Golf Tips Vol. 209

チッピングとピッチングの違い

 

アメリカの'Golf Magazine'誌が過去に出版したショートゲームの本のチッピングとピッチングの違いを比較してみました。詳細説明は「チッピングをマスターする」(tips_207.html)、「ピッチングをマスターする」【パート1】(同左)および「ピッチングをマスターする」【パート2】(同左)を御覧ください。

これらは私のゲームを飛躍的に向上させてくれています。

'The Golf Magazine: Short Game Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)

チッピング ピッチング
[chipping]
[pitching]
前提   飛行1/3以内:ラン2/3以上。チップ出来るなら常に(ピッチでなく)チップせよ(その方が安全である)   飛行1/3以上:ラン2/3以内。ターゲットとの間にラフやバンカーがある場合に限定せよ(リスクが大きい)
準備   着地点はグリーンエッジから約1メートルの地点   どちらの方向からパットしたいかで着地点を決める
心構え   リズムとタイミングが最重要   クラブのロフトを信じヒットダウン。無理にボールを上げようとしない(手を返したりしないこと)
クラブ選択   好みで、1) SW~5番アイアン、あるいは2) どれか一本   ロフトの多いクラブ
ボール位置   右足甲の前方【註】   スタンス中央
体重   左足   左右の足に均等
スタンス   両踵間を15~20センチ開く【狭め】   両踵間を25~30センチ開く【広め】
グリップ   グリップダウンし、コントロールをよくする   パワーが必要なので短く持ってはならない
フェースの狙い方   クラブのリーディングエッジをターゲットにスクウェアにする   スタンスがスクウェアかオープンかによって異なる
バックスウィング   両腕と肩の三角形をワンピースで維持しながらスウィング   バックスウィング開始と同時にコックし、クラブヘッドのトゥが空を指すようにする。パワーを生むため捻転と体重移動をする
打ち方の基本   スウィング弧の最低点が地面に達する前にボールと接触する(打ち上げるのではない)   ボールが地面と接触する地点を狙ってクラブを下降させながら打つ(掬い打ちしないこと)
グリップ圧   ゆるめ   ゆるめ
体重移動   終始左足にかけ、移動させない   僅かに体重移動させる
腕・肩・胴体の回転   全てを一体化して一緒に動かす   パワーを生むため身体のフル回転と若干の体重移動をする
コック   意識的なコックはしないが、自然にコックするなら無理に止めない   ボールを上げるパワーが必要なので、バックスウィング開始と同時にコックする
ダウンスウィング   両腕・肩で出来る三角形をターゲットに向ける   身体全体を回転させながら左腕を一直線にし、クラブヘッドのソールをボールと地面との接点に向かわせる
フィニッシュ   クラブヘッドは向こう脛の高さ、上体は半分ターゲット方向に向く   ベルトバックルと胸はターゲットを向く

[ball position]

【註】原著のチッピングの説明に"instep of right foot"とある表現の直訳です。"instep"は「甲」です。どういう意味なのか不可解でしたが、あるYoutubeヴィデオを見てやっと解りました。

あるインストラクターが写真のようなチッピング・アドレスを見せていたのです。このボール位置はまさしく右足甲の前方です。極端なインストラクターには右踵の前方と教える人もいるそうです。

練習で右爪先の前方とこの「右足甲の前方」のボール位置でチッピングし、双方を比較してみました。右爪先の前方だとつい掬い打ちしてしまい、狙ったよりも距離をショートします。右足甲の前方をボール位置とし、ダウンブローに打てば予定した距離を打てます。

ゴルファー個々のスウィングの傾向と結果(着地点)から逆算したボール位置を採用すべきでしょう。


(June 10, 2023)

「チッピングとピッチングの違い」で学んだこと

 

下記アメリカの'Golf Magazine'誌の本のチッピングとピッチングの違いを比較しての感想です。

'The Golf Magazine: Short Game Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)

私は10ヤードから50ヤードまでロブウェッジ(60°)一本で処理していて、これはチップだとかこれはピッチだなどと考えていませんでした。

今回、この記事を読んで思い当たったのは、私の場合クラブは同じですが30ヤードまではチップ、それ以上はピッチであるということです。なぜなら、10~30ヤードまではスウィングも低く、ボールも低い軌道で飛び、ランの割合が多い(飛行:ランの比率は2:1ぐらい)。しかし、40ヤードから上は3/4スウィングをし、高く上がって飛行の割合が長くなります。

全部同じだと考えていたのでスタンス、ボール位置、コックの有無、打ち方…などを変えようと思っていませんでした。確かにこの本の著者が云う通り、同一スウィングで処理すると短い距離だと飛び過ぎたり、長い距離だとショートするというミスがあったことは否めません。

今回学んだ最大のものは《ピッチングは前進するパワーだけでなく高く上がるパワーも必要》という事実です。うっすらとは感じていましたが、云われてみて初めて「なるほど!」と思わされました。推進力と飛翔力の二つを同時に満足させるには、頭をボールの上に残し(見送らない)バシッというかなり思い切ったスウィングが必要です。そして高~く上がったボールが2バウンドぐらいで停止するのを見るのは快感です(プロのように戻って来たりはしませんが^^)。私の60°ウェッジを用いるショートゲームは全てピッチングに近いと云えます。多くの場合1ピン以内の距離に寄せて停めるショットを志向(期待)しているからです。上の本の筆者は「リスクが大きいピッチよりチップが安全」と説いていますが、私はここ数十年ピッチ一筋でやって来たようなものですから恐いとは思いません。

今回この記事を読んでピッチングにはコックと身体の捻転が必須であることを知りました。30ヤード以内はコックせずにバックスウィングしますが、30ヤードを越えるとコックします。

距離コントロールの公式が見つかった暁には、この場で報告する予定です。

 

(June 10, 2023)

パットのショート病との訣別

 

ここのところ、方向性はいいのですがもう一転がりでバーディ失敗とか、15センチほどショートしてボギーなどという口惜しいケースが連続していました。なんとかこの阿呆らしいミスを無くせないものかと手持ちの蔵書を当たりましたが、「歩測で距離感を得る」「ボールを投げて距離感を掴む」なんてものばかりで即効で役に立つものが見つかりません。

パターを短めに持つからいけないんだろうかと思いました。私のパターは34インチで最初から短いのです。それをさらに短く持ったのでは加速しないのかも知れません。そこでパターを目一杯長く持って打ってみました。 駄目です。全然変わりません。

ショート・ゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)が次のように云っていたのを思い出しました。

'Putt Like the Pros'
by Dave Pelz with Nick Mastroni (HarperPerennial, 1989, $13.50)

「私のリサーチで判明したことだが、パットを沈めるための最適の強さはカップを17インチ(約43 cm)通過するスピードである(ミスもあり得るが入る確率が最高)。17インチというのはパットの長さに関わらない。1メートルであろうが、30メートルであろうが同じ。これは上り、下りのラインにも影響されない」

【編註】ただし、芝の種類によっては調整が必要で、アメリカ南部の強(こわ)いバミューダ芝では50センチ、北部のベント芝では25~38センチが適切だそうです。

なぜ17(約43 cm)インチか?の理由の一つは、これまたDave Pelzの発見ですが、カップの周りは誰もがボールを拾い上げるために近寄った踏み跡で凹んでいる。しかし、カップの直近6インチ(15センチ)は注意深く誰も踏まないので盛り上がっていて、全体としてlumpy donut(凸凹のドーナツ)状になっている。ストロークが弱かったというよりその凸凹に妨げられてショートしてしまう確率が高い。カップを17インチ通過する強さは、その凸凹を乗り越えるエネルギーを持っている…というわけです。

 

ここで普通は「では、カップの40センチ向こうを狙おう」となるところですが、私にはそれは難しいと思われました。手前に本物のカップが見えるのに、それを無視して40センチ向こうに仮想のカップを視覚化するというのは至難の業です。また、上り・下りの傾斜によって40センチは短く見えたり長く見えたりもします。

[40 cm]

そこでコペルニクス的転回。ボールから40センチ後方に下がり、そこからカップを見つめながら何度か素振りをし、距離感を脳と手・腕に覚え込ませます。これだと実際のカップが目標なので無理に幻のカップを視覚化する必要もなくシンプルです。そして自然に40センチ多めの距離感で打てます。この方が私に向いていると思われました。

ただし、常に40センチ分オーヴァー目の結果を得るには、急な下りなら10センチ減らし、急な上りなら10セン増やすなど、臨機応変に対応しないと強過ぎたり弱過ぎたりする筈です。これはグリーンの勾配を感じ取る勘を土台にするしかありません。

私がプレイしている市営ゴルフ場はバミューダ芝の一種で強(こわ)いので、Dave Pelzの言を信ずればボールから40センチではなく50センチ遠ざかって素振りしなければいけません。

この手法は朝露に覆われ凄く遅くなったグリーンを克服するためにも使えます。地面が濡れているから強く打とうという変更は、振り子運動の自然なリズムを壊してしまうので避けるべきです。芝が濡れて重い分40センチ(ラインの長さによってはもっと)後方に下がって素振りし、長い距離を打つつもりになればいつもと同じリズムとテンポで打てます。

なお、朝露はボールの転がる速度を遅くしますが、乾いたコンディションよりブレイク(曲がり)の程度を少なくします。

【参考】
・「ホールはゴールではない」(tips_46.html)
・「パットのショート病にはボールとの距離を確認せよ」(tips_167.html)
・「パットの慢性ショート病対策」(tips_171.html)
・「パットのショート病への妙薬」(tips_193.html)
・「ロング・パットを確実に寄せる方法」(tips_193.html)


(June 20, 2023)

ティーアップの研究(2023年版)

 

[tee up]

六年前までは8.3センチのティーを使い、ボール後方15センチでドライヴァーを構えて打っていました。この当時、痩せぎすの平均的日本人体型の私からは信じられない飛距離を放ってアメリカ人たちを驚かせてていました。

しかし、たまにですがとんでもない天ぷらを出すことがありました。「飛ばそう!」という意識がダウンスウィングで身体をターゲット方向にスライドさせてしまうせいでした。ラウンドに一回か二回とはいえ、盛大な天ぷらを出すのは恥ずかしいので、涙を飲んで7センチのティー使用に変更しました。

現在の私は「新・頭の研究」によって頭を動かさないスウィングを身に着けたわけですから、天ぷらの恐れなく8.3センチのティーを使えるのではないか?と考えました。

7センチのティーにした時の研究では、ドライヴァーを実際のボールの27センチ後方で構え(クラブフェースの位置は丁度胸骨の真下になる)、図の青丸をスウィング弧の最低点として見つめながらスウィングするといい飛距離が得られました(アイ=ハンド・コーディネーション)。本当のボールを見ちゃうとアッパーに打てないので、青丸地点を見続けなければいけません。

8.3センチのティーを復活させたらどれだけボール後方でドライヴァーを構えればいいのか?以前飛んでいた時のように15センチ後方に戻すべきか?8.3センチと7センチの差は1.3センチなので、28.3センチ離してアドレスすべきか?

[28cm]

試してみました。15センチ後方だと7センチのティーの時の飛距離と変わらず、しかも方向が乱れました。スウィートスポットで打ててない証拠です。28センチ後方にすると飛距離も10~15ヤード伸び、方向もよくなってボールがほぼ狙ったところにまとまりました。驚喜するような飛距離増ではありませんが、たかが1センチの差ですからこんなもんだろうと思いました。

ボールの28センチ後方でアドレスするにはどうするか?私には便利な物差しがあります。手を地面に向けて伸ばし、人差し指をボールの真上に当て、力まずに小指を広げたところにクラブフェースが来るようにすると27センチでした。指を目一杯広げると28センチになります。これは毎回やる必要はなく、二、三回のラウンドで28センチ幅の間隔に慣れますので、いちいち指で測る必要はなくなります。

長いティーにして数日後、No.16(200ヤード、パー4)で、ティーショットをグリーン手前のガードバンカーに入れてしまいました。このホールは上り坂なので、ピンまで実質210ヤードはあると思われます。昔はともかく、最近このバンカーに入れるなんてことは全くありませんでしたから、砂遊びは嫌だけど飛距離増には満足しました。

その数日後のラウンド、同じNo.16のティーショットはバンカーを避けてグリーンの左横を狙ったのですが、思惑通りグリーンの真横に到達しました(ピンハイ)。

これらは長いティーとジムでの筋トレとの相乗効果であろうと思っています。


(June 20, 2023)

Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)が解説するBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ):【パット篇】

 

私はBobby Jonesが書いた本を四冊、彼の書いたものから選り抜いた本を一冊、彼の伝記を一冊、彼の業績を写真で辿った大型本を一冊持っており、それで全部だと思っていました。ところが、まだ一冊あったのです。Bobby Jonesが自分のスウィングを撮らせ、短いコメントを書いた未公開のインストラクション素材が見つかり、それをBen Crenshawのスウィングおよび解説と対比させて編集した本です。

Ben CrenshawはBobby Jonesを尊敬する研究家であり、同じようにバックスウィングで左踵を上げますし、二人ともパット名人ですから、これは企画としては的を射ていると云っていいでしょう。Ben Crenshawがマスターズに二回優勝しているのも偶然とはいえ因縁めいています。

Bobby Jones自身による説明は既に紹介済ですから、今回はBen Crenshawが解説するBobby Jonesのパッティングの特徴にスポットを当ててみます。

'Classic Instruction'
by Bobby Jones and Ben Crenshaw (American Golfer and Broadway Books, 1998, $25.00)

・BobbyJonesのパッティング・スタンスは極端に狭い。両踵の間隔はおよそ10センチ。
・ボール位置は左踵の前方。
・腰から前傾する。
・目はラインの内側。ボールの真上ではなく、数センチ下(身体寄り)である。
・左右の肩の高さは地面と平行。
・両肘は曲げ、湾曲させて構える。
・パターヘッドをボールの前(ターゲット側)に置いてターゲットを一瞥する。
・右腕・右手主体にストロークするが、下半身(膝)も使う。
・低く、地面を掃くようにストロークする。
・バックストロークでは、ターゲットラインよりややインサイドに引き、フェースをオープンにする。

 

[Bobby]

以上がBen Crenshawが指摘するポイントです。

ここで注意しなければならないのは、Bobby JonesもBen Crenshawもインサイド→スクウェアのストロークをするということ。このストロークをする人は、目をターゲットラインの内側にするのがふさわしいのです。私のようにストレート・バック、ストレート・フォワードのストロークをする場合には、やはりターゲットラインの真上に目を据えるのがベストであると思います。

Bobby JonesもBen Crenshawもボールを左足踵の前方にしています。これもインサイド→スクウェア派の特徴です。私はストレート派ですが、両足の中間のやや前方(ターゲット寄り)にしています。様々な書物からこれまでに学んだ結果、背骨よりも若干ターゲット側がいいという判断です。

Bobby Jonesは両肘を曲げ、野球のホームベースのような形でパターを構えます(図の赤線)。Ben Crenshawはワイドなスタンスで左腕を伸ばし、あまり屈まずに構えます。

Bobby Jonesは生命線を無視し、左手は指の付け根の下、右手は指の付け根でグリップしています。

Bobby Jonesは「地面を掃くようなストローク」と書いていますが、バックスウィングとフォロースルーではクラブがかなり上昇しています。Ben Crenshawはロフト3度のパターを使っていて、フォワード・プレス無しで上昇軌道で(アッパーに)ストロークします。上昇軌道で打つとボールが滑走せず直ちに順回転を始めるので理想的なのだそうです。

Ben Crenshawは、打った後も頭をボールがあった場所を見つめているBobby Jonesのパッティングを絶賛しています。

【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のパッティング」(tips_173.html)
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のパッティング・2」(tips_201.html)

(June 25, 2023)

チッピングべからず集

 

ゴルフの百科全書ともいうべき本の「チッピング」の項に、「チッピングをマスターする」(05/10)には書かれていなかった注意事項の数々を見つけました。「チッピングをマスターする」と矛盾する点は一つもありませんので、両方を身につければ完璧でしょう。

’Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams Inc., 1997, $45.00)

・チッピングに不可欠なこと

ボールをディセンディング・ブロー(下降するショット)で打つこと。多くのゴルファーはボールを上昇させようとして、ボールの後ろの地面を打ってショートさせてしまう。これでは長いパット残してしまうので落第である。

・グリップ

多くのゴルファーはフル・スウィングのグリップやパッティング・グリップを採用する。それが好みなら仕方がないが、ディセンディング・ブローで打つために次のグリップを推奨する。右手はフィンガーで握り、左手はパームで握る。そしてシャフトに近いくらいクラブを短く持つ。こうすればアップライトな構えで自然にディセンディング・ブローが達成出来る。

手首がギプスで覆われているように考え、手首を殺し、打ち上げようという誘惑を退けること。

・ポスチャー

出来るだけボールに近く立ち、伸びた姿勢。パッティングのように目はボールの真上。腕は肩から自然にぶら下がり、リラックスしていること。

 

左右の踵を6インチ(約15センチ)開いた狭いスタンスで、主に左足体重。

クラブを地面と水平にして構えないこと。水平にするとクラブを左右に動かす際に草が邪魔をするため手首を使ったスウィングになり易い。僅かにトゥが地面に触れる程度にする。こうするとシャフトはパターのように垂直に近くなるので手首の動きを殺し、腕と肩によるスムーズなスウィングが可能になる。

クラブフェースはターゲットにスクウェアに構える。そうしないとサイドスピンを生じる。

ボール位置は右くるぶしの後ろ。もしボールが長い草の間にある時は、さらに後方にする。

・スウィング

急いで短いスウィングをしてはならない。加速させカッチリしたダウンスウィングを行うには、充分長いバックスウィングが必要だ

チップ名人たちの誰もが、手をボールの前(ターゲット側)に傾げる。これは下降気味にボールを捉え、手首を殺し続け、クラブヘッドを加速させる方法である。

主に腕による動作ではあるが、ダウンスウィングの加速による反応として膝も僅かに動く。しかし、それは穏やかな動きであるべきで、大げさに動かさないこと。

確実に加速させるため、フォロースルーはバックスウィングより長くなければならない

・戦略

カップは究極の目的ではあるのだが、チッピングにおいてはカップを目標にしてはならない。カップではなく着地点を目標にする。グリーンエッジに近いギリギリの着地点などではなく、グリーン上の1メートル範囲の大まかな着地点を目標にすれば、心理的にも楽である。

・芝目

多くのゴルファーが見落とすのは芝がどちらに向かって伸びているかということだ。芝目はボールが転がる速度と方向に影響を与える。北部アメリカのベント・グラスなら心配することはないが、南部や西部のバミューダ・グラスは影響が顕著である。

逆目に向かってチップするとランを減少させブレイク幅を増す。ロフトの少ないクラブを選び、低めの軌道で通常より強めに打つ。

順目の場合、ボールは早く転がりブレイクも最少になる。ロフトの多いクラブを選び、高めの軌道でソフトに着地させる。

・ピンを抜くか抜かないか

ピンを抜かない方が抜いた場合より33%も成功率が高いというテスト結果がある。チップインしないまでも、ピンに当たればボールのスピードを落とすことが出来る。

・非常に短いチップ

ボールがグリーンエッジにありピンは1メートル以内だが、ライが悪くパット出来ない場合。ウェッジのシャフト部分を握るほどかなり短く持ち、通常のチップ・ショットを行う。短く持つことはパワーを殺すので、オーヴァーする心配をしなくていい。ただし、短く持つとクラブフェースをクローズにしがちので、しっかりしたグリップで若干右を狙うこと」

[icon]

私にとってのチッピングの遵守事項は以下のようなものです。
・グリーンが平らならロブ・ウェッジ(60°)、受けていればサンドウェッジ(56°)を使う。
・必ず左肩をピンに向ける。
・必ずビシッと打つ(軽く穏やかに打とうなどと思ってはいけない)。
・必ず低いフォロースルーをする(打ち上げると距離が減ってしまう)。

【参考】
・「チップする時、左右どちらの目でボールを見るべきか?」(tips_141.html)
・「簡単なパットを残すようにチップせよ」(tips_179.html)
・「チップインのコツ」(tips_185.html)
・「チッピング・シャンクの撲滅」(tips_193.html)

(July 05, 2023)

レフトハンド・ローのチッピング・グリップ

 

[Mat]

クロスハンデドとも呼ばれるこのグリップは、パッティングに用いられて右手を殺し左手・腕のコントロールによって良い方向性が得られるので一般的になりました。

このグリップをチッピングに使うというアイデアは1997年に出版された本に、インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)が生徒たちに教えたテクニックとして既に紹介されていますので、別に新しいアイデアではありません。

Jim McLeanによれば「このグリップは右手首が主導権を握って左手首を覆いながらボールを左に打ってしまうことを防いでくれる」そうです。

Matthew Fitzpatrick(マシュー・フィッツパトリック、英国、写真)は2020年頃からこのグリップを使い始め、チッピングだけでなく次第に距離を伸ばし80ヤード以内のピッチングにも使って成功しています。2022年には全米オープンに優勝しました。

Matthew Fitzpatrickは「チッピングのスタッツは、2021年に較べて100%向上した。シャンクの恐れもなくなった」と云っています。

理論的には、このグリップはチッピングに最良の選択と云えるでしょう。チッピングではバックスウィングでコックせず、両手と肩で形成される三角形を保持せよと云われますが、ライトハンド・ローだとついコックしがちになり、予期したより距離を伸ばしてしまったりします。左手主導のレフトハンド・ローならコックすることを防げます。

また、レフトハンド・ローであれば意図しなくても下降する左手甲のリードによって自然にボールを押し潰し、正しいスピンでボールを宙に浮かべてピン傍に送り届けてくれるでしょう。

しかし、全ては「理論的には」であって、一朝一夕にレフトハンド・ローによるチッピングが身につくものではありません。10~30ヤードの距離で練習してみましたが、シャンクは出るわショートはするわ…で、散々でした。猛練習しなければ、とても実戦では使えません。

【おことわり】画像はhttps://cdn.mos.cms.futurecdn.net/にリンクして表示させて頂いています。

(July 05, 2023)

パッティングをマスターする

 

アメリカの'Golf Magazine'誌が過去に出版したパッティングの本の骨子を抽出してみました。非常に有益なことばかりです。

'The Golf Magazine: Putting Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)

「白状しなさい、あなたはパットが嫌いだと。ゴルファーの誰もがパット嫌悪症である。でなければ、多層階の打ちっ放しに匹敵する数のパット練習場が存在する筈だ。

ひょっとしてあなたがパット嫌いではないとしても、あなたはパットについて理解していない。パットはビリヤードやチェスのように頭を使うゲームなのだということを。

・セットアップ

ボールがカップに入りさえすればどんなスタイルでも構わない。プロでさえ背を伸ばす、屈む、狭いスタンス、広いスタンス、弾くストローク、長く掃くようなストローク…と実に様々である。

[clock]

しかし、基本というものはある。腕と肩を一体にしてコントロールし、手はそれらに従(つ)いて動くというものだ。これは手と手首はパターを安定させる以外のことを何もせず、パターフェースをターゲットに向け続ける簡単な方法だ。

大時計のように塔は動かず振り子だけが左右に動くという比喩は使い古されたものだが、これは腕と肩によるストロークの完璧なイメージである。基点は胸骨の頂点(左右の肩の真ん中)で、その左右でパターを動かす。

もし手と手首が独立して動けば振り子は故障してしまう。スタンスが不安定だと振り子は基点から外れてしまう。

等身大の鏡の前に立ち、パター無しで腰から前傾し、両手の掌を合わせる。こうすると、手・腕・左右の肩によって大きな三角形が形成される(右の写真)。この三角形を崩さないようにして肩を左右に揺らすこれが《腕・肩によるストローク》の真髄である

・グリップ

パッティングにはリヴァースオーヴァラッピング・グリップが標準とされている。左手の生命線でパター・ハンドルを握る。これによって左手甲がターゲットを指すだけでなく、左手首の勝手な動きを封じることが出来る。また、こうすると左前腕とパター・シャフトは一線になる。

 

最近人気のある太めのパター・ハンドルは、掌でハンドルを握ることを容易にしてくれる。

グリップ圧は左手薬指と小指でしっかり握るが、全体としてゆったりと握ること。

右掌がターゲットを向くようにハンドルを握る。人差し指と中指が左手のうえにかかり、両手が一体となるようにする。よいグリップはパット成功への第一歩である。

・スタンスとポスチャー

両足を40~50センチ開いて立つ。股関節から上体を折る(背中を曲げるのではない)。両腕は肩の関節から真下にぶら下がるようにする。両膝は僅かにリラックスさせる。体重は前後左右に均等(爪先にかけてはいけない)。

足・膝・腰・肩などすべてをターゲットにスクウェアに構える。目はボールの真上。

・ボール位置

パッティング・ストロークはターゲットラインにスクウェアであるべきだが、実際上はバックストロークで僅かにインサイドに引かれ、インパクトの後僅かにインサイドに向かう。パターフェースがターゲットにスクウェアであるのはほんの数センチの区間でしかない。そこはスウィング弧の最低点であるべきで、その地点以前だとパターフェースは右を向き、その地点を過ぎると左を向いてしまう。

また、ボールをジャンプさせたりせずスムーズにターゲットに送るには、ボールを僅かに上向きに打つことが望ましい。(絶対に下降気味にボールを打ってはならない)

以上を勘案すると、理想的ボール位置は《胸骨の真下の1インチ(2.5センチ)ターゲット寄り》となる。

・ストローク

完璧なパットの三要素
1) インパクトの瞬間、パターヘッドの軌道はターゲット・ラインに沿ってストレートでなくてはならない。
2) その瞬間、パターフェースはターゲットに向かってスクウェアでなくてはならない。
3) その瞬間、パターフェースのスウィートスポットでボールと接触しなければならない。

 

NASAの科学者だったDave Pelz(デイヴ・ペルツ、現ショートゲーム・インストラクター)は、調査・研究の結果ゴルファーのミスの90%はインパクト時のパターフェースの角度の問題だと分析している。

・ショート・パット

Dave Pelzは、ツァー・プロでさえ約2メートル以内のパットを平均60%も外すという統計を明らかにしている(上位のプロはそんなに多く失敗しないが)。だからアマチュアがこの距離を完璧にパットすることは期待出来ない。だが、スコアを減らすための第一歩はショート・パットに上達することだ。

2メートル以内の距離でカップの外を狙わなければならないというケースは稀だ。ミスするとすればパターフェースをオープンにしたりクローズにしたり、頭を動かしたり、スウィートスポットで打たなかったりしたせいである。これらは練習で改善するしかない。

緊張や不安に抗するには、必ず決まった手順で予行演習を行うことだ。例えば、ボールの後ろにしゃがんでブレイクを読む、ライン上に中間目標を設定する。ボールの横に立って一回(あるいは二回)素振りし、パターヘッドを中間目標に向ける。身体の向きをターゲットラインに平行にし、首を廻してカップを見、首を廻してボールに目を戻し、ストロークする。どのパットの際にもこの手順を実行すれば、緊張や不安を感じないで済む。

1メートル前後の距離ではカップの外を狙うべきではない。右にブレイクするラインであれば、カップの(外ではなく)左内側を狙うべきである。

・ロング・パット

10メートルの距離になるとパットを成功させることなど期待出来ない。だからえてして集中せずいい加減にストロークする。これは大きな間違いだ。

距離が長い場合に必要なのは、カップの数10センチに寄せるラグパットのテクニックだ。アマチュアは長いパットでもラインにこだわるが、重要なのは3パットを防ぎ、簡単に入れられる圏内にボールを近づけることだ。これもスコアを良くする戦術の一つである」

【参考】David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)のパッティング・グリップ https://youtu.be/Niu2VkBZ384

(July 10, 2023)

パットの方向と距離は別々に考えよ

 

これはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のtip。

'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)

「パットを成功させるには二つのことを正しく行わなくてはならない:『距離』と『方向』である。

この二つを同時に行おうとするのは混乱の原因となるか、片方を他方より過大に重視するという結果になる。

先ず第一に周囲の地形を読み、ボールとカップとの間の芝目と傾斜を読みながら、きっぱりと方向の決断に集中すべきだ。

ボールに歩み寄りながら、方向のことは頭から消し去り、距離に集中すべきである」

 

(July 10, 2023)

スクウェアにストロークしているかどうか調べよ

 

これはLPGAプロだったJanet Coles(ジャネット・コールズ)のtip。

[2 balls]

'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)

「ゴルファーはプッシュしたりプルしたりしてパットをミスする。ボールをライン上にスタートさせるには、インパクトでパターフェースがラインに対しスクウェアでなければならない。

練習としてパターフェースの前に二個のボールを置く。ターゲットとしてグリーンのどこか一点を定め、1メートルのパットのようにストロークする。

もし、パターが二つのボールを同時に打ち、両方が等しい距離を転がれば、あなたはパターフェースをスクウェアにしてストロークしている。もし、ボールがバラけるようなら、あなたはオープン気味だったりクローズ気味だったりしていることになる」

[icon]

グリーンでカップから1.5メートル離れた地点からこの練習をしてみました。トゥ側のボールが先に進んでカップインし、ヒール側のボールはやや遅れて転がりカップインしました。二回連続で同じ結果でした。バラけてスタートするものの、どちらもカップに入るのですからフェースはスクウェアであるということになります。

ま、上のは偶然です。その後、二個共にカップインするということはありませんでした。

(July 10, 2023)

ショートパット成功の鍵【方向篇】

 

1.5メートルのパットは「入れ頃外し頃」ですが、私はこの距離を外したくありません。この距離はしばしばバーディ・チャンスやパー・チャンスでもあるからです。

ある日のラウンド、1.5メートルぐらいのパットが成功したのはたった一回でした。7メートルぐらいのパットを一度入れましたが、これはまぐれ^^。

ラウンド終了後、あるグリーンで1.5メートルのパットを数十分練習しました。そして、ついに秘訣を発見しました。私は三個のボールを使ったのですが、最後にはどの方向からでも三個全部がカップインしました。で、その秘訣とは…?

1) パターヘッドのソールを地面と平行にしてアドレス(トゥを上げたり、ヒールを上げたりしない)。
2) 左前腕を微かに左側に廻す。
3) 【最重要】左右の肩と両腕で出来る三角形を崩さないでストロークする。
4) 左手首の自由度を殺し、右手のパワーも殺す。

1)について

ソールを地面に平行に置いてアドレスすればパターのスウィートスポットでボールの真ん中を打てる確率が高くなり、プルやプッシュを防ぐことが出来ます。スウィートスポットでボールの真ん中を打つことは、口惜しいリップアウト(微かにカット打ちしたことによって、ボールがカップの縁をくるっと廻って出て行ってしまうミス)を防止する手段でもあります。

2)について

 

ストローク開始前に左肘が捩じれないようにロックします。大袈裟にやると手・腕を強張らせてしまうので、左前腕をほんの僅か左側に廻す程度にします。この手順を抜かすと肘が捩じれてしまうので方向性は保証されません。【参照】「パットの方向性を良くする裏技」(tips_195.html)

3)について

三角形を崩さないというのは「チッピングをマスターする」(05/10)で学んだ秘訣です。チッピングでアドレス時の三角形を維持すると方向性が理想的に保たれます。チッピングに有効なテクニックはパッティングにも効果がある筈だと思いました。ビンゴ! ロングパットでは三角形を崩さないわけには行きませんが、数メートルなら余裕で三角形を崩さずにストローク出来ます。

しかし、ともすると三角形を崩さないことを忘れがちになるので、パター・カヴァーに三角形の赤い布を貼り付けました。パター・カヴァーを外す時に否応なく目に入る仕掛けです。

4)について

さらに方向性を良くするためには左手首の自由を束縛する必要があります。また、右手が主導権を握るとプルする可能性大です。ですから、左手首を(ギプスで包まれたように)固定し、右手はその左手にくっついて動くだけで、主導権は握らない。左手甲のみでストロークする感じが最も理想的です。

鏡を見ながら《三角形を崩さないストローク》を研究すると、「パットでも'One Move'(ワン・ムーヴ)」(tips_70.html)で紹介したように左肩でバックストロークを始動し、右手・腕は終始日陰者として左腕に追随するだけ…というのがベストであるとの結論に達しました。

ある日のラウンド、《三角形を崩さない》を徹底してストロークしたところ、5メートルと3メートルのバーディ・パットを成功させることが出来ました。《三角形を崩さない》バックストロークというのは結構不自然に思えるのですが、結果が良いので努力せざるを得ません。

【参考】「パットの方向性を良くする裏技」(tips_195.html)

(July 20, 2023)

パターは軽く持たねばならない

 

スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)執筆のメンタルtips集より。

'Golf: The Art of the Mental Game'
by Dr. Joseph Parent (Universe, 2009, $24.95)

「あなたがパターを軽く持ち、ストロークの間じゅうその圧力を維持するならば、あなたがそのパットの舵をとっていないことを示唆している。しっかりしたポスチャーで肩を廻すだけなら、プッシュしたりプルしたりする余地はない。

以上が練習グリーンでストロークする方法である。もし注意深くあるなら、あなたがパターヘッドのストローク軌道を変えようとすると、グリップが締まるのに気づくだろう。 Sam Snead(サム・スニード)は小鳥を逃さない程度の強さで握るべきだと云っていた。

Jack Nicklaus(ジャック・二クラス)はパターシャフトがワイングラスで、ストロークの間にぎゅっと握りしめると折れてしまうような華奢なグラスの脚であると想像して扱った。

これらはストロークの間パターを軽く握るためのフィーリングを与えてくれるよいイメージである」

 

(July 20, 2023)

ピッチングべからず集

 

[pitching]

ゴルフの百科全書ともいうべき本の「ピッチング」の項に、「ピッチングをマスターする【パート1】【パート2】」(tips_207.html)には書かれてなかった注意事項を見つけました。

’Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams Inc., 1997, $45.00)

「・グリップ

精密なショットをするためには、インパクトでクラブフェースがスクウェアでなくてはならない。だから、右手のグリップの向きは重大である。クラブを右手の指の真ん中の関節で握る(パームではない)。こうすれば、右手のグリップが強くなり過ぎることはなく右手が主導権を握ってクラブフェースを返したり出来なくなる。

クラブを短く持たず、ハンドルの端の近くを持つように。短く持つとクラブが軽く感じられ、早いスウィングをしがちになる。また短く持つことは屈み込んだ姿勢を強制する。【註】私は1.25センチ短く持つことによって5ヤード刻みで距離を調整しています。

・ボール位置

チッピング同様、ピッチングの基本はボールをヒットダウンすることだ。ボールを宙に浮かべようと掬い打ちするのではない。ボール位置を両踵の中間にする。もしこの位置できっちりとボールを捉えられないとしたら、あなたはスウィングの間にスウェイし、スウィング弧の最低点を移動させているのだ。

ボールを高く上げようとボール位置をスタンス前方(ターゲット方向)に移してはならない。それはトップするミスに繋がったり、無意識に身体を前方にスライドさせてしまったりする。

もしボールが長い草の間にあるような悪いライに遭遇したら、ボール位置をスタンス後方にする。これは草との接触を少なく出来る。ただし、スタンス後方にしたボール位置はクラブのロフトを減らすので、飛び過ぎる結果になる。それを相殺するため、ロフトの多いクラブを選ぶこと。

・スタンス

アップライト(縦)のスウィングをするためにスタンスを狭くし、背を伸ばす。屈み込んだりスタンスを広くしてボールに近く立とうという誘惑を撥ね付けること。そういう動きは下半身の動作を制限し、手・腕を出しゃばらせてムラのあるショットを生んでしまう。

ボールから遠過ぎてもいけない。腕はアドレスで伸びていなければならないが、肩からゆったりと真っ直ぐぶら下がっているべきである。

スクウェア・スタンスでもオープン・スタンスでも快適な方を選べばよい。しかし、ターゲットに近づくにつれてオープンにする。どの場合でもクラブフェースはターゲットにスクウェアにすべきだ。

・スウィング

ゴルファーの一般的な誤解の一つは、ピッチングは腕によるスウィングだと考えることだ。そうではなくピッチングは身体全体を使ったスウィングである

バックスウィングでは脚、腰、上体をターゲットから遠ざけるように回転させる。手・腕は肩の回転につれて動くだけに留める。バンカー・ショットのように腕が身体から独立して動くようだとトラブルを覚悟しなければならない。

ダウンスウィングは下半身がターゲットに向かって戻ることによって開始する。「打とう!」という意識によって手・腕がダウンスウィングを開始することは厳に戒めなくてはならない。

ダウンスウィングを急がないこと。

フル・フィニッシュを目指す。短いピッチングであってもクラブは肩の高さかそれ以上でなくてはならない。こうすれば、加速しつつヒットダウンすることが可能になる。

 

ヒットダウンするのであって、ボールを掬い上げたり宙に浮かべようなどと小細工してはいけない

・コックについて

身体全体を使ったスウィングをし、手首をリラックスさせ続けていれば自然にコックされるものだ。注意すべきは、無理にコックしようとしたり、早期にコックをほどこうとしたりしないことだ。そういう動きはボールとのコンタクトを不正確にしてしまう」

[icon]

まとめると、ピッチングの遵守事項は以下のようになります。
・必ず左肩をピンに向ける。
・必ずボールの10センチ先(ターゲット方向)を凝視する。【そこを狙ってクラブヘッドを突入させる】
・必ず(トップで一瞬の間を置いて)下半身からダウンスウィングを始める。
・必ずヒットダウンする(掬い打ちしないこと)。
・必ずビシッと打つ(軽く穏やかに打とうなどと思ってはいけない)。
・必ず高いフォロースルーをする(中途半端だと距離が減ってしまう)。

【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の ショートゲーム」(tips_201.html)
・「ピッチング技法、PGAツァー最新の動向」(tips_153.html)

(August 10, 2023)

ピッチング・ポスチャーの大いなる誤解

 

これはツァー・プロErnie Els(アーニィ・エルス)のtip。

’The Complete Short Game'
by Ernie Els (Broadway Books, 1998, $37.95)

「ピッチングに関する最も一般的な誤解の一つは、オープン・スタンスをとれ…というものだ。

あなたがかなりのオープン・スタンスで立ってアドレスすると、手がリードする動作が避けられなくなり、身体が充分にスウィングに関与出来なくなるという問題を引き起こす。

足はほんの僅かオープンにしてもいいが、それだけだ。肩も上体全体もターゲットにスクウェアであるべきだ。これは重要である。

機会を捉えてあなたのアライメントを友人にチェックして貰うべきだ。そうすれば、よくない癖に陥ること防ぐことが出来る」

(August 10, 2023)

ピッチング失敗の原因

 

イギリスのインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)のtip。彼は長くDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)の元で働いていました。

’Golf Skills: The Players Guide'
by Roger Hyder(Firefly Books, 2000)

「私がピッチングを教えている経験から云うと、常にグリーンまで20ヤード以内の範囲で問題が生じるようだ。20ヤード近辺では、中級、初級ゴルファーの間で二つの間違いがよく起こる。

1) ダウンスウィングでの減速

グリーン近くになるとあまりにも多くのゴルファーがピッチングに臆病になる。まるでゴルフボール自体が障壁となり、インパクト後クラブヘッドをボールの先に越えさせたがらないかのように見受けられる。このネガティヴな想念はダウンスウィングで手・腕を減速させ、ゴルファーにスウィングを中絶させてしまい、ボールはターゲットまで半分行くか行かないかという惨事を招く。スウィングの間じゅうクラブヘッドを加速することが不可欠である。ポジティヴかつ攻撃的でなければならない。

2) 狙い方の間違い

多くのゴルファーが陥る一般的な過ちは、ピッチングで何を成し遂げるべきかの誤った理解である。彼らはピンの根元を見ながら、ボールがその近くへ行くか、あるいはカップインするみたいなことを考えているように見える。そんなことは滅多に起こらないにもかかわらず。

 

ピッチング名人はピンではなく、どこにボールを着地させるか、そこからどのようにボールを転がすかに想念を集中する。それはパットへの取り組みに近似している。ボールがどのように転がるかという問題を解決した後、彼はピンとカップのことは忘れ、ボールの着地点に集中する」

(August 10, 2023)

目玉を撃破する

 

[bunker]

これは女性インストラクターCarol Preisinger(キャロル・プライシンガー)のtip。

'100 Classic Golf Tips' 【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)

「 オープン・フェースでなくスクウェア・フェースで、通常のバンカー・ショットとしてプレイする。

こうするとクラブヘッドは砂のクレーターの中に座っているボールの下に突入することが出来る。

クレーターの後方の端を打ち、普通より大きいディヴォットを取るように。スピードが重要なので、クラブヘッドを加速させながら砂を潜り抜かせ、フル・フィニッシュすること」


【おことわり:画像はhttps://static1.straitstimes.com.sg/にリンクして表示させて頂いています】

(August 20, 2023)

埋まったボールはアイスクリームを掬うように出す

 

ゴルフの百科全書ともいうべき本の一節。

'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et.al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997)

「インストラクターPhil Ritson(フィル・リットスン、南ア)のメソッド。これはボールの下をオープンフェースで掬うだけでなく、若干のバックスピンもかかる。

急角度のスウィングをするため、スタンスをいつものバンカー・ショットより7センチほど狭める。ボール位置はスタンスのかなり後方(スタンス中央と右踵の中間)。ハンドファーストで構え(フェースはクローズ)、体重の多くは左足にかける。

急速に手首をコックしクラブを上げる、

ダウンスウィングの最初は腰をターゲット方向に向かわせながら、左腕をハードに引っ張り下ろす。

ボールの数センチ後ろを目掛けてクラブが突入する際、左肘を身体から離す。クラブはアイスクリームのように砂を短く深く掬う(長く浅いえぐり方ではない)。

 

クラブフェースはクローズからオープンになり、埋まったボールの下でフランジを廻すので、ボールはソフトに弾き出される」

(August 20, 2023)

湿ったバンカーのコツ

 

イギリスのインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)のtip。彼は長くDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)の元で働いていました。

’Golf Skills: The Players Guide'
by Roger Hyder(Firefly Books, 2000)edited by George Peper et.al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997)

「あまりにも多くのゴルファーが、湿った砂の上のボールをエクスプロージョン(爆発型)やスプラッシュ(水切り型)で出そうとする。これらはいずれもクラブヘッドのバウンスが湿った砂と早期に接触し、跳ね返されてトップ・ショットとなる結果(=ホームラン)を招く。

これを防ぐには、もっと急角度のスウィングをし、バウンスが剥き出しになる前にクラブヘッドで砂を掘るべきなのだ。そのためにはボールをスタンスの少し後方にし、クラブフェースはスクウェアにする。通常のバンカーショットではボールの5~7センチ後ろを狙うのだが、湿ったバンカーの場合には僅か1~2センチ後ろを狙う

手と腕でかなりアップライトな(縦の)スウィングでヒットダウンし、大きく打ち抜く。砂が比較的平らでバンカーの顎が低ければ、ピッチングウェッジか9番アイアンでチップショットすることも出来る。顎がほとんどなければ、パットで出せるかも知れない。

 

いつの場合も、足をもぞもぞさせて砂の質と深さをテストすること。湿った砂やザラザラした砂はクラブのバウンスを増す働きをするので、アドレス時のクラブフェースはスクウェアにしておくべきだ。砂がふわふわ、さらさらで乾いていると、クラブは深く突入するので、バウンスを増すためにクラブフェースをオープンにする。クラブフェースをオープンにし続けるには、クラブフェースに水の入ったコップを載せていると想像し、その水をこぼさずにフォロースルーすることだ」

[icon]

[GW]

私がプレイするコースの砂はいいコースのような上質の砂ではなく、土を篩(ふる)ってキメ細かくしただけのものなので、雨が降るとその後数日間固まってしまいます(足も潜らない)。こういうバンカーではクラブヘッドのバウンスは害になるだけです。

私のバンカーショット、20ヤードの距離にはギャップウェッジを使うのですが、この時だけいつもうまく行くので不思議に思っていました。このギャップウェッジ(ロフト52°)はバウンスが9°となっているものの、よく見るリーディングエッジから下に盛り上がるようなバウンスではなく、ソールは真っ平らなのです(写真)。これがこのコースのバンカーに向いているデザインなのではないかと思われました。

今後は他のウェッジは使わず、このウェッジ一本でバンカーショットすることにします。普通に握れば20ヤードですが、1.25センチずつ短く持てば15ヤード、10ヤード…と打ち分けられます。

なお、上のtipの《フェースに載せたコップの水をこぼすな》は、フェースをオープンにし続ける良いイメージです。Youtubeのあるインストラクターは、「ボールでなく砂を運べ」と云い、クラブフェースに砂を乗せて、「その砂をインパクト後もこぼさないようにスウィングせよ」と云っていました。これもフェースをオープンにし続けるいいtipです。

(August 20, 2023)

ヒットダウンが方向と距離を正確にする

 

「ピッチングをマスターする」【パート1 & 2】(tips_207.html)によって、ピッチショットは打ち上げるのではなくヒットダウンしなければならないということを学びました。

[aim point]

コースでヒットダウンで寄せる練習をしました。確かにヒットダウンするとピン目掛けてまっしぐらに飛びます。あるホールで40ヤードのピッチングを練習したら、連続でピン傍30センチと10センチにぴたりとつき、「これがヒットダウンの真髄か!」と驚嘆させられました。私はアプローチ・ショットだけでなく、ドライヴァー以外の全てのクラブでヒットダウンすべきだと思いました。で、毎回ヒットダウンしようとするのですが、これがそう容易いことではありません。

「クラブを伏せ目にしたインパクトをすればいいんだろう」と思うとシャンクを量産します。「フェースを上向きにしても下向きにしてもいけないって、ミッション・インポッシブルじゃないよーっ!」と叫びたくなりました。

ふっと、シャンクは小手先でスウィングした時に起こるということを思い出しました。フルスウィングと同じように身体全体で打つべきではないか?ビンゴ!シャンクは無くなりました。

しかし、距離コントロールがいまいちでした。完全にスピンがかかっていないのです。そこで「インパクトの研究」(tips_112.html)で説かれていたアイ=ハンド・コーディネーションのテクニックを使ってみました。原文ではボールの10センチ先を見ながら打てと云われています。右図のようにボールの先の地面(黒丸)に目を凝らすと、そこがスウィング弧の最低点となり、ボールを先ずヒットダウンしてから地面を打ってディヴォットを取る仕掛けです。

私クラスですと10センチも先を見るとボールを打たずに空振りする恐怖感を抱いてしまうので、5センチ先を見るのが精一杯です。ボールの5センチ前方を見つめながら、身体全体を使って打つといいショットが出るようになりました。

私がドライヴァーを打つ際はボールの28センチ後方を見つめながらスウィングするので、ボールでないところを凝視することには慣れています。ボールの前方10センチを見ることを3ウッド~ウェッジまでの習慣にしなくてはいけないと思いました。

結論。ヒットダウンのコツは、ボールの5~10センチ先の地面をスウィング弧の最低点として凝視し、身体全体を使って打ち抜き、その5~10センチ先でディヴォットを取ることです。小手先のスウィングをするとシャンク、トップ、チョロ、ホームラン、何が起こっても不思議ではありません。これを避けるには下半身のリードによる身体全体を総動員したスウィングをするしかありません。

ある日のラウンド、No.8(260ヤード、パー4)での私の第二打はピンまで100ヤード。上り勾配なので、私の場合6番アイアンを1.25センチ短く持って打つ距離。私はボールの先5センチを見つめながら、下半身主導で右肘がポケッㇳを越えないスウィングを心掛けました。力まずビシッと放たれたボールは真っ直ぐグリーンに向かい、ピンの左横1.5メートルで停止。ボールを見守っていたチームの一人は「うへえっ!凄えショットだ!」と呆れた顔をしていました^^。

【参考】
・「ヒットダウンでピン・ハイにつける」(tips_126.html)
・「ショート・アイアンではボールを押し潰せ」(tips_137.html)
・「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)【右肘がポケッㇳを越えないスウィング】

(September 01, 2023)

アイアンはヒットダウンして打ち抜くべし

 

これはLPGAのメイジャーに八回、その他に55勝を挙げたプロBetsy Rawls(ベッツィ・ロウルズ)のtip。

'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)

「人々はアイアン(特にロング・アイアン)のスウィングを理解しない。ロング・アイアンはウッドと全く同じなのに。

唯一の違いは、ティーに乗せたボールを打つドライヴァーは上昇気味の軌道で打つのに対し、スタンス中央に近くに置かれたボールを打つアイアンは、下降気味の軌道で打つということだ。

あまりにも多くのゴルファーがアイアンでボールをクリーンに打とうとし、あるいは地面から掬い上げようとする。アイアンはヒット・ダウンし低く打ち抜くべきもので、本来クラブに備わっているロフトがボールを上昇させるのである。正しくスウィングすれば、結果も正しいものとなる」

[icon]

 

私のような貧乏人は綺麗に生え揃った芝というものが高級品に思えて、意図的にターフを取ったり出来ません(ダフるのは事故なので別)。芝生を傷つけるなんて犯罪のように思えるわけです。これがヒットダウン出来ず、なるべく芝を撫でるようにスウィングしようする原因です。ゴルフは貧乏人には向いていない遊びなのかも知れませんorz。

(September 01, 2023)

Tom Watson(トム・ワトスン)の 加速してパットすべし

 

[Tom]

'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)

「パッティングの問題の多くは、インパクト時に減速するせいで起こる。減速するとパターは揺れ、ラインを逸れてしまう。この傾向に抗するため、私はパターヘッドがボールを打ち抜くように加速する。

動作的には、あるパットにどれだけ遠くまで打つか、バックストロークの長さを決定する。もちろん、色んな要素がある—グリーンの早さ、芝目、ラインが上りか下りか等々。必要な距離をボールを加速して進められるバックストロークの長さを見つける必要がある。

早いグリーンでは、リズムは変えずに通常より短いストロークをする。

大抵のお粗末なゴルファーは、パターをあまりにも遠くへパターを引き、ボールに向かって減速してしまう。

バックストロークの長さを抑制することによって、ボールに向かってパターを加速させ、しっかり断固とした一撃を与える。こうしたボールとのコンタクトは、たとえミスしてもムラがない。

加速し、ボールを打ち抜くことは、私がいいパットをするための重要な鍵である」


(September 10, 2023)

パターのスウィート・スポットを見つける

 

[sweetspot]

’Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams Inc., 1997, $45.00)

あなたのパターのヘッドの真上に印があろうがなかろうが、自分でスウィート・スポットを見つけて印をつけるべきだ。メーカーがつけた印は往々にして数ミリほど狂っていて、パット・ミスに繋がる。

二本の指でパターをぶら下げる。垂直ではなく実際にパットする角度に傾け、ヘッドのソールが地面と平行になるようにする。

フェースを何か金属の尖った(鍵のような)もので叩く。叩き続け、フェースがぐらついたり回転したりせず、ヘッドが真っ直ぐ前後に揺れる箇所を見つける。そこがスウィート・スポットである。その場所の真上にヤスリで線を彫り、ペンキを塗る。こうすれば、アドレスする時スウィート・スポットが見える」

【参考】「スウィート・スポットでパットせよ」(tips_137.html)


(September 10, 2023)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパット前の手順

 

[Jack]

これはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がいろいろな雑誌に書いたパットのコツを集成した本からのtip。

'Putting My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $25.95)

1. グリーンに歩み寄りながら、その周囲の地形の険しさを見定める。特に丘陵コースで重要なのだが、地面全体の勾配を知ることはラインとスピード(打つ強さ)を決定する助けとなる。多くのパットはグリーンの主たる勾配によって曲がるからである。

2. グリーン全体の傾斜と勾配、芝目の方向、芝の長さと肌理(きめ)、芝の質、湿り気や風の要素…などを調べる。

3. 次に、ボールの後ろでしゃがんだり腰を折ったりした姿勢でボールとカップとの間を検討する。立っていたのでは微妙なうねりも平らに見えるからだ。逆に、腹這いの姿勢では直近の地形の上り下りしか見えない。

あまり理想的とは云えないグリーンや、長いダブル・ブレイクの場合、カップの周囲の地域を注意深く査定する。私が見つけ出そうとするのはボールの勢いを減じるようなグリーン表面の凸凹だ。パッティングの基礎だが、ゆっくり転がるボールは傾斜の影響を受けて曲がりやすい。

もし他のプレイヤーが先にパットする場合、私のラインに共通するなら私は彼のボールの動きをその速度とブレイクの観点から注視する。(私は読みに時間を取られないよう注意する。他のプレイヤーがパットする間に読みを終了すれば、時間を短縮出来る)

4. ボールに歩み寄りながら、私はここまでに読んだことの全てを、ボールをカップインさせるかその近くへ寄せるために凝縮してメンタルなイメージを描く。そうしながらボールの背後で何度か素振りをし、私が頭の中で決定したストロークを再現するように務める。

5. 首を廻して左肩越しにラインを見ながら私のスタンスと体勢に必要と思われる微調整を行うが、絶対に頭を持ち上げたりしない。

6. ほぼ準備は完了である。息を止め、心の中でボールがカップインするかタップインの領域で止まるところを視覚化する。

最後に、100%準備完了と感じたらストロークする」

画像はttps://southernfairwaysgolf.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 01, 2023)

ショートパット成功の鍵【距離篇】

 

[measure]

前回の「ショートパット成功の鍵」は方向性についてでした。今回のは距離感の鍵です。

われわれが誰かのボールを拾って上げてポンと投げる時、その距離感は極めて正確で、めったに短か過ぎたり遠過ぎたりすることはありません。これは潜在意識がコントロールする《アイ=ハンド・コーディネーション》のなせる業です。パットでもカップを見ただけで身体がバックストロークの幅や打つ強さを思い浮かべてくれればいいのですが、そうは問屋が卸しません。

現在の私は1.5メートルの距離を全て成功させたいという願望があるのですが、一口に1.5メートルと云ってもグリーンとピンの配置によって上りだったり下りだったり、雨の後や朝露に覆われていたりする場合もあるので、常に同じように打てるものではありません。

私が考えたアイデアは、自分に視認出来る尺度を単位として、カップに届くまでの素振りをリハーサルするというものです。例えば、私は小学生の頃から30センチの物差しに慣れ親しんでいるので、30センチなら単位として視覚化し易い。で、カップが図の①の30センチ先にあるとしてバックストロークし、次にその倍の②の先までの60センチの距離を転がすバックストロークの素振り、③までの90センチ先まで届くバックストロークの素振り…という風に全五回の素振りで1.5メートル先のカップに届かせるバックストロークの幅を身体に覚え込ませ、それを本番で再現します。

これは漠然と1.5メートル先のカップを見ながら素振りするよりも効果的です。

私のように練習でカップから1.5メートルの距離に立つことに慣れていれば、上のテクニックはロングパットにも応用出来ます。例えば6メートルの距離なら全体を四分割して1.5メートル単位の素振りをすればいいわけです。

(October 01, 2023)

ラウンド前、カップを狙わず練習せよ

 

スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)執筆のメンタルtips集より。

'Golf: The Art of the Mental Game'
by Dr. Joseph Parent (Universe, 2009, $24.95)

「ラウンド前にパッティングのウォームアップをする時は、先ずカップを狙わずにパットする。これだとカップを狙う時のようにプッシュしたりプルしたりせず、自然なストロークが出来る。この方式で毎回スウィートスポットで打て、ボールが順回転【註】で転がるようになるまで練習する。

【編註】「順回転」とは、ボールに描かれた直線がぐらぐら揺れずに一線となって転がる状態。

次に、ロングパットの練習をする。正しい距離を転がすために、どれだけ大きなスウィングをしなければならないか感じ取る。

サイド・スロープの中位の距離でカップを狙い、打つ強さとブレイク(曲がり)との関係を感じ取る。様々な強さとボール軌道の組み合わせを試す。

最後に60センチの距離のパットを数回行う。頭を動かさないことと、ボールがカップに転げ込む音を聞くことに集中する。そのストロークは実際上50センチや1メートルのパットと変わらない。ボールがカップに転げ込む『コロコローン』という成功の甘き音色によって自信が構築されることであろう」

 

(October 01, 2023)

Byron Nelson(バイロン・ネルスン)の頭

 

Byron Nelson(バイロン・ネルスン)はPGAツァーで1945年に年間18勝(連続11週優勝)するという前人未到の業績を挙げたプロです。

[Byron]

'Shape Your Swing the Modern Way'
by Byron Nelson with Larry Dennis (Golf Digest Inc., 1976)

「どんなに強調してもし足りないのは、頭を比較的静止させつつ下半身でダウンスウィングをリードするということだ。腰と両脚がターゲット方向に動く時、頭を後方に留めながら、下半身が顎を通過する感覚を作り出すべきだ。

以上を端的に表現すれば、《スウィングを完全に頭の下で行う》ということだ。あなたの身体は顎を通過し、両腕は頭が動く前にフォロースルーへと向かう。

インパクトの瞬間、多くのゴルファーは左肩の回転に伴ってあまりにも急速に身体と頭を上げてしまう。彼らは立ち上がった姿勢でボールの行方を見送る。彼らもそういうスウィングでたまには真っ直ぐなショットが出来るかも知れないが、いったんプレッシャーがかかるとこの左側の伸びる傾向によってプルやトップを招いてしまう。

一方、上級者は柔軟な膝、左サイドのリード、後方に留まる頭…などによって、インパクト・ゾーンを低く長く延長する。右サイドは下降するのであって、上昇したり回転したりしない。そして、クラブヘッドの軌道はボールを追って可能な限り低く留まる。

私の膝は終始柔軟さを維持し、他の誰よりも長く水平に動く。この脚の動きは万人に推奨するものではないが、私にとっては強みであった。

誰もが開発すべきは、リラックスした左サイド、スウィングの間じゅう頭を後方に留めることだ。インパクトで右肩が最も低い位置に到達するまでボールを見送ってはならない」

[icon]

Byron Nelsonは「頭を動かすな」とは云っておらず、「頭を”比較的”静止させる」と云っています。彼自身バックスウィングでは右に、ダウンスウィングでは下に頭を動かしていて、頑なではありません。しかし、彼がここで強調しているのは「頭を終始ボールの後方に留める」ということで、上体を(頭を含めて)左にスライドさせてはならない…と云っているわけです。

彼のバックスウィングでの上体の横移動は「スウェイではないか」と批判もされたそうですが、左にスライドしてはいないので実害はなく、ツァーで11連勝しているのですから勝てば官軍です^^。

(October 10, 2023)

「頭の研究」の成果

 

[Lydia]

「新・頭の研究」、「新・頭の研究【パート2】」、「新・頭の研究【パート3】」、「新・頭の研究【パート4】」(以上全てtips_207.html)と続いた研究は実を結びつつあります。ドライヴァーからアイアンまで、研究開始以前とは別人のような正確なショットが出るようになっています。もちろん、ミス・ショットも犯すので完璧とは程遠いですが(ツァー・プロでさえ完璧ではないですよね^^)。

ウッドもアイアンも手首を柔軟に保ってさえすれば、ストレートなショットを放てます。手首が強張っているとプッシュ、ゆる過ぎるとプルになります。

しかし、スウィングの間に頭(と上体)を左右に動かしていた時期に比べれば、物凄く正確になったと云えます。

最初頭を静止させてのスウィングを練習し始めた時は、「え?こんなんでいいの?」と思いました。左サイドに寄りかかる”リヴァースC”のスウィングのように思えたからです。しかし、鏡を見ながらスウィングすると、頭を静止させても身体が左にそっくり返っているわけではありません。そのまま背骨を軸として捻転すればいいのです。上体を左右に動かすスウィングはインパクトで見事アドレス時の背骨の位置に戻れればパワフルでしょうが、数センチでも左右どちらかにズレればボールの飛ぶ方向は「神のみぞ知る」という事態を招きます。頭を動かさなければインパクト時の背骨の位置を心配する必要はありません。

写真はLPGAプロLydia Ko(リディア・コゥ)のアドレス、トップ、インパクトですが、頭は左右には全く動かず、インパクトで少し下降しているだけです。Byron Nelsonよりいいスウィングと云えましょう^^。

慣れたとはいえ、折りに触れ点検は欠かしません。太陽を背に自分の頭の影を見ながら素振りします。その頭の影が左右に動かなければ「よしよし。これでいいのだ」と安心します。


(October 10, 2023)

基本忘るべからず

 

[left heel]

八月一杯ゴルフを休み、九月一杯リハビリに励み、最近なんとか以前の状態に戻って”社会復帰”出来ました。そのプロセスで痛感した大事なポイントを書き留めておきます。

・下半身主導のスウィング

これを遂行する最も簡単な方法は《バックスウィングで左踵を上げ、ダウンスウィング開始前に左踵を地面に下ろす》ことです。完璧に真っ直ぐで充分な飛距離が得られます。

「いまどき左踵を上げるプロなんかいない。第一古臭いじゃないか!」とおっしゃる?その通り。プロは自分のスウィングを確立しており、下半身主導のスウィングをマスターしています。それでなければプロになんかなれません。われわれ素人は違います。殆どが手打ちだし、下半身主導のスウィングの効能は知ってはいるが、マスターなんてとてもとても…の状態です。

古臭い、格好悪いと思うなら、仕方がありません。左踵の上げ下げはあなたとは縁が無かったということです。お好きなようになさればよろしい。


[pre turn]

・先行捻転

アドレス後、肩・腰・左膝を廻しながらクラブを手元で約30センチ後方に引くことを私は「先行捻転」と云っています(クラブフェースは当然僅かにオープンになります)。そこで1秒ほど静止した後、仮想ボール地点を凝視しながら本格的にバック・スウィングを開始します。

これはあるカナダのインストラクターが「ゴルフの最大の秘密」と公称していた技で、云ってみれば「合法的フライング」です。水泳ではルール違反ですがゴルフでは合法です。

私の場合、ドライヴァーの先行捻転は普通のスウィングより平均20~30ヤード遠くに飛びます。やらなければ損だと思います。

【参考】
・「先行捻転で飛ばす」(tips_161.html)
・「先行捻転の本格活用」(tips_195.html)

[Robin and Pooh]

・パッティング

パットする時のボール位置には二種類の説があります。1) 目の下。これは圧倒的に多い。2) Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)を始めとするスタンス前方(左踵の前)派。

私は数ヶ月スタンス前方にしてパットしてみましたが、画期的な改善は見られませんでした。で、従前の目の真下に戻したら正確度が増しました。なーんだ。

パットする際のボール位置は、個人個人のポスチャーやストローク技法によって変わるので最大公約数はないようです。

また、私の場合「パチン!」と打つと距離感がでたらめになります。距離はあくまでもバックストロークの長さで調節するのが原則で、インパクトで力を加えるべきではないと思っています。ストロークは図のようなブランコの往復運動であるべきです。

左肘の関節を軽くロックし(強過ぎると手・腕が強張ってしまう)、両腕で形成される三角形を崩さずに、ブランコのイメージでストロークします。これを悟った直後10メートルのパットを成功させることが出来ました\(^o^)/。

(October 10, 2023)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のチッピング【新編】

 

[Bobbyn]

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)がパッティングやチッピング、バンカー・ショットなどの未公開の写真につけた簡潔な解説が発掘されました。今回は彼のチッピングに関する解説の紹介。

'Classic Instruction'
by Bobby Jones and Ben Crenshaw (American Golfer and Broadway Books, 1998, $25.00)

「・ピンに近い場合には4番か5番アイアンを使って通常のランを得る。充分なバックスウィングをすれば、急速なギクシャクしたスウィングでなく、スムーズにクラブを動かせる【本の写真のバックスウィングは膝下の高さ】

・ピンからやや遠くなっても、スピン無しでグリーンにオンさせたいので、8番アイアンのようにロフトのあるクラブを選び、正確にボールを打つ。小細工せず単純にスウィングすることが常に安全な途である。【本の写真ではシャフトが地面と平行になるバックスウィング】

・チッピングも他のスウィングの基本と変わらない。充分快適に立ち両足を近づけて揃え、若干の腰の回転をし、バックスウィングで充分に手を使う。【編註:「充分に手を使う」というのはコックすることのようです。Bobby Jonesは手・腕を後方に伸ばすのではなく、右足の前方に留めた両手でクラブをコックしています】

そしてスムーズで流れるような、かつカッチリ断固としたダウンスウィングをする。

【編註:ここからはバンカー越えの40~50ヤードぐらいのショットの説明です。Bobby Jonesはピッチングとは云っていないのですが、コックが不可欠なピッチングを指しているのは間違いありません】

・この距離になるとniblick(ニブリック、現在の9番アイアンに相当)を選ぶ。大事なのは完全にコックすることと、左腕を伸ばし充分な長さのバックスウィングをすることだ」

(October 20, 2023)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のチッピング【映像分析篇】

 

[Bobby]

'Bobby Jones: How I Play Golf'(Warner Home Video, 2012)というDVDを見てみましょう。これはBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)が引退直後に撮影され、当時映画館での添え物として上映されたシリーズで、その中の'Chip Shot'という一篇です。

写真右のような距離で、多分ピンまでおよそ30ヤード。

Bobby Jonesはボールを右爪先の前に置き、4番アイアンを手に「ロングパットのように打てばよい」と説明します。屈み込まず、ゆったりと立った姿勢。この距離だと写真左のようにクラブシャフトは水平以下の角度のトップ。「やや下降気味に打つのがコツ」だそうです。ボールはグリーンの内側に着地し、ころころころころと長く転がってピン傍へ。

ピンから40ヤードほど遠ざかると、トップは少し水平より上になります。またもグリーン内側に着地させ、ランの多いアプローチ。

「チッピングをマスターする」(tips_207.html)のメソッドと全く同じで、(次の記事のテーマである”三角形”を除けば)食い違う点はありません。

なお、この短編映画シリーズに「ピッチング篇」はありません。彼の全盛時代、ピッチング・ウェッジというものもありませんでした。9番アイアンに相当するロフトの多いクラブで、3/4スウィングをするだけだったのです。


(October 20, 2023)

三角形を崩さずチッピングするのは無理

 

[chipping]

腕と肩で形成される三角形を崩さずにパッティングすることは、なんとか実行しています(もちろん、まだまだ完璧ではありません)。折りに触れ二本の棒をパターに装着した「三角形を崩さずにパットする練習法」(tips_208.html)を実行し、それを本番で再現しようと努力しています。

パッティングはいいのです。チッピングとなるとこれはとても難しい。これまでの私のやり方はテイクアウェイと同時に左右の手首をコックして、クラブシャフトを飛行線と地面の両方に平行にしていました。三角形を崩さないでバックスウィングをするということは膝を廻し左肩を廻し、手首を折らずに両手を後方に伸ばさなくてはなりません。10ヤードや15ヤードはまあなんとか。しかし、20ヤード、30ヤードとなると途方もなく手・腕を後方に伸ばす感じで、「これじゃ飛び過ぎるんでないかい?」という恐れを抱いでしまいます。以前に較べてトップのクラブヘッドが高く遠いところにあるので、正確にボールをヒット出来るか?という心配も湧きます。

そこで上の最初の記事で参考にしたBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の'Classic Instruction'(1998)という本を読み返しました。彼はチッピングにおける「三角形」なんぞに言及していないばかりか、写真を見るとバックスウィングでコックしており(写真)、手首を殺せなどとは云っていません。これなら私が前からやっていた方法と変わらないわけです(安堵)。写真は40ヤードのチッピングですが、かなりコックしています(私は40〜50ヤードはロブ・ウェッジの3/4スウィングでピッチしますが)。

思うに「三角形を保て」はBobby Jones以降の誰かが云い出したことのようです。私にとってはパッティングには役立つセオリーですが、チッピングにはどうも…。

しかし、試した範囲では三角形を維持すると方向性は抜群ですので、まだチッピングのメソッドを確立していない方はこれを試すといいかも知れません。

(October 20, 2023)

ショートパット成功の鍵【リズム篇】

 

イギリスのインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)のtip。彼は長くDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)の元で働いていました。

’Golf Skills: The Players Guide'
by Roger Hyder(Firefly Books, 2000)

「パットでミスする原因の多くは、フォワードストロークで減速してしまうことだ。ゴルファーの大半は正しいライン上でボールを転がせられるものの、正しい距離を打つのに困難を感じる。パット名人たちの全ては距離の長短に関わらずテンポとリズムをキープする感覚を備えている。

距離のコントロールは、良いフォロースルーを含むストロークの長さによって決まる。パターヘッドの減速を防ぐ鍵は、フォロースルーの長さをバックストロークの二倍の長さにすることだ。こうすればパターヘッドはボールを加速することが出来る。

・ドリル

練習グリーンの平らな部分を選ぶ。打つボールAの20センチ後方に別のボールBを置く。Bに触れないようにAを打つ。

スムーズな切り返しを心掛け、ギクシャクした動きをしないこと。振り子運動をしながらバックストロークの二倍の長さのフォロースルーをする。

[icon]

私の持論ですが(しかし、ともすれば忘れ易い)パッティングのコツは、重力との二人三脚のストロークです。

 

バックストロークの最終段階に達したら慌てず騒がず、パターヘッドが勝手にボール方向に戻ろうとする動きを待ち受けます。時計の振り子も両端で一瞬止まったように見えて、やおら下降を始めますが、あのタイミングを待つわけです。

人間の手・腕だけでストロークしようとするとついギクシャクした動きになり易い。そうではなく、パターヘッドが戻ろうとする動きにおんぶすれば、リズムもテンポも”母なる自然”のものなので、とてもスムーズでしっかりしたストロークが実現出来ます。

(November 01, 2023)

三角形パッティングの効果

 

[triangle]

このところ私のパッティングは好調です。必ず成功するわけではありませんが、距離感と方向性が向上したので長いパットをミスしてもカップの横10〜15センチで止まるという具合。1.5メートルぐらいなら危なげなく入る感じです。

「三角形を崩さずにパットする練習法」(tips_208.html)によって習得したストローク法の賜物です。両肘から下の手・腕で形成される三角形を崩さないよう努力することによって、方向性が良くなるようです。

以前の左腕・左肘を伸ばし右肘を折り曲げるストローク法に較べると、右肘を曲げずに飛行線後方に引くバックストロークがなんか木偶(でく、操り人形)になったようで最初は違和感がありました。しかし、その右肘を後方に真っ直ぐ引くことが左右の手首の捻れを防止しアドレス時のパターフェースの角度を保ってくれるのです。

これに、ブランコの動きのように重力がパターヘッドをボールに戻す動きのフォワード・ストロークをすれば完璧です。

【参考】「三ヶ月でハンデを33%減らす方法」(tips_167.html)


(November 01, 2023)

ミスを未然に防ぐ方策

 

以下は自戒です。打った後、「そうだよ、当然こうなるわな。おれは馬鹿だった」と思うことが多々あります。それを警戒し、事故を未然に防ぐようにしています。

[shot]

・ロング・ショット

初めてのコースなら別ですが、何度もプレイしているコースでは各ホールの右か左、どちらが危険か分っているわけです。何よりもそちらに打たないことを優先すべきです。

もし、右に障害物があるなら、1) (フェアウェイやグリーンの)左を狙う、2) クローズ・スタンスにする、3) グリップをゆるくする、4) フック・グリップにする、5) クラブフェースを少しクローズにする、6) 両手を低く構える…などのいずれか(あるいは複数)を採用し、絶対に右には行かないようにすることが出来ます。

障害物を避けようと緊張するとグリップがきつくなりますが、きついグリップはプッシュへの招待状です。リラックスしないといけません。

左に障害物がある場合は、1) (フェアウェイやグリーンの)右を狙う、2) オープン・スタンスにする、3) グリップをきつくする、4) スライス・グリップにする、5) クラブフェースを少しオープンにする、6) 両手を高く構える…などのいずれか(あるいは複数)を採用し、絶対に左には行かないようにすることが出来ます。

スウィングのテンポが早過ぎるとフックになるので、テンポにも注意。

・寄せ

グリーンサイドであろうとフェアウェイの斜面だろうと、「砲台グリーンの斜面からのチップ」(tips_197.html)の法則は完全に当てはまります。左足上がりの斜面であれば高く上がることによって10°につき10ヤード飛距離が減ります。ですから、必ずその勾配の度合いを判定しなければいけません。もし、ウィンター・ルールでボールをワン・クラブ動かせるなら、斜面ではなく平らなライを選ぶのが賢明です。たとえ、ワン・クラブ後方に戻すとしても。

「ピッチングとチッピングの距離調節・簡略版」(tips_195.html)の手法を使うと5ヤード単位で寄せられます。逆に云えば5ヤードの誤差があるとちゃんと寄りません。必ずボールとカップの横に廻って正しい距離を得るべきです(GPSもピンの位置に合わせないと正確ではありません)。ボール後方から見ただけだと距離が短く見えるのでショートし易い。同伴競技者がプレイしている間に”計測”を済ませればスロー・プレイにならずに済みます。

・ピッチ

必ず下半身と連動したスウィングが不可欠。小手先で打つとシャンクしたりトップしたりしかねない。

・チップ

短い距離だからといって小手先であしらうのではなく、膝の動きと連動させるようにするのがベスト。

・パット

慣れ親しんだホームコースのグリーンであっても、打つ前に「このラインは上りか下りか?」と自問すべきです。パットしてかなりオーヴァーした後、「下りだってことを忘れてた!」な~んて、とても人に云えない愚かなミスです。ラインの読みやストローク法以前の問題です。胸の内で「これは上りだ」、「これは下りだ」と再確認する必要があります。その情報を噛み締めながら素振りします。下りならカップ手前まで届く強さの素振り、上りならカップを少し通過する強さの素振り。本番ではその素振りの強さを再現します。ストロークする際、意識的に強めたり弱めたりしない。

以上、自戒でした。

(November 10, 2023)

Stay behind the ball(ボール後方に留まれ)

 

八月一杯ゴルフしなかったので、再開してからも安全第一を考えて、8.3センチのティーではなく7センチのティーを使っていました。7センチのティーでのドライヴァーに自信がついたので、8.3センチのティーを使ってみました。

[Brook]

結果は凄いプル。私がプルするのは身体がターゲット方向にスライドした時と決まっています。打ち直しの二打目は"Stay behind the ball"(ボール後方に留まれ)という文句を念頭に打ち、フェアウェイをキープ出来ました。

"Stay behind the ball"は、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)などを教えた伝説的コーチHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)が出版した最初の本'Harvey Penick's Little Red Book'(1992)に出て来る文句です。その記事を読み直してみました。

「スウィングの最中に頭を動かさないチャンピオンは存在しない。誰しも頭を動かす。しかし、偉大なプレイヤーはインパクト前後で頭を若干後方に動かすのであって、前方にではない。ホームラン・バッターも同じだ。

頭をターゲット方向に動かしたら、蝿叩きでハエを殺すことも出来ない。蝿叩きに力を篭めるには頭を動かさないか、後方に引くしかない。Byron Nelson(バイロン・ネルスン)はインパクトの瞬間、頭を約30センチ後方にしていた。

ボールの後方に留まるには、先ずアドレスでボールの後ろに頭をセットし、そこに頭を釘付けにするのだ。インパクトまでに頭をターゲット側に動かしたら、弱々しいショット、醜いショット、プル・スライス…のどれかと決まっている」

[icon]

ある日、前半で何度かミスをしたので後半は"Stay behind the ball"と唱えながらラウンドしました。そしたらNo.12(パー3)、14(パー5)、16(パー4)と三つのホールでバーディが転げ込んで来ました。No.12の25ヤードのチップインはまぐれかも知れませんが、No.14はピン傍30センチ、No.16は1.5メートルのパットを沈めたのでまぐれではありません。"Stay behind the ball"は頭を動かさないだけでなく、ボールを見据えた目もボールから逸らさないという素晴らしい効果があるようです。

"Stay behind the ball"(ボール後方に留まれ)は金言です。

(November 20, 2023)

短いパット成功の秘訣

 

これは伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)のtip。

'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)

「4フィート(約1.2メートル)ぐらいのパットをミスする原因はあなたの心にある。あなたはそれをとっくに知っていることだろう。だが、あなたが知らないであろうことは、どのように心を静め、可能な限り不安を除去するために自身の思考を整理することだ。

あなたが考える最悪の事柄は、『結果』である。もしミスしたらどれほどの損害になるか、もし成功したらどれだけの利益があるか等々。

ひたすら集中せよ。そういう『結果』に関する想念を全て心から洗い流してしまえ」


(November 20, 2023)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスタンス

 

[Bobby's stance]

以前から気がついていたことですが、Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のスタンスは狭いなんてんじゃありません。現在彼のようなスタンスでプレイするプロは皆無ですし、彼が活躍した時代でも彼は異質なまでに狭かったそうです。

一つには彼の少年時代に見たスコットランド生まれ・育ちのレッスン・プロの真似をしたせいもありますが、下半身をフルに捻転するスウィングをするためでもあったでしょう。幅広いスタンスをしていると左膝が完全に飛行線後方を向くようなスウィングは出来ません。彼にとってはどのショットをする場合でも(パッティングでも)下半身を捻転することが欠かせないものでした。

・ドライヴァー

現在の潮流は両踵を肩幅に広げるというものですが、Bobby Jones(図の左端)は肩幅よりずっと狭いスタンスです。かろうじて爪先を肩幅に開いている感じ。

ミドル・アイアン(図の中央)

アイアンになるとスタンスはさらに縮まり、両踵の間隔は約30センチです。

・チッピング

チッピングになると、両踵はくっつくほど近づきます。【注目】この時の右爪先前方のボール位置に注目して下さい。転がしではなく、Bobby Jonesはこのボール位置からボールを上げるチップアンド・ランをしました。パットをする時には、彼は逆にボールを左踵の前方に位置させています。

Bobby Jonesは、自著'Bobby Jones on Golf'(1966)で次のように述べています。「私の確固とした意見であるが、バックスウィングの間に左足から右足へと体重移動する必要はない。私は最上級のプレイヤーたちの数多くの写真を検討したが、明確に認識出来る体重移動は見つけられなかった。だが、ボールを打つ間に(腕やクラブに先行した)右から左への体重移動は起こるべきである」

つまり、Bobby Jonesは主に捻転・逆転でボールを飛ばしていたわけです。だからといって飛ばないわけではなく、彼は平均260ヤード飛ばし、必要とあれば300ヤード飛ばせたそうです(ヒッコリー・シャフトとパーシモン・ヘッドで)。

'Classic Instruction'
by Bobby Jones and Ben Crenshaw (American Golfer, 1998, $25.00)

上記の本でBen Crenshaw(ベン・クレンショー)はこう云っています。「最近のスウィングの傾向は広いスタンスで腰の回転を45°に抑え、肩を90°廻すというものだ。スウィングの間に身体をフルに使いたいなら狭いスタンスを選び、抑制したスウィングをしたければ広いスタンス。どちらも正しい。両方試してみて自分に合った方を選ぶべきだ」

(November 20, 2023)

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