Golf Tips Vol. 164

ゴルフ金言集 Part 23

以下の名言集は当サイトが独自に収集・翻訳したものです。無断転載・引用を禁じます。

「ゴルフがむかつくゲームであるという一つの理由は、折角学んだことがいとも簡単に忘れ去られてしまうということだ。何度も何度も原因を見定め修正した過ちに、また何年も何年も藻掻き苦しんだりする」
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)

「全てのパットを沈めようとするゴルファーは、大体において3パットに陥りがちなゴルファーである」
Sam Snead(サム・スニード)

「パッティング・ストロークはリズミカルでなければならない。切り返しはスムーズで無理のないものであるべきだ。ちょうど振り子式時計の振り子のように」
Tom Watson(トム・ワトスン)

「ゴルフは平静であることに尽きるゲームだ。ゴルフはリラックスするためにプレイさるべきものではなく、ゴルフするためにリラックスすべきなのだ。PGAツァーのプロたちが語るZone(ゾーン)とは、平静であることが禅の集中心のように変容した状態である」
Gary Haykin(ゲアリ・ヘイキン、インストラクター、鍼医)

「どうショットするか知らないゴルファーの場合、ショットの視覚化によって身体にどうすればよいか教えることは出来ない。ピアニストになろうと思っても、座っているだけでピアノを弾かなければ、視覚化だけでピアニストになれないのと同じことだ」
Dean Reinmuth(ディーン・ラインマス、インストラクター)

「本当に偉大なゴルファーは、全てをスローダウンし、全てを正しく把握し続ける。スローダウンと云っても、だらだらプレイするのではない。思考過程をスローダウンし、ストレスを感じる以前に出来る限り明確に考え続けようとすることだ」
Roger Maltbie(ロジャー・マルトビー、元PGAツァー・プロ、現NBC-TV解説者)

「ゴルフに専念する人はパッティングについて多くを学んだ苦悩する魂である。それは、雪崩の犠牲者が雪について多くを学ぶのに似ている」
Dan Jenkins(ダン・ジェンキンズ、ゴルフ・ライター)

「役に立たないパターを罰したいないなら押し入れに閉じ込めてもいいが、手放してはならない。いつの日にか、それを引っ張り出して役に立つかどうか確かめたくなる時が必ずやって来る」
Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)

「バンカーからのショットで功名心に燃えるのはよくないことだ」
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)

「カップの30センチ向こうにカップを囲むようにした二つの掌があるとイメージせよ。その二つの掌の真ん中に向かってパットすればよい」
Fred Couples(フレッド・カプルズ、写真)

「ゴルフで最も重要なのは最も短いショットである」
Raymond Floyd(レイモンド・フロイド)

「完全なるゴルフ・ゲームは達成されたことがない。それは18個のホールインワンだ」
Ben Hogan(ベン・ホーガン)

 

(July 01, 2015)


'Golf Magazine'(ゴルフ・マガジン)誌 ゴルフ用語集

'Golf Magazine'誌編纂のゴルフ百科全書ともいうべき本の巻末に掲載されている「用語集」から、日本のゴルファーにはあまり馴染がないと思われる言葉を拾ってみました。

[Book]

'Glossary'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
edited by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

ace(エース) ホール・イン・ワンの別名。動詞としても使われる。

aggregate(アグリガト) 総計。2ラウンド以上のストローク(スコア)、あるいはパートナーである二名のプレイヤーの合計スコア(ストローク)。【編註:3ホール・プレイオフで勝敗を競う際の「総計」にも使われる】

alternate-shot(オルタネト・ショット) マッチプレーで、ボールがカップインするまで二名のプレイヤーが一個のボールを交互に打ち継いで行くゲーム。【編註:この方式は"foursome"(フォーサム)とも呼ばれる。単なる「四人組」を意味するフォーサムと言葉は同じだが、チーム・プレイの定義の場合は別な意味を持つ】この方式はRyder Cup(ライダー・カップ)、Presidents Cup(プレジデンツ・カップ)、Solheim Cup(ソルハイム・カップ)など、国際的チーム競技や、多くの小規模トーナメントで用いられる。

back nine(バック・ナイン) 18ホールのコースの後半の9ホール。"back side"(バックサイド)とも呼ばれる。【編註:私はアメリカで「アウト」、「イン」という表現を聞いたことがない】

bail out(ベイル・アウト) 慎重にハザードやその他のトラブルから遠ざかること。【編註:原義は「脱出」、「保釈」、「逃避」】

barranca(バランカ) 一般的に岩あるいは密生する木々に囲まれた深い峡谷。ハザードとしてプレイされることがある。

best-ball/ better-ball(ベスト・ボール/ベター・ボール) 【編註:原書のこの部分の説明は曖昧なので、編者がまとめた説明で置き換えます】マッチ・プレーの一つで、トゥーサム(二人組)、スリーサム(三人組)、フォーサム(四人組)のどれでもよく、各人がストローク・プレイをし、チーム内の誰かの最少のスコアをそのチームのスコアとして加算していく。トゥーサム(二人組)の場合には「ベター・ボール」と表現される。

borrow(ボロー) 傾斜したグリーンを横切るパットに際し、どれだけ見込むかの曲がり幅。【編註:原義は「補填、埋め合わせ」】

bounce(バウンス) サンドウェッジのソールに付けられたふっくらしたフランジ(輪縁)。クラブヘッドが砂に潜り込むことを防ぐためのデザイン。【編註:「バンス」は日本方言】

buzzard(バザード) ダブルボギーの別名。【編註:原義は「アメリカ・ハゲタカ」】

cast(キャスト) ダウンスウィングでコックを時期尚早にほどいてしまうこと。クラブヘッドが手・腕より先にボールに到達してしまう。"hitting from the top"(手打ち)に同じ。

coil(コイル) バックスウィングで身体を円形に巻き上げること。

dormie(ドーミー) 【編註:原書のこの部分の説明は曖昧なので、編者がまとめた説明に置き換えます】マッチプレーにおいて、プレイヤー(あるいはチーム)の勝ちホールの数が残りホール数と同数になった状況。例えばプレイヤーAが3アップで、残り三ホールという状況。プレイヤーAがもう一ホールでも勝てば勝利が決定し、ゲームセットとなる。

fan(ファン) 空振り。"wiff"(ウィフ)に同じ。

flub(フラブ) ひどいミス・ショット。【編註:原義は「へま、ドジ」】

four-ball(フォー・ボール)マッチプレーの一つで、二名ずつの二組が計四つのボールをプレイし【←これが語源】、チームのどっちか少ないスコアで他のチームの少ないスコアと競い合うゲーム。

front nine(フロント・ナイン) 18ホールのコースの最初の9ホール。"front side"(フロントサイド)とも云う。【編註:私はアメリカで「アウト、イン」という表現を聞いたことがない】

G.I.R.(ジー・アイ・アール) "Greens In Regulation"(グリーンズ・イン・レギュレーション)の略。パーオン率。

go to school(ゴー・トゥー・スクール) 他人のパットを観察して、グリーンの早さとブレイクを知ること。

hacker(ハッカー) 未熟なゴルファー。"duffer"(ダッファー)とも云う。

ham-and-egg(ハム・アンド・エッグ) トゥーサム(二人組)の二人ともがうまくプレイし、自分たちのチームの成功に貢献すること。

【編註:"best-ball"をプレイする際、ほぼ全員が交互にいいプレイを展開して助け合うことを"brother-in-law"(ブラザー・イン・ロー、義兄弟)と云います。例文:We were good brothers-in-law today.】

headwind(ヘッドウィンド) プレイヤーの顔面に吹きつける風。向かい風。【編註:「アゲンスト・ウィンド」は日本語】

hood(フッド) ハンドルをターゲット方向に傾けることによって、クラブフェースを前方に傾げること。

hustler(ハスラー) 自分の真の腕前よりハンデを多くしておき、他のゴルファーに勝とうとするゴルファー。"sandbagger"(サンドベァガー)とも云う。

jail(ジェイル) 安全なショットがほとんど不可能な地点。【編註:原義は「監獄」】

knee-knocker(ニー・ノッカー) 2〜3フィート(約60センチ〜1メートル)の短いパット。ゴルファーにメンタル・身体両面で不安感を抱かせる距離。【編註:原義は「膝がガクガクするもの」】

lag(ラグ) 長い距離のパットで、ボールをカップの近くに止めて二打目のパットを簡単にしようという意図で打たれるパット。

links(リンクス) 水域に沿って作られた海浜コース。【編註:「リンクス」をゴルフコースの優雅な表現と誤解し、林間あるいは山間コースなのに「リンクス」と誤用するケースが見られる】

linksland(リンクスランド) 英国のコースによく見られる海浜の地形。

medalist(メダリスト) 【編註:原書のこの部分の説明は曖昧なので、編者がまとめた説明に置き換えます】基本的にはストローク・プレイ・トーナメントの勝者を指す。同時に、この言葉はマッチプレイ選手権への出場権を与えるストローク・プレイのラウンドの勝者を指しても用いられる。

medal play(メダル・プレイ) 最少スコアの者が勝者となるストローク・プレイ競技。

pace(ペイス) 【名詞】1. グリーンの早さ、2. パットされたボールが転がる速度、3. スウィングあるいはストロークの動きの速度、【動詞】ボールからターゲットへと歩測する。

sandbagger(サンドベァガー) 自分の腕前について嘘をつき、賭けゴルフなどを自分に有利にしようとするゴルファー。"hustler"に同じ。

sandy(サンディ) バンカーから脱出した後一打で得たパー。【編注:例文:"This is a sandy!"(バンカー経由でパーを得たことを自慢する表現)】

smother(スマザー) クローズなクラブフェースでヒットダウンし、(大体においてフックスピンで)地面を転がしてしまうショット。

snake(スネイク) 複数のブレイク(曲がり)がある非常に長いパット。

tailwind(テイルウィンド) ショットが向かうのと同じ方向に吹く風。追い風。【編註:「フォロー・ウィンド」は日本方言】

takeaway(テイクアウェイ) バックスウィングの最初の12〜18インチ(約30〜45センチ)。【編註:「テークバック」は日本方言】

tiger tee(タイガー・ティー) カップから最も遠いティー。"back tee"(バック・ティー)あるいは"championship tee"(チャンピオンシップ・ティー)とも云う。

up and down(アップ・アンド・ダウン) いわゆる「寄せワン」。グリーン外から二打でカップ・インさせること。【編註:結果がパーとは限らない】

whiff(ウィフ) 空振り。

wormburner(ワームバーナー) ゴロ。【編註:"worm"はミミズなので、「ゴロによってミミズを焼き殺すショット」の意】」

【参照】「PGA of Americaのゴルフ用語集」(tips_162.html)PGAインストラクターDr. Gary Wiren(ゲアリ・ワイレン博士)による定義集。こちらにない用語も含まれており、相互に補完し合っています。

【参考】
・「PGA of Americaのゴルフ用語集」(tips_162.html)
・「私家版・ゴルフ用語集」(tips_164.html)
・「TV中継の英語」(tips_56.html)
・「誉め言葉」(tips_28.html)【英語による褒め言葉大全集】

【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。

(July 01, 2015、増補December 19, 2015)


よいゴルファーになるために

Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)はPGA of Amaricaのインストラクターであり、Keiser(カイザー)大学の教授兼ディレクターでもあります。10冊以上のゴルフ・インストラクション本を執筆し、新聞連載のコラムも持つ人気インストラクター。

'Ask The Pro'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeal Publishing, 2001, &12.95)

[Stadler]

「よいゴルファーになるにはどうすればよいか?というのは、私が始終聞かれる質問だ。あなたは以下のようにすべきである。

・あなたの体型に合ったスウィングをする。例えば、あなたが固くて樽のような胸をしているなら、Davis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)をモデルにすべきではない。あなたに必要なのはCraig Stadler(クレイグ・スタッドラー、右図)のような動きをするモデルである。

・あなたの身体・スウィング・審美眼に合致するクラブを購入せよ。クラブのデザインが気に入らなければ、買ってはいけない。

・打つ前に、ショットを見、感じ、聞くこと。イメージは運動筋肉の反応に指示を与える。あなたが正しくコトを行えば、イメージの第一打をノーカウントにし、マリガン【編註:無罰の打ち直し=ルール違反】を打つのと同じことになる。

・あなたのスウィングではなくターゲットに集中せよ。スウィングについてのあまりに多くの留意事項は、あなたの身体を麻痺させてしまう。コースでは、あなたはゴルフをプレイするのであって、ゴルフ・スウィングをプレイするのではない。両者は別物である。

・自分の個人的強みと弱点を正直に査定せよ。そのプロファイルを自分に合った正しいショットを選択するために利用する。

・自分のスウィングに関するメモあるいは日記に、詳細な説明で記録する。これは不調になった時に役立つ。

・単にボールを打つ練習を止める決意をせよ。練習の仕方を再考し、強みを維持し、弱点を改善することを目的とせよ。

・いいショットには恩賞を与えよ。自分の肩を叩いて褒めそやし、後で思い出せるぐらい興奮せよ。

・自分自身にどう語りかけているか監視し、コントロールせよ。われわれは時折、他人には絶対云わないような残酷なことを自分に云ったりする。言葉で自分を打ちのめしてはいけない。

・コースで必要になったら打てるように、特殊なショット(高い、低い、フェード等)を身につけておくこと。

・現実的な期待を抱くべきである。あなたが週一ゴルファーで、練習やレッスンなど皆無であるなら、高望みしないでラウンドすること。

・ラウンドする日の飲食に注意。コースに着く前から多量の水分を摂取し、水も携行して脱水症状を防ぐ。ラウンド前と最中は脂肪分、アルコール、ニコチン、糖分を避けるように。健康によいスナック(レーズンやバナナ等)を携行せよ。

・Aランクのスウィングが可能なのは、その日の僅か10%でしかないと自覚せよ。スウィングがBランクに降格した時、パニックに陥ってそのスウィングを下手に弄くり廻すと、それはFランクへと下落するものだ」

(July 08, 2015)


ラウンドの目標について

Dr. Tom Saunders(トム・ソーンダース博士)は医師・大学教授として長く自己催眠を教えて来て、自分の趣味であるゴルフに自己催眠を適用して成功を収めた人。下記の本は二枚の自己催眠プログラム付きという珍しい出版物。

'Golf: The Mind-Body Connection'
by Tom Saunders, M.D. (Mind-Body Golf Limited, 1997, $39.95)

「次の二つには重要な区別が必要である。
a) "Performance goal"(パフォーマンス・ゴール、遂行の目標)自分自身に課すプレイの基準
b) "Outcome goal" (アウトカム・ゴール、成果の目標)

問題は、あなた自身のパフォーマンスは自分でコントロール出来るが、他人のパフォーマンスはコントロール出来ないし、コースでの運・不運もまたコントロール出来ないということだ。あなた以外の誰かが生涯ベストのスコアで上がって来るかも知れない。だから(b)を目標とするのは、無意味である」

私がシニアのグループの「ベストボール」のゲームに参加する時、キャプテンに「今日のゲーム・プランはどういうもの?」と冗談半分に聞くことがあります。彼らのほとんどが一瞬面食らった後、「勝つことだ」と云います。この「勝つことだ」という目標は上の"Outcome goal" (成果の目標)に他ならず、わがチームは他のチームのスコアを左右することは出来ないので、これは無意味以外の何ものでもありません。「どうやって勝つか?」がゲーム・プランであり。「勝つこと」はプラン足り得ないのです。

キャプテンの中には「どのホールもパーで収めるのがプランだ」と答える人がいます。これは「勝つこと」に較べればやや上等に思えますが、よく考えれば「結果」であることに変わりはありません。同じ表現を「どのホールでもバーディを得ることだ」と云い換えてみれば自明です。こんなのはラッキー以外の何ものでもなく、「全部パー」も願望に過ぎないのです。

同じように「80を切る!」も結果であり、目標足り得ません。目標は「頭の上下動を防ぐ」、「FLWに専念する」、「ボールを見送らないでパットする」など、自分で実行可能な、そしてそれらを実行すれば自然に80が切れる可能性があるような目標でなくてはなりません。

(July 08, 2015)


暫定球の全て

'Before you reload'
by Ron Kaspreske ('Golf Digest,' March 2014)

「1. 暫定球を打てる時

 あなたが、自分のボールはウォーター・ハザード外でロストになったか、OBになったと考えたら、バックアップのボールを打つことが出来る。

2. あなたの意図を表明する

 あなたが先ずすべきことは、『暫定球を打ちます』と云ってからボールを打つことだ。あなたの相手や同伴競技者たちの耳に、その言葉を確実に届かせることが重要である。また、あなたが暫定球を打ち終わるまで、あなたのパートナーやキャディにあなたの最初のボールを探し始めたりさせないこと。【編註:探し始めると、5分という制限時間もカウントダウンされ始めてしまう】なお、ボールを打った場所から50ヤードほど前進したとしても、その場所に戻って暫定球を打つ選択肢を失っていないことを覚えておくように。

3. 最初のボールがロストになったと思われる地点に達するまで暫定球を打ち続ける

 暫定球を何回打とうが制限はない。もしあなたの最初のボールが発見されたら、暫定球を打ったことによる打数とそれによるペナルティは無視して、そこから最初のボールを打ち続ける。

4. 最初のボールは5分間だけ探すことが出来る

 あなたとあなたのパートナーおよび両者のキャディがボールを探し始めた時から時間が測られる。もし、最初のボールが発見されなければ、暫定球がインプレーのボールとなり、最初のボールを失ったことによるストロークと距離の罰を負わねばならない。

5. 最初のボールがロストになっておらず、OBやウォーター・ハザードにも入っていなければ、暫定球はなかったことにしなければならない

 

 逆に最高の暫定球を打った時は最初のボールを探したくなくなるかも知れないが、暫定球を打ち続けようとする前に、誰かが最初のボールを発見したら、それをプレイしなければならない。

6. もし、99.9%あなたのボールがウォーター・ハザードに入ったと確信したら、暫定球は打たないこと

 いったん同じ場所から続けて打った場合、最後のボールがインプレーとなり、あなたのスコアに一打が付加される。あなたはハザードの傍にドロップする権利を失ってしまう。

7. もし暫定球も失われたと考えたら、別のボールを打つ

 このプロセスは、あなたのボールがインプレーの状態になるまで続く。どのボールが何番目か、ちゃんと覚えておくこと」

(July 15, 2015)


アンプレイアブルの選択肢

インストラクターMike McGetrick(マイク・マゲトリック)によるアンプレイアブルの恩恵と三つの選択肢。

[unplayable]

'The Scrambler's Dozen'
by Mike McGetrick with Tom Ferrell (HarperResource, 2000, $25.00)

「めったにないこととは云え、ボールを打つことが出来ないライとか、どこにも打てないという状況もあり、こういう場合、アンプレイアブルを宣言するしか方法がない。アンプレイアブルの罰打は1ストロークだが、繁った薮を切り開くために四打費やすことに較べれば、これは最高に魅力的な選択肢だと云うべきだ。アンプレイアブル・ライから救済を得る際、プレイ継続には三つのオプションがある。

1. ボールが停止した位置から2クラブ・レンスの(ホールに近づかない)地点にドロップ

 これの問題点は、邪魔物から完全な救済が得られない場合があるというものだ。救済が得られるとしても、安全な方向へ開けていないかも知れない。

2. ホールと、ボールが停止した地点を線で結び、その延長線の後方へ好きなだけ戻る

 これは多くのゴルファーが見落とすオプションであるGreg Norman(グレッグ・ノーマン)は、1997年のBell South Atlanta Classic(ベルサウス・アトランタ・クラシック)で、このオプションをとてもうまく利用した。最終日、彼はNo.17(パー4)のティーショットでひどいフックを放った。彼はボールを見つけたものの、それを前進させる方法はなかった。2クラブという幅のクッションを用いてさえ、ボールとのクリーンなコンタクトは無理だった。で、彼は退却を決意した。彼はアンプレイアブルの地点から75ヤード後方でボールをドロップすることにしたのだ。そこからなら木々を越え、三打目でグリーンを狙うことが出来た。長いショットの方が時に打ち易いということもあるのだ。

3. 最後にプレイした場所に戻る

 これは三つの中で、最も魅力に欠けるオプションである。なぜなら、実際上ストロークと距離のペナルティとなるからである。

アンプレイアブル・ライのオプションを知ることによって、被害を最少限に食い止めることが出来る」

【おことわり】画像はhttps://breadsall.intelligentgolf.co.uk/にリンクして表示させて頂いています。

(July 15, 2015)


消えたボール・マーカー

インストラクターDr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)の新聞コラムに寄せられた、ルールに関する質問とその回答。

'Ask The Pro'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeal Publishing, 2001, &12.95)

「Q:あるトーナメントで、一人の女性がボールをマークし、それをパターでとんとんと叩いた。その女性は気づかなかったのだが、マーカーはパターの底にくっついてしまった。他のプレイヤーがパットを終え、彼女の番になった時、彼女はやっと何が起ったか悟った。ルール上、彼女は罰を受けるべきか?

A:これは珍しい事例なので、USGAに確認した。返事は無罰というものだ。『裁定20-1/6 プレイヤーがボール位置をマークする過程で偶然動かされたボール・マーカー:このケースでは、ボールマーカーの動いた原因は、球の位置をマークする行為そのものに直接的に結びつけられる。したがって、プレーヤーに罰はなく、その球またはボールマーカーはリプレースしなければならない。なお、球またはボールマーカーのあった箇所を確定できない場合は、それが前にあった箇所にできるだけ近くかつホールに近づかない所にプレースしなければならない』」

[icon]

私は帽子に装着する磁石付きボール・マーカーを使っています。その磁石の強さを充分知っているので、自分ではパターで触れたりしません(パターにくっついてしまう)。ところが、それを知らないゴルファーが私のマーカーにパターを近づけると、マーカーがぴょんとその人のパター・ヘッドに飛びつき、くっついてしまいます。これは実際に起ったことで、そのゴルファーは「なんだ、こいつぁ!」と焦ってパターを振り回していました(それでも取れなかった)。ま、公式競技ではなかったのでルール・ブックを調べる必要はなかったのですが、アクシデントが起っても上のように無罰であることが分ってほっとしました。

(July 15, 2015)


パーマーとニクラス

'Arnie & Jack'(アーニィとジャック)という本を読みました。Arnold Palmer(アーノルド・パーマー、1929〜)とJack Nicklaus(ジャック・ニクラス、1940〜)の長いライヴァル関係を詳細に描いた本です。

[Arnie & Jack]

'Arnie & Jack—Palmer, Nicklaus, and Golf's Greatest Rivalry'
by Ian O'Connor (Houghton Mifflin, 2008, $26.00)

この本はArnold PalmerファンにもJack Nicklausファンにとっても決して快い本とは云えないでしょう。なぜなら、二人のライヴァル関係は単にゴルフの腕前を競うというスポーツマン精神だけではなく、もっとどろどろした醜い部分もあったことを年代記風に暴露しているからです。

彼らの初顔合わせは次のような具合だった。1958年にオハイオ州のAthens C.C.(アセンズC.C.)は、地元出身のプロDow Finsterwald(ダウ・フィンスターウォルド、1929〜)のPGA選手権優勝を祝う催しを行うことにした。Dow Finsterwaldはこの年のthe Masters(マスターズ)の優勝者であるArnold Palmer(当時29歳)と親しかったので、Arnold Palmerを招待。Athens C.C.の代表として地元一番のアマチュアHoward Saunders(ハワード・ソーンダーズ)を参加させると同時に、同じオハイオ州Columbus(コロンバス)の強豪アマチュアJack Nicklaus(当時18歳、大学生)も招待することにした。

Arnold Palmerはプロ入り後四年目だったが、既にツァーで九勝を挙げていた。既婚で家族と共に過ごす時間を作るために自家用機を所有していた彼は、主催者の航空券のオファーを断り、自家用機で町へやって来た。Athensの町は、炭坑夫と農夫に囲まれてオハイオ大の学生たちが住む人口約15,000の学園都市で、地元紙編集者の一人はArnold Palmerの来訪を「キリストの再来のようだった」と回顧している。Jack Nicklausは16歳の時にオハイオ州オープンに優勝したのを初め、U.S.オープン二回出場、プロ・ツァーに招待された経験も有しており、全く物怖じしない若者だった。この当時、Arnold PalmerはJack Nicklausについて何の知識もなかった。

マッチプレイには最強と思われたArnold Palmerに年齢からして最弱と看做されたJack Nicklausが組み合わされて、他の二人組とfour-ball【註】のマッチプレーを行うことになった。

【編註】four-ball(フォー・ボール)はマッチプレーの一つで、二名ずつの二組が計四つのボールをプレイし、チームのどっちか少ないスコアで他のチームの少ないスコアと競い合うゲーム。

対戦に先立ってアトラクションとしてドラコンが行われた。Jack Nicklausはパワフルなスウィングで飛距離ではArnold Palmerを寄せつけなかった。しかし、マッチプレーではArnold Palmerが圧倒的に強く、Jack Nicklausの助けもあって、彼らのチームが圧勝した。Arnold PalmerはJack Nicklausのパワーは認めつつも、彼の"flying right elbow"(フライング・エルボー、右脇を開けるバックスウィング)を批判した。

二度目の顔合わせはJack Nicklausがプロ入りして六ヶ月ほどした1962年のU.S.オープンだった。世間知らずだったJack Nicklaus(当時21歳)は、開催コースOakmont C.C.(オークモントC.C.、ペンシルヴェイニア州)がArnold Palmerの地元であり、Arnold Palmerの裏庭みたいなものだったことを知らなかった。Arnold Palmerはthe Mastersだけでなく二年連続で全英オープンに優勝した地元の英雄だった。さらにArnold Palmerの父が一介のグリーンズキーパーという低所得者だったせいもあり、鉄鋼労働者たちにとっての英雄でもあった。

USGAのペアリングは初日と二日目のArnold PalmerのパートナーにJack Nicklausを選んだ。二人はことごとく対照的だった。Arnold Palmerは逞しく日焼けし、深くいい声をしており、誰とでも目を合わせ、親しみ深い笑顔で人々(特に女性)を魅了した。Jack Nicklausは太って腹がせり出しており、嗄れ声をし、ターゲットを見据えて人々と視線を合わせようとしなかった。彼が成金の薬局店主の息子だったことも、鉄鋼労働者たちが彼を嫌った理由だった。

Arnold Palmerは地元ファンの前での優勝に自信たっぷりで、ファンたちもそれを待ち望み、記録破りの観戦者が十重二十重に彼を取り巻いた。"Arnie's Army"(アーニィの軍隊)の誕生であった。彼らはJack Nicklausを「出っ腹」とか、「オハイオのデブ」と罵倒し、彼がパットしようとすると「ミスしろ、出っ腹!」と怒鳴った。息子について歩いていた父親Charlie Nicklaus(チャーリィ・ニクラス)はそういう輩に掴み掛かろうとし、友人に止められたほどだった。

【編者独白】著者は数え切れないほどの人々へのインタビューを基にこの本を書いていますが、「ファンのJack Nicklausへの罵声をArnold Palmerが必死に止めようとした」という証言はどこにもありません。Arnold Palmerは"Arnie's Army"のマナーの悪さを放任し、彼らの罵声が自分に有利になることを喜んでいたふしがあります。Jack Nicklausはこの時"Arnie's Army"の自分への攻撃を心底憎み、「やられたらやり返す、倍返しだ」と彼らのアイドル(Arnold Palmer)をぶちのめす決意をしたに違いありません(^-^)。

そんな風に自分を敵視する観衆に囲まれていたにもかかわらずJack Nicklausはぶち切れずに健闘し、Arnold Palmerに「魔法を使ってるんじゃないかと思うほど素晴らしかった」と云わせるほどの出来映えだった。結局、二人は最終日に一位タイでラウンドを終えた。Arnold PalmerはJack Nicklausに「賞金を折半するかい?」と持ちかけた。当時、それは珍しい仕来りではなかったのだが、プロ入りして間もないJack Nicklausはそんな慣習は知らなかったし、彼にとって賞金はどうでもよかった。「ノー、サンクス。プレイで決めよう」彼はArnold Palmerの申し出を拒絶した。

月曜の18ホールのプレイオフで、Jack NicklausはArnold Palmerに二打差で圧勝し、プロとしての初優勝をメイジャー優勝で飾った。

以後、Jack NicklausもArnold Palmerに倣って自家用機を購入し、幾多の企業の宣伝マンを務め、ゴルフ用品事業も開始し、ゴルフコース設計にも乗り出すようになったが、それは二人の間の優劣を競う激しい闘争であった。二人は国内外でペアを組んで戦ったり、"Big Three"として世界中を旅したものの、互いに相手を凌ごうとしゃかりきになった。Arnold Palmerは"Golden Bear"(ゴールデン・ベア)のロゴを「豚」とくさした。宣伝料収入では常にArnold Palmerがリードしたが、コース設計の収入ではJack Nicklausが勝利した。Arnold PalmerがBay Hill Club & Lodge(ベイ・ヒル・クラブ&ロッジ)を購入すれば、Jack Nicklausは故郷にMuirfield Village Golf Club(ミュアフィールド・ヴィレッジG.C.)を完成させてBay Hillを凌いだ。ある年、Jack Nicklausが所用でArnold Palmer主催のBay Hill招待を欠席すると(もともとJack Nicklausは、Bay Hillがいいコースだと思っていなかったせいもある)、その仕返しとしてArnold PalmerはMuirfield VillageでのMemorial Tournament(メモリアル・トーナメント)への招待を無視した。

メイジャー・トーナメントであれ、他のトーナメントであれ、二人は優勝争いよりは相手を打ち負かすことに執念を燃やした。その結果、二人とも無惨なスコアに終わることも少なくなかった。こうして二人は長い年月、公私にわたって熾烈な戦いを続けた。奇跡的とも思えるのだが、1962年のU.S.オープンで知り合った彼らの妻たち、Arnold Palmerの妻Winnie(ウィニィ)とJack Nicklausの妻Barbara(バーバラ)は夫たちの争いをよそに、仲のよい姉妹のように数日おきに電話で話し合っていた。

Arnold PalmerとJack Nicklausは、1985年以降1991まで互いの主催するトーナメントを無視しあっていた。見兼ねたChi Chi Rodriguez(チ・チ・ロドリゲス)が仲裁に入った。三人はJack Nicklausの所有する飛行機に座っていた。「もう終わりにしようじゃないか」Chi Chi Rodriguezが云った。

PGAツァーのコミッショナーTim Finchem(チム・フィンチャム)が、Arnold PalmerとJack Nicklaus共同設計によるゴルフコースを依頼した。それはPGAツァーの『ゴルフ名誉の殿堂』(フロリダ州)に付随する施設で、2000年オープン予定の'King & Bear'(王と熊)という名のコースだった。二つの設計事務所が青写真を作るまでも大変だった。何しろ、Arnold Palmerは右から左へ(ドロー系)のホール・レイアウトを好み、Jack Nicklausは左から右へ(フェード系)のレイアウトを好んだからだ。着工してからも、二人は相手がいない時に現場にやって来ては、相手方の設計変更を戻させようとしたりして管理者を困らせた。二人の戦いはなおも続いていたのであった。

【おことわり】写真はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(July 22, 2015)


練習道具が売れない理由 [North]

これは、U.S.オープン二回を始め全14勝を挙げたAndy North(アンディ・ノース、1950〜、現在CATVのスポーツ・チャネルであるESPNのゴルフ解説者)の練習道具に関するエッセイですが、とても興味深い事実が含まれています。

'The Long and the Short of It'
by Andy North with Burton Rocks (Thomas Dunn Books, 2002, $24.95)

「私はいくつかの素晴らしい練習道具のインフォマーシャル(情報提供広告)に携わったことがある。一つは'Tempo Trainer'(テンポ・トレイナー)と呼ばれるもので、もう一つは'Angle Iron'(アングル・アイアン)というものだった。どちらも良いスウィングを習得するための練習道具である。それらの製品の問題点は、ゴルファーたちが上達しようと一生懸命になる気がないことだった。多くの人々は10打減らしてくれる新しいドライヴァー、あるいは10打減らしてくれるウェッジ、あるいはグリーンで助けてくれる最新のパターを買いたがる。大抵の練習道具が売れないのは、人々がそれを買うと練習しなければならないからだ。【編註:練習道具なのだから練習するのが当たり前なので、ここで筆者はいかに人々が練習嫌いであるかを強調しています】

'Tempo Trainer'(テンポ・トレイナー)は魔法のように機能した。私はそのCMをLee Trevino(リー・トレヴィノ)と一緒に担当した。それは地面に置かれたボールの隣りにセットする小さな装置だった。ゴルフクラブに反射板をつけてスウィングすると、この装置はスウィングの経過時間とインパクトでのヘッド・スピードを教えてくれた。その装置は、スウィング全体の所用時間の観点からすると、クラブがゆっくり振られるほどさらなるクラブヘッド・スピードを生じることを証明した。【編註】

【註】原文:"What is proved is that the slower the club is swung, in terms of overall time, the more club-head speed is created."

私はこの製品は世界的に評価さるべきものと考えた。インフォマーシャルもいい出来だった。しかしながら、ほとんど誰一人これを買わなかった。何故なら、これを買うと練習しなければならないからだ。もしCMが『このドライヴァーを買って、40ヤード長く飛ばそう』と云えば、その製品は数百万本も売れる。多くの人々がこんな風に買い物をするのは驚くべきことだが、それが只の1ヤードも増えないにもかかわらず多くのドライヴァーが売られている理由なのだ。人々は(練習など不要で)買うだけで彼らを上手いゴルファーにしてくれる何かを求めているのだ」

【おことわり】写真はbarnesandnoble.comにリンクして表示させて頂いています。

(July 26, 2015)


練習について

インストラクターJim Flick(ジム・フリック、1930〜2012)は、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の二人目のコーチとなり、Nicklaus-Flick Golf School(ニクラス=フリック・ゴルフ・スクール)の共同経営者ともなった人。

[Flick]

'On Golf'
by Jim Flick with Glen Waggoner (Villard Books, 1997, $24.00)

「最もナチュラルに見えるゴルファーはSam Snead(サム・スニード)である。堂々として、流れるようで、リズミカルな彼のスウィングを見たあなたは、そんなものは生来のものであって練習なんかによって作られたものじゃないと考えるだろう。ところが、それは間違いだ。

彼は天性のスポーツマンであり、信じられないようなアイ=ハンド・コーディネーション(目と手の協調作業)、素晴らしいバランス感覚、柔軟性に富んだパワーなどに恵まれている。今、彼は80代に突入しているが、万人のモデル足り得るテンポとタイミングによるスウィングの持ち主であることになお変わりはない。だが、Sam Sneadのその美しいスウィングが、純粋で完全な遺伝的幸運によるものだなどと一瞬たりとも考えてはならない。それは努力の賜物だったのだ。

かなり前のことだが、'Golf Digest'『ゴルフ・ダイジェスト』誌主催のパネル・ディスカッションで、Sam Sneadは『もし一週間もボールを打たなかったら、また一からやり直ししなければならないと心配だ』と語った。彼が覚えているボールを打たなかった最長期間は、アフリカに猛獣狩りに行った時のことだそうだ。四日経った後、彼はスウィング感覚を維持するため、木の枝を切って、象の糞を打ったと云う。

あるコンサート・ピアニストがわれわれのゴルフ・スクールにやって来た。
『日に何時間練習するんです?』私が聞いた。
『コンサート・ツァーに出ている時でも、約4〜5時間てとこかしら』と彼女が答えた。
曲を覚えるため?とんでもない。曲を吸収し内在化するため?ピンポーン!
『一日練習しなくても』と彼女が続けた、『大した問題じゃない。二日休むと自分で違いを感じ、三日空けると夫が気づく。四日かそれ以上?試したことがないから分らないわ。でもお客さんが気づくんじゃないかと心配になるわね』

偉大なバレエ・ダンサーのMikhail Baryshnikov(ミハイル・バリシニコフ、1948〜)は、われわれのゴルフ・スクールの生徒だった。彼の全盛期、私は彼に『公演中でない時はどれだけ練習するんですか?』と聞いた。
『新しい振り付けを覚える時は、日に4〜5時間かけるのが普通だね。そうでなくても、毎日練習するが』と彼が云った。
彼が自分に要求するレヴェルで演じようとすれば、彼はトレーニングの習慣を維持しなければならないのだ。彼は自分でも振り付けをするし、自分の動作を知っているが、心の中で動作を知っているだけでは充分ではないのだ。彼は自分の身体を教育しなくてはならない。そこに妥協の余地はないのである。

多くの人々(多分われわれの大半)は、肉体的努力抜きで心で身体を鍛えようとする。身体のトレーニングには時間がかかるからだ。それは理解出来る。だが、正しい思考が肉体的パフォーマンスを保証するものではない。正しい思考は単に最初の一歩であり、旅程の全てではないのだ。充分にボールを打たなければ、そしてそれを繰り返す習慣を身につけなければ、コースで安定して打てるなどと期待出来る筈がない。もし、そんなうまい話があるのなら、楽譜が読めればどんな楽器でも、また古今のどんなメロディでも演奏することが可能になる理屈である。

ゴルフの神様はそんなことはお許しにならない。ゴルフにうまくなろうとするなら、あなたの心構えと肉体的実行の二つを両立させねばならない。それは時間がかかるだろうが、近道は存在しない」

【おことわり】画像はhttp://a.espncdn.com/にリンクして表示させて頂いています。

(July 26, 2015)


潜在意識に打たせよ

スポーツ心理学者Dr. Bee Epstein-Shepherd(ビー・エプスタイン=シェパード博士)について、当サイトではこれまで女史の本に出て来た自己暗示の方法の紹介のみで、女史の理論そのものには触れておりませんでした。

[brain]

左脳をTimothy Gallwey(ティモシー・ゴルウェイ)は「コーチ」と呼び、インストラクターDr. Gary Wiren(ゲアリ・ワイレン博士)とスポーツ心理学者Dr. Richard Coop(ディック・クープ博士)は「分析者」と呼びましたが、Dr. Bee Epstein-Shepherdは単純に「意識」と呼んでいます。Timothy Gallweyが「実行者」と呼んだ「プレイする当事者」をDr. Bee Epstein-Shepherdは「潜在意識」と呼んでいます。

'Mental Management for Great Golf'
by Dr. Bee Epstein-Shepherd (Lowel House, 1997, $24.00)

「ゴルフには"concious mind"(意識)よりも"subconcious mind"(潜在意識)が大きく影響する。あなたは意識によって考える。それは論理的・分析的であり、それがどうプレイするか決定を下す。それは結果を評価をし、(失敗した場合)己を糾弾したり言い訳を探したりする。それは短期記憶しか持たない。

潜在意識は、文字通り意識の蔭で働く。それは論理的ではなく、情動的である。それは思考せず、感じ取る。それは決定を下さず、反応するのみである。分析したり、疑問を持ったりせず、意識から指示を得て、それに従う。

潜在意識は長期記憶の膨大な倉庫を持っている。過去に経験したこと全て(全てのラウンド、全てのショット)が脳細胞のどこかにしまわれている。その記憶は再び呼び出される機会を待っている」

Dr. Bee Epstein-Shepherdは、スポーツの最高の境地および勝利者たちへのリサーチの結果得られた「四つの鍵」なるものを提唱します。

「【四つの鍵】

1) リラックスし、なるがままに任せる

リズム、テンポを堅持し、スピードを増すために安定したスウィングを望むなら、リラックスしたスウィングをせねばならない。そうすれば、ドライヴァーによるティー・ショットは長く、正確なものとなる。パットは期待通り転がり、スコアも向上する。あなたは身体的能力を限界まで使ってプレイし、ゴルフをエンジョイする。

しかし、自分に『リラックスしろ』と命ずるのは一つの努力に他ならず、努力したのではリラックスすることは叶わない」

【編註】この本にはいくつかリラックスする方法が掲載されており、その一つは足先から始まって脚、尻、腹、腕、手、そして顔面などを一ヶ所ずつ緊張・弛緩を繰り返すというものです。ここでは、その胴体部分だけ紹介します。

 お尻をすぼめ、10〜15秒緊張を持続させ、緩める。横隔膜を引き締め、ぎゅーっと締め、緩める。背中の大きな筋肉を緊張させ、じっとし、緩める。肩をすくめ、肩が耳まで達するように努め、10〜15秒保持し、緩める。腕を緊張させる。手は緊張させず、腕だけに集中して緊張させる。緩める。握り拳を作り可能な限りぎゅーっと握る。そのままじっとする。この時、残りの身体各部も緊張するのを感じとる。緩める。

2) 素晴らしいショットのことだけ考える

自分はどんなショットを欲するかだけを考える。どうしたくないか、どうなったら困るかなどを考えてはいけない。

3) 視覚化する

写真が添付されたメールのメッセージが一目瞭然であるように、あなたが望むショットがイメージとなって視覚化されていれば、潜在意識は身体各部にどう指示すればよいか具体的に理解出来る。そして、視覚化イメージの伝達が効果的なのは、潜在意識がリラックス状態にある時である。

4) 寝床で練習する

オリンピックの選手たちのイメージ・トレーニングに筋電計を用いたところ、メンタルなトレーニング時でさえ筋肉の活動が記録された。ゴルフ練習は、打ちっ放しだけのものではないのだ。寝床の中でのラウンドも役に立つ。その際は素晴らしいショットだけ連続させるように」

【参照】「ゴルフを左右する左右の脳の働き」(tips_162.html)

(August 02, 2015)


勝ち癖をつけよ

「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)とTiger Woods(タイガー・ウッズ)」(tips_136.html)という記事に、私は次のように書きました。

「Butch Harmonは、Tigerの父Earl Woods(アール・ウッズ)を高く評価している。Earl Woodsは息子を甘やかすステージ・パパではなかった。彼は息子にアマチュアとして可能な数々の勝利の喜びを味わわせることを優先し、プロ入りを遅らせた。それはMichelle Wie(ミシェル・ウィ)の両親の態度と正反対だった。Michelle Wieはほとんど勝利の感覚を味わわないうちにプロ入りしてしまい、さらに男子ツァーに無意味な参加をし、予選落ちの悲哀を何度も繰り返し味わわされた」

つまり、Tiger WoodsはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などと同じように勝ち癖をつけてからプロ入りしたというわけです。彼が早くから優勝街道を驀進出来た理由はこれだったんですね(Jack Nicklausもそうだった)。

[Crane]

われわれ一般のゴルファーにはトーナメントにおける勝ち癖なんてものは不要なのですが、80を切る、パーで廻るというような目標がある場合、いつまでも高い壁の前で足止めを食らっていないで、暫定的にでも目標を達成する癖をつけるべきだという意見があります。スポーツ心理学者Patrick Cohn, Ph.D.(パトリック・コーン博士)のアイデアをお読み下さい。

'Going Low'
by Patrick Cohn, Ph.D. (Contemporary Books, 2001, $22.95)

「スコアの躍進を望むなら、次のような手段がある。あなたがどのティーからプレイしているにせよ、そのもっと前方のティーから何度かプレイしてみるのだ。あなたが既にその方法を実行して、しかも足踏みしているのなら、二個のボールをティーから打つとか、二個のボールをグリーンに向かって打ってみる。

これはインチキを勧めているのではなく、少ないスコアで上がることに慣れ、スコアリングに関する自己概念を変えるのが狙いである。短いコース・レイアウトでプレイするにしても、全てのショットを打ち、全てのパットを沈めなければならないのは同じである。あなたのゴールは、スコアカードにいくつかのバーディをちりばめた少なめのボギー、多めのパーを記録することだ。

前方のティー(あるいは二個のボール)で快適に目標(80を切る等)が達成出来たら、通常のティーに戻って一個のボールでプレイする。望むべくんば、少ないスコアを連続しつつ、より上級のプレイヤーとしての自己概念を確立する」

[icon]

勝ち癖というより、「80を切る!」が目標という場合には「切り癖」と云うべきかも知れません。ちゃんと泳げない場合、先ず背の立つところでバシャバシャやるじゃありませんか。そこで自信をつけたら、本当に深いところで泳ぐ。同じことです。

しかし、たかが10や20ヤード前から打ったからといって、インスタントに躍進が得られると思ったら間違いです。私は何度かレディス・ティーからのラウンドを経験しましたが、二打目の距離が1〜2クラブ短くなるだけに過ぎません。そしてその地点はいつもと違う地形であり、次打をどう打つかの作戦も一から練り直さなくてはならない。要するに「未知の領域」なのです。多分、一度や二度では「切り癖」はつけられないでしょう。

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(August 02, 2015)


私家版・ゴルフ用語集

この「ゴルフ用語集」は当サイトが独自に収集・翻訳・解説したものです。無断転載・引用を禁じます。御紹介頂く場合は、引用ではなく当ページへのリンクを張って下さい。

[dictionary]

当サイトには既に二つの「用語集」がありますが、それらに見当たらず、日本では馴染みがないと思われる語句・表現を拾い集めました。この項は掲載すべき語句・表現が見つかり次第随時追加・更新します。
【最終更新:September 12, 2019】

90 degrees rule(ナインティ・ディグリーズ・ルール)

 カート道路だけでなくフェアウェイをカートで走行してもよいコースでも、大雨の後などにフェアウェイの芝の保護のための措置として"Keep 90 Degrees Rule"(90度ルール厳守)と掲示されることがある。この場合、自分のボールを追って直線的にフェアウェイを走行してはならない。ティー・ショットを打った後カート道路を走り、自分のボールの真横まで近づいたら90度折れてフェアウェイを横切って自分のボールに近づき二打目を打つ。また同じルートでカート道路に戻り、カート道路を自分が打った二打目の着地点の真横まで走行して、再度90度折れて自分のボールに向かって三打目を打つ。この繰り返し。

90 percent air(ナインティ・パーセント・エア)

 「木は90%空気である」(当たるわけない)として英雄的ショットを試みる馬鹿者の台詞。80%とする人もいる。用例:"Trees are 90 percent air."

across-the-line(アクロス・ザ・ライン)

 バックスウィングのトップで、クラブシャフトがターゲットラインの右を指すこと。"laid-off"の反対。Fred Couples(フレッド・カプルズ)がこの代表。

afraid of the dark(アフレイド・オヴ・ザ・ダーク)

 用例:"it's afraid of the dark."(あんたのボールは暗がりが恐いんだ) ボールがカップの底に行きたがらなかったとして、パットに失敗した仲間を慰める言葉。

airmail(エアメイル)

 原義は「航空便」。クラブ選択の誤りかトップかによって、大幅にグリーンをオーヴァーさせること。用例:"I airmailed the green."(遥かにグリーン・オーヴァーしちゃったよ)

a lot of green to work with(ア・ロット・オヴ・グリーン・トゥ・ワーク・ウィズ)

 グリーン・エッジからピンまでの距離が長く、転がす余地が充分ある状況。TV解説者がよく使う表現。反対の場合は"little green to work with"。

apron(エイプロン)

 グリーン周囲のフェアウェイとの境界の領域で、グリーンと同じように芝が短く刈られたた部分。"collar"(カラー)、"fringe"(フリンジ)とも云う。

army golf(アーミィ・ゴルフ)

 右へ打ったかと思うと、次は左へ打つようなゴルフ。軍隊で行進する時の掛け声"Right, left, right, left"(右、左、右、左)から。

attaboy(エァタボイ)

 バーディやイーグルを射止めた仲間を誉め称える言葉。「凄いじゃないか!」、「偉いぞ!」 女性の場合は"attagirl"(エァタガール)となる。

away(アウェイ)

 パットする順番で「あんたの方が遠い」と云いたい時、"You are away."(あんたの方がカップから離れてる)と云う。"far"(遠い)という語は使わない。ある笑話:「Ben Hogan(ベン・ホーガン)はラウンド中は何も喋らないと云われているが、私には毎ホールで話しかけて来たよ、"You are away"ってね」どっちが遠いか不明の際、第三者に聞く場合は"Which is away?"(フゥィッチ・イズ・アウェイ?)

back nine(バック・ナイン)

 通常No.10〜No.18のこと。"second nine"(セカンド・ナイン)とも云う。"inward nine"(インワード・ナイン、日本では「イン」)と云うのは英国風。なお、No.1〜No.9は"front nine"(フロント・ナイン)。「通常」と書いたのは、プレイヤーがNo.10からスタートしたら、No.1〜No.9を彼にとっての"back nine"と云うこともあるため。

banana ball(バナナ・ボール)

 文字通り、バナナのように左から右にカーヴするスライス。"duck fook"の反対語。

ball in pocket(ボール・イン・ポケット)

 "B.I.P."と略されることもある。グリーン到達までに大叩きしたプレイヤーが、ホールアウトを諦め、ボールを拾い上げること。

beach(ビーチ)

 バンカーを「浜辺」と洒落て云う表現。用例:"You went to the beach."(バンカーに入ったよ)

Be alert!(ビー・アラート!)

 意味は"Fore!"と同じだが、これは近くの同伴競技者たちに向けて云われるので、大声で怒鳴るわけではない。先に乗せた人がグリーンでラインを読んだり、よそ見していたりする場合、バンカー・ショットやピッチ・ショットをする人が警告のために発する言葉。「注意せよ!」。

Be right!(ビー・ライト!)

 ボールへの呼びかけ。"Be the right club/ distance"(クラブ通りに飛べ!、正しい距離であれ!)の意。

big ball(ビッグ・ボール)

 「地球」のこと。用例:"I hit the big ball first!"(地面を先に叩いちゃった!)

Bite!(バイト!)

 「止まれ!」というボールへの呼びかけ。原義は「噛みつけ!」。"Sit!"に同じ。

blading(ブレイディング)

 "blade"は「刃」、「刃物」で、クラブでボールを切るように打つこと。結果はゴロ。"top" (トップ)、"scull"(スカル)、"thin"(スィン)に同じ。

block(ブロック)

 適切に手とクラブをリリースしないために起るミスで、プッシュと同じく真っ直ぐターゲットの右へ向かうボールを生む。

borrow(ボロウ)

 "break"(ブレイク、別項)の幅を見込んでカップの右や左を狙うこと。原義は「借りる」。用例:"You borrowed too much."(ブレイクの読み過ぎだよ)

BPNTHWAM(読み方不明)

 "Best Player Never To Have Won A Major"(メイジャー・トーナメント優勝経験のないベスト・プレイヤー)の略。2004年のthe Masters(マスターズ)に優勝するまで、長くPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)がこれの代表だった。現在はLuke Gonald(ルーク・ドナルド)、Lee Westwood(リー・ウェストウッド)などがこれに該当する。

bramble(ブランブル)

 "shamble"(別項)に同じ。

break(ブレイク)

 a) グリーンの勾配のせいで、ボールが曲がる/切れること。用例:"It broke to the right!"(右へ曲がったぜ!)、"No break at all?"(全然曲がらないの?) b) 運。"bad break"(ターゲットに向かったボールが、地面で突如予想外の方に弾んだりする)不運。

brother-in-law(ブラザー・イン・ロウ)

 原義は「義兄弟」という意味だが、ゴルフのチーム・プレイでは「みんなで助け合った」という意味で使われる。用例:"We were good brorthers-in-law today, ain't we?"(今日、おれたちは互いに助け合ったよな)

bullet(ブレット)

 パーまでの打数を拳銃の弾丸(bullet)になぞらえる表現。用例:"I have one more bullet."(パーまで、あと一打あるぞ)、"I have no more bullets."(よくてボギーだ、トホホ)

cart golf(カート・ゴルフ)

 カートに乗っている二人が(多くの場合、偶然)同じ方に打ったことを皮肉った表現。時間と燃料の節約にはなるが、打数の節約になる保証はない。

chili-dip(チリ・ディップ)

 (ウェッジ・ショットなどでの)ダフり、掬い打ち。食べ物(生野菜、クラッカーなど)を辛いチリトウガラシのディップに恐る恐るつける際の連想。

choke(チョーク)

 a) ビビる【原義は「窒息する、呼吸困難になる」】NBC-TVのゴルフ・トーナメント解説者Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)は、ツァー・プロのプレイを"He's choking."(彼はビビっている)と忌憚なく指摘するため、ツァー・プロたちから嫌われている。Chokingの有名なものには、1970年全英オープン優勝を賭けたDoug Sanders(ダグ・サンダース)の約60センチのパット失敗、1989年のthe Masters(マスターズ)優勝を賭けたScotto Hoch(スコット・ホウク)の約60センチのパット失敗、2001年U.S.オープン最終日最終ホールのRetief Goosen(ラティーフ・グーサン)の3パットなどがある。b) "choke down on a club" クラブを短く持つ【原義は「喉を絞める」】用例:"If you choke down on the driver, you can increase your control."(ドライヴァーを短く持てば、コントロールをよくすることが出来る)同じことを"choke up"と表現する人もいる。

closest to the pin(クローゼスト・トゥ・ザ・ピン)

 「ニア・ピン」とは云わない。

collection area(コレクション・エァリア)

 グリーン周辺でグリーンと同じ長さに芝が刈られた窪みで、乗らなかったアプローチ・ショットが地形的に自然に集まる場所。

course marshal(コース・マーシャル)

 "marshal"(執行官、保安官)という言葉で類推出来るように、"course marshal"はコース内の見回り役。スロー・プレイのグループが渋滞を引き起こしていないか、別項の"90 Degrees Rule"を守らないプレイヤーがいないか等を点検するため、コースをパトロールする。"park ranger"(パーク・レインジャー、自然保護官)の連想からか、"course ranger"(コース・レインジャー)と呼ばれることもある。

DQ(ディー・キュー)

 "disqualified"(失格となった)の略。用例:"She was DQed from the tournament for violation of Rule 4-3b."(彼女は規則4-3b違反で失格となった) "DQ'd"と綴る人もいる。

dance floor(ダンス・フロア)

 「パッティング・グリーン」の別称。

drop kick(ドロップ・キック)

 地面を先ず打ったクラブヘッドでボールを打つこと。多くはドライヴァーで発生するミス。語源はフットボールから。

duck hook(ダック・フック)

 左に向かい、さらに急角度に左へ曲がるボール。フックより醜悪である。"duck"には「素早く逃げる」という意味がある。"banana slice"の反対語。

Easy!(イーズィ!)

 ボールへの呼びかけ。"Slow down!"(減速しろ)に同じ。

effective loft(イフェクティヴ・ロフト)

 実効ロフト。クラブ本体に備わっている"physical loft"(フィジカル・ロフト)に対する言葉。60°ウェッジの"physical loft"は60°であるが、そのフェースをオープンにすれば62°や64°になり得るし、クローズにすれば58°や56°になり得る。これが"effective loft"(実効ロフト)である。

false front(フォールス・フロント)

 St. Andrews(セント・アンドリュース)オールド・コースNo.18のように、グリーン前部がフェアウェイの方に急傾斜で下っている(意地悪な)デザイン。ターゲットが実際より近く見えるため、"false"(偽の;欺く;騙す)と呼ばれる。この付近に着地したボールは勾配のせいで停止出来ず、フェアウェイにごろんごろん転げ戻ってしまうため、ピンを前から攻めるのはかなり難しい。Donald Ross(ドナルド・ロス)やAlister MacKenzie(アリスター・マケンジィ)設計のコースに多い趣向とされる。

front nine(フロント・ナイン)

 通常No.1〜No.9のこと。"first nine"(ファースト・ナイン)とも云う。"outward nine"(アウトワード・ナイン、日本では「アウト」)と云うのは英国風。なお、No.10〜No.18は"back nine"(バック・ナイン)。「通常」と書いたのは、プレイヤーがNo.10からスタートしたら、No.10〜No.18を彼にとっての"front nine"と云うこともあるため。

garden spot(ガーデン・スポット)

 角度や地形によってアプローチ・ショットが狙い易い絶好の地点。

gimme(ギミー)

 日本語の「OK」にあたる表現。非公式ラウンドでは"inside the leather"(別項参照)なら自動的に"gimme"とするのが普通。公式競技では用いない。

GIR(ジー・アイ・アール)

 "Green In Regulation"(グリーンに乗せるまでの規定打数)の略。グリーン上のパット数はどのホールにおいても二打と規定されているので、パー3ならGIRは一打、パー4なら二打、パー5なら三打となる。"Greens In Regulation percentage"だと「パーオン率」。

Good effort!(グッド・エフォート!)

 チップ・ショットやロング・パットをカップの直近に寄せた人の努力を褒める言葉。完全に成功した場合には用いない。

Good miss!(グッド・ミス!)

 トップしゴロとなったボールが、どんどん転がってグリーンに乗ったショットなどを祝福する言葉。トップとは限らないものの、トップが断然多い。

Good out!(グッド・アウト!)

 バンカーやラフなどのトラブルからうまく脱出出来た人への褒め言葉。単に出しただけという情けない場合には見て見ぬ振りで無言。ピン傍に寄ったような見事な場合だともっと凄い褒め言葉("Heck of a shot!"とか)を使うべきなので、"Good out!"などという軽い言葉は当のプレイヤーから反感を買う恐れがある。

go to school(ゴー・トゥー・スクール)

 他者のプレイを参考にすること。パットのラインのブレイクや早さの知ることについて云われることが多い。用例:"I wanna go to school when you putt."(あんたのパットを参考にするぜ)

hacker(ハッカー)

 コンピュータの世界ではハッカーは知識・経験豊富な人(多くの場合、いけない人)を指すが、ゴルフの世界では只の「下手くそ」。"duffer"(ダッファー)に同じ。

hand wedge(ハンド・ウェッジ)

 難しいライ(邪魔な木、濃いラフ、顎の真下など)に直面した際、良いライの方にボールを放り投げる行為。蹴飛ばす場合もhand wedgeでよいが、厳密に"foot wedge"と呼ぶ人もいる。

Heads up!(ヘッズ・アップ)

 意味は"Fore!"と同じだが、これは近くの同伴競技者たちに向けて云われるので、大声で怒鳴るわけではない。先に乗せた人がグリーンでラインを読んだり、よそ見していたりする場合、バンカー・ショットやピッチ・ショットをする人が警告のために発する言葉。「危険だぞ!」。

"Here's looking at you, kid"(ヒアズ・ルッキング・アト・ユー、キッド))

 映画'Casablanca"(カサブランカ)の中で何度か繰り返される台詞『お嬢ちゃんに乾杯!』。『君の瞳に乾杯!』とする字幕が多いが、男性が女性を見つめながら乾杯するのであって、正しくは『美しい君を見ていられる幸せに乾杯!』という意味。え?なぜ、これがゴルフ用語かって?パットし終えた後この文句を呟けば、映画でこの台詞を何度も云った俳優Bogart(ボガート)の愛称「ボギー」と分って貰える仕掛けです。

Hit it!(ヒッティット)

 明らかに弱々しく打たれたパットを見守る人々の口から、一様に漏れる言葉。文字通りに解釈すれば、単純に「打て!」なのだが、もう既にボールは打たれた後なので、プレイヤーが今になってパターを振り回しても無意味。だから、この"Hit it!"は「もっと強く打たなきゃあ!」という仲間の悲痛な叫びと解釈出来る。

idiot mark(イディォト・マーク)

 ドライヴァーによるティーショットで、"pop-up"(ポップ・アップ、ほぼ垂直に飛び上がるようなボール)を打った時に出来るかすり傷あるいは凹みを"idiot mark"(馬鹿のしるし)と呼ぶ。クラブヘッドがあまりにも急角度(鋭角)にボールへと接近するせいで起る。【参照】「馬鹿につける薬」(tips_96.html)

inside the leather(インサイド・ザ・レザー)

 カップにパターヘッドを引っ掛けた時、金属シャフトの範囲にボールがある状態。"gimme"(OK)となる距離の尺度。ボールがハンドルにかかったらOKにはならない。クラブのハンドルがレザー(皮)製だった頃に出来た言葉。競争相手から"Measure it!"(メジャリット!、測れ!)と云われたら、見た目だけでなく、実際にパターを用いて測らねばならない。

James Joyce(ジェイムズ・ジョイス)

 「読むのが難しいグリーン」のこと。難解な小説'Finnegans Wake'『フィネガンズ・ウェイク』などで有名なJames Joyce(アイルランドの作家)に由来する。James Joyceが何者か知らない人達に云っても、全然ウケないと思われる。

Keep it up!(キープィドアップ)

 妙技(素晴らしいパットやサンディなど)を見せた仲間への賞賛の言葉。「その意気だ;どんどん行け!」

laid-off(レイドオフ)

 アドレスした時のシャフトの角度を右肩の上に延長した線をシャフト・プレーン(スウィング・プレーン)とすると、その線上に両手があればオン・プレーンで、その線より下の場合がレイドオフ。クラブヘッドがターゲット・ラインの左を向くことが多い。"across-the-line"の反対。

Lawrence of Arabia(ローレンス・オヴ・アレイビア)

 「アラビアのロレンス」。一日中、砂の上ばかりでプレイしてる人。

lead-off man(リードオフ・マン)

 通常は前のホールのスコア次第でオナーが決まりますが、スクランブル競技などではチームの作戦によって自由に打ち出す順番を決められます。その最初のプレイヤーを"lead-off man"(リードオフ・マン)と云います。先頭打者です。

lie(ライ)

 ここではボールが置かれた状況のライではなく(それは誰でも知ってる)、クラブのライ角のことでもなく、「打数」を語る表現について述べます。"What do you lie?"と聞かれたら、「あなたはどんな嘘をついているのか?」ではなく、いまボールが置かれている地点までに何打費やしたのか聞かれています。「そこまで何打かかってるの?」ということです。答えは"I'm lying three."(アイム・ライイング・スリー、ここまで三打だ)という風になります。動詞"lie"(ライ、置かれている)は"lie-lay-lain"(ライ、レイ、レイン)と活用変化し、現在分詞は"lying"(ライイング)です。

lights-out(ライツ・アウト)

 原義は「消灯」だが、スポーツでは「傑出したパフォーマンス」の意。用例:"He's a lights-out putter."(彼はパットの名人だ)

little green to work with(リトル・グリーン・トゥ・ワーク・ウィズ)

 グリーン・エッジからピンまでの距離が短く、ほとんど転がす余地がない状況。TV解説者がよく使う表現。反対の場合は"a lot of green to work with"。

local knowledge(ローカル・ナリッジ)

 土地勘。あるホールでのティー・ショットをフェアウェイ右側に打てば、固い地面によってかなりのランが稼げる…というようなそのコース特有の知識・経験。

makable(メイカブル)

 無理なく成功可能なパット。NBC-TVの解説者Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)が多用するので、彼の造語かと思ったが、『歴史的ゴルフ用語辞典』の見出しにあった。"makeable"とも綴る。用例:"It's a makable putt.(さほど難しくないパットだ)

Monkey see, monkey do.(モンキィ・スィー、モンキィ・ドゥー)

 チョロした人のスウィングを見ていた人が、自分も同じようにチョロするようなこと(ショットはホームランでも空振りでも何でも構わない)。猿が人真似上手であることから。最初にヘマした人が「おれのが伝染したな」と同情しながら云う場合と、後の人が「あんたのスウィングを見るんじゃなかった」と後悔しながら云う場合の両方ある。

moving day(ムーヴィング・デイ)

 プロ・トーナメントで予選が終わり、本戦に入った初日(通常の四日間のトーナメントなら土曜日)のこと。俄然やる気を出す者、重圧に負ける者…等で、リーダーボード上の多くの名前が乱高下することから。

Nice try, Alice!(ナイス・トライ、アリス!)

 大幅にパットをショートさせた人の女々しさを詰(なじ)る言葉。イギリスのツァー・プロPeter Allice(ピーター・アリス、男性、現TV解説者)が全英オープンで何回かパットをショートした時、観衆の一人が"Nice try, Allice."と冷やかしたのが最初。これがアメリカに伝わる頃には女性の名前と混同され、二つあったL(エル)が一つ減って、"Nice try, Alice!"となった。

Nicely done!(ナイスリィ・ダン!)

 「上出来!」 TV中継のアナウンサーだけが使う文語的表現かと思っていたが、最近私の周りでもちょくちょく聞くようになった。

on the clock(オン・ザ・クロック)

 PGAツァーやLPGAツァーなどで、ある組のプレイが格別に遅いと(前の組から1ホール空いてしまうようなケース)、競技委員によってストップ・ウォッチでプレイ速度を計測される。PGAツァーの場合、計測が開始されたら、各プレイヤーが(多少の例外を除き)40秒以内に目前の一打をプレイしないと「スロー・プレイ」の警告を受ける。同じラウンドで二回目の「スロー・プレイ」の宣告を受けると、一打の罰と$5,000の罰金、三回目は二打の罰と$10,000の罰金となる。同じラウンドで四度目の宣告を受けたら競技から失格。用例:"They're on the clock."(あの組は時間を計測されている)

outdrive(アウトドライヴ)

 ティー・ショットを他の人より遠くへ飛ばすこと。日本では「オーバー・ドライヴ」と云うことがあるが、その言葉の英語の意味は「過度に運転する/過度に働かせる」であり、ゴルフでの正しい英語表現は"outdrive"である。用例:You outdrove me all day today.(あんたは今日一日中私を置き去りにしていたよ(T_T))

par 3、par 4、par 5(パー・スリー、パー・フォー、パー・ファイヴ)

 それぞれ、そのまま見出しの通り呼ぶ。アメリカのTV中継で「ショート・ホール」、「ミドル・ホール」、「ロング・ホール」という言葉は全く聞かれない(本や雑誌でも見られない)。par 3を"short hole"(ショート・ホール)呼ぶのは英国式かも知れない。パー4やパー5でも比較的距離が短いホールを"short hole"(ショート・ホール)と呼び、また、かなり長いパー3やパー4、パー5を"long hole"(ロング・ホール)と云ったりするが、これらは全てホール個々の長さの形容であって分類としての呼び方ではない。

PBFU(ピービーエフユー)

 "Post Birdie Fuck Up"(ポウスト・バーディ・ファックアップ、バーディの後の大失敗)の略。バーディに浮かれて野方図になり、その次のホールで2OBとかダボを叩くこと。

PGA(ピー・ジー・エー)

 インストラクター、レッスン・プロの組織Professional Golfers' Associationの略で、「PGAツァー」とは別物。インストラクターたちは「PGAプロ」と自称する。PGA of Americaは、PGA選手権やRyder Cup(ライダー・カップ)などを主催する。

pin-high(ピン・ハイ)

 ピンの位置から左右に仮想の線を引き、ボールがその近くに到達した状態。グリーンの内・外に関係なく用いられる。ピン傍ではないが、距離はぴったりだった…という自己満足として当人が口走るか、褒め言葉に窮した仲間がかける慰めの言葉。"hole-high"(ホール・ハイ)と表現する人もいる。用例:"You are pin-high."(ピン・ハイだね)

play through(プレイ・スルー)

 プレイ運びの遅いチームが、早いチームに「お先にどうぞ」させる行為。用例:"You can play through if you want."(お望みなら、お先にどうぞ)"Let them play through."(連中を先に行かせよう)

preferred lies(プリファード・ライズ)

 【英語では複数であることに注意】旱魃や豪雨その他のせいでコース・コンディションが正常でない場合、ローカル・ルールによってコースの一部あるいは全体で、プレイヤーがボールを拾い上げ(拭くことも可)、6インチの範囲内でライの改善が許されること。コース委員会が定めるローカル・ルールであり、プレイヤーが勝手に決めることではない。"winter rule"(ウィンター・ルール)と呼ばれることもある。

ready golf(レディ・ゴルフ)

 通常は前のホールを最少スコアで上がった人がオナーで最初にティー・ショットを打ち、それ以後はピンから遠い人の順に打つのがマナー。しかし、「今日は"ready golf"で行こう」と合意に達している場合や、自分の組のプレイ速度が遅いと感じられたら、"ready golf"を採用し、打つ準備が出来ている者から(前のホールのスコアやピンまでの距離に関係なく)どんどん打てばプレイ速度が上がる。

"Right in the heart!"(ライト・イン・ザ・ハート!)

 「ド真ん中だ!」。カップのド真ん中から沈めた仲間への賞賛の言葉。

Rommel(ロンメル)

 バンカーからホームランして反対側のバンカーへ打ち込む人。第二次大戦の北アフリカ戦線で、“砂漠の狐”、“砂漠の鬼将軍”と呼ばれたドイツ装甲師団のロンメル元帥から。

run-up shot(ランナップ・ショット)

 砲台グリーン手前や背後から、パターやアイアンを用いてボールを駆け上がらせるショット。

Run, Forrest, run!(ラン!フォレスト、ラン!)

 ゴロになった仲間のボールへの声援の言葉。映画'Forrest Gump'『フォレスト・ガンプ/一期一会』の主人公でお脳の弱いフォレスト・ガンプが、少年時代に同級生たちから苛められた際、彼の女友達Jenny(ジェニィ)が「走るのよ!フォレスト、走りなさい!」と叫んだ台詞から。'Forrest Gump'という映画か原作小説を知らない人には全く通じない。

Run like you stole something!(ラン・ライク・ユー・ストール・サムスィング!)

 これもゴロを放った仲間のボールへの言葉。原義は「何か盗んだみたいに突っ走れ!」 この文句を印刷したTシャツが、ほとんどマラソン走者向けに売られていることからみると、マラソン界から盗んで来た表現のようである。

sandy(サンディ)

 バンカー・ショットの後、1ストロークでパー(あるいはベター)を射止めること。"sandie"とも表記される。用例:"This is a sandy!"(これはサンディだぜ!)

scare the hole(スケア・ザ・ホール)

 ほとんど入りかけ、ミスしたパットを表現する言葉。"scare"は「怖がらせる」の意。用例:"You scared the hole."(入るかと思ったのに)

scorecard playoff(スコアカード・プレイオフ)

 トーナメントでトップ・スコアがタイの場合、サドンデス・プレイオフが行われるのが普通。しかし、素人のトーナメントでは余計な時間もかかるし、表彰式を待つその他大勢も迷惑。そこで、主催者がタイ・スコアのチームの終了済みスコアカードをNo.1から順に比較して、いずれかのチームのスコアが先に他より勝っていればそのチームを勝ちとするというお手軽な方式。"shotgun start"(ショットガン・スタート、別項参照)で、No.1からのスタートでない場合でもNo.1から比較を始める。

scramble(スクランブル)

 ゴルフ・トーナメントの形式の一つで、慈善のための催しなどで採用される典型的なもの。チームの人数によって"two person scramble"とか"four person scramble"などと称される。チーム全員がティー・ショットを打ち、そのベストの結果と判断されるボールを一個選び、その位置から全員が二打目を打つ。同じ方法をホールアウトするまで継続する。飛ばす人はティー・ショットでチームに貢献し、ショート・ゲームの上手い人はグリーン周りでチームに貢献出来る。四人の場合、パー72の18ホールを12〜14アンダーなどで廻ることも珍しくない。

short knocker(ショート・ノッカー)

 ティー・ショットがあまり飛ばない人。その距離はプレイする者同士の間で変動する。300ヤード飛ばしても、310ヤード飛ばす人から"short knocker"と揶揄される場合もある。

shamble(シャンブル)

 "scramble"(スクランブル、別項)に似たゴルフ・トーナメントの形式の一つ。"bramble"(ブランブル)とも呼ばれる。チーム全員がティー・ショットを打ち、そのベストの結果と思われるボールを一個選び、その位置から全員が二打目を打つ。スクランブルでは、ホールアウトするまで同じ方法を継続するが、シャンブルでは、二打目以降ホールアウトするまでは各々のストローク・プレイとなる。

Shank you very much.(シャンキュー・ヴェリィ・マッチ)

 シャンクした後、誰にともなく云う。気が狂わずに済む。

shotgun start(ショットガン・スタート)

 ショットガン(散弾銃)で打たれた弾丸のようにバラバラに、トーナメント参加の各チームがコース内の指定されたホールのティー・グラウンドでスタンバイし、合図によって(あるいは定時に)そこから一斉にスタートする方式。編者の住んでいる地域では、開始の合図として本当に鉄砲を撃っていた時期があったが、今ではエア・ホーン(警笛)が使われるようになっている。

Sit!(スィット!)

 「止まれ!」というボールへの呼びかけ(犬への号令「お座り!」からか)。"Bite!"に同じ。「シット」と発音すると"Shit!"(卑語)に聞こえるので競技役員から注意される恐れあり。

skins game(スキンズ・ゲーム)

 "skins"(スキンズ)は米俗語で「ドル紙幣」の意。米PGAツァーのシーズン・オフによく行われる、主にTVのためのイヴェント。基本的に(個人あるいはチームによる)マッチ・プレイ方式だが、各ホール毎にかなりの額の賞金がかけられ、一人だけ他より少ないスコアで上がったプロがそのホールの賞金を全額獲得する。タイの場合、賞金は次のホールにキャリー・オーヴァー(繰り越し)となり合算される。タイが数ホール続くと、賞金額は莫大な数字となる。

smother(スマザー)

 ボールをクローズ・フェースで打ち下ろすと、低く短く左へ素っ飛んで行くショットになる。"smother"には「窒息させる」という意味がある。

snake(スネイク)

 a) 蛇のようにくねくね曲がるライン。
 b) ゲームの一種。スタート前に罰金の額を決め、最初に3パットした人が"snake"を得る。次に誰かが3パットしたらその人が、代わりに"snake"を得る。ラウンド終了時に"snake"の人が他のメンバーに罰金を払う。
 c) 既にラウンド終了したグループが、No.18グリーン付近で後続グループのパットを見守りながら、両手で作ったVサインを蛇の牙のように曲げ、蛇の攻撃のように手首を前後に動かして他チームのパットの失敗を呪(まじな)う行為。←これは編者の周囲でよく見られる行動。"Cobra"とも云う。

sneaky long(スニーキィ・ロング)

 "sneaky"は「目立たない」という意味。派手ではないが結構飛ばす人を形容する言葉。用例:"He is sneaky long."

Snoopy One(スヌーピィ・ワン)

 スポーツ・イヴェントの鳥瞰映像を提供するMetLife(メットライフ、メトロポリタン生命保険会社)の飛行船の名前。Snoopy Oneは、ゴルフでは主に東海岸と南部のトーナメントをカヴァーし、Snoopy Twoは西海岸、西部などを担当する。

snowman(スノーマン)

 スコアの8の別称。数字の8が「スノーマン」(雪だるま)に見えることから。日本では「蛸で〜す」などと云う。なお、日本の「烏賊(イカ)」に当たる10を"Bo Derek"(ボー・デレク)と呼ぶ云い方もあるそうだが、編者は聞いたことがない。Bo Derekは映画"10"(テン)の主演女優。

socket(ソケット)

 "shank"の別名。ホーゼルのことを"socket"とも呼ぶことから。

speed putt(スピード・パット)

 英米ではパットの「強さ」を"speed"(早さ)と表現する。"speed putt"とは、パットの成功あるいはカップに寄せるためには、方向よりも強さが何倍も重要であるパットのこと。

strokes gained(ストロークス・ゲインド)

 PGAツァーが2011年から始めた新stats(スタッツ=統計値)。詳しくは「PGAツァー新スタッツ"strokes gained"について」(tips_134.html)を参照。

sucker pin(サッカー・ピン)

 水難やバンカーに近く、ピン傍に寄せようとするとリスキーなピン配置。"sucker"には「騙され易い」という意味がある。

take medicine(テイク・メディスン)

 難所にボールを入れるミスを犯し、グリーンを狙うのが難しくなった状況で云われる言葉。「潔くミスを犯した罰を受けろ(ボギーを覚悟しろ)」という意味で用いられる。用例:"She made a par. She didn't take her medicine."(彼女はパーで上がり、罰を回避した)

T.C. Chen(T.C.チェン)

 「二度打ち」の代名詞。台湾のプロT.C. Chen(T.C.チェン、陳志忠、1958〜)が1985年のU.S.オープン最終日にチップ・ショットを二度打ちし、優勝を逸した有名な事実から。用例:"I chenned it."(アイ・チェンド・イット、二度打ちしちゃったよ)なお、二度打ちは二打として数えなければならないが、「傍目には判らないだろう」と過少申告する人がいる。しかし、見守っている人の目には、ボールの妙な飛び方によって二度打ちは明々白々。トーナメントでの過少申告は失格である。

That's good.(ザッツ・グッド)

 これは「いいパットだ」と誉められているわけではなく、「OKだ(次のパットはしなくていい)」の意。

The R&A(ジ・アールアンドエー)

 USGA(United States Golf Association)と共にゴルフ規則を定め、改訂する組織。USGAはアメリカとメキシコを管轄し、英国のThe R&A(The Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews)はその他の諸国を管轄する。The R&Aは全英オープン、全英女子オープンなど11の選手権大会と世界規模のマッチ競技を主催する。

There you go!(ゼア・ユー・ゴー!)

 「その調子!」

through line(スルー・ライン)

 自分のであれ他人のであれ、パットが外れた場合、カップの反対側の芝も返しのパットのために重要であり、踏んではならない領域とされる。これはプロ同士の隠れたエティケットの一つだったが、Michelle Wie(ミシェル・ウィ)が13歳(アマチュア時代)でU.S.女子オープンに参加した際、同伴競技者のスルー・ラインを踏み、同伴競技者Danielle Ammaccapane(ダニエル・アマカポウニィ)からヒステリックに非難された事実が報道され、スルー・ラインが一躍世に広まった。

titanium(タイテイニァム)

 「チタン」。「チタン、チタニウム」は日本語であって「タイテイニァム」と云わないと通じない。

Tough luck.(タフ・ラック)

 "Bad luck"と同じ意味だが、ゴルフで不運に見舞われた人への慰めの言葉としては"Tough luck."の方が多く使われるようである。

USGA(ユーエスジーエー)

 R&Aと共にゴルフ規則を定め、改訂する組織。USGA(United States Golf Association)はアメリカとメキシコを管轄し、英国のThe R&A(The Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews)はそれ以外の諸国を管轄する。USGAはU.S.オープン、U.S.女子オープンなど15の競技大会を主催する。

victory lap(ヴィクトリィ・ラップ)

 カップの縁をくるりと一周してから入るパット。語源はNASCARなどオートレースの勝者がコースを一周して勝利を祝う習慣"victory lap"から。"lap"は「一周」という意味。入らずに出て行ってしまうのは、"lip out"(リップアウト)。"lip"はカップの縁を唇に見立てたもの。

waste area(ウェイスト・エァリア)

 最近の多くのコースが砂を入れた"waste area"を設けている。これらは"waste bunker"(ウェイスト・バンカー)とも呼ばれ、一見バンカーのように見えるがハザード(障害物)ではない。ここでは、望むなら素振りも出来るしクラブを接地しても構わない。"waste"は「廃物の、不毛の」という意味で「ウェイスト」と発音する。"waste area"は「荒れ地」と訳せる。"waist"(胴のくびれた部分)の「ウェイスト」(発音は同じ)、"west"(西)の「ウェスト」とは別の言葉。

 2010年にWhistling Straits(ウィスリング・ストレイツ)で開催されたPGA選手権最終日の最終ホール、Dustin Johnson(ダスティン・ジョンスン)のボールは、ロープの外の観衆に踏み荒らされた砂地に突入した。Dustin Johnsonはその場所をウェイスト・エリアと判断し、深く考えずにクラブを接地した。だが、このコースの1,000にものぼる砂地を、「これはバンカー、こっちはウェイスト・エリア」とすると混乱を生じると考えた主催者PGA of Americaは、一括して全てをバンカーと看做すことにして参加者に周知済みであった。Dustin Johnsonはその周知を読まなかったか、読んだものの忘れていた。そのため、ペナルティを課された彼はプレイオフのチャンスを失ってしまった。

 アメリカの有名インストラクターの一人は「安全のため、ウェイスト・エリアでもクラブを接地しない癖をつけた方がよい」と生徒たちに教えているそうだ。

Way to go!(ウェイ・トゥー・ゴー)

 バーディやイーグルなど、妙技を見せた仲間を励ます言葉。「よくやった!;上出来!」

Whoa!(ウォウあるいはホウ)

 "stop"に同じ。馬の歩みを止める時の「ドウドウ」という掛け声が語源。編者がアメリカでプレイし始めたばかりの頃、同伴競技者たちが盛んに私のショットに「ウォウ!」と叫ぶのを"Wow!"(ウァウ!「わあ!凄い!」)と云ったと聞き間違え、「おれって凄いプレイしてるみたい」と思ったことがある。何のことはない、グリーン・オーヴァーばかりしていたのであった(^^;;。

working man's par(ワーキング・マンズ・パー)

 "easy par"(イーズィ・パー)の反意語。パーなど期待出来そうもない艱難(長いパットを含む)の後に得たパー。優雅で見栄えのするプレイでなく、労働者階級のように額に汗して得た賜物であることを意味する。

worm burner(ワーム・バーナー)

 "worm"はミミズ、'burner"は「バーナー、燃焼器」で、「ミミズを焼き殺すようなショット」。「ゴロ」の洒落た表現。

yank(ヤンク)

 急激に左へ向かうショットやパット。"yank"は「ぐいと引っ張る」の意。"pull"に同じ。用例:"I yanked it."(プルしちゃったぜ)

Yes, sir!(イエス・サー!)

 見事なパットが決まった時の賛辞。1986年のthe Masters(マスターズ)最終日のNo.17でJack Nicklaus(ジャック・ニクラス、当時46歳)が3.7メートルの難しい下りのパットを沈めた時、CBSアナウンサーの一人Verne Lundquist(ヴァーン・ランドクウィスト)が口走った"Yes, sir!"(お見事!)でポピュラーになった表現。

You had it.(ユー・ハド・イット)

 グリーン上で、真っ直ぐカップに向かったものの、ほんの数センチの違いでミスしたパットに掛けられる言葉。"You had it if you hit it hard enough."(ちゃんと強く打ってたら入ってたのに)という意味。用例:"I thought I had it."(てっきり入ったと思ったのに)

You the man!(ユー・ザ・マン!)

 バーディやイーグルを達成した仲間への褒め言葉。「マン!」を強調したイントネーションで云う。"You are the man."ではなく"You the man."であることに注意。時には黒人の口調を真似て"You da man!"(ユー・ダ・マン!)とも発音される。日本語にしにくいが、「男の中の男!」、「いよっ、大統領!」、「やったね!」などが考えられる。

Zip code(ズィップ・コード)

 "Zip code"はアメリカの郵便番号(制度)。OBに打ったりした仲間に"Wrong Zip code!"(ロング・ズィップ・コード)と云ったりする。「方向が違うぜ!」

【参考】
・「PGA of Americaのゴルフ用語集」(tips_162.html)
・「'Golf Magazine'(ゴルフ・マガジン)誌ゴルフ用語集」(tips_164.html)
・「TV中継の英語」(tips_56.html)
・「誉め言葉」(tips_28.html)【英語による褒め言葉大全集】

(August 19〜26, 2015、増補December 17, 2015、改訂November 26, 2018)


Pete Dye(ピート・ダイ、コース設計家)の秘密 [No. 17]

Pete Dye(ピート・ダイ、1925〜)は次のようなコースを設計したことで有名。
・TPC at Sawgrass(TPCアト・ソーグラス、フロリダ州)No.17の浮き島グリーン(右の写真)で有名。
・Ocean Course at Kiawah(キアワ・アイランド・オーシャン・コース、サウスキャロライナ州)
・Stadium Course at PGA West(PGAウェスト・スタジアム・コース、カリフォーニア州)
・Harbour Town G.C. on Hilton Head Island(ハーバー・タウン、サウスキャロライナ州)←Jack Nicklaus(ジャック・ニクラスとの共作)
・Whistling Straits(ウィスリング・ストレイツ、ミシガン州)2004年、2010年、2015年のPGA選手権開催コース。

Pete Dyeは父が建設した9ホールのコースで育つ。アメリカの第二次大戦参戦と同時に高校を中退して、陸軍、後に空軍に身を投じるが、訓練だけで終戦。カレッジに通う間に、秀でた女性アマ・ゴルファーのAlice(アリス)と知り合い、後に結婚。保険のセールスマンとして業績を挙げる傍ら、ゴルフの腕も上達させ、1957年のU.S.オープンではArnold Palmer(アーノルド・パーマー)やJack Nicklausより上位に入った。その後、妻Aliceと共にゴルフコース設計への転身を目指す。当初はRobert Trent Jones(ロバート・トレント・ジョーンズ)のスタイルの模倣だったが、Alister MacKenzie(アリスター・マケンズィ)のコースやスコットランドのコースを見て廻った後、独自のポリシーで独特のデザインをするようになった。現在は妻、二人の息子と共にコース設計に従事しており、彼らが関与したコースは世界中で200以上にのぼる。Pete Dyeは2008年にゴルフ名誉の殿堂入りを果たしている。

以下はPeter Kessler(ピーター・ケスラー、元TGC司会者)によるPete Dyeへのインタヴューの中の興味深い部分。

'Dye another day'
interviewed by Peter Kessler ('Golf Magazine,' August 2004)

Q: あなたの奥さんのAliceが、TPC at Sawgrass(ソーグラス)のNo.17の浮き島グリーンの設計に協力したそうだが?
A: あれは彼女のアイデアだった。彼女はいつも『パー3だったらどんな設計をしても構わない。誰だってスタートする場所は同じなんだから』と云っていた。もし、私がパー5やパー4に浮き島グリーンを作ったら、私は彼女に撃ち殺されていただろう。だが、パー3ではゴルファーのスタート地点をコントロール出来る。女性のティーを前方に、男性のティーを後方に…という具合に。AliceはWhistling Straits(ウィスリング・ストレイツ)のクレージーなNo.17(パー3)にも責任がある。あれはこれまで見たこともなく最も難しいホールだろう。Aliceはパー3に関しちゃ、凄く強気なんだ。

Q: あなたは偉大なプレイヤーのために設計しているのか、普通のプレイヤーのためか?
A: Aliceと50年暮らして以後、私は普通のプレイヤーに必要な設計を念頭に置いている。私のコースの90%は誰にでもプレイ出来るものだ。例外はある。TPC at SawgrassのNo.4はグリーン手前に溝がある。それは排水のためなんだが、Aliceは『普通の女性が転がして乗せられないじゃないの!』と、私を殺そうとしている。Aliceは、女性はA地点からB地点にボールを転がせるようであるべきだと考えてるんだ。パー3には、その原則は適用されないんだが。

私のグリーンのほとんどは花道が開いている。カリフォーニア州のStadium Course at PGA West(PGAウェスト)がいい例だ。プロたちがそれを非難するんで、私はうんざりしてる。だが、コースはとてもプレイし易い。ある日、Ernie Vossler(アーニィ・ヴォッスラー、元PGAツァー・プロ、コース・マネジメント会社社長)が電話して来た。問題は女性メンバーが増え、彼女たちがいいスコアで廻って男性たちをたじたじとさせてることだと云う。私は、『私が女性のためにセットアップしたデザインを変えたりしたら、離婚されるか撃ち殺されるかだ』…と云ってやった。私はPGA Westは名作だと思っている。女たちは気に入り、プロたちは毛嫌いする。どっちみち、勝者は私だ。まだ離婚されてないんだから」

【おことわり】写真はgolfchannel-a.akamaihd.netにリンクして表示させて頂いています。

(August 26, 2015)


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