Golf Tips Vol. 171

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 自然にグリップさせよ

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ、1902〜1971)のグリップ論。

'Using your hands'
by Bobby Jones ('American Golfer Magazine,'1934)

「手のどの部分によってもクラブを締め付ける必要は全くない。ボールの後ろにクラブを置いた時、あなたは単にそれを持っている、あるいは感じているに過ぎない筈だ。クラブを動かし始める時、グリップは自然に締まる。だが、動かし始める時、左手で行動を開始しながら、その手の最後の三本指の圧力を感じよ。その感じをそれ以後三本の指がクラブをコントロールする感覚を持ち続けよ」

(April 03, 2016)

距離の判断の仕方

筆者Vivien Saunders(ヴィヴアン・ソーンダース、1946〜、英国)は女子アマとして英国を代表する華麗な経歴を残し、その後インストラクターに転身。この記事は滅多に聞けない距離感を得るコツが貴重。

'A Woman's Golf Game'
by Shirli Kaskie (McGraw-Hill Companies, 1983)

「いいスコアで廻るには、距離を正確に測り、正しいクラブを選ぶことが不可欠である。

上達するためには、どんな場合も旗を越えるように努力することだ。距離を正しく判断するため、あなたはボールに到達するまでクラブ選択の決断をしてはならない。

グリーン奥方向にピンがあると、それは実際の距離よりも遠くにあるように見え、あなたのクラブ選択を誤らせる。

旗竿の長さは一定ではない。長い旗竿は実際の距離よりも短いような気にさせられるし、短い旗竿は本当の距離よりも長いように感じさせる。グリーンまでの距離はパットしている人々の身長から推測するとよい。

大きいバンカーは距離が短いように人を騙す。グリーン手前のアンジュレーションにも警戒すべきだ。隆起の背後に30〜40ヤードの地面が隠されていて、あなたにショートさせようとするかも知れない。非常に平坦な地面は(隠された地面や見えない距離同様)判断が難しい。

高い木は実際よりも近くにあるように見えたり、その向こうの旗竿を短く、かつ遠くにあるように錯覚させる。隆起で隠された地面の長さは、そこを歩いている人の歩数で知ることが出来る」

(April 06, 2016)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の バンカー・ショット

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ、1902〜1971)のバンカー・ショットと、彼のユニークな練習法。Gene Sarazen(ジーン・サラゼン)がサンドウェッジを発明したのは1932年頃なので、1930年にトーナメント・ゴルフから引退したBobby Jonesは、サンドウェッジの恩恵には全く与らなかったことを御承知おき下さい。

'Down The Fairway'
by Robert T. Jones, Jr. and O.B. Keeler (Minton, Balch & Company, 1927)

「グリーンサイド・バンカーでライがクリーンである時、私のお気に入りのショットはエクスプロージョンでもなく、チップショットでもない。ハーフ・スウィングで砂は多少取るものの、フェースはボールと接触する。

私は通常のスタンスで、ボール位置は左爪先前方、アップライトな体勢を取る。私はニブリック【9番アイアンに相当】の長さをフルに用いる。常に同じ長さのスウィングをし、距離調節は強さで行う。私にとってはクリーンに打つチップショットよりコントロールし易いのだが、スウィングの強さとクラブフェースに接する砂の量に許容範囲がほとんどないので、かなり危険であることを理解せねばならない。これを一般ゴルファーに勧めようとは思わない。これにはかなりの経験が必要だし、私には役立つ説明が出来ない。

私がこのショットを好むのは、これで育ったようなものだからだ。どこでこの方法を知ったのか忘れたが、これをしょっちゅう練習したし、ホテルの部屋でも行った。砂の要素は重たい絨毯のけばにある程度似ているので、私はベッドから1ヤード(約1メートル)離れた絨毯の上にボールを置き、ピッチショットでベッドに止める…ということをした。これは1923年(21歳の時)のU.S.アマの練習ラウンドで観衆を喜ばせることになった。

その時ボールは、ある四角い形のポット・バンカーのグリーン表面から60センチ下のところにあった。カップはかなりバンカー近くに切られていた。私は慣れ親しんだベッド・ショットを遂行した。ボールはスピンしながらピン方向に舞い上がって、磁力の作用か何かのように回転し、ピン傍5センチで止まった。ストローク数は重要だったけれども、私はチップインよりはデッドに寄せたかった。チップインさせたら観衆は只の幸運だと思っただろう。あなただってそう思うに違いない。ベタピンだと、『凄いショット!』ということになる」

[icon]

チップインよりベタピンの方がいい…というのは、それが練習ラウンドだったからでしょうし、21歳でまだ子供っぽかった彼の心理が微笑ましい。実はこの点が面白かったので、上の部分を紹介したかったのです。われわれのゴルフでも、長いパットを入れた仲間を賞賛はしますが彼の幸運を讃えるのであって、彼のパットの腕前がいいなどとは誰も思いません。長い距離でカップの傍5センチに近づけるパットをした仲間には「上手い!」と感心します。Bobby Jonesの心理分析は正しい。

なお、Bobby Jonesのバンカー・ショットは以下のYouTubeヴィデオで見ることが出来ます。サンドウェッジの無かった時代にしては、目玉を連続してピンに寄せる彼の9番アイアンによるバンカー・ショットは、信じられないぐらい素晴らしい。必見です。

【参照】https://www.youtube.com/watch?v=LD0t6RimKl8&list=PLue6m-yk2lf8bE89wKp-ZlyFcusL0Lspu&index=2

(April 10, 2016)

呼吸法だけで15ヤード増(嘘のようなホントの話)

打つ時に息を吐くと強打出来るというコツが野球にあり、それがゴルフにも使えることは分っていましたが、この記事はそれを試したある大学の研究結果と、スウィングのどの時点で息を吐くかを明らかにしていることで高く評価出来ます。

[breathing]

'Take a deep breath for deep drives'
by Dr. T.J. Tomasi ('Golf Magazine,' July 2014)

「科学的研究によると、スウィングやドライヴァーを変えることなく、飛距離を15ヤード増す方法がある。ただ深呼吸するだけでよいのだ。

フロリダ州のKeiser(カイザー)大学のゴルフ調査研究所【註】が、ハンデ0から26までのプレイヤー26人を対象に、備え付けのドライヴァーを振らせたクラブヘッド・スピードをTrackMan(トラックマン)で計測した。半分のグループは二時間"Power Breathing"(パワー呼吸)というテクニックのトレーニングを行った。それは空気を捉え、加圧し、急速に吐き出すテクニックで、インパクトでクラブヘッドのスピードを増すことを意図したものだ。

【註】この記事の筆者Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)は、このKeiser大学の教授兼インストラクターです。

われわれは再度26人のスウィングを再計測した。パワー呼吸を学び、それをスウィングに取り入れたプレイヤーたちは、2.3%もクラブヘッド・スピードを増した。パワー呼吸と無縁のグループの速度は変わらなかった。その2.3%は、100mph(44.7m/s)のスウィングの場合7ヤード増に匹敵する。そのエクストラの速度は、貯えた空気を吐き出す身体の水力発電に似た作用で生じる。

あなたも以下の手順の二時間のトレーニングで15ヤードほどドライヴァーの飛距離を増すことが出来る。

1) アドレスで深く空気を吸う。

2) 胸郭に押し入らせるようにして空気を胸に蓄える。あなたの胴は引き締まり圧迫されるように感じる筈だ。バックスウィングを開始する。

3) ダウンスウィングであなたの左腕が地面と平行になった時、素早く排気する。エネルギーの奔流を感じる筈だ。

家で目を閉じて座り、パワー呼吸を練習しなさい。スウィングをイメージする。正しい瞬間に呼気と排気を行う。15ヤード増はあなたのゴルフを変えることだろう」

【参考】「両方の鼻孔で呼吸して飛距離を伸ばす」(tips_165.html)

【おことわり】画像はhttps://i.ytimg.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 13, 2016)

ディンプルの一つを見つめよ

パッティングに「一個のディンプルを見つめてストロークせよ」というtipはありましたが、LPGAツァーのMichelle Wie(ミシェル・ウィ)はドライヴァーを打つ時にもそうしろと云っています。

'Let her rip!'
by Michelle Wie with David Denunzio ('Golf Magazine,' June 2015)

「ボールに焦点を合わせなさい。私が云うのはメンタルな集中ではなく、本当に目の焦点を合わせるということだ。アドレスで、ディンプルの一つを選び、ボールがインパクトでクラブフェースを離れるまでそのディンプルから目を離してはいけない。

ディンプル一個を見つめるのは、あなたの身体を安定させ、下半身を低く保ち続け、ヒッティング・ゾーンで上半身が浮き上がるのを防いでくれる。これはちっぽけなことに聞こえるだろうけど、小さなことだって大きな違いを生むことが出来るのだ。だから、私の云うことを聞いてボールに目を釘付けにしなさい」

[icon]

無論、Michelle Wieのこの助言はバンカー・ショットでは無視しなくてはいけません。また、ディヴォットを取るショットでは、ボールの前(ターゲット方向)の草の葉の一片に焦点を合わせるべきでしょう。

 

(April 17, 2016)

ディンプルを見続けよ

インストラクターBrady Riggs(ブレイディ・リグズ)による集中のためのヒント。

[eyes]

'Keep your eye on the ball'
by Brady Riggs ('Golf Magazine,' November 2015)

「野球の名誉の殿堂入りを果たしたGreg Maddux(グレッグ・マダックス)が投球した時、彼はキャッチャーのミットを狙わなかったそうだ。彼はミットの中に視覚化した10セント硬貨【編註:直径約1.8センチ】を狙ったのだ。このイメージは彼の気を散らすものを一掃し、針に糸を通すような集中力を作り出した。彼のターゲットはとても極小なものだったから、彼が10セント硬貨を外したとしても、ボールはミットを外れはしなかった。

あなたのゴルフ・ゲームに欠けているのは、上のような集中心ではないだろうか?次回、あなたがティーグラウンドに立ったら、レーザー光線のような視線でボールの一個のディンプルに焦点を合わせるべきだ。セットアップの段階からインパクトの瞬間まで、そのディンプルを凝視し、そこをクラブフェースの真ん中で打つ。これは、あなたの様々な想念が生み出す緊張を排除してくれる。もしディンプルをミスしても、なおもソリッドな打撃が期待出来る」

【参考】「ビリヤードのようにパットせよ」(tips_112.html)

(April 17, 2016)

スウィングの間、目は水平にせよ

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)による、「バックスウィングの際、頭を傾げてはならない」という警告。

'Turn, don't tilt'
by Hank Haney ('Golf Digest,' June 2015)

「多分あなたはこのことについて考えたことなどないだろうが、頭を反時計方向に廻す(左目を右より下げる)のは様々な問題を引き起こす原因となる。

それはゴルファーたちが送って来る写真でしょっちゅうお目にかかる"Nicklaus effect"(ニクラスの影響)の一つである。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がバックスウィングを始めるちょっと前に頭を廻すからといって、あなたもそうすべきだという理由はない。

先ず初めに、頭を傾げると肩を廻すのが困難になり、それは斧を振り下ろすようなダウンスウィングになりがちである。また、頭を反時計方向に廻す(左目を右より下げる)と、ギッコンバッタンでダウンスウィングで右への傾斜を生じ、それはあまりにも早くクラブを地面に到達させる原因となる。

あなたの平衡感覚は水平に留まることによってコントロールされるべきものだ。両目を水平に保てば、バランスのよい状態に留まり続けることが出来る」

(April 17, 2016)

パッティングの目線の角度

アドレスした時、目線がラインと平行にならなくて焦ることがあります。こういう時は方向性に自信がなくなり、多くの場合良くない結果を迎えます。

両肩を結ぶ線が無意識にオープンになったり、クローズになったりしているような場合、目線が自然にその肩のラインに揃ってしまい、スクウェアでなくなることがあるようです。私はボールに描いた直線を左右に延長してターゲットラインを視覚化し、スタンス・ラインをそれと平行にします。当然、目線もそれに平行になる筈ですが、そうならないと心理的に混乱・焦りが生じ、パニックに陥ります。いくら頭の角度をオープンやクローズにしても、目線がターゲットラインと平行でないという感覚は消えてくれず、こんな落ち着かない気分でストロークすると間違いなくパットに失敗します。

どうすれば上の問題を解決出来るか?実験してみて、この問題にはスタンス幅、ボール位置、パターヘッドを置く位置、体重のかけ方など、様々な要素が絡んで来ることが分りました。実験の詳細は省略して結論だけ書いておきます。

・定まらない目線をいじくる前に、先ず両肩がターゲットラインと平行になっているかどうかをチェックする。これで一件落着することが多い。
・ボール位置をターゲット側にした場合でも、パターヘッドをボールから離して身体の中心(胸骨の前方)に移動すると、目線はラインに平行になることが多い。
・体重を左足にかけたり、右足にかけたりしても目線がラインに平行になることがある。

ボールの方向性という物理的問題でなく心理的な問題なのであれば、最も簡単な解決法は《利き目でない方の目を閉じ、一眼でパットする》というものです。これならラインに平行かどうかは関係なくなります。私の利き目は右なので、左目を閉じると結果を早く見ようとするルックアップを防ぐことも出来ます。

(April 17, 2016)

ドライヴァーでストレートに飛ばす秘訣

これは私にとっての秘訣であり、どのゴルファーにも有効だなどとは思っておりません。私のスウィングは「体型別スウィング」の分類による「テコ型」ですし、常識と違うこともやっていますし。ただ、いくつかの工夫は何方かの参考になるかも知れません。

[Eiji]

先日、ゴル友Mike Reekie(マイク・リーキィ)と同じチームでラウンドしました。彼は中背でやや肥満体型。昔、野球をやっていたそうで、脚も腕も太いし強肩です。ドライヴァーを3/4(スリー・クォーター)で振って、シニア・グループでは一、二を争うロング・ヒッター。ところがその日、私はNo.1、3、5、8…と彼のティーショットをアウトドライヴ。彼はいつも「おれが褒められるのはドライヴだけだ」と自嘲気味に云うだけあって、ドライヴァーの飛距離と方向には自信を持っています。その彼を、アメリカ人に較べて背が低く痩せた私が次々とアウトドライヴするのは面白くなかったでしょう。

No.10(360ヤード)パー4。ここで私は大袈裟ではなく生涯最長のティー・ショットを放ちました。いつもだと残り150ヤードで24°ハイブリッドを打つところなのに、グリーンへの打ち上げにギャップウェッジで済むところまで飛んだのです(実際には奥のエッジに打ってしまったので、サンドウェッジで充分だった)。Mike Reekieもいいショットを打ったのですが、私の遥か後方でした。たぶん、この時、彼の心に闘争心が芽生えたものと思われます。

No.14(440ヤード)パー5のティーでMike Reekieが私にこう云いました。「ここでおれをアウトドライヴしたら、缶ビールを進呈する」 傍で聞いていた仲間がくすくす笑いました。彼が飛ばし屋なのは周知の事実だからです。彼がさらに続けました。「おれがあんたをアウトドライヴしたら、やはり缶ビールを上げる」と。ユーモア溢れる挑戦ではありませんか。私は、この二人だけのドラコンに勝っても負けても缶ビールにありつけるのです。

先ず、私がフェアウェイのド真ん中にナイス・ショット。彼もいいショットを放ち、相当満足した表情でティーグラウンドを下りて来ました。誰の目にも勝負は彼の勝ちに映りました。ボールのある地点に着くと、何とどちらのボールも同じ距離に並んでいました。強いて云えば、彼のボールの方が僅か10センチ鼻の差で先かという感じ(見る角度にもよりますが)。

で、私はこの好調のドライヴァーの打ち方を、後々のためにメモしておこうと思い立ったわけです。

【編註】以下は2016年に書いた記事ですが、ドライヴァーをR11からR11sに変えたり、打ち方も多少変更したりしたので、全体に改稿しました。(November 19, 2018)

・自分のスウィート・スポットの発見

[eyes]

約半年前、私は左肘をリラックスさせたアドレスから、左肘を伸ばしたアドレスに変更しました。スウィング弧を大きくすることと、絶えずスウィートスポットでボールを捉えるのが狙いでした。そのスウィング改造の最中、どうも方向性と飛距離が一定しない不満を感じました。練習場でインパクト・シールを用い、様々な試行錯誤を重ねる中で発見したのは、ボールの中心にドライヴァーのスウィートスポットのマークを合わせてはいけないということでした。メーカーが刻印したスウィートスポットは私のスウィングに合っていなかったのです。

私のドライヴァーはTaylorMade R11sで、写真の黒矢印のところにメーカーのロゴが印刷されており、その箇所でボールにアドレスしろと暗黙のうちに示唆されています。測ってみると、そこはシャフトの付け根から4.5センチのところでした。それはクラブヘッド中央ではなく、少しヒール寄り。その理由は、アドレス時に斜め上からクラブヘッドとボールを見るので多少の誤差が出る、その視覚的誤差を相殺するためかと推測されました。その解釈が正しいかどうかは別として、私のスウィングにとってそのマークは役には立たないという結論に達し、手応えと飛距離とを勘案しながら私個人のスウィートスポットを見つけるべく練習しました。その結果、私のスウィートスポットはメーカーがつけたマークの1センチほどトゥ寄りになりました(写真の赤矢印。シャフトの付け根から5.5センチ)。

私はポップアップによってドライヴァーのヘッド上部を傷つけるのを恐れ、ヘッドの色と同じビニール・テープを貼っています。今回は白いテープの上にマジックで自分だけのスウィートスポット(赤矢印)にマークをつけました。

【追記】後に「インパクトの物理学(トゥ寄りでアドレスすべき理由)」(tips_175.html)という識者の記事によって、私のトゥ寄りアドレスの工夫が正しかったことが証明されました。(December 25, 2016)

・R11sの設定

R11sはアジャスタブル(調節可能)ドライヴァーなので、いくつかの性能を自分用に設定出来ます。

ホーゼルの調節によって、ロフトを「a) 高め、b) スタンダード、c) 低目」のどれかを選ぶことが出来ますが、私にとってはスタンダードも高めもどれもボールを高く舞い上がらせるだけで飛距離には繋がりません。で、私はこれを「低目」にしています。温暖な地域の私のコースは乾燥し易いので、低目の方がランで距離を稼げるという狙いもあります。

R11sはまた、トゥとヒールの二ヶ所に可動式錘(おもり)を埋め込んで弾道を制御出来ます。私はオークション・サイトeBay(イーベイ)で、4、6、8、12、14、16、18、20という八個セットの錘が売り出された時に購入し(送料込み$33.00)、全ての組み合わせを試しました。「ヘッドは重い方が距離が出る」 と云われているので、全体をなるべく重くしようとしましたが、時々出るプッシュが恐いため、トゥに軽く、ヒールを重く…という設定にしています。現在はトウ18g、ヒール20gという組み合わせです。

フェース角度を「a) オープン、b) オープン+、c) クローズ+、d) クローズ、e) ニュートラル」に変えられますが、これはほぼ構えた時の見た目の問題なので、弾道に大きな影響はありません。私の設定は「クローズ+」です。

・ボール

以前は、Nike製 "JUICE GINORMOUS"というボール、つい最近まではブリヂストン製B330 RXなどを使っていたのですが、どれも製造中止になってしまいました。現在はCallaway Supersoftを使っています。安いのによく飛びます。

・ボール位置

私は「体型別スウィング」(tips_54.html)の「テコ型」ゴルファーなので、ドライヴァーのボール位置はずっと「左腋の下」の前方としていました。これは体型によって異なり、「幅広型」のドライヴァーのボール位置は「左半身の真ん中」の前方、同じく「円弧型」は「左肩先端」の前方が推奨されています。

しかし、高い軌道のボールを打とうとすると、左腋の下の前方でも左踵の前方でも不足で、私の場合、左爪先前方が適切…という結果です。それより手前では軌道が高くならないのです。

・ティーの高さと目のつけどころ

現在の私は7センチのティーを地面でやっと立つ程度に浅く刺した、かなり高いティーアップでドライヴァーを打っています。ドライヴァーのヘッドは、そのボールの後方27センチで構えます。目はボールを見ないでヘッドの直前(写真の青い)を見つめながらスウィングします。これですと、ホットスポットと呼ばれるフェース上部で、高い軌道のボールを打て、距離が稼げます。

[tee up]

出来ればティーアップの高さを常に一定させたいところですが、ティー・グラウンドの固さ、傾斜、草の高さ…等に影響され、常に同じ高さには出来ません。ということは、ボールとクラブヘッドの距離も変わらざるを得ない…ということになります。スウィングは一定ですから(写真の赤い弧)、正しくボールの真ん中を打つためにはティーが高ければクラブヘッドをボールから遠ざけ、低ければボールに近づけなくてはなりません。

私のこのティーアップ・メソッドでの最重要事項は、スウィングの間中、実際のボールを見てはいけないということです。その27センチ後ろのヘッド直前の地点(写真の青い)を見つめながらスウィングしなくてはなりません。これは「アイ=ハンド・コーディネーション」(目と手・腕の協調作業)の原理を利用し、を仮想のボールとしてその地点をスウィング弧の最低点とします。その後の上昇軌道で真のボールを捉え、バックスピンを抑え、可能な限りのキャリーを稼ぐことを無理なく実行しようという作戦です。自然に上昇軌道で打てるので、身体を左にスライドさせない限り下降気味の軌道が生む醜悪なポップアップを防止出来ます。

ボールを見て打ってしまうと、そこがスウィング弧の最低点となってしまうため、高いボール軌道は得られなくなります。それだけでなく、ポップアップの危険や、スウィング弧の最低点を過ぎてから打つことになるため盛大なプルを招く恐れがあります。

・グリップ

・ 私のクラブは、ウェッジを除いて全て太いハンドルにしています。ドライヴァーも例外ではありません。【参照:「ハンドルの太さがウッドやアイアンの狙いを変える・ヴィデオ篇」(tips_175.html)】

・「ダブル・インターロッキング・グリップ」を採用しています。詳しくは「ダブルグリップの勧め」(tips_175.html)を御覧下さい。

・左手の親指は(真上ではなく)僅かにハンドルの右に外し、右の人差し指の基節骨(三つの間接のうち根元の部分)の横腹でハンドル側面を押さえます。これらはボールの抵抗に揺らぐことなく、しっかり打ち放てる強固なグリップを形成してくれます。特に後者は「(関節部ではなく)人差し指の横腹でパワフルに打つのだ」という確信を築いてくれます。

・ポスチャー

私のセットアップはほとんど「体型別スウィング」理論の「テコ型」に準じています。ドライヴァーを打つ時のスタンス幅は肩幅と同じ40センチで、ボール位置は左爪先前方。「右脚が左より長いゴルファーへの警告」(tips_169.html)にあるように、右脚が僅かに長い私は右膝を少し緩めてアドレスします。前後の体重は拇指球に、左右の体重は軽く右足に掛けます。上昇気味のスウィングを行うために背骨を僅かに右傾させると自然に左目が上に傾斜しますが、これは打ち上げる発射角度を確実にする要因だと考えています。

両足と肩をオープンにします。これはプロたちも実行しているプッシュを防止策です。

・アライメント

これまでは両足をターゲットラインに平行にすることだけに注意を払っていたのですが、最近はそれに加えて左肩がどこを指しているかもチェックしています。首をターゲット方向にラインに平行に廻した時に、左肩もターゲットラインに平行ならOK。時として、かなり左だったり右を向いていたりすることがあり、それぞれプルやプッシュを招きます。

ボールからクラブヘッドを15センチ離してアドレスする際、気をつけないとフェースが僅かに右を向いていたり、左を向いていたりし、ボールは正直にその方向へ飛んで行きます。充分注意してターゲットにスクウェアなフェースで狙わねばなりません。

・最適の捻転

私は芝生に混じっている低い雑草を弾き飛ばす練習をしています。【参照「草を抉(えぐ)る」(tips_168.html)】 これはボールを打つよりも、自分のスウィングの正確さが判るいい練習法です。ボールを打つとダフってもトップしても何とか飛んでくれますが、雑草はそうは行きません。私の方法は、雑草の数センチ手前にボールがあると想定してそこに8番アイアンを構え、そのイメージ上のボールを打った後ディヴォットを取るつもりで雑草を根こそぎ抉(えぐ)り取ります。

この練習で発見したのは、私の場合、左肩をボールの位置まで捻転し、そこを終点とした時が最も正確に雑草を抉れるということです。その手前でも、そこを過ぎても正確さが失われます。私にはLPGAのLexi Thompson(レキシ・トンプスン)のような110°のコイルは(やれったって出来ませんが)意味のない過剰捻転でしかありません。90°で必要充分、それ以下でもそれ以上でもいけません。

その発見をドライヴァーにも活かしています。実際のボールでなく、仮想のボール(上の写真の青い)まで左肩を廻します。現在の私は、長いスウィング弧を目指してターゲットライン沿いにゆっくり後方へ引き、そこから右肘を折りながら左肩主体に捻転するという二段モーションです。そして、松山英樹のようにトップで微かに一拍おいた後、一気にダウンスウィングします。

左肩の動きにフォーカスを合わせると、無理に左手・腕を引っ張ったり強ばらせたりしないので、両手が非常に軽く感じられます。いわば超軽量シャフトのドライヴァーを使っているのと同じことで、これがスウィング速度を増すことに役立っているのではないかと思っています。

・ダウンスウィング

このアッパーに打つスウィングで重要なのは、ダウンで身体を左にスライドしないことです。体重移動はしなければなりませんが、頭までターゲット方向に動かすと、折角アッパーに打とうとした目論見が御破算となり、クラブヘッドが上昇軌道になる前にボールの底部を叩いてしまうため、ポップアップを生じ易い。または、あまりにも時期尚早にクラブヘッドがボールに到達してしまうのを調節しようとして、手首を返してしまい、盛大なプルになります(経験者は語る)。

頭を残すスウィングは、左手甲で打つことになり、「バシーッ」という快音と共にスウィートスポットで打てた快い感触を残して飛ぶ快打となります。前項「最適の捻転」に書いたように、私の捻転は控え目です。そしてダウンスウィングも目一杯の力で打とうとはしません。ヒッティングではなく、スウィングするだけ。

飛ばそうと思うと力みが生じ、身体は緊張し、手や手首は固くなります。これではテコの原理や鞭のような身体のしなりを利用出来ません。飛ぶドライヴァー、自分に合った飛ぶボールを使っているということは、いわばBubba Watson(ババ・ワトスン)を指名打者に起用したも同じなので、黙って彼に伸び伸びと振らせりゃいいのです。「飛ばそう!」と思うことは、身の程も弁えずBubba Watsonに「飛ばせよ!」とスウィング指導し、「飛ばさなきゃ承知しないからね!」と無理強いするのに似ているでしょう。飛距離は道具に内蔵されているので、人間はお膳立て(セットアップ)だけしたら、後は道具に任せるのがベストです。

私は「先行捻転で飛ばす」(tips_161.html)および「先行捻転・再履修」(tips_195.html)という記事を書いていますが、現在この手法を使っていません。今のところ、先行捻転を使わなくてもスコアがまとまるので、僅かでもリスクがあるメソッドを避けているわけです。先行捻転が飛距離が増すのは間違いないのですが、これはかなり練習し自信を持って打たないといけないのです。みっちりと練習したのち、不安が無くなったら折りをみて復活させるつもりです。

(April 20, 2016、改訂July 02, 2016、再訂December 25, 2016、大幅改訂November19, 2018、補訂November 23, 2018、改訂January 02, 2023)

ポップアップのティーによるスウィング診断と治療

'Reading the tee leaves'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' May 2016)

「ティーグラウンドから頻繁にポップアップを打つようであれば、クラブヘッドが過剰に急角度な下降軌道でボールに向かっているに違いない。その結果、クラブフェースはスウィートスポットの上か下かどちらかでボールと接触する。スウィング改造に乗り出す前に、次のスウィング軌道修正ドリルを試されたい。

四個のボールを8センチずつ離して縦一列に並べてティーアップし、それぞれをドライヴァーで打つ。打った後、ティーがどんな状態か点検する。

全てのティーがインパクト前と同じ位置に刺さったまま立っていれば理想的である。この場合、あなたのスウィング軌道は水平か、やや上昇気味であり、あなたはティーではなくクラブヘッドの大部分でボールと接触し、低スピンを生む高めの発射角度で打っていることを示している。

もし、ティーが地面から跳ね上がって倒れているようだと、あなたのダウンスウィングはあまりにも急角度であり、スウィートスポットではなくフェースの天辺でボールを打っているため、ポップアップを生じる。

ティーは地面に留まっているもののターゲット方向に傾いている場合も、上と同じように急角度なスウィングでクラブフェースの底部でボールとティー双方を打っている。

全てのティーを、一貫してインパクト前と同様の状態で残せるようになるまで、このドリルを続けられたい。あなたのポップアップは消滅し、飛距離が増える筈だ。

(April 20, 2016)

飛ばしたければセルジオのラグを盗め

'The secret to Sergio's power lag'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' May 2016)

[Sergio]

「Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)ほど、ダウンスウィングでlag(ラグ)【註】を作り出すプロはいない。彼はまるで手と腕を真っ直ぐ地面に引き下ろし、ダウンスウィングでクラブヘッドを手の遥か後方に置き去りにするかのようだ。このとてつもないlagは、インパクト直後まで両手をクラブヘッドの前方に位置させ続け、ボールに膨大な量のエネルギーを伝える。結果として生じるクラブヘッド速度はツァーのトップレヴェルの距離に繋がる。あなたが例えSergio Garciaの速度を再現出来ないとしても、以下の要領であなたのlagを増幅し、苦労無しのヤーデージをあっという間に増やすことが出来る。

【編註】"lag"は「遅延、時間のずれ」で、ここでは「クラブヘッドを遅らすこと」を指しています。「レイト・ヒット」と同じ意味。"lag putt"(ラグ・パット)と云う場合は一寸ニュアンスが異なり、長いパットを「入れよう!」とするのではなく、意識的に「カップの近くへ安全に寄せよう」とするテクニックを指します。

・腰の動きが全て

トップから腰がターゲット方向に逆転するにつれ、両腕が落下する感覚を抱いてほしい。両腕は受動的で、腰の動きによって引かれるべきである。まずいのは両腕(もっと悪いのは肩)がリードすることだ。もし肩が廻ってしまうとクラブはターゲットラインのアウトサイドから振り下ろされてしまい、築き上げていたlagのパワーを一気に失ってしまう。ダウンスウィングの初期の段階で左肩をきわめて受動的にし続ける努力をし、腰をハードに左に廻すこと。それがティーショットでエクストラの10〜20ヤードを生み出すパワフルなlagを与えてくれる。

・両手を落下させるドリル

ダウンスウィングの開始で両腕を正しく(外側へでなく、下方へ)落下させる訓練として、練習のバックスウィングをし、トップで停止する。肩を動かすことなく、両手・両腕を二回上下させる。その後、ボールを打ち、腰がターゲット方向へ逆回転するにつれ両腕が落下する感覚を再現する。この動きがうまくなるにつれ、lagが増え、ボールを遠くに放てるようになる」

(April 27, 2016)

パワーを生むのは、よいテンポである

Byron Nelson(バイロン・ネルスン、1912〜2006)は、ヒッコリー・シャフトの時代にキャディをしながらゴルフを覚えましたが、スティール・シャフト時代に突入した時、それを使いこなした最初の人となったことから『モダン・ゴルフの祖』と呼ばれています。彼は1945年にPGAツァー11連勝、年間計18勝を挙げるという記録を樹立し、この記録は今も破られていません。彼が明かすパワーの秘訣。

[Byron]

'Shape Your Swing The Modern Way'
by Byron Nelson with Larry Dennis (Golf Digest, 1976)

「正しいスピードでスムーズにスウィングすることが、適切なテンポを与えてくれる。これはパワーを必要とする際、正しいタイミングで手首をアンコックするために極めて重要である(特にロング・アイアンやウッドにおいて)。あなたのスウィングがスムーズで一体化している限り、スピードは重要ではない。Ben Hogan(ベン・ホーガン)やArnold Palmer(アーノルド・パーマー)らは早めのバックスウィングをするが、どちらもスウィングはスムーズである。

一般ゴルファーは、このスムーズなスウィングをするのが難しそうだ。上級のプレイヤーの中にさえ、ボールを打つのに過度に不安を感じる人がいたりする。不安はロング・アイアンを打つ際、重大な影響を与える(大方のプレイヤーがこのクラブに自信がないためだ)。そして、クラブとボールの接触に精密さを必要とするロング・アイアンでは、慌てたスウィングは大きなダメージをもたらす。

スウィングをスムーズにするのを助けるため、私は1、2、3、4…とカウントする。行進するテンポ(二拍子)ではなく、遅めのフォックストロット【編註:スロー、スロー、クィック、クィック】である。1でテイクアウェイし、2でバックスウィングの半ば、3でトップで切り返し、4でボールを打ち抜く。

いったんスムーズなテンポが確立出来たら、プレイヤーに必要なのはバックスウィングで全てを一体となって一緒に動かすことである。手と腕に勝手なスピード違反を犯させない限り、全てがよい連続動作となる筈だ。

テンポについての重要なポイント。人は、通常行動する生来のやり方に逆らうべきではない。Gene Littler(ジーン・リトラー、1930〜)はミディアム・スローのテンポで話し、ミディアム・スローのテンポで歩き、同じようにミディアム・スローのスムーズでイーズィなテンポでスウィングする。

もしあなたのスウィングが早過ぎ、ぎくしゃくしているようであれば、それをスローダウンするいくつかの方法がある。先ず、呼吸をスローダウンする。より深く呼吸する。プレッシャー下では呼吸がとりわけ早くなり、そうなるといいスウィングをするのが困難になる。呼吸を静めれば、あなたの身体も落ち着きを取り戻す。それが、スウィングの仕方全体を変える。私のゴルフ生活の初期、私はせっかちで落ち着きのないスウィングをしていた…呼吸によって心と身体を静める方法を学ぶ迄は。

性急さへのもう一つのよい解毒剤は、アドレスとワグルの際に両足をゆっくり動かすことだ。これを行う際、意図的な努力が必要だが、これはスウィングをスローダウンする最良の方法の一つだと納得出来る筈だ」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(April 27, 2016)

レイト・ヒットとコックの関係

Inbee Park(【米】インビー・パーク、【韓】朴 仁妃、【日】パク・インビ)が、トップで75°程度だったコックを切り返しの後で110°ほどに再コックすることを知りました。どうすれば彼女のように再コック出来るのか?YouTubeに"Learn How to Get More Distance in Golf: 3 Steps to Lag and Distance"「レイト・アンコックで飛距離を増す方法」(http://www.youtube.com/watch?v=LAIBxeVh3Js)というのがあり、"The Lag Doctor"(ラグ博士)を自称するインストラクターClay Ballard(クレイ・バラード)が、「ワイド→ナロー(狭め)→ワイド」の三つのステップを提唱しています。

1) 右手を伸ばしてワイドなスウィングをする。
 私は「右手を伸ばしてスウィングせよ」(tips_155.html)は、the Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の講師Michael Breed(マイケル・ブリード)の独自ネタだと思っていましたが、どうもそうではなさそうですね。

2) ダウンでは右手は身体に近づきナロー(狭め)になり、両手が太腿まで下りた段階でコックが少なくとも90°以上あること。

3) インパクトで両手を伸ばし(リリース)、再びワイドに戻す。

別なヴィデオ(http://www.youtube.com/watch?v=xfbc1PnSpd0)で同じインストラクターClay Ballardは、「トップまでに形成されたコック角度を維持しようと、腕や手首を固くするのは間違いだ。ゆったりしたソフトな手首で、クラブヘッドの重みが作る自然なコックによってコックし続けるのが鍵である」と説いています。

コックを緩めないためには手首を固くしなければならないと思っていたので、これは目から鱗でした。'The Impact Zone'(インパクト・ゾーン)の著者Bobby Clampet(ボビィ・クランペット)も、「レイト・ヒットには、両方の手首がスウィングの間じゅうリラックスし自由であることが不可欠である。インパクトの強打を支えるしっかりした両手を構築するには、左手の下方の三本指にやや余分な圧迫をかける」と云っています。手首が固いと早期アンコックに繋がる恐れがあるそうです。

[magic cock]

Clay Ballardは理解し易い説明をします。クラブを目の前に直角に立てる。それを水平に寝せて振れば、誰でも知っているように野球のバッティングと同じ型。その時の手首の角度がコックである。そのまま股関節から上体を屈めれば、それが望ましいインパクト直前のコックである。これは上の(2)と同じ結果(90°のコック)になるわけです。

私は「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)という記事で、Bobby Clampetの「雑草に向かってアイアンを振る」という練習法を書き抜いていますが、この部分を原著で再読してみました。

「私(Bobby Clampet)がまだ13歳のジュニア・ゴルファーで、インストラクターBen Doyle(ベン・ドイル)のコーチを受けていた頃のことだ。彼はlag(ラグ、レイトヒットと同意)のことなど聞いたこともなかった私を、雑草生い茂る空き地に連れて行った。ショート・アイアンを30センチの長さの雑草の中で力一杯振り抜く。バックスウィングでパワーを蓄え、ダウンスウィングでコックを保つ。長い草はインパクト・ゾーンでクラブに対する抵抗として働き、その抵抗は私の手と身体にlagの感覚を滲み込ませた。その感覚を、練習場に移動してボールを打つ時に再現した。この雑草の中のドリルを懸命に二週間続けた後、lagの動作が形成され、現在もなお私のスウィングに留まっている」

たった二週間でレイトヒットが習得出来るなら、これが最善かも知れません。なお、空き地が近くにない方は古タイヤかImpact Bag(インパクト・バッグ)を打って雑草の代りに出来ます。

(April 27, 2016)

アライメントの知られざる重要性

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)が語る、アライメントの盲点。

[Haney]

'The Only Golf Lesson You'll Ever Need'
by Hank Haney with John Huggan (HarperCollins, 1999, $25.00)

「"aim"(狙い)と"alignment"(アライメント)はよくごっちゃにされるが、両者は別物である。アライメントは【どこを狙っているかに無関係に】身体の各部分(足、膝、腰、肩、腕、目など)全てが同調して同じ方向を指していることであり、『狙い』はアライメントの全ての要素を総動員して特定のターゲットを狙うことだ。

『狙う』のは簡単だ。ゴルフを知らない人にクラブを持たせれば、彼は完璧にターゲットを狙う。初心者の完璧な狙いは、ボールを数個打った後に変化する。例えば、三個のボールをスライスさせたとしたら、彼は左から右へのカーヴに備えて左方を狙い始める。

あなたがボールをカーヴさせる問題点を抱えているなら、クラブのロフト毎に異なるカーヴの度合いによって、正しく狙うのはほぼ不可能に近い。

それと対照的に、よいアライメントが実行出来ればよいスウィングをし、よいショットを打てるチャンスに恵まれる。それはあなたが狙ったと思ったターゲットには向かわないかも知れないが、それでもそれはソリッドなよいショットであり、それを継続出来ればいずれは正しく狙えるようになるだろう。

正しいアライメントとは、足、膝、太腿、腰、腕、肩、目など全てを、ターゲット・ラインに平行な左に揃えることだ。最も重要なのは、それらが正しく同調すべきことだ。私の生徒たちには、足はクローズ、肩はオープン、目を左や右に傾斜させて、どこを狙っているのか見当がつかない人がいる。以上のアライメントの要素の中で最重要なのは肩、腕、目である。足も重要であるが、他の要素に較べればかなり格下である。

あなたは知らないだろうが、目はスウィングに大きな影響を与える。目をターゲットの右に揃えたら、恐らくそちらに打つことだろう。あなたが頭をどちらか一方に傾げたら、多分急角度か過度にフラットなスウィングをする筈だ。あなたは両目を水平に、ターゲットラインと平行にすべきだ。これはバランスのためだけでなく、方向とスウィングの角度のためにも重要なのである。

リヴァース・ピヴォットのミスを犯す人の大半は、地面を【水平でなく】角度がついた目で地面を見ながらスウィングする。彼らが目を水平にすれば、リヴァース・ピヴォットは起らない。帽子の鍔(ツバ)やサングラスの縁を目安にして、目が水平かどうかチェックするとよい」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(May 01, 2016)

両肩を結ぶ線が、全ての方向の決め手

ここで「全て」と云うのは、フルスウィングからパッティングまでという意味です。

つい最近まで、私は両足を結ぶ線をターゲットラインと平行にすることで、自分の狙い方設定作業を事足れりとして来ました。プッシュやプルが出るのはスウィングの過ちだと片付けていたのです。恥ずかしながら、これは大きな間違いでした。

アドレスし、 両肩を結ぶ線に平行に首を廻す(角度を変えて傾けるのは不可、真横に回転させる)と、ターゲットラインと平行に思えない時があります。両肩を結ぶ線がターゲットラインの左を向いていれば、プルしてボールは左へ出ます。【註1】両肩を結ぶ線がターゲットラインに平行でなく、ターゲットラインと交わるようであれば、プッシュしてボールは右へ出ます。【註2】同じことはフルスウィングでもパッティングでも起こり得ます(スライスやフックは別ですが)。

【註1、2】スウィング軌道とフェース角度によっては、逆方向に飛ぶこともある。

両足を結ぶラインは狙い方の役に立ちません。フルスウィングでもパットする時でも、アドレスした際にスクウェアだった肩・胸の状態をインパクトで復元すべきなので、方向性を司る重要な役目をするのは左肩の向きなのです。木を除けるためにインテンショナル・スライスを打とうとする場合を例に取りましょう。両足をオープンにし、その両足を結ぶラインに沿って(アウトサイド・インの)スウィングをしますが、この時両肩を結ぶ線も足のラインに揃えてオープンにしなければなりません。足はオープン、肩はスクウェアではスライスはかからず、真っ直ぐ木に向かって飛んで行ってしまいます。【逆にインテンショナル・フックでは、全てをクローズにする】 両足を結ぶラインより、両肩を結ぶラインの方が重要なのです。

こんな簡単なことに何十年も気づかなかったのが悔やまれます。実は、十年ぐらい前、シニア・グループの一人が、アドレス前にクラブを胸に水平に当ててアライメントをチェックし、次いで腰まで下げて又チェック…という点検法を実行する姿を見たことがありました。私は「初心者でもあるまいに、幼稚で見てるのもちょっと恥ずかしいわい」と考えていました。よく考えると、彼はヴァケーションでメキシコ湾岸のゴルフ場密集地に行った折、一日だか三日だかのゴルフ・レッスンを受けて帰って来た直後の手順でした。その数年後にも別の一人が同地域で一日レッスンを受けて帰って来た後、やはり同じアライメント・チェック法を用いていました。レッスン・プロが口を揃えてアライメントの重要性を説き、チェック法として推奨している手順なのだろうと思われます。

やってみると、ハンドルをターゲット方向にしたクラブを水平に胸に当て、それがどこを指しているかをチェックするのは、とても素晴らしい方法です。瞬時に自分が狙っているのが左OBであったり、右の林であったりすることが判ります。幼稚だなどと嘲っていた自分こそ幼稚でした。クラブを胸に当てなくても、首を廻して左肩の向きをチェックするだけでも狙いの方向性を改善することが出来ます。

ティーショットの場合、左肩先端が間違いなく目標(フェアウェイ左とか中央とか)を指しているかどうかチェックします。私は、自分がよく方向ミスを犯すホール、OBや林が待ち受けている嫌らしいホールなどで特に入念にチェックするようにしています。こういう特定のホールには、われわれに右を狙わせたり左を狙わせたりする視覚的・心理的罠があり、われわれは単純にその罠にはまってしまうのだと思われます。そうした誘惑を避けることによって、私のフェアウェイ・キープ率が格段に上がりました。

パッティングの場合は、目標が近いのでクラブを胸に当てたりする必要もなく、ボールに描いた直線を左右に延長させたイメージ上のターゲットラインに、両肩を結ぶラインを平行にすることで充分。以前はパターフェースがスクウェアかどうかだけ重要視していましたが、最近は両肩を結ぶ線の調整も行い始めました。

【参考】
https://www.youtube.com/watch?v=OpirNzjlcNo 'Golf Swing Tip Shoulder Alignment' [1'44"]
https://www.youtube.com/watch?v=hPE7IlUqMNQ 'Instruction Square Shoulders' [2'48"]

なぜプレショット・ルーティーンが重要か、その理由

PGAインストラクターでありスポーツ心理学者でもあるDavid Write, Ph. D.(デイヴィッド・ライト博士)が説く、プレショット・ルーティーンの意義。

'Mind Under Par'
by David Write, Ph. D.(Behavior Change Media, 1997, $15.96)

「われわれは習慣で生きている生物である。われわれは日課に従う。朝起きる時ベッドの同じ側から床に下り、シャワーを浴び、歯磨き・洗面をし、着替え、朝食をとる。毎日、毎日だ。毎日同じ足に同じ靴を履き、シャツの袖に同じ腕を通すのも毎朝同じ順序。これらは自動的な習性となっているので、われわれがいちいち手順を考えたりする必要は全くない。これらは、以前に経験済みの運動神経手順に基づく随意的な行動の例である。これらの行動は充分に実践済みなので、行動を始める際に脳の活動を必要としない。

もし、日課の歯車が狂ったらどうなるだろう?【編註:例えば自分の歯ブラシがない、シャワーから温水が出ない、ドライヤーが見つからない等】あなたの集中心は阻害され、いささかまごつき、苛々し易くなり、忍耐力がなくなる。一方、一定の反復可能な日課に従っている時は、あなたのパフォーマンスは向上する。

どの分野のスポーツマン(テニス、フットボール、バスケットボール、野球、ゴルフ等)もプレショット・ルーティーンを実行する。バスケットボールの選手がフリースローを行う際、彼はボールを必ず同じ回数バウンドさせ、深呼吸する。テニスの選手もサーヴする前に同じ回数ボールをバウンドさせる。これらスポーツマンのルーティーンが突然変わったら、パフォーマンスの悪化に繋がる。だから、あなたは一定の、反復可能なルーティーンを確立する必要がある。その際、脳が有効なプレショット・ルーティーンを作り上げる役割を理解しておくことが重要である。

神経科学者たちは行動に先立つ脳の活動について調査した。その調査は、脳が単純な随意的動作をする運動神経手順を展開するには1.5秒かかり、その行動を実行するには1/10秒かかることを証明した。この運動神経手順は“運動準備電位”と呼ばれる。この期間に脳は神経系統に行動を準備させるのだ。【註】脳が受ける情報の質が高ければ、パフォーマンスの質も高くなる。

【編註】ブラウン管時代のTV受像機は、パワー・スウィッチをオフにしても微弱な電流によって機器を常時スタンバイ状態にしていました。もし完全に電源を切ってしまうと(=壁コンからプラグを抜いてしまうと)、ブラウン管が温まるまでに相当時間がかかったからです。「運動準備電位」も、スウィッチが入れられたら即座に機能するように準備されている状態と云えるでしょう。

他の神経科学者たちは。新しい手順を行う場合より経験済みの運動神経手順を実行する時の方が、行動前の脳の活動が少なくて済むことを発見した。われわれはこの経験済みの手順を習慣と呼ぶ。充分実行済みのポジティヴなプレショット・ルーティーンは一定の上質な行動を作り出すのだ。

脳が神経系統に準備指令を出すには、行動を実施するよりも15倍も時間がかかるということを覚えておくように。

《プレショット・ルーティーンに含めるべき項目》

・いま必要とされているショットの過去の成功例を呼び起こし、心の中で再現する。
・素振りしながら、自分が遂行したいスウィングを視覚化し、感じる。
・中間目標を見つける。
・ボール後方からアドレス・ポジションに移る動作を、スウィングのテンポに合わせる。
・ターゲットを凝視し、ボールをちらと見る。【註】

【原註】バスケットボールの選手がフリースローする時、あるいは野球の投手が投球する時、彼らはターゲット(バスケットあるいは捕手のミット)を見つめるものだ。彼らがターゲットでなくボールに集中するなんてことが想像出来るだろうか。もしそんなことがあるとしたら、彼らはあまりにもメカニカルで、ボールの舵を取ろうとして失敗するに違いない。ゴルフでも(ボールではなく)ターゲットに意識を集中すること。スウィングする際、動作について考えてはいけない」

(May 04, 2016)

フォワード・プレスを会得する

トップ・インストラクターButch Harmon(ブッチ・ハーモン)が解説する、様々なフォワード・プレス。

[Jack]

'The Four Cornerstones of Winning Golf'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. and John Andrisani (Fireside Book, $15.00, 1996)

「リズミカルなワグルからバックスウィングへと推移する際の切っ掛けとなる一つのごく微かな動作は、フォワード・プレスとして知られている。この動作は手か身体の他の部分かで行われるターゲット方向への動きで、それに続いて直ちにバックスウィングが開始される。

私の父Claude Harmon, Sr.(クロード・ハーモン一世、1948年のthe Mastersにレッスン・プロとして優勝)は、練習ラウンドやPGAのトーナメントで共にプレイしていたBen Hogan(ベン・ホーガン)の微かなフォワード・プレスを賞賛していた。それは彼のワグルの後で、両手がターゲット方向に2〜5センチほど動き、その後リバウンドする(跳ね返る)ようにバックスウィングの動きに突入するものだ。

恐らく、もっと明瞭なフォワード・プレスはGary Player(ゲアリ・プレイヤー)によって用いられているものだろう。彼は右膝を内側(ターゲット方向)に捩じ込み、この動作からバックスウィングへとリバウンドする動きをする。

この引き金となる動作は、ターゲット方向への動きである必要はない。例えば、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は顎を右に廻し、これを切っ掛けとして直ちにクラブを後方に引く。

どのような動作であれ、静止状態からいきなりバックスウィングを始めるのでなく、スタートの切っ掛け動作があることが重要だ。ワグルを練習しながら、フォワード・プレスを身につけることもあなたにプラスとなるかどうか確かめてほしい」

モダン・ゴルフの祖Byron Nelson(バイロン・ネルスン)は次のように云っています。

'Shape Your Swing The Modern Way'
by Byron Nelson with Larry Dennis (Golf Digest, 1976)

「ワグルを完了した後、スムーズにフォワード・プレスに移行する。それは体重の僅かな左側への移動であり、すぐ右へ戻る。スウィングをスタートする小さな揺れる動きである」

次は女性インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)による、フォワード・プレスを会得するコツ。

'Power Golf for Women'
by Jane Horn (Citadel Press, 1999, $16.95)

「全てのいいゴルファーはフォワード・プレスをする。それは可能な限り微かな動作で、身体やクラブの位置を変えないことが大切だ。

最も一般的なフォワード・プレスは左の手と腕でターゲット方向にプレスする(押す)ものだ。スウィングのトップを形成するまでの肩と両手の移動距離を比較すると、両手の旅程はべらぼーに長い。それぞれが同時にトップの位置に納まるには、両手は肩の回転よりずっと早く動かなければならない。これを達成する一つの道は、左腕・手をターゲット方向に若干プレスすることだ。この前方への僅かなプレスのリバウンドの影響が、両手・両腕にバックスウィングで必要とするスピードを与えてくれる。

フォワード・プレスの正しいフィーリングを得るには次のようにする。身体の左サイドを壁に近づけてアドレス体勢をとる。左サイド全体で壁に寄りかかる。壁に左サイドをプレスし(押しつけ)、元の体勢にリバウンドさせる。これを数回繰り返す。バネのように跳ね返る動きを感じてほしい。これを充分に行ったら、フォワード・プレスが身体の特定の部分の筋肉を収縮(=緊張)させるのを感じ取る筈だ。この緊張は悪い性質のものではなく、身体がスポーツマン特有の動作を試みようとしていることを物語るものである」

(May 04, 2016)

ボールの残像を見よ

パットで特にそうですが、「頭を残せ」、「ルックアップするな」という御題目は知っていて、ちゃんと実行しているつもりなのにそうならないことが多い。パットのミスが何度か続いた後、「おれは本当に頭を残しているだろうか?」と疑問を感じました。ボールが左に逸れるミスの多くは、(早く結果を見たいという誘惑から)頭をターゲット方向に向けようとして肩を左に向け、それに引き摺られて手・腕がパターフェースをクローズにするせいのようです。

ルックアップ防止のtipはいくつかあります。

[Afterimage]

a) 結果を見るのではなく、カップインする音を待ち受ける。【難度G】
a) パターヘッドが左足を過ぎるのを見届けてから、顔を上げる。【難度E】
b) 左目を閉じてパットする(結果を早く見ようという動作を事前に妨げる)。【難度A】

今回私が考案したのは、《ボールの残像を見る》という方法。ストローク直後、ボールの残像を得るまでボールの位置を注視する。残像を見るためには目を凝らし、ボールのイメージを目に焼きつけなくてはなりません。何かに目を凝らした場合、頭はそう急には動かせないものです。左のアニメのように残像はくっきりとは見えないかも知れませんが、見ようと努力することが頭を静止させるので、それだけでこの作戦は大成功なのです。

しかし、これも全力を傾注しないと結構難しい。「残像を見るぞ!絶対見るぞ!」と決意しないと、ぼやっとしかボールを見ていなかったりします。それは誘惑に負けやすい状態です。パットには成功しなくても、残像が見えたら自分を誉め称えるというような報奨制度が必要かも知れません。

「残像を見るストローク」によって、私のバーディ達成率が増えつつあります。このテクニックは【難度C】ぐらいかも知れませんが、かなり強力な武器になりそうです。これはパッティングだけでなく、全てのショットに適用出来ます。

(May 11, 2016)



パットのFLW(固定した左手首)改訂版

私は「パットのFLW」という記事(tips_165.html)で《パットのFLW(Fixed Left Wrist、固定した左手首)》という手法を提唱しました。これはアドレス時の左手首の角度を変えないでインパクトを迎えれば、方向性抜群のストロークが可能になるというアイデアでした。

[FLW3]

「3(スリー)ジョイント・ストローク」(tips_169.html)を開発した直後、素晴らしい成果を収めたのですが、その後しばらく沈滞気味となっていました。暗中模索していて、このほどやっとその原因が判りました。バックストロークを地面近くに低く引くのはいいのですが、その鏡像のようにフォワードストロークも地面近くに低く出し、それでFLWを実行したと錯覚していたのです。その動作は、実は"FLW"の角度を損なっていたのでした。

何故バックストロークでパターヘッドを低く引くか?ボール位置の左右両サイドでパターヘッドを上昇させるのは「ショルダー・ストーロークと呼ばれるメソッドで、これはプロでも敬遠する手法なのです。【註】私も数年間これを試して実感しましたが、距離が長くなるにつれバックストロークで左肩を大きく下げ、フォワードストロークで右肩を大きく下げなくてはならず、身体の大きな動作によってパターフェースのスウィートスポットでボールを打つことが困難になるのです。ですから、バックストロークではラインに沿って(左手首の角度を変えずに)低く引く方が簡単だし望ましいのです。

【註】参照「ストレート・パットの探究」(tips_116.html)

しかし、フォワードストロークでは話は別。FLWの角度を最後まで維持しようと思ったら、アニメのようにインパクト以後手の甲は上向きにならなければならない(勿論、手首の角度は変えずに)。フォワードストロークを地面近くに保とうとしたりすると、この角度を開いてしまう結果となり、ボールの方向と距離は全く保証されなくなります。私の大きなミスはこれでした。《左手首の角度は絶対に変えてはならない》のです。

低いフォワードストロークをしないのであれば、どこかにフォワードストロークの支点がなくてはなりません。無論、バックストロークの終点やボールを過ぎた場所は支点たり得ません。私は「アドレスで両手を構えた場所が支点」と定めています。お臍の前で両手をアドレスしたのなら、後方から両手がお臍の前に戻って来た時、そこが支点となります。

もう一つ発見したのは、最初から左手首を固くするとフォワードストロークで手首が緩み易いということです。それを防止する秘策は、アドレスでは手をゆるゆるにしておき、バックストロークのトップに到達したらそこで左手首を固める。【←アニメで赤い線が現れるタイミング】 そこからは手首が無いかのようにフォワードストロークするのがベストというものです。「手首が無いかのように」というのは、重力がパターヘッドを地面に引っ張り戻すのを待ち、重力との二人三脚でしっかりと(へろへろとではなく)インパクトへ向かうという意味です。これなら左手首の角度も変わらず、右手がしゃしゃり出てプルやプッシュを招くことも防げます。

上と同じことを言葉を替えると、バックストロークだけは人間がしなければならないものの、フォワードストロークの立役者は重力なのです。人間は歌舞伎の黒子のように役者(ここでは重力)を補佐する立場に徹するべきであり、間違っても黒子が目立ってしまうような動作をすべきではありません。故意に打ち上げようとしたり、ボールの方向を誘導するような人為的操作は全て厳禁。

左手首を固定してストロークするメンタルtipはいくつかありますが、私の場合、上のアニメを頭の中で再生し、その通り実行するという方法が一番役に立っています。

「3(スリー)ジョイント・ストローク」に以上の改良を加えると完璧です。先ず、絨毯の上で試してみて下さい。いきなりグリーンの上だと、勾配もあり芝目もあり読みも関係するので、この手法が正しいかどうか知るテストには適していません。先ずは絨毯の上でテストし、いい成果を収められることを確認して下さい。

【参考】「重力まかせのストローク」(tips_155.html)

(May 11, 2016)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の パターヘッドを持ち上げるな

これはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が旧著や雑誌などに書いた原稿のパッティングの部分だけを集大成した本から、パターヘッドを上げ下げすることの害について。

'Putting My Way' ["Unweight" but never "lift" club]
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $25.95)

「普通にストロークされたパットは、クラブフェースを離れる時スピンを生じない。最初の段階ではボールはグリーン上を滑走し(その距離は打たれた力次第だ)、その後回転の勢いを増して残りの距離を転がる。

そういう事実にもかかわらず、私はボールがパターフェースを離れた瞬間からボールを上から下に縦に転がす感じを抱くとベストのパットが出来る(あなたがそれを幻想と呼ぶなら、それで結構)。そして、その感覚を得るためには可能な限りパターヘッドを地面に近く引く必要がある。当然ながら、これはパターヘッドを地面にぶつける危険がある。それを避ける解決法は、バックストロークの前にパターヘッドを地面から微かに浮かし、パターヘッドの重さを少し軽くする感覚を得ることである。

しかし、バックストロークを始める際にクラブヘッドを持ち上げるのは(それは多くの一般ゴルファーがやっていることだが)明確に望ましくないことだ。そんなことをすると、バックスピンやサイドスピンを生む空手チョップ風かジャブで(小突くように)打つ原因となってしまう。もう一つ、クラブを時期尚早に持ち上げる難点は、トップやそれに近い接触をもたらす掬い打ちを招くことだ」

 

(May 11, 2016)

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の 風の中のプレイ

Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ、1902〜1971)の、英米における経験から得た知恵の数々。

[Down]

'Down The Fairway'
by Robert T. Jones, Jr. and O.B. Keeler (Minton, Balch & Company, 1927)

「右からの風や向かい風の場合、私は距離が必要とするよりも、もっと上の(長い)クラブを選ぶ。不思議なのだが、ゆっくりスウィングする方が向かい風を突き抜けるボールを生み出せる。多分、少ないバックスピンのせいだと思う。右からの風の際には、長めのクラブで少しカット気味に打てば、ボールは云ってみれば風に張り合うようにしてストレートに進行する。向かい風では低い軌道のボールを打つ。向かい風がクッションとなってくれるので、ボールを止めようなどと案ずることはない。

左からの風では、普通の状況で必要とするより短めのクラブを選び、強打する。ボールから少し離れて立ち、身体をより自由に回転させてハードに打つ。右肩が上がり、僅かなドローを促進し、それがボールを風に対抗させる。

追い風では短めのクラブでハードに打つが、こうするとボールの高度を上げる。追い風はボールのスピンを奪うせいか、着地の際のコントロールを最少限にする。

だが、覚えておいてほしい。強風でもない限り、正しく打たれたアイアン・ショットへの風の影響は少なく、上のような調整は多くの場合不可欠ではない。もちろん、風力が増せば飛距離を減らすが、それはクラブ選択で解決出来る」


[icon]

旗が横風にはためいている時、風を相殺すべくグリーンの横を狙ったことがありますが、風の影響など全くなく、真っ直ぐ突き抜けてしまいました。Wikipediaの「風力」の項を参照すると、「風向きが判る程度に煙がたなびく」が「風力1」、「顔に風を感じ、木の葉が揺れる」が「風力2」、「小枝が揺れる」が「風力3」です。私の経験で“突風”と感じられる場合(13〜18 mph、時速20〜28キロ)でも「砂埃が立つ」で「風力4」だそうです。この風を日本語では「和風」と呼び、英語では"moderate breeze"(穏やかな微風)と呼ぶそうで、全然“強風”とはほど遠いレヴェルに分類されています。つまり、この程度ではボールをよほど高く上げたりしない限り、風の影響はほとんど考えなくていいと云えそうです。ツァー・プロたちは神経質に風をチェックしますが、彼らはピンポイントで旗を狙うからでしょう。風があろうがなかろうが10ヤードも左右に逸れたりするのが常の私などが、風に神経質になるのは笑止と云えましょう。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(May 18, 2016)

風をコントロールする

U.S.オープンに二回とPGA選手権に優勝し、計24勝を挙げたJulius Boros(ジュリアス・ボロス、1920〜1994)の風の中のプレイに関するtip。

'Swing Easy, Hit Hard'
by Julius Boros (Burford Books, 2001)

「向かい風に対して打つと、ボールの全ての方向へのスピンが強調される。スライスとフックはカーヴの度合いと速さを増す。同じ理由によって、歯切れよくバックスピンを伴って強打されたボールは、普通より高く宙に舞い上がって、ターゲットの手前で落下しかねない。向かい風で打つ場合、私はいつもより一つ長いクラブを用い、少し短めに握り、やや楽に打ち、風がボールを止めるに任せる。向かい風に抗して強打しようという欲求は抑えるべきである。いつもの通り打つべきだ。

追い風は全てのスピンの効果をかなり減じるので、バックスピンによってボールの飛行とランをコントロールすることは期待出来ない。打たれたボールは自然に遠くへ飛び、ランも増える。この状況では、私はいつもより一つ短くロフトのあるクラブを選び、高めの軌道でプレイする」

(May 18, 2016)

風雨の中のパッティング

'Golf Magazine Putting Handbook'
by Peter Morrice and the editors of Golf Magazine (The Lyons Press, 2000, $14.95)

「ことパッティングに関する限り、小雨はただ鬱陶しいだけである。それは短い単純なストローク動作を妨げるほどのものではない。あなたが注意すべきなのは、ボールとパターフェースが通常のコンタクトが可能になるよう、出来るだけ濡らさずにおくことだ。

とは云え、雨はグリーンを湿らすので、多少の調整が必要になる。グリーンが若干じめじめしていれば、少し遅くなるだろう。もし水嵩が増せば、濡れた道路で車が遭遇するのと同じハイドロプレーン現象によって、ボールはパターフェースを離れた後滑走を始める。これはボールの軌道を逸らしてしまう。特に、スウィートスポットで打たれなかった場合に影響が大きい。滑走が終わり芝と接触したボールは、大幅に速度を落とす。水は抵抗をもたらすものの、ブレイクは通常より少なくなる。水の抵抗によって速度が遅くなりブレイクが少なくなるということは、湿ったグリーンが攻撃的なストロークをするチャンスを与えてくれることを意味する。この恩恵を忘れないように。

一方、風はストロークに明確な影響を及ぼす。風はあなたの身体のバランスを崩す。もし身体が不安定であると感じたら、肩幅かそれ以上にスタンスを広げると、身体の錨を地面に下ろす助けとなってくれる。そうしたとしても、風の強い日に通常のストロークをするにはいつもより以上の集中力が必要だ。プレパット・ルーティーンで、一定のテンポのスムーズな素振りをすることに集中する。そして、慌てないこと。風のせいで準備OKになる前にストロークを始めるとか性急な速度でパットしてはならない。

 

極端な状況では、風はブレイクに影響する。プレイ不能にでもならない限り、ボールが風によってラインから大きく逸れるということはないが、風は芝目と同じような影響を及ぼす。追い風のパットは早く走るし、向かい風だと遅くなる。ブレイクに沿って風が吹いている場合は、カップの少し外を狙い、ブレイクと反対の風が吹いているなら、カップの近くを狙う。ダウンヒルで追い風だったら、軽めにストロークし後は祈るしかない。

風の影響に関する最後のポイント。風は乾燥をももたらす。湿ったコースでプレイしていても、風が吹いているならグリーンが乾くことを期待出来る。そして、風が吹きまくる乾いたグリーンはボールがよく走るものだ」

(May 18, 2016)

風に吹き飛ばされるな

風の中のゴルフについては、既にCary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)の詳細な記事がありますが、インストラクターMike McGetrick(マイク・マゲトリック)の対処法にも重要なポイントが含まれていて、必読のtipとなっています。

'The Scrambler's Dozen'
by Mike McGetrick with Tom Ferrell (HarperResource, 2000, $25.00)

「完璧な天候の下では、ムラのあるショット・メーキング(ボール操縦法)でも何とかラウンドを終了出来るかも知れないが、風はあなたのどんな欠陥をも誇張し剥き出しにしてしまう。それを克服するには、ボールをクリーンに打つことと、風がボールにどんな影響を与えるかを理解する必要がある。

風の種類別の対処法を述べる前に、どの場合にも共通するセットアップの要素を知っておいてほしい。

・スウィングを安定させるため、風の強さによってスタンスを数センチ広げる。通常より膝の柔軟性を増し、重心を低くする。
・クラブを数センチ短く持ち、よいコントロールを得る。
・ボール位置を通常より数センチ後方に下げる。これはハンドファーストのインパクトを助けてくれる。

 

【追い風】

ドライヴァーによるティー・ショットを例外として、追い風では低いショットがベストであると考える。ショート・アイアンでは、風はバックスピンを取り去り、ボールを落下させようとする。追い風では、上に挙げたセットアップ以外、特別な調整を必要ではない、時速10マイル(16キロ)毎に!クラブ短いものを選ぶ。いいテンポに集中し、ボールを圧倒しようなどとせず、いつものスウィングをする。風がおまけの距離を足してくれる。

【向かい風】

向かい風では、風によってボール高く吹き上げられるのを避けるため、低く突き刺すような軌道のショットをすることが重要である。この場合は時速10マイル(16キロ)毎に!クラブ長いものを選ぶ。打つ前に低い軌道を視覚化する。もし、突風のように強い時は、ノックダウン・ショットを誇張気味に行う。ボール位置を数センチほどスタンス後方にし、ボールの前に両手を位置させる(=ハンドファースト)。グリップ圧を若干強める。これはヒッティング・ゾーンでの腕と手首のフル・リリースを抑制することによって、ボール軌道を低く保ってくれる。スウィングはスムーズであるべきで、3/4のバックスウィングで、低い3/4のフォロースルーをする。注意点は充分なクラブを用いることと、ボールのスピンを減らすためスムーズでゆっくりしたテンポのフォワードスウィングをすることだ。クラブヘッド・スピードが低ければ、スピンも少ない。

【横風】

ツァー・プロは横風に抗しようとすることが多いが、大抵のゴルファーは風を利用してプレイする方がベターである。風に向かって打ち、風にボールを望む方向に戻させるのだ。風がボールをターゲット方向に曲げる余地を見込んで、身体の狙いを定める。よいテンポのスウィングが鍵である。低い軌道は高い軌道よりコントロールし易い。要は風を利用するのであって、それと闘うのではないということだ。ピンの位置が容易なものでない限り、それに近づけようと考えてはいけない。スムーズなスウィングをし、風がショットの仕上げをしてくれるのを待つ。

以上のような調整法とゲーム・プランによって、風の中でもリラックスしてプレイ出来る筈だ。よい心構えと少しの知識の助けで、風があなたのラウンドを吹き飛ばすのを防ぐことが出来る」

【参照】
・「Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)の 向かい風のゴルフ」(tips_149.html)
・「Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)の 追い風のゴルフ」(同上)
・「風のトラブル対策」(tips_88.html)

(May 18, 2016)

パットでダフるのは何故か?

インストラクターRick Smith(リック・スミス)が明らかにする、パットでボールの遥か手前の地面を打つ原因とその対策。

'Why'd I do that?'
by Rick Smith ('Golf Digest,' June 2016)

「これは誰もが経験していることだ。ロング・パットでエクストラの強さを与えようとして、パターヘッドでボールの手前の地面をこすってしまい、半分の距離しかボールを運べない。あなたは地面を見、パターを点検し、頭を振る。だが、誰もが知っている…あなたはダフったのだ。

通常、こうしたダフりは、あまりにも短いバックストロークをする結果、フォワードストロークでかなりの加速を余儀なくされる時に起る。これはリズムとグリップ圧を変化させる。Jason Day(ジェイスン・デイ)やJordan Spieth(ジョーダン・スピース)らは、ムラのないリズムで、パットの距離に適切な長さのバックストロークをする。インパクト後のストロークはしっかりしたもので、だらしないものではない。左手首はパター・シャフトと一直線である。

鍵となる動きは、バックストロークからフォワードストロークへの推移を急がないことだ。ボールに突進するような動きをしないこと。また、パターヘッドで"8"の字を描くようなストロークをするのもいけない」

以下はスポーツ心理学者Bob Rotella, Ph.D.(ボブ・ロテラ博士)の助言。

「あなたのパターのデザインと、重力の作用を信じること。ボールをアンダースローで投げるようにスムーズにストロークする。それはかなりの長さのバックストロークで、カップへとボールを送り届けるに充分なパワーを生み出すだろう。フォワードストロークで突如勢いを増す必要はない。

[icon]

当サイトでは「重力と二人三脚のフォワードストローク」を提唱しています。バックストロークのトップで、重力がパターヘッドをボールに向かって戻り始める徴候を待ち、重力を主役とし、手・腕の力を従として二人三脚のようにボールを打とう…という考え方です。これだと、切り返しで一瞬の間があり、打ち急ぐことはありません。また、重力の動きによって自然でスムーズがテンポが生まれます。

 

(May 25, 2016)

パットの慢性ショート病対策

パットした直後、仲間の数人から"Hit it!"(ヒッティット!)と叫ばれることがあります。もう打っちゃった後なので、文字通りの「打て!」という意味ではありません。「もっと強く打たなきゃあ!」、もっと意訳して「弱い!」と解釈するしかありません。われわれは打ち出しの初速を見ただけで、目的地へ届くだけのエネルギーがボールに備わっているか否かを読み取れるのです。月ロケット打ち上げの噴射が弱いと感じ取れれば、「あ、こりゃ亜宇宙空間まで届かんわい」と判るし、走り幅跳びのランナーの助走が遅いと感じられれば、「新記録は無理だ!」と判る。東京から名古屋までの切符で新大阪まで行こうとしている人を見るように、その可能性の無さを瞬時に感得出来るわけです。

私の場合、カップを凝視しながらの何度かの素振りによって、ボールを東京から新大阪まで届けるに充分と思われるバックストロークの幅を決定しているのです。それなのに京都までしか届かないことがあり、ひどい場合は名古屋で停止してしまったりする。なぜこんなことが起るのか?以下は私の推測です。

1) 芯を外した
 京都までしか届かない場合の大半の原因はこれだと思われます。パターのスウィート・スポットをわざと外してボールを打つと、見事にこの現象が再現出来ます。

2) ストローク前に決めたバックストロークの幅を縮めた
 素振りで適切と思われるバックストロークの長さを決定したにもかかわらず、バックストロークの最中に「いくら何でも一寸長過ぎるだろう」という懸念が浮上し、任務遂行中に自分で決めたバックストロークの幅を、脳と筋肉との合意無しに勝手に短縮してしまう。いわば、ゴルファー内サボタージュ(妨害工作)。

3) フォワードストロークを減速させた
 バックストロークの幅は決めた通り実行したものの、何らかの理由でフォワードストロークの強さを弱めてしまう。多分、上と同じようにバックストロークの幅が長過ぎるという懸念が浮上し、その強さを相殺するため弱いフォワードストロークをしてしまうのかも知れないし、正しくストロークしようという技法面に心を奪われ、同一テンポを維持することに上の空になってしまうのかも知れない。

4) FLW(Fixed Left Wrist、固定した左手首)を完全実行しなかった
 テストしてみると、FLWを完全実行するとボールの転がりが最もよく(よく伸びる)、手首の角度を開いてしまうと、距離によっては30センチ近くショートします。手首の角度をより狭めた場合は、FLWで打った時とさして変わりませんが。

ボールを新大阪まで届けたい場合、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)によれば、新神戸まで届かせる強さで打つのが秘訣だそうです。【註】 ぴったり新大阪を狙うと京都駅で臨時停車し易い。

【註】「ホールはゴールではない」(tips_46.html)という記事において、Dave Pelzは「パットを沈めるための最適のスピードは、ホールを約17インチ(43 cm)通過するスピードである(ミスもあり得るが入る確率が最高)」と述べています。

 

古くから行われ、最近ではJordan Spieth(ジョーダン・スピース)がやっているように、ターゲットを見ながらパットするという方法は、適切な距離および方向を実現するいい方法には違いありません。しかしそれは、フル・ショットでもパットでも頭を静止して遂行出来るプロのお話。私などがターゲット(カップなど)を見つめながらパットすると、ボールの手前の地面を打ったりトップしたり、散々な結果になり易い。

私は、現在目と筋肉が確立している「ショート目の距離感」を改良する必要があると思い、14年前にやっていた練習法に戻ることにしました。「緊縛趣味をパットに活かす」(tips_65.html)で紹介したロープを用いる方法です。私は直径1センチの太さのロープを持っています。これはカップの周りで円を描くように置くことも出来るし、カップの向こうに目標として寝せることも、カップの手前40センチに配置することも出来ます。私はその最後の方法で、ボールを直径1センチのロープを乗り越えてカップに届かせる練習によって、私の体内に構築されている距離感を否応なく伸ばすという試みを始めました。ボールはロープで跳ねるので、カップに入るとは限りませんが、これは方向性の練習ではなく、距離感の練習なので気にしないことにします。

このロープによる練習をしていて判明したこと。それが私の慢性ショート病の原因であったと断定します。

5) あまりにも遅い速度でバックストロークをした
 非常にゆっくりのバックストロークをすると、フォワードストロークへの勢いが生まれない。私のバックストロークはヘッドを持ち上げず、低く後方に引くスタイルなので、顕著な重力の戻りの作用が生まれません。フォワードストロークへの始動の勢いは、ブランコのような反動で生まれるんですね。反動によって重力の作用のきっかけが生じれば、ゴルファーはそれに相乗り出来るのですが、あまりにも低く遅いバックストロークだと目立つような反動がなく、頼りにすべき重力が主役として登場しない。その結果、ゴルファーが自分一人の力だけでフォワードストロークするしかなくなります。これがエネルギー不足で京都や名古屋までしか届かない原因だったのでしょう。

これまでの私のストロークのリズムは「イーーーチ、ニ、サーーーン」という感じでした。これを「イーチ、ニー」に変えました。これだと適切な反動が生まれ、新神戸まで行けます。その後のラウンド、一度だけ軽率なミス(メンタル)を犯しましたが、それ以外ではショートはありませんでした。今後、この新しいリズムを徹底実行することにします。

(May 25, 2016)

Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)のシャンク対策

これまでに取り上げたシャンクの原因と対策と重複しないArnold Palmer独自の理論です。これによって救われる方がいるかも知れません。

'Arnold Palmer Method'
by Arnold Palmer (Dell Publishing Company, 1968)

「シャンクが発生する理由はいくつかあるが、かなり一般的なのはバックスウィングで起る。クラブをターゲットラインから過度にインサイドに(身体の周りで)後方に引くと、戻りはクラブヘッドをアウトサイドからボールに向かうことを強制することになる。その結果はフェースでなくホーゼルでボールを打つことになる。

もしシャンクが出始めたら、クラブをもっとターゲットラインに沿って(ボールから真っ直ぐ後方へと)上げるようにお勧めする。この動きはクラブフェースをボールに対してスクウェアに戻すよう仕向けることになる」

(May 29, 2016)

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のシャンク撃滅策

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が'Golf Digest'誌に四年間連載したアメコミ風カラー・イラスト満載のインストラクション'Jack Nicklaus' Lesson Tee'(ジャック・ニクラスのレッスン・ティー)の総集編より。

'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Golf Digest/Tennis Inc., 1977)

「これをお読みのゴルファーが慢性のシャンク病に罹っているとは思えない。なぜなら、そういう人はすぐゴルフと縁を切ってしまうからだ。もし、あなたにシャンクの癖があるなら、スウィングの基本に何か問題があると考え、有能なレッスン・プロに相談すべきである。

たとえゴルファーが正しいアドレスをしたとしても、トップからキャスティング(投げ釣りの動き)をしたり手と手首でクラブを投げ出すと、クラブは外側へ動き、クラブフェースでなくホーゼル(クラブヘッドとシャフトを接合する部分)でボールを打つことになる。ダウンスウィングの開始で肩を反時計方向に廻すのも(特に、キャスティングと一緒の場合)同じ現象を誘発する。どちらに対しても解毒剤は、ダウンスウィングを足・脚・腰のリードで行い、上体を受動的にする(積極的に動かさない)ことだ。

爪先体重でスウィングする人は、スウィングの間じゅう踵体重にするとシャンクが治る。

最もありふれたシャンクの原因はアウトサイドからの攻撃だが、急なインサイド・アウトもかなりオープンなフェースと合体するとシャンクとなり得る。ホーゼルがヘッドより先行する場合だ。これも宮内庁御用達のシャンクを製造する。

 

私の生涯のコーチJack Grout(ジャック・グラウト)は、シャンク治療に一風変わった手法をとっていた。彼は生徒にクラブのトゥでボールにアドレスさせて打たせる。同時に、生徒がだらけたスウィングをしている場合、手首を締めるよう指示する。バックスウィングでの過度な手首のアクションも、ダウンスウィングでクラブをアウトサイドへ投げ出す原因となる。

アドレスで過度にボールに近く立つと、腕と身体の間にスペースがないため腕を外側に動かざるを得ずシャンクを生む。奇妙なのだが、ボールからあまりに遠く立ってもシャンクを発生する。ゴルファーはボールに届くように身体を正面に動かしたり、手と手首で早漏気味にクラブをボールに向かって投げ出すからだ。このようなゴルファーは、しばしば正面に身体をぐらつかせ、クラブヘッドをボールを通り越すように投げ出してしまい、ホーゼルで打つことになる。

インサイド・アウトのインパクトを志向するあまり、バックスイングで乱暴にインサイドに引く動きはしばしば反動で、ダウンスウィングの初期に肩を外側へ投げ出す動きに繋がる。

私がシャンクを患ったとしたら、先ず第一に頭の位置をチェックする。スウィングの間じゅう頭が定位置にあれば、スウィングの軸やプレーンが変わることはなく、シャンクの根本的原因を排除出来るからだ」

(May 29, 2016)

シャンクを防ぐ簡単な方法

インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)によるシャンク防止法。

'Hosel horror'
by by David Leadbetter ('Golf Digest,' July 2014)

「シャンクほどゴルファーの心にパニックを生むものはない。だが、それが発生する理由にはなんら不可解なことはないのだ。あなたがクラブの首のところでボールと接触させると、ボールは横っちょに飛び出して行く。それは、あなたの手がインパクトでターゲットラインに近いせいである。シャンクがあなたのスコアを台無しにする前に、以下の対処法のチェック・リストを通読されたい。

1) グリップ圧を軽くする

手の過度の緊張は、インパクト・エリアでクラブが正しく下に振り抜かれるのを妨げてしまう。あなたが得るべきフィーリングは、クラブヘッドがあなたを通り越してリリースされる感覚である。クラブを締め付けていると、この感覚は得られない。

 

2) 爪先を上げよ

両手と身体が前方への移動は(これはシャンク製造にうってつけの条件である)、あなたの体重を爪先に動かす。だから、シャンクを防ぐ一つの方法は、靴の中で爪先を柔軟に上向きにし続けることだ。これは体重を後方に保ち続ける。

3) 胸を高く保つ

シャンクの原因のいくつかは頭と上半身を、木を伐る時のようにボールに向って急降下させることだ。これを避けるには、インパクト前後で胸を高く保つことだ。アドレスで確立させた背骨の角度を変えてはならない。

4) 両手を近くに保つ

クラブが動くにつれ、グリップエンドが身体に近く留まり続けるように専念する。いいドリルは、アドレス時にクラブのトゥの向こうにティーを刺すことだ。インパクトでティーを打たなければ、ボールをクラブ・フェースの真ん中で打つことが出来る」

【参考】
・「シャンク憎らし」(tips_90.html)
・「シャンク撃退法」(tips_116.html)
・「続・シャンク憎らし」(tips_116.html)
・「いま解き明かされるシャンクの謎」(tips_143.html)

(May 29, 2016)

シャンク地獄からの脱出(体験談)

一ヶ月前、突如シャンクを患いました。ドライヴァーやハイブリッド、60°ウェッジ等は問題ないのですが、ミドル・アイアン、ショート・アイアン、ギャップウェッジ、サンドウェッジ等になるとシャンクします。これではスコアはまとまりません。当サイトにはいくつもシャンク治療のtipがあるので、それらを読み返すと、"The Shankmaster"(シャンクの親分)と呼ばれたヴェテラン・プロGardner Dickinson(ガードナー・ディッキンスン、1927〜1998)の「いま解き明かされるシャンクの謎」(tips_143.html)がいい解決策のように思われました。

「シャンカーはインパクト・ゾーンに近づくにつれ頭と肩を落下させ(アドレス時よりも肩の高さが地面に近けて)しまう。ゴルファーが左腕を伸ばし続けたら、クラブはボールの遥か手前の地面に突き刺さることになるため、身体は本能的に左肘を折ることによってボールとの距離を調節する。その結果、クラブのヒールあるいはホーゼルが先行し、そこに当たったボールはヒューン!と右へ飛び出すのである」

私は「草を抉(えぐ)る」(tips_168.html)に書いたようにヒットダウンし、ディヴォットを取るアイアン・ショットを志向しています。そのヒット・ダウンをしようとする時に身体が沈み込むのではないか?で、頭の高さを変えないようにして打ってみましたが、やはりシャンクは消えてくれません。ディヴォットを調べると、アウトサイド・インでもインサイド・アウトでもなく、ストレートにターゲットを指しています。ディヴォットだけ見れば、完璧なショットです。

シャンクは疫病のように恐れられていますが、私の場合はそれが一過性のものと期待し、ラウンドせずにシャンクの嵐が通り過ぎるのを待つのが上策ではないかと思い、一週間ほどクラブに手を触れずに休んでみました。しかし、期待も空しく私の身体からシャンクは抜けてくれませんでした。

思い余って、私の相談役であるJack Rushing(ジャック・ラッシング)にスウィングを見て貰いました。彼自身、ラウンドにつき一回位シャンクする人なので、対策を研究しているでしょうから相談するのには打って付けなのです(^-^)。彼の目の前で四個のボールを打ち、そのうち二つをシャンクし、三点の注意を受けました。
1) 爪先ではなく踵に体重を置け。
2) ゆっくりスウィングせよ。
3) あんたは肩を水平に廻して捻転している。アドレス時の角度を保てば、左肩が下がる筈だ。

 

それらを念頭に置いて練習してみましたが、打ったボールのいくつかはなおもシャンクでした。本番のラウンドでも数回のシャンクを放ちました。

翌日、家の近くの空き地でスポンジ・ボールを打ってみました。スポンジ・ボールも正直で、ちゃんとシャンクします。何度も打ってはボールを拾い、拾ってはまた打ちました。踵体重にしてもシャンク。スウィング軌道を水平にしても、縦にしても結果は同じ。スウィング速度を変えても同じ。グリップ圧を変えてみました。ぎゅうぎゅうに握らず、楽に握ってみるとプルが出始めました。シャンクの反対。バックスウィングの最後に右肘を折り畳むようにすると、ボールは真っ直ぐ飛び始めました。

つまり、私の場合、シャンクの原因はグリップ圧だったのです。それが判ってから、私はアドレスではグズグズのグリップをし、テイクアウェイの直後からじわじわっとグリップを締めるという裏技(?)を編み出しました。今や、ドライヴァーからウェッジまでこの方法でスウィングしています。その後シャンクは一発も出ません。逆に、人も羨むファイン・ショットが出るようになっています。目出たし目出たし。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は「アドレスで確立したグリップ圧を変えてはならない」と云っていますが、私の場合、醜悪なシャンクを防止するにはこれしかありません。

(May 29, 2016)

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