17年もかけて100人以上の男女ツァー・プロのスウィングを撮影・分析し、それらの最大公約数をまとめた本のエッセンスを紹介するシリーズの最終回。
'Swing Like a Pro'
by Dr. Ralph Mann and Fred Griffin (Broadway, 1998)
本書でフィニッシュについては以下のように書かれています。
「バックスウィングの際には身体のフルターンを可能にするため、ごく僅かに左踵が浮く。逆にダウンスウィングでは右脚・足がターゲットに向かって突進し、さらに爪先で立った右足は前方にスライドする。これは小さな動きだが、偉大なプレイヤーたちに目立つ特徴である。
インパクト~フォロースルーの段階までは頭を上げずにその高さを維持すること。
プロたちは左右の手首を返したりしない。100 mph(約45 m/s)の早さの動作の最中に、手首を返してクラブフェースをスクウェアにするなどということは人間業ではない。不正確なショットへの招待状である。
クラブフェースをスクウェアにしてボールに当てようなどという意図的な動きをしないこと。両脚、上体、両手・両腕が正しく動けば、身体部品による努力など必要なく、クラブフェースは自発的にスクウェアになるものだ。
一般によく『インパクト後、すぐ左肘を折れ』と云われるが、トップ・プレイヤーたちのスウィングを研究すると、それは不可欠なものではないことが分る。
また『頭を下げ続けろ』とも云われるが、上体の動きにつれ頭は回転する。頭を下げ続けると、上体の自由が失われフル・フィニッシュは不可能になる。
頭をスウィング初期の位置に留めつつ、腰をターゲット方向に移動させれば、身体はリヴァースC("C"の文字を裏返しにしたカーヴ、左図)を描く。この姿勢は誰にとっても必要なものだ。これを反り返ったポーズと混同してはならない。頭が元のボールの位置に留まり、腰が遥か前方に動いた結果であって、上体を後方に戻すのとは完全に異なるものである。
最高のフィニッシュの特徴は、身体の各部品それぞれが適切に(どれかが出しゃばったり引っ込んだりせず)重要な役目を果たし、スピード・優雅さ・技術的技量などの美的融合による素晴らしい結果である。
両腕の勢いによってクラブは身体の背中に巻き付く。これは両手がいかに速く動いたかの証明である。
フル・フィニッシュでは、両方の膝と腰は全てターゲットを向き、上体はターゲットのほぼ90°左を向く。
最高のフィニッシュを言葉にすれば『完璧なバランス』である。凄まじい勢いの動作が完結した後、ちょっとやそっと押されてもびくともしない安定したポスチャーが望ましい」
私のフィニッシュはクラブヘッドが身体の背後に行けばいい方で、多くの場合ターゲットに向かって両手を突き出すようなものでした(右上図の右から二番目)。これは良く云えばカナダの異才Moe Norman(モゥ・ノーマン、1929~2004)もどきのフィニッシュではあるのですが、クラブ・シャフトが首に巻き付くようなフィニッシュ(図の右端)に較べると勢い不足、パワー不足と云われても仕方がありません。LPGAツァー・プロたちのほとんどは最初の写真のようにシャフトが首に巻き付き、右肩はターゲットに向き、クラブヘッドも背中越しにターゲットを指すようなフィニッシュをしています。
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)はどうだったかと調べてみると、彼もクラブシャフトが首の後ろを叩くようなフル・フィニッシュをしていました(右の写真)。さすがです。
遅ればせながら室内で重く短い練習用クラブを振って、プロのようなフィニッシュが身につくように練習を始めました。しかし、本番になるとなかなかこういうフィニッシュになりません。唯一、この本の筆者たちが説く「2秒でスウィングせよ」(6/20)を実行するとフル・フィニッシュ出来ることに気づきました。速いスウィングだと勢いがつくため途中で止まれないのです。
【シリーズ目次】
・'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)[本の紹介]
・ニュートラル・グリップはなぜいけないのか?(tips_203.html)
・アップライトにアドレスすべき理由(tips_203.html)
・アドレスで決まるショットの成否(tips_203.html)
・正しいバックスウィングの手順(tips_203.html)
・スウィングのトップで為すべきこと(tips_203.html)
・プロ的切り返しをすべし(tips_203.html)
・ダウンの開始で右肘を引き下ろせ(06/04)
・ 飛距離に必要な角度は45°である(06/12)
・ 2秒でスウィングせよ(06/20)
(June 12, 2022)
●Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)の教訓
私がドライヴァーを打つ時はもともとストロング・グリップでしたし、アップライトに構えてもいました。しかし、《オープン・スタンス、オープンな肩》は(知ってはいましたが)さほど気に留めていませんでした。この本を読んでから必ずアドレス時に実行しています。そして、その恩恵にも与っています。
バックスウィングからトップへの体重移動と両手の動きも、まあ過不足なく出来ていたと思います。
最初の衝撃は、《ダウンの開始で右肘を引き下ろせ》【パート7】というものでした。これはこの本によって初めて知ったことです。こうすることによってスウィング軌道をフラットにし、それが同時にインサイドからのインパクトに繋がるのでクラブヘッドがスクウェアになります。
Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア、左図)の急角度のダウンスウィングの秘密はこれだったのです。昔、彼の急降下するクラブに驚嘆したものですが、《ダウンの開始で右肘を引き下ろせ》を実行すればいとも簡単に“ガルシアもどき”になります。よく見ると、ガルシアのクラブも背後にフラットに降下しています。
最近、たまたまBen Hogan(ベン・ホーガン、写真)のヴィデオを見る機会がありました。Ben Hoganもダウンスウィング開始に当たって右肘を身体の右側面にくっつけ、(縦にではなく)背後からかなりフラットな軌道で振り下ろしています。ここで面白いことに気づきました。Ben Hoganの場合、左腕が地面と平行の地点を過ぎているというのに左腕とクラブシャフトが作る角度は45°以下に見えます。しかし、これは錯覚です。彼は背中の方へクラブシャフトを寝せて(フラットにして)いるから急角度に見えるだけで、実際にはトップで形成したコックの角度のままだと思われます。《飛距離に必要な角度は45°である》を実行するためにコックを強めたりする必要はなく、シャフトをフラットにすればそう見えるのです。もちろん、本当に45°以下にすればより遠くへ飛ぶでしょうが、45°にするためにウェイト・リフティングで鍛える必要はなく、右肘を身体の右側面にくっつけさえすれば誰にでも出来るということです。
Ben Hoganの腰を落としたスクァット姿勢、完全に左足に移した体重も印象的です(唯一、右爪先で地面を蹴っていないことだけが今回のシリーズの趣旨と合っていませんが)。
最大の衝撃は《2秒でスウィングせよ》【パート9】です。私は昔からスローなスウィングをしていて、飛距離よりも正確なショットが出来ることで満足していました。PGAツァー・プロたちの急速なスウィングを見ても、別世界のことだと考えていました。彼らは契約したクラブ・メーカーに義理だてして10ヤードでも余計に飛ばさなくてはならないのだろうし、短いパー4ならワンオンさせる気なのだ…そう思っていたのです。
しかし、この'Swing Like a Pro'によれば、バックスウィング開始からインパクトまでたった1秒であるとのこと。これを真似しろなんて蟻に蚤のように跳ねろ、雀に隼の速度で飛べ、豚に馬のように走れというようなものです。無理難題。とは云え、ゴルフスウィングに勢いが不可欠であることは解りますし、早くスウィングすれば小手先で余計な動きをする時間がなく、いい軌道のスウィングが出来そうな気もします。で、ただいま少しずつスウィング速度を早める努力をしています。いつ《2秒でスウィング》を達成出来るのか見当がつきませんが…。
右手が首に巻きつくような《フル・フィニッシュを目指せ》【パート10】もかねてからの懸案でした。わかっちゃいるけど出来なかったのです。完璧なフル・フィニッシュが勢いのあるスウィングの証明であることは分かっています。山手線の東京駅がトップとすれば、有楽町駅(インパクト)で停まるのではなく、新橋駅あるいは浜松町駅まで振るフィニッシュでなければいけないのです。
課題は山積みですが、山岳縦走と同じで「あの峰に登る、そこを降ると次の峰が待っている」と思わなくてはなりません。目標があるということは楽しいことでもあります。
(July 01, 2022)
● ロブウェッジを酷使してスコアを減らす
「ロブウェッジは難しい」と云われますが、バンカー用の"bounce"(バウンス、底部の肉厚の度合い)の多いロブウェッジをフェアウェイで使おうとするから難しいのです。バウンスはバンカーでは役に立ちますが、固い地面ではヘッドが撥ね返されてしまってトップします。ピッチングとチッピングに使うロブウェッジのバウンスは4°~7°であるべきです。バンカー用ウェッジのバウンスは10°~14°もあります。こういうウェッジをピッチングとチッピングに使おうとすれば難しくて当然です。ゴルフ用品店で60°というロフトだけ見てバウンスを確認しないで買って来てはいけません。
私は四本のウェッジをバッグに入れています。
ピッチング・ウェッジ(ロフト:47°)私の飛距離:80ヤード【3/4スウィング(以下同じ)】
ギャップ・ウェッジ(ロフト:52°)私の飛距離:70ヤード
サンド・ウェッジ(ロフト:56°)私の飛距離:60ヤード
ロブ・ウェッジ(ロフト:60°)私の飛距離:50ヤード
(私の60°ウェッジのバウンスは7°)
「エイジのチッピングは"deadly"(正確無比)だ」と云われたことがあります。「誰が何と云おうと、ショートゲームではエイジが一番だ」と云われたこともあります。もちろん、これらは褒め過ぎですが、私自身の野望はショートゲームの達人になることですから、その第一歩として仲間から認められるのは嬉しいことです。本当に正確無比なら、ワンラウンドで三回ぐらいチップインさせなければいけないでしょうが、残念ながらそこまでの技倆はありません(^^;;。
しかし、ピン傍に寄せることには自信があります。方向と距離の両方が正確であることが望ましいのですが、以下に述べる方法で距離のコントロールだけは抜群です。
私がプレイするコースは市営で値段が安いのだけが取り柄のコースで、地面も凸凹しており、禿げちょろけの場所もあったり、グリーンはほぼ全て砲台、グリーン周囲の芝も長かったり…で非常に難しいのです。それでも転がす向こう見ずな人もいますが、私は転がすと異様な方向へ跳ねたり、長い芝で急停止したりするのが嫌なので、必ずボールを宙に上げてグリーンに着地させることにしています。ですから、50ヤード以内では60°ウェッジを酷使することになります。
あまり知られていないことですが、ゴルフ・クラブは1インチ(2.5センチ)短く持つと10ヤード飛距離が減るという設計になっています。だったら、1/2インチ(1.25センチ)刻みなら5ヤードずつ打ち分けられるじゃないかと思いました。60°ウェッジのハンドルのフルショットのためにグリップする位置(親指の先端)を基点とし、そこから1.25センチおきに目印をつけました。【御注意】触れて判るような目印はルール違反となりますので、私はホワイト修正液でつけた目印にマジックで彩色しています。これは触っても感じ取れないのでOKです。【註】この件についてはUSGA(米国ゴルフ協会)に問い合わせました。日本はR&A(英国ゴルフ協会)傘下ですが、ルールは世界共通です。
私の色分けは左図のように基点(手元)が黄色、そこから1.25センチおきに紫、白、緑、赤、青(最先端)となっています。握るポイント(親指の位置)は合計六種類となります。この六つの握り方と右図の1~3という異なる幅のバックスウィングの組み合わせで10ヤードから50ヤードまでを打ち別けます。
ハンドル最先端の青色の目印は10ヤードと15ヤード共用です。10ヤード打つ場合には右図の1のバックスウィングをします。これは両手が僅かに右膝の外に出る程度。15ヤード打つ場合も同じ目印で握りますが、右図の2のバックスウィングをします。ターゲットラインと平行にテイクアウェイし、クラブシャフトが地面と平行になったところがトップです。
20ヤード打つ時にはハンドルの赤い目印で握り、右図の2のバックスウィングをします。クラブが地面と平行になるトップです。
25ヤード打つ時にはハンドルの緑の目印で握り、右図の2のバックスウィングをします。
ハンドルの白い目印は30ヤードと40ヤードに共用です。右図の2のバックスウィングをすれば30ヤード、右図の3の3/4スウィングをすれば40ヤードです。
ハンドルの紫色の目印も35ヤードと45ヤード共用です。35ヤード打つ時は右図の2のバックスウィングで、45ヤード打つ時は右図の3の3/4バックスウィングをします。
多くの場合、ピンまで20ヤード、30ヤードなどときっかりの距離ではありませんから、22ヤードなら赤い目印のちょっと上を握り、28ヤードなら白い目印のちょっと下で握ります。
以前はもっと複雑な組み合わせでしたが、次第にこのようにシンプルなメソッドに収斂しました。文字で読むと複雑なようですが、実際にはとても簡単です。ハンドルの赤い印が20ヤードであることだけ覚えれば、そこから5ヤード刻みなのですから。
以下、老婆心ながらロブウェッジでチップ・ショットをする際の留意点をメモしておきます。
・60°のロフトを活かすには地面の上を水平に滑らす必要があります。ボールを上げようなどとすると先ず地面を打ち、跳ね返ったヘッドで図のボールのCあたりを打って、ゴロやホームランになりがちです。プロは図のA地点を狙ってボールを押し潰してディヴォットを取りながらバックスピンをかけますが、アマチュアはせいぜいボール先端のBを狙えれば上の部でしょう。私はボールと地面の接点であるD地点にウェッジのリーディング・エッジを打ち込むようにしています。
・80を切るレヴェルのロブ・ショットではプロのように急停止したり、こちらに戻って来たりすることは滅多にありません。1ピンの長さぐらいのランを見込んでおくべきです。幸運なチップインというものは、大体において着地後前方に転がって入るもの。ピンに直接当たって垂直に落下するというのは奇跡で、普通斜め横に弾かれます。常にピンの手前に着地させるのがベストです。
・左右平均に体重をかけるのがスタンダードですが、受けているグリーンへのチッピングでランを増やしたい場合は左足体重、下りのグリーンでランを減らしたい場合は右足体重にします。
・正確にチッピングしようと思ったら、鏡を横に置いて足・膝・腰・肩がスクウェアに目標を狙っているかどうか確認すべきです。私の場合、右脚が僅かに長いせいで普通に構えると自然にオープンになってしまい、肩は目標の左を狙ってしまいます。これではチップインなど期待出来ません。私の体型の場合、左膝を内側に押し込むか、長い右足をターゲットラインから少し下げる必要があります。こうすれば正しい方向性が得られます。
「転がし」だとボールからグリーンまでの距離、エッジからピンまでの距離などによってクラブ選択に悩まなくてはなりませんが、ロブウェッジで攻める分には悩むことはありません。唯一警戒すべきは砲台グリーンへ左足上がりでチップする場合です。この状況では必ずショートしますが、その原理解明と対策については下記「砲台グリーンの斜面からのチップ」をお読み下さい。
【参考】
・入射角・反射角(tips_23.html)
・砲台グリーンの斜面からのチップ(tips_197.html)
(July 15, 2022)
●2秒でスウィングする練習
'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)という本(1968)が与えてくれた課題は沢山ありますが、私にとって最も難しい「2秒でスウィングせよ」(6/20掲載)に挑戦してみました。
先ず著者たちが示唆するように、模範とすべきプロを探しました。DVDのBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)はまさに2秒でスウィングしていました。YoutubeからダウンロードしたLPGAのLydia Ko(リディア・コウ、右図)もJin Young Ko(ジン・ヤン・コウ)も2秒でした。Sam Snead(サム・スニード)も2秒。彼が「一緒に回る時、(その速い速度に)影響されたくないので見ないようにしている」と語ったBen Hogan(ベン・ホーガン)のスウィングは、切り返しでバネのように即座に折り返し、振り子のように一瞬静止しないので2秒より短く振っていました。これは模範になりません。
2秒というととてつもなく速そうですが、プロたちには急いだ印象はなく「せー・のっ!」(あるいは「ワン・トゥー」)というテンポでスムーズにスウィングしています。慌てる必要はないわけです。ついでなので、他の'Swing Like a Pro'の留意事項も交えて練習を開始しました。裏庭で、ボールは無しです。
・先ずメトロノームで2秒のテンポに耳を傾けました。
・Shift-Turn-Shift-Turnを確実に行いながら素振り。【参照「2秒でスウィングせよ」(6/20)】
・切り返しの直後に右肘を右脇につけるのを忘れないようにする。【参照「ダウンの開始で右肘を引き下ろせ」(6/4)】
・シャフトが背中に廻るようなフル・フィニッシュを目指す。【参照「フル・フィニッシュを目指せ」(7/1)】
やってみると、上の全てを一度に遂行しようというのは無謀でした。先ず、2秒でスウィングするという速度を身につけ、おいおいに細部に手を入れて行くというのがよさそうです。スローなスウィングだった私にとって2秒というのは高いハードルに思われましたが、メトロノームと一緒にスウィングする限りにおいては無理な注文ではないという気がしています。
(July 15, 2022)
●不調の際は即効薬でスコアを減らす
・とにかく左腕を伸ばす
自信がない時はともすれば左腕をピンと伸ばさず、左肘がやや折れたアドレスをしがち。これがインパクトで伸ばされると、ボールはヒールの部分で打たれるためどこへ飛ぶか分らないことになります。左腕を伸ばしてアドレスし、遠心力で左腕を伸ばしたダウンスウィングをすれば、クラブのど真ん中で打たれたボールは快音を発して離陸し、満足出来る場所へ着陸します。
・身体の軸を左右に動かさない
目一杯の距離を望んだりすると、バックスウィングで後方にスウェイしやすい。これはインパクトで身体の軸がアドレスした地点に戻るのを難しくするため、ボールとの良いコンタクトが得られなくなります。また、力一杯打とうとすると、身体がインパクト前からターゲット方向にスライドしてしまい、フェースがオープンのまま打ってしまってスライスさせるか、時期尚早にクローズにしたインパクトを迎えて盛大なプルを招いたりします。ゴルフ・スウィングは捻転と逆転であって、左右どっち側であれ横移動は避けなければいけません。右図のように身体の右に突っかい棒があると想定すれば、バックスウィングのスウェイを防げます。ダウンスウィングでの左へのスライドを防ぐには、右膝の上で逆転する…と考えるとうまく行きます。
・アイアン・ショットはヒット・ダウンする
ヒット・ダウンすることがクラブのロフトを正しく使うことを意味し、クラブに期待される軌道と距離をもたらしてくれる条件です。しかし、それは物理学の範疇であって、われわれの本能はつい図のCの部分を見ながらボールを打ち上げようとしがちで、これはトップしたりゴロを招く要因になります。プロのようにボールを押し潰しながらボールの前方(進行方向)約10センチの地面(図のAのもっと先)を抉(えぐ)るのが理想です。心理的にA地点を打つのが難しいという場合は、少なくともボール前部の上端(図のB)を凝視し、そこを打つようにすればA地点を打つのに近い効果が得られます。ウェッジ・ショットの場合は、私は地面との接点(図のD)にリーディング・エッジを打ち込もうとします。ヘッドが地面でつっかえると【=ザックリ】ショートしますので、振り抜く勢いが不可欠です。
・チッピングではメリハリのあるショットをする
短い距離だと、ついゆっくりとボールを撫でるようなスウィングをしたりするものですが、これでは望んだ軌道で飛ばず、期待した距離も得られません。バンカー越えのショットであれば、メリハリのないスウィングはショートしてバンカーに入っちゃいます。メリハリをつけようとすればボールに推進力を与えます。ポコンと打つのではなく、バシッと打つという感じ。たとえ距離が10ヤード、15ヤードであってもメリハリが必要です。そして、ボール底部と地面の接触点(上図のD)を凝視し、そこにウェッジのリーディングエッジを打ち込めば、適切な軌道、適切な距離が得られます。
・シャンク防止に手首を緩める
シャンクの原因は色々ありますが、その一つはガチガチに固めた手首です。「メリハリのあるショットをする」のと強ばった手首でスウィングするのは大違いです。緩めた手首でもリーディングエッジをボール底部と地面の接触点にシャープに打ち込むことは可能です。しかし、強ばった手首でインパクトを迎えると往々にしてシャンクします。手首が自由に返らないせいです。
・ボールを凝視する
ボールを「見る」では不足です。ボールを見ていても上の空であっては「心ここにあらず」だったりして、本気で見ていることになりません。穴のあくほど「凝視する」必要があります。さらにボール全体をぼやっと見るのではなく、ボールのディンプルやロゴに意識を集中するのがベストです【パッティングではボールの天辺ではなく、図のBあたりのディンプルを凝視するとボールに推進力を与えることが出来ます】。
・視覚化でリハーサルしておく
自宅から駅(あるいはバス停)へ向かう道筋を思い浮かべる際、自然に通りや曲がり角、近くの建物や交差点などが目に浮かぶ筈です。それと同じように、ボールが飛ぶ道筋を目に浮かべれば、結果がその通りになる可能性が高くなります。ぼんやりと「真っ直ぐ打とう」と考えるのでなく、克明にボールの弾道を心眼で“見る”ことはショットの設計図を作成することであり、潜在意識に命令を与え設計図の意図通りに身体の筋肉を動かすことを指示することになります。この手順をうまく使うことが、ゴルフ上達の鍵の一つです。
(August 01, 2022)
●ダウンヒル・チップ
左足下がりのライはボールを上げるのが難しい。以下はインストラクターTom Stickney(トム・スティックニィ)によるtip。筆者はピッチと云っているのですが、トップが小さいので「チップ」という方が相応しいと思います。
'How to pitch clean from a downslope' by Tom Stickney
from 'The Best Instruction Book Ever!--Expanded Edition'
edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2012, $29.95)
「この状況を克服する鍵はセットアップを変えることにある。
1) 通常のセットアップではなく、先ず両足をほぼくっつけて揃え、爪先をターゲット・ラインから45°左に傾ける。
2) ボールは右踵(誤植ではない。右踵である)の前方に位置させる。
3) ゴルファーの鼻はややボールの先(ターゲット側)で、両手はクラブヘッドよりかなり前で構える【ハンド・ファースト】。
上の体勢をとった後なすべきことは手首をコックし、地面と平行になるまでクラブを持ち上げ(その位置がトップ)、最初から最後までハンドル(グリップ部分)がクラブヘッドを先導するように打ち下ろすことだ。クラブヘッドが両手を追い越してしまうと、ダフりを招くので厳禁である」
(August 01, 2022)
●パット練習でスコアを減らす
パッティングに王道はありません。当サイトにパッティングtipはごまんとありますが、ポスチャーからストローク、メンタル面まで方法は実にさまざまです。へんてこりんなポスチャーでも妙ちきりんなストロークでも、ボールがカップに入りさえすればいいので、パッティング・ストロークに関しスタンダードは存在しません。
しかし、私には自分で開発したストローク練習法があり、これだけは誰にでも紹介出来る自慢のものです。
パターヘッドに長めの直線の物体を貼り付けます。私は鉛筆を貼り付けましたが、割り箸でも竹串でも何でも構いません。その後で、床あるいは地面に置いたクラブ・シャフトの上でパターを動かします。バックストロークはストレートに引かれようがややインサイドに引かれようが問題ではありません。フォロースルーがシャフトの真上に留まること、それが重要です。
なぜ鉛筆などを用いるかというと、それがフェースがスクウェアであるかどうかを如実に示してくれるからです。パターヘッドに描かれた直線だけでは短か過ぎて、われわれの目に多少のズレは感じ取れません。しかし、ヘッドに長めの直線の物体を取り付けると、それが直下のクラブシャフト(=ターゲットライン)にスクウェアに重なっているかどうかが瞬時に明瞭に判定出来ます。【註】クラブシャフトを選んだ理由は、これだとラウンド前の練習でも、あるいは(鉛筆無しであれば)ラウンド中の練習でも誰憚ることなく、しかも簡便に実行出来るからです。
この練習に慣れたら、アドレス後目をつぶってストロークし、フィニッシュした段階で目を開け、鉛筆が下のクラブシャフトと完全に重なっているかどうか確認します。これは下にクラブシャフトが無い本番でのパットのシミュレーションで、真の実力が試されます。僅かでもずれていたら左手首か左肘が勝手な動きをした可能性があります。あるいは肩のアライメントが狂っているか。身体のどこに原因があるのか徹底的に調べ、上図のような完璧なフィニッシュになるよう努力します。
右脚が左より僅かに長い私の場合、普通にスクウェアにアドレスすると自然に膝も肩もオープンになってしまいます。それを相殺するため、私は左膝を内側に押し込みます(あるいは肩がスクウェアになるまで右足を後方に下げても同じ効果が得られます)。この調整を行うようになって、私のパットは格段に正確度を増しました。このような体型の方には御一考を強くお勧めします。
上の練習によってスクウェアなストロークのフィニッシュが得られるポスチャー、ストローク法を探します。得るべき正しい結果を目標にして、逆に他の全ての要素を構築します。俳句を作る時、最終的に五七五に納めることを目的とするのと同じことです。
私は他のゴルフショット同様、パターヘッドのスウィートスポットでボールの真ん中を打つことが重要と考えます。そのためには手・腕が伸びたり縮んだりせず、必ずスウィートスポットで打てるポスチャーが必要です。体重が前後左右に動かないことも重要です。そして、人間の身体で最も自由に動く手首の動きを制限しなければなりません。手首の動きはホンの数ミリの差も大事なパットを台無しにします。
どんな方法を用いてもルックアップ(ヘッドアップ)すればボールはカップから逸れてしまいます。それは早く結果を見たいという欲望、どう転がるか自信がないという不安、その他色んなものが綯い交ぜになっているメンタルな問題です。ルックアップを防止するには、以下のような方法があります。
1)「メンタル・タフネスを身につけてスコアを減らす](tips_202.html)で書いたように、中国14億の人民に思いを馳せる。あなたのパットが彼らにとって何の意味もないことだということに気づけば、「入れたい」「バーディを得たい」というような欲念・雑念が消え去って、ルックアップなど無しでピュアなストロークが出来ます。
2) パターが左爪先を通過するまで、ボールを見送らない。
3) ボールを凝視し、打った後ボールの残像を見る(右図)。
4) ボールがカップに転げ込む音がするまで待つ。
臍下丹田(右下の写真の◎印)に力を篭めると肩の強ばりがとけ、両手・両腕が軽く感じられるようになります。これはパットだけでなくフルスウィングにも有効で、スウィングスピードが上がります。
私はスコアカードに各ホールのパット数を記録しています。18ホールのパット総数を30以下にするのが目標です。南ア出身のプロBobby Locke(ボビィ・ロック、1917~1987)は、全英オープンに四回優勝し、米PGAツァーでは「あまりにも上手過ぎるのでツァー参加資格を剥奪された」という伝説があるほどの人ですが、彼は「32パットのラウンドはまあまあの出来、30パットだったら上出来、28パットが本当の目標だった」と語っています。プロにとって「30パットが上出来」だったら、われわれ素人の28は最高の出来と云えるでしょう。
3パットが多いとしたら、多分アプローチ・パット(入れようとするのでなく寄せようとするパット)に問題があります。Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)でもないのに、長いパットを欲張って入れようとするから数メートルもオーヴァーしたりショートしたりするのです。「しかし、おれだって長いパットをねじ込んだことがあるぜ」とおっしゃるかも知れませんが、それは奇跡だったのです^^、実力ではなく。中部銀次郎は「1メートルのパットならどんなラインからでも入れられるという自信がつくまで練習し、アプローチ・パットはカップから半径1メートルの円内に寄せる」と云っていました。理想的には上りのラインが残るように寄せたいものです。 (August 15, 2022)
この記事は、筆者Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)が'Swing Like a Pro'に影響されていることもあって、'Swing Like a Pro'の簡潔な要約と読むことが出来ます。
'Anatomy of Greatness; Lessons from the Best Golf Swings in History'
by Brandel Chamblee (Simon & Schuster, 2015, $30.00)
Brandel Chambleeは、PGAツァーで四勝したプロで、現在はThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のメインの解説者。彼はインストラクターAlex Morrison(アレックス・モリスン、生没年不詳)を尊敬しており、彼の弟子でBen Hogan(ベン・ホーガン)を教えたHenry Picard(ヘンリィ・ピカード、1906~1997)、そしてHenry Picardが教えたJack Grout(ジャック・グラウト、1910~1989)という系列が好きなようです。御存知のようにジャック・グラウトはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の師匠でした。ツァー・プロではBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)、Byron Nelson(バイロン・ネルスン)、Mickey Wright(ミッキィ・ライト)、Jack Nicklaus、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)などが好きなようです。
彼はこの本で古今の名人たちのスウィング各部の共通項を抽出して、それらの重要性についてわれわれの注意を喚起し、忘れ去られたテクニックにはその復権を試みています。
「・グリップ
左手は人差し指の第二関節から掌の下方の膨らみの下にかけて握り、Vの字は右肩を指す。親指はハンドル中央の右寄りに添える。右手も先端は人差し指の第二関節に当てるが、後端は小指の付け根に当てる。右手の親指はハンドルの真上ではなく、そのやや左側を押さえる。右手のVの字も右肩を指す。これが世界的に成功したプロたちのグリップである。
【参照】「Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)推奨のグリップ」(tips_203.html)
・スタンス
「数人の例外を除いて、Ben Hogan(ベン・ホーガン)からTiger Woods(タイガー・ウッズ)に至るまでの名人たちは、(多少のズレはあるにしても)ドライヴァーでは両足内側を肩幅に広げるスタンスをしている。
もしスタンスがあまりにも狭いと、バックスウィングで正しい幅でクラブを充分に低く横に引けないだろう。捻転は充分に可能だとしても、基盤が捻転を支えるだけ充分広くないので、体重を右外へ移してしまう危険がある。これは安定感とパワーを失う要因である。
スタンスが広過ぎると、上半身と下半身を遠く後方に動かして正しいダウンスウィングを始めるために必要な基盤を作るのが難しくなる。
・右膝
名人たちとそうでない者を分ける要素は沢山あるが、下半身の上手な使い方もその一つである。ほぼ全ての偉大なゴルファーがスウィング開始前に右膝を内側に押し込む。【上の写真のBen Hogan(ベン・ホーガン)の右膝参照】テイクアウェイ開始の引き金となるこの右膝を内側に押し込む動きを、短距離走者のスターティング・ブロック(足止め装置)と考えるべきである。多くの中で特にGary Player(ゲアリ・プレイヤー)やMickey Wright(ミッキィ・ライト、LPGA、1935~2020)などが目立つ代表である。
【編註】これは右へのスウェイ防止装置としても役立ちます。私も長い間この方法をスウェイ防止のために採用していたのですが、方向性を正しく保つには、私の体型的理由で左膝を内側に押し込むべきであることに気づき、右膝は考えないことにしました(両方の膝を内側に押すと窮屈なので)。しかし、右の足止め装置がないことによってダフりが時々出ます。上の部分を読んで最終的に私は右膝を入れる方式を復活させることにしました。その後右肩を背中側に引けば方向性も保てる…という折衷案です。これはダフりを撲滅し、ストレートなボールを打つのに役立っています。
Mickey Wrightはその著書で、右足外側でボールを踏みつけながらスウィングするという練習法を紹介している。【編註:彼女はツァー82勝、そのうちメイジャーは13勝もしています】
・ボール位置
Bobby Jones、Ben Hogan、Jack Nicklausらは、どのクラブでも左踵内側というボール位置を変えない。
・ポスチャー
アドレスで背を丸めたり凹ませたり、真っ直ぐ伸ばそうなどとしてはいけない。名人たちは自然にゆったりと構える。
【参照】「アドレス時の背中の角度(改訂版)」(tips_203.html)
・アライメント
クラブフェースは飛行線にスクウェアにセットするが、スタンス(両爪先を結ぶ線)と左肩は若干飛行線の左を向くべきである。こうすればボールが右へ出るのを防ぐことが出来る。
【参照】「ツァー・プロはオープン・スタンスを好む」(tips_203.html)
・左踵の上げ下げ
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)のように、バックスウィングで左踵を上げ、ダウンスウィング開始の前にその左踵を下ろすべきである。これは捻転を容易にし、下半身の故障を防いでくれる。
【参照】
・「Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)の左踵を上げてスウィング」(tips_169.html)
・「左踵の研究(身体に優しいスウィングをせよ)」(tips_203.html)
・切り返し
ダウンスウィングに移る時点で、多くの名人たちが僅かに左腰を右よりも低くし、左足にプレッシャーをかける」
(September 02, 2022)
●トップからスウィング軌道をフラットにする効果
以下は、上記「Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)推奨のスウィング」に含まれていない要素です。これも忘れないようにしたいものです。
'Swing Like a Pro'シリーズが明らかにしたゴルフ・スウィングの秘訣はいくつもありますが、中でも《トップからダウン・スウィングに移る時に右肘を身体の脇につけ、スウィング軌道をフラットにする》が重要です。
私は最近コースがグリーン改造中なので、ロング・ゲームの練習としてラウンドしています(ショート・ゲームとパットを省略)。'Swing Like a Pro'が説く要素を漏れなく遂行しているつもりでもミス・ショットが出ます。その原因の一つはダウンで右肘を身体に引き寄せることを忘れた時です。よくてプッシュ、悪くてザックリになります。右肘を下ろせば軌道がフラットになるので、ザックリなど起きません。気が緩んだり、力んだり、急(せ)いたりすると、つい軌道をフラットにすることを忘れがちになります。
(September 02, 2022)
●ミスを減らしてスコアを減らす 【パート1】
・スライスとフック
原因はスウィング軌道とか様々ありますが、最も重要なのはトップでの左手首の角度です。正しいトップは、写真の左手首のように平らであるべきで、これがストレートにボールを打つ基本です。左手首がフラットに保たれていれば、連動してクラブフェースもスクウェアなまま保たれます。この相関関係を知っていれば左手首の重要性が認識出来る筈です。
もし、左手首が甲側に凹型に折れるとスライスを生む可能性大になります。
もし、左手首が掌側に凸型に折れるとフックを生じる可能性大になります。
正しい角度を練習するには、左手に腕時計をはめ、30センチの物差しを挿入してそれに手首がぴったり添うようなトップを形成します。
・シャンク
シャンクの原因はボールに近く立ち過ぎていることだというのが定説ですが、それだけではありません。目一杯の力で打とうとか、ダウンブローにビシッと打とうなどと、ぎゅっと握り締めた固い手首でスウィングする時にもシャンクします。
下半身主導のスイングを忘れ、手打ちをした時にもシャンクが起こります。特にダウンスウィング早期に右手を伸ばしてしまうとシャンクが出ます。「ぴったりピンにつけよう!」、「しっかり打とう!」と必死になった時にシャンクが出るのは、打ち急いで右手主導になっているからです。下半身を動かさない方がいいのはパッティングだけと云ってよく、他の全てのショットでは下半身に引っ張られて手・腕が動くと正しい方向にヒット出来ます。
・ダフり、トップ
これらにはボールを上げようという意識が災いしています。ボールを宙に浮かべるのはクラブに備わったロフトの役目なので、スウィング軌道は上昇軌道ではなく下降軌道でなくてはなりません。プロはボール前方(ターゲット方向)10センチの地面を打つそうですが、われわれは左図のA地点あたりが打てれば上出来でしょう。
インパクトで手・腕が縮こまったり、体重が身体の背後に移るとボールのC地点を打つのがトップですが、ダフってもトップします。図のDの遥か後方を打った場合、クラブヘッドは地面で撥ね返されてCを打つことになり、ゴロになってしまいます。
・ポップアップ
ポップアップは、レギュラー・ティーから打ったボールが目の前のレディース・ティーに落ちるようなショットで、てんぷらより遥かにきまりが悪いものです。
当サイトで盛んに出て来る「下半身主導のダウンスウィング」は、バックスウィングで右に折れた左膝をターゲット方向に動かすことです。左膝だけではなく、身体全体(背骨を含む)がターゲット方向に横移動してしまうと、まだスウィング弧の最低点に達せず下降段階のドライヴァー・ヘッドがボールの底部を打ち、ポーンとボールを真上に打ち上げてしまいます。「玉屋~っ、鍵屋~っ!」です。
ポップアップは「かっとばそう!」「全力で打とう!」という野心のなせる業です。野心はいいとしても身体の中心を横に動かすのはいけません。多数のチャンピオンを生んだ伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)は"Stay behind the ball."(ボールの後ろに留まれ)と云いました。アドレスした時にボール後方に位置した頭は、インパクト時までボール後方に留まっていなくてはなりません。
最悪なのは、ポップアップを放つと高価なドライヴァーのクラウンに醜い痕を残すことで、これは一生(?)消えません。私はクラウンの先端にビニール・テープを貼って傷が出来るのを防止しています^^。
・身体の回転
左肩が顎の下に届くバックスウィングをしているからと云って、正しい捻転をしているとは限りません。肩だけ廻して胸をほとんど廻さないのは「偽のターン(回転)」と呼ばれます。「真のターン」は手・腕を真っ直ぐ伸ばし、背中を完全にターゲットに向けるという捻転です(左図)。「真のターン」をすると飛距離が増すだけでなく、方向の正確さも増します。
【パート2に続く】
(September 16, 2022)
●ミスを減らしてスコアを減らす 【パート2】
・やっぱり病
「やっぱりショートしたか…」「やっぱりオーヴァーか…」「やっぱり木に当たったか…」と思う時がよくありますよね。これを私は“やっぱり病”と名付けています。別名“馬鹿は死ななきゃ治らない病”。
なぜかと云うと、“やっぱり”と思った以上当人はそうなることをある程度予知していたわけです。われわれの潜在意識【「メンタル・タフネスを身につけてスコアを減らす」(tips_202.html)参照】は生まれてこの方の経験を全て脳内データベースに蓄積しており、場面場面に応じてデータベースを参照し「そのクラブではショートしますよ」とか「そのクラブだと木に当たりますよ」と忠告します。馬鹿なプレイヤーはその潜在意識の忠告に耳を貸さず、「バンカーに入れたくないからこのクラブにする」とか「ここでは是が非でも2オンさせなきゃならんから、距離的にこのクラブが必要だ」などと、道理を引っ込めて自分の都合優先でプレイします。無理を承知のごり押し。その試みが失敗した時、ゴルファーは「やっぱり駄目だったか…」と呟くのです。 つまり、「ショートするかも知れない」「木に当たるかも知れない」という潜在意識の囁きを無視してはいけないのです。「この小川は越えられない」という潜在意識の判断を無視してジャンプし、向こう岸に届かずにびしょ濡れになるようなものです。「物量豊富なアメリカと戦争を始めたって勝てっこない」と判っているのに戦争を始めたのと同じ愚かな行為です。 ・木越え どのクラブでどれだけの高さの木を越えられるか、知る方法があります。写真のMichell Wie(ミシェル・ウィ)がやっているようにクラブフェースをリーディングエッジ側から踏みつけ、シャフトが示す角度が木の高さを上回るかどうか調べるのです。フェースを地面に平行に踏みつければ、シャフトの角度がボールの軌道を示すわけです。ただし、クラブを踏みつける地面が凸凹していると正確な発射角度は得られません。あくまでも平らな地面が条件です。 また、スタンスのどこにボールを置くか、体重を左右どちらに乗せてスウィングするかでボールの軌道(高さ)が変わりますから、上の方法はあくまでもクラブのロフトと木の関係を調べるだけです。 |
私はあるホールでよく大木の後ろにティーショットを打ってしまうのですが(そこは急な左足上がりのライでもある)、練習でその大木を越えてグリーンに乗せるには残り120ヤードだと5番アイアン、残り110ヤードだと6番アイアンであることを突き止めました。普通平地で5番アイアンだと150ヤード打てますから、120ヤードに5番アイアン(3クラブ長い)というのは大袈裟なようですが、これでぴったりなのです。
斜面に平行に立ち、ボール位置はスタンス前方で、体重は終始後方(右側)に留めたままスウィングします。左足上がりの勾配とスタンス前方のボール位置がロフトを増やすので、5番アイアンや6番でもボールは高く上がり、見事に大木を越えてグリーンに着地します。
・オープン・スタンスの間違い
チッピングの際にはオープン・スタンスが常識です。また、スライスをかける場合やバンカーショットなどではオープン・スタンスは必須です。ここでは「オープン・スタンス、ボール位置はスタンス中央」を例にとります。図A(写真の物指しは目安のために置いたものです)は立派な「オープン・スタンスで、ボールはスタンス中央」に見えますが、それは錯覚です。
図Bのように爪先を元に戻すと爪先を結ぶラインはスクウェアであり、全くオープンになっていません。オープンという状態は左足をターゲットラインから下げることです。しかし、うっかりすると爪先だけ開いてオープン・スタンスにしたと錯覚しがちです。また図Bで明らかなように、爪先を元に戻すとボール位置は中央ではなく左足寄りになっています。全てが錯覚に過ぎません。
この場合、爪先ではなく踵を基準にアドレスすべきなのです。先ずボールを真ん中にして両踵を適切に広げ、左踵を若干ターゲットラインから下げ、その後左爪先を開き、膝・腰・肩を爪先を結ぶ線に揃えます。これが正しいオープン・スタンスです。
・グリップ圧
われわれのグリップ圧は局面によってしばしば変化します。「乗せなきゃ!」と強い意志が働くときついグリップになってプッシュし易い(最悪はシャンク)。そのプッシュを警戒して「いや、リラックスして打とう!」と考えると、今度はゆる過ぎるグリップになってプルし易い。
適度なグリップ圧は右図の左端(クラブシャフトが45°)の、きつ過ぎず緩過ぎずの状態です。しかし、このグリップ圧を維持してスウィングするのは結構難しい。45°のグリップ圧を確認しても、アドレスでボールに近く立てばシャフトは30°に、遠く立てば50°になってしまい、グリップ圧も変わってしまいます。また、適切なグリップ圧をトップまでは維持出来ても、ダウンスウィング開始と同時にきついグリップにしてはぶち壊しです。
《グリップは、指はきつ目に手首は緩く》せよと云われます。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、「スウィングの途中で(特にダウンスウィング開始と同時に)グリップ圧をきつくするのは最悪である。あまりにもきついグリップは正しいリリースを妨げ、飛距離と方向に影響を与える」と述べています。
・捻転不足、捻転過剰
「飛距離を伸ばすには最大限捻転せよ」と云われます。私が練習によって発見した結果ですが、これは嘘です(少なくとも、私には当てはまらない)。飛距離が伸びても方向が定まらなければ、ゴルフになりません。飛距離と方向を両立させるにはどうすべきか?
アイアン・ショットの練習のため、コースに生えている低い雑草(写真)をクラブを振って除去し始めました。最大限左肩を廻すと雑草を根こそぎ取れません(ダフってしまう)。私の場合、左肩が顎の下に届く捻転が最適で、それだと見事に雑草を抉(えぐ)りとることが出来ます。顎に届かないような捻転不足でも雑草は取り除けません。顎に届かなくても、顎を過ぎてもミス・ショットになります。つまり大は小を兼ねないのです。
これは人によって違うと思われるので、各自練習によって確かめることをお勧めします。
【参考】
・左爪先を開いて、スライスよさらば(tips_159.html)
・プルの原因と対策(tips_167.html)
・ハイブリッドはフックするように出来ている(tips_177.html)
・頭をボール後方に留めよ(tips_193.html)
【おことわり】グリップ圧の写真はhttps://2.bp.blogspot.com/にリンクして表示させて頂いています。
(October 01, 2022)
●ザックリよさようなら
最近、ピッチとチップをザックリしたりカチ挙げてしまうミスが増えていました。どちらも距離をショートし長いパットを残してしまいます。ミスの直後、必死でどうすればいいか素振りをやり直すのですが、ほんの数回の試みでは身につきません。次のホールでもまたザックリやカチ挙げが出たりしました。私は別にプロのようにヒットダウンするつもりはなく、クラブを草の上で滑らせたいだけなんですが、それがうまくいかないのが不思議でした。
冷静に考えてみると、バックスウィングを急激に引き上げているのが原因であろうと思われました。スウィングは振り子のような往復運動ですから、急激に高く上げれば急角度で打ち下ろすことになります。ザックリを防止するには低いバックスウィングをすべきだったのです。
で、クラブを低目に引き低目に打ち抜く練習をしてみました。急激にクラブを挙げている理由が判明しました。シャフトを左図の位置まで上げようとする時、私は手首を曲げるだけで、手・腕をバックさせていなかったのです。「この角度にすりゃいいんだろう」と凄い近道をして形だけ作っていたのです。これは手首を曲げるだけですから、急激に上がり急激に打ち下ろすことになって当然です。これに気づいてちゃんとバックスウィングするようになったら、当然カチ挙げはなくなりザックリも出なくなりました。
大きなスウィングをする場合も、必ず左図のポジションを通過しないといけません。そうでないと早めにコックした狭い半径のスウィングをすることになり、飛距離を失い、やはりカチ挙げ、ザックリを生じる危険を伴います。この図をお守りのように思い起こせば万病を予防することが出来ます。
【おことわり】右上の写真はhttps://i.gimg.jp/にリンクして表示させて頂いています。
(October 01, 2022)
●ソリッドにチップする方法
最近の私はチップ・ショットをあまりにもカチ上げてしまい、大幅ショートするミスを繰り返していました。クラブヘッドを地面に水平に滑らすように努めましたが、問題は解決しませんでした。そんな折り、「あ、こうすべきだったのだ!」と教えてくれたのが、このtipです。筆者はショート・ゲーム専門インストラクターTod Sones(トッド・ソーンズ)。
'Golf Magazine: The Best Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2012)
「・ステップ1
クラブフェースでターゲットを狙った後、クラブのヒール側を僅かに上げる。これはクラブヘッドをパッティング・ストロークのようなアップライトなライにする。アップライトなライはストレート・バック&スルー(=フォワード)の動作を容易にするが、フラットなライだと弧を描くようなスウィングになってしまう。
・ステップ2
クラブ・ハンドルをボールの端から5センチターゲット側に傾ける。このようにロフトを減らすと下降するスウィング軌道が得られる。このテクニックは全てのウェッジ、そして8番や9番アイアンにも使える。
・ステップ3
クラブの後端は身体の中心から数センチ左側になるようにする。肩はターゲットラインにスクウェアで、体重は左足に乗っていることを確認せよ。
・ステップ4
手と手首を静粛にさせ腕と肩でクラブを動かす。ヒッティング・ゾーンを通過する際、クラブフェースは緩やかにクローズになるような感じを抱く筈だ」
これは素晴らしい。ロブ・ウェッジによるチッピングでカチ上げる悩みを抱えていたのですが、このtipによって悩みから解放されました。ボールを右親指の前に置いてもボールが低く出るということもなく、適切な軌道で上がります。練習ではピン傍にピタピタ寄りました。
(October 01, 2022)
●Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)のグリップ
「なぜ、Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ、1902~1971)なんか引っ張り出すんだ?古過ぎるじゃないか!」という意見もあるでしょう。しかし、彼はTiger Woods(タイガー・ウッズ)もRory Mcilroy(ロリィ・マカロイ)にも出来ない偉業を達成しているのです。もちろん、現在の松山英樹よりずっと優れていることは間違いありません。身長も日本人(30歳平均)より1センチ高いだけなので、われわれが真似する模範として最適ではありませんか。
これからお届けするシリーズは、彼のスウィングを有名なイラストレーターAnthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)が二色刷りで挿画した《ゴルファーのための絵本》の骨子を紹介するものです。
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing'
by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「・左手
人差し指の第二関節から小指の根元を横切るようにクラブを持つ。【次の記事のイラスト参照】主に中指、薬指、小指の三本でしっかり保持する。親指と人差し指との間のVの字は右肩を指す。左手はパワーを生むために、シャフトの真上に位置する。
親指の腹はシャフトの真上ではなく、真上からやや右側に当てられる。
・右手
右手の掌はターゲットを向き、ほぼシャフトの横に位置する。こちらは人差し指の第二関節から薬指の根元の関節を横切るようにしてクラブの横に添える。小指は左手の人差し指の上にかける。Vの字はシャフトの延長線に沿う。
【原註】上のように右手小指を左手の人差し指にかけるグリップ(ヴァードン・グリップ)が一般的であるが、これが必須というわけではない。インターロッキングやベースボール・グリップでも構わない。
・両手の一体感
クラブは両手ともフィンガーで握られるが、掌で斜めに押し付けられる。正しいグリップはしっかりしていても、強張っていてはいけない。リラックスしたグリップにするには、左手の中指~小指の三本に最大の圧をかければよい。他の全ての指は可能な限り軽く握る」
(November 01, 2022)
●画家Anthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)について
彼の画業で最も有名なのは'Ben Hogan's Five Lessons'(1957、邦訳:『モダン・ゴルフ』)ですが、他にも多数のプロやインストラクターのゴルフの本にイラストを描いています。
・'Shape Your Swing the Modern Way' by Byron Nelson(バイロン・ネルスン)
・'Getting Up and Down' by Tom Watson(トム・ワトスン)
・'One Move to Better Golf' by Carl Lohren(カール・ローレン、インストラクター)
・'Practical Golf' by John Jacobs(ジョン・ジェイコブズ、インストラクター)ほか多数。
野球やボウリング、テニスの本、子供のための恐竜の本などの挿絵も描いているようです。
Anthony Ravielliの特徴は銅版画風の細密な描写です。これはscratchboardと呼ばれる黒く塗られた紙を尖った筆で削り取る画法です。彼は解剖学も学んだことがあるそうで、骨格や筋肉の構造にも知悉しているため、人物の動きの躍動感をリアルに再現します。そして、写真では説明不可能なことを、二色刷りの利点を駆使して巧みに図示します。私は彼のイラストを見ているだけで嬉しくなってしまいます。
(November 02, 2022)
●パワーが欲しけりゃ右脚を伸ばせ
これはインストラクターBrady Riggs(ブレイディ・リグズ)によるtip。
'Golf Magazine: The Best Instruction Book Ever!' 「あなたはスウィングにより多くのパワーを与えようとして、下半身をターゲット側にスライドさせる。これは上半身を後方に取り残し、両膝を曲げ、両腕を身体に引き寄せてしまう(伸びない)。ヒッティング・ゾーンで必要なのは身体の拡張なのに、正反対の結果を招いてしまうのだ。 下半身をターゲット方向にスライドさせることは、体重も横移動させてしまうため地面を利用したテコの作用を作り出すことを妨げる。その結果、クラブヘッド・スピードを落とし飛距離も得られないことになる。 右膝を折るようなインパクトでは最大の身体の伸長とクラブヘッド・スピードとを得られない。インパクトの際、右脚を伸ばすべきだ。右足が地面を強く押し、体重はターゲット方向でなく上方に向かうような感じを得るように。 Tiger Woods(タイガー・ウッズ)やBen Hogan(ベン・ホーガン)の写真を見て欲しい。インパクト・ゾーンの彼らのズボンの裾はまくれ上がってターゲット方向に向いているのがお判りだろう。これは彼らが物凄いテコの作用を生み出すインパクトを作り出しているからに他ならない。テコはパワーであるという事実を学ぶべきだ」 |
(November 02, 2022)
●Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)のスタンス
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing'
by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「身体が左右に回転出来る足の幅ですっくと立ち、次いで両腕が自然に垂れ下がるほど僅かに屈む。両手は自由に身体の前を横切ることが出来る状態。
両足は約30センチ離して立ち【註】、ボールは左踵の前、両手はボールよりもターゲット側に置く(ハンド・ファースト)。
【編註:これはアイアンの場合。写真はドライヴァーを構えたアドレスですが、スタンスは肩幅より狭く、胸の幅です。私の肩幅は約41センチ、胸の幅は約35センチですが、Bobby Jonesのスタンスはかなり狭いです。彼は別の本で「歩幅に開けば、左右どちらへの捻転もバランスを崩さずに行える」と書いています。そして彼の映画でのドライヴァーのボール位置は左爪先の前と明言しています】
右爪先も左爪先もやや外側に開く。こうすると、胴は左右どちらへも自由に回転することが可能になる。
体重は両足に均等にかける。
あなたの利き目が左なら、それはスウィングの大きな助けとなる。頭を少し右に廻し、顎を引く。これは小さなことかも知れないが、この頭の状態はバックスウィングでの肩と腕の動きに邪魔ものを排除出来るので有利である」【註】
【編註:'Bobby Jones on Golf'(1966)という本では、彼は「私は利き目でボールを見るということが重要だとは思わない」と書いていました】
私は左右どちらの爪先も開いていませんでした。これまで「両爪先を開く」と説いたプロやインストラクターがいなかったからです。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の写真を見ると、左爪先はほんの僅か開いていますが、右爪先は真っ直ぐです。右爪先を開くとスウェイし易いというtipがあり、私はそれを信じています。「左爪先を開くとダウンスウィング~フォロースルーが容易になる」ということは知っていましたが、あまり重視していませんでした。最近、身体が固くなったせいかあまり格好良くないフィニッシュをする傾向が出て来ました。左爪先を開くと腰の逆転とフォロースルーが楽になります。やはり先人の智慧はありがたい。
【参考】「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の ボール位置」(tips_201.html)
(November 10, 2022)
●ドライヴァーでは肩幅のスタンスを限度とせよ
これは女性インストラクターKellie Stenzel(ケリィ・ステンツェル)のtip。
'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)
「原則としてあなたのスタンスは肩幅を超えてはいけない。肩幅を超えるスタンスは捻転する能力を阻害し、多くの場合身体をスウェイか水平移動させる原因となる。
捻転ではなく水平移動してしまうと、上半身と下半身の間の抵抗(ねじれ)を減らしてしまうため、パワーは生まれない。
ムラのないアドレスを練習せよ:アイアンを打つ時にはあなたの両踵の間隔を腰の幅にし、ドライヴァーとフェアウェイ・ウッドでは肩の幅にする」
やってみると分かりますが、あまりにも広げ過ぎると確かに腰も肩も捻転が制限されてしまいます。腰・肩を充分廻せる範囲内で広げるべきです。
【参考】
・「正しいスタンス」(tips_114.html)
・「正しいスタンス幅の決め方・決定版」(tips_141.html)
・「骨盤の幅でスタンスをとれ」(tips_139.html)
・「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)の スタンス幅の重要性」(tips_189.html)
(November 10, 2022)
●アドレス時、バランスのとれた体重配分をすべし
これはPGAツァーで連戦連勝を重ねたByron Nelson(バイロン・ネルスン)のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)への賛辞。
'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)
「Jack Nicklausの体重配分は完璧なまでに素晴らしい。彼は両足に平均に体重を乗せている(僅かに左足に寄っているかも知れないが)。
彼は体重を拇指球(親指の付け根の膨らんだ部分)と踵の間に均等に配分しており、身体の前方や後方に寄りかかったりしない。
この素晴らしい体重配分は、膝の微かな屈折と共に、最高のクラブヘッド・スピード達成に必要なスウィング中の自由な足と脚の動作を可能にしている」
(November 10, 2022)
●Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)のバックスウィングの開始
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing' by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「バックスウィングを始める順番は腰の回転が最初で、それにつれて左肩が廻り、左腕も廻る。クラブヘッドは引きずられるように動く。
この最初の段階では手と腕に目に見えるような独立した動きはない。ただ、クラブを後方に動かすために左手のグリップがやや締まる程度である。
体重は左右の足に均等にかかったままである。
バックスウィングが進行するにつれ右脚が伸び、左踵が僅かに浮く。
右肘が身体の右脇に近づく。スウィングの主導権は左手にある。
左腕が地面と平行になる頃、肩は背骨を中心として回転し、腰は¼ほど右に廻り、左膝は右方に向かい、左足が内側に廻って左踵を地面から引き上げる。【原註:左踵を上げることが目的なのではなく、それは身体が巻き上げられるのに付随する結果である】
この時点で、手と腕は明瞭にクラブを引っ張り上げてトップへと向かう。左腕は依然として真っ直ぐ伸ばされている。対照的に右腕は可能な限りリラックス状態にあり、右肘はスウィングのトップで引き上げられるまで浮き上がらず身体の右サイドに位置している。
正しい動きは、左足の内側に体重を移し、(トップで左踵が引っ張り上げられるまで)左足は母指球(親指の付け根の丸い部分)の内側で体重を支えることだ」
バックスウィング開始後の数10センチの動きをテイクアウェイと呼びます。テイクアウェイでは、クラブヘッドをターゲットライン後方に水平移動させることが推奨されています。
私の経験ですが、パー3でアイアンやハイブリッドを打つ際、両手が右爪先~右膝の間を通過するようにテイクアウェイすると(そして左肩をターゲットに向けてフィニッシュすると)真っ直ぐピンに向かって飛ぶことが多い。それが私のスウィングの癖なのか、理論的に説明出来ることなのか、まだ解明出来ていません。
【参考】「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 左腕を伸ばせ」(tips_201.html)
(November 20, 2022)
●Ben Hogan(ベン・ホーガン)のバックスウィングに学べ
これはLPGAツァーで26勝を挙げ、後にTV中継解説者となったJudy Rankin(ジュディ・ランキン)のtip。
'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)
「Hogan(ホーガン)の手が腰の高さになる頃、クラブはほぼ準備完了している。クラブ・シャフトとHoganの左腕は90°に近い角度を形成しテコの作用の基盤を作り出している。そのテコはダウンスウィングでボールを打ち抜くパワフルな爆発となって振り解かれる。
手首と前腕の強さに欠ける多くのゴルファーは、手首ではなく肘を蝶番のように折ってしまう。これはスウィング弧を著しく崩壊し、かつ狭めてしまう原因となる。折る場所は(肘ではなく)左親指の付け根の部分の手首で、クラブを支えるように折る。
スウィングのトップではあなたの両手はグリップの真下にあるべきで、クラブは重くはなくとても軽く感じられる筈だ。もし軽く感じられたら、あなたはダウンスウィングを開始する良い位置を獲得したことになる」
(November 20, 2022)
●リラックスした心身でテイクアウェイせよ
これは女性インストラクターLynn Mariott(リン・マリオット)とメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)のコンビによるtip。
'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)
「スウィングをスムーズにスタートするためには、あなたの身体が硬直していてはいけない。ボールに向かう時はゆったりとリラックスしているべきである。
スムーズなテイクアウェイを行うには、ボールの前でクラブを数回素振りする。クラブがいかに楽な一つの動きで流れるように後方に引かれるかに注目。
本番となってボールにアドレスしたら、先ほどの自由で流れるような動きの感覚を維持するように」
(November 20, 2022)
●左肘は曲げてもよい
Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams Inc., 1997, $45.00)
「『左腕を真っ直ぐ伸ばし続けろ』というのは頻繁に語られる文句だが、それを無視しているトップ・プロとしてNick Price(ニック・プライス)、Bernhard Langer(ベルンハード・ランガー)、Ray Floyd(レイ・フロイド)、Betsy King(ベッツィ・キング)、Chi Chi Rodriguez(チ・チ・ロドリゲス)、Nancy Lopez(ナンスィ・ロペス)、Curtis Strange(カーティス・ストレンジ)、Lee Trevino(リー・トリヴィノ)、Lee Janzen(リー・ジャンセン)などがいる。
【編註】最近の若手ではJordan Spieth(ジョーダン・スピース)も左腕を軽く曲げています(写真)。
ゴルフ・スウィングをする間、左腕を真っ直ぐ伸ばし続けるのは、ほとんど不可能なことだ。仮に真っ直ぐ伸ばし続けられたとしても、それは身体を緊張させてしまい、スウィング速度とパワーを減じてしまう。
『左腕を真っ直ぐ伸ばし続けろ』という文句は、スウィングの半径と最も広いスウィング弧を保てという意味である。あなたが本当にフルに伸ばした左腕が必要なのはインパクトの瞬間だが、それはあなたにはコントロール出来ない瞬間でもある。
あなたの腕がダウンスウィングでリラックスしていてフル・スピードで動くことが可能なら、遠心力が左腕を真っ直ぐにし、インパクトの瞬間に腕とクラブを一直線にしてくれる。
バックスウィングで左腕を折るのはいけないことではない。それどころか、左腕を自然に曲げてテンションを減らし、自由にスウィングし、長い飛距離を楽しめばいいのだ」
【参考】
・「左肘の研究」(tips_35.html)
・「折れた左肘への福音」(tips_100.html)
・「レイト・ヒットでスコアを減らす」(tips_203.html)
(November 20, 2022)
●Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)のバックスウィングのトップ
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing' by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「後方への捻転が完了すると、左サイド(左腰と手)に緊張を感じるはずだ。トップの頂点ではクラブヘッドの重さと勢いが手をぐいと引っ張るため、手首の充分なコックを促す。それがこの時点で真っ直ぐな左腕とシャフトの角度が最も鋭角になる理由であり、左手のグリップは最高の緊張を強いられる。
・バックスウィングはスウェイや水平移動を伴ってはならない。【編註:頭を横に動かしてはいけない】
・頭は終始最初の位置に留まるべきである。
・胴は背骨を軸として回転する。
・アドレスで両足に均等に掛かっていた体重は、トップでは左足の拇指球と右足踵の外側に掛かる。
長いクラブでは、トップでのシャフトはほぼ水平で、ターゲットのやや右を指す。これはクラブを持ち上げるのではなくスウィングによってトップに達した結果である。
トップでは、真っ直ぐ伸ばした左腕と手の上昇によって右肘が身体から離れる。しかし、右肘の突端は地面を指していなければならない。
真っ直ぐ伸びた左腕はいいフォームにとって必須のものである。それはクラブヘッド・スピードを増し、ボールとの正確なコンタクトを約束し、パフォーマンスの一貫性に貢献する。
もし身体条件的に左腕を伸ばせない場合は、トップでやや折るのも止むを得ないが、インパクトで折れてはいけない。ゴルファーがある程度伸ばそうと努力し続ければ、ダウンスウィング開始とともに完全に真っ直ぐになるであろう」
写真のBobby Jonesのトップは、シャフトが飛行線と平行ではなくやや内側(ターゲットの右)であり、しかも地面と平行より下がっています。これは彼がスコットランド生まれの師匠Stewart Maiden(スチュアート・メイデン)のスウィングをそっくり真似したからです。彼ら二人のスウィングは瓜二つだったそうです。
このスタイルは現在のインストラクションでは主流ではありませんが、彼はこのトップから素晴らしいショットを放っていたのですから、文句はつけられません。
(December 01, 2022)
驚くなかれ、これはインストラクターButch Harmon(ブッチ・ハーモン)のtip。
'100 Classic Golf Tips'
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2007, $24.95)
「私の教え子Tiger Woods(タイガー・ウッズ)もNatalie Gulbis(ナタリィ・ガルビス)も、身体に柔軟性があり過ぎるのが問題で、しばしば捻転し過ぎを抑制させねばならなかった。
しかし、われわれはそのような贅沢な問題は抱えていない。特に齢をとるにつれ、われわれは柔軟性を失い、スウィングがあまりにも短くなる。
スウィングを長くするために町のジムに通って汗を流す必要のない、手っ取り早い方法を伝授しよう。左踵を上げることが充分にバックスウィングする助けとなるなら、それを押さえつけてはならない。ここで重要なのは左踵を意識的に上げるのではなく、自然に上がろうとするなら上がるままにせよ…ということだ。左踵を浮かすことによってフル・ターン出来るのなら、そうすべきだ。
誰かが『踵を上げるようなバックスウィングではいいプレイは出来ない』などと云っても 耳を貸さないように。偉大なJack Nicklaus(ジャック・ニクラス、写真)やTom Watson(トム・ワトスン)でさえ左踵を浮かしていたのだから」
世界中の多くの若手プロが若い時のTiger Woodsの真似をして両足を地面にべったりつけたスウィングをしています。20代のうちは問題ないとしても、柔軟な身体を誇っていたTiger Woodsでさえ腰の手術を五回、膝の手術を六回、首の障害も何度か繰り返していることを忘れてはならないでしょう。末長くゴルフを楽しもうと思ったら、ブッチ・ハーモンの助言に従って左踵を上げるべきです。それが身体を労わりながらの捻転というものです。
【おことわり:写真はhttps://golfdigest.sports.sndimg.com/にリンクして表示させて頂いています】
(December 01, 2022)
●Bobby Jones(ボビィ・ジョ-ンズ)の切り返し
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing' by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「可能な限りバックスウィングとダウンスウィングの二つは(分離しているのではなく)一つの動きとして混じり合っているべきものだ。だからこの切り返しは極めて重要なポイントであり、ほぼ全てのミスが生じる温床でもある。手が数センチほどターゲット方向に先行しても、頭の角度を数度ターゲット側に傾けても取り返しのつかないミス・ショットとなる。プロにとってでさえ、これは危険な時点なのである。
(グリップの重要性を除いて考えれば)スウィングにおける最も重要な動きはこの腰の逆転によって開始されるダウンスウィングであるというべきだ。左腰がリードしなければパワーも生まれず、正確さと信頼性にも欠けるスウィングに堕してしまう。
どのクラブによるフル・スウィングでも、バックスウィングでまだ手とクラブが後方に上げられている途中で胴が逆転を始めるのが正しい動きである。これは、腰の回転がダウンスウィングをリードし身体の逆転によって生じるパワーがクラブヘッドに勢いをつけることと同時に、手首のコックを完了させるという重要な効果をももたらす。
ダウンスウィングが始まる際、ゴルファーはクラブヘッドをトップに「置き去り」にする感覚を得るべきだ。
ダウンスウィングでは体重を左足に移す。同時に胴と腰の回転を急速に行なって腕とクラブを引っ張る。
【原註】体重移動はスウェイではない。スウェイは頭も肩もターゲット側に動かしてしまいゴルファーのバランスを崩壊させる原因となる。「体重移動」はボールとの関係で頭と肩の位置を変えずに腰だけをターゲット側に移動させるものだ。
腰の逆転は、未だクラブがトップに達する前に行われ、左踵はダウンスウィングのごく初期(両手がまだ肩の高さの時期に)に地面に戻り、左脚は真っ直ぐになり始める。
切り返しの段階はやや動作が緩やかなので、意識的にコントロールすることが可能である。この時点で行うべき非常に重要な策は、右肘を身体の脇に戻すことだ。これはクラブの軌道をフラットにし、ボールをストレートに打つチャンスを増すものだ」
□
どうです?'Swing Like a Pro'(1998)で「ダウンスウィングの開始で右肘を右脇にくっつけろ」と説かれていましたが、その約30数年も前にBobby Jonesは既にそのテクニックを発見し公開していたのです。
上のBobby Jonesのスウィング・アニメが示している事実:
1) 腰はダウンスウィングの早期に逆転してターゲットラインと平行になっている。
2) 浮いていた左踵がダウンスウィング開始と同時に地面に戻されている。
3) 右肘が身体の右脇に引き寄せられて、スウィング軌道をフラットにしている。
これこそ正確無比なショットを放つコツと云って過言ではないでしょう。
【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 切り返しの極意」(tips_201.html)
・「置き去り速習法」(tips_201.html)
・「左踵の研究(身体に優しいスウィングをせよ)」(tips_203.html)
(December 10, 2022)
●ダウンスウィング開始のイメージ
右のアニメは本年1月1日に公開したものです。この当時私はまだ'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)という本を読んでいませんでした。私のこのアニメ作成にヒントを与えてくれたのは伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)でした。
レイト·ヒット、レイト·アンコックの極意としてHarvey Penickが"Magic Move"(魔法の動作)と称したテクニックは、ダウンスウィングの開始で左膝を目標方向に移動させる時、同時に右肘を身体に引きつける、これを一挙動でやる(二挙動では駄目)…というものでした。
そう書いた彼の本'Harvey Penick's Little Red Book'は1992年に出版されています。'Swing Like a Pro'という本は1998年に出版されていますが、これは100余名に及ぶPGAとLPGAツァー・プロのスウィングを分析した結果、導き出された最大公約数をまとめたものでした。その中の一つに『ダウンの開始で右肘を引き下ろせ』というのがあり、Harvey Penickの"Magic Move"と全く同じ趣旨でした。
今回、私はさらにそれらの源流を発見しました。Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の'The Basic Golf Swing'という1969年に出版された本に、《ダウンスウィングは腰を逆転し右肘を身体の右脇の引き付ける》というコツが書かれていたのです。Harvey Penickの本の23年前です!Harvey PenickはBobby Jonesの本から学んだに違いありません。
トップから手・腕で振り下ろすのでは手打ちです。手・腕は左膝・腰の動きに引っ張られて動かないといけません。アニメのように左脚に連動して右肘が右の胸郭に引き寄せられ、その後上体が逆転を開始する…というのが理想的シナリオです。
"Magic Move"(魔法の動作)を身に付けるためには練習場でボールを打つ必要はありません。庭がある人は庭でクラブだけ振ればいいし、庭のない人は練習用の短く重いクラブを家の中で振ればいいのです。バックスウィングのトップに達したら《ターゲット方向に向かう左膝に連動して、右肘を右胸郭に引き下ろす》のです。二挙動でなく一挙動で。脳の命令でなく自然に身体がそのように動くまで、この動作を身体に刷り込むべきです。
私自身の経験から云って、これは頭では分かっているという状態では不充分です。「左膝→左腰→右肘」などと頭で考えていてはスウィングは遂行出来ません。何度も何度も素振りによってマスルメモリに記憶させねばなりません。それ以前は、十回に一回、よくて五回に一回達成出来るかどうかでしょう。毎回達成するためには身体が勝手に動くようになるまで、しつこく練習すべきです。
(December 10, 2022)
'Bobby Jones on The Basic Golf Swing'
by Robert Tyre (Bobby) Jones, illustrated by Anthony Ravielli (Doubleday, 1969)
「トップから右手で打ちに行こうとするとスウィングをぶち壊しにする。コックをあまりにも早期に振り解(ほど)くと低いフックか正真正銘のシャンクとなる。
トップで右手が主導権を握ったのでは、インサイドからボールに向かう途は断たれてしまう。これは強打しようとする多くのゴルファーに見られる悪しき傾向である。
これに対する処方は、先ず第一にバックスウィングの間じゅう完全に右腕をリラックスさせておくこと。第二に、どんなに強打しようと思っていてもダウンスウィングを中庸の速度で始める(急がない)ことだ。
腰がアドレス位置に戻ろうとする急速な逆転は上体をワン・ピースで引っ張る。この動きは手打ちの恐れを最小限にし、手の活動を封じ、コックを完全に最後まで温存する。
手首がコックを維持しながら右肘が胸郭(身体の右脇)に位置してさえいれば、腰の逆転によって勢いがつきスウィング・スピードも効果的に増強される。
インパクト直前まで右肘は身体の右サイドにくっつき、右腕はリラックスしたままである。
腰の逆転が進むにつれ、左腕は胸の前で真っ直ぐに伸ばされる。
ダウンスウィングで左腕が地面と平行になる頃、両膝が開き半ばスクァットの体勢となる。【編註:Sam Snead(サム・スニード)のスクァット体勢が有名】 この時点を過ぎるとインパクトのパワフルな突撃を前に左脚が伸びる。それにつれ右脚も伸びる」 【Snead's squatを見る】
上のBobby Jonesの写真をよっくご覧ください。左上の図のように右前腕とクラブシャフトが重なっていますね。彼は'How to Break 90'という短編映画の中で「この状態を通過しないスウィングで打たれたボールが真っ直ぐターゲットに向かうなどということはない」と断言しています。
私は「ダウンスウィングの研究」(tips_185.html)という記事にRory Mcilroy(ロリィ・マカロイ)、Lydia Ko(リディア・コゥ、写真)、松山英樹ら10人のプロの写真を掲載しました。全てのプロがインパクト直前、このBobby Jonesと同じように右前腕にクラブシャフトが重なる瞬間を共有しています。この体勢を通過することが正確なショットを放つ秘訣に違いありません。そしてこれは、下半身(腰と左膝)にリードされて、手・腕が追随する動きをした結果なのです。
どうやってそれを達成するか?私の発見では《右肘が右ポケットを越えないようにスウィングする》ことです。この方法は無理なく下半身(左腰・左膝)を先行させ、Bobby Jonesが力説していることを達成出来ます。【参照】「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)
【参考】
・「Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 正しいタイミング」(tips_201.html)
・「ダウンスウィングの研究」(tips_185.html)
(December 20, 2022)
●ダウンでは右肘で右腰を擦(こす)れ
これはLPGAツァー・プロでありインストラクターでもあったPeggy Kirk Bell(ペギィ・カーク・ベル)のtip。
'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)
「インパクト・ゾーンで右肘が右腰を擦るようなスウィングをせよ。これはクラブを正しい軌道(インサイドからターゲットライン)へと向かわせ、クラブヘッド・スピードとパワーを生む正しい連続動作をセットする」
Sam Snead(サム・スニード)の証言によると、Ben Hogan(ベン・ホーガン、写真)は「セーターの右裾がすぐ綻びてしまって困る」と愚痴っていたそうです。Ben Hoganは文字通り右肘で右裾を擦(こす)って、セーターを痛めつけていたわけです。世に謳われた彼のショットの正確さの秘密の一つはこれだったのでしょう。
トップでダウンスウィング開始の瞬間に右胸郭に向かって引き下ろされた右肘は、そのままセーターの右裾を擦るべきなのです。
【画像はhttps://i.pinimg.com/にリンクして表示させて頂いています】
(December 20, 2022)
●直近の中間目標を使え
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)執筆のメンタルtips集より。
'Golf: The Art of the Mental Game'
by Dr. Joseph Parent (Universe, 2009, $24.95)
「中間目標はアドレス時にゴルファーのアライメントを助けるものだ。彼らはボールのターゲット・ライン上数10センチ前方に何か目印となるものを見つけて狙いを定める。
フェアウェイでは落ち葉とかクローバーとか、何かそこにあるものを見つけねばならない。だが、ティー・グラウンドではティーマーカーの間であれば自分の好きなところにティーアップ出来る。
一旦どのあたりでティー・アップするか決めたら、ディヴォット跡、枯れた芝草、あるいは折れたティーなどを見つけ、その真後ろでターゲットラインとなるところにティーアップする。
どこにティーアップするかはあなたの自由なのだから、地面に転がっている中間目標を使わないのは損である」
【画像はhttps://westbrookvillagegolf.com/にリンクして表示させて頂いています】
(December 20, 2022)
Copyright © 1998−2023 Eiji Takano 高野英二
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.