Golf Tips Vol. 189

プロとアマの違い

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)が30,000人のプロとアマのスウィングを分析した結論。以下の記事に対応する写真が、全てGolfTecのウェブサイト(https://www.golftec.com/swingtru)に掲載されています。私の紹介を読みながらそれらの写真を参照すると理解し易いでしょう。

'Swing by numbers'
by Nick Clearwater with Mathew Rudy ('Golf Digest,' August 2017)

「GolfTecは最新の計測システムSwingTRU Motion Study(SwingTRU動作研究)を用いて、プロとアマ30,000人のスウィングを分析した。そのうちバックスウィングとダウンスウィングの六つの要素について、ハイハンデ(100を切れない者)とプロとの比較をお届けする。

1) トップでの腰のスウェイ(Hip sway - Top position)

スウェイという言葉はお馴染みだろうが、これは腰を指しているのか上半身なのか、混乱を招き易い。上級者は、身体全体をボールから遠ざけるようにスウェイするのでなく、トップで体重を右足の上に掛ける。初心者は身体全体をターゲットから遠ざけて、誇張した体重移動をしがちだ。

正しい方法は、頭を左右に動かすことなく、アドレス時よりも尾てい骨をターゲット方向に動かすように感じることだ。SwingTRU研究の結果、プロは平均3.9インチ(約10センチ)ほどターゲット方向に腰を動かす。一方、初心者はたった2.5インチ(6センチ)しか動かさない。

 

2) トップでの肩の傾斜(Shoulder tilt - Top position)

アマチュアが『飛ばそう!』とすると『最大限捻転しよう』と考える。しかし、単に捻転すればいいというものではない。肩の回転に集中するのでなく、どのように肩を回転させるかを考えよ。多くのゴルファーは、後方にいる人を振り向くように、肩をほぼ水平に廻す。ツァー・プロたちは36°下向きの角度で廻す。ハイハンデの者は29.6°に過ぎない。

左肩は、バックスウィングで地面に向かって動くように感じるべきである。最初、これは単に肩を傾げているだけに思えるかもしれないが、信じなさい、回転もしているのだ。

3) インパクトでの腰のスウェイ(Hip sway - Impact position)

上級者は、インパクトでアドレス時よりも腰を前方に動かす。その幅は、プロでは1.6インチ(約4センチ)であるのに対し、初心者は0.4インチ(約1センチ)しか動かさない。

腰の動きを考えるのは抽象的かも知れない。ダウンスウィングで左膝をターゲットに向かって動かし、左膝が左足の外に出るように感じるべきだ。あなたが後方に反っくり返るスウィングをしているなら、これは劇的な変化であろう。劇的な飛距離増も期待してよい。

4) インパクトでの腰の回転(Hip turn - Impact position)

 

アマチュアの多くはボールをアウトサイド・インにカットするように打ち、スライスを放つ。それは、上半身が過度にアクティヴであるか、不必要な時にアクティヴになるせいだ。上半身の問題を解決するには、下半身を用いるように方針変更をすることだ。インパクトでの腰の回転は、その重要な例である。初級者はボールを手と腕でコントロールしようとする。ツァー・プレイヤーたちは、インパクトでアマの二倍近くもターゲット方向に腰を廻す。腕とクラブは、その連鎖反応の最後の鎖として(最初の鎖ではない)ボールに到達するだけである。計測の結果、インパクトでプロたちは平均36°腰をオープンにし、ハイ・ハンデの者はたった19.5°であった。

腰の回転を増すには次のように感じること:インパクトで、ベルトバックルが(ボールではなく)ターゲット方向を向くように、そしてインパクト直後、両膝がターゲットを指すように。

5) インパクトでの肩の傾斜(Shoulder tilt - Impact position)

この記事の二番目で、トップで肩を傾斜させるべきであると述べた。それはインパクトまで持続されるべきである(傾斜の方向は異なり、上向きになるのだが)。腕主体のダウンスウィングをするアマチュアの多くは、インパクトで肩を比較的水平にする。プロたちはインパクトで平均39°左肩を上に向ける。ハイ・ハンデの者は約27.5°でしかない。

左肩を高く上げるには、頭はスタンス中央に留めたまま、ベルトバックルがインパクトで左足の上に上になるように努力する。

6) フォロースルーでの肩の屈折(Shoulder bend - finish position)

肩の傾斜と屈折の違いは方向である。傾斜は、いわばシーソーのように地面に対し肩が上下する。屈折は、上体がターゲットから反対に後方に反る量である。上級者はフォロースルーで胸を張り背を伸ばし、首を数度ターゲットから遠ざけるように曲げる。典型的なアマチュアはインパクト後も身体を伏せ目にしたままである。これではテコのパワーの恩恵には全く与れない。計測結果は、プロたちは平均32°後方に身体を反り、ハイ・ハンデの者は平均3.2°であった。

理想的なフォロースルーは、あたかもスーパーマンやワンダーウーマンのように防弾の胸を張り、ジャンプするために左脚で地面を踏みつけたかのように完全に伸ばすことである」

 

(November 01, 2017)

爪先で打て!

 

インストラクターJon Tattersall(ジョン・タターソール)による、10秒で全盛期のTiger Woods(タイガー・ウッズ)のよいとこ取りをするコツ。

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
edited by David DeNunzio(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95)

「あなたはエクストラのスウィング・スピードを得ようと試みるが、それを主に上体の強靭さで行おうとする。あきまへん。テクニックの大改造でも行わない限り、あなたに備わっている潜在的な飛距離には絶対に到達出来ない。

ハードロック・バンドVan Halen(ヴァン・ヘイレン)の助言"Jump"(ジャンプ)に従うべきだ。大地を跳躍台として使うことから始める。Tiger Woodsのようなロング・ヒッターで明らかなように、あなたの下半身が真のパワー源である。彼はダウンスウィングの最初で身を落とし、次いでインパクトに向かいつつ急上昇させる。あなたに必要なのも、まさにこれである。

・バックスウィング

 体重の大部分を右側に移す。その加減がどのくらいかと云うと、バランスを失うことなく左足を地面から浮かせられるほどである。

・ダウンスウィング

 (スクワットするような感じで)体重がやや地面に向かうぐらいに両脚を曲げる。

・インパクト

 空中にジャンプするかのようにハードに地面を押す。体重は、ボールに真っ直ぐ向かうのではなく、インパクトにかけて引っ張り上げられて爪先立ちするような感覚を得る。即座に飛距離が得られる(Tiger Woodsのように)

 

(November 01, 2017)

パワーの学校

 

Jim McLean(ジム・マクレイン)の以下の本の各章は、「フル・スウィングの学校(スクール)」、「ショートゲームの学校」、「コース戦略の学校」等に別れていますが、今回はその「パワーの学校」の概略を紹介します。

'Golf School'
by Jim McLean (Doubleday, 1999, $27.50)

「多層構造のボールは飛距離を増し、長いグラファイト・シャフトとタイテイニアム(チタン)・ヘッドのドライヴァーはとてもホットで、もう逆戻りは出来ない感じである。ゴルファーたちは、新製品に目がない。だが、残念ながら高価なドライヴァーを購入したからといって、即座にパワーをも手に入れられるわけではない。

私が思うに、パワフルなドライヴィングは徐々に達成出来るものである。だから、私の『パワーの学校』では、セットアップが何度でも正しく繰り返せると証明されるまでボールは打たせない。ひたむきに練習し、正しいセットアップが反復可能になることだけが、上達への途なのだ。

・パワー・アドレス

パワー・ヒッターたちはボールを高くティーアップする。ボールの半分以上がドライヴァーの上に出るようにティーアップする。彼らはまた通常より左足を左肩のずっと先(ターゲット方向)に出す。この広めのスタンスは、長めのテイクアウェイとバックスウィングでの広いスウィング弧を可能にする。

 

Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)は、Ben Hogan(ベン・ホーガン)の滅多に聞けないスウィングの秘訣を教わっていて、それを私に伝えてくれた。彼によれば、広い基盤は身体を安定させる重心をお膳立てし、インパクト・ゾーンで地面に平行な部分を拡張すると云う。

【編註】Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ、1931〜2013)は1964年のU.S.オープンを始めPGAツァーで14勝、後年はCBS-TVのメインの解説者を勤めました。

ドライヴァーでの浅い弧のスウィングで地面に平行な部分の利点を活かすには、ボールを左踵の前方に置くべきだ。こうすれば、インパクト・ゾーンでクラブはややアッパーな軌道で動く。結果としてボールは急速に宙に浮かび、着地後のボールは勢い良く長く転がって距離を増やしてくれる。

私の『パワーの学校』では、右足はターゲット・ラインに直角に揃え、左爪先は20〜30°開くようにと教える。これは腰の回転を早めてくれる。

ポスチャーは、背骨を10°ターゲットの反対方向に傾げ、左腰を右より若干高くし、頭をボールの後ろに位置させて後方に少し傾ける。右肩を僅かに落とす。これは、ボールを上昇気味に打つのを助けてくれる。

両手の位置はBen Hogan(ベン・ホーガン)のようにボールの後ろで構える方法もあるが、私はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のようにボールと一直線で構えることを勧める。

グリップ圧は、1〜10の範囲の3か4(緩め)で握ること。

右前腕の高さを左前腕に揃え、絶対に左前腕の上にしたり下にしたりしないこと。また、右肘を身体の脇につけるのもいけない。

頻繁にアドレス体勢をチェックすること。鏡の前でか、ヴィデオに撮る。世界的に偉大なプレイヤーでさえ、セットアップの些細な欠点によってスランプに陥るものだ。

 

・パワー・バックスウィング

【編註】ここでは、Jim McLeanが1996年に発表した“Xファクター”理論が説明されています。“Xファクター”とは、「バックスウィングで肩は目一杯廻すが、腰の回転は極力抑えるべきである。両方を目一杯廻したのではバネの効果(捩れ)が生じないからだ。ドライヴァーでのモデルは、肩を100°廻し("/"の文字の下端が捻転度)、腰を60°廻す("\"の文字の上端が捻転度)。"/"と"\"の文字を組み合わせるとΧになり、その交差角度が大きいほどパワーが生まれる」…というもの。

・パワー・ダウンスウィング

腰は二つの軸を中心に回転する。バックスウィングでの軸は右脚、そしてフォロースルーの軸は左脚であるだから、腰について考える際、単に回転としてだけ考えてはいけない。腰は右脚から左脚へと軸をシフトさせ、それから回転するのだ。ダウンスウィングでは腰を水平移動するだけでなく、左脚の周りで回転させなければいけない。

・その他

早期コックは拡張されたテイクアウェイを妨げ、パワーの蓄積を躓かせる。

パワーを生むラグの練習は、ゆっくりダウンスウィングの動きをする。トップでのコック(手首の角度)を維持し、シャフトがターゲット・ラインと平行になったところで止める。これを繰り返す。

クラブヘッド・スピードを上げるには、ボール無しでドライヴァーを前後に振る。両手を出来るだけ早く左肩の真上にし、シャフトが背・肩・首のどこかを急速に叩くフィニッシュ。加速するスウィングに慣れたらボールを打つが、インパクト直後すぐ左肘を畳むことに集中する。直ちにパワーと飛距離の増加に気づく筈だ」

 

(November 08, 2017)

肩先でなく肩甲骨で狙うべし

 

[scapula]

Dr. Robert Neal(ロバート・ニール博士)はオーストラリアのスポーツ研究所で経験を積み、現在はフロリダでツァー・プロなどを指導している生体力学の権威。

'Golf Magzine: The Best Driving Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2012, $32.95)

「アライメントの基本は、両足、両膝、骨盤、および上体を意図したターゲットラインに揃えることだ。だが、多くのゴルファーは両肩を結ぶ線で狙うというミスを犯す。何故ミスかというと、両肩は上体とは別個に動くことが出来るからだ。もし私が『肩をクローズにして』と頼んだら、あなたはためらうことなく左肩を前に出すか、右肩を後ろに引くかするに違いない。この変更は両肩をあたかも右を狙うようにするだろうが、上体は全く動いていないのだ!

肩を指標として用いるこの曖昧さを避けるには、あなたの背(肩甲骨【図の赤い骨】の上端)で狙いを決定すべきだ。これはかなり信頼出来る方法である」


【おことわり】図はhttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commonsにリンクして表示させていただいています。

(July 12, 2017)

Justin Thomas(ジャスティン・トーマス)のパッティング

 

Justin Thomasは2017年1月に59に記録を作っただけでなく、2017年の稼ぎ頭でもあります。Fedex Cup(フェデックス・カップ)のボーナスを含め、一年で$19, 921, 560(約2億2500万円)稼ぎました。

'Stroke of Genius'
by Justin Thomas with Brian Wacker ('Golf Digest,' November 2017)

「以前の私のパッティングにはムラがあった。私はパット不調の日でも、最低のレヴェルにはならないようにしようと努力した。先ず、練習グリーンに線が引いてある鏡を置き、その線上にボールを置いた。ボールの上に立ち、私の利き目である左の目がその線の上に揃うようにした。こうすると、正確さが増す。また、パターフェースが線にスクウェアかどうかもチェック。

もう一つの変更は、パット前のルーティーンを短くしたこと。素振りをやめることにした。単に歩を進め、疑念が忍び寄る前にストロークしてしまう。また、私はストロークも短くした。右(バックストローク)、左(フォワードストローク)の長さは同じだが、全体の長さを短くしてコントロールを良くしたのだ。

私は両足で地面をしっかり掴むように立つ。安定した下半身は重要であり、ストロークする時ふらふらしないで済む。

練習に関しては、私は3メートルの距離を懸命に練習した。長い距離を沈めるか、少なくとも近くへ寄せることは、いいプレイヤーになる道である。打つ強さに集中しながら、頻繁に距離を変えて練習する。どのレヴェルであれ、パッティング抜きの成功があり得ないのは確かだ」

 

(November 19, 2017)

パットのウォーミングアップ

「80を切る・虎の巻」(tips_60.html)のPatrick J. Cohn, Ph.D.(パトリック・コーン博士)に、PGAツァーのプロ・テストまで受けたことがあるというスポーツ心理学者Robert K. Winters, Ph.D(ロバート・K・ウィンタース博士)が加わって出版されたパッティングの本から、ラウンド前の心得。

'The Mental Art of Putting'
by Patrick J. Cohn, Ph.D. & Robert K. Winters, Ph.D., Taylor Trade Publishing, 1995, $16.95)

「われわれが知る大方のアマチュアは、ラウンドの前にパットのウォーミングアップをしない。かれらはティー・タイムの十分前にコースに到着し、靴を履き替え、ウォーミングアップ無しで直ちにNo.1ティーに向かう。そして、彼らは何故最初の二ホールで3パットしたのか不思議がったりする。プロは賞金を稼ぐためのラウンドでこんなことはしない。彼らはウォーミングアップにどれだけの時間が必要か、ティーオフ前にすべき一定のルーティンを熟知している。

ウォーミングアップには三つの重要な目的がある。1) 集中する心、2) 自信の構築、3) グリーンの早さを掴むこと。ウォーミングアップは短距離走者のストレッチングに似ている。それは正しく注意を払うべき心構えと身体的活動をする心の準備を助けてくれる。ウォーミングアップはまた、パッティングに用いる筋肉の準備をする。それはリズム感覚とストロークの快適さを獲得させてくれる。

最も重要なのは、ウォーミングアップがグリーンの早さとブレイクをテストし、タッチの感覚を得る助けとなることだ。グリーンの早さと特徴はコース毎に変わる。芝、芝目、勾配、芝の長さ等々の違い。ホームコースでさえ、芝刈りの状態と天候によって、グリーンは日々変化する。

パッティングのフィーリングを開発し、タッチの感覚を獲得する最良の方法は、様々なターゲットに向かってロング・パットをすることだ。10メートル、12メートル、15メートルなどから始める。どれだけカップに近くラグ・パット(寄せるパット)が出来るかをチェックする。本番でこんな長いパットはしないかも知れないが、これは強さを感知し、タッチを調整するベストの方法なのだ。カップの上と下から長いパットを試す。次にブレイクのあるパットをいくつか。これらは沈めようというのでなく、グリーンと調和する感覚を得るために行う。

自信の構築に良いのは、1メートル以内のパットをすることだ。パットする度に、ボールがカップに転げ込むのを見、音を聞き、その感覚を味わう。これはあなたの心に新鮮なイメージを構築し、いざ本番でも快適にパット出来るようになる。

ウォーミングアップに掛ける時間は個人個人で異なるだろう。だが、長短の距離を練習しても15分あれば充分だ。ウォーミングアップが長過ぎると、エネルギーを使い果たし、コースで集中出来なくなる。3メートルの距離を五回連続で沈めようなどとしてはいけない。

 

ウォーミングアップは自動車のエンジンの暖機運転と同じであり、練習ではない。ラウンド前の十分でストローク法を変えることなど出来っこない。じたばたせず、現在持てるストローク法で勝負すべきだ。

あなたがパット失敗が嫌いな性分なら、ウォーミングアップでカップに向かってパットしないことだ。強さと距離感を得ることだけに専念する」

(November 19, 2017)

メンタル重視でパット練習せよ

インストラクターTodd Sones(トッド・ソーンズ)によるラウンド前のパット練習についての示唆。

'Lights-Out Putting'
by Todd Sones with David DeNunzio (Contemporary Books, 2000, $22.95)

「パットに関する自信は、視覚化の成功によって最高の状態に築き上げられる。それが、練習で(特にラウンド前のウォームアップの際に)可能な限り多くのパットを(たとえそれが60センチであろうと)沈めることが重要な理由である。ボールがカップに転げ込むイメージは、あなたの心が快適領域、すなわちあなたの身体は恐れることなくパット出来ると告げる心境を発見するのを助けてくれる。

ラウンド前のウォームアップで鍵となる部分は、この快適領域を見つけることであり、コースで呼び起こすことの出来る考え方を開発することである。視覚化のテクニックについては、ボールがゆっくりカップに向かって転がって行き、カップに落ちる様を思い描くというような、多くのことが書かれており、それらのテクニックはちゃんと機能する。心はまことにパワフルなツールなのだ。だが、私はポジティヴな思考法を発展させ、実際にストロークする際の自信を増大させることを勧めたい。その方法は次のようなものだ。

ターゲット無しでパットする。練習グリーンで他の人から離れた場所を選び、単純にどこへともなくパットする。その際、もっぱらソリッドなコンタクトと、スムーズでリズミカルなストロークをすることに集中する。このドリルを進めるにつれ、あなたは自分の身体がリラックスし、ストロークがスムーズで流麗なものになるのに気づく筈だ。さらに重要なことは、ターゲットが無いことによって失敗してもペナルティ(失望、自責、挫折感など)が無いため、あなたの心が快適領域を発見することだ。これは、ボールを沈めることなく視覚化の成功を導く方法である。このドリルをラウンド前に行い、同時に自信を構築する60センチのパットの練習をすべきだ。その経験が実際のパットとポジティヴなイメージとを結びつける」

 

(November 19, 2017)

シニアに最適化されたパワー・スウィング【基礎篇】

 

[book]

シニアだけなく、パワー不足、飛距離不足、柔軟性不足…など、不足だらけの方にもお薦めです(^-^)。

Play Better Golf for Seniors'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney (Henry Holt & Company, Inc., 1998, $29.95)

「年をとると、様々な重大変化に遭遇する。すなわち、強靭さと柔軟性の喪失、体重の増減と体重移動の問題、機敏さの減少、視力の低下、貧弱な反射神経…これらは全て加齢の進行ゆえである。

さりながら、誰しも新しいスウィングをゼロから覚えようなどと思わないことは、百も承知している。だが、これから述べるメソッドで即座に得られる好結果は、加齢によるスウィング変更を迫られている心地悪さを急速に忘れさせてくれるものだ。

■セットアップ

ゴルフ・スウィングで最も重要なものであるにも関わらず、セットアップにはさして運動能力を必要としない。だから、お粗末なセットアップしか出来ないことに、都合のいい口実はあり得ない。どんなゴルファーにでも、少なくともアドレスだけはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のように完璧に出来るのだ。

・グリップ

シニア・ゴルファーは左手だけストロング・グリップ、右手はニュートラルが望ましい。左手でグリップする際、"heel pad"(生命線の下の膨らみ)でハンドルを抑えること。親指の下の膨らみではない。【註】こうすると、テンションを感ぜずにしっかり握ることが出来る。右手は指の第二関節でハンドルを握るフィンガー・グリップ。

【編註】これを読むまで、いつの間にか私は左手の親指の下の膨らみで抑えていました。時折こういう基本事項を読み返すのも大事だということを痛感します。

きついグリップ・プレッシャーでクラブを握ると、正しいコックが出来なくなる。逆に緩過ぎると、あなたの脳がスウィングのどこかで『リグリップせよ』と命ずることになり、そのプレッシャーはクラブヘッドのコントロールを滅茶苦茶にする。

両手のグリップ・プレッシャーは均等であるべきだ。圧力の度合いを1〜10とすれば、5の強さで握る。正しいグリップをしていれば、スウィングの間に徐々に自然にグリップが締まる。だから、正しいグリップをすることが先決なのだ。

・ポスチャー

年齢に関わらず、人間の身体はウェスト(胴のくびれ)ではなく股関節から前傾するようにデザインされている。股関節から上体を折れば、背骨は傾斜するが背中が曲がったりはしない。これはスウィングにとっていいだけでなく、あなたの腰を守るためにもいいことだ。ウェストから身体を曲げると、背を丸め股関節をロックし腰の回転を制限してしまうため、必要以上に腰をスライドさせてパワーを失わせ、腰を痛める危険を増大させてしまう。正しく股関節から身体を折れば、腕が自由にスウィング出来る空間も生み出せる。これはシニアにとって特に重要である。

よいポスチャーを確立するには、前述のグリップをした後、左腕を(身体の脇にではなく)胸につけ、クラブシャフトを地面と平行にして直立する。股関節から上体を前傾させながらクラブヘッドを地面に下ろす。このシニア・スウィングのためのポスチャー形成が正しく遂行されれば、膝はほとんど緩められず、尻が後方に突き出されることになる筈だ。

・膝

シニアは以前より上体を傾斜させるべきなので、膝の緩め方を制限し、下肢を真っ直ぐにすべきである。膝を爪先方向に突き出してはならない。

・頭

顎を胸に埋めると、肩の回転を著しく制限し、パワーを生む捻転を損なってしまう。これはシニアにとって大損失である。

[Address]

・ボール位置

あまりにもターゲット側にしたボール位置は、自ずと肩をオープンにし自ずとスライスの源となるアウトサイド・インのスウィングの土台を作ってしまう。シニアにお薦めのボール位置は、若い時よりもずっと後方にすることだ。これは左手のストロング・グリップと相俟って、インパクトで最大のパワーを生み出す。

ミドル・アイアンとショート・アイアンのボール位置はスタンス中央、ユーティリティ・ウッドはスタンス中央からボール一個分前方(ターゲット側)、ティーを用いて打つウッド(ドライヴァーを含む)はスタンス中央からボール二個分前方。

【爪先を開く錯覚】

お気づきだろうか?爪先を開くと、スタンスとの関連でボール位置を定める判断を狂わせるのだ。次の実験をして貰いたい。両爪先を身体の前方に揃えてボールをスタンス中央に置く。そこで左爪先をターゲット方向に開く。ボール位置がスタンス後方になったように見える。左爪先を真っ直ぐに戻し、今度は右爪先を後方(ターゲットと反対方向)に開く。ボールはスタンス前方に動いたように見える筈だ。

だから、幻覚に惑わされないよう、上体との関連でボール位置を定めるようお薦めする。

・スタンス

スタンス幅は両踵の内側で測られる。シニアは標準よりも広めのスタンスをとるべきだ。これはフルウィングでパワーを生むためにシニアにとって必要な上体の水平の動きを容易にする(ただし、過剰に広くしないように)。

ティーアップして打つドライヴァーやウッドは最も広めのスタンスで、両足の内側を両肩の外側に揃える。短いクラブではその長さによってスタンスを狭めるが、腰の幅よりは絶対に狭くしないこと。以上のスタンスで後方に捻転し、次いでフォロースルーの体勢を取った時、右膝が左膝にほぼ接触すれば正しいスタンスである。

捻転能力を増すには、25〜45°の角度で両爪先を開くのが望ましい(あなたの柔軟性にもよるが)。あなたの柔軟性が充分でなければ、右爪先をさらに開くと、後方への回転が可能になる。

・狙い方とアライメント

柔軟性が衰えると、スクウェア・スタンスはあなたの回転を制限し、捻転の度を減らす。クラブフェースはスクウェアにターゲットを狙うが、あなたの肩と腰は若干クローズにすべきである。右足をターゲットラインから下方に遠ざける。その結果、両爪先を結ぶ線はターゲットそのものを指す。【警告】右足を引く際、スクウェアなクラブフェースの角度を損なわないこと。

【編註】アライメントの説明には、よく線路の比喩が用いられます。通常、クラブフェースは右の線路のようにターゲットを狙い、肩と腰は左の線路のようにターゲットと平行な左を狙います。しかし、この本の筆者たちは、シニアはクラブフェースも肩と腰も全てターゲットを狙うクローズなアライメントをすべきだと主張しているのです。

ここまで述べて来たセットアップ(グリップからアライメントまで)は、個々の要素が互いに結びついてシニア・スウィングに必要な調整となるのだということを認識してほしい。ストロング・グリップは、後方にしたボール位置にクラブフェースがクローズになる前にインパクトに到達するのを助け、それはクローズな身体のアライメントによって、ややターゲットの右へ出てターゲット方向へと戻って来るパワフルなショット(ドローあるいはフック)に結びつくのである。

【次回完結】

【おことわり】本の画像はamazon.com、アドレスの画像はhttps://i.ytimg.com/にリンクして表示させて頂いています。

(November 22, 2017)

シニアに最適化されたパワー・スウィング【完成篇】

 

「シニア向けのパワー・スウィング【基礎篇】」(前項)の続篇。いよいよクラブを振り、パワフルなショットを実現します。

Play Better Golf for Seniors'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney (Henry Holt & Company, Inc., 1998, $29.95)

「柔軟性が衰えると、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)やFred Couples(フレッド・カプルズ)のような高いバックスウィングは、背骨を伸ばしてしまうか、身体をターゲットに向けてしまうリヴァース・ピヴォットを招き、いずれもミス・ショットの因となる。柔軟性を欠き、同時に胴体が膨らんだり胸板が厚い人は、クラブがそこでつかえてしまい、インパクトの瞬間に正しくクラブを戻せなくなる。

われわれが提唱するシニア・スウィングの核心は、高く上げる動きではなく、バックスウィングでクラブを胸から離すべく集中することだ。胸の前で両手を伸ばす。このシニア・スウィングが最大限のコックと共に捻転能力を増し、あなたの身体の大部分はインパクトでボールの後ろに位置する。これがソリッドでパワフルな結果を生む。

以下にシニア・スウィングを段階別に詳述するが、実際のスウィングは段階別になされるわけではない。あくまでも便宜上の扱いである。

■テイクアウェイ

ワンピース・テイクアウェイをする。手・腕・胸・クラブが一体となってボールから遠ざかる。その道筋は爪先を結ぶラインを後方へ延長したものである。

意識的に頭を動かすべきではないが、《頭を静止させよ》という助言は忘れるべきだ。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)、Ernie Els(アーニィ・エルス)らもバックスウィングで頭を後方に動かしている。それはホンの僅かだが、良いスウィングの一部なのだ。シニア(あるいは柔軟性の衰えを感じる者)は、頭を動かして構わない。

バックスウィングで体重が右足の上に乗るべきなのは御存知だろうが、テイクアウェイで左足を浮かすべきではない。バックスウィング後半で浮かすのはいいが、この段階で浮かすと捻転とスウィング軌道を損なってしまう。

 

テイクアウェイの段階は、両手が右足を越えた時点で終了する。

■バックスウィング

腕が上下に動く時、パワーを求めて高く上げようとしてはいけない。身体が柔軟性の限界まで到達するに任せる。そこがあなたの捻転の終点である。

テイクアウェイからバックスウィングへ推移する際、肩は後方へと回転を続けるが、同時に手首のコックを開始する。あなたの目標は、《両手は低く、しかし、クラブヘッドは高く》である。これによって手首によるパワフルなテコの作用の恩恵に浴する事が出来る。

コックすることは、同時にあなたの身体をボールの背後に回転することを助けてくれる。

クラブヘッドを身体から遠ざける広めのスウィングは、スウィング弧を広げパワーを生む。それには手首のコックが不可欠である。

バックスウィングの最中に左踵が上がるのは、全く問題無い。というか、あなたの柔軟性が不足気味なら、そうすることが必要である。

左肩がボールの後ろに廻り、手首がフルにコックされ、体重の80〜90%が右股関節の上に乗った時点で、バックスウィングは完了する。右肘を上げるのではなく、折ることでトップでのクラブヘッドの高さを得る。バックスウィングが完了した時、左腕が地面と平行になる感覚を抱くように。勢いに乗ってさらに腕を上げたくなるかも知れないが、左腕が地面と平行の時点を過ぎるとコントロールが困難になる。

トップでクラブフェースはスクウェアかややクローズ(フェースが少し空を向いている)。左腕は身体から遠く離れて、クラブは(右肩の背後ではなく)右に捻転された胸の前方に位置している。もしあなたの柔軟性が充分なら、あなたの右肘は曲げられ、右前腕と上腕は90°の角度になっている筈だ。柔軟性を欠く人も含めて、全ての人が45°以上の角度を達成すること。

捻転のコツは、肩を腰の回転の二倍にすること。

■ダウンスウィング

シニア・スウィングではクローズ目のスタンスだから、インサイドからのダウンスウィングを意識的に心掛ける必要はない。右肩をターゲット・ラインに向けて動かす。体重が左に移動し、右肘が胴に近づき、腰が回転する。これは手打ちではない。クラブヘッドは(アウトサイドからではなく)インサイドからターゲット・ラインに近づくからだ。体型と柔軟性がどうであれ、右肘を右脇に引き寄せることは不可欠である。

【編註】本書の写真のシニア・ゴルファーは、右の写真の松山英樹のように《ダウンスウィングの両手が腰の高さの時、右前腕とシャフトが重なるスウィング》をしています。右肘を右脇に引きつけるダウンスウィングがそれを実現しています。

クローズなスタンスにより、両爪先のラインに沿ってクラブを振り下ろしてもなお、インサイドからのインパクトが達成出来る。正しく遂行されれば、パワフルなドローがエクストラの飛距離を恵んでくれる。

 

シニア・スウィングでは、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)やDavid Duval(デイヴィッド・デュヴァル)らがやっていたように、早期に頭を上げるべきだ。これは全てをヒッティング・ゾーンでの回転に使うためでもあり、首と腰の障害を予防するためでもある。早期に頭を上げれば、多くのゴルファーに障害をもたらした逆Cのフィニッシュではなく、左足の上ですっくと立った"I(アイ)"の字のフィニッシュとなる。それは一見ルックアップ(ヘッドアップ)に見えるかも知れないが、そうではない。インパクト後、身体全体がリリースするせいに他ならない」

【参考】
・「David Duval(デイヴィッド・デュヴァル)のヘッドアップ打法」(tips_08.html)
・「シニアは長尺ドライヴァーで飛ばせ」(tips_187.html)

(November 26, 2017)

Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の脚の使い方

 

「Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の遺産」シリーズ。

'495 Golf Lessons'
by Arnold Palmer edited by Earl Puckett (PGA), (Digest Books, Inc., 1973, $4.95)

・両足でクラブを振れ

多くのインストラクターが、適切なフットワークで身体の底辺からスウィングを開始せよと教えるが、ゴルフ・スウィングについて語る時、これ以上適切な論旨はないと思う。

ゴルフ・スウィングの二つの鍵は、正しい体重移動と適切なバランスである。このどちらも正しいフットワークに直接的に依存している。あなたの両足と下半身が正しい時に正しい方法で動けば、その他の部分は(クラブも含まれる)スムーズに正しく従う筈だ。

アドレスであなたの体重が多かれ少なかれ両足に均等に配分されていると仮定する。バックスウィングで、あなたの左踵は僅かに上がって左膝はボールの背後の地面を指す。これが起る時、あなたの体重は右足の内側に移動する。

ダウンスウィングの先ず最初の動きは、左踵を地面に戻し、体重を左に戻すことだ。フィニッシュで、あなたの体重のほとんどは左足の上にある。

 

・左膝が腰の回転をコントロールする

良くタイミングされたスウィングにとって、バックスウィングは制限があるべきでない。バックスウィングの一般的制限の形は、プレイヤーが左膝をボールに向ける時に起る。この形で左膝を前方に突き出すと、腰を充分に右へ廻すことを不可能にする。そうではなく、バックスウィングの捻転が完了する時、左膝はボールの後方数センチを差すべきである。この正しい膝の位置は、より一層の回転を可能にすることに気づくだろう。

スウィングのパワーの大部分は、ゴルファーの両脚から生まれる。このパワー(およびタイミングの多く)は、プレイヤーが正しい脚とフットワークを利用しなければ、無駄になってしまう。正しいフットワークの鍵は、バックスウィングで腰を廻しながら左膝を右に素早く動かすことだ。

・スウィングする間、膝を柔軟にせよ

あなたに可能な飛距離の全てを得たいのなら、ボールが遥か遠くになるまで膝を強ばらせてはいけない。常に両膝の柔軟性を維持せよ。

特に、バックスウィングで右膝を強ばらせないように注意。脚を幾分か曲げ続けること。バックスウィングでこの柔軟性を維持するのは重要なことだ。それは体重が右足の外に出ることを防いでくれる。体重が右足の外に出てしまうと、バランスを崩す原因となる。この右膝の曲げは、同時に肩がフル回転する間腰の回転を減らす。それゆえ、背中と脚の筋肉は活用されない。

ダウンスウィングの間、左脚を強ばらせてはいけない。それはボールが打たれた後で起ることである。ダウンスウィングの最中に脚を強ばらせると、腰は旋回するか左へスピンしてしまう。これは肩をあまりにも水平なプレーンで回転させ始め、ターゲットラインの外へクラブヘッドを投げ出し、プルかスライスを生じさせる。

・ダウンスウィングで左脚を引け

『ダウンスウィングの開始で右膝をターゲット方向に蹴れ』という助言を聞いたことがある筈だ。これは左サイドへの体重移動に問題を抱えている人には助けとなるかも知ないが、右サイド優勢のダウンスウィングの原因となる悪しき助言である。

私は左サイドを引くことでダウンスウィングを始めると感じるのを好む。私の左膝は左サイドが引かれるにつれターゲット方向に曲げられる。一方、右足はかなり真っ直ぐ留まる。その結果、ダウンスウィングの開始で両膝が左右に広く開いた、ガニ股のような格好悪い姿になる。

格好悪かろうと何だろうと、これは正しい位置であり、(右側で押すのではなく)左サイドで引いていることを示すものだ。

 

(November 22, 2017)

ダフりの根絶

 

[Hogan]

ある日、アイアンによるダフりが何度か続きました。六インチもボールの後ろを削ったりしています。恥ずかしいやら、腹立たしいやら。

素振りで復習してみると、バックスウィングで右へ移った体重が左へ戻ってないんです。私の下半身のパワーの衰えか、エネルギーの欠如か。

そこで思い出したのが、「プロとアマの違い」(このページ上)に出て来た《プロたちはアドレス時よりも尾てい骨を約10センチほどターゲット方向に動かす》という分析結果です。残りのホールをその方式でプレイしたら、もうダフリとはおさらばでした。

「草を抉(えぐ)る」(tips_168.html)の方法でこの動きをテストしてみると、以前に増して正確に雑草を抉れます。鏡で確認すると右のBen Hogan(ベン・ホーガン)のバックスウィングに似た感じになります。お尻はターゲット方向に突き出されても頭と重心がセンターに留まっていれば問題ない…というか、右足に寄りかかってダフるよりずっといいわけです。

【参照】
・「Ben Hogan(ベン・ホーガン)の“最後の”秘密【リヴァース・ピヴォット篇】」(tips_167.html)
・「ダフりとトップを防ぐ」(tips_118.html)
・「アイアンのダフりをストップせよ」(tips_151.html)


(November 26, 2017)

Fred Couples(フレッド・カプルズ)の 砂の研究

 

'Total Shotmaking'
by Fred Couples with John Andrisani (HarperPerennial, 1994, $15.00)

「バンカーでアドレスする際、アマチュアはまるでアフリカ人のダンスみたいに両足を小刻みに動かして、砂に深く足を埋める。あまりにも深く埋めると、バンカー・ショットはさらに難しくなるのだが。

スウィングする時にスパイクが滑らない程度に埋めれば充分なのだ。一般的に云って、それは砂の表面から0.5インチ(1.27センチ)の深さである。それ以上深く足を埋めると、実際には爪先上がりのライのようにスウィングを難しくしてしまう。突入目標地点の後方の砂を打ちがちになり、結果は脱出失敗か、よくてもかなりショートになる。

必要十分な量だけ深く足を埋め、その分を相殺するためウェッジを僅かに短く持ってボールに近く立つ。全てのバンカーショットはスロー・モーションで遂行すること。サンドウェッジは一番重いクラブなのでコントロールし難いからだ。ゆっくりのスウィングは"U"の字スウィングに必要な肩の回転、手首と腕にコックする時間を作り出してくれる。急速なスウィングだとギクシャクした突き刺すような度合いを増し、チョロになり易い。

砂の知識を深めて、距離のコントロールをすることも重要だ。

1) 大粒の砂は距離が増える

砂の粒が大きいと、その砂がボールの重みを支えるので、ボールは沈まずに表面近くに座っていることが多い。ボールが上にあればあるほどスプラッシュし易い。だから、大粒の砂のいいライでは、距離に必要と思われるよりもスウィングを短めにする。

2) 細かい粒の砂はスウィングを弱めてしまう

粉のように(固まり難い)砂は、インパクトの力がボールを幾分か砂に埋め込む原因となる。だからこれは、悪いライとして扱うべきだ。このライはサンドウェッジのバウンスを深く潜行させるため、クラブヘッドが自由に進まず、ショットの力を弱めてしまう。ゆえに、この細かい粒の砂では、必要と思われる距離感に若干余分のパワーを加えるべきである。

 

3) 砂の深さを知れ

砂の種類がどうであれ、砂の深さ【編註:砂の下の固い地面との距離】が深ければショットは短くなり、浅ければボールのキャリーが増す。砂の層が厚ければ、砂の底でバウンスを得ることは不可能なので、クラブのバウンスは砂の中深くまで進み、ボールの飛行は短くなる。もし砂が浅ければ、バウンスは砂の底に達し易く、クラブは跳ね上がる。その意味するところは、クラブとボールの間の砂が少ないため、ショットは急速になる。

【編註】市営ゴルフ場のバンカーの砂の層は、大体において深いのですが、何故かNo. 16とNo.18のグリーンサイド・バンカーだけはごく浅いのです。僅か数センチで下の粘土層の地面が露出します。ここでエクスプロージョン型のバンカーショットをすれば、クラブヘッドが時期尚早に地面で跳ね返り、ボールを直接打ってホームランを製造します。このバンカーでは、浅く砂を削るスプラッシュ型バンカーショットが必須です。

砂の特質と深さを警戒せよ。特にホームコースでない他のコースへ行った時に。砂についての知識があなたを救ってくれることだろう」

(November 29, 2017)

Jim Furyk(ジム・フューリク)のダウンヒルのバンカー・ショット

 

バンカーでの左足下がりのライは、正しく打つことおよび正しく距離をコントロールすることがとても難しい。ヴェテランPGAツァー・プロJim Furyk(ジム・フューリク)が教えてくれる、このライからのコツ。

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
edited by David DeNunzio(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95)

「ここ何年もグリーンサイド・バンカーで多大な成功を収めているが、それは私が自分の技法に自信を持っているせいだ。その秘訣は、ごく普通のバンカー・ショットだけでなく、あらゆるバンカー・ショットをどう打てばよいか知ることだ。その最も難しいものは左足下がりのライである。これに失敗すると一気にストローク数を増やし、いいラウンドだったものを並のものに変えてしまう。このライのショットには練習が必要だ。通常の準備と心構えは全く役に立たないからだ。

私はこのショットをゴルフの中で最も難しいショットと呼ぶが、その理由はグリーンサイド・バンカーでの成功にロフトが不可欠なのに、このライは地面の傾斜がクラブのロフトを奪ってしまうからである。

・アドレス

バランスを保つため、通常よりワイドなスタンスを取る。鍵は両肩を地面の傾斜に揃えることだ。その後でクラブフェースをオープンにし、通常のスウィングをする。

・スウィング

この時点で犯す大きな間違いは、あまりにもハードな、あるいはボールの下をカットすることだ。それをやっちゃうと、唸り声を立ててグリーンの反対側のバンカーへボールを打ってしまう。腕と肩でオーヴァー・スウィングするのでなく、傾斜に沿ってクラブをコックするように。

 

・インパクト

地面と平行にクラブを振り下ろし、ボールの下の砂を打ち抜く。ボールは低く出て、通常のライからのショットよりランが多くなることに注意」

【参考】
・「顎の下から脱出する」(tips_84.html)
・「最も難しいバンカー・ショット」(〃)

(November 29, 2017)

超短いバンカー・ショットのコツ

 

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)によるバンカーtip。

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)

「バンカーとピンとの間にあまり距離がない場合の秘訣は、バックスウィングではなくフォロースルーの長さでボールを飛ばすことだ。このテクニックは稀にしか推奨されないが、短いバンカー・ショットとして最良のものだ。

バックスウィングで確実にコックし、クラブヘッドを両手より上にすること。フィニッシュでクラブフェースをオープンにし、【編註:長いフォロースルーの衝動に対し】気違いのように抵抗する。《短いバンカー・ショットには短いフォロースルー》と覚えておくこと。

これを達成するため、プレイヤーの中には左手のグリップをきつ目にする者もいる。この方式を試し、効果のほどを確認されたい。その抜群の成果に、あなたが惚れ惚れするであろうことを疑わない。

もう一つ、私が"under-release"(アンダー・リリース)と呼んでいるメソッドがある。右手を左手の下にしてリリースし、クラブフェースを極めてオープンにするショットだ。これは、ボールにバンカーの顎を急速に高く飛び越えさせる。

あなたが右手を下にすることを覚え難いのであれば、《左手のナックルを上に向け続けるインパクト》という文句を思い出すとよい」

 

[icon]

この「短いフォロースルー」というtipは、初・中級者には一寸曲者です。長距離・中距離のバンカー・ショットを完全にマスターするまでは、使わない方がいいと思います。私は「短いフォロースルー」でピン傍に寄せようとして、ぴょんと出すだけというお祖末を何度も経験しました。このtipは上級あるいはプロ向けです。われわれは、少しピンをオーヴァーしてもいいという気持ちで、中距離に出すことで満足すべきでしょう。

「右手を左手の下にしてリリース」というのも、云うほど簡単ではありません。スウィング軌道が浅くなり過ぎて、砂ではなくボールを打ちがちになります。ボールを打てばホームラン。これも上級向けかもですね(;_;)。

(November 29, 2017)

Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)の スタンス幅の重要性

 

インストラクターNo.1のButch Harmonが、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世、右の写真)を指導した時のエピソード。

'The Four Cornerstones of Winning Golf'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. with John Andrisani (Fireside, 1996, $15.00)

「1990年、Davis Love IIIが彼のスウィングを直してくれと云って来た。彼のショットの方向性はバラつき、以前のような飛距離にも恵まれていなかった。彼は1986年にツァー入りして以来、300ヤードのドライヴで有名だったから、これは皮肉なことだった。

私は彼のスウィングを見て、直ちに不調の原因が解った。彼は高い身長によるワイドなスウィング弧の利点を使う代わりに、パワーを無駄にする基本的ミスを犯していたのだ。

当時の彼はどのショットも全力でスウィングするという過ちを犯し、早過ぎてリズムに乗れなかった。彼は全力でスウィングしていたのでフィニッシュは高く、3/4スウィングなど出来なかった。だが、彼はもっと基本中の基本、週一ゴルファーに一般的な問題を抱えていた。それらはリヴァース・ピヴォット、バックスウィングでの時期尚早なコックなどで、これらの組み合わせによって、彼のスウィング弧は短かった。故に、彼は以前のように飛ばせず、もっと悪いことには、急激なバックスウィングで左手首を崩壊させるか、過度に手首を曲げるので、トップでクラブシャフトは地面と平行より遥か下に垂れていた。そこから彼に出来るのは手打ちか、ボールに向かって鋭く手を引くことだけだった。それらのミスは、ボールをターゲットの右に飛行させたので、彼がパー4やパー5のティー・ショットにアイアンを使い始めたのもむべなるかなであった。

Davis Love IIIのスウィングを直すに当たって、私は私の父【註】が教えてくれた指導法を思い出した。父の助言は、『生徒の問題点を分析する際、必ず土台から上へと始めよ』というものだった。これはいい教えだった。何故なら、Davis Love IIIのスウィング・プレーンとフットワークの問題点は、彼の立ち方に原因があったからだ。端的に云えば、彼のスタンスが狭過ぎたのだ。

【編註】Butch Harmonの父Claud Harmon(1916〜1989)は、いくつかの有名ゴルフ場のレッスン・プロで、Ben Hogan(ベン・ホーガン)とも親しく、1948年のthe Masters(マスターズ)優勝者でもあります(インストラクターの優勝者としては現在まで最初で最後の人物)。

 

ゴルファーによっては(名人級でも)ショート・アイアンや部分的ショットを狭いスタンスで打つ方が快適だと思う人もいるが、PGAツァー・プロの99%はドライヴァーを打つ時は少なくとも両踵の間隔を肩幅に開く(左の写真)。Davis Love IIIの左右の踵の間は肩幅より狭かった。

この欠陥の深刻さを理解するには、両膝を閉じてドライヴァーを数回振ってみることだ。このスタンスはクラブを垂直に上げることを強制し、身体のバランスをも崩してしまう。また、狭いスタンスだとバックスウィングで体重が左にかかり、ダウンスウィングでは逆に右に体重ががかかることになる(=リヴァース・ピヴォット)。

あなたは実感しないだろうが、スタンスによってスウィング・テンポはかなり影響されるのだ。繰り返すが、スタンスが狭過ぎるとクラブを急激に引っ張り上げてしまう。このバックスウィングの急速なスタートは、ダウンスウィングでリズムが同期不良となり、クラブを投げ出すような動きの原因となる。

Nick Faldo(ニック・ファルド)、Ernie Els(アーニィ・エルス)、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)そしてBen Crenshaw(ベン・クレンショー)などは、上のような弊害を実感し、スタンスを広げてスムーズなテイクアウェイによってリズミカルなスウィングをしている。

私のDavis Love IIIへの最初の示唆は、左右の踵を肩幅よりも多めに広げることであった。彼の背丈は6フィート(1.8メートル)もあるのだから、背の低い人よりバランスを失い易い。これは、物理の法則によって証明は出来ないものの、背丈の異なる数千人の人々を教えて来た私の経験が語る真理である。

 

Davis Love IIIはスタンス幅を広げることによって、低く長いテイクアウェイをし、バックスウィングのトップは3/4が終点となり、ワイドなスウィング弧によってパワーも倍増した。おまけに、ウェッジ・ショットの精度も増し、1995年のthe Masters(マスターズ)に優勝一歩手前まで躍進したのだった。

[icon]

「体型別スウィング」(tips_54.html)によれば、テコ型体型の私のスタンス幅も、ドライヴァーの場合、「両踵を肩幅に開く」となっています。計測してみると、私のスタンス幅はそれより狭いことが判りました。また、テコ型のボール位置は「左脇の下」が推奨されています。以上の二点に注意してアドレスすると、ドライヴァーの方向性が格段に良くなりました。

(December 03, 2017)

David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)のすぐ役立つtips

 

これはインストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)が足掛け8年にわたってリリースした過去のVHSなどから、彼自身が厳選したtipsの数々。全体はゴルフの様々な分野を網羅していますが、ここでは主にショート・ゲームに関するいくつかを紹介します。

'David Leadbetter: Greatest Tips'
by David Leadbetter with Nick Price (1998, 90 minutes)

「・自分のスウィング・プレーンを確認する方法

バックスウィングのトップでグリップを緩め、クラブを離す。肩の突端に落ちればOK。頭に落ちたらそのスウィング・プレーンはアップライト過ぎ、背中に落ちたらフラット過ぎる。

・ピッチショットの練習法

練習場で、10ヤードと40ヤードにタオルや傘などの目標を置く。先ず10ヤードの少し先に最初のボールを届かせ、次のボールはそのまた先に打つ。これを40ヤードまで続ける。もしショートしたら振り出しに戻る。

・ピッチショットの距離コントロール

 

スウィングの幅は同じにして速度を変えるとよい。60ヤードを時速80マイル(時速96キロ)の速度としたら、40ヤードは時速40マイル(時速64キロ)で打つ。

・音だけでバンカー・ショットの練習をする

ボール無しで、本番のように砂を打つ。力任せのドスン!という音でなく、砂を振り抜くパサッ!という音が出るようにスウィング。

・ショート・パットのドリル

カップから2.5フィート(約80センチ)の距離で、半円を描くように六個のボールを置く。間をおかず、動き続けながら連続パットする。緊張せず、リラックスし、カップを一瞥したらパットし、すぐ次のボールにアドレスする。パットに時間をかけると身体が強ばってしまうが、このドリルでは強ばる暇がないので良いパットが出来る」【編註:事実、David Leadbetterは1シーン1カットの撮影で六個を漏れなく沈めました】

(December 03, 2017)

馬力アップで飛距離増

 

インストラクターJason Sutton(ジェイスン・サットン)による上昇軌道でぶっ飛ばすコツ。過激なまでの打撃体勢がユニーク。

'Hit the road, Jack!'
by Jason Sutton ('Golf Magazine,' August 2017)

「あなたは自分のパワー不足を、九分九厘次の三つのせいに出来る。1) いい加減なセットアップ、2) 限定された肩の回転、3) 過度に急角度のダウンスウィング。

幸運にも、これらのミスは簡単に修正可能だ。あなたの生涯の記念すべきパワー・ドライヴは、たった一回練習場に赴くだけでマスター出来る。

・右手を右膝まで下ろせ

大方の週末ゴルファーは、肩をターゲットの左に向けるか、左肩より右肩を高くする(その両方の場合もある)。どちらのミスも飛距離を殺してしまう。最初のミスはカット・ショットを生み、後者は最長飛距離に必要とされる上昇軌道で打てる可能性を奪ってしまう。

セットアップで"F-W-T"と考えよ。"F"は"Forward"(前方)で、左足内側のボール位置を表し、"W"は"Wide"(広め)で、両足を両肩の外側に広げることを表す。最後の"T"は"Tilted"(傾いた)を意味し、肩を傾げることだ。三つのうち"T"が最も重要である。右肩を左より低くし、パワフルな軌道をお膳立てする。

普通にセットアップした後、右手を下ろして右膝の右脇を掻く。右肩を落とす。そして右手をグリップに戻せば、パワフルなスウィングの準備完了である。

 

・腰を廻せ

多くの週末ゴルファーが、バックスウィングのトップへと向かう際に右膝を緩め続ける。だが、それはスウィング幅を狭め、腰と肩の回転を制限するため、望ましくない。右脚を真っ直ぐにしたくないとしても、ちょっぴり伸ばすのは問題無い。何が鍵か?右腰を身体の背後へと回転させ、その右腰を若干左より高めに保つことだ。この単純な動作はあなたの肩と腕を解放し、捻転とスウィング・スピードに必要なバックスウィングの高さを生み出す。

・右中間に向かって打て

ドライヴァーがターゲットラインのやや内側からボールに向かう時、大きな爆風が起る。その意味するところは、あなたの急角度でアウトサイド・インのクラブヘッド軌道を捨て去るということだ。次のことを試されたい。

普通にセットアプするが、ボールは腰の高さにティーアップされていると思い込む。野球スウィングをし、想像上のボールを右中間(ライト・センター)へとかっ飛ばす。スウィングし続けながら、毎回数センチずつプレーンを低くして行く。

本物のボールを打つ時にも、上のフラットな野球スウィングのフィーリングを作り出す(あるいは、上のドリルをプレショット・ルーティーンの一部にする)。あなたは飛距離増を獲得し、同時にスライスを過去のものとすることが出来る」

[icon]

「プロとアマの違い」(11/01)で紹介したGolfTECの記事によれば、『プロはアドレス時よりも、尾てい骨をターゲット方向に10センチ動かす』のです。これは捻転ではなく左へのスライドですが、やってみると腰を廻すまいと努力するより、この方が軸が安定するのか、正確なショットが生まれます。

(December 10, 2017)

大きく振り抜け

インストラクターDom Dijulia(ドム・ディジュリア)が示唆する、われわれの間違いと、理想的な打ち抜き方。

'Get up to go around'
by Dom DiJulia ('Golf Magazine,' November 2017)

「一般ゴルファーの間違いは、インパクトにかけて【頭を動かすまいと】低めの体勢を取り続けようと集中することだ。だが、多くの場合、この動作はあなたに下向きのダウンスウィングと制限された回転を強制し、腕と手だけによる弱々しいインパクトをもたらすに留まる。

低めの体勢に集中するのではなく、自分に【スウィングの】『中心を動かすな』と語りかけ、インパクト・ゾーンで地面から上に爆発させるのだ。あなたがこれを正しく行えば、あなたはあなた自身の身体が伸びるように感じ、胸を精一杯廻すのが容易になるため、胸はターゲットを向いてリリースされる。

これはパワーを生む動作であり、遥か遠くに飛んだボールへ向かう晴れ晴れした行進をあなたに約束してくれる」

 

(December 10, 2017)

肩をフラットにするな

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)が最新の計測システムを用いて40,000人のプロとアマのスウィングを分析した結論。

'Go full tilt'
by Patrick Nuber ('Golf Digest.' January 2018)

「プロのスウィングを見ているだけでは、あなたのスウィングとの相違点を見分けるのは難しい。そこでわれわれの出番だ。GolfTecの計測システムSwingTRU Motion Study(SwingTRU動作研究)を用いて、プロとアマのあらゆるハンデを持つ40,000人のスウィングを分析した結果、プロとアマの差で際立っていたことの一つは、インパクトからフォロースルーにかけての肩の傾斜である。

肩の傾斜は、左右の肩を結ぶ線と地面との角度で表される。偉大なプレイヤーたちはインパクトで約50°傾斜させるが、ハイハンデの者はスウィングの間に傾斜の角度を失ってしまい、より水平に近い肩のターンに堕してしまう。

充分な傾斜が得られないと、ターゲットラインの内側からボールに向かって動く正しい方向を得るのが困難になる。その結果、ドライヴァーではスライス、アイアンではお粗末なボールとのコンタクトと盛大なディヴォット(=ダフり)を生じ、どのクラブでも距離のコントロールが困難になる。

あなたの肩が充分傾斜していないなら、次のドリルを試されたい。クラブは要らない。利き腕の方でボールを一個持ち、アドレスのポスチャーを取る。アンダーハンドでターゲットに向かってボールを抛る。その時、あなたの右の耳は地面を指し、右肩は左より低くなくてはならない。これを繰り返し実行する。

その感覚を実際のスウィングに移行させることが出来れば、上達が期待出来るだけでなく、1〜2クラブの飛距離増もあり得る」

 

(December 10, 2017)

タイトなライからサンドウェッジで打つ

 

'How to hit wedges from tight lies'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' December 2007)

「フェアウェイのタイトなライからピッチ・ショットをする場合、定番の助言は『ピッチング・ウェッジかロブ・ウェッジを使え』というものだ。その理由は、サンドウェッジだとソールのバウンスが邪魔をして、ボールとのソリッドなコンタクトが困難になるからである。

しかし、あなたがロブ・ウェッジを持っていなくて、ピッチング・ウェッジ以上のロフトを必要とする状況に直面していたらどうか?あるいは、あなたが全てのピッチ・ショットをサンドウェッジでこなしているとか?そういう場合、二つの方法がある。

【方法その1】
ボールの下にリーディング・エッジを向わせ、バウンスを減らすにはクラブのトゥを使う。普通にサンドウェッジをソールするのではなく、もっと垂直に近く構えればヒールが地面から浮き、トゥでアドレスすることになる。これによってサンドウェッジのバウンスの存在を無視することが出来る。円いトゥ部分は簡単にボールの下に潜り込み、固いフェアウェイで弾かれることもない。ゆっくり、スムーズなスウィングで、アドレス時の垂直に近い構えをインパクトで再現する。これは練習が必要なショットだが、タイトなライでサンドウェッジを使うことを可能にしてくれる。グリーンサイドのタイトなライからのサンドウェッジのショットに自信をつければ、あなたのスコアに驚異的進歩をもたらすだろう。

【方法その2】
コンクリートの上にボールを置き、その後ろにサンドウェッジを置いてみよう。クラブのバウンスがリーディング・エッジを地面から持ち上げるのは間違いない。しかし、リーディング・エッジの高さはボールの赤道より充分に下であることが分る。つまり、コンクリートの上からでさえトップすることなくサンドウェッジを打てるということだ。

 

フェアウェイのタイトなライではコンクリート上から打つような精密さを必要としない。何故なら、フェアウェイではディヴォットを取れるので、バウンスの要素を無視することが出来るからだ。普通にセットアップし、両手を若干ボールよりもターゲット方向にハンドファーストで構え、地面ではなくボールに最初に接触する鋭いディセンディング・ブローを実施する(ボールの後部を打ってからディヴォットを取る)。両手をアドレス時のまま先行させてインパクトを迎えられれば、ダフることはあり得ない。これも練習が必要なショットだが、これを正しく実行出来れば、盛大にスピンがかかり、しかもコントロールされたショットが得られる筈だ」

(December 13, 2017)

Lee Trevino(リー・トレヴィノ)の悪いライでの注意事項

悪いライでの構え方とクラブ選択に関するLee Trevinoのtip。

'Groove Your Swing My Way'
by Lee Trevino with Dick Aultman (Atheneum/ SMI, 1976)

「一般的に云って、ライが悪ければスウィング弧の最低点以前、つまりダウンスウィングの途中でボールに接触することが重要である。ボールが深いラフや裸地にある場合、最悪なのはボールの手前の地面を打つことだ。だから、クラブヘッドがラフや地面を掘る前にクラブヘッドでボールを捕まえなくてはならない。ボールが草の上に乗っているなら、スウィングの底辺で掃くように打てる。だが、いかに草の上に高く鎮座ましましていたとしても、高く打ち上げるなんてことは絶対に奨励しない。

ライが悪ければ悪いほど、地面を打つ前にクラブヘッドがボールとコンタクトすることを確実にするため、ボール位置をスタンスの後方(右足の方)に移さなければならない。ボールをスタンス後方にすると、たった7〜10センチ後ろにずらしただけで、クラブのロフトを減らしてしまう。7番アイアンが4番アイアンに化けてしまうのだ。ライがいかにクラブ選択に影響することか分るだろう」

【参考】
「われ泣き濡れて木々と戯(たわむ)る」(tipa_183.html)
「高い木を越すショット」(〃)
「木の下をかいくぐるショット」(tips_159.html)
「薮の下をかいくぐるショット」(tips_179.html)

 

(December 13, 2017)

フォールス・フロントに騙されるな

 

"false front"(フォールス・フロント):
St. Andrews(セント・アンドリュース)オールド・コースNo.18のように、グリーン前部がフェアウェイの方に急傾斜で下っている(意地悪な)デザイン。ターゲットが実際より近く見えるため、"false"(偽の;欺く;騙す)と呼ばれる。この付近に着地したボールは勾配のせいで停止出来ず、フェアウェイにごろんごろん転げ戻ってしまうため、ピンを前から攻めるのはかなり難しい」 ---当サイト「私家版・ゴルフ用語集」(tips_164.html)より。

'Check for false fronts'
a part of 'Golf Magazine: How to Hit Every Shot'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2008)

「経験上、よいコース・マネジメントの重要性は御存知だろう。それには、コース設計家があなたをたぶらかそうとする視覚的錯覚を見破ることも含まれる。

最も危険な囮(おとり)の一つはフォールス・フロントである。岡の上のグリーンを思い描いてほしい。あなたがすべきなのは台地の前部をキャリーで越えることだ…と思うでしょ?然に非ず。岡の天辺とグリーンの間に、しばしば2〜3ヤード(場合によっては5〜6ヤード)のフェアウェイが存在する。【註】これは「フォールス・フロント」と呼ばれる。岡の遥か下からではそのように見えない。あなたは見た目ではなくヤーデージを信じて打つべきだ。

【編註:原文はこうなっているのですが、フォールス・フロントはフェアウェイではなく、グリーンの一部です】

多くのゴルフ・コースがピンの位置(グリーン前部か、中央か、奥か)を示す色分けした旗を用いている。それを元に距離を計算してプレイせよ。目からの情報でなく」

 

(December 13, 2017)

シャンクの真の原因と処方箋

 

[Claude Harmon Sr.]

これは「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)と父の語録」(tips_136.html)に含めておいた一節ですが、多分あまり人目につかなかったであろうと思われます。それでは惜しいので「シャンク治療」として独立させることにしました。

インストラクターButch Harmon(ブッチ・ハーモン)の父親Claude Harmon Sr.(クロード・ハーモン一世、1916〜1989、写真)は、夏場はU.S. Open開催コースとして有名なWinged Foot G.C.(ウィングト・フット、ニューヨーク州)で、冬場は避寒地フロリダ州のSeminole G.C.(セミノール)でレッスン・プロを勤めていました。Claude Harmon, Sr.はPGA選手権に三位タイ三回、U.S.オープン三位タイ一回、1948年のThe Masters(マスターズ)優勝と輝かしい記録を残しています。インストラクターとしてメイジャー優勝を飾ったのは、現在までのゴルフの歴史の中で彼ただ一人。彼はBen Hogan(ベン・ホーガン)と仲良しで、よく一緒に練習ラウンドをしたそうです。

'The Pro'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. with Steve Eubanks (Crown Publishers, 2006, $24.95)

Butch Harmonが若いレッスン・プロだった時、一人のシャンク病患者の生徒が練習場でレッスンを乞うた。20分間、Butch Harmonはあらゆるtipを与えたが、どのショットもシャンクだった。30分後、「これじゃレッスン代は貰えないな…」と諦めたButch Harmonは、プロ・ショップにいる父親に助けを求めた。

「父親Claude Harmon Sr.は、生徒に一発だけボールを打たせた後、次のように云った。

『シャンクをストップさせるには、シャンクがどうして起るか理解する必要がある。多くの人間が、その原因はクラブフェースがオープンになり、両手がボールの前にあるからだと想定する。それがホーゼルでボールと接触する理由だと考える。事実は、その正反対だ。シャンクはフェースがクローズになって起る。早期にクラブをリリースし、クラブをボールに投げ落すと、クラブフェースがシャットになり、ボールはホーゼルと地面の間の虜となってしまう。それがボールを右に打つ(=シャンク)原因だ。人々はクラブフェースがオープンになっていると誤解し、懸命にクローズにしようと努力するが、それは症状を悪化させるだけだ。クローズにすればするほどシャンクが出る』

そして父は生徒が持つクラブに手を添え、フェースが終始スクウェアになるようにガイドしながら、バックスウィングもダウンスウィングも短い1/2スウィングを数回繰り返した。五分後、その生徒はフェアウェイの真ん中にボールを放った」

以下はClaude Harmon Sr.の息子"Butch" Harmonによる、シャンクを防止のためのドリル。

'How to shake the shanks'
by "Butch" Harmon ('Golf Digest,' July 2009)

「ボールの外側にヘッドカヴァーを置いて、ウェッジで打つ。あなたがアウトサイド・インのシャンク・スウィングをすれば、あなたはヘッドカヴァーを打ってしまう。ヘッドカヴァーに触らなければインサイド・アウトのオープン目のクラブフェースでスウィングしていることになり、シャンクは撲滅されたことになる」

[icon]

自分のシャンク経験から云って、私は上のClaude Harmon Sr.の分析は正しいと思います。私のアイアンをヒットダウンしようとする想念は悪くないのですが、下半身主導によってスウィングすることを忘れ、手で「打つ」ことに集中し過ぎたせいでした。この頁後段の「アイアンでシャンクする原因」で、Bobby Clampet(ボビィ・クランペット)は「手打ちがシャンクの原因である」と断言していますが、それが正解だったわけです。手打ちを戒め、下半身のリードによるスウィングに集中すべきなのです。

【おことわり】画像はhttps://www.finegolfbooks.comにリンクして表示させていただています。

(December 17, 2017)

Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)の シャンクの原因と治療

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)によるシャンク対策。

'The Only Golf Lesson You'll Ever Need'
by Hank Haney with John Huggan (HarperCollins, 1999, $25.00)

「シャンクは、お粗末なショットというより病気と云う方が相応しい。これは、インパクトにかけて身体の前で過度にクラブを伸ばしてスウィングした時に起る。何故、そうなるのか?その原因は四種類ある。

1) ボールに近過ぎて立っていたかも知れない。

2) スウィングの間、身を乗り出すようにボールに近寄る体勢をしたのかも知れない。言葉を替えれば、前のめりのスウィングである。この現象は、爪先方向へのバランス異常の感覚で起る。

バックスウィングの際、左肩を上方に維持し続ける。そして、頭をボールの遥か後方に留める。『ヘッドダウンせよ』という一切の想念を忘れること。それはトラブルを悪化させるだけである。

3) 手と腕であまりにもフラットなプレーンのスウィングをしたのかも知れない。そのプレーンは、バックスウィングでクラブを過度に身体の後方に廻し、ダウンスウィングでクラブを身体の前方に伸ばしてしまう。

クラブを手と腕でもっと上下にスウィングすること。そして、クラブを身体の前に保ちながら、後方と振るように。

4) ダウンスウィングで単純に腕を伸ばしたのかも知れない。これを治すには、インパクトにかけて両腕を身体近くに保ち続けることだ。

シャンク治療の第一歩は、上の四つのどれに罹患しているかを見極めることだ。

上の四つのどの場合にも有効なドリルがある。ボールの向こう(身体の反対側)にティーを五、六本一列に並べて立てる。そのティーに触れないようにボールを打つ。もしクラブがティーに触れなければ、シャンクとはもうおさらばである」

 

(December 17, 2017)

アイアンでシャンクする原因

 

インストラクターBobby Clampet(ボビィ・クランペット)は、次のYouTubeヴィデオで、「ダウンスウィングであまりにも早く右手を伸ばしてしまうのがシャンクの原因である」と云っています。右手が伸び過ぎれば、当然クラブのホーゼルでボールを打つことになるから…という説明。

Bobby Clampet:「シャンクしたディヴォットを見ると、クラブヘッドのヒール側は浅くトゥ側が深く抉れている。ヒールで打っている証拠である。問題はバランスだ。バランス良く立ち、バランス良く振り抜けば、シャンクは出なくなる」

[icon2]

私は「あまりにも早く右手を伸ばしてしまうから…」という説明にガッテンです。「ぴったりピンにつけよう!」、「しっかり打とう!」と必死になる時にシャンクが出るのは、打ち急ぎというか、右手主導になっていると思われるからです。

ある日の練習で、ロブ・ウェッジ、サンドウェッジ、ギャップウェッジ、ピッチングウェッジそれぞれでシャンクを多発させました。クラブフェースをチェックするとヒールに草の痕がついています。上のBobby Clampetの言葉を思い出し、自分に打ち急ぎを戒め、下半身主導で手・腕を後ろに残すダウンスウィングし始めたらシャンクは消滅しました。

付け加えれば、もう一つシャンクの原因があります。あまりにも固いグリップです。ある時、50ヤードのピッチングの練習をしていて、三発連続でシャンクしました。色々考えた末、グリップをソフトにしたところ、シャンクは消え、理想的な軌道のボールが飛び始めました。

「腕を垂らしてアドレスせよ」というのが定番ですが、シャンクの不治の病に罹っている場合は、ボールから充分離れて立ち、腕を伸ばしてアドレスします。それ以上伸びないわけですから、ホーゼルで打てる訳がありません。

 

(December 17, 2017)

振り子を模倣してストロークせよ

 

'Learn to take it easy when you putt'
by Jordan Spieth ('Gold Digest,' December 2017)

2017年のPGAツァー・スタッツで平均パット数1.682のパット巧者Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)が説く、冬眠中のゴルファーへの助言。

'Learn to take it easy when you putt'
by Jordan Spieth ('Gold Digest,' December 2017)

「パッティングの問題は、多くの場合、あまりにも努力し過ぎることに由来する。私は数多のアマチュアがきつくグリップし、激しく突くようなストロークをするのをいやと云うほど目にしている。その結果は概ねミスであり、大体においてショート、しばしばあさっての方角に転がる。

ソフトで穏やかなストロークをすれば、ほぼ常によい結果が得られるものだ。冬のシーズンオフの間、振り子のスムーズなテンポを構築するために時間を費やすべきだ。それには、携帯電話の充電器の重い方を下にして、パッティング・ストロークのように前後に揺らす。あまりにも筋肉を使うと、それがうまくいかないことに注目。スムーズなテンポを維持すること。

パターを手に、上の作用を模倣する。いいストロークが期待出来る」

[icon]

云われてみると、私も努力し過ぎだったようです。あまりにも真剣に狙い、完璧なストロークをしようと真剣にになっていました。その癖、報われることは少なかった。最近3バーディを得た時は、さして真剣になっていませんでした。そのうちの一つなどは、ボールがカップに消えた時、自分で驚いてしまったほど。

 

最多のパット総数を30として、そのうちどれくらい褒められるパットが出来るだろうか?恐らく多く見積もって三度。たったの10%。いいパットが二度しかなければ、たった6.7%。真剣にパットしてこんな割合なら、真剣になるのは意味ないことかも知れません。真剣になればなるほど、時間をかければかけるほど、身体と手・腕の筋肉が強ばる危険を孕みます。スムーズさとかけ離れたストロークが成功しないのは明らかです。かといって、あまりにも無造作にパット出来るものでもありません。その中間点は?「絶対入れよう!」と鼻息荒くせず、また過大にいい結果を期待せず、商店街歳末大売り出しのガラポン(回転抽選器)を廻す時の心構えぐらいにすべきかも知れません。誰しも、特等整理ダンスとか高級自転車などが当たるとは思いませんよね:-)。

(December 20, 2017)

ロングパットを沈めよ

Ray Floyd(レイ・フロイド)はThe MastersとU.S.オープンに各一回、PGA選手権に二回優勝し、世界中で66回の優勝を遂げたプロ。

'The Elements of Scoring'
by Raymond Floyd with Jamie Diaz (Simon & Schuster, 1998, $20.00)

「『カップの周りに1メートルの円を視覚化し、そこへアプローチ・パットを到達させるのが最善』という理論がある。これは、私が60年代初めにArnold Palmer(アーノルド・パーマー)と練習ラウンドをするまでの考え方でもあった。彼は多くのロング・パットを沈めるように見え、ミスした場合でも物凄くカップに近かった。ある日、私は彼に尋ねた、『Arnold(アーノルド)、あんたのロングパットへの取り組み方はどんなの?』 彼は一瞬おかしそうに私を見たが、ついに云った、『どういうことだい?おれは全部沈めようとしてんだがね』 その答えは、私に新しい、だが素晴らしいアイデアを与えてくれた。私も全てを沈めようと試み、よくパット出来るようになった。

今や、スポーツ心理学者もこの方法を推薦している。【註】 ターゲットを特定すれば、より集中出来、いいパットが遂行出来る。Nick Price(ニック・プライス)が世界のトップだった頃、彼は100ヤード以内のショットは全てを沈めようとしていたことを知っている。その距離から成功するなら、60ヤードなら成功するのは確実だ。

【編註】これはDr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)を指しています。博士は、「アーチェリーにしろ射撃競技にしろ、似たような大きさの的を使うが、真ん中を狙うからこそ失敗しても的のどこかを射抜くことになり、減点の巾が小さくなる。パッティングでもド真ん中を狙うべきである」と云っています。

ロングパットをうまく処理する鍵は距離感である。それは練習で得られるものだが、ボールの上に屈んだ時、感覚を働かせることでも得られる。カップを見、カップへの道筋を感じ取り、リラックスし続ける。そして、自分が正しく計画を練ったと信じ、単純にソリッドなストロークを遂行すること。

 

その好例は、1986年のU.S.オープンの三日目のラウンドだ。No.8で、私は手こずりながらもピンに約15メートルに寄せ、バーディ・チャンス。その週、私はメンタル的に最高の状態にあり、ラインを調べるにつれ、それを沈められるという強いフィーリングを得た。そのパットが沈んだ時、数秒間私は何のリアクションも示さず、カップをみつめていた。私は、ボールがカップに沈むというトランス状態にあったのだ」

(December 20, 2017)

Lydia Ko(リディア・コゥ)のストローク・2

 

私は、現在Odyssey(オディスィ)のRossie II(ロズィ・トゥー)を使っていますが、ロフト1°のGuerin Rife(ゲリン・ライフ)製の2 Bar(トゥー・バー)マレットを使っていた習慣で、フォワード・プレスをしていませんでした。たまたま彼女のストロークを分析したYouTubeヴィデオを見て、「あ、いけね」と思いました。

【このヴィデオは最近のものではありませんが、世界のNo.1だった当時のものなので、逆に現在の彼女のヴィデオより参考になると思います】

Lydia Ko(リディア・コゥ)はパッティングの名人です。YouTubeヴィデオの正面からのアングルを見ると、アドレスでは左手とパター・シャフトは真っ直ぐではありません。僅かに角度がついています(左手首がやや凹型になっている)。しかし、ストロークする前のフォワード・プレスで両手をターゲット側に押すため、左手とパター・シャフトは真っ直ぐになります(左手首の角度はゼロになる)。そのままバックストローク→フォワードストローク。ですから、僅かでもロフトを減らしたパターヘッドでボールを打っていることになります。彼女のパターが私の調べ通りOdyssey Versa Tank #7であれば、ロフトは3°ですから、フォワード・プレスでロフトを減らして丁度いいようになっているわけです。

私のRossie II(ロズィ・トゥー)のロフトも3°なので、Lydia Koに倣ってフォワード・プレスすることにしました。

彼女はフォワード・プレス後、左手首の角度は変えませんが、右手首の角度を少し増やしています(凹型の角度が増す)。ということは、バックストロークでパターヘッドが若干上がっているわけです。そして、ボールを打った後のパターヘッドも僅かですが上がっています。

これまでの私は、可能な限り地面に平行にパターヘッドを動かそうとしていました。しかし、よく考えれば腕の長さは一定なので、両手首の角度を変えずにバックストロークするのは不可能です。そして、左右どちらの手首が重要かと云うと、間違いなく左なので、左手首の角度を一定にするためには右手首が多少フレキシブルでなくてはならない。これもLydia Koを見習うべきだと思いました。

 

【参考】
・「Lydia Ko(リディア・コゥ)のストローク」(tips_173.html) ・「パターのロフトを調べる」(tips_106.html)
・「パッティング・アドレスとパターのロフトとの相性」(tips_177.html)
・「パターのからくり」(tips_70.html)

(December 20, 2017)

風のショットへの影響(含む、科学的調査)

風の影響と対策については、既にいくつかの記事を掲載していますが、今回のはドライヴァーの飛距離調査を含め、他の記事と重複しない部分を採録します。

'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「'In Search for the Perfect Golf'(完璧なゴルフを求めて)の著者たち(Alastair CochranとJohn Stobbs)は向かい風と追い風の影響を計測した。30 mph(秒速13メートル)の向かい風の時、ドライヴァーの飛距離は同じ風速の追い風で打たれた場合より100ヤード短くなる。この研究はまた、30 mph(秒速13メートル)の向かい風は、追い風に較べ五倍もスライスやフックの効果を増大することを明らかにした。

以下は風のドライヴァーの飛距離への影響の例である。

風力 キャリー 総合距離
    30 mph(秒速13m)の向かい風
158ヤード
162ヤード
    15 mph(秒速6.7m)の向かい風
187ヤード
208ヤード
    無風
200ヤード
232ヤード
    15 mph(秒速6.7m)の追い風
209ヤード
255ヤード
    30 mph(秒速13m)の追い風
223ヤード
268ヤード

 

 

【風の日の注意事項】

・ダウンヒルではボールが空中にある時間が長い分、風の影響を受け易い。逆に、アップヒルでは風の影響は少ない。風のある日には余分のランを見込むべきだ。何故なら、風はフェアウェイやグリーンを急速に乾かすからだ。

・風のある日は、以下の四つのポイントを守るべし:1) スクウェアなフェースでのボールとのコンタクト、2) 風に負けない堅固な足場を築くため、広めのスタンスを取る、3) 短めのコンパクトなスウィング、4) 風があるからといって慌てて行動せず、スムーズなテンポのスウィングをすること。

【風説と反論】

一般に、「向かい風では低くティーアップ、追い風では高くティーアップ」と云われるが、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)はそれに同意しない。以下は彼の論理である。

追い風では風のボールへの影響を最少限にするため、最も低いショットを打つ。向かい風では普通の高さにティーアップし、クラブフェースの全てをボールに向かわせる。ティーアップを低くするとダウンブローに打ちがちになり、ボールにバックスピンを与えて高く舞い上がらせてしまう。これは絶対に望ましくないものだ」

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)は、彼の著書『パワーの学校』で、U.S.オープン優勝者Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)の言葉を紹介しています。

'Golf School'
by Jim McLean (Doubleday, 1999, $27.50)

「Ken Venturiは『追い風で高いボールを打つとコントロールしにくいものだ』と教えてくれた。だから、私は、アイアンではノックダウン・ショットを打って、風の影響を避けることにしている。あなたもそうすべきだ。

120〜160ヤードでこの手法を使う場合、普段その距離を打つクラブより上のクラブを選択し、少しグリップダウンする。手と手首の動きを殺し、腕と肩に集中し、バックスウィングでしっかり体重移動し、Ken Venturiが示唆するような低いフィニッシュをする。あなたは、その素晴らしいコントロールに驚くことだろう」

 

【参考】
・「風のトラブル対策」(tips_88.html)
・「風に吹き飛ばされるな」(tips_171.html)
・「向かい風のゴルフ」(tips_149.html)
・「追い風のゴルフ」(〃)

(December 24, 2017)

雨の日の心得

 

Nick Faldo(ニック・ファルド)が示唆する雨の日のゴルフの注意事項。

'A Swing for Life'
by Nick Faldo with Richard Simmons (Penguin Books, 1995, $19.95)

「《長めのクラブで、イーズィにスウィング》が、湿った日の私のルールだ。ボールが転がらないので、全行程をキャリーで運ばなくてはならない。さらなる対策として、私はシャフトを短く持つ。それが地面に掴まってダフるのを防いでくれる。びじゃびじゃの地面では、ボールをクリーンに捉えるのが肝要だ。

1) 二、三枚の乾いた手袋をビニール袋に入れて携行すること。

2) 防水の衣服を買う場合、スウィングを制限しないゆったりとしたものを選ぶこと。

3) グリーン周辺ではいつもより特別の注意を払うべし。グリーン表面は急速に水を湛(たた)えるので、ランニンング・ショットの前にはルートをチェックすべきだ。普通のチップをする場合、空中のルートが最も実行可能な選択肢であろう。

4) バンカー.ショットではクラブフェースをスクウェアにすること。グリーンサイド・バンカーで砂が湿って堅く締まっている場合、サンドウェッジは通常のようにバウンス効果を発揮しない。リーディング・エッジで砂を掘るべきなので、クラブフェースをスクウェアにセットする。状況がもっときびしい時はピッチングウェッジを使う。

5) パッティングではブレイクを少なめに見積もる。湿った表面では、ボールは乾いた早いグリーンのように敏速には曲がらない」

 

【参考】「雨の日のゴルフ」(tips_150.html)

(December 24, 2017)

前頁 ← | → 次頁


 Copyright © 1998−2022   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.