Golf Tips Vol. 187

上昇軌道で最長飛距離を得るための手順

'Golf Magazine'誌編纂のドライヴィング大全の中でインストラクターDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)が公開した、詳細なドライヴァーのヒッティング手順。

[Sadlowski]

'Golf Magzine: The Best Driving Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2012, $32.95)

「ドライヴァーで最高の飛距離を得るには、ボール速度、発射角度、そしてスピン率の正しいバランスを必要とする。飛距離を最長にする鍵は、高い発射角度と低いスピン率とが、それらを最適化するに足るボール速度を伴うことだ。問題は、スピン率を増すことなく発射角度を増すのが難しいことで、それゆえ単純に多めのロフトのドライヴァー(例えば10.5°ではなく12°)を用いてもスピン率を落とすことは出来ない(クラブヘッドのロフトがスピンを増やしてしまう)。

TrackMan™の発明者であるFredrik Tuxen Ph.D.(フレドリック・タクスン博士)は、ティーアップされたボールへの正しい攻撃角度について、以下のように述べている。

『あなたのクラブヘッド・スピードが90 mph(40.2 m/s)で、マイナス5°の攻撃角度(=下降角度のインパクト)でボールを打つと、あなたの最適の発射角度は約10°で、スピン率は3,100 rpmとなる。一方、同じクラブヘッド・スピードであなたの攻撃角度がプラス5°で(=上昇角度のインパクト)の場合、あなたの最適の発射角度は約16°で、スピン率は2,200 rpmとなる。後者の組み合わせは前者よりほぼ30ヤードもキャリーが増す』

TrackManのリサーチは、ボールを4〜6°上昇角度で打てば、あなたのクラブヘッド・スピードは同じでも、低スピンで長い距離が得られると断言している。この上昇軌道は、クラブからボールへのエネルギーの伝達を増すため、最適の発射を生み出す。

以下はその上昇気味の攻撃角度を得るためのいくつかの調整法である。多分、以下の全部は必要でないだろうが、あなたの発射特性が最大になるまで、それぞれを試すことを勧める。

1) クラブフェースはターゲットに向けたまま、身体をターゲットの右に揃える。これは自動的にスウィングをインサイド・アウトにし、ボールに向かってクラブを自然に上昇させる。

2) ハンドルの上で両手を左に廻したストロング・グリップを用いる。これによるクローズ目のフェースは、ヒールでのコンタクトを防止する。【編註:ヒールで打つとスライス・スピンを生じる】

3) アドレスでドライヴァーのシャフトを若干ターゲットから遠ざけ、ハンドルの末端がズボンのファスナーを指すようにする。【編註:ロフトを活かす工夫かと思われるが、「Mr. Xの逆Kのアドレス」を採用している私には実行出来ません】

4) ボール位置をよりターゲット側にすると、トゥでボールにアドレスしがちになる。ボールに近く立ち、クラブフェースの中心をボールに揃える。

5) ボールを高くティーアップし、スタンス前方(ターゲット側)に移す。次いで、右足を6インチ(約15センチ)ターゲットと反対側に動かしてスタンスを広げる。こうすると、自然に背骨を右に傾斜させ、上昇軌道でボールを打てるようになる。

6) 彼方の高い目標に向かって打つ。雲があればそれを目標にして、上昇する打撃を助ける。

7) 右足をターゲットラインから引いて、クローズ目のスタンスにし、両足の踵のライン(爪先ではない)に肩を揃える。これがインサイド・アウトのスウィングに繋がる。

8) インパクトからフォロースルーにかけてスウィングをブロックせず、前腕が自然に返るように振り抜く。

9) ダウンスウィングを地面と平行な浅めの軌道にする。可能な限り、右肘を左肘より低く保つ。これはターゲットの右に打つような感覚を抱かせるだろうが、それは錯覚なので恐れてはいけない。

10) 攻撃角度変更に成功したら、クラブフィッターに会うべし。スピン率をコントロールするには、ロフトの少ないドライヴァーが必要だろう。

11) "Hit up on the ball!"(打ち上げるぞ!)と自分に云い聞かせながら素振りをする。

12) 警告:ボールを打ち上げることは、身体を伸び上がらせることとは違う。インパクトにかけて背骨の角度を一定に保つこと」

 

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現在の私は3 1/4インチ(約8.2センチ)のティーを用い、ボール位置は左肩の前方(向かい側)とし、上昇軌道で打つためクラブヘッドはその20センチ後方で構え、その地点(20センチ後方)を凝視し続けます。【参考:「シニアの飛距離増強法」(tips_153.html)】 大振りはせず、肩を90°廻すだけに抑制したスウィング。てんぷらも無く、トップも無く、私個人の最長飛距離を楽しんでいます。

また、インパクト・シールで確認すると、私のスウィングはドライヴァーのスウィートスポットのマークの1センチほどトゥ寄りでアドレスすると、ヘッドの中心で打てることが判り、ビニール・テープを細く切ったものを自分用の目印として付けています。

【参考】
・「飛距離増のための決断」(07/02)
・「二つのスウィングで武装せよ」(tips_128.html)

【おことわり】Jamie Sadlowskiの写真はhttp://www.acentro.it/にリンクして表示させて頂いています。

(August 02, 2017)

ロング・ドライヴ・チャンプに学ぶ [long]

The Golf Channel(ザ・ゴルフ・チャネル)で、World Long Drive Championship(世界ロング・ドライヴ選手権)の地区予選かと思われる催し'Mile High Showdown'を見ました。開催地Denver(デンヴァー、コロラド州)は、標高1マイル(海抜1,609メートル)の都市なので、ボールのキャリーが34ヤードも増え、他州より抜群に飛ぶことで知られています。

男子の部は474ヤードも飛ばしたりするのですが、プレイヤーたちは筋肉もりもりで、暴力的スウィングをするので、到底私には真似出来ません。

女子の部は多少オーヴァー・スウィング気味ですが、身体の捻転を使ったごく普通のスウィングです。それでも370〜406ヤードも飛ばします(開催地の標高のせい)。印象に残ったのは、私と同じようにドライヴァー・シャフトと両腕をほぼ一直線にして構えること。私は自分のこの構えがオーソドックスなものではないだろうと思っていたのですが、彼女たちのスウィングを見て自信がつきました。TVではティーアップの高さや、ボールとヘッド間の距離などを見せてくれませんでしたが、ボールの軌道から見て、かなり高くティーアップしている模様です。

私が参考にしたいのは、フィニッシュです。LPGAツァーのプロの多くも同じですが、エネルギーを完全放出し切った大きなフィニッシュ。私などはプッシュやプルが恐いので、臍がターゲット方向を向く程度の控え目なフィニッシュですが、ロング・ドライヴ・チャンピオンたちのフィニッシュは、臍はターゲットの遥か左方を向き(写真)、首の後ろに廻ったヘッドがターゲットを指しているのです(!)。これぞエンジン全開の証し。【この写真の女性はこの日雨の中で374ヤードで優勝しましたが、空振りも一回していました(^-^)】

やってみました。大きいフィニッシュを目的にすると、最初は早め(強め)のスウィングをしがちになりますが、別にテンポは関係ないのだと思い至りました。ゆっくり目のスウィングでも大きいフィニッシュは可能です。そこまで到達する意志があるか無いかの問題です。この方式で五、六発打った中の一個のボールは、私の平均飛距離より10ヤード伸びていました。全部ではありませんけど。多分、スウィートスポット(というよりホットスポット)で打てたせいだと思います。

【参考ヴィデオ】https://youtu.be/kxPSnSbnxVM

(August 02, 2017)

ウェッジ・ゲームを精密にせよ

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)による、ウェッジ(およびアイアン)の正確さを身につけるための心得。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「ウェッジ・ミスの主たるもの(ひどいダフりとトップ)を撲滅すれば、ラウンドにつき少なくとも二打減らすことが出来よう。そのために必要なのは全く新しいスウィングではないのが嬉しいニュースではないだろうか?あなたに必要なのは、ウェッジ・スウィングのためのスウィング弧の最低点を一寸調節するだけなのだ。

ミドル・アイアンやロング・アイアンでグリーンにパー・オンさせることは、スコアを引き下げるチャンスを増大させる。しかし、フェアウェイからのフル・スウィングで毎回パー・オンを期待出来るものではない。【編註:出来たらプロになれる:-)】 一方、あなたがウェッジを手にしたら、あなたはグリーンに乗せなくてはならない。われわれが現在想定しているのは60〜100ヤードの距離で、ウェッジはバッグの中で最も短く、最も使い易いクラブだからだ。だがアマチュアはピンから遠くに打つだけでなく、グリーンそのものに乗せられないという不可解なことをする。

ウェッジでミスしても、次に楽なチップ・ショットが待っているのであればいいが、多くの場合グリーン周辺の過酷なラフからのショットや、バンカー越え、下り斜面へのチップなど、難しいショットに繋がるものだ。60〜100ヤード以内のウェッジ・ショットのミスは、先ず一打のロスであるが、その次の難しいライからの一打すらもロスする恐れ大である。お粗末なウェッジ・ショットはOBや3パットと同じようにあなたのスコアを破壊する。

ドライヴァーでは、スウィング弧の最低点を過ぎて上昇軌道になった時点でクラブヘッドがボールと接触するのが理想である。翻ってウェッジでは、クラブヘッドがボールとコンタクトした後でスウィング弧の最低点に達するべきなのだ。ボールの先(ターゲット方向)にスウィング弧の最低点を移動するのは、"ball-first"の(ボール・ファースト=ボールを先に打つ)インパクトを意味する。これはウッドとパターを除く全てのクラブで、安定してボールを打つために重要な方式である。"ball-first"は、近頃の早いグリーンに着地させるのに相応しい正しい弾道を生み出す。地面を打つ前にボールを打つことはまた距離調節にも役立つ。

 

[ball-first]

あなたのゴールはボールを先に打ち、次いで地面を打つことである。しかしながら、多くのゴルファーがこれをボールをヒット・ダウンすることと勘違いする。この論理的誤解は過度に急角度なダウンスウィングで、ボールを薄切りにするように打ち、あまりにも多くのターフを取るミスに繋がる。そうではなく、あなたの通常のスウィングでよいのだ。必要なのは、自動的に"ball-first"のインパクトが生じるよう、スウィング弧の最低点を調整することだけである。

【編註】"eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と腕の協調作業)を賢く利用する必要があります。アイアンを打つ時は、ボールを見つめるのではなく、ボールの先(ターゲット方向で、スウィング弧の最低点)つまりディヴォットを取るべき場所を凝視します(左図の赤矢印の地点)。

クラブヘッドがスウィング弧の最低点に達する前にボールを打つのが目的となれば、クラブヘッドは下降軌道でインパクトを迎えなくてはならない。そのためにはクラブシャフトがターゲット方向に傾いでいるべきである。それはまた、インパクトであなたの両手がクラブヘッドに先行していることをも意味する(両手の位置はクラブヘッドよりもターゲットに近い)。これらはピュアなコンタクトの明らかな証(あか)しである。《ターゲット側に寝せたシャフトでボールを打て

アマチュアはターゲットと反対側にシャフトを寝せてボールを打つミスを犯す。トップしてゴロを打った過去の記憶が、地面からボールを掬い上げる悪癖を生むのだ。ダフった過去の記憶もまた掬い打ちを強制する。これらはスウィング弧の最低点をボールの後方(ターゲットの反対側)に移したことになる。

上手いウェッジ・プレイヤーは左手首をフラット(平ら)にし、右手首を若干窪ませる。掬い打ちする人は逆で、右手首をフラットにし、左手首を窪ませてしまう。インパクトで左手首をフラットにするために特別な努力をする必要はない。両手を多用しなければ、自然にそうなるのだ。

友人にあなたのウェッジ・ショットを正面から撮って貰い、以下のようになっていれば正しくウェッジを打っていると云える。
・インパクトでシャフトがターゲット方向に傾いている。
・左手首がフラットである。これは、インパクトへあなたの両手がクラブヘッドをリードしており、掬い打ちをしていない証拠である。
・左腕が真っ直ぐであり伸ばされている。これを完璧に遂行していれば、シャフトと左腕は一直線になっている筈だ。また、あなたの左肘の後部は(ターゲット方向ではなく)あなたの身体を向いている。

ウェッジ・ショットは正確さが命である。80%以上のパワーで打ったりしないこと」

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上に述べられているように、急角度でヒットダウンする必要はなく、通常のスウィングでボールを先に打ち、その後地面を打つだけ。また左手首をフラットにしようと、きついグリップをするのも逆効果です。どちらの場合も意識が手・腕に集中し、手・腕主体のスウィングを招き(=手打ち)、ひどい場合はシャンクに繋がります。左膝をターゲット方向に動かすことで始まる下半身主導のダウンスウィングをし、手・腕(およびクラブ)がそれに引っ張られるようにすれば、最良の結果が得られます。

【参考】
・「Tom Watson(トム・ワトスン)のディヴォット」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(フルスウィング篇)」(tips_114.html)

(August 13, 2017)

ウェッジ・ショットは90%のパワーで

 

'Golf Magazine'誌編纂のショートゲーム大全から、ウェッジでショットする時の心得。

'Golf Magazine: The Best Short Game Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2009, $32.00)

「飛距離を伸ばすためにパワーを使うのは、場合によっては賢い選択だ。フェアウェイウッドやミドル・アイアンで攻撃的になれば、いい結果を生む可能性がある。だが、ことウェッジを手にした際には、そんな考えをすべきではない。

ドライヴァーのような長いクラブは、スウィングの間に遠心力を生み出す。あなたの身体は、その力をサポートするために反応する。その結果、もしあなたがドライヴァーをぶっ叩こうとすると、あなたはスウィングの間に身体をいい位置に保ち続けるべく充分な遠心力を作り出す。しかし、ウェッジのシャフトはドライヴァーよりほぼ30センチ短いので、スウィングの間に作り出せる遠心力はかなり少ない。結果的に、短いクラブだとあなたの身体は高速のスピードについていけない。

ウェッジによる過度にハードなスウィングは身体の位置をスライドさせがちで、お粗末なコンタクトかミス・ショットに繋がる。

ウェッジ・ショットは正確さ第一をモットーとすべきであることを忘れてはいけない。90%以上ハードにスウィングしようとしないこと。90%ではターゲットに届かないというのなら、もっと長いクラブを選ぶべきだ。楽にスウィングする方がいい結果が得られるものだ」

 

(August 13, 2017)

ウェッジの精度を見極める

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)が紹介する「11個ボール中央値アセスメント法」。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「Dr. Rick Jensen(リック・ジェンセン博士)はパフォーマンス・コーチであり、スポーツ心理学者でもある。博士が考案した「11個ボール中央値アセスメント法」は以下のようなもので、ウェッジ・ショットを正確に放つ能力を測定し、スコアカードからいくつもの打数を省くことが出来る素晴らしい方法である。

練習グリーンの空いた部分(あるいはコースの人気のないグリーン)に打ったボールが、どこで停止するか明瞭に分るターゲットを探す。11個のボールを同じウェッジを用い、同じ距離から打つ。ターゲットから最も遠いボール五個を取り除き、最も近い五個も取り除く。残った一個のボールのターゲットからの距離を得る。それが今回の結果のメディアン(中央値)であり、今回使用したウェッジであなたが期待出来る成果である。

もちろん、あなたはこのメディアンを可能な限り短くしたい筈だが、慌てる必要はない。現在のメディアンを知り、このドリルを何度か繰り返し、その後のメディアンの改善を期待することが重要なのだ。

この『11ボール中央値アセスメント』は、次のようにコースでのプレイに利用することも出来る。ウェッジによるアプローチに直面した時、このアセスメントを実行した時のボールの典型的拡散状態を思い出し、その状態(図面)をグリーンの上に重ねてみる。もし、何れかのボールがグリーンを逸れたりトラブルに突入する恐れがあるようなら、エラーの許容値を広げるようターゲットを調整(移動)すること」

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この練習法はとても過酷なものです。何せ、ターゲットに寄った(惚れ惚れする)五個のボールを取り除かねばならないんですから。しかし、最も遠くへ逸れた五個のボールも無視出来るのが、唯一の慰め。そして、残った一個が自分の掛け値無しの赤裸々な実力となる訳です。(おれはもっと上手い筈だけど…)と云ったって、その結果を受け容れるしかない。それが嫌なら猛練習すべきだということになります。

 

(August 13, 2017)

遂に発見!ショートパットの秘訣

 

どんなにドライヴァーが飛ぼうが、どれほどアプローチが寄ろうが、総仕上げであるパットが入らなくてはスコアはまとまりません。トータル・スコアの半分近くを占めるパット数を減らすことが不可欠です。ピン傍に寄せた後のバーディ・パット、長いファースト・パットを寄せた後のパー・パット、これらは特に重要です。距離が短いが故に入れて当然、失敗したら面目丸潰れ(;へ;)。手が震え、膝がガクガク。これを自信を持って沈める方法はないものか?

鏡の前でストロークの練習をしました。どうやっても、フォワードストロークで右肩が身体の前に出て来るのを止められません。これだとプルは必定。あるインストラクターの調査によれば、一般ゴルファーの約75%はターゲットラインをパターでカットするように横切らせ、その結果はプルやプッシュとなるそうです。それは多分、この肩の動きに由来するものではないでしょうか。

右肩の動作は、右肘を伸ばしたり曲げたりしても変化無し。試みに、左手一本でストロークしてみると、右肩は全くしゃしゃり出て来ません。これなら完璧なストレート・ストロークが達成可能です。右手一本だけでストロークしても、両肩はスクウェアなまま変化しません。しかし、両手でパターを持つと、…フォワードストロークで又もや右肩が突出して来てしまいます。

つまり、方向性を歪めたくなければ、パットは一本腕ですべきなのです。特に、捩れに強い左手で…。ですが、右利きゴルファーの左手のパワーは弱過ぎるので、長い距離を左手一本でカップに届かせるのは至難の業(と云うか、ほぼ確実にショートする)。しかし、短いパットなら可能だと思われました。やってみました。

1) 左手でパターを握る。
2) 右手をパターに添えるが、中指・薬指・小指はパターに触れず、左手の三本の指の背を覆うだけとする。
3) 左手主導でストローク。

 

[secret]

右手の三本指がパターを握らないので、実質的に左手一本のストロークに酷似する…というのがミソです。私は、普通長いパットでは左の薬指と小指で右の中指を挟んで組み合わせ、右手の薬指と小指はパター・ハンドルを直接握るグリップをしています。写真の私はそれではなく、今度発明したショート・パット用の変則グリップをしているのですが、正面から見たのではどちらのグリップなのか全く見分けがつきません。これぞまさしく隠し技。

このグリップをすれば右肩は絶対突出しない…とは云い切れませんが、少なくとも最低限には抑えられます。このグリップで1メートル前後のパット練習をしてみれば、その効果のほどが理解出来るでしょう。もちろん、どこを狙うべきかラインはちゃんと読まなくてはなりません。カップの左端か、左内側か、真ん中か等々。そして、FLW("Fixed Left Wrist" [フィックスト・レフト・リスト=固定した左手首])で、しっかり打つ。短い距離だから…と、へろへろ球を打つと、芝目や地面の凸凹に負けてボールはあらぬ方へよろめいてしまいます。当然ですが、ルックアップせず、頭を残したストロークをするのが前提です。

何と、これを練習した直後のラウンド、No.1(パー4)で1メートルの難しいスライスラインのパットを成功させてパー、(No.2を2オンさせてロングパットをOKの距離に寄せてパーの後)No.3(パー4)の1メートルのバーディ・パットを難なく沈めることが出来ました。

次のラウンド。最初の9ホールはゴルフそのものがスランプ状態でいいとこ無しでしたが、No.14(パー5)の三打目をピン傍50センチに寄せ、イーズィ・バーディ。続くNo.15で下り1メートルのフックラインのパー・パットに成功した時、チーム・メイトの一人が私の狙い方について質問して来ました。不調だったとは云え、それまでに六個の寄せワンとバーディを達成していたからでしょう。私はそれに正直に答えましたが、実際には狙い方よりも、功績は新発明グリップによるストロークにあったのです(聞かれなかったので、それについては説明省略。もちろん、彼は私のグリップの変化に気づいていませんでした)。さらに続くNo.16(パー4)での私の第二打はピン傍1.5メートルに。何故か、私より遠くへ2オンさせたキャプテンのRichard(リチャード)が「エイジ、準備出来てるなら先にパットしろ」と云いました(本当は彼がバーディ・パットする順番でしたが)。準備出来ていた私はごじゃごじゃ云わず、直ちにパット。読み通りに転がったボールはド真ん中からカップイン、バーディ。

私は、この変則グリップによる左手主導のストロークが、3パットを防ぎ、絶対に沈めるべき短いバーディ・パットやパー・パットを着実に成功させる必殺技となると確信します。

【参考】
・「パットでもFLW(固定した左手首)」(tips_159.html)
・「パットのFLW(固定した左手首)」(tips_165.html)
・「パットのFLW(固定した左手首)改訂版」(tips_171.html)

(August 20, 2017)

脚の長さが不揃いなゴルファーのパッティング・ポスチャー

上の「遂に発見!ショートパットの秘訣」を開発していた時、屋外は100°F(37.7℃)近い暑さでした。アメリカ南部に住んで数十年、暑いのには慣れていますし、電気代節約のため私は滅多にACをオンにしません。下はショート・パンツですが、上は裸で過ごしていました。パッティング・ストロークの研究も上半身裸のまま。これにはメリットがあります。シャツを着ていると、どれほど右肩がしゃしゃり出るか、その程度が分らないのですが、裸だとモロに分ります。

これまで、左右の脚の長さの違いがスウィングやストロークに影響するという内容の記事をいくつか紹介して来ました。それを参考に、右脚が約1センチ左より長い私は、その差を相殺すべく左膝を内側に折ってアドレスしていました。それで、左右均等になったと思い込んでいたのです。大間違い。

上半身裸の研究で明らかになったのですが、多少左膝を内側に押し込む程度では不足もいいところ。かなり右膝を左に曲げないと、左肩と右肩がターゲットラインにスクウェアにならないのです。どの程度曲げるか?驚きました。左の膝小僧がボールにアドレスしたパターヘッドを指すほど曲げなくてはいけなかったのでした。こうして初めて、両肩がターゲットラインにスクウェアになりました。

私の場合、このアドレスをすることで「遂に発見、ショートパットの秘訣」が真に役立つようになったのでした。

なぜ、この項を「遂に発見!ショートパットの秘訣」に含めなかったかというと、左右の脚の長さが同じ人にこんなものを読ませても無意味だからです。脚の長さが異なる人にだけ読んで頂けばいい。そういう人は、是非、鏡の前で上半身裸でストローク動作をしてみて下さい。色んなことが学べる筈です。

 

【参考】
・「右脚が左より長いゴルファーへの警告」(tips_169.html)
・「脚の長さの違いは、両手の向きに影響する」(tips_169.html)

(August 20, 2017)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の 短いパットのミスを防ぐ方法

 

これはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が旧著や雑誌などに書いた原稿のパッティングの部分だけを集大成した本から、ショート・パットのコツ。

'Putting My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (John Wiley & Sons, 2009, $25.95)

「ショート・パットのミスの大敵は頭と上体を動かすことだ。ボールを打った結果をあまりにも早く見ようとする本能によって、頭と上体を動かしてしまうのが原因である。私は、長い年月この本能との闘いに勝とうとあらゆる方法を試して来たが、最も有効だった方法は単純そのものかも知れない。

それは、ボールが最低1メートル以上転がるまで、頭と上体を動かすな…と自分に云い聞かせることだ。さらに厳しい方法は、アドレス時の頭と上体を、ボールが停止するかカップに落ちるまで動かさないように自分に強制することだ。結局、ショート・パットの際に身体を静止させるには、集中し自分を厳しく律することが最も重要な要素だ。

もう一つのショート・パットのミスの一般的原因は、長過ぎるバックストロークをし、本能的にパターヘッドを減速させたり、フォローへかけてパターフェースの角度を捩ったりするものだ。

これを防ぐには、練習グリーンでパターヘッドの後方5〜8センチにストッパーとしてティーを一本刺し、バックストロークを強制的に短くする。誇張した【長めの】フォロースルーの必要性によって、ボールにコツンと当てるだけでなくパターヘッドを最後まで加速することが出来る。これで問題解決に至らない場合は、正反対のことをすればよい。あなたがやっている二倍の長さのバックストロークをすれば、簡単にそれに見合った長さのフォロースルーが出来る」

 


【おことわり】画像はhttps://cdn-s3.si.com/にリンクして表示させて頂いています。

(August 20, 2017)

リズムなくしてスウィングなし

以下の本に採録された二つのリズム論。

'The Best Advice Ever for Golfers'
edited by Robert McCord (Andrews McMeal, 2001, $12.95)

最初の筆者はU.S.女子アマに三年連続優勝し、ゴルフ名誉の殿堂入りしたVirginia Van Wie(ヴァージニア・ヴァン・ウィ、1909〜1997)。彼女のコーチは、英国出身の元プロで、後に米国でインストラクターとして活躍したEarnest Jones(アーネスト・ジョーンズ、1887〜1965)。

「ゴルフは難しいということで単純である。【註】おかしな表現だろうが、私は真実の一つのことを信じている。私のコーチMr. Earnest Jonesが大きなハンカチにジャックナイフを結んで、それを左右に揺らして実際のスウィングの意味と、本当のスウィングの感じを証明して見せた日から、私はいわゆる基本と呼ばれる多くのものを忘れ去ることにした。その代わり、手でクラブヘッドをスウィングし、残りの人体の構造をそのスウィングに追随させることを学んだ。その日以来、私のゴルフはU.S.女子アマに優勝するまでに上達しただけでなく、ゴルフというものは軽度の拷問ではなく、喜びと楽しみとなることを学んだのだ」

【編註】原文は"Golf is so simple it is difficult."というもので、確かに奇妙な表現。

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上の、ハンカチにぶら下げられたジャックナイフの動きは、振り子の動作に他なりません。それは、クラブのハンドルを親指と人差し指で挟んで揺らした時に見られるのと同じです。重力による物理的な動きなので、人間の手・腕による恣意的な動きよりも、シンプルかつ滑らかで安定したリズムの見本と云えましょう。

 

次の筆者は女子のメイジャー13勝、LPGAツァー他で計90勝を挙げたMickey Wright(ミッキィ・ライト)。当然ゴルフ名誉の殿堂入り。

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「リズムなくしてゴルフ・スウィングは構築出来ない。私にとってのリズムは子供のブランコのようなものだ。それはいったん後方に動いてトップで停止地点に達すると、自発的にかつ弾みがついて戻り始める。そのスウィングの自然な動きと弾みを意図的に邪魔したり、加速したり、あるいは減速させたりすべきではなく、いいリズムは、アドレスした時からパワーとそれ自体の勢いによってボールと接触しスウィングが完結するまで、ゆっくり徐々にパワーとスピードを増して行く。

リズムはそれ独自で存在する実体である。『死』や『税金』と同じで、疑問を抱いてはならず、甘受するしかない。絶対に」

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私は、ダウンスウィングは重力との二人三脚と考えます。重力に相乗りするとも云えます。

【参考】
・「Earnest Jones(アーネスト・ジョーンズ)の スウィングしなけりゃ意味がない」(tips_12.html)
・「リズムの研究♪、♪♪、♪♪♪」(tips_40.html)

(August 23, 2017)


いいリズムを取り戻す方法

これはDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)の亡父でインストラクターだったDavis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)が遺したノートに、息子Davis Love IIIが自分の経験を加えて出版した本。

'Every Shot I Take'
by Davis Love III (Simon & Schuster, 1997, $24.00)

「リズムが時々おかしくならないゴルファーなんていない。うっとりさせられるようなスウィングをする人たち…Fred Couples(フレッド・カプルズ)、Fuzzy Zoeller(ファズィ・ゼラー)、Steve Elkington(スティーヴ・エルキントン)など…でさえ、時折もの凄く速くスウィングしたりする。

私の父は、リズムを取り戻す素晴らしいドリルを教えていた。左手だけでボールを打つのだ。スウィングの中で左腕以上に速く動くものはなく、スウィングをコントロールするのは左腕以外のどれでもない。左腕一本でスウィングする場合、そう速くは振れない。これをしばらく続けた後、右手を添えるが、それは左腕を舞台裏に追いやってスウィングを乗っ取るためではなく、単に便乗するだけである」

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2016年の最終盤、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の長い休場からの復帰で話題となったHero World Challenge(ヒーロー・ワールド・チャレンジ)の最終日の朝、カメラは黙々と左腕一本でスウィング練習する松山英樹の姿を捉えていました。ただし、七打差のトップでスタートしたにもかかわらず、この日の松山英樹のプレイは粗く、スコアを伸ばすどころか貯金を減らしてやっとこさ二打差で優勝。左腕一本でスウィングしても、いいリズムを取り戻せないこともあるようです(^^;;。

(August 23, 2017)

フェアウェイ・バンカーの対処法

筆者Ray Floyd(レイ・フロイド)はThe Masters(マスターズ)とU.S.オープンに各一回、PGA選手権に二回優勝し、世界中で66回の優勝を遂げたプロ。

[Fairway bunker]

'The Elements of Scoring'
by Raymond Floyd with Jamie Diaz (Simon & Schuster, 1998, $20.00)

「フェアウェイ・バンカーは、ゴルフの中で最も難しい挑戦の一つである。だが、これがアマチュアがよく遭遇する惨事であっていいわけはない。

フェアウェイ・バンカーは、単純に扱おうと思えば簡単に処理出来、テクニックなど必要としない。何がなんでも避けなければならないのは、脱出に失敗すること。それが起るのは、a) ボールの後ろの砂を打つか、b) 顎を越えられない場合だ。

ミスa)ボールが部分的に埋まっているか目玉でもなければ、ボールを打つ前に砂を取ってはならない。フェアウェイ・バンカーではダフるよりはトップすべきだ。

ミスb)顎を越えられないのは、充分なロフトのクラブを選ばなかった判断ミスであり、このミスは絶対に犯してはならないものだ。クラブ選択に迷ったら、ロフトが多く顎を楽に越えられるクラブを選ぶ。たとえグリーンを狙う決断をしたとしても、顎を越えられなければ話にならない。フェアウェイ・バンカーを脱出出来ない失敗は、スコアカードに大きな数字を書くことになり易い。

バンカーに足を踏み入れたら、ライをチェックする。砂を取ることなく打てそうなら、攻撃的になれる。もしパー5や長いパー4で、顎がさして高くなく、出来る限り遠くへボールを運びたければフェアウェイ・ウッドやロング・アイアンを用いてもよい。スウィング中に足が潜らないよう、砂の中に足を埋めてしっかりしたスタンスを取る。ボールの天辺に焦点を合わせ、下半身の動きを抑えたスウィングをする。このショットは(砂を取ることなく)クリーンに、あるいはややトップ気味に打つ。ボールの天辺を余りにも薄く打たない限り、あなたはフェアウェイに脱出出来る。

フェアウェイ・バンカーからグリーンに乗せるには、幾分か進んだ技倆が必要とされる。先ず第一に、グリーンが接近可能でなくてはならない。水やバンカーで守られているとしたら、ボールとのよいコンタクトが必須で、ランではなくキャリーでボールを届かせなくてはならない。あなたが中級ゴルファーだとしたら、このショットの成功率は低いだろうから、刻める地点を選ぶべきだ。だが、グリーンが双手を広げておいでおいでしているなら、多少の調整をして攻撃すべきである。フェアウェイの良いライから同じ距離を打つ時よりも1(ワン)クラブ、多分2(トゥー)クラブ長いものを選ぶ。繰り返すが、ボールの後ろの砂を取らないこと。だが、余りにも薄くトップすると、充分なキャリーが得られないことを覚悟しておく。ラフからのショットのように急角度のダウンスウィングではなく、掃くように打つ。

フェアウェイ・バンカーからのショットは、ドローよりもフェードの方が打ち易い。フェアウェイ・バンカーでライが悪い場合は、大人しく罰を受けるつもりでショート・アイアンかウェッジを選び、エクスプロージョンで出すだけで満足するように」

以下は、インストラクターMark Wood(マーク・ウッド)による細かい注意。

'Better by Saturday: Iron Play/ Long Game'
edited by Dave Allen (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)

「砂に足を埋める際、水平な足場となるよう爪先も踵も同じ深さに埋めること。そして、身体が砂に沈んだ分、クラブを短く持つこと。

例えば、両足を5センチ砂に埋めたとしたら、クラブも5センチ短く持つ。こうすれば、クラブフェースはボール目掛けて水平に戻る」

【おことわり】画像はhttps://blog.njm.com/にリンクして表示させて頂いています。

(August 27, 2017)

Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)の 長いバンカー・ショットのコツ

この記事の執筆者はトラブル・ショット名人のSeve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)です。

'The long and short of it'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「大抵のゴルファーは、長いバンカー・ショットにあまりにも攻撃的になってクラブを砂にめり込ませるか、トップしてホームランを出してしまいがちである。このショットはグリーンサイド・バンカーよりも力を篭める必要はない。秘訣は《フラットなプレーンでスウィングし、砂をちょっぴり取る》ことだ。

・ワイドなスタンス。ボール位置はスタンス中央からターゲット寄り。頭はボールの後ろに置く。

・バックスウィングでは、手首と前腕部を自由に廻す。クラブをスリー・クォーターの位置に持ち上げる。

・ダウンスウィングの間中、頭をボールの後ろに保ち続けるが、両膝をターゲットに向けて突進させることによって、インパクトでクラブを砂の下をかすめるように滑らせ、大きなフォロースルーを取る。

 

『ボールの後ろ1インチ(約2.5センチ)にクラブを入れる』という先入観を持っているかも知れないが、その地点はカップとの距離によって変動すべきものだ。長いショットならボールの近くに入れるべきである」

(August 27, 2017)

フェアウェイ・バンカーの攻略

インストラクターMike McGetrick(マイク・マゲトリック)によるフェアウェイ・バンカーへの対処法。

'The Scrambler's Dozen'
by Mike McGetrick with Tom Ferrel (HarperResource, 2000, $25.00)

「フェアウェイ・バンカーは、グリーンサイド・バンカーとは完全に異なる難物である。フェアウェイ・バンカーでは、クラブヘッドは最初に(砂ではなく)ボールと接触しなければならない。掬い打ちの衝動は抑えること。掬い打ちではトップし、顎に捉まって脱出出来ない恐れが多分にある。あるいは、ボールを上げようとすると、ボール後方の砂を打ち、バンカーは何とか出られたとしても、依然困難なアプローチ・ショットが待っている。

幸い、フェアウェイ・バンカーはさほど難しいものではない。フェアウェイ・バンカー・ショットに成功する第一歩は、状況分析である。殊に二つの項目:ボールのライ、そして顎の高さだ。これらがあなたに可能なプレイを決定する。

ライを見極める際はリアリスティックであること、ボールが砂に深く埋まっているか、あるいは適切なスタンスが取れない状況では、爆発型かスプラッシュ型でフェアウェイに戻す選択をするしかない。目的は、一打でプレイを継続させることにある。

ライがお誂えで、フル・スウィングを選択したら、顎の高さを検討する。顎が高ければ高いほど、ロフトが必要になる。グリーンまでロング・アイアンが必要な状況であっても、顎が高ければロフトの多いクラブで刻まなければならない。心しておくべきは、このショットは通常よりやや低く出るということだ。顎を越えられるかどうか確信がなかったら、ロフトの多いクラブを選択すべきだ。

顎が問題無ければ、クラブ選択には別な調整が必要になる。フェアウェイ・バンカーでは下半身の動きを抑え、やや短めのスウィングが望ましいので、通常より長めのクラブで打つべきだ。あなたが普通7番アイアンで150ヤード打つのであれば、フェアウェイ・バンカーからは同じ距離を6番アイアンが必要になるだろう。バンカーでハードに打つとミスが出易いので、スムーズに、コントロールされたショットが出来るクラブを選ぶこと。

グリーンまで遠いのであれば、7番ウッドや5番ウッドなどを考慮すべきだ。最近の浅いフェースのウッドは、ロング・アイアンよりバンカーで打ち易い。よい軌道と飛距離が得られ、ソールのプレートが砂に潜るのを防いでくれる。少しグリップ・ダウンし、大振りしないように注意。

クラブを1インチ(2.5センチ)ほどグリップ・ダウンする。これはクラブを砂に潜らせない予防策である。グリップ・ダウンすると飛距離が減る。【註】これも、長めのクラブを選ぶべき理由の一つである。

【編註】ティーからでもフェアウェイからでも、通常1インチ(2.5センチ)グリップ・ダウンすると1クラブ分(私の場合約10ヤード)飛距離が短くなります。

スタンスを広げる。これは下半身を安定させると同時に、腰と脚の動きを制限し、ダフりを防いでくれる。ボール位置はスタンス中央。

 

左足だけを砂に埋め込み、体重のほとんどを左サイドに掛ける。右足をとんとんし、いい基盤を作るが、こちらは砂に埋めないこと。勾配のあるライなら、その勾配に背骨を垂直にして立つ。

3/4スウィングでのクリーンなボールとの接触が望ましい(目一杯のパワーではなく)。テンポに集中せよ。スウィングはスムーズで、リラックスし、コントロールされたもので、バランスのよいフィニッシュであるべきだ。カート道路の上にボールがあるところを想像し、地面をかすめて打つように努める。こうすると、フェアウェイ・バンカー・ショットの軌道と飛距離の感覚が得られるだろう」

(August 27, 2017)

アイアン・フェースのどこで打っているか・その後

「アイアン・フェースのどこで打っているか」(tips_185.html)で、私は自分がほとんどのアイアンのヒール側で打っていることを発見しましたが、これは定期的にチェックすべきだと思いました。

ケチな私は、このチェックに練習ボールを買う必要はないことに気づきました。ボールとクラブフェースとの接触点が判りさえすればいいので、どこへどれだけボールが飛ぼうが関係ない。いや、ボールすら無くてもいいのです。練習マットに付属のゴムのティーを打っても、フェースのどこで打っているかは分ります。大した節約ではありませんが、必要もないのにボールを一篭無駄にするのは馬鹿げています。

さらに、このインパクト・チェックに使用する"Athlete foot"(水虫)スプレー【粉末状】も、アイアンの場合フェース全面に噴霧する必要はなく、下から五本位の溝までで充分であることが判りました(これは節約になる)。

最初のチェックから二週間後、アイアン全部に水虫スプレーを施して三回ずつゴム・ティーを打ってみました。大半のクラブは以前トゥ側に調整したままでOKでしたが、9番アイアンとPWはそれでもまだヒール側で打っていることが判明。

・9番アイアンは、調整ポイントよりさらに8ミリほどトゥ側でアドレスしないと、フェース中央で打てない。
・PWは調整ポイントよりさらに1センチほどトゥ側でアドレスしないと、フェース中央で打てない。

前回、ハイブリッドと3番ウッドは「多分問題無い筈」と除外していたのですが、念のためチェックしてショック!問題大ありでした。
・21°ハイブリッドは、約1.8センチほどトゥ側でアドレスしないと、フェース中央で打てない。
・24°ハイブリッドは、約1.5センチほどトゥ側でアドレスしないと、フェース中央で打てない。
・3番ウッドは、約2.5センチほどトゥ側でアドレスしないと、フェース中央で打てない。

で、それぞれの微調整ポイントにマジック・マーカーで印をつけ、そこでアドレスすることに…。

この調整を施した当日、No.13(168ヤード)上りのパー3。3番ウッドを3センチ短く持ち、新しい目印でボールにアドレス。左膝からダウンスウィングを開始した私のティー・ショットは、オンしてからするすると転げ上がってピンの左横50センチへ。ギミー・バーディ!いかにスウィートスポットで打つことが重要であるかの証明です。同じ日、私のハイブリッドも以前と打って変わって狙った通り真っ直ぐ飛ぶようになりました。

 

これまで私が凡庸なアプローチショットを放っていたのは、スウィングだけが原因ではなく、クラブのライ角にも問題があったようです。こう揃いも揃ってライ角が狂っていると、真剣に考えなくてはならないと思い、顔見知りのクラブ・フィッター(アラバマ州の人)に連絡を取りました。彼は重いライ角調整の道具を車に積んで私のホームコースへ来てくれ、アップライトだったライ角を2°〜3°フラットに調整してくれました。アイアン一本につき$2.50。安い。これでスコアが良くなるなら、ベラボーに安い。

彼が持っているのはアイアンの調整道具だけなので、ハイブリッドやウッドに関しては何も出来ないとのこと。ということは、ハイブリッド二本およびドライヴァーと3番ウッドは、今後とも上記の方法で対処しなければならない訳です。この調整法を開発しておいて良かった。

(August 30, 2017)

右足体重のパッティング

 

[grip]

「脚の長さが不揃いなゴルファーのパッティング・ポスチャー」(8/20)の続編です。不揃いでない方は飛ばして下さい。

なおも鏡に横向きになり、袖無しシャツでストロークの練習をしています。前回の記事は左膝をボール後方に向けると、アドレスで両肩がラインに完璧にスクウェアになるという発見でした。

フォワードストロークでもそのアドレス体勢に戻せるかどうかが問題です。私は終始右肩がしゃしゃり出ないストロークを追求したい。「右肩が出ようが引っ込もうが、インパクトでアドレスと同じラインにスクウェアになりさえすればいいじゃないの?」というのは早計です。インパクトでパターフェースがスクウェアだとしても、パターヘッドの軌道がアウトサイド・インであれば、(それが例えコンマ以下の微細な角度であっても)ボール軌道はそのアウトサイド・インの角度の影響を受けるでしょう。終始両肩がラインにスクウェアであるにしくはありません。

私としては、絶対に右肩が見え隠れしないストロークをしたい。そして研究の結果、左膝をボール後方に向けるだけでなく、右膝も右に向け、ほぼ右足に全体重を乗せると完全に近いスクウェアなストロークが出来ることを発見しました。このポスチャーを正面から見ると、両脚が"≪"のように捩じれたポスチャーになります。しかし、パットは入ればいいのであって、見てくれは関係ありません。

なお、私の場合、以下の項目を遵守する必要があります。
・「遂に発見!ショートパットの秘訣」(8/20、上図)のグリップをする。
・左肘を真っ直ぐ伸ばす。
・右肘も伸ばすが、右腕はあくまでも従なので突っ張らない。
左の膝小僧をボール後方に向ける。【これで両肩が95%スクウェアになる】
体重を右足の右端にかけ、終始そこに保つ。【これで両肩が100%スクウェアになる】
・左手首を緩めない。【緩めるとFLWでなくなり、掬ったり弾いたりするストロークになってしまう】
・左肩を前に出さないバックストローク。
左脚はコンクリートで固められているかのように動かさないでフォワードストローク。【←これがスクウェアなフェースを維持する。重要

上の技法を発見した翌日のラウンド、私はNo.3(270ヤード)パー4で10メートルのボギー・パット(!)を沈め(^^;;、No.9で5メートルの下りのバーディ・パット、No.14でバンカーから1メートルに寄せたバーディ・パット…を手堅く沈めました。【もう一つのバーディについては次項】 この日のパット総数27、計7オーヴァー。ここのところ、5オーヴァー(パット総数28)、7オーヴァー(29)、そしてこの日の7オーヴァー(27)…と、好調が続いていますが、パットが安定しているのがその理由です。

「遂に発見!ショートパットの秘訣」というタイトルは変更すべきかも知れません。何故なら、私は10メートルのパットにも同じグリップ、同じストロークをして成功しているからです。

(August 30, 2017)

右足体重のチッピング

 

この項も、両脚の長さが不揃いでない方は飛ばして下さい。

「右足体重のパッティング」(上の記事)の練習中、右足体重でスクウェアにストローク出来るのなら、チッピングも同じではないか?と考えました。私の記憶にある過去のチップインを思い起こしてみると、何とほとんどが左足上がりのライからの10〜15ヤードのチッピングでした。つまり、右足体重でチップした時のチップインばかりなのです。奇妙な一致ではありませんか!これは重要なヒントです。

これまでの私は(平地の場合)定石通りオープン・スタンスで、60:40ぐらいの左足体重で構えていました。で、これを現在のパッティング・ポスチャーと同じように右足体重にしたらどうなるか?練習してみました。

平地で右足体重にするのはちと違和感がありましたが、この日のラウンド【上の記事と同じ日】ではチップインすれすれが何回かあり、右足体重のチッピングに確たる自信を抱きました。最終ホール(パー4)、私の二打目は砲台グリーンのピン脇左斜面へ。距離は10ヤードですが、私の太腿の高さの砲台なので、15ヤードとして打つべきだと判断。お誂えに自然に右足体重になる斜面なので、余計なことは考えずダイレクトにピンを狙いました。狙い通り10ヤード地点に着地したボールは、とろとろと転がり、チップイン・バーディ!

私の体型には、パットもチップも右足体重が向いているわけです。大発見!

 

(August 30, 2017)

砲台に駆け上がらせるショット

 

私がプレイしているコースのグリーンの多くは砲台です。花道からなら平らなので転がせますが、一寸左右どちらかに逸れると急勾配の砲台に化けてしまうという小憎らしい設計。真っ直ぐ打てない者にとっては100%砲台になると云って過言ではありません。

ロブ・ウェッジを多用する私にとっては、砲台は苦にならないのですが、ピンの位置によってはお手上げになる場合があります。仮にピンまで15ヤードのところにボールがあるとして、ピンがエッジから10ヤード離れていれば楽勝ですが、もしピンがエッジから5ヤードだと、ボールは土手で停止するかピンを10ヤードほどオーヴァーするかどっちかなのです。フェースをオープンにして急速に停止させる練習もしましたが、ショートすることが多く、当てになりません。

で、"run-up shot"(ランナップ・ショット=駆け上がらせるショット)を習得することにしました。

 

1) 勾配がなだらかで、パターで転がせる場合

・Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)のtip。

'465 Golf Lessons by Arnold Palmer'
edited by Earl Puckett (Digest Books, 1973, $4.95)

「ボールとカップとの間の距離が短い場合、土手に打ったボールはグリーンまで届かないが、土手を越えるとグリーンをオーヴァーしてしまったりする。この場合、唯一の選択肢はパットすることだ。

先ず、ライン上の邪魔物を取り除く。グリーンでパットする時と同じようにラインを読む。パッティング・グリップを採用するのもいいだろう。

このショットの鍵は、パットする時同様ボールを掃くように打つことだ。そうすればボールがジャンプせずに転がる。ボールは土手を転げ上がり、ラインを逸れる恐れはない」

 

 

2) 急な崖で、アイアンを使わねばならない場合

・最初はSam Snead(サム・スニード)のtip。

'How to Hit a Golf Ball'
by "Slammin' Sam" Snead (Doubleday & Company, Inc., 1950, $1.95)

「ボールとグリーンとの間に障害物がない場合、多くのゴルファーがグリーン手前に着地させ、ピンまで転がすショットを好む。特に、グリーンが固く乾いていたり、ピッチショットがリスキーな場合に効果的である。

ボール位置は右足の近くで、しっかりした下降気味のストロークをする。身体の大きな動きはなく、手首と前腕部が仕事をする。

私は、このショットをグリーンから20〜30ヤードも離れている場合には推奨しない。草の長さや地面の凸凹が、ボールをラインから逸らしかねないからだ」

・次はFred Couples(フレッド・カプルズ)のtip。

 

'Total Shotmaking'
by Fred Couples with John Andrisani (HarperPerennial, 1994, $15.00)

「グリーンをオーヴァーさせると、急勾配の土手を越えてボールを戻さなくてはならなくなることが珍しくない。この状況をさらに難しくするのは、ピンが二段グリーンの奥にあり、ロフトのあるクラブではピン傍に止めることが出来ないことだ。

この場合のスマートなプレイは、土手の天辺を越える勢いでボールを転がし上げ、なおかつカップを大幅に越えたりグリーン・オーヴァーさせないようなショットをすることだ。

この技はさほど難しくない。ボール位置はスタンス中央にし、左足体重で、手首を固くしたチップ・ショットをする。ボールを先に打ってから、地面に接するようにスウィングする。

このショットの鍵は、この状況に適したクラブを選択することだ。土手がかなり急で草が長ければ、ボールを高く上げ土手の天辺に届かせなければならない。【原注:これは難しいショットだ。多過ぎるロフトによって、土手全体を飛び越してしまう恐れが生じるからだ】この状況下では、8番か9番アイアン(ピッチング・ウェッジも可)を選ぶのが妥当であろう。

もし土手がさほど急でなく、草も短ければ、ロフトの少ないクラブでボールを土手の下方に着地させ、グリーンへと転がし上げる。ここでの選択肢は、5番、6番、7番アイアンが相応しい。

土手を上げるショットをする際よくある傾向は、あまりにもボールを強く打ち過ぎ、土手は楽々越えるものの、カップを大幅にオーヴァーさせてしまうことだ。練習以外に、このショットをマスターする途はない」

 

[icon]

市営ゴルフ場のNo.14(440ヤード)パー5は、グリーン・オーヴァーさせるとピンの下半分が見えないほどの崖下に転げ落ちてしまいます。ロブ・ウェッジで乗せようとすると、カップを大幅に通り越してしまうのが常。で、ある日24°ハイブリッドを試したのですが、短かいと土手で停止、長いとカップを大幅にオーヴァー。試みに8番アイアンを使ってみると、何度かピン傍に寄りました。たまたまですが、上の記事を読む前にFred Couples(フレッド・カプルズ)と同じ結論に達したのでした。今後、この"run-up shot"(ランナップ・ショット)をいつでも使えるよう、引き出しに入れておくつもりです。

【参考】「元祖・チッパット」(tips_72.html)

(September 03, 2017)

あなただって、左右の脚の長さが違うかも

 

脚の長さが違うことを、専門的にはLLD(Leg Length Discrepancy=脚長差)と称するそうで、インターネット検索で沢山記事が見つかります。一例:https://thesports.physio/2014/01/11/the-long-and-short-of-leg-length-differences/

[LLD]

下肢の左右の長さが1センチまで異なる人間は、人口の60%〜95%まで存在するそうです。【出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21157756】ですから、これを読んでいるあなたも、その95%に入っているであろうことは想像に難くありません。そして、多くの場合右脚が左より短いのが一般的だそうです。【出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1232860/】私の場合は、右の方が約1センチほど長いのですが。

では、どれだけのゴルフ・インストラクターがLLDとその対策について指摘しているか?

パッティングに特化した以下の本を調べてみました。筆者はDave Pelz(デイヴ・ペルツ)、Todd Sones(トッド・ソーンズ)、Stan Utley(スタン・アトリィ)そしてDr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)らです。

'Dave Pelz's Putting Bible' by Dave Pelz (Doubleday, 2000)
'Light-Out Putting' by Todd Sones (Contemporary Books, 2000)
'TheArt of Putting' by Stan Utley (Gotham Books, 2006)
'The Putting Prescription' by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009)

上のリストに漏れているパッティング・コーチはMarius Filmalter(マリウス・フィルマルター)ぐらいのものですが、彼はまだ本を出していません。

呆れました。これらの誰一人、脚の長さがストロークに影響する…とか、脚の長さの違いによって体重の掛け方を変化させよ…などと書いていません。一行すら。

'Putt to Win' by Dave Stockton (Simon & Schuster, 1996)

パット名人Dave Stockton(デイヴ・ストックトン)は、「自分は15歳の時の事故の後遺症で、左脚が1インチ(約2.54センチ)短い」と書いているくせに、彼の本に脚の長さの違いで体重の掛け方を変えよ…などという記述は一言も無し。彼は「自分の脚の長さが不揃いであることに、26歳(プロ入り三年後)まで気づかなかった」と書いていて、その後は左だけ高くした靴を履いているそうです。そんな事情があるなら、世の中の不揃いの脚を持つゴルファーへの助言があってしかるべきなのに…。

'Perfectly Balanced Golf' by Chuck Cook (Doubleday, 1997)

インストラクターChuck Cook(チャック・クック)は、ロング・ゲームからショートゲームまで、全てバランスが大事だと力説していながら、脚の長さの違いとバランスについて全く言及していません。

私の知る限り、脚の長さの相違の重要性に触れたプロは、Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)とGeorge Knudson(ジョージ・ヌードスン)の二人だけ。インストラクターでは「体型別スウィング」の共著者たち(三人)、および女性インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)だけです(その彼らもパッティングについては全く触れていません)。世界中に脚の長さが異なるゴルファーは数え切れないほど存在するというのに、この片手落ちはどういうことか。

フル・スウィングでも正確な方向性を得るため、脚の長さの違いを克服することは重要ですが、着地点の面積に余裕があるうちはまだ許容度が高い。しかし、直径10.8センチのカップを狙う段になると方向性は非常に精密でなくてはならない。それなのに、脚の長さの違うゴルファーのパッティング・メソッドは全く無視され続けて来たのです。私の「右足体重のパッティング」(8/30)は、世界で初めて公にされたLLDとゴルフ関連のtipかも知れません。

初めてかどうかはどうあれ、私の発見したLLD克服パッティング技法が凄く役に立っていることは間違いありません。あなたの両脚の長さの差が5ミリ程度なら問題無いかも知れませんが、1センチも違ったらその克服法を模索すべきです。

【参考】
・「脚の長さの違いは、両手の向きに影響する」(tips_169.html)
・「右脚が左より長いゴルファーへの警告」(tips_169.html)

【おことわり】画像はhttps://static1.squarespace.com/にリンクして表示させて頂いています。

(September, 2017)

Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)のダウンスウィング

このテーマでは過去にいくつかの記事を掲載して来ましたが、いずれも第三者の観察によるものでした。今回の記事はSergio Garcia(セルジオ・ガルシア)本人の言葉を第一部とし、われわれがそれを真似する場合の示唆を、第二部で最近人気のインストラクターBrian Manzella(ブライアン・マンゼラ)が解説します。

[Garcia]

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
edited by David DeNunzio(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95)

(by Sergio Garcia)

「私(Sergio Garcia)の考えでは、スウィンングの最中に行う最低のことが二つある。1) バックスウィングのトップから早期に肩を廻してしまうこと、2) ヒッティング・ゾーンに達する前に、左前腕とクラブシャフトとの角度を失うこと…の二つだ。最初のミスはひどいスライスかプルに繋がるだけだが、二番目のミスはラグ(左手とクラブシャフトが形成する角度)を失い、即座にあなたをフォーサムの中の最も飛ばないゴルファーにしてしまう。

私は、一旦バックスウィングのトップに達したら、切り返しが済むまで右肩を身体の後ろに留め続けようと考える。私のスウィングが最高にいい時、私の肩はボールに向かって動く最後のものだ。

スウィングのトップで、こう考えるべきだ。あなたは空からぶら下がっている長く重い鎖を掴んでいる。ダウンスウィングを始めながら、その鎖を真っ直ぐ下方に引っ張る。鎖は重いので、強く引かねばならない。このイメージは、肩を後方に留め、きつめのラグを保ち続けさせてくれる」

(by Brian Manzella)

「Sergio Garciaのアイアン・スウィングはゴルフの歴史の中のトップ10(多分トップ5)に入るものだ。少なくとも、彼の低いプレーンは過去40年の中でベストである。彼の動きを真似すれば、完璧なアイアン・ショットが打てる。

[Hogan]

多くの人がSergio Garciaの凄まじいクラベヘッド・ラグを彼のスウィングの鍵として特徴付けるが、彼らはポイントを見失っている。よいゴルファーなら誰でもラグを作り出すことが出来るが、彼のようにリリースする者は一人として存在しない。ラグは出来ても、多くの者はインパクト・ゾーンでクラブ・ハンドルを引き摺る。Sergio Garciaは全てを解き放つ。彼のスウィングが実際にいかにダイナミックであるかについて、彼は充分に評価されていない。

私はSergio Garciaのスウィングを、あらゆる速度の時のあらゆる角度から分析したが、彼は絶対に地面に向かって引っ張り下ろしていない。彼の手は下方に向かうが、同時にターゲット・ラインへと向かうのだ。手は彼の右側へ動く。事実上、トップ以降、彼ほど手をターゲットから遠ざけるように動かす者はいない。もし彼が上で述べているように鎖を引っ張り下ろしているとしたら、45°の角度で引いているのだ。

私の助言:Sergio Garciaの助言のように両手を落とす際、両手を右耳から遠ざけ、ターゲット・ラインの後方へと動かすよう試みるべきだ。これは、あなたの背をターゲットに長く向け続け、その恩恵に与ることが出来る」

[icon]

Sergio GarciaのスウィングはBen Hogan(ベン・ホーガン)そっくりと云われていますが、本家Ben Hoganもダウンスウィングで後方にグリップ・エンドを引っ張っています(写真)。

【参考】「スウィング速度を増す方法」(tips_179.html)

【おことわり】Sergio Garciaの画像はhttp://dwgyu36up6iuz.cloudfront.net/にリンクして表示させて頂いています。


(September 06, 2017)

ダウンスウィングの順序を守れ

 

人気インストラクターBrian Manzella(ブライアン・マンゼラ)による、腰→手→クラブヘッドの順でインパクトに到達せよ…というセオリー。

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
edited by David DeNunzio(Time Home Entertainment In., 2013、$29.95)

「切れ味のいいコンタクト、あるいはコンプレッションを作り出す(=ボールを押し潰す)唯一の方法は、正しい順序でダウンスウィングを行うことである。良いスウィングでは、腰が先ずボールに到達し、次いで手、最後にクラブヘッド…という順番だ。不幸にして、多くのアマチュアは全く逆のことをする。次の簡単なドリルで正しい順序を学ばれたい。

1) 三個のボールをスウィング弧に沿うように並べる。一個目はインパクト位置、二個目をその60センチ先に、三個目を二個目のさらに60センチ先に配置する。三個目は左足の延長線上に揃うように弧を描く。

2) スローモーション・スウィングをする。手とクラブヘッドが後方に遅れている間、最初に腰(ベルト・バックルを目安にすること)がインパクト位置のボールに達するように努力する。

3) 腰(バックル)が二番目のボールを向くまで、手はインパクト位置のボールに達してはいけない。手が早めに達してしまうと、望ましいコンタクトとコンプレッションを得ることは出来ない。

4) 腰が三番目のボールを向く頃、やっとクラブヘッドがインパクト位置に到達する。この腰、手、クラブヘッドの連続は、ソリッドなヒッティングの紛れもない特徴である」

 

(September 06, 2017)

シニアは長尺ドライヴァーで飛ばせ

「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち二人が執筆したシニアのための教本から、長尺ドライヴァーを打つ時の心得。

'Play Better Golf for Seniors'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney (Henry Holt & Company, Inc., 1998, $29.95)

「シニア・ツァーのRocky Thompson(ロッキィ・トンプスン、写真)は飛ばないプロと看做されていたのだが、52インチのドライヴァー(これは、われわれには長過ぎる)に替えてから飛ばし屋の一人となった。60歳代のGary Player(ゲアリ・プレイヤー)も新兵器に替え、彼の全盛期より飛ばしている。

長尺シャフトに適応するためには、アドレスで背を伸ばして立つ必要がある。シニアは通常股関節から上体を折る必要があり、背を伸ばすのはそれと相反する行為なので問題が生じる。その解決法は、膝を曲げる角度を減らすことだ。もう一つ、左腕を肩からぶら下げるのでなく、胸の上に置く。

シニアのスウィングには、それまでより広いスタンスが必要。それに加えて、右爪先を開いて快適なバックスウィングが出来るようにする。

通常の体重配分(右に70%)でなく、右足に80%掛け、その体重を右足の内側(拇指球から踵にかけて)に保ち続ける。これは長尺ドライヴァーを振るための安定した基盤を形成する。

飛ばそうと思ってグリップ圧を強めてはいけない。クラブを締めつけると正しい手首のコックを妨げ、スウィング弧を狭めてしまい、飛距離を増すという目的を阻害してしまう。それはまたテコの作用をも台無しにする。軽いグリップ圧と長尺ドライヴァーによって、あなたのコックのタイミングは以前より遅めになるだろう。それに逆らうことなく、クラブヘッドの勢いに反応してコックされるままに任せること。

両腕を肩から自然に垂らし、首と肩をリラックさせることも大事である。両腕をボールに向かって伸ばすとパワフルに感じられるかも知れないが、それはバックスウィングで体重を爪先に移してバランスを崩すことになりかねない。

 

高くティーアップし、最適の軌道で打ち上げる。ボールの下部とヘッドの上端との間に6ミリの空間を設けること。

長いクラブだからといって、大きい弧で振ろうとしないように。残念ながら、長尺による大きいスウィング弧は、ボールとのソリッドなコンタクトを難しくする。大きなスウィング弧はヘッドスピードを増すのだが、例えばトゥによる貧弱なコンタクトをしたりすると、飛距離増どころか飛距離減を招いてしまう。インパクト・シールや水虫スプレー(粉末)などを用いて、毎回ヘッド中央でソリッドに打てているかどうか確認すること。ヘッド中央で打てなければ、飛距離は稼げない。ソリッドなコンタクトを得るためには、自分の能力の範囲内のスウィングで、ゆっくりダウンスウィングを開始し、次第に勢いを増すように。

以上の調整を行えば、長いクラブが自ずと飛距離増という目的を達成してくれる」

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私のR11s(シニア・シャフト付き)の長さは45.75インチです。これは、43インチが標準だった時代に較べれば長尺と云えますが、「46インチ以上が長尺である」という説もあるので、長尺一歩手前というのが正確かも知れません。いずれにせよ、このクラブが私に飛距離を稼いでくれているのは間違いありません。

私は左手を伸ばしてアドレスしています。私にはどのクラブもヒール側で打つという悪い癖があるので、腕・手を一杯に伸ばしてアドレスすれば、それ以上伸びないのでヒールで打たずに済むからです。

私のボール位置は左肩突端の前方で、8センチのティーを浅く地面に刺し、ヘッドをその20センチ後方で構え、そのフェースのすぐ前の地面を凝視しながらスウィングしています。これだとヘッドを構えた地点がスウィング弧の最低点となり、その20センチ前方のボールをアッパーに打てます。間違ってボールそのものを凝視してしまうと、"eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と腕の協調作業)が裏目に出てアッパーではなくフラットに打ち、しかもフェースがクローズになってプルする危険があります。20センチ後方で構えた場合、ボールを見るのは厳禁です。

私はかなり緩いグリップをしており、長くストレートなテイクアウェイの後、肩を廻し始めますが、意識的にコックしようとはしません。その肩の捻転もボール位置まで(90°)を限度とし、それ以上廻さないようにしています。私がアイアンで雑草を抉る練習をした時、90°の捻転をした時に最も正確なコンタクトが得られることを発見したからです。これはドライヴァーでも同じ。ですから、最大捻転を目指す右爪先オープンは必要ありません。

【参考】「シニアの飛距離増強法」(tips_153.html)

 

(September 13, 2017)

ワイド→ナロー→ワイド…とスウィングせよ

インストラクターRon Gring(ロン・グリング)による、エフォートレスかつパワフルにスウィングする秘訣。

'Golf Magazine's Play Like a Pro'
by Dr. Joseph Parent (Doubleday, 2002, $17.95)

「スムーズなテンポでよいスウィングを遂行するには、スウィングの間に"lag"(ラグ:左手とクラブシャフトが形成する角度)を作り出す必要がある。その意味するところは、ダウンスウィングの間に、曲げた右腕の角度を時期尚早に伸ばしてしまうのではなく、その角度を増すということだ。私はその正しい動作を『ワイド→ナロー(狭め)→ワイド』と呼ぶが、それは出来るだけワイドなスウィング弧のバックスウィング、次いでダウンスウィングの途中では右腕を曲げ(ナロー)、インパクト・ゾーンでそれをパワフルに伸ばす(ワイド)ことに由来する。

1) ワイドに

クラブを引きながら、左腕を地面と平行にし続ける。これはバックスウィングで両腕を伸ばすのを助けてくれ、後にダウンスウィングでラグとスピードを作り出す正しい位置にセットする鍵となるものだ。

2) ナロー(狭め)に

トップからは、地面と平行だった左腕の位置を再現するように努めるが、右肘を積極的に曲げながら行う。右肘を引っ張り下ろしつつ、腰と上体を回転させる。

3) 再びワイドに

ボールに向かってスウィングしながら、両腕を伸ばして鞭を鳴らすアクションをする。この最後のワイドな形はスウィング速度を抜群にする。曲げていた右肘に蓄えられていたエネルギーを、インパクト・ゾーンで両腕を伸ばすことによってボールに伝達する感じを抱くべきだ。両腕を出来るだけ長く真っ直ぐにし続けられれば最高」

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私はこの『ワイド→ナロー→ワイド』的スウィングを始めて数年になります。トップへ向かいながら右肘を畳むと、梃子(テコ)の作用で快打が得られることに気づきました。「体型別スウィング」(tips_54.html)によると私の体型は「テコ型」なのですが、私は手首のコックがテコの作用を生むのだとばかり思い込んでいて、ずっと右肘を畳むことに積極的でありませんでした。いざ右肘を折ることの御利益を感じて初めて、「テコ型というのはこういうことだったのか!」と、その命名の正しさにガッテンしています。

【参考】「レイト・ヒットとコックの関係」(tips_171.html)

(September 13, 2017)

理想のテンポは、水の入ったバケツを振る感じ

 

"swing key"(スウィングの鍵)とか"swing thought"とか呼ばれるプロたちの「留意事項」を集大成した本より。今回はLPGAツァーで活躍したCindy Figg-Currier(シンディ・フィグ=カリアー、1954〜)の巻。彼女はlPGAツァー他で五勝しています。

[Marshall]

'Swing Thoughts'
edited by Don Wade (Contemporary Books, 1993, $12.95)

「私は、ゴルフ・スウィングにはタイミングが全てであると考える。あなたが世界で一番の技巧を持てたとしても、いいタイミング無しでは安定してボールを打つプレイヤー足り得ない。反対に、いいタイミングの持ち主は、多少のスウィングの欠点をカヴァー出来る。

【編註】タイミングとは?ゴルフ・スウィングは、ボールから遠く離れた遠距離通勤の手(+腕・クラブ)と、非常に近距離で自転車通勤のような腰を、時間的に一緒にボール位置にゴールインさせなければならないのですが、その両者のスピードを調整する機能がタイミング。

私の先生であるHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック、1904〜1995、伝説的インストラクター)は、プレイヤーたちがよいタイミングを習得する助けとなる素晴らしいイメージを持っていた。彼は、水が一杯入ったバケツを振るイメージを持てと説いた。バケツをあまりにも早く振ると、ダウンスウィングで水がこぼれてしまう。理想はゆっくり振り子のように、バックスウィングのトップで休止するかのように振る。こうすると、切り返しでのギクシャクした動きを排除出来る。

1991年のあるトーナメント。私はBetsy King(ベッツィ・キング)を三打差で追いながら最終ラウンドに突入した。そのゴルフ場は古風なデザインで、フェアウェイもグリーンも狭く、秀でたショット・メーキングが必要だった。私はひどいスタートを切り、最初の五ホールの四つでボギーを叩いた。こういうスタートだと、簡単に忍耐心と集中心を失い、スウィングがどんどん早くなってしまうものだ。

お粗末なスタートにも関わらず、私は分別を失うことなく、いいテンポを保ち続け、最後の12ホールを1アンダーでプレイ出来た。私が抱いていたスウィングのイメージは、Mr. Penick(ミスタ・ピーニック)の水の入ったバケツを振るのと同じスローなテンポであった。それは又しっかりした、軽いグリップ・プレッシャーを保つ助けともなってくれた。クラブを過度にきつく握ると、プレイしようとするショットの感覚を得るのが不可能になる」

【参考】
・「Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の遺産」(tips_12.html)
・「スウィング・キイ大全集・前篇、後篇」(tips_46.html)

(September 13, 2017)

自分の得意な距離を残す戦略

 

長年ツァーの賞金王だったTom Kite(トム・カイト)が説く、コース・マネジメントの秘伝。

'How to Play Consistent Golf'
by Tom Kite with Larry Dennis (Pocket Books, 1990, $14.00)

「ゴルフは将棋のようなものだ。将棋を指す時、四手先、五手先、あるいは十手先を読まずに桂馬を動かしたりしない。ゴルフでもクラブを抜く時、それで打った後、次のショットに効果的な位置が得られるかどうか、先を読む筈だ。

例えば、私はグリーンへ70ヤードのショットが一番得意である。私は30〜40ヤードからよりも、70ヤードからなら何度でも繰り返しピン傍に寄せられる。何故かと云うと、70ヤードのショットは私にとって60°ウェッジのフル・スウィングだからだ。フル・スウィングは部分ショット(3/4とか1/2など)よりずっと正しい距離を打てる。部分ショットには、スウィング速度やスウィングの長さなど不確定要素が多過ぎ、必要な距離を安定して打つのが難しい。

私が二打で乗せられないパー5をプレイする時、二打目をカップまで70ヤード残すように努力する。カップまでの距離から70ヤード引いた距離が、私の二打目の距離である。ある年のthe Masters(マスターズ)でこの作戦を実行し、数ヤード以上打ち損なうことはなかった。何かこのような努力を試みて達成すると、凄く気持ちがいいものだ。気持ちがいいだけでなく、完璧なショットは自信をさらに増幅し、素晴らしい三打目をお膳立てしてくれる。

だから、あなたの長所を見極め、それを基礎にそのホールをどうプレイするか決断せよ。あなたが二打で乗せられないパー5で、単にグリーン近くのどこかに二打目をぶっ飛ばそうとしてはいけない。どこに二打目を到達させるか計算せよ。多分、あなたの得意な距離はグリーンまで50ヤードかも知れない。その次に得意なのは100ヤードかも。というわけで、グリーンに乗せられたら…という甘い期待で3番ウッドを打って、ボールがグリーンサイド・バンカーで息絶えるような真似をしてはならない。バンカーに入るより50ヤード離れている方がマシである。バンカーに入るより100ヤード離れている方がマシである。だから、バンカーに入れないように気をつけよ。

私は常に自分の長所を考慮に入れ、短所を回避する。私は自分の得意な距離が残せるなら、ティー・グラウンドから3番ウッドを打つ。もしドライヴァーが私の不得意な距離を残すとなれば、私はドライヴァーを使わない。だから、コースをよく知っていればいるほど助けとなる。初めてのコースでも、どこにハザードがあるか、グリーンの勾配、ピンの位置、そしてヤーデージを見ることで計算出来る筈だ。コース設計家がどうあなたを惑わせようとしているか、見極めよ。そして彼にしっぺ返しするのだ」

【参考】「2/3、1/2、1/3などで振るウェッジを多用せよ」(tips_183.html)これは上の記事と反対で、出来るだけ短く寄せるべしという理論。

 

(September 20, 2017)

John Daly(ジョン・デイリィ)のチッピング

 

全盛期のJohn Dalyは飛ばすだけではなく、ショートゲームの名手でもありました。そうでなければ二つのメイジャー(1991年のPGAと1995年の全英)に優勝出来るわけがありません。彼の本からチッピングの項を紹介します。なお、彼は自著の中では"third wedge"(第三のウェッジ)と称しているのですが、これは通常のアイアン・セットに含まれるピッチングウェッジとほとんどのゴルファーが携行しているサンドウェッジに次ぐもの…という意味の「第三」で、60°ウェッジを指しています。

'Grip It and Rip It!'
by John Daly with John Andrisani (HarperCollins, 1992, $13.00)

「大方のゴルフ本は、フリンジからボールを宙に浮かべてグリーンに乗せ、そこからカップまで転がせるクラブを、ウェッジから6番アイアンまで間のどれかから選べ…と云っている。だが私は、短いチップを沈めたい場合、一本のクラブに慣れ親しみ、目隠ししてでもチップイン出来るぐらいになるべきだと信じている。そして、一番のお薦めは60°ウェッジで、それが無いのならサンドウェッジだ。60°ウェッジは、例えば7番アイアンなどよりはキャリーが多く、ランが少ない。

・当然だがターゲットを見易いオープン・スタンスを取る。スタンス幅は狭め。

・クラブフェースはターゲットにスクウェア。

・グリップは軽くリラックスさせるが、手首は緩めない。

ボール位置は右爪先前方。この伝統的でないボール位置の理由については後述。

クラブシャフトを前傾させる。【編註:本の写真ではシャフトをターゲット側に傾げているものの、両手は身体の中央】

 

・体重は左サイドに70%掛け、スウィングの間じゅうそれを変えない。

ボール位置をスタンス後方にする理由は、絶対確実な結果が期待出来るからだ。チップはディセンディング・ブローでボールを打たねばならない。後方のボール位置は、先ずクラブヘッドが下降の最中にボール後方を打つことを確実にする。これはダフりを防いでくれる。第二に、ハンドファーストで構えることにより、クラブの実効ロフトを10°ほど減らす。事実上、60°ウェッジはピッチングウェッジに変身する。よってボールは低く飛び、このクラブ本来のロフトよりもランが増える。

私が60°ウェッジでチップしないのは、少なくともグリーンから16ヤード距離があるか、急な上り坂でボールがすぐ上昇してしまう状況だ。この場合、私は大抵ピッチングウェッジを選び、上に述べたのと同じ方法を用いる」

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60°ウェッジ一辺倒なのは私も同じですが、私は原則としてボール位置はスタンス中央、ランを多めにしたい時だけスタンス後方にしています。と云っても、John Dalyのように右爪先前方という過激な位置ではなく、スタンス中央の僅か後方ですが。

(September 20, 2017)

着地点ターゲットを用いてチッピング練習

ヨーロピアン・ツァーのThomas Levet(トーマス・ルヴェ、フランス)による練習法。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「アマチュアの多くはグリーン周りでチップショットする時の強さの判断に苦労する。なぜかと云うと、彼らはどの程度強く打てばいいか、単純に知らないからだ。寄せワンを得る代わりに、彼らはグリーンエッジから三打も四打も費やしたりする。コトを簡単にするため、私は常にグリーンエッジの内側1メートルを着地点として狙う。

練習する際、着地点となる地面(グリーン)に紙切れなどでマークする。【紙が飛ばないよう、ティーで地面に固定するとよい】どのぐらいの強さで打つべきか知るため、目印の紙までボールを放る。実際にチップする時も、スウィングの長さを判断するため、手で投げた感じを利用する。

その後、全体の長さを変えるには単純にクラブをチェンジする。ピンが近ければサンドウェッジで目印の紙を目掛けて打つ。この場合、ボールはあまり転がらない。ピンが遠ければ7番アイアンなど、ロフトの少ないクラブを選ぶ。

同じ振幅のスウィングを用いて異なるクラブで目標の紙を打つ。この練習によって、あなたのキャリーと転がりの判断を向上させることが出来る」

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これは私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」(tips_169.html)の正反対の技法です。私は一本のクラブ(60°ウェッジ)を用い、距離に応じてクラブを持つ長さとバックストロークの長さを変えます。最近は「完全版」のように細かい調節はせず、シャフトが地面に平行なバックスウィングと、左前腕が地面と平行になるバックスウィングの二つを主に使っています。この二つの位置が最も明快だからです。距離がその二点のどれかに合わない時は、他のポイントも使いますが…。この手法による私のピッチングとチッピングの距離の正確さは、仲間内で定評があります(方向も正確だといいのですが)。

 

上の記事は、極めてオーソドックスなチップ・アンド・ランで、特に素人向けとして推奨されているものです。Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)も長い間この方法で寄せていましたが、彼女が男子PGAツァーに参加した時、男子プロの多くがロブ・ウェッジ一本で寄せているのを目にし、彼女もそれに倣うようになりました。

【参照】「Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)の寄せ」(tips_80.html)

(September 20, 2017)

コースでの七つの難問、その解決法

 

U.S.オープン二回をはじめ全14勝を挙げたAndy North(アンディ・ノース、1950〜、現在CATVのスポーツ・チャネルであるESPNのゴルフ解説者)の、ラウンドでわれわれを見舞うトラブルと処理の仕方。

'The Long and the Short of It'
by Andy North with Burton Rocks (Thomas Dunn Books, 2002, $24.95)

「・難問その1:ディヴォット・ホール

パニクるな。人々が最初に考えるのは『わあ、どうやってボールを上げたらいいんだろう?』というものだが、上げようとしてはいけないのだ。掬い上げるのではなく、スクウェアに、しかもソリッドにヒット・ダウンすべきだ。6番アイアンの距離だったら、5番アイアンを選び、短く持つ。ボール位置は僅かに右足寄り。ボールを地面に叩き込むように打ち下ろす。こうするとクラブフェースに備わったロフトが活かされ、クラブが責任を持って任務を遂行する。クラブフェースがディヴォット・ホールからボールを上げてくれる。掬い上げてはならない。そんなことをすれば、ダフるかトップで、20〜30ヤード転がるゴロにしかならない。

・難問その2:短いラフ

あなたのボールはフェアウェイに着地したが、転がってファースト・カット(フェアウェイよりは長いが、ラフよりは短く刈られた中間地帯)に入ってしまった。ラフとは云えファースト・カットでボールが草の上に乗っかっているのなら、問題なく長いクラブさえ使える。ただし、ボールとクラブフェースとの間に草の葉が挟まる状況だと『フライヤー・ライ』となり、草がグルーヴ(フェースの溝)を塞ぐためスピンがかからず、野球のナックル・ボールのようにどこへ飛ぶか分らなくなり、予測以上にボールが飛んだりする。フライヤー・ライの場合は、ランを見込んで短いクラブを選ぶこと。

・難問その3:深いラフ

 

グリーンまで何ヤードであろうと、ヤーデージのことなんか考えず、フェアウェイに戻すのがベストの戦略である。ロフトの多いクラブを選ぶのが鍵。刈ってない芝などで深いラフの練習をしておくことが望ましい。

・難問その4:木

誰が云い始めたのか知らないが、"Trees are 80% air."(木は80%空気である)というのは、信じられないほど馬鹿げた言い草だ。木の上を越えようとか、木の間を抜けようとした結果は、ゴルファーの顔面に跳ね返って来るか、足元に転げ戻って来るものだ。そして8などのスコアを記録してしまう。経験豊富なゴルファーは、木の周りをスライスさせたりフックさせて迂回出来るが、一般ゴルファーはフェアウェイにチップして、いいライを得るのが賢明である。

・難問その5:灌木や薮の下

バックスウィング出来ないとか、出来たとしても葉っぱが落ちてライの改善というルール違反になる状況。ボールから離れて素振りすること。ハーフ・スウィングでフェアウェイに戻すことを考える。ハンデ25の人がこのようにプレイすれば、ラウンドにつき10打は減らせる筈だ。いいプレイをしているのにスコアが悪いという場合は、得てしてこういう場合の賢明でない決断のせいだ。私のアドヴァイスは頭を使えというものだ。ボールをフェアウェイに戻せば、悪くてもパーかボギーが得られる。こういう場面でのボギーを受け入れられれば、全体のスコアを少なく出来る。

・難問その6:あなたの頭

時々ラウンドが脱線するのは悪いショットのせいではなく、あなたの頭の悪い思考法のせいである。多くのゴルファーがあるホールで躓くと、元の精神状態に戻るまで4〜5ホールかかったりする。5ホールと云えばラウンドの1/3に近いのだから、一度の怒りで30%以上不調を持続させるのは賢明ではない。馬鹿げた決断にではなく、賢い判断にこそゴルフの神様は微笑んでくれるものと考えるべきである」

(October 01, 2017)

グリーン周りの深いラフから寄せる

筆者Paul McGinley(ポール・マギンリィ、アイルランド)は2014 Ryder Cupの欧州チーム・キャプテンも務めたヨーロピアン・ツァーの代表的プロ。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「このショットを成功させる鍵は、可能な限りのコントロールでラフからボールを出し、グリーンへと着地させることだ。それを達成するには、ボールをフリンジかグリーンエッジにピッチし、ピンへと転がす必要がある。フリンジまでの距離が短いと、つい短めのスウィングをしがちになり、長いラフにクラブを絡めとられてしまう。だが、私のメソッドと充分な練習をすれば、このショットも難しくなくなる。

・60°ウェッジを選び、クラブフェースをオープンにする。

・狭いスタンス(両足の間隔は数センチ)。

・ボール位置はスタンス中央の後方。これはディセンディングでクリーンな一撃をボールの後ろに与える。

・体重の70%は左サイドにかけ、身体をそちらに傾げる。

・身体、足と肩は、ターゲットラインのやや左を狙う。

・肩を充分に廻すが、両手が腰の高さを越えないトップ。

・クラブフェースをインパクトまでオープンのままに保つため、手首を返してはならない。ロフトを保てばボールをラフから飛び出させることが出来る。

・ボールの後部に向かって加速する」

 

(October 01, 2017)

ゴロの真の原因を知れ

ゴロ("grounder")の別名は"worm burner"(ワーム・バーナー=みみずを焼き殺すショット)。みみずはゴルフ場の土壌を豊かにする益虫なので、殺さないようにしましょう(^^;;。以下はインストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)による、みみずの保護対策。

'Better by Saturday: Iron Play/ Long Game'
edited by Dave Allen (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)

「多くのゴルファー(特に初心者)の間に、トップの原因は掬い打ちだという誤解がある。それは厳密に云うと正確ではない。大方のトップ・ショットは、セットアップやテイクアウェイにミスの原因を辿れるからだ。

原因の一つは、あまりにもボールから遠くに立つことで、これはボールに届かせるために腕に緊張を作り出す。腕が緊張すれば筋肉が縮み、腕を短くしてボールから遠ざけてしまう。アドレスでは、両肩が爪先の上になるまで上体を股関節から折って前傾する。背骨を出来るだけ真っ直ぐ伸ばし続けること。こうすれば、自然にスウィングするに充分なゆとりを腕に与える。

セットアップがしっかりしたら、テイクアウェイをチェックしよう。ゴルファーの中には、腕で斧を使うようにクラブを持ち上げる者がいる。こういう人は、ターゲットラインに沿ってクラブを地面の上を低く引くことを学ぶべきだ。これはスウィング弧の最低点で長くフラットにスウィングし、ミスの許容範囲を最大限にすることを促進する。

低いテイクアウェイを身につけるには打とうとするボールの6インチ(約15センチ)ターゲットライン後方に、もう一個のボールを置き、テイクアウェイでそのボールを押し退けるようにテイクアウェイする」

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ゴロは、ダフって地面で跳ね返ったクラブヘッドが結果的にトップしてゴロになる場合と、最初からボールの天辺にクラブヘッドが向かう場合の二つが考えられます。

ダフるのは体重移動のミスが原因で、右に移動した体重が左に戻らなかったせいでしょう。ボールの天辺を叩くのは、肉体的・精神的どちらかの理由で、ボールにアドレスした時よりクラブヘッドが上がってしまうせいです。インパクトで伸び上がってしまったとか、チキン・ウィングで腕を縮めてしまった等々。伸び上がるミスは、太陽を背に受けながら素振りして頭の動きを監視するか、正面に立った友人にクラブで頭を抑えて貰うという手段で解決出来ます。

 

メンタルな原因は、ちと厄介です。裸地からのショットなど、われわれは潜在意識的に手・腕を痛めることを恐れ、地面を打ちたくなくてボールを掬い打ちするのかも知れません。バンカーでトップするのは、「クラブで砂に触れてはいけない」というルールが頭にこびりついていて、つい手が縮んでしまうのかも知れない。私は「腕を伸ばしてスウィングしよう!」と決意することで解決しています。

【参考】「ゴロの根絶」(tips_82.html)

(October 01, 2017)

プレショット・ルーティーンの重要性

 

以下の記事の筆者Mike Reid(マイク・リード)は、PGAツァー他で九勝を挙げているプロ。

'Focused for Golf'
by Wayne Glad, PhD and Chip Beck (Human Kinetics, 1999, $16.95)

「私はプレショット・ルーティーンを固く信ずる者だ。それは安定したゲームへの鍵であると考える。あなたがボールに歩み寄るルーティーンを構築すれば、あなたの脳はいつ打つべきか知ることが出来る。あなたのボールへの接近が不規則で不安定なものだと、脳はいつ打つべき時が訪れるのかさっぱり判らず、あなたのゲームも不規則で不安定なものになってしまう。

1986年、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がthe Masters(マスターズ)の優勝へと突き進んでいたのを見た人が、私に云った。Jack Nicklausがバッグからクラブを抜いて打つまでにきっかり13秒だったと。12秒は稀で、14秒も稀であった。Jack Nicklausとは似ても似つかぬ性格のLee Trevino(リー・トレヴィノ)やLanny Watkins(ラニィ・ワトキンス)らのように、ボールに向かったらすぐ打つ派であっても、彼らのプレショット・ルーティーンも毎回同じである。彼らのルーティーンは署名のように独自なものだ。

あなたはプレショット・ルーティーンに、一打に集中するための何かを含める必要がある。それがあなたの脳に、いつ打つべきかを教える。それは毎回ほとんど同じであるべきだ。よいプレショット・ルーティーンは、コースで考えることの一つを減らしてくれる」

 

(October 04, 2017)

Moe Norman(モゥ・ノーマン)のプレショット・ルーティーン

カナダの伝説的異才Moe Norman(モゥ・ノーマン、1929〜2004、写真)とプレイした経験のあるインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)の証言。Moe NormanはSam Snead(サム・スニード)すら舌を巻いたほど完璧にストレートなボールを打ち、"pipeline Moe"(パイプライン・モ−)と云うニックネームが付けられました。

【参照】「Moe Norman(モゥ・ノーマン)の半生」(tips_85.html)

'The 3 Scoring Clubs'
by Jim McLean (Gotham Books, 2005, $30.00)

「私はトーナメントのラウンドで、かつてないボール・ストライカーとして有名だったカナダのプロMoe Norman(モゥ・ノーマン)と数え切れないほど一緒にプレイしたことがある。それは70年代だったが、彼は依然として絶頂期であった。

彼と彼のゲームには【編註:世に膾炙しているより】もっと普通でない側面があった。Moe Normanの偉大なゲームについてこれまで読んだことのないものの一つは、彼のプレショット・ルーティーンについてである。彼にそんなものはないのだ。彼は単純にボールに向かって行き、それを打つ。私の印象では、彼が視覚化に用いる時間などゼロに思えた。私がティー・グラウンドで最初に打つ番だと、急いでティーを拾わなかなければ、次に打つ彼のボールがもう宙を飛んでいるような勢いだった。彼はボールにすたすたと歩み寄り、『バーン!』もうボールは消えているのだ。

これを、私は彼の個性の異常な側面の知られざる一つとして書きとめておく次第だ。彼について考えれば考えるほど、そして私がゴルフを教えれば教えるほど、私はMoe Normanの準備の欠如についての回想に耽ってしまう。彼はどうなろうとどうでもいいかのようで、それが明らかな鍵なのだ。彼はどのスウィングでも結果について恐れたりせずに打った。彼はトーナメントにおいてでも、あたかも練習場でボールを引っ叩いているかのようにプレイしたのだ。彼は考える脳ではなく、"body mind"(身体にある心)でボールを打ったのだ。これこそが最高のパフォーマンスの至上の形であろうと考える」

 

(October 04, 2017)

ウェッジの距離調節

 

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)による、ウェッジの使い方。

'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「75ヤードは一般ゴルファーがサンドウェッジで打てる距離であり、これは簡単。だが、グリーンまで82ヤードだったり、70ヤードだったりしたらどうか?予想される答えは、82ヤードなら早いスウィングをし、70ヤードならゆっくり打つというものだ。それは間違ってはいないのだが、スウィングを早くしたり遅くしたりするのはとても難しく、生来のタイミングを混乱させ、トップしたりダフったりする危険を増大させる。

正しい距離を打つためにスウィングのスピードをコントロールする確実な方法は、たった二つだけである。
a) スピードを上げるためには長いバックスウィングをする。
b) スピードを落とすには短いバックスウィングをする。

スウィング弧が長ければ、インパクトまでにクラブヘッドが加速する時間が出来る。スウィング弧が小さいと、クラブヘッドは加速出来ない。だから、距離コントロールのために、あなたがスウィング速度を用いるとしても、実際にはスウィングの長さを増減しているのだ。これはグリーン上でパターを使うのと同じことだ。速度は一定にして、スウィング弧の長短で距離を調節すべきなのである。

そして、バックスウィングとフォロースルーの長さを同じにすることだ。パッティングもそうだが、ウェッジ・ショットでも減速は台無しになる結果を招く。減速すると、スウィング弧の最低点を後方にしてしまったり(ダフリ)、前方にしたり(トップ)、左手首を折ってしまったり、身体の動きを過大にしたり過少にしたりする。

フル・スウィング以下でクラブを振るのは、云うは易く…で、年季の入ったゴルファーでさえ容易ではない。友人にあなたのウェッジ・ショットを正面からヴィデオに撮って貰うのがベスト。それを見ながら、次のようにチェックする。

・フォロースルーよりバックスウィングが長いのは問題あり。こうなるのは、多分あなたがショットの舵を取ろうとしているからだ。

 

・ボールの両側で同じ幅のスウィングをするのが目標。同じ長さでないならば、少なくともフォロースルーを長めにする。バックスウィングが短くとも、フル・フィニッシュをするのは減速を防ぐため望ましく、手首が折れたり返したりすることを免れる」

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たまたまですが、私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」(tips_169.html)もバックスウィングの長さ(角度)で調節します。私のパーオン率が悪くても、数多くの寄せワンが期待出来るのはこの手法のおかげです。

(October 08, 2017)

時計の文字盤でウェッジの距離を打ち分ける

インストラクター集団GolfTec(ゴルフテック)が紹介する、ウェッジでの距離コントロール法。私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」(tips_169.html)はバックスウィングの角度で調節しますが、こちらは仮想の時計の文字盤でスウィングをコントロールします。

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'Golf Magazine's The Par Plan'
powered by GolfTec edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「ウェッジの距離コントロールに関しては、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)が2006年8月号の'Golf Magazine'誌に掲載した方法に優るものはない。一本のウェッジで三つの異なる距離を打ち分けるメソッドで、三本のウェッジの所有者なら九つの距離、四本のウェッジを持っているなら12の距離を打ち分けることが出来る。

先ず、バックススウィングのトップを、左腕を時計の長針に見立てた場合の7:30、9:00、10:30のそれぞれに制限してボールを打つ。

60° (SW) 55°(SW) 49°(PW)
 7:30スウィング      35ヤード     43ヤード       50ヤード
 9:00スウィング      53ヤード     64ヤード       75ヤード
10:30スウィング     70ヤード     85ヤード   100ヤード

【編註】Dave Pelzのオリジナル記事では64°ウェッジを含めて、計四本のウェッジで12通りの距離を打ち分けることを推奨しています。私の「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」は、60°ウェッジ一本で理論上25通りの距離を打ち分けるものです。52°(GW)、56°(SW)、47°(PW)は、ハンドルの握り方でそれぞれフル・スウィングを四通りずつ打てますので、計37通り打ち分けられることになります。

もちろん、あなたのヤーデージは少し異なるだろう。一本のウェッジで三つのスウィング(7:30、9:00、10:30)で五個ずつボールを打って、平均を取る。

いったん、上のバックスウィングに慣れたら、異なるフィニッシュ位置を試して欲しい。今度は右腕を時計の長針に見立て、4:30、3:00、1:30でフィニッシュする。前述の三つのバックスウィングと、三つのフィニッシュを様々に組み合わせる。例えば次のように…。 7:30のバックスウィング:4:30のフィニッシュ
7:30のバックスウィング:3:00のフィニッシュ
7:30のバックスウィング:1:30のフィニッシュ
9:00のバックスウィング:4:30のフィニッシュ
9:00のバックスウィング:3:00のフィニッシュ



以下同じ。減速を避けるためには、バックスウィングより長めの(あるいは、少なくとも同じ幅の)フォロースルーが望ましいのだが、一定のスピードを保ちつつ意図的にバックスウィングより短いフォロースルーをして、それが飛距離とボール軌道をどう変えるかを見るのは、何の害もないことである。

上の距離コントロールに成功した時、あなたが四本のウェッジを使っているなら、36通りのスウィングの持ち主となれる」

【参考】
・「3×4(スリー・バイ・フォー) System」(tips_20.html)
・「3x4(スリー・バイ・フォー)システム再履修」(tips_20.html)

 

(October 08, 2017)

左足下がりのチッピング

スウィングも距離感を合わせるのも難しいサイドヒル・ライ。ヨーロピアン・ツァーのThomas Levet(トーマス・ルヴェ)が教えてくれる解決法。

[downhill chip]

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「傾斜が急であればあるほどショットは難しくなるので、より多いロフトが必要になる。あなたが持っている最もロフトの多いクラブを選び、かなり高く上がるショットをすべきだ。グリーンの前部を狙う。

・両足、両膝、腰、肩で僅かに左を狙う。クラブを急角度に、ターゲットラインを横切るように【=アウトサイドに】上げる。
・勾配がきつければきついほどスタンスを広げるべきである。これはバランスよく立つ助けとなる。
・肩を傾斜に平行にすること。
・両手は身体の中央。ターゲット方向に傾げると、クラブフェースをシャットにし、ボールは低く出てしまう。
・傾斜に逆らわずに立ち、体重を低い方の足にかける。

1) 手首主体で急激にクラブを上げ、右側の土手でクラブがつっかえないようにする。 2) ボールを上げようとしないこと。クラブのロフトにボールを上げさせるため、傾斜に沿ってボールを打ち抜く。 3) ボールを飛ばしたい距離に応じてフォロースルーの長さを調節する。フォロースルーを長くするとボールは遠くに飛ぶ。

サイドヒルのショットで重要なのは、バランスを崩さないよう快適にセットアップすることだ。そのためには、傾斜に寄りかかるようにアドレスしなければならない。体重の掛け方が間違っていると、得られるのはお粗末な結果だけである」


【おことわり】画像はhttp://www.ocregister.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 08, 2017)

ダウンで左足を一気に踏みつけろ

 

カナダの大学のスポーツ生体力学の博士による実験の結果が明らかにした、注目すべき事実。

'Press here!'
by Dr. Sasho Mackenzie ('Golf Magazine,' August 2017)

「スポーツ生体力学を専門とするSasho MacKenzie, Ph.D(サショウ・マッケンジー博士)が、最近行った調査・研究は、われわれが朧げにしか知らなかったことをハッキリさせた。

彼は40人のゴルファー(ハンデ+2〜20)に28回以上のスウィングをさせ、そのクラブヘッド・スピードを計測した。同時に彼は、ダウンスウィングでクラブシャフトが地面に対して直角になる時、左足の下にかかる垂直の力の平均値をも計測した。その結果、左足に体重がかかればかかるほどクラブヘッド・スピードが増すという傾向が、直線的データとして明らかになった。

博士の研究は、左足で地面を押すのはわれわれが考えていたよりももっと早期であるべきだということを証明した。『インパクトまで待っていてはいけない。その瞬間では遅過ぎる』と博士は云う。博士は、腰がダウンスウィングの体勢になった直後に左足を垂直に押すことを推奨する。Rory Mcilroy(ロリィ・マカロイ)がこの名人である。

『踏みつけるパワーの量は問題ではない』と博士は補足する。『体重の1.5倍、すなわちジョギングする際に、片足が着地する時に感じるパワーで充分だ。ダウンスウィング開始と共に、左脚をスクヮット体勢(ガニ股)にするだけで、あなたのライヴァルたちを置いてけぼりにするに足るパワーが得られる』」

[icon]

図らずも、ダウンスウィングの初期にガニ股体勢を取るべきであることが立証されたわけです。Sam Snead(サム・スニード)やAnnika Sorenstm(アニカ・ソレンスタム)のガニ股は、名人ならではの動作なのだったとガッテンする他ありません。

 

(October 11, 2017)

パー3はガニ股で

 

パー3だけでなく、グリーンを狙うショットはガニ股で打たねばならない(本当は全てのショット)。そう思っているのですが、しかしパー3のティーに立つと、つい方向にばかり注意が向いてしまい、下半身からのダウンスウィングを忘れて、手打ち、あるいは舵を取るようなスウィングになってしまいます。ですから、いつも最初のパー3二つを失敗してしまう。後半のパー3二つは前半のその反省から、下半身主導のダウンスウィングによってまずまずの成果が得られます。

ある日のNo. 13(200ヤード)パー3。スウィングの鍵を「パー3はガニ股で」一本に絞りました。いつもここは、3ウッドを15センチほど短く持って打つことにしています。ガニ股で打ったボールはまっしぐらにピンに向かって飛んだのはいいものの、飛び過ぎて10ヤードも奥のエッジへ。ボギーにしてしまいました。このホールでの3ウッドはさらに1センチ短く持って打つ方針にしました。

その次のラウンドのNo. 13。16センチ短く持ってもオーヴァー。で、次回は17センチ短く持つことに。いかにガニ股スウィングの飛距離が伸びるかという見本ですね。

【参考】
・「ダウンの最初はガニマタで」(tips_103.html)
・「左膝の研究」(tips_49.html)
・「下半身からのダウンスウィングの見本」(tips_185.html)

 

(October 11, 2017)

バンカー・ショットもガニ股で

 

ある日のバンカー・ショット。フル・スウィングした筈なのに大幅ショート。出しただけ。その日の、二回目のバンカー・ショット。またもや出しただけ。ベラボーにショート。

私はバンカー・ショットに自信を持っており、クラブを持つ長さによってピン傍につけて当然と思っていました。それなのに、出すだけとは!ショックと失望。私はラウンド前の練習の一環として、必ずバンカー・ショットも含めているのですが、その朝だけはバンカーの練習をしていませんでした。それにしても、ちゃんと大きなスウィングをしたのに、なぜ?

口惜しくて、何が原因なのか、自分のスウィングをヴィデオのスローモーションのように脳裏で再生してみました。ガビーン!私は下半身主導のスウィングをしていなかった!完全に手だけでスウィングしていました。手の力など弱いものです。身体の大きな筋肉を使わないと砂の抵抗に勝てない。

バックスウィングで内側へ折れた左膝をターゲットに向かって戻す際に出現するガニ股は、下半身主導のダウンスウィングの証しです。そう、バンカー・ショットのダウンスウィングもガニ股で行うべきだったのです。その距離がたとえ10ヤードであれ15ヤードであれ。

 

(October 11, 2017)

テコのパワー

 

テクノパワーではありません:-)。「体型別スウィング」の共著者(三人)のうち二人が執筆したシニアのための教本から、梃子(テコ)の重要性について。

'Play Better Golf for Seniors'
by Mike Adams & T.J. Tomasi with Kathryn Maloney (Henry Holt & Company, Inc., 1998, $29.95)

「人間の身体はパワフルな梃子を備えており、それを正しく用いればあなたのスウィングの不可欠な部品となり得る。梃子は手首のコックとアンコック、および右肘を曲げて左腕とクラブ・シャフトとの間に90°の角度を作ることで生じる。

不幸にも、あなたのクラブもまた両腕を持ち上げたり背骨を真っ直ぐにしたりすることで、高い位置に到達出来るが、これは捻転を最少限にするだけで、実質的に梃子の作用の様々な利点は得られない。

手首のコックと右肘を曲げることによってクラブを上げると、背骨の角度と、あなたの腕と身体のコネクションを維持することが出来る。

手首のコックは、それがインパクトまで保存されれば、あなたのパワーとクラブヘッド・スピードを倍増する。それは巨岩を動かすのに長い棒を用いる発想と同じである。この場合、棒がパワー倍増装置だ。この梃子によって、あなたのパワーが倍増され、巨岩は簡単に動く。この梃子というパワー倍増装置無しでは、あなたは巨岩を1ミリたりとも動かせない」

 

(October 11, 2017)

George Knudson(ジョージ・ヌードスン)のナチュラル・スウィング

 

筆者George Knudson(ジョージ・ヌードスン、1937〜1989)は、生涯に28勝を挙げたカナダのプロ。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、George Knudsonを「"a million-dollar swing"(100万ドルのスウィング)の持ち主」と評したそうです。

彼がこの本を執筆し始めた直後、肺癌を患っていることが判明。診断は芳しくありませんでした。彼は共著者(ゴルフ・ライター)に「懸命に執筆しよう。この本を完成させなきゃ」と云いました。幸い、ハードカヴァーの初版は彼の存命中に出版され、感謝の手紙がいくつも舞い込み、病床の彼を喜ばせました。一年後、George Knudsonは亡くなりました。

[Knudson]

'The Natural Golf Swing'
by George Knudson with Lorne Rubenstein (McClelland & Stewaet Ltd., 1988, $18.99)

George Knudsonは、自分のメソッドを'Natural swing"(ナチュラル・スウィング)と呼んでいます。同じカナダのプロMoe Norman(モゥ・ノーマン)のスウィングをモデルにした"Natural Golf©"(ナチュラル・ゴルフ)と混同しないで下さい。両者は全く別物です。

なぜ、ナチュラル(自然な)・スウィングなのか?彼は遠心力と慣性を利用すれば、自然に逆らわないスウィングが出来ると主張します。そして、正しいアドレスと正しいフィニッシュを作れば、その中間も自然に正しくなる…と。スウィングの基本は足・膝による体重移動であり、手・腕(およびクラブ)はその体重移動に追随して動くだけで、意図的に動かすべきものではない…と断言します。非常にシンプルで、「なるほど、自分にも出来そう!」と思わされます。

彼は練習の虫で、少年の頃から練習場でボールを打つことに熱中していました。当時、彼のターゲットはボールでした。"eye-hand coordination"(アイ=ハンド・コーディネーション、目と腕の協調作業)によって、「ボールを打つ」ことに専念していたのです。しかし理想的なショットとは程遠く途方に暮れます。ふと彼は、遠くのクラブハウス前の柱に掲揚されているカナダ国旗を目にします。その時、彼の心に変化が起き、「ターゲットはボールじゃない!国旗をターゲットにしよう!」こうして、ボールはクラブヘッド軌道の途中にあるものに過ぎなくなり、ターゲットに向かって振り抜くことが重要であることを悟ります。

彼は地元の上級アマやレッスン・プロのスウィングを真似しましたが、カナダ・オープンなどでプレイするアメリカのツァー・プロのスウィングも研究しました。特にBen Hogan(ベン・ホーガン)が彼のアイドルとなり、彼は国境を越えてアメリカのトーナメントにBen Hoganを追っ掛け、そのアドレス、ポスチャーやスウィングを模倣します。地元の人々は「まるでBen Hoganそっくり!」と彼のスウィングを褒めそやしましたが、彼は自分のショットが完璧でないことが不満で、さらに研究を重ねます。

George Knudsonはゴルフを生活の糧にすることを決意し、1954年にカナダ・ジュニア・アマ優勝を期に高校を中退、地元プロのキャディを務め、その後アシスタント・プロとなります。彼はついにプロとしてアメリカ、カナダのツァーに参加するようになりますが、彼のスウィング研究に終わりはありませんでした。以下は彼の言葉の数々。

「バランスはスウィングの基本の根底である。バランスを崩せば、コントロールとパワーを失う。バランスこそ、私が提唱するナチュラル・スウィングのナンバー・ワンの鍵だ。私はスウィングの最中に一切の無理をしない方法を探し求めたい。左腕を真っ直ぐ伸ばすとか、頭を固定するとか【註】、きついグリップをしたり、ボールに屈み込むとか…これらの無理はどれもバランスを破壊する。バランスのよいゴルファーは、全てを自然に行い、何かを懸命に行おうとしたりしない。バランスのよいゴルファーを観察すると、緊張ではなく自由さが、努力ではなくスムーズさが見てとれる。

【原註】『頭を動かすな』は間違いだ。頭は身体の動きにつれて動くのが自然である。

 

偉大なインストラクターの一人Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)に教えを乞うたら、彼から『お若いの。ゴルフで食べて行くつもりなら、脚を使うことを学ばにゃ駄目だよ』と云われた。それ以前、私は(多くの人々同様)ゴルファーの手の動きしか目に入らなかった。それはお粗末な観察眼に由来する間違いに過ぎなかったのだ。手は不随意のアクションをすべきものであり、スウィングの結果として正しい形で動く。手・腕を動かすのは両脚であり、手・腕は脚の動きに只乗りするだけなのだ。手・腕(およびクラブヘッド)を動かす手段は体重移動である。スウィング動作の間、意識的に両手・手首・腕を動かしてはいけない。それらは単に身体の中心に対し相似形で伸ばされ、身体の動きに従って動くだけに過ぎない。そして、身体を動かすのは足の動きである。

遠心力は100 mph(44.7 m/s)以上のクラブヘッド・スピードを生み出すことが出来、プレイヤーにとてつもないエネルギーの感覚を与える。さらに、スウィング弧が大きければ大きいほどより多くのパワーが生成され、究極的にボールは遥かな距離を旅することになる。遠心力は腕が関節から抜けるような感覚を生む。遠心力がスウィングのパワー生成を管理する要素なら、慣性は安定性の生成を管理する要素である。

■アドレス

アドレスで左足は(ゴルファーの身体の柔軟性にもよるが)少なくとも25°オープンにすべきだ。何故なら、われわれはフィニッシュで左足に100%の体重を乗せて立つべきであり、そのための準備をしておくべきなのだ。オープンにした左足は膝・腰・肩をもオープンにする。

アドレスで右手は左手より下に位置するべきだ。【編註:逆だとスライスを生じる】しかし、両手は自然に垂れ下がるべきであり、無理に右肘を身体にくっつけたりしないように。

■エネルギー充填

私はスウィングをバックスウィングとダウンスウィングに分けるのを好まない。それらはそもそも区切りのない連続した動作であるし、実際には上半身が捻転を終える前に下半身はターゲットに向かっているので、これを二つに分けることなど出来ない。バックスウィングという言葉は、クラブをある位置まで引き上げることだけを意味する。私は"loading"(充填、積み上げ)、"unloading"(放出)と呼ぶのを好む。「充填」はエネルギーと確たる意志とを暗示する。それは何か起りそうな、何か活き活きしたものとエネルギーとが感じられるではないか。

「充填」の目的は持てるエネルギーを掻き集めることである。それは急いで行う必要はなく、リラックスして遂行されるべきだ。体重を移動することでエネルギーを蓄積する。フットワークはスウィング動作を開始する随意的なアクションである。だから、あなたの両足にメッセージを伝えるべきだ。充填の動きは、体重を右足に向かわせることである。バランスを管理しつつ、両手は積極的には動かさず、左腕は自然に伸びる。両手が大人しくしている間、右肘は途中で畳まれる。これらは体重移動への不随意的な(=自動的な)反応である。

体重移動によってクラブが動く結果として、手首がコックする。これもまた自動的なアクションであり、充填作業の完了間際にコックされるのだ。バランスを失うようなコックをしてはならない。

充填作業における随意的アクションとして学ぶべきは、体重移動と捻転のみである。これらは、あなたが主導しなければならない。不随意的(あるいは自動的)アクションは、右肘を折ることと左腕を伸ばすことである。

■エネルギー放出

説明のためにスウィングを前半と後半に区分するものの、この部分は充填動作完了前に始まる動作である。

フィニッシュの体勢へと向かって体重移動する意志が、連続した動作を生む。左足が先ずフィニッシュの位置につく。それに左膝・腰・肩・腕・手、最後にクラブヘッドが続く。体重の100%を左に移すので、それらは全て自然に最終位置に達する。

 

『ダウンスウィングの開始で、腰を水平に動かせ』というインストラクションがあるが、これは大多数のゴルファーには難しい。右に移動させた体重を左に移せば、いとも簡単に腰も動く。試してみられよ。

体重移動と共に、あなたが努力せずとも驚くべきことが起る。自然な遠心力の作用によって、クラブヘッドは足と身体の動きに遅れ始めるのだ。これは『レイト・ヒット』とか『ラグ』と呼ばれるものだ。これは努力して得るものではない。そうなるようにお膳立てしておくだけでいいのだ。

エネルギー放出の動きはいとも単純である。充填作業が正しかったと信じ、それに反応すればよいだけである。《コントロールしたかったらコントロールすべきでない》

■フィニッシュ

フィニッシュの形はターゲットに面し、すっくと立つことだ。両足・両膝・腰・肩・上体・頭…がターゲットを向き、全ての体重(100%)は左足の上。左右の膝は自然な柔軟性を保つ。右足は左に引き寄せられ、浮き上がっている(これが全体重を左に移した証拠である)。あなたは、全てのエネルギーを放出した自由な感覚を抱いていることに気づく」

【おことわり】ポートレート画像はhttps://i2.wp.com/canadiangolfer.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 15, 2017)

Lee Trevino(リー・トレヴィノ)のロング・サム、ショート・サム

 

左手親指を伸ばすとフック防止、縮めるとスライス防止になる…というLee Trevino(リー・トレヴィノ)のtip。

[thumb]

'Groove Your Swing My Way'
by Lee Trevino with Dick Aultman (Atheneum/ SMI, 1976)

「ある時、私はTom Weiskopf(トム・ワイスコフ)に尋ねたことがある。何故、彼がそんなにも左手親指をシャフトに沿って伸ばすのかと。彼の答えをそのまま引用すると、『ベイベー、"long thumb"(ロング・サム、伸ばした親指、写真左)だと絶対フックしないからさ』 私は試してみた。ほんとにフックしなかった---私は100ヤードも右へ打ってしまったのだ(;_;)。

シャフトの下方に左親指を伸ばせば伸ばすほど(ロング・サム)、最後の三本の指でクラブをきつく握ることになる。それは左手によるコントロールの度合いを増し左手首をきつくする。それが右手でクラブフェースをフックの角度で投げ出させる要因である。

あなたがフックの深刻な病苦に悩んでいるのでない限り、私は極端なロング・サムを勧めたりしない。しかし、若干のロング・サムがあなたにインスタントな左手主導のコントロールを与えてくれるかも知れない。そして、そのちょっとしたエクストラのコントロールが、インパクトでクラブフェースをほんのちょっと長く正しい方向に向け続けてくれるかも知れない。

多くの右利きゴルファーはもっと左手によるコントロールが必要なので、極端な"short thumb"(ショート・サム、縮めた親指、写真右)が必要な人は比較的少ないだろう。私はショート・サムは、過度に右手ののさばりを許すことになるという気がする。個人的には、食べる時には私は右手に頼るのだが、ゴルフではそうではない」

[icon]

「体型別スウィング(テコ型の補遺)パート1」(tips_157.html)によれば、日本人の平均的体型と思われるテコ型体型ゴルファーは「左手の親指は"long thumb"(ロング・サム)でも"short thumb"(ショート・サム)でもなく、"medium-long thumb"(ミディアム・ロング・サム)にすべきである」そうです。

【おことわり】画像はgolftipsmag.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 15, 2017)

プロサイドにソフトにパットすべし

 

筆者Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)はthe Masters(マスターズ)に二回優勝しているパット名人。

'Be the Ball'
edited by Charlie Jones and Kim Doren (Andrews McMeal Publishing, 2000, $14.95)

「パッティングの秘訣は、打つ前に自分の判断を信じることだ。ボールがどんな風に転がるか想像しなくてはならない。ストロークのメソッドによる違いなどない。ソリッドに打てばよい。ソリッドに打てば打つほど、パターフェースのあちらこちらで打っていた時より良くパット出来る回数が増える筈だ。

私は最も高めのライン【=プロサイド】を選ぶ。それが最も安全な道だと思うからだ。私はボールがカップの中で息絶えるパットをする。しかし、アプローチ・パット(長い距離を寄せる第一パット)では、私はラインを高めに読みソフトにボールを運ぶことによって、さほどカップから逸れないように務める。

スリー・パットする人々は、低目のラインを選び、不適切な強さで打っているからだと思う。それが、私が高めにソフトに打つ理由である。私は次打がタップインで済むように、ボールをカップに近づけようと努力する」

【参考】
「パットに関する驚くべき事実」(tips_15.html)
「Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)のパッティング」(tips_25.html)
「Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)の打ち上げるストローク」(tips_167.html)
「ベン・クレンショーの警告」(tips_55.html)

 

(October 22, 2017)

プロサイドにパットすべき四つの理由

 

プロサイド(カップの高い側)を狙うのが得策であるのはよく知られた事実。ショート・ゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)は、その理由は四つあると主張します。

'Fudge on the high side'
by Dave Pelz with James A. Frank ('Golf Magazine,' July 2000)

「ブレイクのあるパットに直面したが、そのブレイクが15センチなのか25センチなのか判らない場合がある。こういう場合、ブレイクを過小評価せず、やや過大に見積もって高い方にパットするのが上策である。その理由、以下の通り。

1) ボールがカップの縁にかかった場合、それが高い方の縁ならカップ・インするが、低い方の縁では絶対に入らない。

2) スパイクマークや足跡に触れたボールは、傾斜の上方へではなく、下方にバウンドする(重力の作用)。だから、高めに狙った場合には、予想外のバウンドに遭遇してもカップインする可能性がある。

3) あなたの潜在意識がかなり低い方を狙っていると感じた時、こういうブレイクのあるパットは強めに打ってしまいがちだ。これは3パットに招待状を送るようなものである。

4) 高い方に向かって転がるボールがカップに入る確率は100%ではないかも知れないが、低い方に転がる場合の確率はゼロである」

 

(October 22, 2017)

プロサイドにパットせよ

 

'The pro side'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「多くのゴルファーがブレイクのあるパットをミスする場合、それは普通プロサイド(カップより高い方)ではない。大きなブレイクに直面した時、大抵のアマチュアは充分なカーヴを見積もることが出来ず、カップインする可能性が全くないアマサイド(カップより低い方)にボールを転がす。

大きなブレイクには強めのストロークが必要だが、ボールが1.2〜1.5メートルもオーヴァーするかも知れないと心配すると、それは容易なことではない。また、サイドヒルのパッティングでは、傾斜の方向によってフェースをオープンにしたりクローズにしたりしがちで、予期せぬプッシュやプルを招くことが多い。

大きなブレイクのサイドヒル・パッティングでアマサイドを避ける方法は、スタンスを調節することだ。右から左へのブレイクでは、クローズドスタンスによってボールをカップの上にキープする。左から右へのブレイクでは、反対にオープンスタンスをとる。もう一つの方策は、右から左へのパットではパターのトゥで、左から右へのパットではパターのヒールでストロークするというもの。こういう風にパターの端でボールを打つと、インパクトで傾斜の方向にパターヘッドが捩じれることを防ぐことが出来る。しかし、この場合、スウィートスポットで打つのではないので、カップに到達させるには少し強めに打つ必要がある。

Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)は、ブレイクのあるパットに異常な対処法を提唱する。パットがどちらにブレイクするかに関わらず、彼はオープンスタンスを取り、パターをアウト→インの軌道で、しかもヒッティングを弱めるためそのトゥでボールに接触するようにストロークする。トゥで打って左から右への“カット・スピン”を与え、彼は中間目標に向うラインの内側にボールをスタートさせ(スピンが中間目標に到達させる)、そこからひょろひょろとカップへと転がって行く。

Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)は、左から右へのブレイクではスタンスのかなり前方(ターゲット寄り)にボールを置くことを勧める。ターゲット側の脚の親指の前のボールに、少し近めに立つ。左から右へのブレイクでは、逆にボールをスタンス中央に近づけ、ボールから遠く立つ」

 

(October 22, 2017)

普通はお手上げのバンカー・ショット

 

ボールはバンカー内だがゴルファーはバンカーの外でプレイしなければならない場合(当然深く屈まなくてはならない)、およびボールはバンカーの高い顎の縁にあり、それをバンカーの中から打たねばならない(野球のスウィングに近い横殴りで打つ)場合について、名手Tom Watson(トム・ワトスン)が処理法を教えてくれます。

'Getting Up and Down'
by Tom Watson with Nick Seitz (Random House, 1983, $14.00)

「・バンカー外の顎からバンカー内のボールを打つ

ボールが遥か下方にあるため、アドレスで腰から上体を折らねばならず、スウィングが困難である。最初からバランスが悪いわけだが、極力バランスを保つ必要がある。

クラブの末端を握って出来るだけ長くして使う。クラブフェースは若干オープン。主に腕でスウィングし、最後まで屈んだ姿勢を維持すること。もし頭を上下に動かすと(これはよくある傾向)、失敗は避けられない。ボールは右へ出る傾向があるので、左を狙うこと。

・バンカーの顎の縁のボールをバンカー内から打つ

先ずクラブを短く持つ。両手とも金属シャフトを握らねばならないことが多々あるものだ。私はバランスを保つためにクラブを30センチにしてプレイしたことがある。

 

ボールがあなたのほぼ腰の高さにある時、ボール位置をスタンス後方にして、ターゲットの右を狙うこと。インパクトにかけて両手をボールよりもかなり先行させ、クラブヘッドがリードする腕のスウィングをする。このアクションがボールをライン上にスタートさせる。

もし手でクラブヘッドをリリースしてしまうと、ボールをターゲットの遥か左にプルしてしまう」

(October 25, 2017)

バンカーで狙いを定める正しい手順

 

Nancy Lopez(ナンスィ・ロペス、1957〜)はメイジャー三勝を含むLPGAツァー48勝(その他四勝)を挙げ、ゴルフの世界名誉の殿堂入りしているプロ。以下はエクスプロージョン・ショットのプロセスです。

'The Complete Golfer'
by Nancy Lopez with Don Wade (Contemporary Books, 1957, $15.95)

「バンカー・ショットはオープン・スタンスでプレイされるが、これはクラブヘッドをボールの下でスライドさせるためだ。一般ゴルファーが間違えるのは、先ずボールの後ろでクラブを構え、それからクラブフェースをオープンにし、最後にスタンスをオープンにすることだ。これは三つの間違いを犯している。正しい手順は以下のようになる。

1) クラブフェースをオープンにする。オープンにすればするほどボールは高く上がり、飛距離が短くなる。

2) クラブフェースでターゲットを狙う。グリーンのブレイクを考慮に入れること。

3) グリップを完成する。大事なのは、グリップを固める前にクラブフェースをオープンにする角度をセットすることだ。グリップを固めてから両手を廻してクラブフェースをオープンにしたのでは、インパクトでクラブフェースをクローズにしてしまう。【編註:これだとクラブは砂に突き刺さってしまい、滑らない】

4) スタンスを取る。両足を動かして1インチ(約2.5センチほど)砂に埋める。これによって砂の固さを知ることが出来ると同時に、安定した基盤を作り、自動的にスウィング弧の最低点を下げるため、(ボールを直接打つ代わりに)ボールの下1インチかそこらをクラブヘッドでスライドさせることが可能になる。オープン・スタンスでプレイするのだから、ボディ・ライン(両足、両膝、両肩を結ぶ線)は全てターゲットの左を指す。

 

このショットを正しく遂行するには、ボディ・ラインに沿ってスウィングすること。砂の中で加速し、ターゲットの左へ振り抜く。クラブフェースがオープンなので、砂を(ボールと一緒に)ターゲットへと飛ばす。

これには大きなフル・スウィングは必要ない。クラブヘッドが砂の中を通過するように加速するスムーズなスウィングが望ましい。ボールの場所で減速し、ボールがどこへ向かうか見ようとする誘惑に抗すること。そんなことをすると、多くの場合、あなたが遠くを見る必要はない。ボールはまだ足元に留まっているだろうから」

【参考】「砂地獄の黙示録」(03/01)←スプラッシュ型のバンカー・ショット

(October 25, 2017)

グラス・バンカーからの寄せ方

 

筆者Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ、1931〜2013)は1964年のU.S.オープンを始めPGAツァーで14勝、後年はCBS-TVのメインの解説者を務めました。

'Ken Venturi's Stroke Savers'
by Ken Venturi with Don Wade (Contemporary Books, 1995, $14.95)

「グリーンに近いグラス・バンカーから寄せるには、特殊なショットをする必要がある。

1) これは脚の動きを必要とするショットではないので、スタンスをワイドにし、両膝を柔軟にする。

2) ラフからのショットとは異なるのでグリップ圧は軽めにする。

3) 急激にクラブを持ち上げるバックスウィング。

4) 単純にクラブをボールに向かって落下させるようなダウンスウィング。

大きなフォロースルーは必要ない。急角度に下降するクラブによって,ボールは宙に浮かび、ソフトに着地する。

練習へのヒント:通常は左足内側をボール位置とするのだが、より高くソフトに打ちたければもっとボールをターゲット方向にして試されたい」

【参考】「グラスバンカー、ライ別対処法」(tips_137.html)

 

(October 25, 2017)

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