アイアンによるピンへの攻撃が大きく逸れた場合、われわれはスウィングが悪かったのだと落ち込みますが、実はクラブが悪かったということだってあるのです。クラブは何年も使っているうちにライ角が変わり、クラブの中心でボールにアドレスしても真っ直ぐ飛ばせなくなることがあります。数年おきにワンセットのアイアンをクラブ・フィッターに預け、ライ角を修正して貰うのが最も簡単ですが、私の方法のような対症療法もないではありません。
フェースに水虫スプレー(粉末タイプ)を噴霧し、練習マットに装着したゴム・ティーを何度か打って自分がクラブフェースのどこでボールを打っているか、その傾向を調べます。トゥ寄りなのか、ヒール寄りなのか。
もしトゥ寄り1センチで打つ傾向があれば、フェースの中心から1センチほどヒール側にマジックで印を付け、そこでボールにアドレスして打つように調整すれば、ちゃんとスウィートスポットで打てるようになります。ピンを狙って正確に打とうとするアイアンにとって、これは非常に重要なことです。
クラブ・フィッターの調整は業界標準(あるいはクラブ出荷時)のライ角に戻すだけですが、私の方法は自分自身のスウィングの癖に対応した調整法なので、双方は既製服とオーダーメードの違いがあります。
私は2017年から三年間、毎年秋にこの調査をしていました。2017年と2018年ではかなり大幅に調整位置(アドレスすべき場所)が違っていました。2018年と2019年では大きな違いはありませんでした。それ以後この調査をすることをすっかり忘れていました。
これまでは5番~9番とPWを調べるだけだったのですが、今回はGW(ギャップ・ウェッジ)、SW、LWも調べることにしました。LWがなぜか狙った地点の左に飛ぶ傾向がライ角のせいかも知れないと思ったからです。
右上の写真は(ボールではなく)数回ゴムのティーを打った結果です。5~7番はややトゥ寄りで打っている感じなので、フェースの真ん中よりヒール寄りでアドレスすることにしました。左の写真を見て頂くと(特に一番左の5番アイアン)アドレスすべき場所の変遷がお解り頂けるでしょう。
ロブ・ウェッジのボールとの接触点はやはりヒール寄りでした。今後はややトゥ寄りでアドレスすべきであることが判りました。
ついでなのでドライヴァーとハイブリッド数本も調べてみました。ドライヴァーは「最近右に出ることがよくある」と感じていたのですが、これもトゥ寄りで打っていることが判明しました。右へ出て当然です。今後は若干ヒール寄りでアドレスすることにします。
上の調査と調整を済ませた後のラウンド、ピンまで1.5m、3m、1m、30cm、30cm、10cm、30cm、1m…等につけることが出来ました。
不得意なクラブがある場合、意外にこのようにスウィート・スポットで打っていないのが原因ということがあるのではないでしょうか。自分のスウィングを疑う前にクラブを疑ってみることをお薦めします。悩みが一挙解決ということだってあるでしょうし、微調整によってぴたぴたピンに寄る快感が味わえるかも知れません。
【参考】「アイアン・フェースのどこで打っているかを調べる」(tips_196.html)【2019 年版】
(October 15, 2022)
●トップでは忍耐が必要
28歳で引退するまでに30勝を挙げ、LPGAのトップだったLorena Ochoa(ロレナ・オチョア)のtip。
'100 Classic Golf Tips'【LPGA version】
edited by Christopher Obetz (Universe Publishing, 2008, $24.95)
「私のコーチが常に私に説いていたことの一つは『切り返し』での忍耐であった。私のバックスウィング開始の時やスウィングのトップで、彼は私の集中力を試すために"paciencia”(=patience、忍耐)と言葉をかけて来た。
私が辛抱強い時、私のバックスウィングはトップでゆったりした一時停止がある。クラブを振り下ろすのに慌てる必要はないし、一時停止は下半身からのダウンスウィング開始と、体重を左サイドに移す時間を与えてくれる。
私の切り返しは一つの長くスローな動きに感じられる。それは部分部分に分けられるものではなく、ゆっくりで早いか、早くてもっと速いという感じだ。クラブは振り下ろされる瞬間からフィニッシュまで同じ速度である」
(December 01, 2022)
●GPSより正確な距離測定器
それは肉眼です。
市営ゴルフ場はしばらく前までグリーン改造に専念していて、われわれは本グリーンのずっと手前(のフェアウェイ)に設置された臨時グリーンでのプレイを余儀なくされていました。この時期、GPSレンジ・ファインダーは全く役に立ちませんでした。旗を覗いて距離を測るタイプの機器なら役に立ちましたが、単にGPSを頼りにしているレンジ・ファインダーは全く駄目でした。
この期間、私が獲得したのは目で見た距離測定の技でした。9番だろうか、ピッチング・ウェッジだろうか?サンドウェッジか、ロブ・ウェッジか?ピンを見つめているうちに、次第に「これはピッチング・ウェッジじゃ飛び過ぎる」とか「サンドウェッジじゃ届かない」などということが目で見た感じで判るようになったのです。
本グリーンでプレイ出来るようになってからも、その感覚は大いに役に立っています。GPSが何と云おうと私の私製ヤーデージ・ブックが何と云おうと、目による測定に優るものはない…という境地です。それは自分のその日の活力、その日の出来(飛距離、正確さ)、そしてそのホールの癖(グリーンの大きさ、早い・遅い、切れ方など)などを総合的に判断した結果に他なりません。GPSレンジ・ファインダーには出来ないことをやってのけているわけです。人間の頭脳の凄さです。
いい例が最近のラウンドでありました。あるホールのティー・ショットがピンまで50ヤードに届きました。肉眼での計測ではLWをフルに握って丁度いいように思われました。しかし、私の個人的ヤーデージ・ブックを見ると「LW赤」となっています。これはLWを「7.5センチ短く持って打て」という意味です。これまで何ヶ月かこのホールで50ヤードを攻めた時の最大公約数です。「ほんとかなあ?」半信半疑でその通り打ったら見事バンカーへ。練習として、5センチ短く持って打っても、2.5センチ短く持って打ってもグリーンに届きません。最後にLWをフルに握って打ってやっと乗りました。やはり現在の自分のスウィング、パワーなどを知っている内蔵のレンジ・ファインダー(肉眼)が正しかったのです。
GPSと直観に食い違いが出たとしたら、迷わず直観に従うべきです。私自身、これを鉄則にして成功しています。
【画像はhttps://untilthenexttee.files.wordpress.com/にリンクして表示させて頂いています】
(December 10, 2022)
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