Golf Tips Vol. 191

クラシック・スウィングとモダン・スウィング

 

「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち、インストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)とDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)の二人が執筆したゴルフ全般の教本から、昔風のスウィングと当世風スウィングの比較。両方をごっちゃにするとまずいと思われます。

'Total Golf'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney {Triumph, 2000, $19.95)

[Miller] [Elkington]  
クラシック・スウィング モダン・スウィング
プロの例   Johnny Miller(写真左), John Daly,
   Colin Montgomerie
   Steve Elkington(写真右),
   Paul Azinger,
   Ernie Els, Corey Pavin
ボール位置スタンス前方 スタンス後方
グリップウィーク〜 ニュートラル ストロング〜ニュートラル
腰の後方傾斜/右脚ストレート 水平
腰の動き水平移動、その後回転 ひたすら回転
テイクアウェイワンピース(胸、両手、クラブヘッド等全て) 連続(腕→コック→肩の回転)
バックスウィング高い弧(上方に) フラット(円弧を描く)
右足の位置ターゲットラインに直角 右に開く
手と前腕の動作不可欠 最少限
両脚活発に動く 控え目に動く
リリース投げ出すような動作 身体の回転でリリース
フィニッシュリヴァースC(写真左) 背骨を真っ直ぐにする

 

【原註】いずれのプロも、これら全ての特徴を備えているとは限らない。

 

上に名前が挙げられた全てのプロのスウィングが分析されているのですが(九人のLPGAプロの分析もあるとはいえ、クラシックかモダンかの区分けはされていない)、その中の男子ではCorey Pavin(コリィ・ペイヴン、1.75m、70kg)が最も小兵で日本人の体型に近いので、彼のスウィング分析のみ紹介します。

「Corey Pavinの1995年のU.S.オープン優勝は、彼の競技生活の頂点であった。ロング・ヒッターではないがショット・メイカーとして知られ、パッティングも最高、Ryder Cup(ライダー・カップ)における戦果も傑出している。彼は“ブルドッグ”と渾名されているほどの闘士である。

彼はフィール・プレイヤーであり、どうボールを打つか技術的に考えるのではなく、ボールがどう打たれるべきか運動感覚でコントロールする。そのため、彼のスウィングは時として異常な身体の位置をとることがあるが、騙されてはいけない、結果が示すようにそれは見た目よりも素晴らしいスウィングなのだ。

1) 【ヴィデオの0:20】Corey Pavinは、捻転のための安定した基盤を得るため、両肩の外側に踵を広げたスタンスをとる。彼の両肩はアドレスでほぼ水平(普通とは異なる)。彼の特徴であるフラットな肩の回転の準備として背骨を傾斜させず、リラックスしたポスチャー。グリップエンドと身体との間には、拳+伸ばした親指の幅の充分な空間がある。彼の顎は、左肩の到着を待って誇らしく上げられている。

彼の背骨下部と、ベルト・バックルを指すクラブシャフトとが完璧な90°を形成していることに注目。これが彼の安定したヒッティングの秘密である。

ドライヴァーを打つ時、ドローで飛距離を得るため、彼は右足を下げる。彼はコース・レイアウト次第で自由にボールを曲げられるので、フェードを打つ時にはややオープン・スタンスをとる。

2) 【ヴィデオの0:26】テイクアウェイで、彼の両手はクラブの内側に位置している。両手が腰の高さになり、クラブを引き上げる時点になると、彼はコックする。

3) 【ヴィデオの0:29】クラブがコックされると、初めてクラブヘッドを両手を追い越して高くなる。左腕はスタンスライン(ターゲットライン)の真上で、クラブヘッドは高く彼の背後に廻され、シャフトは彼の上腕二頭筋(力こぶが出来る箇所)に重なっている。

ここで重要なのは、両手がオンラインで、クラブヘッドがラインの後方であることは、彼のフラットな捻転にマッチしたクラブうヘッドへの奥行きを与えているということだ。もし、ここで彼が両手をスタンスラインの内側に引いたら、過度にインサイドであり、クラブヘッドは彼の後方で立ち往生してしまうだろう。

彼の目がボールに据えられたままなので、身体が後方に捻転されるに従い、彼の頭は以前より傾斜している。

4) 【ヴィデオの0:32】トップで、クラブフェースと肩の傾斜角度はマッチしている。また、彼は両膝を柔軟にして腰の水平を維持し、右肘を地面に向けることで左腕はアドレス時のシャフトのプレーンを同一に保っている。

5) 【ヴィデオの0:34】ダウンスウィングの開始で、クラブシャフトが下降する前に、両肘で形成された三角形が傾いで、クラブシャフトをターゲットの左に向かわせる。この動きはシャフトを右の上腕二頭筋に重ね、完璧なオンプレーンの位置を形成する。【参考:「ダウンスウィングの研究」(tips_185.html)】

彼の右踵は、両手がズボンの右ポケットを通過するまで地面から離れず、それがインパクトまでの安定した姿勢を保証する。彼の両手はスタンスラインに戻り、同様にシャフトも(3)の位置に戻る。

6) 【ヴィデオの0:37】リリース時のクラブシャフトは、(2)の鏡像である。シャフトは左の二頭筋に重なっており、彼がプレーンの角度を保っていることを示している」

 

【おことわり】写真はhttps://imagesvc.timeincapp.com/とhttps://waxgolf.files.wordpress.com/にリンクして表示させて頂いています。

(January 14, 2018)

世界はフラットである

 

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のこの記事の題名は、フラットなスウィング・プレーンと、地球球体説以前に信じられていた地球平面説をかけた洒落です。

'The world is flat'
by Johnny Miller ('Golf Magazine,' June 2014)

「1980年代、Mike Reid(マイク・リード)は、ドライヴィングの正確度No.1か2を六年間も続けて"Rader"(レーダー)というニックネームがついた。【編註:今ならレーザーでしょうね】1990年代、Fred Funk(フレッド・ファンク)は80%近いフェアウェイ・キープ率を達成した。最近ではZach Johnson(ザック・ジョンスン)がそれに近い。興味深いことに、これら三人に共通するのはフラットなスウィングをするタイプだということだ。

私がプレイした1970年代、スウィングはとてもアップライトだった。スウィングのトップでわれわれは両手を右肩の遥か上に挙げ、フィニッシュで左肩の遥か上に両手を挙げた。あまりにもアップライトなので、われわれは背骨を逆Cの形になるほど曲げなくてはならなかった。私の現役時代、フラットなスウィングをする人は稀であった。現在は誰もがフラットである。2014年のツァーで、1960〜1980年代の私やJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)他のようなスウィングをする人は3〜4人に過ぎない。

Matt Cuchar(マット・クチャー)のスウィングを見てほしい。彼のスウィングはとてもフラットで、両手がほんの僅か肩の上になるフィニッシュをする。このフラットなスウィングは正確さに役立つだけでなく、インパクトで身体の回転速度を増す。何故なら、クラブを上方にリリースする必要がないからだ。それは純粋な回転であり、回転はスピードに等しいからだ。

 

スウィング・プレーンを変えるのはさして複雑なことではない。両手を肩から肩へ(右肩から左肩へ)スウィングすることから始め、インパクトにかけて身体を攻撃的に回転させる。バックスウィングが短く感じるだろうが、週末ゴルファーのほとんどにとってはそれでいいのだ。速いリリースによって短いバックスウィングは帳消しに出来、これまでよりずっとフェアウェイをキープ出来るようになる」

(January 14, 2018)

樵(きこり)型スウィングとの訣別

 

'Free your arms for power'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' July 2007)

「あなたが自分の精一杯のパワーでボールを打っていないと感じるなら、それはあなたがインパクトを過ぎても加速し続ける代わりに、ボールにクラブをゴン!と当てて、そこでストップしてしまうからだ。これは樵(きこり)が木を切り倒す時に斧で幹を刻む動きに酷似している。

樵型で突如減速するスウィングの結果は、通常高い軌道で、弱いフェードがかかり、手が詰まった動き(blocked hand action)をし、クラブヘッド・スピードが遅くなる。あなたのショットにこれらの症状が当てはまるようなら、インパクト・エリアで腕を自由に振る方法を学ぶべきである。

樵型になる原因の一つは、ボールに近過ぎるアドレスだ。両腕をリラックスさせて垂らしてから、クラブを保持している左手と左腿の間に右手を滑り込ませてみる。拳の幅よりやや広いのはOKだが、拳より狭い窮屈な間隔は両腕の自由を妨げるので問題である。

もう一つの原因は、グリップがきつ過ぎるせいだ。あまりにもきついグリップは手首と前腕部の自由を奪ってしまう。アドレスする時に、指先でグリップしているようにリラックスすることが大切」

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「検証・《アドレスで腕・手を前に突き出すな》」(tips_135.html)を紹介した頃、私は手・腕をだらんと下げたアドレスが最良と考えていました。しかし、「Bryson DeChambeau(ブライスン・デシャンボー)のシングル・プレーン」(tips_179.html)に見られるように、クラブ・シャフトと手・腕を一直線にして一つのプレーンでスウィングするのも、シンプルでいいようです。現在の私は、ドライヴァーを打つ時は手・腕を伸ばしています。腕を垂らしていた頃より飛距離は増し、方向性が乱れるということもありません。

 

(January 14, 2018)

長ぁ〜い距離を低く転がす

 

「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち、インストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)とDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)の二人が執筆したゴルフ全般の教本から、"low runner"(ロー・ランナー)の打ち方。これは短い距離を転がすバンプ・アンド・ランとは異なるものです。

'Total Golf'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney {Triumph, 2000, $19.95)

「ボールからピンまでの間にバンカーや池や小川などの障害物がなく、湿った地面や砂地もなく、フェアウェイが固くて草も短ければ、この"low runner"は有力な選択肢の一つである。アメリカのプロではLee Trevino(リー・トレヴィノ)やTom Watson(トム・ワトスン)ぐらいしかこれを用いなかったが、ヨーロピアン・ツァー・プレイヤーの多くはこのショットを身につけていた。

これは、どんな距離からでも実行出来、特に風の強い日には不可欠なショットである。先ず練習場でボールを打ってどの位転がるかを知り、次いでホームコースで試されたい。

このショットはターゲットまでの距離の半分は宙を飛び、残り半分は地面を転がる。このショットに力を篭めてはならず、クラブヘッド・スピードは身体の回転と力を篭めない腕のスウィングだけから生じる。

・ミドル・アイアンを選択し、ボール位置はスタンス中央。
・ボールの着地点を選び、ピンまで転がるボールを視覚化する。
ゆっくりめのハーフ・スウィング(左腕が地面と平行のバックスウィング、右腕が地面と平行のフィニッシュ)の素振りをする。この範囲で振ればインパクトで『打つ』ことなく、身体を回転させるだけでよい。
インパクト・ゾーンで、右前腕が左前腕の上にかぶさり、クラブヘッドがフルにリリースされるのに気づく筈だ。このアクションはクラブのトゥを反時計方向に回転させ、ボールに僅かな右から左への回転を生む。
・最少の力をボールに与えることでボールを低く保ち、手首の角度でボールを宙に浮かべるに充分なバックスピンを与える」

ついでですので、この本の「バンプ・アンド・ラン」を紹介し、"low runner"との違いをハッキリさせておきます。

 

《バンプ・アンド・ラン》

・ボール位置は、スタンス中央より数センチ後方。
・7番アイアンをハンド・ファースト(グリップエンドが左太腿の内側になるくらい)で構える。
・体重を終始ターゲット側に保つ。
・手首のアクションはゼロで、腕と肩によってスウィングする」

【参考】
・「3種類のチップを使い分ける」(tips_100.html)
・「ウェッジによる低いショット」(tips_105.html)
・「低いショットで確実にグリーンを捉える」(tips_155.html)

(January 17, 2018)

タイトなライから高く上げるウェッジ・ショット

 

'How to wedge it high and tight'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 2010)

「タイトなライから狭いグリーンへ、バンカー越えで高くソフトなピッチ・ショットをしなければならないという場合。

カップへ 3〜5メートルに寄せるには、ウェッジのバウンス(リーディングエッジとソール底部の間の角度。日本のゴルフ本では“バンス”)を効果的に用い、リーディングエッジで地面をほじくらないようにする必要がある。さもないと、ダフったりホームランを覚悟しなければならない。

サンドウェッジもロブ・ウェッジもバウンスによってクラブがボールの下の地面に沿って滑るように設計されている。

このショットを成功させるには、ボール位置をスタンス中央とし、バウンスを活かすべくややクラブフェースを寝かせること(『かぶせる』の反対)。通常のピッチ・ショットのバックスウィングをし、手首をかなり固く保つ。

ダウンスウィングでは、インパクトでクラブヘッドが手に先行するように【編註:ロフトを保ち、活かすため】。 同時に、クラブのソールでディヴォットを取るように考えること(グリーンサイド・バンカーでヘッドを砂の中で滑らすのに似ている)。これによって、ヘッドが浅い角度でボールに向かい、ソフトなボールの軌道を作り出してくれる」

 

(January 17, 2018)

ウェッジの距離を伸ばしたい時

 

'Stretch the wedge'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2000)

「あなたのティー・ショットは、グリーンまで135ヤードの地点に転がった。ピッチング・ウェッジには少し距離があり過ぎ、9番アイアンには少し短過ぎる距離である。

あなたにはピッチング・ウェッジの方が快適に感じられたので、大きなスウィングによって不足の距離を補うことにしたが、それはコントロール不能に繋がって、グリーンを捉えることは出来なかった。

こういう場合の鍵は、ボール位置とセットアップにある。余分の2〜3ヤードが欲しい時は、スクウェアなスタンスで、ボールを数センチスタンス後方に下げ、ハンド・ファーストに構える。これがピッチング・ウェッジに9番アイアンのロフトを与えるのだが、短いシャフトによってコントロールがし易くなる。通常のスウィングをする。少なめにしたロフトが、必要充分なエクストラの距離を与えてくれる」

(January 17, 2018)

ボール位置で軌道を変える

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)による、チップする際、ボール位置によってキャリー対ランを変える方法と、やってはいけないこと。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「折りに触れ、標準的25:75、50:50、75:25などのキャリー:ランの比率ではなく、10%のキャリー:90%のランが望ましい場面に遭遇することがある。そんな時、ボール位置の変化で対応することが出来る。

ランの比率を上げたければ、ボール位置をスタンス後方にする。ボール一個分後方にして練習せよ。次にボール二個分後方に。さらに三個分後方にして打ってみる。どの場合もボールを低空飛行させランを増す。

キャリーの比率を上げたければ、ボールをスタンス前方にする。ボール一個分スタンス中央から前方に移して練習せよ。次にボール二個分前方に。だが、そこから先に行ってはならない。スウィング弧の最低点を両手の遥か前方にする危険を生じるからだ。もし、もっとキャリーが欲しいなら、ロフトの多いクラブを選択すべきである。

・アドレスに関する注意

ボール位置を変える方法は、唯一あなたのセットアップが正しい時に機能する。第一にボールに近く立ち、シャフトがやや垂直の感じを得るべきだ。股関節から前傾し、胸が両爪先の上にあるように。これを正しく行えば、両手は上体や両脚に触れることなく真っ直ぐに垂れ下がる。体重の多くを左足に掛け、ストロークの間じゅうそこに保つ。もし、体重が右足に動くとトップしがちになる。

重要

常に両手をズボンのファスナーの上に保ち、それを真剣に監視すること。これは正しいシャフトの傾斜を確立し、特定のキャリーとランの比率の生成を助けてくれる。両手をファスナーの位置に保ってボールをスタンス後方にすれば、シャフトはターゲット方向に傾ぐ。これはクラブのロフトを減らし、キャリーの比率と全体の軌道の高さを減らす。多くのアマチュアがやるように、両手をファスナーよりも前のターゲット側にしようという衝動に抗すること。この動作はスウィング弧の最低点をあまりにもボールの前に移してしまい、急角度の攻撃角度を作り出してしまう。これはミスの許容範囲を抹殺するだけでなく、ボールの下の草を叩くことをほぼ不可能にする。クラブのリーディング・エッジは地面をほじくり、飛距離を得ることに失敗する」

 

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「両手をファスナーの上に保て」というのは初めて聞くtipです。私は伝家の宝刀である60°ウェッジを使う際、ボール一個分ファスナーのターゲット寄りで構えていました。ま、これは低めの弾道を得るために役立っていたのですが(ロブウェッジで低めの弾道というのは矛盾していますが、それが私の手法)。しかし、それぞれのクラブのロフトを活かすには、構え方に一定の基準があるべきで、その都度出来心でファスナーの前にしたり、ターゲット寄りにしたりすべきではないでしょう。その基準をズボンのファスナーにするのはいいアイデアだと思います。

しかし、私の場合、両手をファスナーの前にすると、これまでよりロフトが増え過ぎてショートばかり。伝家の宝刀じゃなくて伝家の包丁に成り下がってしまいます。「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」(tips_169.html)を改造するのは億劫なので、ボール軌道を僅かに上げて早く止めたい時だけファスナーの前で構えることにしています。

【参考】「チッピングとピッチングでは胸骨にボールを揃えよ」(tips_141.html)

(January 17, 2018)

バンカー・ショットの新風

 

これまでの当サイトのバンカー関連の記事をまだお読みでない方は、以下のメソッドを採用されることをお薦めします。面倒な調整が不要で、楽に砂地獄から脱出出来る素晴らしい方法です。

'The new way to escape bunkers'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' August 2014)

「伝統的なバンカー脱出法は、スタンスとクラブフェースをオープンにし、スタンス・ラインに沿ってスウィングするというものである。このメソッドの問題点はあまりにも急激な攻撃角度を生み出しかねず、それはクラブのリーディング・エッジを剥き出しにし、ヘッドを砂の中で滑らすのでなく、ヘッドを砂に埋め込んでしまう原因となる。

グリーンサイド・バンカー脱出のための最良の(そしてツァー・プロの多くが好む)方法は、次のようなものだ。
・スタンスとクラブフェースはほんの少しだけオープンにする。
・(バンカー・ショットでない)通常のプレーン上でスウィングする。
・以上がウェッジのバウンス(底部の膨らみ)を剥き出しにするため、(クラブヘッドが砂にめり込むのではなく)砂の中を正しく動かせるようになる。

以下は、あなたが無敵のバンカー・プレイヤーになるためのシンプルなセットアップの微調整法である。

スクウェアに構える

先ず、グリーンの傾斜とどこへボールを落下させるかの判断に基づき、ターゲットラインを選ぶ。(驚くほど多くの週末ゴルファーが、どこにボールを落とすかの判断を無視する)足・腰・肩がターゲットラインの数度左を向くように、少しだけスタンスをオープンにし、リーディング・エッジはターゲットにスクウェアに揃える。脚を動かさず砂への突入地点(それはボールの数センチ後ろである)をコントロールするため、通常より足を数センチ広げて立つ。

 

トレイリング・エッジを使う

前述の調整によりダウンスウィングの軌道は浅くなり、クラブシャフトは(かなりオープンなクラブフェースによる)アウトサイド・インではなく、(スクウェアなクラブフェースによる)オン・プレーンで動く。その結果、トレイリング・エッジ(クラブ底部の後端)がリーディング・エッジより前に砂に接触し、サンドウェッジがデザインされている通り、砂の中でクラブヘッドをバウンドさせる(めり込ませるのではなく)」

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このメソッドの骨子の一つは「通常のスウィング軌道」でスウィングすることです。普通は急角度の攻撃角度でボール後方数センチにクラブヘッドを落とすのですが、この急角度というのが曲者で、クラブヘッドのリーディング・エッジを砂に突き刺してしまい、よくてバンカーから出すだけ、悪くて依然バンカーから出られないという悲劇に見舞われます。浅い角度で、しかもサンドウェッジのバウンス(底部の膨らみ)を機能させれば、ヘッドが砂に突き刺さることはありません。

(January 24, 2018)

砂に埋まったボールの出し方

 

ヨーロピアン・ツァーのJoakim Haeggman(ヨアキム・ヘーグマン)による目玉の出し方。彼は技倆に応じた二つのフェース・アングルを提唱します。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「砂に埋まったボールに取り組むには二つの方法がある。どちらの場合も体重はターゲット側の足である。この体重の掛け方は、急角度のスウィング・プレーンを促し、クラブヘッドが砂を通り抜けるのを容易にする。

プロたちはオープン・フェースで高くボールを上げ、ソフトな着地を好む。あなたが週一ゴルファーならクラブヘッドスピードがあまり無いだろうから、プロのメソッドは使えない。クラブが砂を打つとクラブ・フェースはオープンになるので、過度にフェースがオープンにならないよう、少しフェースをシャットにして、ロフトを減らしておく。こうすれば、充分砂を通り抜けることが出来る。

ボール後方数センチの砂の上でクラブを浮かせ、その部分の砂を打ち抜くべく狙いを定める。体重は左足。

Tip:サンドウェッジはクラブヘッドが砂でバウンドするように設計されているので、埋まったライのショットには向かない。アマチュアの多くには、ピッチングウェッジが最適であろう」

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ギャップウェッジがあれば、それを使いましょう。ギャップウェッジは15〜20ヤードのバンカー・ショットにも役立ちます。

【参考】
・「目玉には薪割りショット」(tips_80.html)
・「目玉の距離調節」(tips_124.html)
・「ピンに近い目玉を寄せる」(tips_155.html)

(January 24, 2018)

紙コップでバンカー練習

 

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女性インストラクターDana Rader(デイナ・レイダー)によるアイデア賞ものの、楽しい練習法。

'Hide the ball under the cup'
by Dana Rader ('Golf Digest,' January 2001)

「他のショットではボールを打つのに集中しなければならないのに、バンカーだといきなり『ボールの後方5センチを見ろ』と云われても難しい。そういう人には、次の練習法がお薦めだ。

練習バンカーで、ボールの上に大きめの紙コップをかぶせる。ボールはコップのターゲット側に配置すること。紙コップの下にクラブヘッドを打ち込む。コップとボール両方をグリーンに乗せるよう努力する。これに慣れると、ボールの数センチ後ろを打つことと、ボールを砂のクッションに乗せて運ぶフィーリングを掴める筈だ」


(January 24, 2018)

Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)のバンカー・ショット

 

伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)のバンカー・ショット。

'The Game for a Lifetime'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Fireside, 1996, $10.00)

「以下は私がTom Kite(トム・カイト)に教えた方法だ。彼は歴史上のどんなプレイヤーとも肩を並べられるバンカー名人である。この方法を練習バンカーで25回試せば、それがどんなに簡単であるかを知り、バンカー恐怖症とは永久におさらば出来る。

・グリップする前にフェースをオープンにする。フル・スウィングする時のようにクラブを長く持つこと(短く持つとスウィングを中絶しやすい)。右手の薬指と小指を絞り、手首が返るのを防ぐ。

グリップエンドが股間を指すようにし、両手がボールの僅か前方(ターゲット方向)になるように構える。ボール位置を中央にしたスクウェアなスタンスで、クラブフェースはピン(あるいはターゲット)の右を狙う。

・クラブのリーディングエッジがピン(あるいはターゲット)を直接向くようになるまで、左足・腰・肩を左に廻す。

・体重を多少多めに左足にかける。

・肩で設定された身体のラインに沿って通常のスウィングをする。ボールの1インチ(約2.5センチ)かもっと後方の(ピンまでの距離によって変わる)砂を打つ。ボールは砂のシャワーと共に舞い上がり、グリーンに落下する」

 

(January 24, 2018)

パットを成功させるメンタルtips

 

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)によるtip。

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)

「中級と上級を大きく分けるものは、パッティングを助けるためにどの程度思考力を用いるかだ。皮肉なことに、これはほとんど注目されない分野である。私はトップ・クラスのスポーツ心理学者たちと広範囲に共同作業して来た。名前を挙げれば、Bob Rotella(ボブ・ロテラ)、Richard Coop(リチャード・クープ)、Chuck Hogan(チャック・ホーガン)、Fran Pirozzolo(フラン・ピロッツォーロ)らである。彼らと共に学んだベストのアイデアのいくつかを披露するので、マインド・パワーがあなたのパッティングを助けることを願う。

1. ボールからカップまで、パターフェースの真ん中からレーザー光線あるいは溝が刻まれているのを視覚化し、この軌道に沿ってボールを転がす。

2. カップの縁のどこかに変色した草を見つけ、それをターゲットして打つ。こうすれば、もしターゲットをミスしたとしてもボールはカップに転げ込む。

3. あなたのプレパット・ルーティーンをシャープにし、脳と連携させるため、何か物理的な引き金を用いる。例:パット前に手袋のヴェルクロをベリッと剥がして脱ぐとか。これはあなたのルーティーン開始のシグナルとなり、あなたの潜在意識が業務を引き継ぐ。こうすると、テクニックについて考えることなく、自然なストロークが出来る。

4. 極端に緊張する場面を克服し、心をリラックスさせるため、自分自身に次のように語りかける、『今日、ゴルフ出来るなんて何とラッキーなのだろう。ラウンドを楽しもうじゃないか』と。

【編註】Tom Kite(トム・カイト)の言葉。「あるショットの成否、勝利や敗北について心配が湧いて来たら、中国の7億人の人たちを思い浮かべるべきだ。彼らはあなたの一打のことなど知っちゃいない。どうでもいいことなのだ」

5. ラインのボールの先6インチの辺りの一点を視覚化し、ボールがそこを通過すればカップに入ると思い込む。

 

6. プレッシャー下のパットで心を静めるには、練習グリーンで容易くボールを沈めている自分を想像する。以前何百回も成功させたパットの一つに過ぎないと考えるのだ。

7. 3パットに繋がるようなオーヴァーのミスで悩んでいるなら、カップの向こうに急激な崖があると想像する。その縁から落下させたくない筈だ。

8. 下りのパットを強く打ち過ぎる傾向があるなら、ライン上をカップに向かって急流が流れていると想像する。このイメージは軽くストロークすることを助けてくれる。

9. 極端な上りのパットに直面したら、カップが数10センチ〜1メートル遠くにあると想像する。このイメージは、あなたにしっかり打つことを促す。

10. ブレイクを読むのに困難を感じたら、上手なゴルファーがあなたに向かってパットするところを視覚化する。そのボールを見ていれば、ブレイクが判る。

11. 大事なラウンドの前には、三個のボールではなく一個だけで練習する。この作戦は本番と同じ、一回限りの状況を作り出し、激しい集中を強制する」

(January 28, 2018)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパッティングのチェック・ポイント

 

'Jack Nicklaus' Playing Lessons'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest Book, 1981)

「ラインを読む際、グリーンの早さ、勾配、そして芝目などが主に考慮すべき要素だが、ボールの転がりに影響を与える(さほど明瞭でない)他の要素にも気を配るべきだ。

例えば、朝露・夜露は転がりを遅くする要素なので、日中がグリーンの最も早い状態である。早いグリーンが、単にグリーン表面だけを湿らせたにわか雨で遅くなるだろうと期待してはいけない。早いグリーンはびしょ濡れになってはじめて遅くなるものだ。

いい天気の場合、あなたが最後のホールへとプレイしている最中にも芝は伸び、僅かでも遅くなり、目もきつくなる。風の影響にも気をつけること。特に、急勾配のグリーンで、カップに近づいたボールの速度が落ちる頃に」

【参考】
・「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の読み方の手順」(tips_185.html)
・「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の パットの助言に関する助言」(tips_175.html)
・「Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の読み方」(tips_119.html)
・「Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)の読み方のヒント」(tips_139,html)
・「グリーンの読み方・達人篇」(tips_82.html)
・「ラインの読み方」(tips_135.html)

 

(January 28, 2018)

ラインの読み方の定石

 

インストラクターDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)による読み方の極意。

'It's Good for Your Game'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeel Publishing, 2003, $12.95)

「・ラインを読む場合、次の三つの地点から見るべきだ。1) カップの後ろから、ボール方向を見る、2) ラインの低い側からブレイクを調べる、3) ボールの後ろからカップ方向を見る。

・ボールがカップに近づく頃に速度が落ち始めてもろに勾配の影響を受け、ブレイクが最大となる。だから、ボールが最後の接近をするカップ周辺を念入りに読むべきだ。

・ブレイクの方向に迷ったら、ストレートなパットだと想定せよ。

・全てのパットにおいて、ラインの決定が先決、その後は正しい距離を転がすことに集中せよ

・そのグリーンで激しい雨が降った場面を視覚化する。コース設計家はグリーン上に水溜りが出来ないようにコースを作る。あなたに排水パターンが見分けられれば、パットに最も影響を及ぼすのは傾斜なので、ラインを読む助けとなる。

・パットを終えたゴルファーたちはカップの周囲で屈んでボールを拾い上げる。だから、彼らの足で踏まれたカップ周辺の地面は凹み、カップそのものは持ち上がる。この隆起はごく微細で、人間の目で見分けるのは不可能。だが、この隆起にあまりにもゆっくり近づくボールは、カップから逸れることを余儀なくされてしまう。これを避けるには(特に午後遅く)、短いパットはボールをカップに叩き込むべきだ。

 

・一日のどんな時刻かでボールを打つ強さを調節せよ。グリーンは朝露や注水の水分がある早朝は遅く、それらが乾く昼前から午後に早くなる。そして草が伸び夜露が忍び寄る夕暮れに再び遅くなる。

・芝草のタイプを知れ。ベントは、バミューダに較べ早く転がり、芝目も少ない。

・パットはグリーンサイド・バンカーから遠ざかるようにブレイクしがちである。なぜなら、コース設計家は雨水がバンカーに向かわないように配慮するからだ。読む時にバンカーを探せ。

・芝目の方向を知れ。グリーンが太陽光を反射して輝いて見えれば順目で、見た目より早く転がる。逆に、芝が鈍い色をしていれば、逆目であり、強く打つ必要がある。

・ラインがカーヴする地点に立って、最終的に読め。この地点は最も正確なイメージを脳に伝える」

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ある日のラウンド。私が属したチームはこの日、バーディ・チャンスを一つもものに出来ず、全員が焦っていました。No. 6(パー5)では三人が3オンしたものの、そのうち二人が急な下りのパットを大幅にオーヴァーしてグリーン外へ。最後の私のパットに期待が集まりましたが、5ヤードの下りをホンの軽く打ったのに、これまたオーヴァー。バーディを逃してパー。

次のNo.7(パー3)。7メートルほどカップの上につけた私以外は、誰も1オンせず、みなボギー。このグリーンも急傾斜しており、私のボール位置からはかなり早く転がります。左に池(天然の排水溝)があるので、ボール側からは左にブレイクします(ダウンヒル+サイドヒル)。私は前のホールの強過ぎるパットで懲りていたので、知っていた古いtipを試すことに…。それは、《下りでは全行程の途中のどこかで素振りし、上りではボールのかなり後方で素振りする》というものです。どの場合もカップを見ながら素振りすることによって、目と脳に嘘の情報を伝えるトリック。このホールの私の場合は、全行程7メートルの上から4メートルの地点で、カップを見ながら素振り。目と脳には「3メートルのパットだぞ」と嘘の情報を与えたわけです。とろとろと転がったボールは、読み通り僅かに左にブレイクし、プロサイドからぽとんとカップに落下しました。チーム・メイト全員から賞賛されましたが、結果的にこれはこのチームが得た唯一のバーディとなりました(当然ながら他のチームに二打差で敗退)。

上のパットで記憶に留めたいのは、私には距離感だけは不分明だったものの、ブレイクの読みに関してはかなり自信があったこと。パットの強ささえ適切なら絶対入ると確信出来たのです。前のホールではラインと強さ、双方に自信がなかった。No.7ではラインに不安はなく、強さだけに専念出来た。それが結果の違いとなったのでしょう。

(January 28, 2018)

完璧に読む五つの手段

 

インストラクターScott Munroe(スコット・マンロウ)によるラインの読み方のコツ。

'5 ways to get a perfect read'
by Scott Munroe ('Golf Magazine,' August 2017)

「1) グリーンに上がる際、アプローチ・ショットを放ったのと同じ方向から歩いて行くこと。こうするとボールがグリーンに着地した後、どう転がったかが判り、カップへと転がすヒントを与えてくれる。

2) ボールの後方に立ち、目を閉じる。体重を左右の足に代わる代わる掛ける。あなたの足は、目に見えない微かな傾斜を察知する筈だ。

3) ラインを三分割する。起動パート、中間パート、最終パート。最初のパートは勢いがあるため、ブレイクを無効にする。第二、第三の二つを重要視すべし。

4) 右へ曲がるか左かなどを心配する前に、そのパットが上りなのか下りなのかを見定めること。ブレイクよりも先ず、強く打つべきなのかソフトに打つべきなのかを知るべきだ。

5) カップの向こうから読む必要などない。ボールの背後からと、ラインの低い側から(傾斜を)見るだけで充分だ。あまりにも多くの情報は、あなたを緊張させる害がある」

【参考】
・「足でグリーンを読む」(tips_1.html)
・「Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)の読み方の手順」(tips_159.html)
・「グリーンの裏目読み」(tips_185.html)
・「背景に惑わされずに読め」(tips_161.html)

 

(January 28, 2018)

とっておきのゴルフtips

 

「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち、インストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)とDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)の二人が執筆したゴルフ全般の教本から、ページの余白に書かれているtipの数々。

'Total Golf'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney {Triumph, 2000, $19.95)

「・一般的に云って、あなたが手を活発に使うスウィングをするなら、ニュートラル〜ウィーク・グリップが適切で、主に身体でスウィングするタイプなら、ストロング・グリップを用いるべきである。

・特別長い飛距離を得たい時は、羽根のように軽いグリップをして、ゆっくりスムーズなバックスウィングをすべし。

・ワンピース・テイクアウェイの欠点は、過度にクラブをインサイドに引いてしまいがちなことだ。これはコイル(捻転)を妨げ、プレーンをも破壊する。だから、(ワンピースでなく)連続的にテイクアウェイし、クラブを持ち上げる段階からワンピースの動作をすべきだ。

・理想的なスウィング弧は、上下に動く"V"の字でなく、インパクト前後で平らになる"U"の字である。それを実現するのは、ダウンスウィングで体重を左に移すことだ。

・ロング・アイアンに関する最良のtip:それを家に置いて行くこと。

・パットを終えたゴルファーたちはカップの周囲で屈んでボールを拾い上げる。だから、彼らの足で踏まれたカップ周辺の地面は凹み、カップそのものは・ミドル・アイアンに関する最良のtip:ミドル・アイアンで最良の結果を得るのは3/4スウィングだ。それは、左腕が時計の文字盤の10時を指すトップである。

 

・ダウンスウィングの間、背中をターゲットに向け続けようと努力すれば、手打ちを防止出来る。

・高くソフトなショットを打つには、テイクアウェイで右腕を折り、クラブフェースをオープンにする。転がすショットでは、テイクアウェイで右腕を伸ばしたままにし、クラブフェースをクローズに被せ気味にする。

・チッピング・エリアに密なラフがあるコースでプレイする場合、チップでなくピッチすべきだ。サンドウェッジの重さが、そのタフなライからボールを救い出し、チップ・アンド・ランの要領でボールを転がすことが出来る。

・チッピングで最もありふれた過ちは、インパクト直前に左腕を停止させてしまうことだ。フォワードスウィングで勢いを得たクラブは、左腕が停まると推進力によって左手首の角度を崩壊させ(凹型にする)、クラブフェースの実効ロフトを増やしてしまう。48°のクラブを使ったのに、52°のクラブでプレイすることになってしまうため、ピン傍に寄せる目論見は失敗する。

・あなたの一歩は1ヤードきっかりではないだろうが、パットの距離測定のために、その一またぎを1ヤード(あるいは1メートル)に合わせるといい。巻き尺を用いて10ヤードに伸ばす。通常の歩き方で10ヤードを何歩で歩いたかを測る。12歩かかったとしたら、それを10歩になるように歩幅を伸ばす。それは通常の歩幅より長い筈だ。

・パットする際、踵に体重がかかるまで膝を曲げよ。パッティングに下半身の動きは無用なので、両膝を内側に捻るとよい。【編註:←Arnold Palmerスタイル】

・振り子式ストロークのコツは以下の通り。一切の努力・力・操作なしで加速すること。パターヘッドのエネルギーを増したり減らしたりしてはならない。物理の法則に任せ、あなたが関与しないのが一番よいのだ。

・パターフェースに白墨を塗り、先ず短い距離でパットし、フェースの真ん中でボールを打っているかどうか調べる。五回連続で完璧に打てたら、10ヤード遠くから試す。【編註:"Athlete foot"(粉末状水虫スプレー)を使うのがベター】

(January 31, 2018)

スコアリングのための二つのグリップ

 

以前、「二つのグリップを使い分ける」(tips_179.html)という記事を紹介しました。「グリーンまで100ヤード以内となったら、ウィーク・グリップにせよ」という趣旨でした。今回の記事は「150ヤード以内では、二つのグリップを使い分けよ」というもの。

'Scoring Zone grips' by Martin Hall,
a part of 'The Scoring Zone'
edited by Steve Hosid (PGA Tour Partners Club, 2000)

この本はPGA Tour Partners Clubという団体が会員のために出版した本で、定価は表示されていません。この本の題名となっている"scoring zone"(スコアリング・ゾーン)というのは、グリーンから150ヤード以内のことを指し、ミドル・アイアンからロブ・ウェッジまでの使い方のコツが説明されています。執筆者はツァー・プロであるTom Lehman(トム・レーマン)、Bruce Fleisher(ブルース・フライシャー)、Billy Mayfair(ビリィ・メイフェアー)、Mark McCumber(マーク・マカンバー)の四人。そして、インストラクターとしてMartin Hall(マーティン・ホール)が加わっています。以下の記事の筆者Martin Hallは、the Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の'School of Golf"(ゴルフの学校)の先生兼小使い。

「最良のオールラウンドのゴルファーたちは二種類のグリップを用いている。彼らは直観的にグリップを替えているのかも知れないが、替えているのは間違いない。以下のように考えるとよい。

・ストロング・グリップ

フル・スウィングをする時は、ドライヴァーを打つのと同じグリップをする。左右の親指と人差し指の間にそれぞれティーを挟むと、時計の文字盤に見立てた場合、どちらのティーも一時を差す。両手の股で形成される"V"の字は、どちらも《顎と右肩の間》を差す。このストロング・グリップは、インパクトで僅かにクラブフェースをクローズにする動きでフェースをスクウェアにしてくれるため、フル・スウィングの状況に最適なのだ。

・フィネス・グリップ

【編註】"finesse"(フィネス)とは、「技巧的/巧妙に処理する)」という意味。

 

フル・スウィングでなく、3/4とか1/2のなどの部分的スウィングをしなければならない時は、グリップをウィーク目にする。左右の親指と人差し指の間に挟んだティーは、どちらもクラブシャフトの真上に近くなる。これをしばらく練習し、両方のティーが11時〜12時半の間に位置に納まるようにせよ。このフィネス・グリップは、理想的なスライス・スピンを生んでボールを急速に停止させるので、部分的スウィングをする状況に最適である」

(February 04, 2018)

緩いグリップが原因の手打ちを防ぐ

 

インストラクターPhil Ritson(フィル・リットスン)によるtip。

'Better by Saturday: Iron Play/ Long Game'
edited by Dave Allen (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)

「多くのゴルファーが、バックスウィングのトップで右手のハンドルを実質的に放してしまう。そしてそのミスに気づいてリグリップ(握り直し)をし、身体からクラブを放してしまい、ボールとのお粗末なコンタクトをする。

この手打ちに繋がる動きを防ぎ、しっかりしたグリップを維持するには、左手の親指を右の掌の生命線で締め付けることだ。これをチェックするには次のようにする。グリップする際、先ず左の親指の先の1/4で握り、それをいつものように右掌で包み、トップまでバックスウィングし、停止する。グリップを変更せず、首を廻して両手をチェックする。左の親指の1/4がそのままであれば、しっかりした生命線のプレッシャーを維持していることになる。そうでなければ、この生命線による締めつけを練習すること」

 

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しかし、きつ目のグリップが常にいいとも限りません。私がウェッジのフルスウィングの練習をしていて、三回連続でシャンクしたことがあります。グリップを緩めにして打ったらちゃんと飛びました。きついグリップでも手打ち(これがシャンクの原因)になることがあるわけで、要注意です。

(February 04, 2018)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のグリップ圧

'Get a smooth start'
by Jack Nicklaus with Roger Schiffman ('Golf Digest,' September 2013)

「私の手はスウィングする役を務める以前だというのに、ほとんど感じられないものの極めて重要な動きを見せる。それは私がまさにバックスウィングを始める前に、グリップを全体に押すアクションである。それには三つの目的がある。

1) それは正しいグリップ圧を確立する。
2) それは身体の全ての筋肉に『さあ仕事する時だぞ!』と準備指令を発する。
3) それは手・手首・腕・肩が同期したワンピース・テイクアウェイの動きを助けてくれる。

私が本当にいいプレイをしていた頃、アドレス時の私のグリップは緩かった。だが、まさにバックスウィングを開始する前、私はそれをしっかりさせた。私はそれを『クラブに圧をかける』と呼んでいた。

その時点から私は、一定のグリップ圧を維持するように専念した。スウィングの間(特にバックスウィングの開始とダウンスウィング)にグリップ圧が増すのは最悪のことだ。それはクラブをひったくるようなバックスウィング、あるいはトップから急激に引くダウンスウィングの原因となる。また、あまりにもきついグリップは正しいリリースを妨げ、飛距離と方向性に影響する。

あなたのグリップがTom Watson(トム・ワトスン)のようにかなりきつかろうと、Fred Couples(フレッド・カプルズ)のようにとてもソフトであろうと問題ではない。だが、クラブを引き始める前に少しだけグリップ圧をしっかりさせ、それを不変のものとすべきだ。そうすれば、スムーズなスウィングをし、ボールを長く真っ直ぐ飛ばすチャンスが増える筈だ」

 

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「グリップを緩めずに確実にスウィングし、同時にトップから打ちに行くことを防ぐ方法は、親指と掌をチェックすることだ。スウィングの間、左親指が右掌にすっぽり納まっているかどうか点検せよ。この結合を維持出来るなら、両手は一体となって働かざるを得なくなるのだ」

(February 04, 2018)

テンション下でグリップ圧を軽く保つ法

 

David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による緊張回避の裏技。シャンク防止にも役立つ。

'How to keep your grip pressure light'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' March 1997)

「これはドリルとして、あるいはグリーン周りでのデリケートなショットとして効果的だが、Ben Hogan(ベン・ホーガン)はトーナメントで極度にプレッシャーを感じる際のティー・ショットで用いていた。

グリップエンドから左手の小指がはみ出るまで、手をずらす。一本の指を外すことが直ちにグリップ圧を軽くする。なぜなら、緊張は左手の最後の三本指からスタートするからだ。

同じグリップ圧を維持し、クラブにスウィングさせよ。クラブを乱暴に引ったくるようなテイクアウェイでなく、クラブの重みを感じられるようになる筈だ」

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試してみましたが、たった一本外すだけなのに飛距離が落ちます。五本で握った時はアプローチ・ショットが乗ったのに、四本だとガード・バンカーに落下…という現象が起きます。たかが小指と馬鹿に出来ません。つまり、指を外すなら、クラブ選択も変わらざるを得ない…ということです。ドライヴァーならいいでしょうけど。

 

(February 04, 2018)

Tom Watson(トム・ワトスン)のロブ・ショット

 

下記の本が出版された1983年の二年前、Tom Kite(トム・カイト)は60°(ロブ)ウェッジを使い始め、その一年後からはずっと賞金王だったそうです。当然Tom Watsonは60°ウェッジについて知っていた筈ですが、なぜかこの記事はサンドウェッジによるロブ・ショットです。バンカー・ショットのようなアドレス法がユニークなことと、60°ウェッジにも技術的に参考になる部分があるので紹介することにします。

'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)

「ボールを高い軌道で短い距離に放つのはシンプルなのだが、誤解され間違った打ち方をされている。これは多くのゴルファーたちから恐れられているショットだ。ライが適切であれば、私は常にサンドウェッジを用いる。うまくプレイするには、グリップ、スタンス、クラブフェースなどを調整し、通常よりクラブのロフトを増やす必要がある。

オープンなクラブフェースとウィーク・グリップによってアドレスしなければならない。先ずクラブを地面に置き、クラブフェースがターゲットの右20°を指すようにする。次いで、グリップをウィークにする。両手を反時計方向に回し、左手の親指をシャフトに沿って真っ直ぐ伸ばす。その時、クラブフェースがなおも20°オープンになっていることを確認せよ。最後に、身体をターゲットの20°左に揃える。これは20°のオープンなクラブフェースを相殺するためである。これで準備完了。

オープンに構えたスタンス・ライン(左右の爪先を結んだ線)に沿ってスウィングする。私の鍵となる想念は《ボールを打つまで左手のナックルが空を向いているように感じる》というものである。その意味するところは、クラブフェースがオープンなままフォロースルーに向かうということだ。ボールは急速に宙に舞い上がり、着地してさほど転がらずに停止する」

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プロたちがプレイするような、絨毯みたいなフェアウェイであればサンドウェッジでもいいでしょうが、草が短く地面が固いフェアウェイで盲目的にサンドウェッジを使うのは考えものです。バウンスの少ないサンドウェッジなら問題ありませんが、バンカー用の多めのバウンスを備えたサンドウェッジは、ヘッドを地面で跳ね返ってボールをトップさせる原因となります。サンドウェッジのバウンスを確認することをお勧めします。

 

(February 07, 2018)

Tom Watson(トム・ワトスン)が バックスピンを嫌う理由(わけ)

 

下記の本が出版されるまでに、Tom Watsonはthe Masters(マスターズ)に二勝、U.S.オープンに一勝、全英オープンに五勝しています。その彼が「盛大にバックスピンをかけてかけてピンへと転がり戻すテクニックは嫌いだ」と云っているのは驚きです。

[backspin]

'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)

「TVでトーナメントを見るゴルフ・ファンの多くは、どうやったらキキーッとブレーキがかかったかと思うと、誰かが糸をたぐり寄せているようにボールが戻って来るハーフ・ウェッジのショットが出来るのか訝る。Lee Trevino(リー・トレヴィノ)はこれの名人である。彼はフェアウェイの固いテキサスで育ったので、そういうショットが不可欠だったのだ。

私は個人的には、予測がつかないそういうショットを好まず、推奨もしない。Lee Trevinoは才能があり、そういうショットをやり遂げるに充分な経験を積んでいる。多くの者はそうではない。私はハードパン(裸地)から脱出するために、この手のショットを長期にわたって試みたことがあるが、その時限りである。

バックスピンをかけたければ、ボール位置をスタンス後方とし、短く力強いスウィングでハードにボールをヒットダウンすればよい。バーンっ!あなたがボールを正しく捉えれば、盛大なバックスピンを与えることが出来る。

基本的に、バックスピンはボールをソリッドに打ったことの結果に過ぎない。宙に浮くどんなボールもいくばくかのバックスピンを得ている(フライヤーはバックスピンが少なく、放物線を描くように飛ぶ)。こういう答えは人々を満足させない。だから私は付け加える。スタンスを二つに分けた後方にボールを置けばさらにバックスピンをかけるチャンスがあると(ボールは加えられた前方への勢いによって低く出るだろうが)。

余分のバックスピンを加えようと何度も試みたものの、望んだ結果は得られなかった。その理由は僅かなミス・ヒットや、クラブフェースとボールの間に挟まった草によるもので、それらがバックスピンの幾分かを抹殺し、私が打ったボールは急停止せずピンを大幅に越えてしまった。ボギー(;_;)」

【おことわり】画像はhttp://3.bp.blogspot.com/にリンクして表示させて頂いています。

(February 07, 2018)

ロブとフロップの違い

 

私はロブ・ショットもフロップ・ショットも同じだと思っていました。違うんですね。

'Flop or lob'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 2000)

「・ロブとフロップ、TPOの違い

テクニックは似通っているが、それぞれを必要とする状況とショットの結果がかなり異なるものなのだ。

ロブはほとんど真っ直ぐに空中に舞い上がり、着地後直ちに停止する。典型的な例としては、ボールとピンの間にバンカーがあり、カップはバンカーの近くに切られているという場合に用いられる。ボールの軌道がほぼ垂直というだけでなく、ボールを急停止させるバックスピンを生み出す。

フロップはグリーンサイドのラフで、普通のチップ・ショットには遠過ぎ、ピッチ・ショットには近過ぎるという場合に用いられる。これはボールを空中に上げ(ロブほど高くはない)、グリーンにソフトに着地し、カップまでゆっくり転がる。何故かというと、長い草がクラブフェースとボールの間に挟まるので、バックスピンは最小限となるからだ。

・テクニックの違い

どちらも、サンド・ウェッジやロブ・ウェッジを使い、オープン・スタンス、オープンフェースにするのは同じだが、共通点はそこまでである。

ロブは、高い軌道を生むためにクラブフェースでボールの下を滑らせられるふかふかのライを必要とする。長く、ゆっくりのバックスウィングをし、フル・フィニッシュを目指してスウィングする。フェースをオープンにし、ハードにスウィングすればするほどボールは高く上がる(極端な場合、ボールは垂直に近く上がる)。

フロップではそういう自由なスウィングは出来ない。濃いラフに対処するには、ディセンディング・ブローが必要だからだ。テイクアウェイの初期にコックし、3/4のバックスウィングをし、ソフトな両腕でクラブをボールに向かって落下させるため、のったりしたダウンスウィングをする。濃い草の抵抗と下降するスウィング軌道が、フォーロースルーを短くする。ボールは宙に浮き、ソフトに着地し、カップへと転がる」

 

(February 07, 2018)

手首を使わないフロップ・ショット

 

若干25歳で'Golf Digest'誌の"Best young teachers"の一人に選ばれたMatt Killen(マット・キラン)の「手首を返さないロブ・ショット」。彼自身が“新型”と称しているように、これまで紹介したロブ・ショットと多少違います。

'The flop without the flip'
by Matt Killen ('Golf Digest,' March 2011)

「完璧なフロップ・ショットを成功させた後、同じショットを完全にドジることほど腹の立つことはない。そういうムラを生じさせないためには、手首の動きを制限したフロップ・ショットを遂行すべきである。これまで教えられて来たフロップ・ショットは、あまりにも手首を多用し過ぎるから失敗し易いのだ。

60°か64°のウェッジを使う。
1) オープンで広めのスタンス。
2) ボール位置はスタンス前方(ターゲット方向)。
3) クラブフェースはスタンスに対してはオープンであるが、ターゲットにスクウェア。
4) 体重はどちらかと云えば左足。
5) 膝を折った低い姿勢で、両手を両脚の真ん中で低く構える。
6) バックスウィングの初期にコックし、急角度に振り上げる。
7) 【重要】手首の角度を維持しながらインパクトを迎え、左手を胸の近くに保ちつつ振り抜く。【原註】実際に手首の角度を維持するわけではないが、気持の問題である。

バックスウィングで手首をコックしたら、頭を静止させたまま身体の回転で振り抜く。これだと、クラブヘッドはボールの下の地面を滑るので、地面を掘ることはない。高く上がって軟着陸する、ムラのないショットが出来るようになる。

ピッチ・ショットの小型版として練習を始め、次第にこの新型フロップに移ることを奨める。公式:《両手を下げれば下げるほど、ボールは高く上がる》

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なぜ「頭を静止させるか」ですが、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)が次のように云っています。

「【ロブ・ショットを遂行する場合】体重を中央に保つこと。もし、インパクト前後で(普通のピッチ・ショットのように)身体を左に移動させると、クラブフェースのロフトを減らしてしまい、ボール軌道の高度が失われてしまう」

【参考】「Annika Sorenstamのロブ・ウェッジの使い方」(tips_120.html)

 

(February 07, 2018)

手首と手を伸ばしてストロークせよ

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)による、ボールと完璧にコンタクトし、方向性を確保するコツ。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「・手と手首の角度を変えない

肩や腕を正しく動かしたとしても、インパクト・ゾーンで手でボールを弾いたらストロークは失敗に終わる。これは、よいスコアを目的とする者なら撲滅すべき過ちである。

アドレスし、左手首とパター・ハンドルとの間にボールを一個挟む。ボールを締め付けず、その位置に納まっている程度に挟む。

【編註】写真のPaula Creamer(ポーラ・クリーマー)は、右手とハンドルとの間にボールを挟んでいますが、この記事のヒントを実行するにはその反対にします。

ストロークし、もしボールが落ちるようなら、あなたは手でパターを弾くインパクトをしている。ボールが落ちないようにしつつストローク出来るように繰り返す。

ボールが落ちないようにすれば、正しいロフトで、しかもボールの中心をパターのスウィートスポットで打てるようになる。

・シャフトと前腕を一直線にする

アイアンやウッドを打つ時は、エクストラのスウィング・スピードが欲しいのでコックする。しかし、パットでは余分のスピードなど必要ないし、手首の余計な動きは打撃を不安定なものにする。だから,ストロークの間手首の動きを制限すべきだ。

セットアップの際、パター・シャフトと両方の前腕が一直線になるようにハンドルを握る。もし、シャフトと前腕の間に少しでも角度がついていると、手首は自由に動いてしまう。

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手首を固定することの重要性については「パットでもFLW」(tips_159.html)もお読み下さい。なお、シャフトと前腕部を一直線にする簡単な方法は、パターを生命線で握ることです。一遍に真っ直ぐになります。

【参考】「パットのFLW」(tips_165.html)

 

(February 11, 2018)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパッティングtips

 

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「・ショート・パットを成功させる

ショート・パットに問題がある時は、通常の二倍のバックストロークをし、少し気楽に打ち抜く。この工夫は、トーナメントでの重要な場面で、私のストロークを即座にスムーズにしてくれ、パターヘッドのコントロールを再確立してくれた。

・ラインを読む姿勢

突っ立ってラインを読むのは、あなたの直近の地形の真の状況を見せてくれないから、最良の角度ではない。また、ボールの後ろに腹這いになって読むのもベストではない。そういう虫の目で見ると前景しか見えないからだ。しゃがむのが全体像を見られる最もいい姿勢である。

・ダブル・ブレイク(スネーク・ライン)

両方のブレイクを読むが、ストロークする際は最初のブレイクだけに意識を集中する。あなたが想定する二つ目のブレイクが影響し始めるポイントに転がるように計画すればよい。

・シーズン初めのグリーン

シーズン初期のグリーンは芝も短く凸凹である。ロング・パットではよく転がすことが不可欠だが、貧弱なグリーンでは私はほとんどトップするように打つ。実際、ボールの上半分を打って最高のトップスピンをかけるのだ。

・目標の視認

カップをクリアに見るということでピンを抜かせるツァー・プロが少なくないが、私は25フィート(約7.5メートル)以上のパットでは、ピンを抜かずキャディに付き添わせる。ピンがある方が知覚の深度を増し、ターゲットの位置をクリアに確認出来るからだ。それはボールにセットアップする時の、ストロークの強さとラインに対する最後の重要な判断を明確にしてくれる。

 

・呼吸

私はストローク前からストロークの間じゅう、ずっと呼吸を止める。呼吸をすると横隔膜が動いて、身体と頭を静止させられないからだ」

(February 11, 2018)

カジモド風パッティング・ポスチャー

 

インストラクターDr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)によるJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパッティング・ポスチャーの解説。私は深く屈んだ彼のようなポスチャーを“カジモド流”と呼んでいます。図の「熊」はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、「虎」は比較的伸びた姿勢でパットするTiger Woods(タイガー・ウッズ)。

[crouching]

'The Putting Prescription'
by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $24.95)

「Jack Nicklausの若い頃、パッティングに苦しんでいた彼を助けてくれたのはパット名人Jackie Burke Jr.(ジャッキー・バーク二世)だった。Jackie Burke Jr.はラインを見るのを助けるセットアップを教えた。これはターゲット・ラインを見るだけでなく、同時にインパクトでパターフェースをスクウェアにすることも助けてくれた。次に説明するテクニックはJack Nicklaus自身が'Golf Magazine'誌に書いた記事に基づいている。

・Jack Nicklausはかなりオープン・スタンスで、上体は顕著なほどボールの後方に置く。彼は伝統的方法よりこのセットアップの方が彼の利き目である左目がライン上にあるので、ラインがよく見えると云う。オープン・スタンスによって遮る物がなくなるのも利点であり、これは左目が利き目のプレイヤーにはお勧めである。

・彼は前腕部の背面が地面と平行になるほど、可能な限り屈み込む。

・彼は右の前腕部がピストンのように後方へ、次に前方へと単純に動くストロークを考えている」

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あるラウンドの前半、カジモド流でパッティングしてみました。Michelle Wie(ミシェル・ウィ)ほどに上体を地面と平行にするところまではいきませんが、股関節から上体を折りJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)程度には屈み込んだ姿勢で。

前夜、この姿勢で練習したせいで、多少腰に痛みを感じましたが、パットに差し支えるほどではありません。パターを長めに持って、しかも上体を深く前傾すると、かなり懐が窮屈です。しかし、パターヘッドの重みを利用したい私としては、パターを短く持つ気にはなれません。

慣れないことをしているという意識は特にありませんでしたが、あまり快適な体勢でないせいか、格段素晴らしいパットが実現したわけではありませんでした。Jack Nicklausが「私の頭を落としたセットアップは個人的好みであって、あなたの頭はどこであろうと快適と感じられる場所に位置させればよい」と云っているように、カジモド流は私にとって快適でないので諦めました。

後半はこれまで通り、股関節から上体を折り、首から上だけを地面と平行にしてパット。何度かいいパットでパーを拾うことが出来ました。

ラウンドを終えてアウトとインのパット数を比較してみると、アウトが15で、インは14。両者の差はたった1ストローク。快適でもそうでないポスチャーでも大して変わりないというお粗末でした。

(February 11, 2018)

上昇軌道で打つ練習法

 

ネットで人気のインストラクターBrian Manzella(ブライアン・マンゼラ)の超簡単tip。

'Stop your chop!'
by Brian Manzella ('Golf Magazine,' November 2017)

「あなたのスウィング軌道があまりにも急だと、二つのことが起る。
1) ボールに過度なスピンを与える(さよなら飛距離)
2) 過度に低いボール(こんにちはミミズ殺し)

それはまた、ポップアップの危険性も孕む。

その薪割り打法をアッパーカットに変えて、数ヤード増やすには次の練習法が役立つ。

ボール三個入りの空き箱を、ティーアップしたボールの約25センチほどターゲット方向に(ターゲット・ラインと直角に)置く。あなたの使命はその空き箱に触らずにボールを打つことだ。これに慣れたら、あなたのドライヴァーはインパクトで上昇し、ドッカーンッと飛ぶこと疑いなし」

 

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私が実行している上昇軌道で打つ方法は、ボール位置は左脇の下の前方とし、そのボールの20センチ後方でクラブヘッドを構え、インパクトまでヘッドのすぐ前の地面を凝視する…というものです。ボールを見てしまうと、それは普通のスウィングになってしまい、アッパーに打てません(プルになる恐れもある)。ボールの20センチ後方を見つめていると、そこがスウィング弧の最低点となるため、そこから上昇軌道になるクラブヘッドよってアッパーに打てるのです。

(February 14, 2018)

引き金グリップでリリースせよ

 

インストラクターLaird Small(レアド・スモール)が説く、スムーズにリリースをするコツ。

[Trigger]

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
edited by David DeNunzio(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95

「よいプレイヤーたちがパワフルなショットを生み出す要素はいくつもあるが、多分最も重要なものは、インパクトにかけてフルにリリースすることだろう。その意味するところは、彼らがヒッティング・ゾーンでクラブヘッドに手を追い越させ、蓄えた全てのエネルギーをボールに向かって解き放つことだ。よいプレイヤーたちは、まるで鞭を鳴らすようなスウィングをする。

リリースを改善する偉大な方策は、右手の人差し指を引き金のように用いることだ。アドレスでハンドルを握る時、右手の人差し指を他の指から離し、銃の引き金を引く形にする。このようにしてスウィングすると、右手はハンドルにさらなるプレッシャーを掛け、両腕を伸ばしながらクラブを返す(トゥがヒールを越えて回転する)のを容易にする。

この特別な握り方で通常のスウィングをし、右手の人差し指がクラブをリリースするのを確認されよ。正しく行うと、左手のナックルが地面を向き、まるでテニスの前腕トップスピンを打つ感じになる筈だ」

【参考】「引き金グリップ」(tips_41.html)


(February 14, 2018)

3/4スウィングでのフック対策

 

「Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の遺産」シリーズ第二弾。Arnold Palmer(アーノルド・パーマー、1929〜2016)が新聞のコラムとして連載した記事(イラスト付き)を、「スウィング」、「戦略」、「トラブル・ショット」…等の分野別に編集し、一巻としたもの。tipsは、なんと計495もあります。「どうせ、ゴースト・ライターが書いたんだろ」と眉に唾して読みましたが、なかなかどうして、当人でないと書けない文章が沢山散りばめられています。本物です。

'495 Golf Lessons'
by Arnold Palmer edited by Earl Puckett (PGA), (Digest Books, Inc., 1973, $4.95)

「もし、あなたが3/4スウィングのショットの多くをターゲットの左に逸らしているなら、多分あなたは"lazy legs"(怠け者の脚)という病気にかかっているのだ。こういう短いスウィングのショットで両脚の動きが遅めになるのは極めて自然なのだが、これは何とかして防がなくてはならないことだ。

ダウンスウィングで両脚があまりにも遅かったり不完全に動くと、右手が時期尚早に左に向かって行動する。これはクラブフェースをクローズにし、フックとプルフックを生む。

あなたがインパクト・ゾーンで腰の回転を完了させることを忘れなければ、この問題は自動的に消滅する」

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これは「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)および「ダウンスウィングの研究」(同頁)にあるように、両手がズボンの右ポケットを追い越さないスウィングをすれば治ります。治るどころか、完璧なショットが可能になります。

 

(February 18, 2018)

引き金グリップをせよ

 

「Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の遺産」シリーズ。

'495 Golf Lessons'
by Arnold Palmer edited by Earl Puckett (PGA), (Digest Books, Inc., 1973, $4.95)

「最も一般的な過ちの一つは、過度に右掌でクラブを握ることだ。掌ではなく、指が支配的であるグリップをすべきだ。

右人差し指が拳銃の引き金を引くかのように、シャフトの下に巻き付けたグリップをする。こうすると、右の他の指は充分に指主体のグリップになる筈だ。

左手はクラブをコントロールするため、どちらかと云えば掌でクラブを握る。右手は敏感なので、優しく握る。覚えておいてほしいのは、引き金を絞ってはいけないということだ」

【参考】
・「引き金グリップ」(tips_41.html)
・「引き金グリップでリリースせよ」(02/14)

 


(February 18, 2018)

右肘を身体に引きつければ、多くのミスを減らせる

 

「Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の遺産」シリーズ。

'495 Golf Lessons'
by Arnold Palmer edited by Earl Puckett (PGA), (Digest Books, Inc., 1973, $4.95)

「ダウンスウィングの間に右肘を身体の右脇近くに戻すことは、多くのゴルファーを悩ますいくつかの問題を解決してくれる。

右肘を身体近くに戻すことは、右肩を適度に低くすることをゴルファーに強制する。これは、結果として、クラブヘッドがインサイドからボールに向かうのを確実にする。これはスライスやプルに抗するいい保険となる。

身体に右肘を引きつけることはまた、ダウンスウィングでゴルファーが適切に左サイドに体重移動することを助けてくれる。

最後に、この右肘の動きはクラブヘッドがヒッティング・ゾーンに突入するまで、アンコックを正しく遅らせることも可能にする。このレイト・アンコックはクラブヘッド・スピードを増し、飛距離増に繋がる」

 

(February 18, 2018)

タイミングを取り戻す練習法

 

【編註】「タイミング」とは身体各部(下半身、腰、肩、腕・手等)が、同期して順序よく適切に行動すること。良いスウィングには、各部の滑らかな連携プレイが必須ですが、これが「タイミング」。

「Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の遺産」シリーズ。

'495 Golf Lessons'
by Arnold Palmer edited by Earl Puckett (PGA), (Digest Books, Inc., 1973, $4.95)

「あなたのタイミングが悪くなったとしたら、その原因は多分手と腕だけでダウンスウィングを開始しているからだろう。

悪いタイミングを直すには、9番アイアンのようなショート・アイアンで練習ボールを打つことを勧める。ダウンスウィングを下半身でスタートすることに集中する。間もなくあなたの手首は、ヒッティング・ゾーンの適切な時にアンコックを自動的に開始する良いタイミングが戻って来るのを感じる筈だ。

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)の タイミング」(tips_185.html)
・「タイミング良くインパクトを迎えるのための訓練」(〃)

 

(February 18, 2018)

「ピッチングとチッピングの距離調節」の勝利

 

先日、久し振りに四つのバーディでチームの勝利に貢献しました。もちろん、いくつかのドジとラッキーなバウンスが綯い交ぜになったラウンドで、総体的には褒められないのですが、チームのメンバーの目には四つのバーディだけが英雄的功績として映ったようです。

・バーディNo.1: ホールNo.3 (231ヤード)パー3

私のティーショットはフェアウェイ左の固い地面を転がり、バンカー越えの30ヤードのチッピング。バンカーまで10ヤード、バンカーの幅が約10ヤード、バンカーからピンまでもおよそ10ヤード【右の写真】。しかし、私の方向からのグリーンは早いことが判っているので、全体を25ヤードと計算。この距離は、私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」システム(tips_169.html)では60°ウェッジのハンドル【右下図】の緑色の点(図のc)に左手の親指を当て、左前腕が地面と平行になるバックスウィングです。ボールがほぼ裸地に近い地面にあったので、正確なインパクトだけを心掛けてスウィング。

ボールはカップの手前30センチについて、ギミー・バーディ。

No.3 Greenside bunker

 

・バーディNo.2: ホールNo.11 (233ヤード)パー4

[handle]

ティー・ショットがよく転がってくれ、ピンまでの距離は約60ヤード。グリーンは上りなのですが、いつも着地後ボールがかなり駆け上がることを知っているので、55ヤードとして計算。この距離は私にはサンドウェッジ(56°)を赤の位置(図のb)で握って両手を肩まで上げるバックスウィング。ここでもほとんど裸地に近いライでしたが、カップ右横1.5メートルにつけ、うまくパットしてバーディ。

・バーディNo.3: ホールNo.14 (360ヤード)パー5

残り170ヤードの私の二打目は、目論見通り正面のバンカーを避けてグリーンの斜め右へ。しかも、幸運なバウンドに恵まれて、ボールがグリーンに近づいてくれ、残り距離は約25ヤード(偶然にも、No.1と同じ距離)。今度はギミーとはいきませんで、カップまで1.5メートル。ここもうまくパットして、バーディ。

・バーディNo.4: ホールNo.15 (272ヤード)パー4

二打目の5番アイアンが僅かにショートして、グリーンエッジから1メートル離れた土手へ。ピンまでは残り25ヤードなのですが、急傾斜の上りの土手でロフトが増えて飛距離減になることが判っているので、30ヤードとして計算。これは60°ウェッジを緑色の位置で握って、両手を肩まで上げるバックスウィングです。ボールは高あ〜く上がって、ピンの傍で弾み、ぴょんとカップに飛び込みました。私の仲間たちは、まるでPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)の妙技でも見たように賛嘆してくれました。チップイン・バーディでした。

これらを報告したのは、単に4バーディが嬉しいからではなく(もちろん嬉しいですけど)、私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」システムがいかに役に立つかをお伝えしたかったからです。上のどのホールでも、私のこの簡単なメソッドがバーディの土台となっています。勘とタッチだけに頼るなんて勿体ない。勘とタッチは、プロたちのように時間をかけて練習している人が身につけられる技倆ではないでしょうか。私の方法は、少ない練習時間でもマスター出来るものです。


(February 18, 2018)

Annika(アニカ)のホームラン(+目玉の処理法)

 

Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)も、2003年のPGAツァーの一つであるColonial Tournament(コロニアル・トーナメント)に参加するまで、目玉の出し方を知らなかったというお話。それまでも数々優勝しているのに不思議な話です。

'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam with editors of Golf Magazine (Gotham Bools, 2004, #30.00)

「私は男子ツァーのColonial Tournament(コロニアル・トーナメント)の週の火曜日に、Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)と、私の同郷(スウェーデン)のJesper Parnevik(ヤスパー・パーナヴィク)と共に練習ラウンドをした。Sergio Garciaとプレイするのは初めてだった。彼のグリーン周りにおける処理能力の素晴らしさは印象的で、彼にはどこからでも寄せワンが可能だった。

No.7で、私はグリーンサイド・バンカーに捉まり、トップして向こう側のバンカーに入れてしまった。私が何度かエクスプロージョン・ショットを試みていると、Sergio Garciaが私にtipをくれた。『ボールが砂に埋まっていたり目玉だったりする場合は、クラブフェースをオープンにしちゃいけない。フェースはスクウェアにしなきゃ。スクウェアでないと、クラブヘッドをボールの下に突っ込むことが出来ない』…と。私は彼の助言を受け入れ、次のホールのバンカーのひどいライから寄せワンを達成出来た。

目玉の場合、私はボール位置をスタンス中央の少しターゲット方向にし、クラブフェースはスクウェア、ボールの1/2インチ(約1.27センチ)後方の砂を狙う。通常のバンカー・ショットでは、私はボールの1インチ(2.5センチ)後方を狙うのだが、目玉ではボールの周りにクレーターのような砂の壁があるので、少しボールの近くを打って砂を少なく取る。その後は典型的なエクスプロージョン・ショットである。

私はフル・フィニッシュへとスウィングする。それはクラブヘッドが砂の中を通過し、ボールを抛り出す加速を生んでくれる」

 

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私のメンタルな作戦ですが、ショートが続いたらウェッジをかなり短く持ちます。「これじゃピンまで届かんわい」と思うので、自然に精一杯コックし、懸命に(乱暴にではない)フル・フィニッシュしようという気になり、ピンに近づくショットを遂行出来ます。ホームランに近いオーヴァーが続いたら、ウェッジを目一杯長めに持ちます。「これじゃ、飛び過ぎるんでないかい」と思うので、ゆっくりスムーズなスウィングになり、適切な距離を飛ばすことが出来ます。

(February 21, 2018)

砂の一掴みを投げ出すイメージを持て

 

これはDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)の亡父でインストラクターだったDavis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)が遺したノートにDavis Love IIIが自分の経験を加えて出版した本。

'Every Shot I Take'
by Davis Love III (Simon & Schuster, 1997, $24.00)

グリーンサイド・バンカーを成功させる重要なポイントは、あなたがスウィングした時、砂がどのように飛ぶかを視覚化することだ。この件に関する私の父の助言は、ボール後方から一掴みの砂をグリーンに投げつけるつもりになれというものだった。これはソフトで優雅なので、とても有益なイメージだ。

私の父は『エクスプロージョン・ショット』という言葉が嫌いだった。私がその言葉を使うとかんかんになって怒ったものだ。巧く処理されたバンカー・ショットにはゆったりした感じがある。これには僅かの暴力も必要としないのだ」

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あるインストラクターは「爆発させる」という暴力的な心構えではなく、「勇敢にスウィングせよ」と云っています。「勇敢に」という場合、クラブヘッドを大胆に砂に突入させ、大きな振幅のしっかりしたスウィングをするニュアンスです。「爆発させる」は慌てふためいた急激なスウィングに繋がりがちですが、「勇敢に」の場合は速度は関係しません。ゆっくり実行することも可能です。

【参考】「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の バンカー・ショットへの助言」(tips_175.html)

 


(February 21, 2018)

バンカー、三つのべからず集

 

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の『パワーの学校』における、バンカー・ショットの戒め。

'Golf School'
by Jim McLean (Doubleday, 1999, $27.50)

「われわれのゴルフ・スクールでは、バンカー・ショットで極刑に値する三つの罪を犯さないように教える。

1) 腕と手を緊張させてクラブをきつく握ること。
2) ボール位置をスタンス後方にしたり、手をクラブヘッドの前方に傾げてクラブのリーディング・エッジで打つこと。
3) 低く短くフラットな軌道のバックスウィングをすること。

以上の三つを避けるだけで、あなたのバンカー・ショットは格段に上達する筈だ。

・ややオープンなスタンス。
・体重は60%ほど左サイド。
・砂の質感を確認しながら、しっかり両足を砂に埋める。
・ターゲット方向に少し腰をスライドさせる(これで体重を左脚に多く掛けることになり、ボールをスタンス前方でプレイすることを楽にする)。
・ボールをスタンス中央よりややターゲット側にする(絶対にスタンス後方にしたり、両手をターゲット方向に傾げてはならない。
・クラブフェースをオープンにする方法は二つある。1) シャフトをターゲットから遠ざける(手が後方になる)、2) フェースがオープンになるように廻す。両手をボールの前に出したり、フェースをクローズにしたりしてはならない。

 

リラックスし、両手をだらんと垂らす。軽いグリップ圧。もし緊張でショットを崩壊させるものがあるとすれば、それはバンカー・ショットだ。Julious Boros(ジュリアス・ボロス)は、歴史に残るバンカー名人の一人だ。彼は無頓着にボールに歩み寄り、アドレスすると、のったりしたスウィングをした。一度でもそれを見た人には、これは素晴らしいイメージであろう。バンカーではのったりしたスウィングが正しい。強ばった急速なスウィングは不可。だから、スウィングする時はのんびり、リラックスすべきである。

・バックスウィングでの体重移動は最少限にし、手首が自由にコックするに任せる。
・長い、リラックスしたスウィングで充分肩を廻すこと。肩の回転は楽なスピードを生み出すのに重要なのだが、私の生徒たちはちゃんと廻さないことが多い。
・覚えておくこと。低く、短いスウィングは厳禁。
・ダウンスウィングはロブ・ショットと同じである。クラブを身体の前に保ちながらターンし、ターゲットを向くフィニッシュ。

ロブ・ショットとの違いは、ボールではなく砂を打つことだ。良い考え方は、(ボールが座っている)砂の座布団をバンカーから弾き出し、ついでにボールも乗せて一緒に飛ばす…というものだ。

バンカーでは左手で引っ張るのではなく、右手主導でスウィングし、リリースすること。【編註:アドレスでセットしたロフトを保つため】

  【このヴィデオの3:00の辺りでJulious Boros(ジュリアス・ボロス)のバンカー・ショットが見られます。本当にのったりです】

 

われわれのスクールでは、『ボールの○センチ後ろを打て』という教え方をしない。練習バンカーに25センチ離して二本の線を引き、生徒に7〜8回打たせる。これが上手く出来れば、成功は保証付きだ。セットアップが正しく、バックスウィングで適切にコックされれば、ボールの1〜6インチ後方を打って、申し分のない結果を得られる。草の上から打つような精密さは必要でない。大雑把にボールの後ろを狙い、砂の中でクラブヘッドを潜らせて反対側から抜き出せばいいのである。実際には、完璧な打ち込み地点は7.5〜10センチであろう。これは驚くべき事実ではないだろうか?

もし、バンカーでミスを犯すとしたら、トップするよりダフるべきだ。あまりにも後方に打ち込んだ場合、脱出出来ずにもう一打必要なだけである。逆にボールにあまりにも近く、砂よりも先にボールを打った場合、あなたはスコアカードに"X"と書かねばならない。なぜなら、ホームランを打つと、そこから戻すのは困難な場合が多いからだ。ボールを先に打っては駄目だ!

固い砂、湿った砂では、クラブのバウンスを使うべきではないので、フェースをスクウェアにしたアドレスをする。60°ウェッジを持っているなら、それを使う。湿った砂では、ピッチングウェッジのリーディング・エッジを使うのがよいかも知れない。湿った砂からはボールが急速に飛ぶので、スウィング速度を遅くすること」

(February 21, 2018)

股関節から曲げてパットせよ

 

"swing key"(スウィングの鍵)とか"swing thought"とか呼ばれるプロたちの「留意事項」を集大成した本より。今回はPGAで活躍したTom Purtzer(トム・パーツァー、1951〜)の巻。彼はPGAツァー、Championsツァーで15勝しています。

'Swing Thoughts'
edited by Don Wade (Contemporary Books, 1993, $12.95)

「よいパッティングの秘訣は、ボールに向かって正しい姿勢で立つことだ。あなたは快適であろうとするだろうが、同時にラインを見るために目をボールの真上に置く必要がある。

あるトーナメントに参加した時、私はパッティングのセットアップに関して少し試行錯誤していた。そして、股関節から前傾するとラインがよく見え、ストロークも向上することを発見した。その理由は、両腕が自然にかつ快適に垂れ下がるからである。

その週、私のスウィングは好調だった。だが、私が開発したこのセットアップの微調整によって、パッティングに自信を持てたので、グリーン回りでいつもより積極的に攻めることが出来たのが大きかった」

【参考】
・「股関節とはどこか?」(tips_110.html)
・「1.2mのパットをミスしない方法」(tips_120.html)
・「Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)のセットアップ」(tips_122.html)
・「スウィング・キイ大全集・前篇、後篇」(tips_46.html)

 

(February 25, 2018)

腹筋ストロークの発見

 

これまで「排気でパット」とか、「重力まかせのストローク」、果ては「パッティングにForce(フォース)を使え」などと、様々に工夫を凝らして来ましたが、今度のは間違いなく極めつけです。

「ストローク軌道のチェック法」(tips_185.html)でかなりストレートなストロークが可能になったとはいえ、完璧とは云えませんでした。鏡を左横に置いて練習ストロークをしてみました。左右の肩を一線にしてストロークを開始し、左肩が前に出ないように懸命に注意していても、インパクトにかけて右肩が前に出て来ちゃいます。これは気に入らない。スタンスをオープンにしても、クローズにしても同じ。左右の手のグリップ法を色々変えてみても同じ。体重を右に掛けたり左に掛けたりしても同じ。

破れかぶれで闇雲にパッティングとは無関係に思えることもしてみました。その一つが、臍下丹田(せいかたんでん)に力を篭め、腹筋をぎゅっ!とすぼめながらのストロークでしたが、何とまあこれが大当たり!【註】右肩が100%出て来ないとは云いませんが、臍下丹田に力を篭めてストロークすると、右肩は多くて5%以内しか前に出なくなります。普段のだらけた腹筋だと右肩が10〜15%出て来ますので、これは大きな違いです。

【註】臍下丹田(せいかたんでん)とは、おへその下を指し、昔から剣道などの重要な集中ポイントとされています。

何故、臍下丹田に力を篭めると肩が廻らなくなるのか、そのメカニズムは解りません。私はドライヴァーを打つ時、バックスウィング開始の前に臍下丹田に力を篭めています。これはパワフルなショットに繋がっていると思いますが、ひょっとしたら方向性にも貢献してくれているのかも知れません。

その後、バーディ・パットや大事なパー・セイヴの際に臍下丹田に力を篭めて、多くの場合成功しています。本当は全てのパットでそうすべきなのですが、興奮していると忘れてしまうのです(^^;;。

 

(February 25, 2018)

全てのパットを成功させる

 

スポーツ心理学者Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)による、パッティングに関するメンタルtip。

'Zen Golf'
by Dr. Joseph Parent (Doubleday, 2002, $17.95)

「あるトーナメントで、PGAツァーのヴェテランPeter Jacobsen(ピーター・ジェイコブセン)が、『最終ホールのパットに失敗した時、どう感じました?』と聞かれた。彼は『失敗なんかしなかったよ。私はパットに成功した。だが、ボールがカップに入るのに失敗したんだ』と答えた。

これは正鵠を射た考え方である。パットの(手順の)成功とパットを沈めること(結果)の違いを認識すべきだ。その新しい定義を明らかにするため、パッティングのプロセスの要素をおさらいしよう。
1) 最善と思われるラインを選択する。
2) 最善と思われるストロークの強さの感覚を得る。
3) 最善のストロークをする。

われわれに出来るのはここまでである。ボールが転がり出した後、その結果はわれわれにコントロール出来ない。

だから、最も良い定義はこうだ:あなたが選んだラインにボールを転がし、望み通りの強さで打ち、いいストロークをしたと感じられたのなら、あなたはそのパットに成功したのだ。あなたは全てのパットを沈められないかも知れないが、あなたは全てのパットに成功することが可能だ。

 

これはパッティングに関する自信の構築に強力な影響を及ぼす。ベストのゴルファーでさえ、ラインを読み違えることは珍しくない。あなたが読み違えを犯したとしても、上のプロセスを完璧に遂行したのなら、満足感と共にグリーンを立ち去ることが出来る。これはポジティヴな心構えを持続させてくれる。どれだけパットをミスしたかを数えるのは、自信の構築の妨げになるだけだ。反対に、ほとんど全てのパットを成功させたという満足感は、素晴らしい後味を残す。パットに関する限り、自信がものを云うのだ」

(February 25, 2018)

はみ出し禁止のスウィングでピュアなショット

 

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私はパッティング・ストロークで「はみ出し禁止のストローク」というアイデアを考案しましたが(2010年)、以下のtipも類似のアイデアをフル・スウィングで使うものです。右図は私のパッティング用のイラストで、黄色い線が自動車道と同じ「はみ出し禁止ライン」。ストロークはこの線を越えずに手・腕・肩を動かすというコンセプトです。以下の記事も、ストロークとスウィングの違いこそあれ趣旨は全く同じです。

'Drill long, laser-like approach shots'
by Mike Perpich ('Golf Magazine,' March 2015)

「(特にミドル・アイアン〜ロングアイアンで)ソリッドなショットを打つためには、ターゲットラインのインサイドからボールにクラブを送り届けることが重要である。でないと、あなたは大概の場合右のラフでボール探しを余儀なくされるだろう。

インストラクターの多くは正しいスウィング・プレーンとインサイドからのボールへの接近を説明するため、傾斜した円のイメージを用いる。私はそれとは異なり、フェンスのイメージを好む。フェンスの自分の側の縄張りに留まれば、自動的にインサイドからボールに接近することになる。詳しく説明しよう。

・アドレスし、両腕を爪先の真上に垂らす。
・セット出来たら、右足の親指の外側の上下に垂直に立つフェンス(あるいは塀)を視覚化する。【ヴィデオでは黄色いロープ】
・フェンスの外側はあなたの隣人の縄張りで、そこに出ているのはあなたのシャフトとクラブヘッドだけである。他の全てはあなたの縄張り内にある。
・肩を廻して両腕を一緒にスウィングし、クラブを隣人の縄張りから自分の側へ引き込む。これはクラブをトップで適切な位置に納める。
・望ましいインサイドからのインパクトのためには、ダウンスウィングで左腕が地面を指すまでフェンスの内側で動く。そのためには、肩がバックスウィングの際に描いた弧をボールへと引き返す間、両手・腕とクラブを地面に真っ直ぐ落とす。この動作は、ゴルフのスタンスをとりつつも、左にいる人に下手投げでボールをトスするのに酷似している。
・唯一、インパクト・ゾーンで腰を回転させる時、シャフトとクラブが隣人の敷地に再突入する。

あなたがこれを続けると、これまでと異なる(文字通り、ボールの後部のインサイド1/4を打つように)パワフルであると感じる筈だ。おめでとう!あなたは超ピュアなアプローチ・ショットの軌道を身につけたのだ」

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「下手投げでボールをトスする」際の右手の形は、「正確無比なショットの秘訣」(tips_185.html)の「右肘が右ポケットを追い越さないダウンスウィング」をする際に現れる状態と全く同じです。双方が正しいことの証明ですね。

 

(February 28, 2018)


パー5で確実にバーディを得るショット

 

The Masters(マスターズ)が開催されるオーガスタ・ナショナルには、いくつかの2オン可能なパー5があるそうですが、二人の堅実派Mike Weir(マイク・ウィア、カナダ、2003年優勝)とZach Johnson(ザック・ジョンスン、2007年優勝)はイーグルなど狙わず、ウェッジによる三打目でピンに肉薄することに徹してバーディを得ることに成功したそうです。そのウェッジの堅実な打ち方二種類。

'How to birdie more par 5s'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' March 2015)

a) 中・低高度のスピナー

カップがグリーンの真ん中付近か後方に切られている場合、このショットを用いる。

・ボール位置はスタンスの後方で右足親指爪先の前方。
・左腕が時計の文字盤の九時に達するまでバックスウィングする。身体の周りを廻るような滑らかなテンポ。
・フォワードスウィングでは、フィニッシュで上体と胸がターゲットのやや左を指すように回転させる。右腕は(バックスウィングでの左腕と対称的に)三時を指す。
・この低いフィニッシュ位置はインパクトで両手がリードすることを促進するので、あなたはまるでボールを地面に押しつぶす感じを得る筈だが、それはグリーンでボールが芝を噛むような質の高いショットを生む。

b) 高くソフトなトス

このショットはラフから打たねばならずスピンが期待出来ない場合か、とても固いグリーンでピンが手前に切られている場合に相応しい。

・ボール位置はスタンス中央。
・コックしつつインサイドに引きながらフル・ターンする。
・インパクトへは、バックスウィングと同じインサイドからの軌道で向かう。
・最高の高さに上がるボールを生むため、フィニッシュは両手とクラブを高く上げる。もし、(インサイドからのアタックでなく)単純にクラブをストレートに動かし続けると、ダフリかトップの結果に終わる」

 

(February 28, 2018)

スムーズなテイクアウェイを実現する

 

ヨーロピアン・ツァーのDavid Howell(デイヴィッド・ハウェル、英国)によるスウィング練習のtip。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「これは私が良いテイクアウェイをするためにしょっちゅう用いるドリルである。

私がよく患った問題点の一つは、最初のテイクアウェイの動きに上半身のアクションを関与させることだ。初期の身体の動きの影響は、私が簡単にバランスを失うことである。それはショットのそこかしこで問題を引き起こす。

もっとコントロールされたテイクアウェイをすれば、スウィングの間じゅうバランスを保つことが容易になる。上体の動きを防止し、クラブが遠ざかる動きに注意を集中するために、私はスウィングの開始に当たって次のドリル用いる。

・打つボールAとクラブヘッドの間(のターゲットライン上)にもう一個のボールBを置く。

・ターゲットライン上でクラブを引く。

・クラブヘッドの後部でボールBを退(ど)かす。

これはスムーズなワンピースのアクションを促す。コツはボールBをじわじわと動かすことだ」

[icon2]

要は、左手がターゲット・ラインに沿って伸びる限度まで、低くクラブヘッドを動かすテイクアウェイということですね。その段階を過ぎたら、やっと上体を捻転し始めてトップへと向かう。これは正統なバックスウィングです。

 

(February 28, 2018)

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