Golf Tips Vol. 181

Leo Diegel(リオ・ディーゲル)のパッティング

私の3(スリー)ジョイント・ストロークがちっとも異常でない証拠をお見せします。右の写真はLeo Diegel(リオ・ディーゲル、米、1899〜1951)の有名なパッティング・スタイルで、これこそ異常な感じでしょう。これに較べれば、私のなんか至極まともです。彼はこのスタイルで1928年と1929年のPGA選手権優勝を含めツァーで30勝、その他で7勝し、ゴルフ名誉の殿堂入りをしています。下の記事の筆者はインストラクターRick Grayson(リック・グレイスン)。

[Diegel]

'The old-school way to bury more birdies'
by Rick Grayson {'Golf Magazine,' July 2014)

「これは一寸伝統的スタイルとは云えないのは確かだが、この1920年代のストローク法はあなたの6メートル以内のパットを沈める助けとなってくれる。

ボールを打つのが上手でも、パットが上手でなければスコアはまとまらない。その好例がLeo Diegel(リオ・ディーゲル)だ。彼が1916年にPGAツァーに参加した頃、彼は素晴らしいスウィングの持ち主だったが、パッティングが下手だったせいで一勝も出来なかった。彼は1920年に"Diegeling"(ディーゲリング)と呼ばれることになるパッティング・スタイルを確立し、次の14年間に37勝した。

彼のスタイルはゴルフの歴史の中で最も風変わりなものの一つだ。彼はアドレスで物凄く前屈みになり【この姿勢は現在Michelle Wie(ミシェル・ウィ)に引き継がれている】、腕を90°に曲げ両肘を突き出す。両方の前腕を地面と平行にし、それらをインパクト・ゾーンでピストンのように左右同時に押し引きした。

これがどういう効果を挙げたか?この風変わりなストロークは腕の動きを取り除いたのだ。それはまた手首の過度な動きをも取り除いた(腕がロックされれば手首も動けない)。ストロークの間の腕と手首の動きは、パターヘッドが前方に返ったりラインから逸れる原因を作る。

あなたのパッティングが低調なら、"Diegeling"(ディーゲリング)を試すべきだ。あなたの友人たちはあなたを笑いものにするだろうが、賭けに勝てば笑うのはあなただ。

・ "Diegeling"(ディーゲリング)の手順

① 屈み込むアドレスで、両肘をほぼ90°に曲げ、前腕を地面と平行にする。

② 両方の肘をパワー源のピストンだと考え、それを前後させてボールをストロークする。

③ フォワードストロークでもピストン運動を継続する。終始、手首の動きは感じられない筈だ」

[icon]

私の3ジョイント・ストロークも手首を殺そうとする発想は同じですが、右手だけ手首を弓なりにしてロックし、手首の自由行動を阻止します。 ターゲットラインと平行にする左前腕は、両手の進路をターゲットに向ける水先案内の役目を果たします。

【おことわり】写真はhttp://1.bp.blogspot.comにリンクして表示させて頂いています。

(February 01, 2017)

パッティングのタッチを身につける

伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)から教えを受けたTom Kite(トム・カイト)の、パッティング・タッチ習得法。

'How to Play Consistent Golf'
by Tom Kite with Larry Dennis (Pocket Books, 1990, $14.00)

「私の恩師Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)は、完璧なストロークをするもののタッチ・ゼロの者より、タッチを身につけている者の方が数段優っている…と常に云っていた。

タッチを身につけるということは、自分のストロークの感覚とグリーンの感覚を得ることだ。タッチを身につけるということは、自分のストロークを信頼し、従ってリラックスした、自由なストロークが出来るということを意味する。これはフル・スウィングと同じことである。ストロークする際に自由であろうとすれば、あなたの心の中を駆け巡る機械的動作についての想念は無用の筈である。

タッチを開発するには、ゴルフをどうプレイすべきか教えてくれる練習をしなければならない。チョーク・ライン【編註:大工道具の墨壷に似ているが、欧米のはチョーク(胡粉)で白線を引く】やパッティング・トラック、ツーバイフォーの板などは素晴らしい練習道具だが、タッチを開発する助けとはならない。それらは適切なテクニックを習得する助けにはなるものの、それらを用いる練習を最重点とすべきではない。ツァー参加者で、チョーク・ラインを使って3メートルの真っ直ぐなラインを何時間でも続けて成功させる人を見掛ける。毎ホールで真っ直ぐな3メートルのラインに出会えるのなら、それは結構なことだ。だが、そういう練習は10メートルの距離を正しく打ったり、ブレイクするパットをカップで息絶えるように打つ助けとはならない。彼らは疑いもなくストローク法を完璧なものにしているだろうが、完璧なストロークがパット名人を作るわけではないのだ。

あなたは異なる距離、異なるブレイクのパットを沢山すべきである。適切なスピードで適切な距離を転がすように努力する。特に12〜15メートルの距離で、沈めるのではなく寄せる努力をするパットを。これはあなたのストロークの感覚を確立してくれる。めったにラインを逸れることはない筈だ。

ストロークのドリルと長いパット練習を組み合わせると最高である。トレーニングと信頼を同時に強化出来るからだ。

Mr. Penick(ミスタ・ピーニック)は常に『カップの1インチ(約2.5センチ)手前で止まるパットは、2メートルもオーヴァーするパットよりベターである。何故なら、それはほぼ適切な強さで打たれ、それゆえカップに落ちる可能性があるからだ』と云っていた。

パットは、信頼と不安ゼロを基盤としたタッチによる適切な強さで遂行される。Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)はパットする際、可能な限りリラックスしてボールを転がすと云っている。彼は自分を宿命論者だと表現していて、カップに沈まないパットがそう沢山あるとは感じられないと云っている。

 

私は、自分が読んだラインにボールをスタートさせ、タッチに頼って適切な強さで打つように努める。私に出来るのはそこまでだ。それが沈むかどうかコントロールすることは、私には出来ない」

(February 01, 2017)

Mr. X(ミスターX)のボール位置

年末年始、当サイトのメンテンンスを行いました。画像を多数追加したり、相互参照を増強したり…と結構煩雑な作業でしたが、過去の記事を拾い読みして触発されることもあって、自分のプラスにもなりました。

今回、「う〜む」と唸ったのが「Mr. Xのゴルフ」(tips_167.html)でした。この記事の元になった本は私がゴルフ入門時に読んだものの一つで、私のゴルフに多大な影響を与えたものでもあります。

著者Mr. X(ミスターX)はイギリス人で、驚くべきことにツアー・プロでも、レッスン・プロでもなく、ただのアマチュアなのです。彼はRobert Russell(ロバート・ラッセル)というビジネスマンで、43歳でゴルフ入門。六年でシングルになりましたが、それだけでは満足せず、名人たちの写真を熱心に研究した結果、名人たちには週一ゴルファーに備わっていない体格と態度の類似点があることを発見。彼は身体改造に乗り出し、一日二時間のトレーニングを八週間続け、ゴルフに特化した強靭さと柔軟さを備えた身体を作り上げました。70歳代となったRobert Russellはスクラッチ・プレイヤーとなり、全ゴルファーのたった1%が達成出来る偉業であるエイジ・シュートで廻るのが日常茶飯になったそうです。彼が執筆したMr. X名義の記事は英国のゴルフ雑誌に連載され、読者からの凄い反響を得、やがて単行本となり、日本語版も出版されたのです。

私の紹介記事に次のような部分があります。

・ドライヴァー・ショットでは、左の肩関節をボールの中心に揃えるべきである
・全てのフル・ショットにおいて、頭の中心はスウィング弧の最低点の約15センチ後ろになる。
・アイアンのアドレスでは、ディヴォット跡の最深部となるべき部分に左の肩関節を揃える。
・ピッチング・ウェッジのアドレスでは、両手をディヴォット跡予定地の真上に置くべきである。


私は、ドライヴァーのボール位置をこれまでずっと左脇の下の前方としていました。「左の肩関節をボールの中心に揃える」というのは、極端に左寄り(身体の外のよう)に感じられます。計測してみると、左肩先端のボール位置は、左脇の下より7センチも左(ターゲット寄り)でした。かなり違和感があります。しかし、何ごとも研究なので、左肩先端のボール位置で打ってみました。悪くありません。そして、違和感を払拭するコツを発見しました。

ヒントは「シニアの飛距離増強法」(tips_153.html)です。このtipは「ドライヴァーを打つ時左爪先前方をボール位置(a)とするが、これまでのボール位置(b)でアドレスする。ただし(a)にあるボールを見てはならず、目は(b)地点を凝視すること」というもの。これに倣って、左肩先端前方をボール位置とするものの、クラブヘッドはその7センチ後方にセットし、目は本当のボールではなくクラブヘッドの直前の地面を見つめます。これだと実際のボールの7センチ後方がスウィング弧の最低点となり、上昇軌道で本物のボールを捉えられるようになります。

 

これは、ボールを見ないで打つバンカー・ショットの応用篇と云えます。(b)地点ではなく、(a)の実際のボールを見ながら打ってしまうと、ボール位置でインパクトを迎えようと身体が左へ泳いでパワーをロスしたり、プルフックになったりします。

「シニアの飛距離増強法」を読み返すと、「見つめるのは以前のボール位置(5〜7センチ後ろ)」となっており、奇しくも全く同じ「7センチ」という数字に帰着しました。私には『Mr. Xのゴルフ』の正しさが裏書きされたように感じられました。

その後、Mr. X式ボール位置を継続していますが、とてもソリッドに打てています。たまに、ボールの7センチ後方を見るのを忘れて本物のボールを見てしまうと、プルフックが出ますが(;_;)。

【追補】現在の私は、ボール位置は左肩先前方でそのままですが、ドライヴァー・ヘッドはその15センチ後方にしています。ポップアップもなく、申し分のない飛距離を得ています。(July 01, 2017)

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の アドレスの頭の位置」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の セットアップ」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法」(このページ下)

(February 05, 2017、改訂March 26, 2017、追補July 01, 2017)

オーヴァー・スウィングしないと宣誓せよ

 

「体形別スウィング」(tips_54.html)でお馴染みのインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)が示唆する、バックスウィングの限界。アメリカでの宣誓は大統領の就任式(写真、註)から法廷での証人喚問に至るまで、右手を肩の上に真っ直ぐ上げることを御承知おき下さい。

【註】2017年の新大統領の宣誓の写真も利用可能なのですが、私は嫌いな男の写真を自分のサイトに掲載したくないので、お古いところで恐縮。

'Take an oath for better ballstriking'
by Mike Adams ('Golf Magazine,' March 2015)

「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は右肘を浮かすトップ、Rickie Faoler(リッキィ・ファウラー)はトップで右肘をきつく身体にくっつけ続ける。明白に、好結果を生むバックスウィングでの右腕の位置は一つに限られていない。だが、あなたにとって正しい位置は一つしかない。私の新しいテスト法で、それを見つけることが出来る。

① 左手だけにクラブを持ちつつ、直立し、右腕を肩の高さで垂直に曲げ宣誓のポーズをとる。
② 右肩と右肘を(柔軟さを失わない範囲内で)さらに後方へ曲げる。
③ 右腕の状態を変えずに、股関節から上体を折ってあなたの通常のポスチャーをとる。
④ 右腕の角度はそのままに、クラブを持った左手で後方へ捻転する。
⑤ 両手を合体させれば、それがあなたの完璧なトップである。

 

なぜ完璧か?その理由は、右腕が曲げられる限度と右肩の可動性(動き易さ)がマッチしているからだ。このテストの結果に従ってスウィングすれば、あなたのダウンスウィングはオートマチックとなる」

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私は「広く→狭く→広く」のスウィングをしています。両手を伸ばしたテイクアウェイ、狭めにして自然にコックするトップ、そして両手を伸び伸びと伸ばしたダウンスウィング。その「狭く」の部分は、まさにこの「宣誓」の右腕・右肘の形に他なりません。「ドライヴァーでストレートに飛ばす秘訣」(tips_171.html)の“最適の捻転”の項に記したように、これは「草を抉(えぐ)る」(tips_168.html)という練習によって得たものです。私の場合、左肩を目的の草に達するまで捻転し、そこを終点とした時が最も正確に草を抉(えぐ)れることを発見しました。その手前でも、そこを行き過ぎても駄目。これは正確にボールを打つことに直結しました。

私のその捻転の度合いの決め方は練習の結果から判断したものであって、何ら理論的根拠はありませんでした。しかし、上の記事によって「体形別スウィング」の中心人物であるMike Adamsが理論的根拠を与えてくれたことになります。彼がこのトップの右腕・右肘を推奨しているのなら百人力です。今後は自信を持ってこのトップにこだわることを宣誓します(^-^)。

(February 08, 2017)

Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ

 

「『Mr. Xのゴルフ』のボール位置」(このページ上)がとても役立っているので、Mr. Xについて調べました。すると、'Lessons With Mr.X'(邦訳『Mr. Xのゴルフ』)の続編として'More Golf Lessons With Mr.X'という本があることが分り、オークション・サイトeBayで見つけた中古の格安本を購入しました。この本のユニークな点は、徹底的に週一(あるいは月一)ゴルファーのために書かれていることです。

今回は、その利き目についての章を紹介しますが、《利き目でボールを見ないことがダフりの原因である》そうなので、これはかなり重要だと思われます。

著者Mr. X(ミスターX)はイギリス人で、驚くべきことにツアー・プロでも、レッスン・プロでもなく、ただのアマチュアなのです。彼はRobert Russell(ロバート・ラッセル)というビジネスマンで、43歳でゴルフ入門。六年でシングルになりましたが、それだけでは満足せず、名人たちの写真を熱心に研究した結果、名人たちには週一ゴルファーに備わっていない体格と態度の類似点があることを発見。彼は身体改造に乗り出し、一日二時間のトレーニングを八週間続け、ゴルフに特化した強靭さと柔軟さを備えた身体を作り上げました。70歳代となったRobert Russellはスクラッチ・プレイヤーとなり、全ゴルファーのたった1%が達成出来る偉業であるエイジ・シュートで廻るのが日常茶飯になったそうです。

'More Golf Lessons With Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1972, $4.95)

「ゴルファーにとってどちらの目が利き目か見極めるのは、とても重要である。どちらが利き目か見分けるには次の手順を取る。

・左右どちらかの腕を精一杯伸ばし、両目を開けたままその手の人差し指である程度離れたところにある物体を差す。【編註:ドア・ノブとか電気のスウィッチとか】
・左目を閉じ、人差し指がまだ物体を差しているかどうか確認する。
・両目を開け、今度は右目を閉じ、人差し指が物体を差しているか確認する。もし、否であって人差し指が物体の右を差していれば、あなたの右目が利き目である。

スウィングする時、利き目がボールのイメージを失わないこと、特にスウィングのトップで失わないことが重要である。

スウィングのトップでボールのイメージを見失わないためには、クラブを手にトップ迄スウィングし、左目を閉じる。もし鼻梁がボールを覆い隠すようなら、アドレス位置に戻って左目を閉じ、鼻梁がボールを覆い隠す直前までバックスウィングをやり直し、その位置を覚える。鼻梁がボールを覆い隠す地点があなたのバックスウィングの終点である。それ以上捻転すると、左目が優勢となり、さっきのテスト同様、ボールのイメージは動いてしまい、実際のボールより右を狙うことに変更を迫られる。私はこのイメージの移動がボールの背後の地面を打ちがちな原因であろうと考えざるを得ない。

ゴルファーは、例えば5番アイアンのアドレスでこれを試し、バックスウィング前に左目を閉じ、どうなるか結果を見てほしい。ボールがクリーンに打たれ、適切なディヴォットが取られれば合格。【スウィングの間に左目を開けないよう、注意】

 

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)のボール位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の アドレスの頭の位置」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の セットアップ」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法」(このページ下)

(February 08, 2017、追補March 26, 2017)

クラブを手・腕の一部とすべし

フロリダ州にあるKeiser(カイザー)大学の教授兼インストラクターT.J. Tomasi(T.J.トマシ)による、ピュアに打ち、さらなるパワーを得るためのメンタルtip。

'Become one with your club'
by T.J. Tomasi ('Golf Magazine,' March 2015)

「1980年の映画'Caddyshack'(キャディシャック、邦題『ボールズ・ボールズ』)の中の”Be the ball"(自分がボールになれ)は有名な台詞だが、ボールになり切るなんて実際には出来っこない。しかし、クラブになることは出来る。フランスのある大学のリサーチによれば、われわれの脳はわれわれが手にしている道具(箒、斧、7番アイアン等)を事実上の身体の部品と解釈する能力を持っていると伝えている。その研究グループは、『いったん道具が身体のスキーマ(枠組み)に組み入れられると、それは身体の部品と同じように操り、コントロール可能となる』と云う。そして、道具を道具としてではなく、あなた自身の延長として見ることに上達すれば、それらを使いこなす名人になれる。

不幸にも、そういうことは自動的には起らない。われわれの感覚システムは、見慣れない物体を自然に疑いの目で見るように配線されている(特に、その物体を初めて手にする場合には)。かつて手にしたことのない何か(ヴァイオリンとか弓矢とか)を持つと、あなたは落ち着かない筈だ。あなたは、その物体を使うベストの方法よりも、それらがどういうものか見極めることと、その物体の値打ちを評価することに時間を費やす。それは理解出来なくはないが、こういうおっかなびっくりのペースは効率が悪く、流れるような動作への深刻な障害となる。あなたのクラブを何か目新しい物とか異物として扱うことは、スウィングについて考え過ぎたり過剰にそれを操作する方向に運命づける。

アイアンやウッドを使うのは、手足を使うことと同じように簡単であると自分の心を騙すこと。秘訣?グリップする時、毎回意識的にクラブを身体の部品と看做すのだ。第一歩は、クラブをクラブであると考えるのを止めること(詳細は後述)。それらを腕の下端の部分と見る。腕が動けばクラブも動く。両者は一体となった同一物である。練習する時、クラブの位置ではなく身体の動きとして取り組む。これを懸命に行えば、あなたの脳はあなたの手とクラブフェースとの間を隔てる相違を究極的に取り除くことだろう。あなたは道具と一体になる。そして、文字通り手の甲の動きが判るようにスウィングを熟知するようになる。

【身体とクラブを繋ぐための心のトレーニング】

① クラブを手の延長であると想像する。

② クラブを『クラブ』と呼ぶのを止めよ。そうではなく『7番にスウィングをさせたい』とか、『短い腕にしなきゃ』などと云うようにする。

 

③ 『打つ』という生来の本能を取り除く。ボールはスウィングの途中にあるものとせよ。あなたのゴールがボールを『打つ』ことだとすると、それはあなたを石器時代の野蛮人のルーツに戻してしまい、クラブを、(あなたの身体の延長ではなく)道具として用いることになる。

④ プレショット・ルーティーンを、引き抜いたクラブにについて慮るのではなくターゲットに集中せよ。ダーツ(投げ矢)を抛る時、あなたは矢のことを考えますか?違うでしょう、的に向かって真っ直ぐ投げる筈です」

(February 08, 2017)

グリップの研究

「グリップだと?グリップの話なんてもう聞き飽きてるし、変えるつもりもないよ」という声が聞こえます。私の気持ちも全く同じです。ツァー・プロやインストラクターの本の最初の一章は必ず「こう握れ」というグリップの話で始まります。私はそこを素っ飛ばすのが常でした。しかし、Mr. X(ミスターX)の本によってアライメントやポスチャーなどの基本がおろそかになっていたことを自覚してから、ひょっとしてグリップにも見落としがあるのでは?という気にさせられました。ツァー・プロでもグリップやボール位置、アライメントなどの基本は定期的にチェックするそうです。

きっかけはPGAツァー最初のMr. 59であるAl Geiberger(アル・ガイバーガー)の本を再読していて、彼のグリップについての箇所が目に止まったからです。彼は次のように云っています。

'Tempo'
by Al Geiberger with Larry Dennis (Pocket Books, 1980, $13.00)

「左手がすることが何であれクラブフェースはそれに従う。左手が返れば、すぐさまクラブフェースも返る。だから左手はパームで握るべきだ。これはクラブのコントロールに必要なしっかりした感じを与えてくれる。だから、人差し指の根元からヒール・パッド(生命線の下の膨らみ)の下にかけて、掌を斜めに横切るようにクラブ・ハンドルを添えて握る」

[left] [Left]

これはDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)が推奨する左手のグリップと同じです(写真左)。Ben Hogan(ベン・ホーガン、写真右)の左手は、「人差し指の根元」から(ヒール・パッドの下ではなく)「ヒール・パッドそのもの」でハンドルを握ります。David Leadbetterは次のように書いています。

'The Fundamentals of Hogan'
by David Leadbetter with Lorne Rubenstein (Sleeping Bear Press, 2000, $27.50)

「私の見解では、Ben Hogan流の超パーム・グリップを採用すると、大方のゴルファーに大きな問題をもたらす。彼の左手のグリップは掌の上の部分で握られる。これは、完全にフィンガーで握る右手と相俟って問題を悪化させる。こういうグリップは、多くのゴルファーにとって問題点を強調しスライスを生じさせてしまうものだ。一般ゴルファーはクラブヘッド・スピードを生むことも、インパクトでクラブフェースをスクウェアにすることも出来ないだろう。Ben Hoganは並外れたアスリートだったからこのグリップをマスター出来たのだが、多くのゴルファーがこれを巧く扱えるとは思えない」

さて、70歳代になってスクラッチ・プレイヤーとなり、全ゴルファーのたった1%が達成出来る偉業であるエイジ・シュートで廻るのが日常茶飯になったというMr. X(ミスターX)はどう云っているか?

'More Golf Lessons With Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1972, $4.95)

「きつく握り締めて、手から血を絞り出すようなグリップをしてはいけない。筋肉には血液が必要だ。血液のない手は死人の手だ。手からクラブが滑り落ちない程度にリラックスさせてクラブを握ること。インパクトでの指の本能的収縮が、飛距離を生んでくれる。

もしあなたの左親指が固いなら、最後の調整でシャフトに押し付け、指の付け根("roots of the fingers")とシャフトを直角にする。これはダウンスウィングでのシャフトと左腕の急な角度【編註:コックを差していると思われる】を維持するのに役立つ。オーソドックスな斜めのグリップ【編註:パーム・グリップを差していると思われる】は、この大切な角度をあまりにも早く開いてしまう」

"roots of the fingers"は複数ですから、親指だけでなく複数の指を差しています。つまり、Mr. Xはレイト・アンコックのためには左手はフィンガーで握れと云っている訳です。パーム、フィンガー、どちらがいいのか?次のは、インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)の明解な解説。

'Power Golf for Women'
by Jane Horn (Citadel Press, 1999, $16.95)

「次の実験をしてほしい。先ず、クラブをパームで握ると、手・腕・肩に緊張を感じることに気づきなさい。次に、クラブをフィンガー・グリップに近いものにすると、腕と肩に緊張は感じない筈。今度は、クラブを握りながら異なる指と手の異なる部分にプレッシャーをかける。その時、そのプレッシャーに応じて、腕の様々な筋肉や腱が引き締まる。この緊張はあなたのバックスウィングに直接的影響を与える。変更されたバックスウィングはダウンスウィングに影響し、パワーのロスに繋がるのが常である。

左手でクラブを握る際、シャフトの真上にヒール・パッドを合わせることは、非常に重要である。【註】 正しくグリップすると、アドレスで左腕が真っ直ぐになるのを感じる筈だ。そのストレートな腕は、緊張を伴わない。左手のヒール・パッドがシャフトの真上になると、左腕は僅かに捩られて実際には真っ直ぐになる。これはバックスウィングの主役である左腕に必要な固さを整える助けとなる。それはまた、手首のコックの正しい動きを容易にする。

 

【編註】Jane Hornは「ヒール・パッドの下」とは書いていないのですが、本のイラストを見ると「ヒール・パッド」のやや下でグリップしています。

ヒール・パッドでクラブを握ることは、まるで万力のような効果を作り出す。これ無しでは、パームがコックを保持するのは困難になり、早期にコックを解(ほど)いてしまいクラブヘッドを投げ捨てる結果となる【編註:手打ち】。

多くのゴルファーは右手をパームで握る傾向がある。それはバックスウィングで深刻な問題を生み出す。このグリップによるバックスウィングのトップは、クラブフェースをクローズな位置に捩じってしまう。さらに、テイクアウェイを左手に委ねるのでなく、右手で引ったくるような傾向を生じる。もう一つあり得る問題は、パームで握ると縦のバックスウィングでなく、クラブが身体の周りを水平に動くバックスウィングになり易い。だから、右手をパームで握ることは、災いを招く以外の何ものでもない。

同様に、右手を過度にフィンガーで握るのも厄介な問題の原因となる。これは右腕をリラックスさせず、真っ直ぐに伸ばしスウィングの主導権を与えてしまう。このバックスウィングは通常の軌道のアウトサイドにクラブを押しやり、ダウンスウィングで問題を作り出す」

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私の実験では、Ben Hogan流に「ヒールパッド」でクラブを握ると前腕が緊張し、クラブヘッドが重たく感じます。フィンガーで握ると、中指・薬指・小指にもの凄い重圧がかかり、前腕も緊張します。「ヒール・パッドの下」で握るとしっかりグリップ出来、緊張はなく、クラブが軽くなる感じ。私にとってはDavid Leadbetterのグリップが合っているようです。

ある日、5番アイアンと7番アイアンを用い、左手のパームとフィンガー、二つのグリップを試してみましたが、やはり「ヒール・パッドの下」で握るのが正解でした。これまでのところMr. X(ミスターX)の云うことは漏れなく役に立っていたのですが、今回だけは当てはまりませんでした。

なお、前述のDavid Leadbetterの本に、「ショート・サム(縮めた親指)」と「ロング・サム(伸ばした親指)」の図が掲載されています。ショート・サムは左手親指をシャフトの真上でなく、やや右寄りにしている定番ですが、そのロング・サムの絵は完全にべったりと真上にしているのでびっくり。私は間違って(?)この方式でグリップして方向が定まらなくなった経験があります。"golf, long thumb"でGoogleの画像検索してみましたが、こんな風にシャフトの真上に左手親指を乗せている例は皆無。David Leadbetterの本の図版は正しいロングサムではないようです。

【参考】「(レッド)ベター・グリップ」(tips_57.html)

(February 15, 2017)

Gene Sarazen(ジーン・サラゼン)の グリップはゴルフの75%である

 

Gene Sarazen(ジーン・サラゼン、1902〜1999)は、生涯にメイジャー七勝を含む計48勝を挙げた名人。1935年のthe Masters(マスターズ) No.15でのダブル・イーグル(アルバトロス)達成、サンドウェッジを発明した人としても有名。

[Sarazen]

'Thirty Years of Championship Golf'
by Gene Sarazen with Herbert Warren Wind {Prentice-Hall, Inc.,1950)

「私がクラブ・メーカーWilson(ウィルスン)のために新人をスカウトしていた時、最初に注目したのは新人の両手だった。アドレス時のグリップは印象的か?バックスウィングのトップで、彼の指はクラブに密着しているか?1957年にSam Snead(サム・スニード)がどこからともなく現われた時、私は躊躇いもなく彼を推薦した。Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)の場合も同様だった。トーナメント観戦をするゴルフ・ファンは、トップ・スターたちのグリップやアドレスに無関心だが、スウィングの全ては両手から始まるのだ。私は、私の生徒が犯すミスを、グリップの過ちを正すことによって75%直すことが出来る。

今日の多くのゴルファーは自分の手でクラブをしっかり捉えるのでなく、左手に手袋を着用する。手袋は水膨れ防止とは無関係である。クラブが正しく握られれば、水膨れになんかなりっこない。

モダン・ゴルフは1919年に遡れるが、別の観点からすればHarry Vardon(ハリィ・ヴァードン)からとも云える。彼の出現まで一般的だったグリップは"St. Andrews grip"(セント・アンドリュース・グリップ)というもので、ほぼベースボール・グリップに似たものだった。"St. Andrews grip"はプレイヤーにオープン・スタンスを強い、プレイヤーが練習熱心であるか週三度以上ラウンド出来ない場合、ムラのあるスウィングになった。

Harry Vardonは両手が一体となって機能すべきだと信じていた。彼の両手は異常なほど大きく、彼の小指は普通の人の中指より長かった。彼のオーヴァラッピング・グリップ(=Vardonグリップ)は、彼自身の偉業によって普及し、次の時代のチャンピオンたち、即ちBobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)、Walter Hagen(ウォルター・ヘイゲン)、Tommy Armour(トミィ・アーマー)、Joyce Wethered(ジョイス・ウェザード)、Sam Snead(サム・スニード)、Byron Nelson(バイロン・ネルスン)、Ben Hohan(ベン・ホーガン)…などに採用された。このグリップはしっかりした感覚、コントロールの良さが得られ、いいサイズの手と指を持つ全ての人に用いられるべきである。

しかし、あなたが私のように小さな手、短い指の持ち主ならインターロッキング・グリップがお薦めである。1913年のU.S.オープン優勝者Francis Ouimet(フランシス・ウィメット)は、インターロッキング・グリップの最も有名な例である」【編註:Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)などもインターロッキング・グリップ】

(February 15, 2017)

パームで寄せる【結論篇】

 

パームでグリップした寄せを試してみました。左手は生命線の下の膨らみで握り、右手は生命線で握るという'Natural Golf'(ナチュラル・ゴルフ)方式です。15〜20ヤードの練習ではとてもいい方向性が得られたのですが、練習ではなく一発勝負の本番では、1ラウンドにつき三回ぐらいのダフり(結果はチョロ)を経験しました。

私にとっては右手の生命線で握るグリップに違和感があり、うまくスウィング出来ない感じ。その違和感が意識を手に集中させてしまい、身体全体を一体化したリズミカルなスウィングを出来なくするのが原因の一つ。これまでのスウィング・プレーンと異なる点も、動きをギクシャクさせる原因です。なぜかと云うと、短くてスウィング・プレーンを形成するところまで行かない10ヤードや15ヤードではうまく行くのに、両手を胸の高さまで振り上げる25〜30ヤード(あるいはそれ以上)でミスが出ることが多いからです。分析してみると、右手を生命線で握ると、かなりインサイドに、低いプレーンでバックスウィングすることになります。【註】これまでずっとターゲットライン上で振っていたのに、これは大変化です。違和感が大きくて当然。

【註】「グリップの研究」(上の記事)でインストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)が、「右手をパームで握ると縦のバックスウィングでなく、クラブが身体の周りを水平に動くバックスウィングになり易い」と云っていますが、まさにその通りです。

"If it ain't broke, don't fix it."(壊れてないなら直すな)という名文句があります。不具合があるのなら直して当然だが、そうでないなら良いものを駄目にする恐れがある…という感じ。私のピッチングとチッピングは壊れてなかったので,弄くり廻す必要はなかったのです。良いものをより良くしようというのは、ゴルファーがはまり込む陥穽ですね。こういうことをしていると、「一歩進んで二歩下がる」の永久運動になってしまいます。

私は右手の生命線で握るピッチングとチッピングを止めました。

(February 15, 2017)

Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のチッピング

Al Geiberger(アル・ガイバーガー)はPGAツァー最初のMr. 59となった人。彼は1977年にパー72のコースで開催されたPGAツァーのトーナメントで、1イーグル、11バーディ、6パーの59を達成しました。2017年1月、パー72のコースで59で廻ったプロが一ヶ月の間に二人も出ました。どちらも20代。この勢いだと近くMr. 58が出現するかも知れません。

'Tempo'
by Al Geiberger with Larry Dennis (Pocket Books, 1980, $13.00)

「パッティングを除く全ての短いショットの必須の鍵は、両脚の正しい用い方だ。これはインストラクターからもプレイヤーたちからも見過ごされている基本である。大方のアマチュアは、チッピング、ピッチング、そしてバンカー・ショットで脚を使うことをしない。彼らは下半身の大きな筋肉を使わず棒立ちになり、両手だけを動かす。これは結果的に手首の動き偏重となり、安定したスウィングを構築出来ない。

チッピングはパットの兄貴分であり、グリーンにボールを乗せるや否やカップへの長い道のりを転がすもので、しっかり締めた左手首によって遂行するショットだ。単純に、クラブヘッドに先行する左腕を左右にスウィングする。フル・スウィングのインパクトでは、体重を左に移し、左手・左腕・身体の左サイドでボールをリードする。しかし、短い時間で行われるチッピングでは、同じことをする間(ま)がないので、自分でそれを補完するしかない。その秘訣は、アドレスでインパクト体勢を作っておくことだ。

スタンスは狭め。左足をターゲットラインから3〜4インチ(7〜10センチ)下げ、なおかつ両爪先を30〜45°ターゲット方向に向ける。私は、左足だけでなく右足にも角度をつけることを強調したい。こうするプレイヤーは多くないのだが、両方の足をスクウェアにした場合に較べ、バックスウィングでの脚のアクションが制限出来、ダウンスウィングが極めてスムーズに、そして容易になる。体重の70%を左足に掛ける。ボール位置は右爪先前方。爪先をターゲットに向けているので、ボールがスタンス後方には見えないだろうが、ハンドファーストのアドレスになるほど後方であるべきだ。こと両足はオープンにするが、肩はスクウェアに留めること。股関節から上体を折り、膝をリラックスさせる。

クラブフェースをターゲットにスクウェアに構える。目はボールの真上。

バックスウィングでは脚は全く動かさず、左手・腕を後方に引くだけ。

 

ダウンスウィングでは、流れるようなソフトな僅かな膝の動きでクラブを引っ張る動きを感じなくてはならない。両手をクラブヘッドに先行させる(体重は既に左サイドにある)。これが、クラブが地面に達する前に正しい下降角度でボールを打つことを助けてくれる。

正しい脚の動作はいくら強調してもし足りない思いだ。それはショットから手の動きを排除し、必要となる感覚を与えてくれる。覚えておくこと:脚を動かさないと両手がしゃしゃり出てしまう。だから、流れるような脚の前方への動きで、しっかりした手首の両手をスタートさせるのだ。このフィーリングが身につくまで、裏庭であれ居間であれ、どこでもいいから練習すること。

距離の感覚は右手の方が勝っている。それゆえ、左手・腕でスウィングをコントロールしながら、ボールを右手で打つ。これを、固定した手首で行う。右手を返さないこと。手首のコックやアンコックなしに振り抜く。

緊張しないように。脚の動きがないと手・腕が主導権を握ってしまい、ショットを台無しにしてしまう

練習する際の注意。チッピングの練習は距離感の習得を重点にすること。先ず、ある地点からカップに向かって10個前後のボールを打つ。次いで、グリーン上の異なるターゲットに打つ。異なる距離に打てるように、エッジから出来るだけ離れる。二個のボールをターゲットまで5ヤードに、その後二個のボールを20ヤードに、同じく二個を10ヤード…というように、ランダム・パターンで距離を変える。絶対に、一つのターゲットに二個以上続けて打ってはならない。コースでは、どのチッピングも異なる距離だからだ。絶えずターゲットを変えると、どんな強さで打つべきか計算せざるを得ず、次第にどれだけのスウィングをすべきか本能的に解るようになる。なお、遠くへ打ちたい時は長いスウィングをすべきであり、強く打ったり早く振ったりすべきではないことを覚えておくこと」

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Al Geibergerの「膝でチップせよ」というメソッドは理論的には正しいと思います。フル・スウィングで両手をトップに置き去りにするダウンスウィングの方向性がいいように(←手首をこねないから)、チッピングでも膝でリードすればいい方向性が期待出来る筈です。私は主に手と腕だけでチップしていたので、彼の理論を読んでから膝でリードするチッピングを試してみました。しかし、私の場合方向性はさほど改善されず、膝の送り加減次第で距離まで変わってしまいました(私の手法ではこれまでも距離はほぼ完璧なので、ピン傍に寄せるための方向性だけが欲しいのです)。しかし、方向性が現在今一の方はこれを試してみるといいかも知れません。手・手首は自由に動き過ぎるので、膝主導で手の動きを殺すのはいいアイデアです。

【参考】「Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のピッチング」(次項)

(February 19, 2017)

Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のピッチング

Al Geiberger(アル・ガイバーガー)はPGAツァー最初のMr. 59となった人。彼は1977年にパー72のコースで開催されたPGAツァーのトーナメントで、1イーグル、11バーディ、6パーの59を達成しました。

'Tempo'
by Al Geiberger with Larry Dennis (Pocket Books, 1980, $13.00)

「ピッチングは普通グリーンから15〜20ヤード離れている場合や、ピンまで転がす面積が少ないためボールを高く上げて急停止させなければならない時に用いる。セットアップはほぼチッピングと同じである。異なる点を先ず列挙しよう。

スウィングが大きくなる分、スタンスを少し広めにする。

ピッチングを成功させるには、チッピング同様ダウンスウィングでの脚のアクションが不可欠である。繰り返すがチッピング同様、アドレスで両足をターゲット方向に角度をつけることを勧める。これはバックスウィングでの脚の動きを制限し、ダウンスウィングに必要な流れるような動きを促進してくれる。スウィングが大きくなるにつれ、両足の角度を減らしスタンスをスクウェア目にする。ただし、両足は僅かでもターゲット方向に向け、フルスウィングになるまではスタンスをオープンにし続けるように。

多くの場合、高いボールを打ちたいのだから、ボール位置をスタンス後方にすべきではなく、ほぼ中央に置く。これは(チップ・ショットほどではないが)ハンド・ファーストの構えとなる。

チッピングのアドレスではリーディング・エッジをターゲットラインにスクウェアにしたが、ピッチングではオープンに(ターゲットの右を向くように)するかどうかは、どれだけ高い軌道が必要かによる。クラブフェースをオープンにすればするほど、クラブの実効ロフトが増え、高いボールが打てる。

上の点以外は、チッピングのセットアップと同じにすればよい。

長いスウィングになると、チッピングよりもコックすることになるが、意図的にコックすべきではない。

 

チッピング同様、ダウンスウィングを両脚でリードすることに失敗すると、手がしゃしゃり出てショットを失敗させる。ダウンスウィングを両脚でスタートさせ、それに腕が従う感覚を育むこと。フォロースルーでは、チッピングより両腕を上に振り上げるべきだ。

ピッチングで重要なのは距離である。距離の判断と、それを達成する感覚を得ることが重要だ。

私がヴァケーションでゴルフから遠ざかると、先ず第一にピッチングのフィーリングを失ってしまう。フル・スウィングは、長年月頻繁に繰り返しているので問題ないのだが、ピッチングのタッチは急速に消え失せる。だから、あなたも私も誰であっても、他のどのショットにも増してピッチングの練習を絶えずしなければならない。

練習する時は、一つのターゲットに二個以上のボールを続けて打たないこと。ターゲットを頻繁に変え、本能的に距離を認識することを心に教える。それこそコースで直面することであり、練習の際もそれをシミュレートすべきなのだ」

【参考】「Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のチッピング」(前項)

(February 22, 2017)

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のバンカー・ショット

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)と全英オープン(1976)に優勝、the Masters(マスターズ)で三度二位タイ(1971, 1975, 1981)、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。この記事には、オーソドックスな基本の蔭に「そうか、なるほど!」と納得させられる知恵が数多くちりばめられています。

'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, 1976)

「私はGary Player(ゲアリ・プレイヤー)のようなバンカー・ショットの名人ではないが、PGAツァーの水準以上ではあると考える。

あなたがチッピングに上手くなれるなら、バンカー・ショットにも上手くなれる筈で、特にアマチュアの世界ではその資質はプレイヤーとしてのあなたを恐るべき存在とすることだろう。バンカーからであれどこからであれ寄せワンが可能なら、誰とでも対抗出来る。

私は、ボールの後ろ5センチの砂を狙うことを勧める。その地点の真上に頭を置く。一説にスウィングを一定にし、砂を取る幅で飛距離を調節せよ…というのがあるが、これは理解し難い理論だ。砂の取り方を変えるとスピン(転がり)も変わってしまう。砂の取り方をボールの後方5センチと決めておき、スウィングの大きさを変えれば、力の量に応じた同じ量のバックスピンが得られる。

バンカーでどのようにセットアップすべきかは、ライ、砂の密度、顎の高さ、グリーンの早さ、そしてピンまでの距離…などの要素に左右される。

ソフトな砂

5〜12ヤード程度のグリーンサイド・バンカーで、ほどよくソフトな砂であれば、次のようにセットアップすべきだ。

・通常よりもっとオープンなスタンスをとる。これはオープンなクラブフェースとあいまって、プレイヤーによりアップライトな体勢を取らせ、効果的にカットするアクションを生む。

 

全てのソフトな砂からのショットで、私はクラブフェースをオープンに寝せることを推奨する。砂がソフトであればあるほど、クラブフェースをオープンにすべきだ。これによって、バウンス(ウェッジ底部の膨らみ)を活かしてリーディングエッジがボールの下の砂を深く掘ることを防ぎ、大鎌で刈るように水平に僅かな量の砂を取る。クラブフェースをオープンにすればするほど、バウンスが活きて来る。

・ソフトな砂ではスウィングの間じゅうフェースをオープンにし続けねばならない。右手を返すとフェースがクローズになり、クラブヘッドで砂を深く掘る原因となる。私の最初のコーチだった私の父は、クラブフェースにワイン・グラスを乗せてスウィングするイメージを教えてくれた。グラスを乗せたまま落とさずにインパクトを迎えるには、フェースがずっとオープンなままでなければならないのだ。

・クラブヘッド軌道はスタンス・ライン(爪先を結んだ線)に平行になるべきだ。クラブはスタンス・ラインに平行に振られるのだが、ボールはクラブフェースが向いている方向に飛ぶ。フェースがピンにスクウェアなら、ボールはピンに向かって飛ぶのだ。だが、付け加えておくが、ボールには自然に左から右へのスピンがかかるので、クラブフェースは僅かにピンの左を狙うべきだ。グリーンに着地したボールは、そのスピンによって右にジャンプする。

固い砂

多くの場合、固い砂は湿った砂であるが、砂の層が薄く固い地盤の場合も含まれる。スタンスを取る時、足を砂に潜らせる動作でそれは察知出来る。

・クラブフェースはオープンにせず、スクウェアに狙う。フェースをオープンにすると、バウンスによってクラブが固い砂で弾かれボールを直接打つことになってホームランになる。固い砂ではフェースをスクウェアにし、リーディング・エッジを使うこと。

・基本はソフトな砂の場合と同じだが、固い砂ではハードに打つ必要はない。スクウェアなフェースなのでロフトが減り、ボールは低く出てランが多いからだ。力を篭めるのはバックスピンによってピンに投げ入れる時だ。

目玉

常にどれだけボールが埋まっているかが、クラブフェースの処理を決定する。

・ボールが半分埋まり、半分上に出ている場合はクラブフェースをスクウェアにし、固い砂と同じようにスウィングする。

ボールが深く埋まっていて、砂の上にほとんど出ていない場合はクラブフェースをクローズにする。スタンスはスクウェア、ボール位置は通常より数センチ右寄り。意識的にアウトサイドに引くバックスウィングによって、急角度のダウンスウィング弧を生み出す。右腕の通常のリリースが不可欠だが、力は不可欠ではない。クローズにしたフェースが全てを処理してくれる。ボールの背後のクレーターの縁を狙い、リーディングエッジをボールの下に打ち込む。ボールは低く出て前方へのスピンによって、怯えた兎のように飛び去る。このライでは、バンカー名人と云えどバックスピンはかけられない。

 

左足上がり

左肩を右より上げて斜面と平行に立つのが基本なので、ボールは高く上がるためかなりのパワーが必要になる。私はショートする傾向を克服する策として、ピンが10〜15ヤード奥にあるというイメージを用いる。

左足下がり

左肩を下げ、右肩を上げて斜面と平行に立つ。ボール位置を通常より数センチ右足寄りにする。これは急角度のダウンスウィング弧を生み出し、ボールに少し近い砂との接触を助ける。ボールは低く出るので、クラブフェースを少しオープンにするのが賢い方法だ」

(March 01, 2017)

地獄の黙示録

私が通っている市営ゴルフ場のグリーンズ・キーパーたちが、何を血迷ったのか、バンカーの顎をもの凄く深くしてしまいました。九つあるグリーンサイド・バンカーのうち四つは元々顎が高く難しかったのですが、以前はパターで転がし上げることも可能だった残りの五つの顎も垂直にし、絶対に転がし上げられないようにしてしまったのです。

かてて加えて、No.14のグリーンサイド・バンカーの顎には鉄道の枕木を当てて土留めにする始末。これでは「顎の真下からの脱出」(tips_177.html)で紹介したテクニックすら使えません。インパクトで枕木を打ったりしたら、手・腕を痛めてゴルフ生命はジ・エンドになってしまいます。まあ、英国のポット・バンカーに較べればいい方かも知れませんが、それにしても残酷な変更です。

グリーンズ・キーパーの一人に聞くと、これは彼らのうちの誰か一人の過激な発想ではなく、彼らの総意だとのこと。彼は「おれたちはバンカーから転がし上げるのを見たくないんだ」と云っていました。彼らが間違っているのは、これは市民の憩いの場であってU.S.オープン・コースではないということです。しゃっちょこだちしたって、州や市で一番のコースになんかなれっこないのに、バンカーの難度だけ上げても仕方がない。これでは週一、月一のゴルファーや女性・子供たちから嫌われてしまうでしょう。少しでも利用者数を増やして人件費・維持費を稼ぎ出すべきなのに、正反対のことをしているわけです。

彼らはまた、最近四つのバンカーに灰色っぽい砂を入れました。これまで砂はミシシッピ河流域の特徴である赤土を篩(ふる)って精製した砂で、雨の後は粘土のように固くなってサンドウェッジを撥ね返す難物。彼らが今度入れた灰色っぽい砂は値段の高い海辺の白砂ではなく、やはり土を洗って精製し、砂状にしただけのもの。雨で固まらないとはいえ、やや湿り気を帯びた小麦粉のようになり、重いことこの上もなく、これまた振り抜くのが難しい。

恨んでばかりいても仕方がないので、バンカー・ショットの練習に励みました。これまでオープンフェースのウェッジを胸の高さで地面と平行になるトップで、シャフトを持つ長さによって距離調節していたのですが、これだと灰色っぽい砂ではショートしてしまいます。

上のJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)の「固い砂」の項の「固い砂ではフェースをスクウェアにし、リーディング・エッジを使う」をヒントに、フェースをターゲットにスクウェアに構えてスウィング(バウンスを利用しないので、オープンスタンスにもオープンフェースにもしない)。これだと、両手が腰の高さで地面と平行になる地点(時計の文字盤なら3時)をトップとすれば、15〜20ヤードに打てることが判りました。ロフトを増やさないので、短いスウィングで充分なのです。私のスウィングはエクスプロージョンではなく、自然に「スプラッシュ型」【註】のスウィングとなり、面白いほど簡単に脱出し、ピンに向かうようになりました。

【註】エクスプロージョンとスプラッシュの違いは、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)の本'Shark Attack!'(1988)に解り易い説明があります。お風呂で水を高く短く撥ねるには、手を上から鋭く急降下させなければなりません(←これがエクスプロージョン)。長く低く水を撥ねるには手の甲で水面を水平に近い角度で薙ぎ払うようにします(←これがスプラッシュ)。それぞれのスウィング軌道とボールの軌道は、水と砂の違いだけで、全く同じだそうです。"splash"(スプラッシュ)は「水を撥ね散らす」という意味で、(縦の軌道のエクスプロージョンの反対に)水平の長いインパクト・ゾーンで、砂と一緒にボールを押し出します。私はこれを「砂の津波」と呼んでいます。

スプラッシュ型は赤っぽい砂にも灰色っぽい砂にも、どちらにも有効でした。ボールの直近にクラブを突入させるとホームランになってしまいますが、そうでない限り、5センチでも10センチ後ろでも「砂の津波」ですから、あまり変わりありません。Johnny Millerの《クラブ突入地点の真上に頭を置く》はいいtipです。ボールの真上ではないのです。私は充分に砂を取るべく、ボール後方10センチほどに頭(鼻)が位置するように構えています。

 

スプラッシュ型でも砂に負けない力と加速が必須。私は、バックスウィングで「せーのっ!」という掛け声をかけるといいリズムで加速出来ることを発見しました。3時のトップなら、対称的に9時へのフィニッシュを自分に義務づける必要があります。7時や8時のフィニッシュでは砂に負けてしまい、脱出出来ません。【ただし、10ヤード以内なら、写真のように3時→8時も可】

フェースをオープンにせずサンドウェッジのバウンスは利用しないのですから、ロブ・ウェッジでもギャップウェッジでもいいようなものですが、私はまだサンドウェッジを使っています。20ヤード以上はクラブをフルに握りますが、10ヤードはハンドルを短く持ち、15ヤード前後の時はその中間で握っています。バックスウィングの幅は両腕が地面と水平の高さになるまで(3時)で、常に一定。

Johnny Millerが「(ボールが半分出ている)目玉」の項で「固い砂と同じようにスウィングする」と述べているように、この程度の目玉であれば、上の方法を変えずにスプラッシュで処理出来ます。これはありがたい。

ある日のスクランブル・ゲームのホールNo.1で、わがチームの二打目の最もピンに近いボールはバンカーの中でした。チームの三人のうち最初の一人はホームランを出し、私は二番目。グリーンはバンカー方向から下っているので、私は5ヤードとして扱い、ハンドルを一番短く持ってスウィング。5ヤード飛んだボールは、残りの5ヤードをころころ転がり、ピンに絡まるようにして20センチほど離れて止まりました。やった!しかし、これはまぐれであって、いきなり私がバンカー名人になった訳ではありません(^^;;。ま、研究と練習の賜物ではありますが。

さて、顎の問題です。30センチの高さの垂直の顎のあるバンカーでテストしてみました。ボールが顎からハンドルの長さ(約27センチ)しか離れていない場合だと、スプラッシュ型では出せません。ですが、最低ハンドルプラス1/2(計40センチ)あればスプラッシュ型でも出せます。このテストは有意義でした。ボールが顎から40センチ以上離れていれば、不安を感じることなくプレイ出来るからです。

【参考】
・「バンカーショット、二つの流儀」(tips_153.html)
・「スプラッシュ型バンカー・ショットの修得」(tips_153.html)

 

(March 01, 2017)

 

【追記】その後もスプラッシュ型のバンカー・ショットの練習を続けました。この日のベストボール・ゲームのNo.14(440ヤード)パー5。私の二打目はグリーン手前のガード・バンカーへ。ピンは奥で、距離は約20ヤード。オーヴァーすると崖下へ転げ落ちるので、ハンドルをやや短く持って15ヤード程度に安全に打つことにしました。3時→9時のスウィングで完璧な砂の津波を実現し、ボールはピン傍10センチ。あわやサンディ・イーグル!練習の甲斐がありました。

(March 03, 2017)

バンカー・ショットでも利き目を使おう

ある日、バンカーで何度も練習しながら、「同じバックスウィングなのに、何故強く打ち過ぎたり、弱過ぎたりするのか?」と不思議でした。もちろん、私のクラブの突入地点がボール後方5センチだったり10センチだったりするのが原因なのは明白です。ですが、現在の私は両手が地面と平行になる程度の極めて短いバックスウィングをしているので、狙った地点にかなり正確にクラブを突入出来る筈です。そうならないのは何故だろう?また、私が採用しているスプラッシュ型のバンカー・ショットは「砂の津波」でボールを押し出すので、何センチ後ろとか、そう厳密でなくてもいい筈なのに。

「Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ」(このページ上)は、《利き目でボールを見ないことがダフりの原因である》という内容でした。その記事を思い出し、利き目(私の場合は右目)だけでアドレスして打ってみました。やったぜ、ベイベー(^^;;!これだと外れがありません。平均して、かなり正確に打てるようになりました。

(March 03, 2017)

Mr. X(ミスターX)の アドレスの頭の位置

'Lessons With Mr.X'(邦訳『Mr. Xのゴルフ』)の続編'More Golf Lessons With Mr.X'のユニークな点は、徹底的に週一(あるいは月一)ゴルファーのために書かれていることです。ゴルフ名人たちのテクニックも紹介されるものの、「アマチュアはこうする方が妥当」…と、著者Mr. X自身の経験と仲間たちにテストさせた上でのアイデアが加えられているのが特徴です。【Mr. Xの正体については「『Mr. Xのゴルフ』のボール位置」(02/05)を御覧下さい】

[Jack]

'More Golf Lessons With Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1972, $4.95)

「私はこの一項を不可欠な基本の一つとみなしているのだが、数多くのゴルファーたちが見過ごしているか、『インパクトで頭をボールの後ろにおけ』というルールに従わない。このルールやインストラクターの『頭を動かすな』という助言にもかかわらず、一般ゴルファーの大多数は、インパクト時の頭の位置であるべきスタンス右側ではなく、両足の中央に頭を置く。

われわれは鼻先にぶら下げたクラブでボールを打つ訳ではない。クラブは肩の先端にくっついているのだから、左肩がスウィングの真ん中であるべきで、それは鼻の15センチほどターゲット寄りである。【編註:私の場合、22センチ】だったら、なぜボールの向かい側に鼻を置きながら、その鼻がインパクトでボール後方になることを期待出来るのか?そんなことは、頭を動かさない限り出来っこない。

では、なぜゴルファーたちがこの単純なルールに従わないのか?教えましょう。われわれ人間にとって打とうとする物体を両目の前に持って来るのは完全に自然なことなのだ。それはわれわれが知らず知らずに行うのだが、今やそれが惨事を引き起こす元凶だと気づいた訳だから、それに抗して闘わねばならない。

自分で自分のスウィングを見るのは難しいので、インストラクターの助けを得るのが望ましい。レッスン・プロにあなたのインパクト体勢を形成して貰う。それは、頭はスタンス後方、腰は中央を遥かに離れて弓なりになる筈だ。次いで、プロにアドレス体勢を作って貰うが、その時の頭の位置はインパクト時と変わらない。このプロセスがアドレスでの正しい頭の位置を気づかせてくれる筈だ。その後、各クラブ毎に12個のボールを打つ。頭を動かさず、ヘッドアップしないように」

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)のボール位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の セットアップ」(このページ下)
・「Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法」(このページ下)

(March 05, 2017、追補March 26, 2017)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の 切れ味のいいアイアン

 

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc.,1977)

「ウッドを打つのが得意なゴルファーは得てしてアイアン・ショットがお粗末である。その理由は彼らが球筋の舵を取ろうとしたり、ボールを突くように打ったりするからだ。ボールをターゲット目掛けて"swing"する(振り抜く)代わりに、あまりにも方向にこだわり、ターゲットにボールを着地させようとする“精度願望”が主たる病根である。そういう舵取りモーションは、スウィング弧とクラブフェースの向きを崩壊させ、その結果としてあさっての方向へのショットを生じる。バッグの中のどのアイアンでも、伸び伸びと自信を持ってクラブヘッドを振るべきだ。ボールが巡航高度に達するまで、結果を心配してはいけない。

私はアイアンも含めて全ての通常のフル・ショットのボール位置は左足踵の前方(正面)である。
【編註:「ボール位置、二つのメソッド」(tips_153.html)を参照】

ショート・アイアン(8番、9番)とウェッジでは、私はアドレスからバックスウィングまで体重を左足にかける。これは急角度のダウンブローなスウィングをお膳立てする。

アイアンではスタンスを広くしないこと。広くするとバックスウィングで捻転するのでなくスウェイをしがちになり、ダウンスウィングで下半身のアクションを制限してしまう。私のスタンス(両足の内側の広さ)は絶対に肩幅を越えない(ドライヴァーでも)。クラブが短くなるにつれ、私のスタンスは狭まって行き、ウェッジでの両足の間隔はたったの10センチ以下となる。

体重はアドレスでは両足平均だったとしても、インパクトでは左足に乗っていなくてはならない。さもないと、アイアンに不可欠な地面よりボールを先に打つダウンブローの正しい打ち方は出来ない。

 

いいアイアン・ショットにはハンド・ファーストの構えとインパクトが欠かせない。

頭の上下運動は、特にアイアン・ショットではスウェイより重罪である。バックスウィングで頭が下がると、ダウンスウィングで上がるのがお約束であり、これはトップ・ショットへの一本道である。バックスウィングで頭が上がれば、ダウンスウィングで下がる。これはダフりへの招待状だ。だから、スウィングの間じゅう、頭を水平に保つ努力をすべきである。

クラブ・シャフトが短くなるにつれ、左腕が曲がり易くなる。ダウンスウィングで曲がった左腕が伸びると、ボールの手前(ターゲットの反対側)の地面を叩く結果になる。

どれだけ長いバックスウィングをすべきかは、あなたがスウェイせずにどれだけ捻転を出来るか、左腕を曲げずに(そしてグリップを緩めずに)どこまで高く両手を上げられるか次第である。練習し、それぞれのクラブでの自然なフル・スウィングのトップを確定すること。

多くのゴルファーが長めのアイアンで手を焼く。それは急角度のダウンブローのスウィングをするからだが、その結果はクラブを地面に突き刺すかダフるかどっちかである。長いクラブはドライヴァーと同じ掃くようなスウィングをすべきである

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ターゲットへ舵を取ろうとすると、頭からなにから上半身全体がそっちへ回転し易い。ダウンスウィングでターゲット方向へのスウェイも起こり易い(この場合、軸が動くので弱々しいショットにしかならない)。Jack Nicklausが云っているように、ターゲットに向かって(頭を残して)振り抜くことが最もパワフルで、方向性もよいショットになるようです。「パー3ではスクウェアに打とう」(tips_169.html)に開眼以後、私の方向性は良くなって来ています。

上の記事の「長いクラブは掃くようにスウィングすべきだ」に注目。ハイブリッドも3番アイアン、4番アイアンの代わりであるなら長いクラブに入ります。ロングアイアンを掃くように打つべきなのなら、ハイブリッドも掃くように打って当然です。70年代に既にJack Nicklausがこう云っていたとは知りませんでした。私は「ハイブリッドはアイアンのように打て」と云ったインストラクターたちを怨んでいるのです。

 

(March 05, 2017)

ライトセーバーでスウィング軌道をチェックする

「ライトセーバー」は映画'Star Wars'『スター・ウォーズ』に登場する光線エネルギーの刃を持つ剣。ライトセーバーは一寸入手困難なので、インストラクターRick Grayson(リック・グレイスン)は御家庭にあるもので間に合わせています(^-^)。

[light sabre]

'Light up your line' by Rick Grayson
a part of 'The Golf Magazine's Full Swing Handbook'
by Peter Morrice and the editors of 'Golf Magazine' (The Lyons Press, 2000, $14.95)

「あなたのスウィング・プレーンをヴィジュアルにチェック出来る良い方法がある。地面にセットしたボールの左右に、ターゲットラインを示す二本のクラブを置く。【編註:「クラブ----(ボール)----クラブ」のように並べる】

次に、二つの懐中電灯の光線が互いに反対方向を照らすように、お尻とお尻をくっつけてガムテープなどで一体にする。

懐中電灯をクラブに見立て、セットアップし、一方の光線が地面のクラブを照らすように構える。スローモーションの1/2スウィングをする。あなたのスウィング・プレーンが完璧なら、ダウンスウィングで反対側の懐中電灯の光線も地面のシャフトを照らす筈である」

 

(March 05, 2017)

Mr. X(ミスターX)の セットアップ

 

'Lessons With Mr.X'(邦訳『Mr. Xのゴルフ』)およびその続編'More Golf Lessons With Mr.X'のユニークな点は、徹底的に週一(あるいは月一)ゴルファーのために書かれていることです。ゴルフ名人たちのテクニックも紹介されるものの、「アマチュアはこうする方が妥当」…と、著者Mr. X自身の経験と仲間たちにテストさせた上でのアイデアが盛り込まれているのが特徴。【Mr. Xの正体については「『Mr. Xのゴルフ』のボール位置」(02/05)を御覧下さい】

今回はセットアップ篇。著者推奨の「逆Kのアドレス」【註】を採用することが前提です。

【編註】「逆Kのアドレス」については「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)を御覧下さい。

'More Golf Lessons With Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1972, $4.95)

「ゴルファーたちは、だらりとしたポスチャーがいかにパフォーマンスを破壊するか気づいていない。優れたゴルファーは、胸に顎を埋めたりしない。"S"の字のようにくねくねしたり、"C"の字のように猫背のポスチャーはスウィングを非常に難しくする。

頭は人間の身体の中でとても重い部分だ。だから、頭が前方かつ下方に落ちるようだと、臀部が後ろに突き出て釣り合いを取る役目をすることになる。この悪しきセットアップはスウィングの間にバランスを崩す結果となり、多くの場合ヘッドアップの原因となる。

【良いポスチャー】

 

・首の後ろがシャツの襟に触れるように起こす。【編註:頭は前に傾げず、ほぼ垂直になる
・背骨の上部の延長線が、左右の耳を結んだ線と交わること。【編註:背筋を曲げたり、首をうなだれたりすると、背骨上部の延長線は両耳を結んだ線と交わらず、後頭部をすり抜けてしまう】
・尻を突き出さない。
・骨盤は前傾せず、地面とほぼ平行である。
・股関節は両足の上であり、両足の後ろではない。
・背骨の下部はほぼ真っ直ぐである。

頭は両足の真ん中ではなく、スタンス中央より右に置き、スウィングの間じゅうそこに留めること。この位置からシャフトを見ると、まるでターゲットの右を向いているように見えるだろうが、それは錯覚である。それでスクウェアなのだから弄くらないこと。頭を両足の真ん中に置くと、ヘッドップや左方へのスウェイを引き起こし、惨事に繋がる。

・ドライヴァーでは両手が左の爪先を覆い隠し、8番アイアンでは両手が左のくるぶしを覆い隠せば、ボールと身体の距離は適切である。

アドレスで腹筋を収縮させ、スウィングの間じゅう強ばらせておく。これは背骨を伸ばすだけでなく、骨盤前部を持ち上げ、股関節を足の上に据える役目をする。

【編註】私事で恐縮ですが、私はアドレスからスウィング開始のキューを、(フォワードプレスとかでなく)臍下丹田に力を篭めることで行っています。力を篭めたら、すぐテイクアウェイに移ります。【参照「簡単にパワーを生む三つの鍵」(tips_167.html)】

・膝を突き出すようにし、腰掛ける姿勢をしないこと。膝を突き出せば臀部の大部分(身体の重心)が両足の上にかかるが、腰掛ける姿勢は臀部の大部分を両踵の後方にかけがちとなる。

・頭を動かさないようにする代わりに、頭を後方にし、下げ続ける。その場所はスタンス中央の右側である」

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私のアイアンの方向性が乱れるのは、グリップのせいかポスチャーによるものではないかと推察していました。この記事を読んだ時、私はドッキーン!としました。顎を埋めるというほどではないにしても、45°に近い感じで首を曲げていたからです。この私のポスチャーだと、背骨上部の延長線は首の付け根から空中に飛び出してしまう感じ。

 

これを読んだ次のラウンドで、極力首を真っ直ぐにし、下目遣いでボールを見るようにしました。驚いたことに、俄然ショットの方向性が良くなりました。顎の角度というごく小さな要素が、ショットにこんな大きな影響を与えるとは!Mr. Xさまさまです。ほんとにいいこと云ってくれます。

写真のAdam Scott(アダム・スコット)は、Mr. Xの注文通りの完璧なポスチャーをしています。1.83メートルと長身なのでかなり前傾していますが、頭を起こし、背骨上部は真っ直ぐ、背骨の下部も真っ直ぐ、骨盤は地面と平行、股関節は足の上、腰掛ける姿勢でなく膝を下に向けています。

【参考】
・「Mr. X(ミスターX)のゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)のボール位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の アドレスの頭の位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法」(このページ下)

(March 12, 2017、追補March 26, 2017)

正しいポスチャーの作り方

 

英国のインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)による基本のポスチャー構築法。

'Golf Skills'
by Roger Hyder (Firefly Books 2000, $14.95)

「ボールから約60センチ離れ、踵を肩幅に開いて直立する。見下ろすと、靴紐が見える筈だが、その靴紐が見えなくなるまで膝を突き出す。

両方の手でクラブを握り、胸の前に地面と平行に保持する。グリップエンドがウェストを向くまで下げるが、シャフトは依然地面と平行なままにする。

股関節から(ウェストからではない)前傾して尾てい骨を突き出し、腰背部を真っ直ぐにする。

いまやクラブヘッドは地面に接し、体重は拇指球に(爪先ではない)かかっている筈だ。

最後に、顎は胸から離れていなくてはならず、腕はソフトであるべきだ(弱々しかったり、強ばって真っ直ぐではなく)。そして、右肘と右肩は左よりも下がっていること。

【ポスチャーのチェック法】

等身大の鏡か大きなガラスに、あなたのアドレス体勢の右側を映す。あなたのポスチャーが正しければ、次のようになっている筈だ。

 

《拇指球から上に垂直に伸ばした線は、膝小僧を通過して肩に到達する》

背の高いゴルファーでも体重はやはり拇指球に乗っているべきだが、両肩は爪先の上になる」

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鏡でチェックしてみました。私は靴紐が見えないほど膝を突き出しておらず、体重も拇指球ではなく踵にかかっていました。拇指球--->膝--->の線も肩にかかっていませんでした。完全に不合格(;_;)。

なお、上の記事のポスチャーが「Mr. X(ミスターX)の セットアップ」(このページ上)と相反するところは一つもありません。両方を混在させると優等生になれるでしょう。写真のNick Faldo(ニック・ファルド)はかなり長身ですが(1.91メートル)、この記事の筆者Roger Hyderの示唆に近いポスチャーをしています。Roger HyderはLeadbetter Golf Academy(レッドベター・ゴルフ学院)のヨーロッパ本部のインストラクターだったそうですし、Nick FaldoのコーチはDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)でしたから当然と云えば当然かも知れませんが。

【参考】「Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)の 拇指球に体重を乗せよ」(tips_153.html)

(March 12, 2017)

プレショット・ルーティーンにかける時間

 

PGAツァー・プロ数十名のプレショット・ルーティーンを計測した、インストラクターDr. Richard Coop(ディック・クープ博士)の結論。

'Perform at peak concentration' by Richard Coop

a part of 'The Golf Magazine's Full Swing Handbook'
by Peter Morrice and the editors of 'Golf Magazine' (The Lyons Press, 2000, $14.95)

「プレショット・ルーティーンにかける時間の量は重要なのだが、しばしば見過ごされている。それぞれのゴルファーには集中心の限界というものがあり、彼が直面するどのショットにおいても集中のピークがある。あなたの目標はそのピークに到達し、その瞬間に行動することだ。

ここ数十年、私は約50人のPGAツァー・プロがどれだけ長くショットに時間をかけるか計測して来た。彼らの3/4は集中しボールにコンタクトするまで18〜22秒の経過時間であった。彼らはそれぞれ独自のプレショット・ルーティーンを持っており、それはどのショットをする時も変わらない。そして、それにかける時間も一定なのだ。

練習場で、異なる時間でプレショット・ルーティーンを実施し、友人にストップウォッチで計測して貰うとよい。そのうちに、あなたのパフォーマンスと忍耐心の度合いによって、もっと簡潔にすべきか、あるいはきめ細かくすべきか、知ることが出来るようになる。いったん、あなたの集中力に最適のプレショット・ルーティーンが判明したら、どのショットの前にもそれを用いるべきだ」

 

(March 12, 2017)

フェアウェイ・ウッドはゆっくり打て

 

英国のインストラクターRoger Hyder(ロジャー・ハイダー)による長いクラブの打ち方。

'Golf Skills'
by Roger Hyder (Firefly Books, 2000, $14.95)

「フェアウェイ・ウッドやロング・アイアンを用いる時、多くのゴルファーが『遠くへ飛ばすには早く振るべきだろう』という間違った信念で急速なバックスウィングをする。

優れたプレイヤーがフェアウェイ・ウッドやロング・アイアンを打つのを見れば、彼らのテイクアウェイには急ぐ気配など微塵もないことに気づく筈だ。急いだバックスウィングはリズムとバランスをぶち壊す。

こうした長いクラブを使う際に、安定してスムーズに動作出来るtipをいくつかお教えしよう。

アドレスした時、『ボールはバックスウィングで打つもんじゃない』と自分に云い聞かせ、バックスウィングを急がない。当たり前のように聞こえるだろうが、この呪文を常に用いれば、長期にわたってあなたのスウィングをスローダウンさせてくれる。同時に、これはバックスウィングのトップで正しい体勢になる時間を作り出す。

次に、バックスウィングにとって重要な実際的イメージを上げよう。あなたは弓と矢を手にしていると想像し、射手が慎重に弓を引く姿勢をあなたも取り入れるのだ。ゆっくり引き、静かにリリースする。

大仕事は全てバックスウィングで終わっている。ゆっくりスムーズにバックスウィングを完了したら、ダウンスウィングも同じテンポで開始し、スムーズに加速する(ボールのカヴァーを引ん剥くような荒っぽさは不可)。リズムとテンポが、ゴルフにとって最も重要なものであることを忘れないでほしい」

 

(March 15, 2017)

フェアウェイ・ウッドのコントロール

 

'Golf Magazine'誌が当時の一流プロたちのtipを集め、素晴らしいイラストとの見開きで編集された本より。筆者Mike Souchak(マイク・スーチャク、1927〜2006)はツァー15勝を挙げ、当時のいくつかの新記録も達成したプロ。

この記事は、ハイブリッドはおろかメタルウッド出現以前に書かれたものです。現在のクラブは格段に許容度が高くなり、ボールを上げ易くなっているというのに、それでもなお我々はミスを犯します。それを防ぐために、このtipを思い起こす必要があろうかと思われます。

'Controlling the fairway woods' by Mike Souchak
from 'Golf Magazine's Pro Pointers and Stroke Savers'
edited by Charles Price (Harper & Brothers, 1960)

「私がフェアウェイ・ウッドの使い方について、一般ゴルファーに上げられるベストの助言、それはライが良くなければ使うなというものだ。この金言は、ツァー・プロでさえうっかり忘れてしまうものであり、私自身これを受け入れるまでに大変な経験を重ねた。

私は、4番ウッドか2番アイアンを用いるべきライで3番ウッドを使うことは絶対にしない。フェアウェイ・ウッドは打つのが難しいクラブの一つである。もしライに少しでも不安があれば、実際には3番ウッドの距離が必要な場合でも、4番ウッドを選ぶ方が遥かに良い。ショットを完璧に台無しにする危険を犯すより、10〜15ヤードを諦める方がずっとましである。アマチュアがこの考え方を貫けば、沢山の打数を節約出来る筈だ。

私の場合、いずれにせよフェアウェイ・ウッドで最大飛距離を得ようなどと試みない。それどころか、ハンドルを1インチ(2.5センチ)短く持つ。このシャフトを短く持つことは僅かな距離を犠牲にするものの、よりソリッドなコンタクトが得られるので損失を補って余りある成果が得られる」

 

(March 15, 2017)

パンチ・ショットで忘れてはいけないこと

 

パンチ・ショットは、スティンガーとかノックダウン・ショットの別名があり、当サイトでは既にいくつかもの記事を掲載しています。今回の記事を付け加えるのは、これまでのtipsが触れていないバックスウィングでのコックの重要性と、通常のスウィングとパンチ・ショットの飛距離の比較について書かれているからです。執筆は女性インストラクターのAnne Cain(アン・ケイン)。

'Golf Magazine: The Best Short Game Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Inc. Home Entertainment, 2009, $32.00)

「バックスウィングが長ければ長いほどミスを犯す危険が増す。だが、多くのゴルファーは目前のヤーデージに必要なクラブを、フル・スウィングの飛距離に基づいて選択する。これは大きな戦略的間違いだ。特に長いクラブを少し短く持ってスウィングする場合には。

パンチ・ショットはショット・メーキングには欠かせない有用なものである。特に花道を使える場合や、風の強い日に役立つ(低いボール軌道によって風の影響を受けずに済む)。

1) 両手を胸の高さで止めるバックスウィングをする。それ以外は通常と変わらない。手首をフルにコックし、クラブヘッドは両手より高くすること。【編註:写真では直角(クラブヘッドが天を指す)よりもっと多めにコックしています】 トップからダウンスウィングへは通常通り。

2) インパクト後、クラブヘッドを地面近く低く保つこと。これは低く鋭く飛ぶボール軌道をもたらす。低いフィニッシュはまた、大振りしてボールをカットしてしまう危険を減らす」

この記事には、7番〜ピッチングウェッジをフルスウィングした時とパンチ・ショットでヤーデージがどう変わるかの一覧表が添えられているのですが、7番アイアンのフルスウィングが165ヤードって、われわれはプロじゃないってえの、ったく!で、目障りな一覧表は省略し、飛距離の差だけ紹介しときます。

・7番アイアン〜9番アイアン:パンチ・ショットだとフルスウィングより35ヤード減。
・ピッチングウェッジ:パンチ・ショットだとフルスウィングより40ヤード減。

【参考】
・「90を切る鍵はスティンガー」(tips_105.html)
・「スティンガーの留意点」(同上)

 

(March 15, 2017)

バンカー・ショットも下半身主導で

ラウンド前にバンカー・ショットの練習をしていて、距離感のいい加減さにほとほと呆れました。同じバックスウィング、同じフォロースルーをしているのに、ショートしたりホームランになったり。

ここのところ読んでいたAl Geiberger(アル・ガイバーガー)の本で、彼はチッピングとピッチングでの脚のリードによるダウンスウィングを力説していました。それも記憶の底にあったのですが、ラウンドの前日に見た一本のVHSヴィデオの内容を鮮明に覚えていたのです。

'15 Shots to Save Your Golf Game'
by Tim Mahoney (Golf Digest, VHS, 1995)

このヴィデオは、難しいライのショットやショートゲームのコツを、インストラクターTim Mahoney(ティム・マホーニィ)が教えてくれるという趣向。この中の「ピッチングウェッジでの部分ショット」、「ロブ・ショット」、「チッピング」の三つの項目で、彼は同じことを説いていたのです。

「ショートゲームをアマチュアは小さな筋肉(腕・手)で処理しようとするが、逆に大きな筋肉(背中、肩、腰、両脚)でコントロールすべきだ。バックスウィングは肩でリードし、腕と手はそれに追随する。ダウンスウィングは下半身(特に腰)がリードし、腕と手はそれに追随する

このように、ショートゲームのほとんどを大きな筋肉で処理せよと強調していたのが印象的でした。それらはバンカー・ショットについて言及されたものではなかったのですが、ひょっとしてバンカー・ショットにも適用出来るのではないか?と思いました。手というのはとてつもなく器用に動かせるだけに、逆にスウィングやストロークの正確さを損ないます。距離感も方向性も、力加減次第で全く不安定になってしまうのです。それが、実は私に手首を殺すパッティング・ストロークに専念させている理由でした。

(時計の文字盤の)3時へのバックスウィングをし、下半身のリードで(手・腕は追随するだけで)9時へとフォロースルー。この動きを何回か繰り返し、実際にボールを打ってみました。いい距離感、いい打感のショットが連続。バンカーでも下半身主導か!と思わされました。

 

その日、私がバンカーに入ったのは一回だけでした。No.5(350ヤード)パー4。私の二打目はグリーン手前にある二つのバンカーの一つへ。ボールからピンまでは20ヤード。15ヤード下ってから5ヤードの上り。しかし、このグリーンは早いので、全体を15ヤードとしてプレイすべきだと考えました。サンドウェッジのハンドルの中間を握り(=やや短め)、練習の時のように3時のバックスウィングをして、下半身のリードで(手・腕は動かさずに)9時へと振り抜く素振りを数回。何も期待せずに本番へ。ボールは10ヤード飛んで着地し、するするとカップ目掛けて上って行き、ピン傍約10センチで停止!やったね!

帰宅してから、Al Geibergerがバンカー・ショットについてどう述べているのかチェックしてみました。

'Tempo'
by Al Geiberger with Larry Dennis (Pocket Books, 1980, $13.00)

「バックスウィングでの脚の動きは無きに等しいが、ダウンスウィングでは脚をちゃんと使うこと。脚のアクション抜きだと両手がしゃしゃり出てスウィングのテンポを早め、インパクトで手首を返してしまう原因となる。こうなるとスウィングが減速し、砂に取っ捕まれてクラブが停止するか、全てのパワーを失ってチョロするかどちらかである」

やはり、チッピングやピッチングと同じように脚を使ってスウィングしろと云っているのです。既に採録済みの「Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のバンカー・ショット」(tips_173.html)には、「インパクトで、ターゲット方向に右膝を送る」とありました。【←これは本ではなく、DVDから得たもの。すっかり忘れていました】

私のチッピングは、どちらかと云うと腕・手によるコントロールでいい距離感を得ていました。これも《下半身主導のダウンスウィング》方式を採用すれば、距離だけでなく方向性も完璧になるかも知れないと思わされました。

【参考】
・「Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のチッピング」(02/19)
・「Al Geiberger(アル・ガイバーガー)のピッチング」(02/22)

(March 22, 2017)

難しいライからの脱出

 

裸地、ラフ、ディヴォット・ホールなどから脱出するコツ。インストラクターTim Mahoney(ティム・マホーニィ)がヴィデオでデモして見せたtipより。

'15 Shots to Save Your Golf Game'
by Tim Mahoney (Golf Digest, VHS, 1995)

「全ての悪い(難しい)ライでプレイする時の公式:

1) クラブを短く持つ。
2) ボール位置をスタンス後方にする。
3) 体重を左サイドに寄せる。

2と3を実行すれば、自然にボールをヒットダウンすることになる。これが窮地からの脱出を助けてくれる。バランス良くスウィングするように」

2と3によってヒットダウンするのは理解出来ますが、「クラブを短く持つ」のは何故?ヴィデオでは説明されませんでしたので、推測するしかありません。確実にスウィート・スポットでボールを打ち、確実に脱出せよということでしょうか?Tim Mahoneyは「ディヴォット・ホールや長いラフなどでは、ダフるミスが最悪である」と述べています。ボール後方の地面を叩くよりはトップする方がいいということかも知れません。

難しいライ専門の本'Scrambling Golf' by George Peper (1977)なら「クラブを短く持つ」理由が読めるかも…と思ったのですが、「クラブを短く持つ」ことそのものに触れられていませんでした。一つだけ印象的だったのは、《裸地とディヴォット・ホールでは、アドレスしたらボールのターゲット側の半分に焦点を合わせよ》というtipでした。これもダフりを防ぎ、ダウンブローに打つための工夫ですね。

 

(March 19, 2017)

ヒットダウンの練習法

 

正確なアイアン・ショットを打つにはFLW(Flat Left Wrist=フラット・レフト・リスト=平らな左手首)で、しかもヒットダウンする必要があります。掬い上げるスウィングでは、クラブに備わったロフトを活かすことは出来ず、従って適切な方向も距離も得られません。

'Handling tough situations'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 2000)

「ボールの後方6インチ(約15センチ)のところにティーを刺し、草の上に1/2インチ(約1.3センチ)だけ頭を出すようにする。5番アイアンでボールを打つが、もしボールを打つ前にティーを打ったら、あなたのスウィング軌道はあまりにも浅過ぎる。シャープなディセンディング・ブローだけがティーを避けつつ、しかもボールをソリッドに打つことが出来る。

ティーを打たずに安定してソリッドなコンタクトが出来るまで、ボールをスタンス後方にするかグリップ・ダウンする」

 

(March 22, 2017)

Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法

'Lessons With Mr.X'(邦訳『Mr. Xのゴルフ』)の続編'More Golf Lessons With Mr.X'という本のユニークな点は、徹底的に週一(あるいは月一)ゴルファーのために書かれていることです。ゴルフ名人たちのテクニックも紹介されるものの、「アマチュアはこうする方が適切」…と、著者Mr. X自身の経験と仲間たちにテストさせた上でのアイデアが加えられているのが特徴です。【Mr. Xの正体については「Mr. X(ミスターX)のボール位置」(02/05)を御覧下さい】

ここでは、著者が「ギャップ」と呼んでいるラグ(レイト・アンコック)の習得法に焦点を当てた部分を紹介します。

'More Golf Lessons With Mr. X'
by Mr. X and 'Golf Monthly' (Pelham Books, 1972, $4.95)

「バックスウィング開始の際のワンピース・テイクアウェイについては山ほど書かれているが、ダウンスウィングをワンピースで開始することについては語られることがない。

ゴルファーたちは『トップから打ちに行くこと(=手打ち)は厳禁』と教えられる。手打ちがゴルフ・スウィングを破壊する行為の一つなのは明白だが、その重要な助言に従うことが出来る人は数少ないようだ。不幸にも、物体を打つのに腕と手を使うのは自然なことであり、その習慣は生まれ落ちた時から始まっている。それゆえ、(パワーを生み出すのは脚と身体の大きな筋肉であるにも関わらず)一般ゴルファーの多くはスウィングのトップから手と腕でボールに襲いかかる行動をやめない。彼らがこの過ちを根絶出来ないのは、彼らが試みて達成すべき正しいアクションの明白なイメージを持たないからだ。『トップから打ちに行くな』というネガティヴな指示ではなく、過ちを除去するポジティヴなアクションを見つけるべきだ。

良いスウィングだと、スウィングのトップで右肩先端と両手首とを隔てるギャップは、ダウンスウィング初期にはその距離を変えずに維持される。だが、もしそのギャップの幅が広げられてしまったら、プレイヤーは即座にトップから手と腕で打ちに行ってしまう。ギャップの幅は人によって異なり、一般ゴルファーで30センチ、名人級で25センチである。その幅はどうであれ、ダウンスウィングで両手が腰の高さに下りるまで、ギャップは維持されなければならない。私見だが、これはゴルフで最も重要なものであり、ギャップ(間隔)をロックする(固定する)技術をマスターするためにゴルファーは懸命に努力すべきである。

 

その技術習得に取り組む方法はいくつかあるが、単純な方法はスウィングのトップに達した時、両手首が右肩先端に縛り付けられており、ダウンスウィングで両手が腰の高さに下りるまでそのまま留まると想像することだ。

ドリルバックスウィングのトップに達しギャップをロックしたら、右肩先端を右足に向けて(←ボールに向かってではない)垂直に落下させる。手とクラブはワンピースで右肩先端に引き摺られるが、あくまでも受動的でリラックス状態であるべきだ。

よく云われることに、『ダウンスウィングは左腕がクラブを引っ張り下ろすことで開始されるべきだ』とか、『腰を左に移動させることによって開始すべきだ』という類いがあるが、私はそういうアクションは右肩先端が落下する結果に過ぎないと確信している。名人たちは左腕がコントロールしていると感じるかも知れないが、私は左腕はパワーを生むものではなく伝達するに過ぎないと考える。

このポジティヴな動作を屋内で練習したら、練習場に赴いて6番か7番アイアンでボールを打つ。『One and Two(ワン・アンド・トゥー)』の文句と共に、スムーズなテンポでスウィングする。『アンド』の部分で急いではならない。『アンド』を遅く実行すればするほど、ギャップのロックが容易になる。

もう一つ、ロックされた感覚を得るための良い練習法がある。壁に背をつけ、トップまでクラブを振り上げる。誰かにクラブヘッドを紐か強力なゴムバンドで縛って貰う。その後、錨を下ろしているクラブヘッドを右肩先端によって引っ張り下ろそうとする。即座にプレッシャーが生じ、腰、膝がターゲットへ向かおうとし、左腰が回転を始めるのに気づく筈だ。ダウンスウィングで何が腰と膝を始動させるのか、あなたは実感することだろう。実際にボールを打つ際も、慣性が上の錨を下ろしたクラブヘッドを引き下ろす役割を果たす。

『トップで間(ま)をおけ』という言葉を聞いたことがあるだろう。ギャップがロックされるまで待つと考えるべきなのだ」

【参考】
・「Mr. Xのゴルフ」(tips_167.html)
・「Mr. X(ミスターX)のボール位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の 利き目でボールを見よ」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の アドレスの頭の位置」(このページ上)
・「Mr. X(ミスターX)の セットアップ」(このページ上)

(March 26, 2017)

腰のリードで、さらなるパワー

 

'For extra power, shoot from the hips'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' March 2017)

「多くのゴルファーがパワーを失うのは、切り返しの時点である。彼らはトップであまりにも早く上体を逆回転させ、腕と肩を使い過ぎ、期待に反してクラブヘッドをスローダウンさせてしまう。

あなたのスウィング・スピードを最大にし、あと15〜20ヤード増やすには、ダウンスウィングでもっと腰を働かせる必要がある。ダウンスウィングで腰に腕と肩をリードさせることが出来れば、あなたは仲間のロングヒッターを追い越せるようになる。

・腕でなく腰でリードせよ

アドレスした時のポスチャーを維持しながら、トップへと可能な限り肩を捻転する。そこから、ターゲットに背を向けたままベルト・バックルと腰をハードに回転させながらダウンスウィングを開始する。あなたはあたかも腰が上半身をリードし、腕と肩を行動に引き摺り込むフィーリングを得るべきだ。

[drop]

この上体と下半身の分離は、クラブヘッドを正しい『インサイドのパワー軌道』に落下させ、腕を身体の前でスウィングし、クラブフェースをスクウェアにするのを容易にする。この分離はまた、ターゲット側の腕とシャフトとの角度を保ちながら、ダウンスウィング後半へと向かい、インパクトでその角度が真っ直ぐになる際、スピードにエクストラの爆発を生む助けとなる。

・チェック・ポイント【シャフトを前腕の角度に合わせよ】

ダウンスウィングでクラブヘッドが正しいインサイド軌道でボールに接近する際、両手が腰の高さの時点でシャフトが右前腕を二分するように見えるべきだ。【編註:プレイヤーを飛球線後方から見ると、右図のように右前腕の後部とクラブシャフトが重なって見えるという意味】

この時、既に腰は数度オープンになっているが、あなたの肩はまだターゲットにラインにクローズなままである(両肩を結ぶラインはターゲットの右を指している)。

腰と肩の間に分離があればあるほど、クラブヘッドの道程(みちのり)が長くなり、ボールに向かってさらなるエネルギーを爆発させられる。この腰優先の動きを正しく行えば、自信を持ってボールを打つことが可能になる」

[icon]

このtipのチェック・ポイントに注目。特に(腰の高さで)右前腕とシャフトが重なるという部分。今まで聞いたこともなかった説明法ですが、これは核心を突いたポイントに思えます。

[down]

この記事にせよ、どの記事にせよ、レイト・ヒットのコツは全て「手の動き」に焦点が当てられるのが常でした。よく云われる《ダウンスウィングは教会の鐘を鳴らすように》というtipでさえも、両手で紐を引くという説明です。これらがわれわれに誤解をもたらして来た元凶であると思います。焦点は手でなく「右肘」に当てられるべきです。手ではなく《右肘を落下させる》のです。こうしないと図のような(腰の高さで)右前腕とシャフトが重なる現象は起き得ません。

これまでの様々なインストラクションが「手を落下させる」と説かれていたため、われわれの意識は「手」に集中し、手は落下させても右脇は締まらず、相変わらず手打ちになる危険がつきまといました。意識を右肘に集中し、それを右脇に引きつける動きなら、上図のように右前腕とシャフトが重なり、インサイドからのダウンスウィング軌道も保証されます。「右肩先端を右足に向けて垂直に落下させる」という「Mr. X(ミスターX)の コックを解(ほど)かない方法」(前項)は、手から肩に焦点を移しているだけベターですが、さらに一歩踏み込んで右肘に焦点を合わせれば最高だったと思われます。

右図のSergio Garcia(セルジオ・ガルシア)のダウンスウィングの初期動作も、見る側が「手」に注目するか「右肘」に注目するか…で、解釈は180°変わります。私は「右肘」に注目するのが正しいと確信します。

【参考】「腰の動きで飛距離を伸ばす」(tips_116.html)

(March 26, 2017)

ヘッドスピードが遅いと有利な場合

ヘッドスピードが遅いのも悪いことばかりじゃない…という、インストラクターBill Davis(ビル・デイヴィス)のtip。

'Better by Saturday: Iron Play/ Long Game'
edited by Dave Allen (Time4 Media, Inc., 2004, $15.00)

「ヘッドスピードが早いとバックスピンが増え、ボールは高く上がる。初・中級の多くのゴルファーのヘッドスピードは平均38m/secであり、ラフから高いボールを打ってキャリーで木を越えてグリーンに乗せるには充分ではない。

だが、遅いヘッドスピードを逆に利用出来るケースがある。以下はその数例である。

・上りのフェアウェイでドライヴァーを使う

上り坂はドライヴァーの実効ロフトをを増すので、3番ウッドのように打つことが出来る。比較的低い軌道のショットを計画し、25ヤードほどのランを見込む。グリーン正面に障害物が無いことを確認せよ。

・きついラフから5番アイアンで125ヤード飛ばす

クラブフェースとボールの間に多くの草が挟まると、9番アイアンやピッチング・ウェッジのショットをグリーンで停止させるのは困難。5番アイアンの少ないロフトは低いショットで100ヤードの飛行とグリーンへのランをもたらしてくれる。

・きついラフから7番ウッドで150ヤード飛ばす

ユーティリティー・ウッドの大きなヘッドは、ミドル・アイアンやロング・アイアンよりも簡単に草の葉を通り抜けることが出来、ボール軌道を上げ、グリーン近くに寄せられる充分なロフトを有している」

 

(March 26, 2017)

パットの失敗にめげるな

マスター・インストラクターDr. Gary Wiren(ゲアリ・ワイレン博士)とスポーツ心理学者Dr. Richard Coop(ディック・クープ博士)の共著より。

'The New Golf Mind'
by Dr. Gary Wiren and Dr. Richard Coop with Larry Sheehan (Fireside Book, 1978, $9.00)

「完璧に打たれたパットでさえ、グリーンの欠陥や不具合によってカップに入らないことがある。Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の研究が、それを明白に証明している。彼はミニチュアのスキーのジャンプ台みたいな傾斜から、ボールが毎回正確に同じ距離を転がる仕掛けを作った。だが彼の実験は、理想的な品質のグリーン上の約4メートルの十回のパットを三回ミスし、貧弱なグリーンでの十回のパットを五回ミスした。それらは完璧な狙いで、完璧なストロークだったにもかかわらず…。

われわれは自分のストロークに責任を負うものの、そのミスに責任を負う必要はないのだ」

次はJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)の本より。

'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, 1976)

「いい状態のグリーンの上で器械を用いてさえ、3メートルのパットの成功率は60%に過ぎないことを忘れてはいけない。ミスの原因が、常にあなたのストロークにあるとは限らないのだ。

パットにミスした時、私はなぜ失敗したのか知りたいと思う。その原因が、私のストロークにあったのならOK、私はグリーンの隅でほんの数分練習する。だが、私がライン上で見逃した何かがあったのなら、私は索的撃滅作戦を遂行する。私はミスの原因を見つけて初めて心が安らぐ。

一般ゴルファーも同じことをすべきだと思う。だが、しょっちゅう見かけるのは、パットに失敗したゴルファーが、大事なおもちゃを盗まれた子供のように憤慨して大股で歩み去る姿だ。彼はミスの原因を知ろうとしない。その結果、彼は残りのラウンドのパットも成功させられない。失敗したパットを振り返ってチェックしない限り、ミスの原因も分らず上達もあり得ない。ラインを見直すのに、さして時間はかからないし、いい教訓が得られるのに…」

 

(March 29, 2017)

膝が震えるパット

 

'Kneeknockers'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「それはラグパットの後の1メートルのパットかも知れない。あるいはあなたの生涯ベストのスコアを達成する最終ホールの短いパット。あるいはマッチをタイにするか、勝利するための小さなパット。状況はどうであれ、短い距離が突如ベラボーに長く、あなたの身体の各部が震えているように感じられる。そんな状態で、どうすればスムーズな良いストロークが出来るだろうか?

1) 頭と身体を静止させる

 毛一筋動かさないほど緊張して立つのではなく、腕がストロークする間、頭と身体を同じ位置に保つように考える。  

2) パターフェースをスクウェアにする

 グリップ圧を軽くし、ストロークとパターの軌道が自然になるようにする。パターを絞るように握ると、パターヘッドの自然な回転を妨げ、それは大体においてインパクトでフェースをオープンにし、ボールを右に向かわせる。

3) パターヘッドをライン上に保つ

 パターをストレートに引き、意識的にラインに沿ってフォローを少し出す。これは若干フォロースルーの長さを誇張する助けとなる。

4) 打て!

 ボールをカップに届かせよ。強めのストロークは強めでないストロークよりベターである。弱めだとカップインするチャンスはゼロだからだ」

【参考】
・「パットが失敗する理由」(tips_43.html)
・「1.2mのパットを気楽に入れる」(tips_129.html)
・「ショート・パットのミスを防ぐ」(tips_165.html)

 

(March 29, 2017)

1mのパットに習熟する練習法

 

1978年と1985年の二回U.S. Openに優勝しているにもかかわらず、Andy North(アンディ・ノース)の名はあまり知られていません。彼はいま、CATVのスポーツ・チャネルESPNにおいて、ゴルフ中継の解説者として活躍しています。紳士的な顔立ち、穏やかな声音、真摯なコメントが特徴です。以下は彼が13歳の頃から、彼のコーチと共に励んだゲーム。

'Long and the Short of It'
by Andy North with Burton Rocks (Thomas Dunne Books, 2002, $24.95)

「練習グリーンで18ホールのパッティング・ラウンドをする。これは褒美にありつけるどころか、ショートすると毎回罰を与えられるという凄い練習法だ。

どこからパットをスタートしようが、もし失敗したら必ずカップから1クラブ(約1メートル)後退する。例えば12メートルのパットをして、25センチほどカップにショートしても、カップから1クラブ後退する。どこへ打とうが、私は1メートルのパットをしなければならず、これは重要な1メートルのパットをミスしてはならないということを教えてくれた。1メートルのパットの罰を回避出来るのは、唯一パットを成功させることでしかない。

このゲームは、絶対沈めなくてはならない過酷なパットをさせるわけで、不屈の精神が試されると云えよう。イーズィな次のパットというものは存在しない。ブレイクのあるグリーンで、友達やお子さんとこのゲームをすることを勧める。

このドリルは、例え手強いグリーンであろうと、1メートルのパットを毎回沈める力を身につけさせてくれる」

【参考】
・「中部銀次郎のゴルフ・パット篇」(tips_118.html)
・「猛練習すべきパットの距離」(tips_149.html)
・「1.2mのパットをミスしない方法」(tips_120.html)
・「ショート・パットをミスする原因:インストラクター四人の意見」(tips_141.html)
・「70センチのパットを絶対入れる!」(tips_161.html)

 

(March 26, 2017)

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