最近のPGAツァー、LPGAツァー、チャンピオンズ・ツァーなどに随行するフィットネス・ヴァン(運動器具を備えた可動型ジム)は大繁盛だそうです。「飛距離を増す」、「身体の故障を防ぐ」という両方の意味で、プロにとって身体鍛錬は欠かせないものになっています。
しかし、身体の鍛錬はプロだけに必要なものではありません。われわれ素人も、より遠くより正確にボールを打ちたいと思ったら、安定した下半身、強靭な腕力が必要です。
「生体力学的鍛錬ヴィデオ」(http://www2.netdoor.com/~takano/golf/tips_50.html#video )の開発者・Neil Chasanが出版した解説本'Total Conditioning for Golfers'(2000)に、次のような部分があります。
「カリフォーニア州生体力学研究所が、筋電計(筋肉の電気的活動をモニターする最新の医療的研究法)を用い、上級レヴェルのゴルファーのスウィングを調査・分析した結果がある。それによれば、
・腰がスウィングを開始する。それは身体を押すのではなく、身体を引く動きを示した。
・胴体の捻転と柔軟性が非常に重要である。シニアと初心者は、上級者・若いプレイヤーなどの半分しか捻転出来ない。
・身体の中の大きな筋肉がパワーを生む。特に股関節を取り巻く尻の筋肉がそれである。
・肩の回旋筋腱板(肩関節の周囲を取り巻いて支えている帯状の組織、図の四つの筋)の筋肉が重要な役目を果たしている。
分析によれば、ゴルフ・スウィングをする際には、肩の大きな筋肉より回旋筋腱板の筋肉がもっと活発であった。回旋筋腱板の筋肉の強化が必要である。
…ということなどが解明された」
Neil Chasanは、これらの調査・分析結果に対応する鍛錬法として「生体力学的鍛錬ヴィデオ」を考案したのだそうです。彼のプログラムが脚・腰・尻・胴の回転などの運動に重点を置いている理由が解ります。スムーズなスウィングのための肩の運動、首の障害を防止する運動なども取り入れられています。
'The Senior Golfer's Answer Book'(Syd Harriet. Ph.D., Psy.D. and Sol Grazi. M/D., Brssey's Inc., 1999)という二人のドクター(心理学者と医師)の共著によるシニアのための本に、次のような箇所があります。
「ゴルフに役立つ運動をたった一つ挙げろと云われたら、私はクランチ(crunches、腹筋運動)をお勧めする。クランチは、飛距離の源であるバックスウィングにおけるトルク(捻転力)を生み出す。腹筋を鍛えることによって腰痛を予防することにも繋がる。
クランチは、起き上がり腹筋運動の一種だが、床から背中全体を持ち上げるのではなく、首と肩だけを上げるものだ。この動きを、90°に曲げた両脚を椅子にかけたり、90°に曲げた両膝を宙に浮かして行なうことも出来る。両手は胸の上で交差させ、頭・肩を上げたら数秒間静止する。そして、ゆっくり床に戻す。
最初は少ない回数で行なって習慣をつけ、次第に200回を目指す。200回行なうのにはたった3〜5分しかかからない。チャンピオンズ・ツァーのプロの多くはラウンド前にクランチを実行しており、300回行なう場合もある。
こうした運動の秘訣は、単純に習慣化することだ。何らかの事情で一日や二日の間(ま)が空いたとしても、運動を止めてはいけない。逆に、身体が苦痛を訴えたら、無理に継続するのもよくない。その日は即座に中止すること」
腹筋を鍛えるのであれば、当サイトにある「腰痛体操」(http://www2.netdoor.com/~takano/golf/tips_22.html#back)もお勧めです。腰痛の原因は緩んでしまった腹筋ですから、腹筋を鍛えれば腰痛を防止出来ます。この体操にはクランチも含まれているだけでなく、腰痛治療のための様々な腹筋運動が組み合わされています。四股を踏むことでも同じように下半身を強化出来るでしょう。
スキーヤーが行なう脚部鍛錬の運動に、"wall sit"(空気椅子、図)というのがあります。壁に背をつけて立ち、両足は30〜60センチ身体の前方に置く。ゆっくりお尻を下げ、太股が床と平行(水平)になったら静止し、太股の緊張が感じ取れるまで待つ(約30秒間)。これを一日に数回繰り返す。意外にきつい運動です。
当サイトのある読者から、「逆手懸垂によって上腕二頭筋(力こぶを作る筋肉)を鍛錬し、ヘッドスピードが増した」という御報告も頂いています。飛距離を伸ばすには本当は上腕三頭筋(腕を伸ばす筋肉)を鍛える方がいいのですが…。懸垂は公園の鉄棒やぶら下がり健康器があれば、すぐにでも実行出来ます。これはAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)も取り入れていた方法です。
前腕部や手首を鍛える運動は沢山ありますが、脚・腰を鍛える手軽な方法というのは滅多にお目にかかりません。韓国のプロSe Ri Pak(【日】朴セリ)は、修業時代に階段のある道を登り降りしたそうです。あの逞しい脚・腰は鍛錬の賜物であり、世界有数のプロとなる土台になったわけです。無料の鍛錬法の素晴らしい見本です。
2008年と2009年に二年連続ロングドライヴ世界チャンピオンとなったJamie Sadlowski(ジェイミィ・サドロウスキ)の鍛錬法は、メディスン・ボール投げと、かなりきついスクヮット(四股に類似)で上半身・下半身を鍛え、手・腕のスナップ力の増強のためにはホッケーとバドミントンを行なっていたそうです。
以上のどれか(出来れば、上半身と下半身のバランスが取れた運動の組み合わせ)を実行すれば、ウン万円する新しいドライヴァーも必要なく、飛距離は増し、ショットが安定することによってスコアは良くなり、腰痛などの障害を予防することも出来ます。
COVID-19の影響でジム通いを中断しているおかげでめっきり飛距離が減った私ですが、「飛距離を伸ばすトレーニング」(http://www2.netdoor.com/~takano/golf/tips_13.html#hands)で紹介した手・腕の運動(左図)を一日おきに行っている結果として、元の飛距離に戻りつつあります。努力は必ず報われると云っていいでしょう。お腹が弛んで来たのでクランチ、下半身強化のためにwall sit(空気椅子)も実行しています。
【参考】
・腰痛体操 (tips_22.html)
・重たいクラブを振る (tips_123.html)
・75歳で300ヤード打つ秘訣 (tips_130.html)
【おことわり】回旋筋腱板の画像はhttp://aau-jr.com/、crunchesはhttps://www.golfdistillery.com/、wall sitはhttps://www.drstevehowell.com/にリンクして表示させて頂いています。
(December 11, 2021)
●視覚化をマスターしてスコアを減らす
視覚化の究極はパッティング・ラインがレールのように目に見えることですが、そこまで行かなくても、せめて自分がこれから打つボールの弾道(上下・左右)ぐらいは頭の中で見えるようにしたいものです。英語の諺に"Seeing is believing."(見ることは信ずること)というのがありますが、同時に"Believing is doing."(信ずることは実行すること)でもあるのです。「見る」=「遂行」なのです。
英語のゴルフ雑誌、ゴルフ本には"visualization"(視覚化)という言葉が頻繁に登場します。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などは打つ/ストロークする前の儀式(プレショット・ルーティーン)として「視覚化」を取り入れています。
視覚化というのは誰しも日常的に行なっていることで、わざわざ「視覚化の仕方」について学ぶ必要はありません。
例1)あなたの居間にいくつ窓がありますか?台所には?寝室には?窓の数を数えるために、あなたは部屋のイメージを心の中に描いた筈です。それが視覚化です。
例2)目の前に小川があるとします。自分が飛び越えられるかどうかは、目から入った川幅の視覚的情報と脳内に蓄えられている自分の跳躍能力のデータを付き合わせた推測にかかって来ます。小川に沿って歩きながら、「ここは幅があり過ぎる。もう少し狭い方が無難。んーと、おお、ここならいいかも知れない」というような判断は、全て自分が跳躍する姿を想像しながら、無理なく川向こうに着地出来る場面が描けるまで続く筈です。この作業が視覚化です。
○ 潜在意識
'Total Conditioning for Golfers' by Neil Chasan (Sports Reaction Productions, 2000)という本に、スウィングの間に使われる筋肉の種類と動きの強さを、スウィングのパート毎(アドレス、トップ、インパクトなど)に分けてグラフ化したものが掲載されていますが、20種類もの筋肉が同時に複雑に動いていて、「スウィングの間に、これら全ての筋肉の動きを把握することは到底不可能である」という説明が添えられています。「百足(ムカデ)が一本一本の足の動きをコントロールしようと考えたら、動けなくなってしまう」という話と同じです。
スポーツ心理学者Dr. Bee Epstein-Shepherd(ビー・エプスタイン=シェパード博士)によれば、「ゴルフ・スウィングは潜在意識による動作」なのです。誰かがひょいとボールを投げて来たら、われわれは脳が手・腕の筋肉に命令を下す前に本能的にボールを受け止める動作をします。机の上からボールペンが転がり落ちたら、ズボンを穿いている男性は両膝を閉じ、スカートを穿いている女性は両膝を開いてボールペンを受け止めようとします。これも潜在意識による動作であり、脳が筋肉に下した命令ではありません。百足(ムカデ)も百本の足のそれぞれの動き(歩幅と角度など)を考えたりせず、無意識に動かしているから歩けるのです。
○ 見たままを得ることが出来る
上記エプスタイン=シェパード博士は、「ゴルファーは潜在意識に目標を与えなければいけない」と示唆します。ボールの着地点、そこへ飛ぶボールの軌道、それを生み出すスウィング…などを脳内にありありと描くことが出来れば、潜在意識はハッキリとゴルファーの意図を読み取り、その使命を達成するための筋肉系統への動作を準備指令します。"One picture is worth a thousand words."(百聞は一見にしかず)という諺は本当である、と博士は云います。
同博士は"What you see is what you get."(見たままを得ることが出来る)というフレーズがゴルフにも当てはまると主張します。この言葉はMacintoshコンピュータが画面に表示されたそのままを印刷出力する機能を備えた時に使われ出したもので、各単語の頭文字を取って"WYSIWYG"(ウィジウィグ)と呼ばれます。エプスタイン=シェパード博士は、この文句を潜在意識との関係に適用します。
ゴルフの"WYSIWYG"は、「脳内で視覚化すれば、潜在意識がその通り遂行する」というものです。逆に、自分が試みたこともないショットは視覚化出来ませんから、潜在意識もお手上げです。視覚化出来ない場合、潜在意識はどう処理すればよいか途方に暮れ、似たような状況を脳のデータベースから引っ張り出し、適当に処理することになります。精密なショット/ストロークが必要な場合に、お役所仕事のように“適当に”処理されたのではたまったものではありません。
○ 何を視覚化するか
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は「理想の着地点、そこに向かう理想の軌道で飛ぶボール、そのボールを打つための理想のスウィング…という短編映画を見る(視覚化する)」と云い、「それは池やOBに飛び込むホラー映画であってはならない」と注意を喚起しています。
誰しも1ラウンドに一度や二度は「今日一番」というショットがある筈です。その時、飛び上がって喜んだり仲間に冗談を云ったりするのでなく、フォロースルーの体勢のままやるべき重要なことがあります。ショットの手応え、ボールの軌道、空の色、草の匂い、温度、湿度、風向や強さ、仲間の喚声、自分自身の満足感・幸福感など、その瞬間の全てを脳内データベースに保存するのです。視覚化で呼び起こすべきなのは、その全てです。
ショット(ストローク)する前の視覚化では、ターゲット(着地点。パットならブレイクを見込んだ目標地点)を定めます。ターゲットは曖昧な「フェアウェイの真ん中」などというものではなく、細かく特定しなければいけません。長いショットであれば「バンカーの左10メートル」とか「三番目の木の影の頂点」、パットであれば「カップの右10センチ」あるいは「カップの向こうの壁の左側に枯れた芝が垂れ下がっているところ」などと、出来るだけ焦点を狭めるべきです。
そのターゲットに向かうボールの軌道(高さ・左右の曲がり)も思い描き、過去のベスト・ショットが与えてくれた満足感を思い出します。これによって心と身体がリラックスし、「過去にやったことを繰り返せばいいだけだ」という落ち着きと自信が湧き上がります。
【参考】
・映画を観るように…(tips_5.html)
・視覚化技術向上法(tips_26.html)
・視覚化を超えて(tips_95.html)
【おことわり】LPGAの画像はhttps://golfdashblog.com/、Jason Dayの画像はhttps://s.wsj.net/にリンクして表示させて頂いています。
(December 20, 2021)
●呼吸の仕方一つでスコアを減らす
「たかが呼吸」と馬鹿にしてはいけません。どんな呼吸をするとどうなるのか、どんなテンポで呼吸すべきか、ボールを打つ時とパットの時ではどうなのか?それを知っていると知らないではスコアが大きく違って来ます。
○呼吸の重要性
オリンピック選手を育てたこともあるスポーツ・コンサルタントのKenneth Baum(ケネス・バウム)は、'The Mental Edge' (The Berkley Publishing Group, 1999) という本の中で、
「スポーツをする時に限らず、人々は間違った呼吸法をしている。胸を膨らませて息をしたり、浅く途切れ途切れの呼吸をする。これは血液中に二酸化炭素を作り出し、活動中の元気回復を滞らせ、めまいや朦朧とした状態をもたらす。この過程で、身体の筋肉との正しい連携や集中心を損なってしまう。呼吸はお腹で行わなくてはならない。深呼吸し、肺の下部から徐々に上へと進んで、肺全体に空気を詰める」と云っています。
スポーツ心理学者Alan Shapiro, Ph.D.(アラン・シャピロ)は、'Golf's Mental Hazards' (Simon and Schuster, 1996)という本で、次のように書いてます。
「神経質になっている時はスウィングが早くなり、リズムを損なうものだ。ストレスを感じる状況下では、呼吸面でも同じことが起る。呼吸のテンポが早くなり、加えて浅く不完全な呼吸になる。
浅く急ぎ足の呼吸は呼吸亢進と呼ばれる。神経過敏になっている時は、無意識のうちに呼吸亢進を始めてしまう。早く浅い呼吸をすると血液中の酸素が少なくなり、空気を吸い込む必要性が増大する。その結果、血管収縮が起る。手足へ向かう血管が細く収縮するため、足と手は冷たくピリピリするか、ゴムのような感覚が生じ易くなる。頭部も身体の中心から遠いため、やはり血管収縮が起り、軽い頭痛や偏頭痛に至ることもある」
○呼吸のテンポ
では、呼吸の早い・遅いはどう見極めたらよいのか?
スポーツ心理学者でPGAインストラクターでもあるDavid Write, Ph. D.(デイヴィッド・ライト博士)の'Mind Under Par: How the Pros Think and Win' (BCM Publishing, 1997) という本では以下のように定義されています。
「普通、呼気(息を吐く)は吸気(息を吸う)の二倍の長さであることを忘れてはいけない。呼気と吸気のセットを一つと数え、30秒間に何セット呼吸するか数える。リラックスした呼吸は30秒間に3〜5セットである。これ以上の呼吸をしているなら、あなたの神経系統は興奮状態にあると云える」
リラックスするためには腹式(横隔膜)呼吸が必要です。お腹を膨らませて鼻から息を吸い、空気を肺の天辺まで満たす。数秒待ち、口から息を吐く。吸った時よりも長く吐くこと。これを5〜7回繰り返せば、一回毎にリラックスした状態が得られます。
○ボールを打つための呼吸
スウィングの前のプレショット・ルーティーンや、ストロークの前のプレストローク・ルーティーンに腹式呼吸を取り入れます。ボールの後ろに立ち、ターゲットを見つめ、中間目標を定めたりしながら深呼吸をします。
スポーツ心理学者Dr. Joseph Parent(ジョゼフ・ペアレント博士)は次のような指摘をします。「プレショット・ルーティーンの間の呼吸における最も重要なポイントは、ボールに歩み寄る前に空気を全て吐き出すということだ。それを実行すれば、スムーズなスウィングが出来る確率がかなり高くなる。何故なら、ボールに歩み寄る時のテンポが、あなたのスウィングのテンポを規定するからだ。ボールに向かってセットアップする際、歩み寄った時と同じテンポを維持すべきである」
シングル級の腕前のスポーツ心理学者Dr. Tom Dorsel(トム・ドーセル博士)は《息を吐いてから打つ》ことが飛距離の秘訣だと云います。
ドーセル博士は、テニス・プレーヤー達のボールを打つ時の声(実際には息を吐く音)に注目し、ボクサーのパンチ、フットボールのブロックやタックル、スキーヤーのターン、フィットネスのスィットアップなど、多くのスポーツの重要な局面で息を吐いている例に着目。【編註:バスケットボールの選手も、フリースローの前に息を吐くそうです】
ドーセル博士の話。「1988年のPGAツァーにおけるロング・ドライヴ年間一位だったSteve Thomas(スティーヴ・トーマス)は、息を吐くことが彼のパワフルなスウィングの一つの要素だったと話してくれた。息を吐くことは最重要な時点=インパクトに向けて焦点の合ったパワーを作り出す。インパクトまでリラックスしたスウィングで省エネし、息を吐くことで決定的瞬間の筋肉の収縮を際立たせる。ボクサーや空手の達人のインパクトの瞬間の物凄いパワーを生み出す源でもある」
○パッティングのための呼吸
デイヴィッド・ライト博士は上掲の本で次のように云っています。
「深呼吸して、そのまま止めなさい。胸・肩・首に緊張を感じる筈だ。この息を止めた状態でスウィングしたりパットしたり出来ると思いますか?しかし、多くのゴルファーは無意識にそうやっている。パッティングのためには完全に息を吐き終わってからストロークを開始すべきだ。息を吐くにつれ、両肩はリラックスして柔らかく下に落ちる。
PGAツァー・プロのDennis Paulson(デニス・ポウルスン)が1994年のAT&Tトーナメントに参加した時のこと。この会場のPebble Beach(ペブル・ビーチ)は、三日目に時速30〜40マイル(13〜18 m/s)の風が吹き荒れ、彼は知らず知らずのうちに息を吸った状態で止めてパットしていた。ラウンドを終えた彼は呼吸法の過ちに気づいた。最終日、彼は深呼吸によってリラックスし、以前の素晴らしいパッティングに戻った」
ただし、ライト博士は次のような注意を付け加えています。
「スウィングやストロークの最中に呼吸について考えるのは、メカニックス(スウィングやストロークの動作・手順)に集中するのと同じ位よくないことだ。意識せずに自動的にそう出来るようになるまで練習が必要である」
【参考】
・ベスト・スウィングの秘訣 (tips_7.html)
・呼吸法・完結篇(tips_13.html)
・呼吸の使い分け(tips_53.html)
・呼吸法一つでプロ裸足のショット(tips_180.html)
【おことわり】画像は順にhttps://www.allinahealth.org/、http://www.lequre.com/wp-content/、http://tblo.tennis365.net/、https://www.wivb.com/にリンクして表示させて頂いています。
(January 10, 2022)
●メンタル・タフネスを身につけてスコアを減らす
あるインストラクターは「ゴルフは90%メンタルだ。そして残り10%もメンタルだ」と云いました。メンタルな影響をコントロール出来れば、かなりのミスを防げスコアを減らすことが出来るでしょう。
歌の文句に「明日は東京に出て行くからは なにがなんでも勝たねばならぬ」というのがありましたが、これは無茶苦茶です。なにがなんでもバーディを得なけりゃならぬとか、是が非でもパーを得なけりゃならぬ…と念力で都合良く事が運ぶものなら物事は簡単ですが、そうは問屋が卸しません。ことゴルフでは、必死になればなるほど筋肉が硬直して目論見に失敗することが多い。
以前の賞金王だったTom Kite(トム・カイト)のテンション解消法は素晴らしい。「不安が忍び寄って来たら、中国の14億人の人たちを思い浮かべるべきだ。彼らはあなたの一打のことなど知っちゃいない。彼らにとってはどうでもいいことなのだ」これは名言です。確かに、こちとらにとってはこのバーディ・パットが80を切れるかどうかの正念場であったり、ライヴァルを打ち負かす一打差だったりすると、「入れたい!」という願望・欲望が頭を占領し「なにがなんでも入れねばならぬ」という心境になってしまいます。その時、遠く中国で自転車通勤をする人の群れ、痩せた土地を黙々と耕す中国農民たちの姿などを思い浮かべれば、「おれのやってることはたかが遊びじゃないか。このパットが入ろうが入るまいが中国人民にとってはどうでもいいことなんだ」という気になります。筋肉の強ばりが解け、瞬時にリラックス出来ます。
かように自分自身をコントロールするメンタル操縦法は重要です。これを知ると知らないではスコアに大きく影響します。そして、次の三つの要素の役割も知らなくてはなりません。
《左脳の働き》
・状況の分析
・クラブ選択と作戦の決定
・ライや芝目など細部への注目
・アライメントの調整
《右脳の働き》
・ボール軌道の視覚化
・中間クラブが必要な場合の距離の推定
・フィール、タッチ、テンポの醸成
・トラブル・ショットにおけるイマジネーション
《潜在意識の働き》
潜在意識は筋肉による動きを遂行します。われわれは誰かのボールをOKする時、地面からボールを拾い上げて、距離だの軌道だのを考えることなくポンと相手に向かって投げますが、それは常に正しい距離であり暴投やショートなどはあり得ません。これは潜在意識が瞬時に筋肉に命じて正しい動作をするからです。これは長期間泳いだことがなく自転車を漕いだこともないのに、手順を考えることもなく難なく泳いだり自転車に乗れる能力と同じです。
ゴルフ・ボールを打つ際、われわれに必要なのは1) 左脳による状況分析(距離、クラブ選択、打ち方などの戦略決定)、2) 左脳が決定したショットを右脳で視覚化、3) そのイメージを潜在意識に引き継ぎショットを遂行させる…という段取りです。
上の1〜3は順番を混乱させてはいけません。右脳や潜在意識に任せるべき時点でなおも左脳がぐずぐず居残って出しゃばっていると、右脳も潜在意識も出番がなく(というか出るのを妨害されて)能力を発揮出来ません。
○ショット以前
言語を操るのも左脳です。戦略を決定し、ボール後方で右脳によって視覚化しようとしたその時、仲間の誰かが冗談を云ったとします。左脳は本能的にそれを聞き取り分析します。同伴競技者がティーグラウンドに上がっているのに何か喋るのはマナー違反ですから、静粛になるまで素振りを何度も繰り返すか、ターゲットを見つめながら静止しているのがベストです。乱された集中心を取り戻すための異常な長さのルーティーンによってあなたが苦労していることを知った仲間は恥じ入ることでしょう。この時冗談を聞き流せず、反応して何か喋ったりすると最悪です。左脳は右脳に業務を引き継げませんから、仮にターゲット方向に目を向けていたとしてもとても視覚化など実行出来るものではありません。右脳が与えてくれるべき目標が得られないので潜在意識もどう筋肉系統に指令すればいいのか途方に暮れ、不見転で身体を動かすことになります。これはミス・ショットへの特別急行です。喋った後少なくとも30秒経ってから打つこと…と云われています。
上級者と廻っている時、あるいは知り合いの同伴競技者たちが、あなたのスウィングを顕微鏡で見るようにつぶさに分析していると思ったら大間違い。あなた自身の心理状態を振り返ってみれば明瞭ですが、人々は「このホールどこを目標に打とうか」「前のホールではプッシュしたから注意しよう」「もっとゆっくりスウィングしなきゃいかんな」などと自分のゲーム内容に専念しており、あなたのスウィングへの関心などほぼゼロです。聞かれた場合どっちへ飛んだかは云わなくてはならないので、ボールの行方を見てはいるでしょうが、あなたのスウィング分析などに興味を抱いていません。ですから、「見られている」と思うのは自意識過剰です。リラックスして打てばいいのです。
○ショット
'Vision54'というインストラクター・グループは「二つのボックス」という概念を提唱しています。図のようにボールの背後の「思考ボックス」で左脳・右脳の作業によって戦略・ショットのイメージを構築したら、ボールに歩み寄りながら「決断ライン」を越えて「実行ボックス」に入ります。いったん「決断ライン」を越えたら何も考えてはいけません。潜在意識に全てを委ねるのです。そして「実行ボックスの滞在時間は短い方がよい(4〜9秒が望ましい)。それ以上長いと、空っぽにした筈の心に、様々な想念が忍び込んで心をかき乱し始める」とされています。
あるゴルフ名人の一人は、「ビクビクすることはない。もう何千回もこのショットを経験して来た。またそれを繰り返すだけだ」と云いました。つまり身体で覚えたことを潜在意識にやらせるのです。強く打とうとか弱く打とうなどと意志の力で達成しようとするのではなく、潜在意識に任せればいいのです。
○忍の一字
逆境にめげないこともメンタル・タフネスの要件です。ボギー・スタートとか連続ボギーを記録しても絶望したりしないこと。どこかでチップイン・バーディがあったりすればチャラになります。希望を捨てず「ボギーは仕方がないが、ダボは許せない」という姿勢で耐え抜くべきです。
PBFU(Post Birdie Fuck Up、バーディの後の大チョンボ)という言葉があります。バーディに気を良くして、その後野方図なショットをしたり【結果はOB】、3パットしたりでダボにするような事態を指します。幸運に慢心したせいです。常に薄氷を踏む思いで、一歩一歩慎重なプレイを重ねることが大事です。
○ミスを認める 11のメイジャーに優勝したWalter Hagen(ウォルター・ヘイゲン、1892〜1969)は、ワン・ラウンドにつき七つのミスを予期していたそうで、「ひどいショットをしてもそれは七つのうちの一個に過ぎないから気にしない」と云っていました。名人にしてこうなのですから、われわれが予期すべきミスはもっと多い筈です。一つのミスに怒り狂ったりせず、素直にミスとその結果を受け容れるべきです。これが平常心を保つ秘訣です。 ○よいコーチたらんとすべし われわれは一打一打毎に「ゆっくり打てよ」「また愚かなミスを犯すなよ」「ヒットダウンしろ、ヒットダウン!」などと自分自身のコーチとなって自分を指導します。失敗すると「なにやってんだテメエ!」「何年ゴルフやってんだ!」などと毒づきます。これは理想的な師弟関係とは云えません。コーチはプレイヤーのいいところを探して褒め、改善のヒントを与えるべきです。 自分自身を叱責するのはテニスのダブルス、バレーボール、野球などのチーム・プレイなどで、ミスした仲間に罵詈雑言を浴びせるのと同じことです。なじられて腹を立てた仲間はやる気を失くすでしょう。ゴルフでも同じです。上から目線で叱責するのではなく、チームとしてどう状況を打開するか・挽回するかを考えるという立場に立つべきです。 ○他人のショット 他人のショットとの比較で一喜一憂するのは愚かです。「上がってなんぼ」と云うようにゴルフは飛距離だけではないので、毎ホール心の中で他人とヴァーチャル・ドラコンをやっても仕方がありません。 ただし、グリーン上では他人のパットに注目すべきです。上手い人がショートすれば相当遅いグリーンなのかも知れないし、ボールの切れ方でブレイクの傾向が分ります。ただし、下手な人のパットはあまり参考になりません^^。芝目で切れたのか、ストローク・ミスで切れたのか解らないからです。 ○ハーフ終了後 スコアを数えてはいけません。「う〜む、80を切るにはインを38で廻らないといけないのか」などと考えると、プレッシャーがかかります。無謀な冒険を決行したり、長いパットを寄せるのではなくぶち込もうとして強く打ち過ぎたり、無理をしがちになります。 |
メンタル的にタフな人はスコアを数えてもいいでしょうが、そういう人はこんな記事を読まないでしょう^^。タフでない私などは絶対数えません。18ホール終わってからのお楽しみにとっておきます。きわどく7オーヴァーで終了出来たりすると棚からぼた餅が落ちて来たように喜びます。
【参考】
・ゴルフを左右する左右の脳の働き
・ゴルフする心(tips_23.html)
【おことわり】中国の写真はhttps://cdn-ak.f.st-hatena.com/にリンクして表示させて頂いています。
(February 10, 2022)
●'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)
この本の存在は20年も前から知っていましたし、書店の店頭でめくってみたこともありました。しかし、本のカヴァー・デザインや中身のイラストやレイアウトがダサいと感じられたことと、私が生来「科学的」と称するものにあまり魅力を感じないせいもあって、この本を読もうという気になりませんでした。Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)がこの本の著者たちに一目も二目も置いていなかったら、全く縁がない本だったでしょう。
'Swing Like a Pro'
by Dr. Ralph Mann and Fred Griffin (Broadway, 1998)
ブランデル・シャンブリーが評価するのは当然です。両者のコンセプトが類似しているからです。ブランデル・シャンブリーは古今のフィルム、ヴィデオ、写真を分析することによって、名人たちのスウィングの最大公約数を得ようとしました。
'Swing Like a Pro'の二人の共著者は、多数のPGAおよびLPGAツァー・プロに協力を要請し、彼らのスウィングを正面および飛行線後方から高速度カメラで撮影し、身体の各部の動き、クラブ・ヘッドの動きなどをコンピュータで分析し、最大公約数を求めようとしたのです。協力したプロとしては、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、Tom Kite(トム・カイト)、Bobby Clampet(ボビィ・クランペット)、ブランデル・シャンブリーなど数百名。撮影と分析に、なんと17年もかかったそうです。
Dr. Ralph Mann(ラルフ・マン博士)はオリンピックのハードル競技で銀メダルを獲得したアスリートで、スポーツの生体力学の博士号を取得して、オリンピック競技や野球、フットボール、ゴルフなどのパフォーマンス向上の研究に専念。もう一人の著者Fred Griffin(フレッド・グリフィン)はゴルフ・インストラクターで、専門誌多数に寄稿している人です。
20数年前の研究ですから、今となっては常識の部類となっている要素も多いですが、それらが常識となった根拠(なぜ、そうすべきなのか)を説明してくれるので読む価値は充分あります。著者たちは実験材料となったプロたちの体型(身長、体重、細身か太目か)なども考慮に入れていますので、これまで紹介した「体型別スウィング」と大筋において矛盾することはありません。
私がこの本に教えられた諸点:
・ニュートラル・グリップはなぜいけないのか?
・アップライトにアドレスすべき理由
・2秒でスウィングせよ
・パワーに必要な角度は45°である
・フル・フィニッシュを目指せ
この研究に協力したツァー・プロ(姓のABC順):【ピンク色は女子プロ】
Tommy Aaron
Kristi Albers
Helen Alfredson
Fulton Allem
Buddy Allen
Donna Andrews
Stuart Appleby
Wally Armstrong
Paul Azinger
Seve Ballesteros
Chip Beck
Woody Blackburn
Brandie Burton
Joanne Carner
Brandel Chamblee
Bobby Clampett
Keith Clearwater
Dawn Coe-Jones
Charles Coody
John Cook
Ben Crenshaw
Joe Daley
Bruce Devlin
Dana Dormann
Bob Eastwood
Danny Edwards
Bob Estes
Brad Faxon
Ray Floyd
David Frost
Jim Furyk
Buddy Gardner
Jane Geddes
Al Geiberger
Gail Graham
Hubert Green
Tammie Green
Gary Hallberg
Phil Hancock
Morris Hatalsky
Mark Hayes
Vance Heafner
Tim Herron
Lon Hinkle
Scott Hoch
Mike Hulbert
Hale Irwin
Betsy King
Tom Kite
Gary Koch
Ralph Landrum
Bernhard Langer
Franklin Langham
Bob Lohr
Davis Love III
Scott McCarron
Gary McCord
John Mahaffey
Meg Mallon
Doug Martin
Len Mattiace
Barb Mucha
Jodie Mudd
Bob Murphy
Jack Nicklaus
Greg Norman
David Ogrin
Mark O'Meara
Arnold Palmer
Jesper Parnevik
Mark Pfeil
Don Pooley
Dicky Pride
Tom Purtzer
Nancy Ramsbottom
Loren Roberts
Hugh Royer
Charlie Rymer
Nancy Scranton
Scott Simpson
Tim Simpson
Val Skinner
J.C. Snead
Ed Snead
Mic Soli
Craig Stadler
Sherri Steinhauer
Payne Stewart
Dave Stockton
Mike Sullivan
Bob Toski
Kris Tschetter
Bob Tway
Tommy Valentine
Lanny Wadkins
Grant Waite
Duffy Waldorf
Colleen Walker
Lisa Walters
Dennis Watson
D.A. Weibring
Jay Williamson
【おことわり】モデルの画像はhhttps://www.golfwrx.com/にリンクして表示させて頂いています。
(February 10, 2022)
●Callawayのスーパー・ボール
私はここ数年Bridgestone(ブリジストン)のRXSを愛用していました。ウェッジのグルーヴ(溝)で噛みやすくしてスピンをかけるためでしょうが、表皮が柔らかで傷つき易いのが難であるものの、好ましい軌道で飛んでくれるので他のボールに浮気出来ませんでした。
ここのところ様々な出費が続き、新しいボールを購入するのをためらう気持から、以前拾って手元にあったロスト・ボールを使うことにしました。色々なメーカーのボールを使いましたが、その中で驚いたのはCallaway(キャラウェイ)のSupersoftでした。ある日のNo.1(パー4)、「Supersoftって多分女性用だろうな…」とあまり期待せずに打ったドライヴァー・ショットは、なんと日頃より50ヤード以上も遠くへ飛んだのです。そして、続く140ヤードのショットも真っ直ぐ飛んでオン。感動してしまいました。私の遅めのスウィング・スピードとの相性が良かったのか、最近実践している左踵を上げ下げするスウィングのせいか。
そのSupersoftは真っ赤な色で、"matte finish"と称する艶消しの(つるつるではない)仕上げがしてありました。そのボールは次のホールでシャンクした際に失くしてしまい、いくら探しても見つかりませんでした。帰宅して手持ちのロスト・ボールを点検すると、Callawayの赤い艶消しボールは他に三個もありましたが、どれもSuperhotでした。緑色のも一個ありましたが、これもSuperhot。
50ヤードも余計に飛んだ興奮が忘れられず、ついにSupersoftの1ダース(一個$2.08、税別)をオンラインで購入することにしました。いい思い出のある真っ赤な艶消しを注文しようとして、ふと手を止めました。私が見つけたSupersoftはほとんど赤いボールで、私が失くしたのも赤いボールでした。赤い色は一見派手ではあるが、見つけにくいんじゃなかろうか?で、緑色のを買うことに決定。これは黄色に近い緑なので発見し易いと思いました。
で、届いたSupersoftはどうだったか?飛びません。期待していたのに、ちっとも飛ばないのです。あの50ヤード増のショットは何だったのか?地面の何か固い部分に当たってポーン!と50ヤード跳ねたのでしょうか?がっかりしました。
同じCallawayでもSuperhotはどうか?手元にあったSuperhotを使ってみました。Supersoftとの凄い差はありませんでしたが、心無しかいつもより5ヤードは多く飛ぶように思われました。スピンの率もさほど変わらないようです。調べると、Supersoftは2ピース、Superhotは3ピース構造になっているとか。3ピースは「ディスタンス系とスピン系の特徴を併せ持ち、高い反発力とスピン力が特徴のバランス型ボール」だそうで、これらが同一価格というのは信じられません。また、SupersoftもSuperhotも艶消し仕上げのせいか傷が目立ちません。
スーパーWalmartへ行ったらSuperhotの15個入りが$29.97(一個$2.00、税別)で売られていました。オークション・サイトeBayの$28.99(一個$1.93)よりごく僅か高く、Amazonの$38.00(一個$2.53)よりは格安。Bridgestone Tour B RXS(12個)はAmazonで$42.95(一個$3.60)もしますから、 Callawayの方がずっとお買い得です。迷わず買ってしまいました。色はSuppersoftと区別するため黄色を選びました。
ある日、Superhotだけでラウンドしてみました。またもやNo.1で日頃より50ヤード遠くへ飛びました。Supersoftの記録とほぼ同じ飛距離。このボールでアウトは3(スリー)バーディ。後半のバーディも期待したのですが、後半はゼロでした。しかし、私のCallawayボールへの信頼感は深まりました。Bridgestoneより安くて傷つきにくく、しかも飛ぶだけでなくショート・ゲームにも向いています。云うこと無しです。その数日後、今度はワン・ラウンドで3(スリー)バーディ。ますます気に入りました。
安全に飛ばせるホールではSuperhot、左右が要注意のホールやパー3(スリー)ではSupersoftを使うことにしました。
(March 20, 2022)
●エネルギー充填でスコアを減らす
私の属するシニア・グループに、毎回一緒のカートで参加するある一組の夫婦がいます。以前は奥さんもプレイしたのですが、最近はひたすら旦那の運転手を務めています。「麗しい夫婦愛だ」とお思いかも知れませんが、私はいつもこの夫婦と一緒に廻るのを避けたいと願っています。
この奥さん、チームの誰かがバーディを達成すると御褒美に棒つきキャンディを上げるのです。バーディでチームに貢献したプレイヤーは喜び、得意そうに棒つきキャンディを舐めます。私も計十本ぐらい貰いましたがどれも舐めません。全部うちのカミさんに上げています。
ゴルファーが摂取した糖分は分解されてブドウ糖(グルコース)になり、吸収されて血液の中に入ります。糖分を過剰に摂取すると血糖値が上昇するため、人間の身体は血液中の糖分の量を低下させようとして、インシュリンを放出します。糖分摂取は一時的興奮状態(シュガー・ハイ)を引き起こすものの、インシュリンの影響で数分後には逆に脱力感・疲労感を覚えるようになります。プレイに集中出来なくなり、バーディはおろかパーすらも怪しくなるのです。
チーム・メンバーに棒つきキャンディを与えるのは、チームを鼓舞するどころかチームの自滅に繋がる愚かな行為なのです。無教養・無知蒙昧なアメリカ南部人の典型的考えと云えます。
糖分の大量摂取は避けなければいけませんが、疲れを取り集中心を持続させるための飲み物は必要です。私が知っているある男は水を入れた瓶を携行してラウンド中に飲んでいました。甘い水よりはいいとしても、水だけでは充分ではありません。私がプレイする市営ゴルフ場は滅多に混むことはないので、グループでのカート利用のラウンドだと三時間、カート利用で一人で廻れば二時間で済みますが、日本のゴルフは平均四時間半だそうです(昼食時間を除く)。これだとエネルギーを補給しないとバテてしまいます。
以前、私はRockstar(ロックスター)というエナージィ・ドリンクを愛用していたのですが、スーパーでも一本(473ml)1.5ドル(170円+)もするので気軽に飲めないのが玉に瑕でした。その主成分を調べると次の三つでした。
・タウリン:最もアミノ酸豊富な物質で疲労回復に役立つ。
・ガラナ・エキス:忍耐力・メンタル能力の向上を助けてくれる。
・朝鮮人参エキス:スポーツ・パフォーマンス、スタミナなどを増強し、ストレスを弱める。
これら三つは他の多くのエナージィ・ドリンクにも共通する御三家と云えます。エナージィ・ドリンクには他にも多数のヴィタミン類が含まれているのが普通です。
私は上の三つの成分をオンライン薬局で購入出来るカプセルで服用することにしました。それぞれ500mg、100カプセルで3.5〜5ドル前後です。Rockstarを飲むのに較べれば凄い節約です。三つのカプセルをラウンド一時間前に服みます。
飲み物としてはMIO Energyという濃縮エナージィ・ドリンクの素(液体)を冷水に加え、1ラウンド分の飲み物を作ります。これには上の御三家も含まれていますが微量に過ぎません。各種ヴィタミンが含まれているので、カプセルを補完し、トータルでエナージィ・ドリンクを飲むのと同じになります。昨今有害視されている人工甘味料アスパルテーム(フェニルアラニン化合物)は含まれていませんので安心です。
なお、以上のどれも普通に売られているものばかりで、薬物検査で問題にされることはありません。
【参考】
・カフェインの助けでスコア・アップ(tips_170.html)
・タウリン、ガラナ、朝鮮人参の効能(tips_186.html)
(May 01, 2022)
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