスン」なんて、そのものずばり、普通じゃないですよね。
筆者Fred Shoemaker(フレッド・シューメイカー)はゴルフ・スクールを経営しているティーチング・プロですが、虚心に自分を見つめる目、物事の真実を捉える確かな目を持っていて、それを「よりゴルフを楽しく味わう方法」へと繋げようとします。示唆に富んだ本の筆頭に上げられるでしょう。 彼のゴルフ・セミナーに参加する人は、必ずアンケートを書かされます。「なぜ、上達したいのか?」ほぼインターナショナルと云っていい最大公約数の答えは「上達すれば、よりゴルフが楽しくプレイ出来るだろうから」というもの。Fred Shoemakerは「これは大きな間違いだ」と喝破します。「飛距離が増えれば、もっと飛距離を伸ばしたくなり、スコアが縮めばもっと縮めたくなる。“ゴルフが楽しくプレイ出来る日”は永遠にやって来ない」 「あなたのホーム・コースのNo.1で、初対面の三人と顔合わせしたとしよう。典型的な会話は『ここ数週間廻ってないんで、スウィングが錆び付いてますワ』、『グリップを変えたんですが、まだ落ち着かなくてねえ』、『腰が痛むんで、目一杯振れない状態でして』てなところが定番。その心は『お願い、あまり買いかぶらないで。上手いと思われてドジると落ち込むから』というもの。これは“普通の”メソッドである。“普通じゃない”メソッドは『最初のホールではいつもビクビクしちゃってねえ。フリーなスウィングをするように専念して、心配しないように心掛けてるんです。うまく行くように応援して下さいよ』と話すことだ。これは奇妙でも何でもない。それがいい会話と楽しいラウンドへの導入部となるかも知れない。我々は誰しも最初のホールを恐れているからだ。 あるトーナメント開始を前に私は不安を感じていた。そこで自分自身に三つの質問をした。(1)「起り得る最悪の事態は何か?」85を叩いて、ホーム・タウンの人々に合わせる顔が無くなる。彼等は私をコキ下ろすだろう。誰も私のゴルフ理論に耳を貸さなくなる。これは最悪だ。しかし、この最悪の事態はいつまで続くだろう?せいぜい、二週間ではないか?二週間?これは最悪とは云えない。(2)「最良の事態は何か?」66で廻って新聞に載ること。人々は誉めそやしてくれるだろう。しかし、どの位の期間?そう長くはないだろう。皆、すぐ忘れてしまうに違いない。結局、最悪も最良も、どれも大したことはないのだ。(3)「本当は何が望みなのか?」考え込んでしまった。結論は、一度でいいから恐怖を感じないでプレイしたいというものだった。私は、周りの状況、人々の噂、新聞記事…こういったものを心配することを止め、自然体でプレイすることにした。何が起っても受け入れた。恐怖感無しにプレイし、この日は69で廻ることが出来た。 |
結果を追求するゴルフ、例えばあるスコアを目標にするようなことは、達成出来るまでに時間がかかるし、あなた以外の周りの状況に左右されることなので、いいこだわりとは云えない。
我々は常に何らかのこだわりを持っている。有意義なこだわりを作り出す第一歩は、現在のこだわり、特に隠されたこだわりを認識することだ。他人に誉められたい、格好いいところを見せたい、恥ずかしい思いをしたくない、自分は間違っていないと思いたい、果ては、他人を制圧したい等々。こうした“普通の”こだわりは“普通の”結果しかもたらさない。“普通じゃないゴルフ”には“普通じゃない”こだわりが必要だ。大抵のゴルファーは、一打毎に自分が自分であることを証明しなくてはならないように感じている。これは莫大なエネルギーと注意力を必要とし、そのため自分の本当のスウィングを認識することを難しくしている。
練習場で一篭のボールを打つとする。“普通のゴルフ”は一球毎に『うん、これはいい』、『あ、何かおかしい』、『うむむ、すぐ直さなくちゃ』…となる筈だ。“すぐ直す症候群”である。“普通じゃない”ゴルフだと、『私のゴルフ・スウィングに何か変化が起きている。それを見極めなくては』となる。見極める最良の方法は、直さないことだ。安定したスウィングを望むなら、直してはいけない。絶え間なく何かを直していたのでは、いつまで経っても安定した状態には到達出来ない。スウィング・キーも無く、修正もしないで打つ。左へ行ったとしても、それを右へ戻そうとしてはいけない。単に、もう一度打つ。評価しない。判定しない。半狂乱にならずに30分練習出来たら、おめでとう!あなたは“普通じゃない”ゴルフの世界に入ったのです。
スウィング・キイというものは日々変わらざるを得ず、全く定着しない。唯一頼りになるのは、あなたが本能的に、そして自然に行なうことだけだ」
(February 19, 2001)
集中するキッカケとして、何か小さなアクションを起すのが効果的であることについては、これまで既にいくつものtipsを紹介して来ました。今回のDr. Deborah Graham(デボラ・グレアム博士)のヒントはテープを買う必要もなく、催眠による準備も要りません。
'The Eight Traits of Champion Golfers'
by Dr. Deborah Graham and Jon Stabler (Simon & Schuster, 1999, $25.00)
「集中のためのキュー(サイン)としてFred Couples(フレッド・カプルズ)はシャツの袖を軽く引っ張り上げる。Paul Azinger(ポール・エイジンガー)は風など無くても草を摘んで放り上げる。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は深呼吸する。Lee Janzenなど多くの名人たちは、単にボールに近づくとかヤーデージ・ブックを開くことをキューとしてメンタルな焦点をせばめる。集中することが難しいプレイヤーは、もっとユニークで明確な引き金を使う。ある悩めるプレイヤーは、次のような方法で集中することに成功した。彼は手首に輪ゴムをはめ、プレショット・ルーティーンを輪ゴムをパチンと弾くことで開始したのだ」
やってみました。輪ゴムを使う方法は、鋭い痛みがあるため確かに他の例より明確です。眠っていた精神状態もシャッキリします。欠点は手袋をしていると、輪ゴムを探してモゾモゾしなければならないことだけ。注意しなければいけないのは、同じ位置で輪ゴムをパチンパチンやっていると、次第に皮膚が赤くなって来ること。腫れ上がる恐れもあります:-)。
(February 21, 2001)
スポーツ心理学者Dr. Tom Dorsel(トム・ドーセル博士)の、初めてのコースでプレイする時の心構え。
'The Complete Golfer'
by Tom Dorsel, Ph.D. (Allyn and Bacon, 1996, $19.00)
「初めてのコースへ行くと、『これは不可能だ!』と思えるようなホールにぶつかる。しかし、実際にはあなたのホーム・コースの最も難しいホールと似たようなものの筈である。
ヤーデージを調べれば、あなたのコースの一番長いホールと同じかも知れない。単にフェードを打てば簡単に攻略出来る、お馴染のコースのNo.3と同じかも知れない。あるいは、グリーン傍の池の手前に刻めば大きい数字を回避出来る、ホーム・コースのNo.15そっくりなのだ。新しいことは何も無い。この新しい怪物は、長年にわたって飼い慣らした古い怪物と同じなのだ。
初めてのコースでは視覚的トリックに引っ掛かり易い。一例だが、旗竿の長さがあなたのコースのものより短ければ、現実の距離より長く見える。グリーン手前にいくつものハザードがある場合、実際の距離より近く見える。障害物は見える状態よりも、プレイの邪魔になったり逆だったりする。これらの視覚的歪みのため、正確な距離を推定するのは致命的なものとなる。
生涯最高のスコアを望んでティー・アップしないこと。勿論ベストは尽くすべきだが、非現実的な期待で新しい挑戦、美しい景色、一生に一度のラウンドの思い出…等の楽しみを台無しにしないように」
(March 12, 2001、増補May 30, 2015)
ドイツにお住まいの明美・ハインリッヒさんから、“ゴルフの免許制度”という珍しい話題をお寄せ頂きました。明美さんは、数年前に「クラブ投擲レッスン」を既に御経験済みだったそうで、先生と一緒に「クラブ投げ」に取り組まれたリポートも頂いています(後日掲載)。お楽しみに。
こちらドイツでゴルフを始めた人が、晴れてコースデビューを果たすまでの道のりをお話したいと思います。ドイツでは年々ゴルフ人口が増えているとはいえ、サッカーやテニスなどに比べて、ゴルフはまだまだマイナーなスポーツです。パブリックコースもいくつかはあるかとは思いますが、一般的ではありません。
さて、“ゴルフとやらをしてみたい”という人はたいてい休暇地(スペイン、ポルトガル、オーストリアなど)または地元のゴルフ場で“体験コース”を受講します。この体験コースのゴールはプラッツライフ(Platzreif)を取ることです。運転免許が無いと道路を走れないように、このプラッツライフが無いと本コースに出てプレーすることは出来ません。
初心者は先生について、まずドライビング・レンジで基礎的なことを習います。そして少しボールが飛ぶようになると、ショートコースに出て、ルールやエチケットを学びます。そして最後はテストです。先生と一緒にショートコースを廻り、規定以内の打数で上がれれば、プラッツライフを貰えるわけです。つまり本コースに出ても周りの人に迷惑をかけないだろうというレベルに達したという証明のようなものです。 もうどこかのクラブに属している場合は事務局で、“誰それはプラッツライフをとった”という報告だけでしょうが、休暇先などでこれを達成すると日本の賞状のような認定書をくれるようです。
時間とやる気のある人は二、三ヶ月ぐらいでここまで行くようですが、私は当時子供が小さく家を空けることもなかなか出来ませんでしたので、最初の体験コースをしてから、テストを受けるまで、一年かかりました。
ショートコースの無いゴルフ場はどうしているかは知りません。ちなみに私がメンバーになっているGolfclub Holledauのショートコースは全てパー3、計9ホールで、50メートルから200メートルあります(ドイツはメーター表示です)。96年当時ダボ・ペースの45打以内で廻らないとプラッツライフは貰えませんでした。最近になってこのプラッツライフはハンデ54にあたると決められたようです。
さあ、これで晴れて本コースに行ってプレーが出来ます。他のゴルフ場にも行けます。ゴルフ場によってはビジターは メンバーの同伴のみ、しかも最低ハンデ34でなければならない、なんていうところもあるようですが、普通はこのプラッツライフが条件になっています。
以下は私の“免許取得後”の歴史です。
・1996年
プラッツライフ試験にやっと合格(ハンデ54)。
これで本コースでプレーできるとよろこんだのも束の間、アメリカのサンタ・クルーズへ行く事に。きゃー、ぺブル・ビーチが近くではないの…と喜ぶ私。
サンタ・クルーズでは沢山ゴルフコースは見ましたが、自分でプレーする余裕はあまりありませんでした。Fred Shoemaker著'Extraordinary Golf'(邦題『奇跡のスイング あなたの“本能”を目覚めさせる!!』)に出会う。
・1997年
8月下旬ドイツに戻る。ごたごたしているうちに11月シーズンが終わってしまう。確か秋頃先生にクラブ投げの相談をし、古アイアンを用意して貰う。
・1998年
シーズン終了時(11月)ハンデ26。
・1999年
ハンデ26→18。
・2000年
ハンデ18→15。スローピング・システムが導入されメンバーになっているコースが、男性124、女性130とドイツ平均の113より難しいことが判明。それによりオフィシャル・ハンデ15(14.9)になる。
2001年はまだシーズン始まっていません。
ハンデは月例やその他、クラブ主催の試合で出した結果しか考慮されません。ですからプライベートで例えば80!!なんてスコアが出てもクラブの記録には残らないのです。
調子のいい日に当たるようにある程度頻繁に試合に出るのも大事です。 4月から11月までのシーズン中、水曜午後、金曜午後、たいていの土曜日、月に一度日曜日に月例と試合はあるのですが、私の出られるのは月例だけです。この月一度のチャンスにいいスコアを出さないといけないので、本当は月にあと二回ぐらいチャンスが欲しいところです。
ドイツはゴルフのシーズンが短いのと、私自身に成績を残す機会が少ないのとを考慮しますと、結構短期間でハンデ15までたどりついたような気がしますが、他の方には遅い上達に思えるかもしれません。
【おことわり】画像はhttp://cdn.gdol.comにリンクして表示させて頂いています。
(March 14, 2001、改訂January 03, 2017)
'The Women's Guide to Golf'
by Kellie Stenzel Garvin (St. Martin's Press, 2000, $24.95)
「優秀なティーチング・プロでさえ、生徒のスウィングを直す前に10〜15分はかける。それなのにどうして教え魔の皆さんは、たった二回のスウィングを見ただけで人のスウィングを直せるのか?こういう人には近づかないことだ。
教え魔が近づいて来たら、あなたはプロのレッスンを受けていて、それに集中していることを伝えなさい。次のような名刺サイズの紙を用意しておくのもいいテである。【編者註】これは女性向けの本であることに注意。
この女性にスウィングに関する助言を与えたい欲求を堪(こら)えて下さい。彼女は現在私の生徒としてレッスンを受けています。彼女を混乱させないで下さい。御協力に感謝いたします。
Kellie Stenzel Garvin
PGA and LPGA Professional
(March 14, 2001)
裏の空き地は私のピッチング練習場です。ターゲットとして使っている玩具の風車は、“デッド・エイム”としてはいいのですが、いかにも的としては小さい。地面も凸凹していて、バウンスが大きい。
「芝を植えたらどうか?」という案が閃きました。直径2mほどの“グリーン”を作れば、芝がふんわりとボールを受け止めてくれるかも知れない。園芸大好き人間のカミさんも賛成し、三つほどのグリーン予定地を耕作しました。種の専門店へ行き、1月初旬でしたので「冬場に蒔く芝の種」と注文し、'Titen'(タイトゥン)というものを購入しました。肥料も与え、水も撒きました。しかし、二週間経っても何も出て来ません。
ゴルフ場のチーフ・グリーンズキーパーに質問し、彼から'Golf Course Rye'(ゴルフコース・ライ)という品種を推薦されました。あいにく、大きい袋しか売ってなくて、5年分ぐらいの量がありますが、仕方なく購入。祈るような思いで待っていましたが、これも発芽しません。「みんなに騙されたのか、地質が悪いのか、何が原因だ?」と疑心暗鬼になっていました。ある日カミさんが「見た?出て来たわよ!」と云うので飛んで行くと、チラホラと赤ん坊の頭の毛みたいに緑色の芽が出ていました。
実際に生え揃ったのはそれから二、三週間後で、こういう企ては気長にやらないといけないということが分りました。写真は今日撮ったもので、10ヤードと30ヤードの“グリーン”が写っています(一度芝刈り済み)。画面外に、もう一つ20ヤードの“グリーン”もあります。“グリーン”は着地点であって、到達すべき目標ではありません。外から転がって“グリーン”に届いても失格です。旗が“グリーン”の外にあるのは、「その手前のグリーンで止めよ」という意味です。
暑くなるとライ・グラスは枯れるので、バミューダ・グラスにしなければならないそうです。芝刈り、季節毎の種蒔き…と、グリーンズキーパーとは忙しいもんですね。
(March 17, 2001)
明美・ハインリッヒさんのお便り第二弾です。今回はこの一月に御紹介した「クラブ投擲レッスン」を、既に1997年から実践なさっていたというリポートです。
96年に夫の仕事の関係でカリフォルニア州のサンタ・クルーズに滞在しておりました。当時私はゴルフ初心者で周りの人がゴルフ上達にいいというものはなんでも試したい気持ちで一杯のときでした。あるゴルフショップで Fred Shoemakerの本'Extraordinary Golf'(邦題『奇跡のスイング あなたの“本能”を目覚めさせる!!』)を薦められ、すぐに私の一番のお気に入りの本となりました(その後何冊もゴルフ関係の本を読みましたが、いまだにこの本が一番好きです)。彼の本拠地は、サンタ・クルーズからたった1時間しか離れていないカーメル・ヴァリーと知りました。しかし、レッスンは三日間で1,000ドルなるいい料金で、しかも子供も小さかったので、諦めるしかありませんでした。
クラブ投げはアメリカでは実現しませんでしたが、97年にドイツに戻ってすぐに、私のついているスコットランド人の先生に本をみせて、クラブ投げをしてみたいと頼みました。
先生も快く引き受けてくれ、何度かドライビング・レンジでクラブ投げをしました。自宅の前の空き地でも何度かしましたが、近所の人は何をしてるんだろうと疑問に思ったに違いありません。夫からも変な目で見られたのは言うまでもありません。私の先生は他の生徒にもクラブ投げをさせているようですが、空いている時間でないといけないのと、やはり人目が気になるのとで、自主的にしている人を見かけたことはまだありません。
私としては《80を切りたい》(自己最高は81が二回です)、《タイトリストのアイアンを使いこなせるようになりたい》(先生から「あれはシングルになってから!」と言われています)、《クラブチャンピオンになりたい》(2位、3位は既に獲得)…などの目標がありますが、どれも現在自分のビデオで見る醜いスウィングでは達成出来そうもありません。クラブ投げが私に奇跡をもたらしてくれることを祈って、折りにふれ続けています。
以下は私が実践しているクラブ投げの詳細です。
【道具】
古いアイアン: 何番でもいいですがグリップが古くなってツルツルのは不可。
私は自宅での練習用に先生から5本譲ってもらいました。この料金は取られませんでしたが、シャフトが折れたり、グリップを交換する時にはちゃんと払います。ゴルフ場でのレッスン用に先生は15本程用意してあります。
【場所】
1) ドライビングレンジ: 周りに人がいない時にしか出来ませんがこの誰もいない時間というのは中々ありません。早朝だと芝が濡れていて一度投げたグラブは泥まみれか、グリップが濡れて次に投げた時すっぽ抜ける結果になります。
2) 自宅: 私は南ドイツの田舎に住んでいます。周りは畑や森です。数年前に夫が羊を飼うと言い出して、自宅の前の農地一部を借りています。30×40mの土地に囲いをしてあります。夫の羊熱は二年で冷めましたので、今はこの土地は私のクラブ投げ専用練習場と化しました。
【方法】
目標を決めその方向にスクウェアに立ちクラブを投げます。自宅でする時は5本投げ終わった時点でクラブの回収をしますので、これを1セットとすると3〜4セットぐらいで飽きてきます。時間的にはこれで15分ぐらいでしょうか。97年秋と98年春には週三回位投げていました。最近は思い出した時だけです。昨日久しぶりにしてみたら、4本は真直ぐ飛びましたが、1本は左後方に飛んで行きました。
私の投げるクラブはポワーンとしか飛びません。今思えば、先生の投げるクラブはヒュルヒュルとプロペラのように旋回していました。だから彼の打つ球はドローになるのでしょうか?
【感想】
クラブを放り投げた時の解放感、そして真直ぐに飛んで行くクラブを見るのは非常にいい気持ちです。「クラブ投げるって気分いいですね」と先生に言ったら、「君は子供の時複雑な家庭に育ったのか?それとも今欲求不満なのか?」と言い返されました。ひどいー。
出来れば手軽に頻繁にしたいのですが難点が幾つかあります。
1) 先程書いた通り、下が濡れていると一回目はいいのですが、二回目にはすっぽ抜けることが多いです。ですから雨や雪の中、それに早朝は不向きです。30本ぐらい連続投げなんてしてみたいです。
2) シャフトはスチールでも簡単に曲がったり折れたりしてしまいます。特に初めは狙ったほうに飛ばず、木や囲いに当たって3、4本クラブをダメにしました。「また折っちゃったのよー。直してねー」と先生に折れたクラブを差し出すのは恥ずかしいです。
3) 夏には草の伸びるのが早いので自宅前の土地はマメに草刈が必要です。夫は花粉症を理由に、おととしと去年は草刈せずに放置しておいたので私はクラブ投げが出来ませんでした。膝まである草の中に投げ込んだらクラブを見つけるのに一苦労です。だったら自分で草刈すれば?と言われるかも知れませんが、1,200平方メートルです。そんな時間があったらゴルフ場に行ってプレーしたいです。
それに、夫はこの土地の草刈をする為に張り切って、座ったまま草刈の出来るトラクタータイプを買いました。密かに自慢にしている持ち物なので私に触れられたくないに違い在りません(と、勝手に思う私)。
【結論】
奇跡はまだ起きていません。でも狙った所に最高45mの距離からクラブをある程度真直ぐに投げる事は出来ます。と言う事は、私の中に既に良いショットを打てる能力が潜んでいる訳です。将来に大きな希望を持つことが出来るではありませんか。(ちょっと楽観すぎでしょうか?)
【蛇足】
もう既にご存知かもしれませんが、金井多一郎さんの本『ゴルフはスナップだ』及び『シングルの法則』(共に双葉社)の中にもクラブ投げの話が出て来ます。ここではクラブを真直ぐに投げられるのは、右手のスナップが正しく使えている証拠だと書いてあります。
(March 20, 2001、改訂January 06, 2019)
'Fore Play'
Edited by Michelle Urry (Playboy Enterprises, Inc., 1995, $9.95)
書名の"fore"は御存知の「危ないぞ!」ですが、"fore play"と二語になると「前戯」になります。Playboyの出版物らしいセクシーな駄洒落です。内容はジョークばかりではなく、色刷りカートゥーン、短編小説、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)インタヴューなど多彩で、1995年までに雑誌に掲載されたゴルフ関連記事総集編という趣です。
二人のゴルファーが、「ボールをあるがままの状態でプレイする」という取り決めでマッチ・プレイを開始した。イーヴンのまま、6ホール目に入った。最初のプレイヤーは200ヤードのショットをフェアウェイど真ん中に放った。二番目のプレイヤーはシャンクし、ボールは木立を越えてアスファルトのカート道路の上へと転がった。
カートの上での二人の会話。ミスした男は「カート道路だから無罰の救済が得られる」と云い、他方は「飛んでもない!あるがままプレイする約束だ」とがなり立てた。
ミスした男は何も云わず、友人をフェアウェイのボール脇に下ろすと、カート道路へと向った。カート道路上での素振りで火花が飛び散るのを見て、最初のゴルファーは笑い転げた。しかし、二回目の火花によってボールが木立を越え、グリーンに向い、ピンから3フィートのところへ止まるのを見て、笑いは凍りついた。
「凄いショットだ。どのクラブを使ったんだ?」と、彼は叫んだ。
「あんたの6番アイアンだ」
有名なビジネスマンが脅迫状を受け取った。「奥さんの命を助けたかったら、$50,000持ってゴルフコースの17番グリーンに10時カッキリにやって来い」と書かれていた。
ビジネスマンは昼頃になって、やっと17番グリーンにやって来た。覆面男が薮から現われ、「一体全体何でこう手間取ったんだ。二時間も遅刻だぞ!」と怒鳴った。
「勘弁してくれ」と旦那が懇願した。「私はハンデ27なんだよ」
そのゴルファーは自信たっぷりに次のホールを見やると、キャディにこう云った、「いいロング・ドライヴと1パットで十分だ」
しかしながら、彼のスウィングは大ダフりでたった数フィートボールを進めただけだった。
「さて」とキャディは云った、「次は相当なパットですな」
(March 23, 2001)
'Golf's Mental Hazards'
by Alan Shapiro, Ph.D. (Simon & Schuster, 1996, $12.00)
「かのJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)でさえ4時間から5時間のラウンドの間じゅう集中することは不可能だった。効果的な集中をするには、電気のスウィッチのようにON、OFFすることを学ぶことが第一だ。Nicklausは『集中の頂上からリラクセーションの谷間に移動する』と表現している。私(Dr. Shapiro)の問題点は、時々その“谷間”で道に迷ってしまうことだ。
Dr. Fran Pirozzolo(フラン・ピロッツォーロ)は集中することを次のように定義している:『注意力を狭める』。これはプロであればターゲットに意識を定着させることであるが、ハイ・ハンデのゴルファーだとスウィング動作やボールをひっぱたくこと、あるいは彼が避けたいと思いつつそこへ打ってしまう茂みやバンカーに焦点を合わせることである。Dr. Pirozzoloが示唆する方法は『先ずアーチェリイ(弓道)の的を数フィート先に想像し、ボールがその中心をブチ抜く様を思い描きながら、数秒間それに集中する』というものである」
(March 23, 2001)
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