「体型別スウィング」(tips_54.html)の著者の一人であるインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)執筆による、腰の動きの早さによるテストで自分に合ったグリップを選ぶ方法。
'Strong, neutral or weak?'
by Mike Adams ('Golf Magazine,' January 2011)
「クラブ無し、ボール無し、右手だけで模擬スウィングし、イメージ上のボールを右手で平手打ちするように伸ばし、インパクトの位置でストップする。その時のベルト・バックルの位置を調べる。
・診断A:あなたのベルト・バックルがボールのほんの少し先を向くだけで、しかも右足が地面にべったりついている場合。あなたの両手がクラブヘッドをリードする見込みはゼロであり、クラブフェースはオープンになる可能性が高い。
処方:ウィーク・グリップ:左手をハンドルのもっと左へ廻し、親指と人差し指が形成するVの字が左の胸を指すようにする。
・診断B:ベルトバックルがやや左足の前を指し、右足の踵が地面を離れている場合。あなたの両手はダウンスウィングで少しクラブヘッドに先行する傾向があり、特に長いクラブではオープン気味になる。
処方:ニュートラル・グリップ:両手の回転は最少限にし、親指と人差し指が形成するVの字は真っ直ぐ顎を指すか、顎のやや右を指すようにする。
・診断C:ベルトバックルがターゲットを指し、左足一本で立つ場合。あなたは早過ぎる腰の動きによってクラブヘッドが両手の後ろに取り残されるため、クラブフェースがオープンになるのを相殺する最大限のコントロールを必要とする。
処方:ストロング・グリップ:左手をハンドルの右に廻し、親指と人差し指が形成するVの字が右肩を指すようにする」
【参照】「体型別スウィング(テコ型の補遺)パート1」(tips_157.html)【中肉中背の人および大抵の女性に最適のグリップの説明があります】
(July 05, 2015)
●自分固有のテンポでパットせよ「体型別スウィング」の共著者の一人で、元ツァー・プロでもあるインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)によるパッティング上達の秘訣。
'The Best Putting Instruction Book Ever!'
edited by David DeNunzio (Time Home Entertainment Inc., 2010, $32.00)
「パット名人たちは、長いパットから膝がガクガクするような1メートル以内のパットまで、同じテンポでストロークする。【註】さらに重要なのは、彼らが自分に固有の自然なテンポを用いることだ。誰しも、指紋のように固有のテンポを持っており、あなたのテンポはTiger Woods(タイガー・ウッズ)とは異なり、あなたの仲間の上級者とも異なるものだ。パットに上達する秘訣は、その自分自身のテンポを確認し、それを自分のストロークに取り入れることである。
【編註】「パットの距離とストローク時間」(tops_76.html)参照
自分特有のテンポは以下のように見つける。友人の助けを借り、時間を計って貰う。平坦な場所で、45秒の間に何歩歩けるかを記録する。これを五回繰り返し、歩数の平均を計算する。その結果があなたの個人的テンポである。例えば、五回の合計歩数が375歩であれば、その平均は75。それがあなたのテンポである。
【編註】私の平均歩数は85でした。メトロノームだけ聞いていると60ぐらいかと思っていたのですが、意外とせっかちな歩き方をしているようです(よっく反省すると納得ですが(^^;;)。
メトロノームを購入するか、スマホ用のメトロノームAppをダウンロードし、それに自分のテンポをセットする。
メトロノームの音を聞きながら「チック」でバックストロークし、「タック」でインパクトを迎える。【編註:ここで筆者は二拍子を前提としています】 前述のように、距離の長短にかかわらず同じテンポでストロークする。
平坦なラインを見つけ、2メートル、5メートル、10メートル、15メートルなどの距離を、近距離から遠距離、そして遠距離から近距離へと繰り返し練習する。
上りのライン、下りのラインなどは以下のように調節する。
・上りのライン
約5メートルの上りのラインを見つけ、いつものようにボールの傍に立つ代わりに数歩ボールから遠ざかって、そこでスタンスをとり、カップを見つめながら素振りをする。ボールの場所に戻ったら、直ちにパットする。
・下りのライン
約5メートルの下りのラインを見つけ、ボールの傍に立つ代わりに60〜70センチほどカップに近寄り、カップを見つめながら素振りをする。ボールの場所に戻ったら、直ちにパットする。
目は心の窓なので、カップを見つめながら素振りをすると、体内に(傾斜の影響を相殺した)実際に必要な距離情報がインプットされる。上りの場合は、物理的距離より長い距離情報が脳に伝えられるので、脳は身体に実際より長い距離のストロークを準備指令するわけである。下りの場合は、その逆。
【警告】上述の勾配を塩梅する距離感は、カップを真剣に凝視しながら素振りをしないと全く効果を発揮しないので注意」
【後記】iPhone用のAppに'Putting Metronome'(パッティング・メトロノーム、無料)というのがあります。【参照】「メトロノームでパット」(tips_189.html)
【写真はhttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/にリンクして表示させて頂いています】
(July 12, 2015、後記September 02, 2018)
●スタンス一つで、あっと云う間にパット巧者になれる法【実話】このリポートはめっちゃ大成功の記録です。それも、何の努力もなしに一気にウハウハという怠け者御用達の一篇ですから、飛ばさないでちゃんとお読み下さい。
2015年七月に考案したグリップ(右図)を用いる「体型別ストローク法」は失敗続きだったので、この「日記」にも収録していません。自然体の掌の向きのグリップでストロークするアイデアは悪くなかった筈ですが、全般的に誉められない出来でした。その過去の三ラウンドをつぶさに振り返って、私は左足体重でパットしていたことに気づきました。この左足体重というのは多くのツァー・プロが採用しているスタイルで、私はそれを単純に真似していたに過ぎません。三行半を突きつけた後、その左足体重がいけなかったのではないか?という疑念が湧いたのです。
私の左脚は右よりも1センチほど短い。只でさえ自然に左足体重になるのに、さらに左足に体重をかけたらプッシュして当然だと思われました。フル・スウィングでも、左足下がりのライはプッシュし易い。それと同じです。で、先ず左足体重をやめるという案が浮かび、さらに「確か、スタンスと体重に関するtipがあった筈だ」と考え、自分のサイトを再点検することに…。
ありました。「スタンス幅の決め方・決定版」(tips_141.html)です。これはインストラクターでありスポーツ心理学者でもあるDr. David Wright, (デイヴィッド・ライト博士)が提唱しているメソッドで、そのアイデア(体型別スタンス)の素晴らしさゆえ“決定版”という賛辞を呈上したものの、私にとってそのメソッドによるスタンスはかなり広過ぎるように思え、その後実行していなかったのです。
上述のtipは、2008年に普通のスウィングのスタンスを決めるためのものとして発表されたものですが、2010年に出版された'The Best Putting Instruction Ever!'(Time Home Entertainment, 2010)というパッティングだけの本の中でも、同博士は同じメソッドをパッティング・ストロークの秘訣の一つとして取り上げています。
ライト博士方式のスタンスの決め方を用いると、私に最適のスタンス(両踵間の距離)は33.5センチになります。そして、ここまで両足を広げると、写真のA型(掌が斜め後方を向く形)だった私の掌の向きはB型(身体の側面に平行)に変貌するのです。こうなると、自然体に合わせた新案グリップなどは必要なくなり、標準のグリップで普通にストロークすればいいことになります。私はこれまでパター・ハンドルを左前腕に当てて手首を殺すべく腐心していましたが、手が捩じれないライト博士方式のスタンスなら、それさえ必要なくなることも期待出来ました。
33.5センチ見当に大きく広げたスタンスの中央をボール位置とし、グリップも中央でアドレスして、カーペット上でテストしました。ハンドルを左前腕に当てる必要はなく、どちらの肘も身体につけず、平行にした両手を身体の中心にぶら下げてストロークするだけでいいことが判明。これは、スタンスだけが従来より広めであるものの、ごくオーソドックスなパッティング・スタイルと云えるでしょう。All systems go!(万事OK)。ただし、カーペット上では常に万事OKなので、喜ぶのはまだ早い。
【注意】33.5センチというスタンス幅は、あくまでも私個人の体型に適合したものなので、読者は自分に相応しいスタンスを見つける必要があります。ライト博士は下記URLの'Find the right stance width'(正しいスタンス幅を見つけよ)という文献で、「バランスの状態は3インチ(約7.6センチ)毎に変化する」と書いています。普通に立った後、3インチずつ足を広げて行きながら、掌の向きをチェックすべきだということです。
翌朝、グリーン上でテスト。初めてのスタンス・慣れないグリップにもかかわらず、方向性の良さを実感。ただ、距離感が今一だったので、距離感を重点に練習を継続。
そして、そのままシニア・グループの「ベスト・ボール」になだれ込んで本番を迎えました。なんと、私はチームの仲間たちを驚嘆させるほど安定したパッティングで数々のパーを記録。これまでのように、いいストロークをしているのに僅かにカップを逸れるということがなく、ド真ん中からカップに転げ込みます。自分でも驚いてしまいました。仲間の一人は"Eiji is a par putter today!"(今日の英二はパー・メーカーだ!)と賞賛してくれました。それが一夜漬けのたった一つの変更の成果とは、誰一人思いもよらなかったことでしょう。
ライト博士方式のスタンスだと、なぜいい結果が得られるのか?それは最適のスタンス幅の場合、左右両方の足の裏に均等に体重が乗り、最高のバランス状態が実現するからです。バランスが悪い場合は、左足が拇指球に、右足が踵(あるいは爪先)に…というようにバラバラに体重がかけられ、従って両腕の動きもそれに影響を受けて捩じれてしまう。
結論として、私がトライした「体型別ストローク法」というアイデアは間違っていなかった。ただ、その方法として私は自家製グリップによってス完全にトレートなストロークを達成しようと目論んだのですが、足のバランスの調整が完全にストレートなストロークを可能にすると知っていたライト博士の方が数段上手(うわて)であった…ということです。
体型によるスタンスの決め方が土台なので、これも「体型別ストローク法」と呼んでいいと思います。たった一つの小さな変更、こんな簡単なことで人も羨むパット巧者になれるなんて信じられない思いでした。
【参考】
・'Find the right stance width' http://arroyotrabuco.com/pdf/ddw/Stance%20width.pdf(掌の向きと体重の関係)
・'How to build the perfect stance' http://arroyotrabuco.com/pdf/ddw/chapter%202%20final%20June%202010.pdf('The Best Putting Instruction Ever!'に掲載されたライト博士の記事の全文と写真)
・「正しいスタンス幅の決め方」(tips_126.html)
・「スタンス幅の決め方・決定版」(tips_141.html)
・「パッティング・スタンス幅の決め方・ヴィデオ篇」(tips_173.html)
(July 12, 2015、増補December 18, 2016)
●Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)のミドルアイアンAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は2001年の三月に59で廻り、その時のGIR(パーオン率)は92%で、まるでダーツ(投げ矢遊び)をしているように易々とグリーンを捉えたそうです。以下はアイアンのボール位置に関する、彼女の科学的(?)理論。
'Golf Annika's Way'
by Annika Sorenstam with editors of Golf Magazine (Gotham Bools, 2004, $30.00)
「Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は書いている、『アイアンはゴルフの中で真に攻撃的な武器である』と。全く同感だ。グリーンを捉えれば捉えるほどバーディ・チャンスが増える。スコアを減らしたいならアイアン・ショットをソリッドに打つべきである。
一般のゴルファーは、ティーアップされていないとボールを空中に上げようと努力するが、アイアンでボールを上げるにはヒットダウンしなければならない。ディセンディング・ブローはクラブフェースでボールに多量のバックスピンを与え、それがボールを上げるのだ。クラブフェースはボール前方のスウィング弧の最低点に達する前に、ボールの底部と接触する。これが、いいプレイヤー達がディヴォットをターゲット側で取る理由である。クラブヘッドがあまりにも早く地面に達すると(アマチュアがボールを掬い上げる場合に起る)、その結果はダフりかトップとなる。
ディセンディング・ブローを確実に行うにはどうすればよいか?ボール位置から始めることだ。私は、ミドルアイアンではスタンスの中央から1インチ(約2.5センチ)ほどターゲット側にボールを配置する。そこがスウィング弧の最低点である。
なぜほとんどのアイアンで、ボールをスタンス中央よりターゲット側に置くか?長いクラブでは攻撃的に身体を回転させねばならない。この動きはスウィングの最低点を前方に動かす。ボールが後方だと、ダウンスウィングで体重を前方に移すに必要な時間が不足するため、早期にクラブヘッドが地面を打つことになる。これは、大きなスウィングを必要としないショートアイアンでは問題ないが、5番アイアンだとクラブをリリースするための時間が必要である。ボールをスタンス前方に移せば、ソリッドなインパクトに必要な、貴重な一瞬を確保出来る」
(July 19, 2015)
●フル・スウィングのスタンス幅と身体の重心「スタンス一つで、あっと云う間にパット巧者になれる法【実話】」(このページ上)は、David Wright Ph.D.(デイヴィッド・ライト博士)の「正しいスタンス幅の決め方・決定版」(tips_141.html)を利用したものでした。参考文献として挙げたPDFファイルによれば、博士は「少なくともウェッジ、ミドル・アイアン、そしてドライヴァーに最適な、三つのスタンス幅を見つけるべきである」と云っています。
私には不可解でした。両掌の向きが左右対称になるスタンス幅が、そう何種類もあるだろうか?パッティングでは、私の場合約33.5センチのスタンス幅で成功したのですが、それをクラブによって変えなければいけないとは?確かに通例ウェッジでは狭めのスタンス、ドライヴァーでは最も広いスタンスが望ましいとされているが…?しかし、33.5センチ以下では、私の掌の向きは左右対称ではなくなるのに?
ライト博士のサイトのメニューにある連絡先に駄目元で質問のメールを出してみました。すると、翌日にはライト博士から返事が届き"You will have 3 to 4 stance widths in your dominant core region."とありました。メールには「最新のリサーチとゴルフへの応用、そして身体の重心を衝撃的に変えるスタンス幅について説明したEBookを読まれたい」として、以下のリンクが付記されていました。
'Stance Width and Core COG'
http://online.fliphtml5.com/azhq/iczq/#p=1
EBookとは云うものの、それはスライド・ショーみたいなもので、メインは写真です。一流ツァー・プロたちのスウィング写真も多数含まれています。先ずこのサイトで身体的データを登録し、その分析結果を元にこのEBookを読む段取りのようですが、データ入力のページは見当たりません(多分、そのサーヴィスは終了したのでしょう)。EBookを読んでみたメモをまとめると以下のようになります。
研究結果によれば、スタンス幅は次の三つの"core"(核、パワーの原動力)領域の身体の重心を変化させる。
① 上核 首と胸骨との間の領域
② 中核 胸骨の下から臍までの領域
③ 下核 臍から股までの領域
【編註】このEBookの骨子はスタンスによって重心が変わり、それによって上のようにパワーの原動力となる部位(肩・胸か、胴か、腰か)も変わる。すると、自然に三つの型それぞれによって以下のようなポスチャーとスウィング軌道を生じる…というものです。
① 上核(肩・胸プレーン)
このタイプのゴルファーは、アドレス時の上体の前傾角度と太腿の角度(膝の曲げ具合)とを比較すると、太腿の角度よりも上体の前傾角度の方が大きい。スタンスは狭め。トップは急角度で左腕は右肩の上か、人によって遥か上になる。腰は大きく回転させるものの、インパクト前に手の通り道を作る腰の開きは顕著でない。ダウンスウィングの際、両手は上核領域(肩・胸)を通過する(肩・胸プレーン)。
このタイプのゴルファーの重心は両足の拇指球(ぼしきゅう、親指の下の丸い膨らみ)である。この型のプレイヤーはアドレス時に先ず背骨を前傾させ、それから膝を緩めること。
このタイプのプロ:Payne Stewart(ペイン・スチュアート)、Phil Mickelson(フィル・ミケルスン)、Lee Westwood(リー・ウェストウッド)、Patrick Reed(パトリック・リード)、Kevin Stadler(ケヴィン・スタッドラー)
② 中核(胴プレーン)
アドレス時の上体の前傾角度は、太腿の角度(膝の曲げ具合)より大きい。
このタイプのゴルファーの重心は拇指球の下方の土踏まず寄りで、足全体で地面に接触する。この型のプレイヤーは、アドレス時に膝を緩めるのと背骨の前傾を同時に行うこと。アドレスの際の両手・腕は身体の中心になる(「Yの字」アドレス)。バックスウィングで腰をかなりターンさせるが、ダウンスウィングで手の通り道を作る腰の開きはあまり目立たない。トップの左腕は右肩の高さかもっと上。ダウンスウィングの両手の軌道は中核(胴)を横切り、インパクトでグリップエンドは中核領域(胴)を指す(胴プレーン)。
このタイプのプロ:Adam Scott(アダム・スコット)、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)、Zach Johnson(ザック・ジョンスン)、Billy Horschel(ビリィ・ホーシェル)
③ 下核(腰プレーン)
アドレス時、ストゥールに浅く腰を掛けたような姿勢で上体と太腿が「〈 」の字のようになり、上体の前傾角度と太腿の角度(膝の曲げ具合)はほぼ同じである。
広めのスタンスが特徴。このタイプのゴルファーの重心は土踏まずの真ん中にある。この型のプレイヤーはアドレス時に先ず膝を緩めてから背骨を前傾させること。アドレス時の両手・腕は「逆K」(左手・腕が一直線)の形になる。三つの型の中で最も右肩の下げ方が著しい。このタイプのプレイヤーの腰の回転は最少限に抑制される。トップで左腕は右肩の高さ。ダウンスウィングでの手の通り道を作る腰の開きは、かなり顕著である。
ダウンスウィングの両手の軌道は下核(腰)を横切り(腰プレーン)、インパクトでグリップエンドは下核領域を指す。
このタイプのプロ:Ben Hogan(ベン・ホーガン)、Rory Macilroy(ロリィ・マカロイ)、Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)、Henrik Stenson(ヘンリク・ステンソン)、Paula Creamer(ポーラ・クリーマー)
もちろん、全てのゴルファーが上の三つのどれかに綺麗に当てはまるわけではなく、Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)などはアドレスは中核だが、スウィングのトップは上核気味、ダウンスウィングは下核風になるそうです。
以前「二つのプレーン」という記事(tips_90.html)を掲載しましたが、こちらのプレーンは三つに分類されるわけです。スタンスによって重心が変わり、それによってパワーの核となる部位(肩・胸か、胴か、腰か)も変わり、プレイヤーのポスチャーとスウィングも変わる…というのが、このEBookの趣旨です。スタンスと重心が先に立つ要素なので、Adam Scottのスウィングが好きだからとか、Paula Creamerが好きだから…ということで型を選ぶのは本末転倒です。
ここでライト博士からの返事のメールに戻ります。博士の"You will have 3 to 4 stance widths in your dominant core region."というのは、「あなたの主たる"core region"(原動力となる核領域)の中に三つか四つのスタンス幅を持ち得る」と訳せます。
私の場合、アドレスに関する限り上核でないことは確かですが、太腿の角度が上体より若干多い中核気味の下核という感じ。すると、下核(腰プレーン)の中で、さらに三つか四つのスタンス幅を持ち得るということになります。センチ刻みならそれもあり得るでしょうが、ラウンドで物差しを使うわけにもいきません。具体的にどういう意味なのか、再度ライト博士に質問していますが、そう何度も返事をくれるかどうか…。
ある日のラウンド、私は独断専行で、全てのショットのスタンスをパッティングと同じ広め(33.5センチ見当)にしてみました。その日の白眉は、80ヤード打ち上げのアプローチを、ギャップ・ウェッジでピン傍40センチにつけたショットでした。ウェッジでも広めのスタンスで問題ないようです(というか、抜群というか)。しばらく、この方式を試行してみようと思います。
(July 19, 2015)
●右手を伸ばしてスウィングせよ【ガッテン篇】「右手を伸ばしてスウィングせよ」(tips_155.html)というtipは、PGAツァーで最も安定しているプロSteve Stricker(スティーヴ・ストリッカー)が右手を伸ばしている…というだけで、インストラクターMichael Breed(マイケル・ブリード)はそれが何故、どういいのか、何ら理論的根拠を示しませんでした。また「体型別スウィング(テコ型の補遺)パート1」(tips_157.html)というtipで、「バックスウィングの間、右肘を浮かせよ」(右肘と右脇の間に“窓”を開けよ)という説を紹介しましたが、その記事もそれがどのように役立つかの説明はありませんでした。今回見つけたこの記事は、以上二つのテクニックがパワーを生む秘訣として説かれており、さらに具体的にどうすべきかまで触れられているというガッテンのtipです。
'Swing "width" power'
by Kevin Walker with Kathryn Maloney ('Golf Magazine,' March 1998)
「よく『遠くに飛ばすには右肘を右脇に引きつけろ』という助言を耳にするが、名人たちの誰一人そんなことはしていない!
パワーを得るにはバックスウィングで右肘を右脇から遠くに離すべきだ。なぜ?考えても御覧なさい。ここに二本の7番アイアンがあり、一本は標準の長さのシャフトがついており、他方は5番アイアンのシャフトがついているとしたら、長いシャフトの方がより多くの飛距離を生むに決まっている。長いシャフトはよりワイドなスウィング弧を作り出し、それゆえにクラブヘッド・スピードも増すからである。
同じ法則は右腕にも当てはまる。もし、右腕がバックスウィングで身体の右サイドにくっ付き続けると、スウィング弧は狭くなる。右腕が右サイドから離れてスウィングされればスウィング弧はワイドになり、さらなるクラブヘッド・スピードが生み出される。
バックスウィングを開始する際、次のように感じるべきだ。あなたのスタンス・ライン(両爪先を結んだ架空のライン)の腕一本分後方に立っている人に、握っているクラブのハンドル(グリップ部分)を渡すイメージ。これは右肘を即座に身体の右サイドから離す作用をする。【註】また、それが体重を右脚に掛けるのを容易にすることにも気づく筈だ。
【編註】この時、図の赤い部分のように右肘と身体の右脇の間に“窓”が開く。
単純に左肩を右足の上まで廻すことによって、バックスウィングを完了させよ。トップで右肘は身体の右サイドから遠く離れ、あなたは飛距離を増すパワー・ポジションを獲得する」
試してみました。後ろの人にハンドルを渡すというのは、何やらリレー走で第二走者にバトンを渡す感じですが、これ中々いいイメージで、実行し易い。「単純に左肩を右足の上まで廻せ」というのもシンプルでありがたい。このtipがあれば「先行捻転」は要らない感じです。
【参照】「右手を伸ばしてスウィングせよ」(tips_155.html)
(July 29, 2015)
●体型別スウィング・別ヴァージョン「体型別スウィング」(tips_54.html)に似通っていますが、異なる観点からの指摘が多々あり、どちらも読む価値があると思います。
'Identify your power source'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' June 1997)
「ゴルファーことごとくが、より多くの飛距離を得ようとする。だが、それぞれの体型は異なり、ある体型のものはスウィング弧を広げることが飛距離に繋がるが、腕の短い者は別な方法を見つけなくてはならない。そうした方法を探す第一歩は、各体型のパワー源を見極めることだ。
ゴルフ・スウィングのための主たるパワー源は、大きく三つに分類される。1) 上体の回転、2) 腕のスウィング、3) 手のアクション…の三つである。あなたの体格と柔軟性に応じて、三つのうちのどれかに集中すべきである。
1. 平均体型:上体の回転 平均体型のゴルファーは、スウィングの間に効果的に上体を回転させることによって、エクストラのパワーを得ることが出来る。だが、それは大きな回転という単純なものではない。体重がバックスウィングで右足の内側にしっかり乗っていると仮定すれば、大きな回転はとてもいいものなのだが、それでパワーが得られるという保証はない。 パワーはトルク(回転力)、すなわち上体が捩じられる動きから生じるものだ。トルクと、インパクトにかけてクラブヘッドのしなりとを生むには、肩と腰が独立して動かねばならない。ダウンスウィングの最初であなたが目的とすべきは、可能な限り腰と肩の間の分離を図ることだ。左腰が逆転しボールを通過しても、肩は出来る限り巻き上げられた状態のまま留まる。肩が長く捩られたままであればあるほど、腰と肩の分離が生じる。最終的に、耐えに耐えた肩が逆回転せざるを得なくなるまで緊張が高まると、肩はパワフルな鞭打ような動きで腕とクラブを引っ張り下ろす。【註】 【編註】これは、下半身主導のダウンスウィングがいかにパワフルになり得るかの、理想的解説と云えましょう。 2. 長身・スリム体型:腕によるワイドな弧 長い手足のゴルファーは、その長い腕によって生む出されるエクストラの遠心力の強みを活かすべきである。それはワイドな弧を作るためのセットアップで始めるべきである。 背中を真っ直ぐ伸ばして前傾し、顎は引きつけるのではなく持ち上げる。これは腕のスウィングと肩の回転を助ける。テイクアウェイについての想念は、ターゲットラインに沿ってストレートにクラブを引くというものであるべきだ。もしあなたが、バックスウィングの半ば(クラブシャフトがターゲットラインに平行になる時点)にフルに伸張状態を作り出せるなら、ワイドな弧をほぼ達成したと考えてよい。そこから、スウィングのトップへと腕を持ち上げ、手首は自然にコックされ肩は引き続き捻転を続ける。バックスウィングで両手と身体の間に空間を作り出すことが、ダウンスウィングで腕を振る余裕を与えてくれる。 |
3. 短躯・がっしり体型:手のアクション
腕が短く柔軟性が限られたゴルファーは、インパクトにかけてクラブヘッド・スピードを生み出すために巧みな手のアクションに頼らなくてはならない。大きな回転や大きな弧を魔法のように作り出す努力よりも、あなたの強みを最大限活かすべきである。グリップの微妙な設定が助けとなる。
先ず、アドレスで左手のナックルが三つ見えるようなストロング・グリップにし、スウィングの間の手首のコック、アンコックの自由度を高める。次に、グリップ圧に注目。クラブを軽く握れば握るほど、手の動きを活発に出来る。第三に、細めのハンドル(グリップ部分)を考慮すべし。フィンガーで握る方が、さらなる手のアクションを促すからだ」
今後はツァー・プロやインストラクターの言葉を鵜呑みにするのでなく、彼らの体型をよく観察し、自分の体型に似ている人の本や記事でなければ無視すべきだという気になりますね。それほど、体型次第でスウィング軌道やパワー源が異なるわけですから。
【参照】「体型別スウィング」(tips_54.html)
(July 29, 2015)
●常に刻むつもりで打てゴルフに腕力が必要なら、PGAツァーは重量挙げの元オリンピック選手たちで溢れ返っている筈です。しかし、そんな事実はありません。ボールを飛ばす秘訣は、身体の柔軟性の限度内で、節度を持ってエフォートレスにスウィングすることだ…というのが、インストラクターRick Martino(リック・マルティノ)の理論。
'Leverage = length'
by Rick Martino ('Golf Magazine,' January 2000)
「刻んだつもりなのに、意外に飛び過ぎて青ざめた…なんてことが何度あったことだろう。刻もうとする時は目一杯のパワーなぞ必要ないため、短くリラックスしたスウィングをするのが原因である。その結果、エフォートレスな速度とソリッドなコンタクトが実現するために最高のショットが生まれたりするのだ。
短いスウィングは、あなたの"maximum leverage point“(テコ作用の極限)、すなわちバランスを保ちつつグリップエンドが最もボールから遠ざかれる地点に近いトップとなる。あなたに刻むつもりのナイス・ショットが出来るなら、それを意図的に遂行することも可能である。“テコ作用の極限”で打つには、以下の三つが必須事項である。
1. 背骨の角度がアドレスのままトップまで維持されていること。
2. 肩はスウィングのトップで、ターゲットラインに対して90°に回転しなければならない。88°でもなく、95°でもなく、きっちり90°でなくてはならない。肩が90°の時にのみ、腕はボールへと直滑降する軌道を辿ることが出来る。【図はHale Irwin(ヘイル・アーウィン)】 90°以上や以下の回転をすると、腕は遠回りを強いられてしまう。90°以上や以下の回転をすると、腕は遠回りを強いられてしまう。
3. 右腕は手首をコックするために折られる時も、右肩との位置関係を維持しなくてはならない。それが達成されれば、スウィング軌道は正しいプレーンに沿って動く。
以上の三つのバックスウィングの基本は相互に関連し合っている。背骨がぐらつかなければ、肩は90°の回転を促され、右腕は右肩との位置関係を維持する。そうなれば、バックスウィングのトップはあなたの“テコ作用の極限”となるだろう。
この“テコ作用の極限”は快適でなくてはならず、身体に緊張を与えるものであってはならない。それには、肩がターゲットラインに対し90°ターンが容易に出来るようなアドレスをする必要がある。後に述べる指針によって、スウィングに最高のテコの作用を、ショットに最高の飛距離を生み出すセットアップと腕の位置を見つけてほしい。
・肩の90°回転を助ける方法
パワーと正確さの二つの組み合わせのためには、肩の捻転をターゲットラインに対して90°のところで停止させるべきである。これをチェックするには、ターゲットラインと平行にクラブを一本置き、別のクラブを両肩を横切るように沿わせ、交差させた両手で押さえる。身体を捻転し、地面のクラブに対し肩に沿わせたクラブを90°にする。あなたの柔軟性によっては、自動的に肩を90°のところで停止させるには、スタンスと腰をオープンにしたりクローズにしたりする必要があるかも知れない。
アドレスで身体のアライメントを調整した後、クラブフェースがなおもターゲットをスクウェアに狙っているかどうか確認すること。私の場合は、90°に達するのを助けるため、右足をターゲットラインから下げなくてはならない。
【編註】私の場合は右爪先を少し開かないと90°に出来ません。
・身体の柔軟性に合ったトップを決める方法
右腕と右肩との位置関係を保つバックスウィングのトップを見つけるには、胸の真ん前でクラブを持ち、上体を廻すことなく腕だけでクラブを右に動かし、胸の筋肉が強ばる手前で止める。その位置は、人の柔軟性によって異なる。私の場合だと、私の両手が右肩の真ん前に届いた時に胸が強ばるので、そこが私のバックスウィングの終点となる。その地点を過ぎてなお捻転を続けたら、アドレス時に作った背骨の角度を引っ張ってしまう。90°の肩の回転と不変の背骨の角度の組み合わせで、グリップエンドをボールから(コントロール可能な範囲内で)最大限遠く離すことが出来るのだ」
(August 05, 2015)
●RE/MAXロング・ドライヴ・チャンピオンの秘訣RE/MAX世界ロング・ドライヴ選手権に三度も優勝したSean Fister(ショーン・フィスター)が公開する飛ばしの秘訣五箇条。
'Learn from the long drivers'
edited by Warren Keating and David Denunzio ('Golf TIPS,' May 2002)
「1. ソフトなグリップ
スウィングはハードにすべきだが、グリップはソフトであるべきだ。緊張していないグリップは手首のよいスナップ(ぴしっという動き)を生む。
2. スクウェアな肩
ターゲット・ラインにスクウェアに肩を揃えることが成功のための最重要事項だ。ややクローズにするのも悪い考えではなく、それはインサイドからのスウィングを容易にしてくれる。
3. ゆっくり、そして低く
テイクアウェイでボールからクラブヘッドを意図的にゆっくり動かし、地面に近く低く保つ。これはバックスウィングのトップで利用可能な全てのエネルギーをかき集める助けとなる。
4. 背骨の傾斜
いったん、アドレスが完了したら、私は一つの最終調整を行う。背骨をターゲットから遠ざかるように傾げ、その結果右肩を左より下げるのだ。これがパワー充分なスウィングの基盤をセットする。
5. 後方に留まれ
アドレスで、私は左耳にボール位置を定める。ダウンスウィングで、もし左耳がボールの前方に動いたら、私はトラブルに陥る。頭を後方に留めることが、ボールを上昇気味に打つことを容易にしてくれる」
【参考】「ロング・ドライヴ・チャンプの秘密」(tips_49.html)
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(August 09, 2015)
●RE/MAX女性チャンピオンのロング・ドライヴ'First lady of the long drive'
by Lisa Kilborn ('Golf Magazine,' April 2001)
「2000年10月のRE/MAX世界ロング・ドライヴ選手権で、初めて女性たちが飛距離を競った。風速11メートルの向かい風、摂氏7°の風速冷却というタフな状況下で、ゴルフを始めて三年目のカリフォーニア州出身Stacey Shinnick(ステイシー・シニック、33歳)が249ヤード(男性は316ヤード弱)の飛距離で初代女王となった。以下は彼女との一問一答。 Q:249ヤードで優勝出来ると考えていた? Q:あなたの最長記録は? Q:パワーの秘密は? |
Q:あなたのボールが男性たちを追い越すと、彼らの反応は?
A:大体において驚くわね。私はティー・グラウンドでJason Zuback(ジェイスン・ズバック、過去のRE/MAX世界ロング・ドライヴ・チャンピオン)のようなスウィングをしない。人々は私を見て『スムーズで古典的なスウィングだ』と云う。彼らはフェアウェイを歩き始めるまで、私の飛距離に気づかない。フェアウェイの最初のボールに到達した時、【編註:当然それが彼女のボールだと思ったのに、そうではないと知り】『どんなボールを使ってるの?』と聞く。最初の数ホールを終えると、彼らは私を追い越そうと躍起になる。そして、『私の伯父さんに会ってほしい。彼はこんなこと信じないだろうから』とか云うの。
Q:もう赤ティーからはプレイしない?
A:私は男性のレギュラー・ティーでプレイしてる。いまのところ、バック・ティーに行くことは考えてないわ」
彼女は2002年と2005年にも優勝し、Sean Fister同様三勝を挙げています。
【参考】
・https://www.youtube.com/watch?v=5FffsnEpTYY [2000年のヴィデオ](1'32")
・https://www.youtube.com/watch?v=vI9IDrE46UU [2002年のヴィデオ](0'31")
・https://www.youtube.com/watch?v=nxRcniVgwkM [2005年のヴィデオ](0'55")
(August 09, 2015)
●世界パッティング選手権チャンピオンの技法1996年にインストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)の肝入りで開催されたWorld Putting Championship(世界パッティング選手権)は、$250,000の賞金を得るべくアマ(11歳から67歳までの男女、シニア、ジュニア)そしてプロ、合計17万人が参加して行われ、PGAツァー・プロLen Mattiace(レン・マティース、当時29歳)が優勝しました。彼は'Golf Magazine'誌に二度にわたって寄稿していますが、それぞれから目新しい部分だけ抜き出してみます。
'And the world's best putter is…' 「・アドレス 私は両手を肩から垂らす。これは、テイクアウェイからインパクトまで、パターフェースをカップに対し終始スクウェアに保つ助けとなってくれる。私のパターは34インチのOdyssey Rossie IIで、4°のロフトがある。このパターは結構アップライトなライ角なので、両手を肩の下に垂らすのに好都合である。 パターを右手に持ち、パターフェースをラインにスクウェアに正しくセットした後、両足、両膝、腰、肩をラインに平行に揃える。 私は左腕をぶらぶらさせて緊張を取り除き、それからハンドルを握る。私のグリップは『リヴァース・オーヴァラップ』である。 正面から見た場合、私の両手はボールの真上にある。 ・バックストローク 私は両手と肩で構成される三角形を保ちながら、地面に沿うように低くパターを動かす。 ・インパクト 私はパット名人たち、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)同様ボールの赤道の上を打つ。かつて私は自覚せずに赤道の下を打っていたのだが、それはバックスピンを生んでいた。コーチJim McLean(ジム・マクレイン)のレッスンでパット名人たちのヴィデオを見た後、私はボール位置をスタンス前方(左足踵の内側)に移すことにした。この位置は丁度パターヘッドがストローク弧の最低点を過ぎて上昇する時点でボールと接触することになり、私はオーヴァースピンでボールを転がせるようになって、ボールがぴょんとジャンプするような現象はなくなった」 |
・インパクト
私はパット名人たち、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)同様ボールの赤道の上を打つ。かつて私は自覚せずに赤道の下を打っていたのだが、それはバックスピンを生んでいた。コーチJim McLean(ジム・マクレイン)のレッスンでパット名人たちのヴィデオを見た後、私はボール位置をスタンス前方(左足踵の内側)に移すことにした。この位置は丁度パターヘッドがストローク弧の最低点を過ぎて上昇する時点でボールと接触することになり、私はオーヴァースピンでボールを転がせるようになって、ボールがぴょんとジャンプするような現象はなくなった」
'Turnaround to the top'
by Len Mattiace with Lorin Anderson ('Golf Magazine,' December 1997)
「・本の間でストローク練習
パターヘッドが通り抜けられるだけの隙間を作って数冊の本か箱を並べる。毎日少なくとも50回はその隙間でストロークする。すぐにあなたはストレート・ストロークの動作をマスル・メモリに植えつけることが出来る。本の縁の直線は、完璧なアライメントをも植えつけてくれる。
・加速する練習
過去の長い間、私は長いバックストロークをし、インパクトにかけて減速し、インパクト直後にパターを停止させるというストロークをしていた。インパクトでパターヘッドの動きが遅くなると、フェースが捩れてオフ・センターでボールを打ちがちになる。だが、パターヘッドの動く速度を維持すれば、ラインに沿う動きを継続出来る。減速するミスを排除するには、パターヘッドはターゲットに向かうボールを追跡すべきである」
(August 09, 2015)
●「右手を伸ばしてスウィング」の原点「右腕を伸ばしてスウィングせよ」(tips_155.html)という理論は、私にとってはThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)でインストラクターMichael Breed(マイケル・ブリード)が口にした短い発言を聞いたのが最初で、後にゴルフ仲間で私のグールーでもあるJack Rushing(ジャック・ラッシング)からも同じことを教えられ、以後ずっと実践しているものです。
先月、インストラクターKevin Walker(ケヴィン・ウォーカー)による「右腕を伸ばしてスウィングせよ【ガッテン篇】」という記事を紹介しました。それは、ターゲットライン後方に立っている人にクラブのハンドルを渡すイメージでテイクアウェイせよというものでした。
そのKevin Walkerの記事の十年前に、インストラクターDavis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世、ラヴ三世の父)がBob Toski(ボブ・トスキ)との共著で同趣旨のことを書いているのを見つけました。
'How to Feel a Real Golf Swing'
by Bob Toski and Davis Love, Jr. with Robert Carney (Random House, 1988)
「テイクアウェイでは、あなたのすぐ右横に立っている人と握手する感覚を持つべきだ。これは最少限の前腕の回転である」
2000年の'Golf Magazine'誌は、同誌選定トップ100インストラクターたちが過去150年の出版物から選んだ25のtipを特集していて、上のDavis Love, Jr.の「右横の人との握手」もその一つに入っています。さらに、このtipについてThe Golf Channel講師のMartin Hall(マーティン・ホール)による次のような解説も付け加えられています。
'Timeless Tips'
edited by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' January 2000)
「私(マーティン・ホール)がこのDavis Love, Jr.のtipを好む理由は二つある。
1) ボールから離れ始める時、このtipはクラブヘッドを正しいプレーンに乗せてくれる。 2) このtipは、テイクアウェイでクラブフェースとシャフトが正しい量の回転をすることを促すが、それは最大限のクラブヘッドスピードに不可欠なものである。
ゴルフ・スウィングでは、両手が水平(あるいは腰の下)の時点で前腕のフル回転が望ましい。上のtipの握手のイメージは、両手が腰の位置(あるいは、その下)の時に、その回転を完了させることを促進し、スウィングするにつれプレーンに沿ってクラブを回転させる。週一ゴルファーは、テイクアウェイでクラブシャフトをラインから逸らして捩りがちである。それでは右手は空を向いてしまい、誰かと握手することなど出来なくなってしまう。その結果、クラブフェースは急速にオープンになり、スウィングのトップで図のBのレイド・オフの状態になる。これはスライスになりがちなだけでなく、飛距離不足と右や左(概ね右)にプレーンを傾斜させてしまい、クラブヘッド・スピードとソリッドなコンタクトを生むことを困難にする」
(August 12, 2015)
●ワイドなスウィング弧を作れ「右手を伸ばしてスウィングせよ」(tips_155.html)および「右手を伸ばしてスウィングせよ【ガッテン篇】」(このページ上)と続いて来た研究ですが、以下の記事によってダウンスウィングでもスウィング弧を広げる必要性に目覚めさせられました。
'Extend both way for a wide arc'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2000)
「誰しもクラブヘッド・スピードと飛距離を増したいと願っているが、ではどうすべきなのかはほとんど知られていない。"extension"(伸張、拡張、延長)という言葉は聞いたことがあるだろうし、それは多くの場合長いバックスウィングが必要であることとして語られる。だが、本当にクラブヘッド・スピードを上げたいなら、スウィング弧はスウィングする間終始ワイドでなくてはならない。
・ワイドな弧の基礎
ワイドな弧のためには、いいアドレスとソリッドなポスチャーが必要である。股関節で身体を曲げ、背骨を真っ直ぐにし、それによって両腕を肩から垂らす。もし、アドレスで両腕が身体に近過ぎると、スウィングの間(特にインパクト)で弧を伸ばすことが出来なくなってしまう。
・テイクアウェイでの伸張
もしあなたが次の助言をちっとばかし古臭いと思うにしても、今回は真剣に受け止めてほしい。ソリッドなアドレスから、ワンピース・テイクウェイ(手・腕・肩が一体となって動く)をする。 誰かがあなたのターゲットライン後方1メートルにいると想像し、彼の手にクラブヘッドを差し出すように腕を伸ばす。全てワンピースで動くことを忘れてはいけない。
(テイクアウェイ動作を腕と肩に任せ)手を独立して動かすのを遅らせれば遅らせるほど、腕はさらに伸びる。だから、クラブが腰の高さに達するまで両手の活動を抑えつけること。
・インパクト前後での伸張
野球のバッターあるいはサーヴするテニス選手のように、ゴルファーもインパクトで最大のパワーを発揮すべく両腕をフルに伸ばさなくてはならない。これを促進するため、インパクト後もクラブヘッドがターゲットラインに沿って出来る限り長く動くように専念する。(右肘を折って、クラブを自分の方に引きつけるのでなく)クラブヘッドを身体から離せば離すほど、より伸張が可能になる。
この伸張を実感するには、ドライヴァーで腰の高さまでのバックスウィング、腰の高さまでのダウンスウィングを連続して行う。それは鏡像のように左右対称であるべきで、両腕は常に(強ばらずに)充分伸ばされていなくてはならない。いったんこのフィーリングを体得したら、次第に振りを大きくし、最後にフル・スウィングを行う」
次は女性インストラクターRina Ritson(リナ・リットスン)の解説。
'Go wide'
by Rina Ritson with Hunki Yun ('Golf Magazine,' June 2001)
「大抵のアマチュアは飛距離増を望んでハードにスウィングするが、すぐにそれは効き目がないことを学習する。彼らは、エクストラの飛距離に必要な鍵は、可能な限りワイドなスウィング弧であることに気づくべきである。それには、両手を不活発にしたまま肩のフル回転をすると考えることだ。
テイクアウェイの段階での過度の手のアクションは、バックスウィングにおける時期尚早なコックに繋がり、スウィング弧を狭め、クラブヘッド・スピードを減じてしまう。早期のコックはまた、ボールから遠ざかるスウィングというより、上昇する動きによってタイミングを崩壊させる。いったんこうなると、肩は回転をやめてしまう。
だから、手のことは忘れてワイドな弧を作り出す肩の動きに焦点を合わせるべきだ。肩が回転しながら両手を押してボールから遠ざけると考える。手と手首を不活発にさせ続け、それらが身体から離れて自由行動をしないようにする。これが正しく行われれば、身体、手、そしてクラブは同じ方向に一体となって動く。 あなたの回転は完全でパワフルな筈だ。
コックについて心配することはない。肩が手とクラブを正しいトップの位置に導けば、クラブの重さへの自然の反応として手首はコックする。その素晴らしいトップの位置から、余計な努力をすることなく、ダウンスウィングへとパワーを注ぎ込むことが可能になる」
(August 12, 2015)
●ワンピース・テイクアウェイの問題点上の記事を読んで、数ラウンドほどワンピース・テイクアウェイを試しました。パー3では役に立ちましたが、他のティー・ショットではムラがあり、方向も定かでなく、距離も出ませんでした。
ワンピース・テイクアウェイに問題点があるというわけではなく、ワンピース・テイクアウェイがどういう体型のゴルファーに適用されるべきかが問題のようです。以下の記事によって「体型別スウィング」の分類の「テコ型」(中肉中背)である私はがっくりしました。
'Which way?'
by Kevin Walker ('Golf Magazine,' March 2002)
「ゴルフ・インストラクションには、時として同じテーマに矛盾した助言のように思われるものが存在し、どちらが正しいのか長年にわたる議論が展開したりする。例えば、ボール位置を一定にすべきなのか、あるいはクラブ毎に変えるべきなのか。パットするようにチップすべきなのか、あるいは手首を曲げてチップすべきなのか等々。真実は、(これまで誰も認めるのを避けて通って来た後ろめたい秘密なのだが)ある程度どれも正しいのだ。ゴルフ雑誌としては万人を助けたいのだが、ゴルフ・インストラクションが万人向けであることは稀である。それは状況、個人の技倆、体型などに基づいて個別化されるべきなのだ。あなたの友達には素晴らしく役立つインストラクションが、あなたにシャンクさせてしまったりするのは、そういう理由からである。誰にとって(Who)、どのように(How)、そして何故(Why)役立つのかを特集した。ここに矛盾は解消され、あなたの上達への明確な指針となる筈である。
【バックスウィング】早期コックか、ワンピース・テイクアウェイか?
・早期コック
Who:上体が強靭でないプレイヤー(特に女性)。
How:テイクアウェイの間に手首をコックする。ゆえに、左腕が時計の文字盤の9時に達するまでには腕とクラブは"L"の字の形になって、コックは完了している。グリップエンドはボール=ターゲットラインと両足の間を指している。そこから、クラブ・腕・身体は一体となってトップへ向かい、スムーズで落ち着いた切り返しを可能にする。
Why:この動きはスウィングにテコの作用を加え、体力がなくとも遠くへ打てるようにする。
・ワンピース・テイクアウェイ
Who:強靭なプレイヤー。
How:バックスウィングで、肩と両腕が形成する三角形を出来るだけ長く維持する。それはワイドなスウィング弧を生む。手首はバックスウィングが半分以上進行するまでコックを始めない。そして、ダウンスウィング開始までコックを完了せず、実際にはダウンスウィングの間にコックの度を増す結果となる。
Why:このテイクアウェイは大きな肩のターンとクラブヘッド・スピードの増加を生じる。だが、これには上体の強靭さと、ラグ(=レイト・アンコック)とインパクトでなおもクラブフェースをスクウェアにするためのタイミングが必要である。
私は平均体型…というか、痩せ気味で胸の厚みなどありません。ですから、インストラクターKevin Walker(ケヴィン・ウォーカー)の上の記事によれば、私の体型にはワンピース・テイクアウェイは向いていないことになるのです。
私がスウィングの拠り所としている「体型別スウィング」の原著'The LAWs of the Golf Swing'(1998)に、三つの体型それぞれのスウィングの要所要所の一覧表があり、その一部は次のようになっています。
テコ型 (平均体型) | 円弧 (長身・スリム体型) | 幅広型 (短躯・がっしり体型) |
|
---|---|---|---|
狙い | |||
ボール位置 | |||
テイクアウェイ | |||
手首のコック | |||
もう一人私が信頼しているインストラクターJimmy Ballard(ジミィ・バラード)も、'How to Perfect Your Golf Swing'(1981)という本でワンピース・スウィング理論を批判しています。つまり、私にワンピース・テイクアウェイが向いていないのは確実と云っていいようです。ワンピース・テイクアウェイを推奨するインストラクターは多く、いかにも教科書的だし、一般ゴルファー誰しもが信じ切るのではないでしょうか。しかし、御覧のようにワンピース・テイクアウェイは万人向けという訳ではないようです。
【参考】
・「Jimmy Ballardメソッド ⑤《三角形とセンターを保て》」(tips_151.html)
・「ワンピース・テイクアウェイへの鎮魂歌」(tips_165.html)
(August 12, 2015、増補December 18, 2016)
2015年のthe Masters(マスターズ)とU.S.オープンの優勝者Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)のパッティング練習法。彼の云う“フォース”は映画'Star Wars'『スターウォーズ』とは無関係で、単に“強さ”という意味です。 'Use the force' 「あなたが全てのパー4でパーオンさせられないと仮定すると、スコアをまとめるにはパットが上手くなくてはならない。そこで『フォースのコントロール』の出番である。それは、正しい強さでパットするための心のトレーニングを意味する。 あなたは、私がトーナメントの短いパットに際し、カップを見ながらパットすることに気づいているかも知れない。それは私のラインと強さのコントロールを助けてくれる方法だ。だが、ボールを見るかカップを見るかに関わりなく、ボールをカップに到達させるには、どれだけのフォースが必要かを知らねばならない。 ラウンド前に1メートルのパットを練習するとか、ストローク動作について考えるのは時間の無駄である。代わりに5メートルの距離を様々な強さで打ちなさい。最初のパットは手前の縁にかろうじて届くように、次のパットはカップを通過して止まる強さ、そして最後のパットは以上の中間。 |
この微妙な距離の調節に10分かければ、ラウンドする時に強さを確定出来るようになる」
(August 16, 2015)
●君よ、ターゲット・イメージを鮮明に抱けPGAインストラクターでありスポーツ心理学者でもあるDavid Write, Ph. D.(デイヴィッド・ライト博士)がツァー・プロを指導して成功している練習法。
'Mind Under Par'
by David Write, Ph. D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)
ライト博士の説明の前に、いかにこのメソッドが効果を上げているか、生徒であるツァー・プロたちの言葉を聞いてみましょう。先ず、オーストラリア・オープンに二度優勝したPGAツァーのPatrick Burke(パトリック・バーク、米国、1962〜)から。
「最初に練習場に行った日、ライト博士は私に十個ずつボールを打たせ、それぞれの出来映えを私自身に1〜10(最低〜最高)段階で評価させ、同時にそのショットをどの程度クリアに視覚化して打ったかも十段階で評価させた。
十個のボールをワン・セットとして、以上を六回繰り返した。最後の十個のボールを打つ頃に私がやっていたことは、自分が放ちたいショットを思い描き、スウィングの間じゅうそのショットを視覚化することだった。その結果は驚くべきものだった。ライト博士が私に、その十個を打った時の"swing thought"(スウィング・キー)は何だったか尋ねたが、私は空ろな顔でそこに立っていただけで、スウィングをするというよりゴルフのプレイの仕方を再学習し始めたことを実感していたのだった」
次はPGAツァー等で七勝を挙げたDennis Paulson(デニス・ポールソン、米国、1962〜)。
「ライト博士と初めて練習場へ行った結果は信じられないものだった。彼は私にスウィングを忘れさせ、自分が打ちたいショットを思い描く境地に引き戻した。人は先ず心の中でショットを造形しない限り、打ちたいと願うショットを打つことは出来ないのだ」
ここからライト博士の説明です。
「ボールを打った後、毎回あなたのターゲットのイメージを保持する。そのターゲットのイメージの明確さを1〜10(最低〜最高)段階で査定する。この練習を始める際、チッピングやピッチングのような短いショットから始める。この練習法に慣れたら、長いショットに移行する。スウィングの間じゅうターゲットのイメージを抱くのが大変なら、ボールの飛行や着地のイメージでもよい。
次の例はLPGAツァー19勝を遂げたSandra Palmer(サンドラ・パーマー、1943〜)が、5番アイアンで毎ショット異なるターゲットを目標に打った時のものである。最初の欄はショットの質の評価、次の数字はターゲット・イメージの明確さの評価。ショットの質とイメージの明確さの相関関係に注目してほしい。上質のショットは、クリアなターゲット・イメージを抱けた時に達成され、低質のショットは貧弱なターゲット・イメージとペアになっている。
ショット | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
評価 | ||||||||||
明確さ |
次の例はLPGAツァーその他で八勝を挙げているLaurie Rinker-Graham(ロウリィ・リンカー=グレアム、1962〜)が、28フィート(約8.5メートル)のチッピングを練習した時のものだ。最後の欄の「残り距離」はピンまでどれだけ寄せたかをメートルで示し、「0」はチップインを意味する(彼女は5番目のチッピングをカップインさせている)。7番目と10番目のチッピングで、彼女のターゲット・イメージは明確でなかったため、長い距離を残している。(3番目のチッピングを例外として)イメージが明確であればあるほど、ボールはカップに近づいている」
ショット | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
評価 | ||||||||||
明確さ | ||||||||||
残り距離 (m) |
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(August 16, 2015)
●切り返しの研究切り返し(バックスウィングからダウンスウィングへの方向転換)については、われわれはほぼ無我夢中であり、実は何をどうしたらいいのか、何が起るべきなのか、よく知らないと云ってもいいのではないでしょうか。二人のインストラクターによる、二つのtipsが理想の切り返しを助けてくれます。先ずはインストラクターKevin Walker(ケヴィン・ウォーカー)の重力利用のダウンスウィング。
'Free fallin''
by Kevin Walker with Dave Allen ('Golf Magazine,' October 2000)
「多くのハイハンデのゴルファーは、切り返しの時点でどう感じるべきか見当もつかないと云っていいだろう。彼らはトップに達するや否やアクセル・ペダルを目一杯踏み込み、インパクト前に可能な限りのクラブヘッド・スピードを生み出そうとする。この余計な力はクラブヘッドを当初の軌道から脱線させ、ボールとの弱々しく不安定なコンタクトに繋がる結果となる。
切り返しは自然にスムーズに起るべきである。重力の作用が既にあるのだから、クラブに余計な力を与える必要はないのだ。正しい切り返しは、インパクトへと段階的に増して行くスピードを伴った正しく連続する身体の動きに過ぎない。それは信号が赤から青に変わった時に、車をゆっくり発進させ、段階的に望ましいスピードに上げて行くのと同じことだ。
・ダウンの最初の動き
全てのツァー・プレイヤーに一般的に共通する一点は、ダウンの最初の動きは下半身によって始められるというものだ。【図はFred Couples(フレッド・カプルズ)】 ハイハンデの者のように肩や手や腕で開始されるのではなく、後方の回転軸(右脚)から前方の回転軸(左脚)への横への動きで始まる。
トップでの体重は右足・右脚に充分に乗っているべきである。そこからの最初の動きは、右の回転軸から左の回転軸への横移動である。それにつれて腕が落下し始め、腰と肩が逆転を開始し、腕とクラブが身体を通過してフィニッシュへと向かうのを助ける。いったんこの回転軸の移動と腕の落下が始まると、プレイヤーはスピードアップすることが出来る。
ハイハンデの者は、正しい『横移動→回転→ヒット』という一連の順序を、ほぼ正反対に行う。彼らは先ず肩を回転させ、体重を左サイドに乗せる前にボールを打ち、フォロースルーになってから体重を左に移す。これはかっこよいフィニッシュに見せかけようというものだが、ボールを騙すことは出来ない。
・落下させるドリル
正しい切り返しは大部分重力の作用である。それは自由な落下であり、飛行機の急降下に似ている。
クラブをトップまで振り上げ、クラブを地面に落下させる。手・腕をリラックスさせ、力を加えるのではなく腕の重さがクラブを引っ張るにまかせる。腕が落下するにつれ、体重は自然に左サイドに移る。このクラブの自由な落下をもう二回繰り返し、最後の落下でフィニッシュまで振り抜く」
次はインストラクターCraig Shankland(クレイグ・シャンクランド)による、音楽利用の切り返し。
'One-tip wonder'
by Craig Shankland with Peter Morrice ('Golf Magazine,' December 2000)
「ゴルフで最も困難な動作と云えば、切り返しであろう。ゴルファーは腕か上体かによってクラブを力で引き下ろそうという衝動を持っている。実際のところ、多くのゴルファーはバックスウィングは超スローに、だがダウンスウィングはスピードの大爆発であるべきだと思っており、それはトップからの暴力的動きを保証付きのものにする。
本当のところは、スウィングにはスタートからフィニッシュまでリズムが必要なのである。リズムの維持と、そしてトップでのスムーズな切り返しを確実にする方法は、スウィングの間じゅう何かの曲をハミングすることだ。あなたの目標は音程と音の強さを、ダウンスウィングの勢いが次第に早まるまで一定に保つこと。もし音がダウンスウィングの開始に当たって急に変わったら、あなたはあまりにも早くエネルギーを浪費していることになる。身体を自然に逆転させ、クラブの自然な加速があなたのハミングを加速させるがままにせよ。
スムーズな切り返しが、クラブをインサイドに落下させ、ボールに向かってのパワフルなインサイド・アウトの接近を可能にする。トップからの早期の急な動きは、クラブを身体から遠ざけ、アウトサイド・インの軌道とプルやプル・スライスの原因となる」
(August 19, 2015)
●パットの距離感向上のために元検眼医で、現在パッティング・コーチとなっているCraig L. Farnsworth, O.D.(クレイグ・L・ファーンズワース博士)による、視力検査法と距離感を脳と手双方に植えつける方法。
'Give yourself an eye exam'
by Craig L. Farnsworth, O.D. ('Golf Magazine,' May 2015)
「グリーンの読みについて語る時、われわれは距離よりもブレイクに焦点を当てる傾向がある。なぜなら、ゴルファーたちは距離の方が傾斜よりも簡単に判断出来ると考えるからだ。検眼医でありスポーツの視力専門家として、私はそれが当を得ていないことを知っている。私がコーチしている多くのゴルファーたちは『視界深度認識欠乏症』とでも呼ぶべき症状によって、カップの位置が実際より近いと知覚しがちである。
あるケースで知覚エラーは25%に及び、その意味するところは25フィート(約7.6メートル)の距離をたった20フィート(約6メートル)として見てしまうというものだ。この5フィート(1.5メートル)の誤った判断は高くつく。
生徒の初めてのレッスンの際、私が確認することの一つはこの深刻な問題に罹っていないかどうかだ。それはシミ、そばかすと同じように一般的なもので、ちゃんと治療しないと治らなくなるからだ。
・視界深度認識テスト
1. 少なくとも6メートルは離れた地面にターゲット(例:旗竿の根元)を選定する。そのターゲットを心の目に焼き付ける。
2. 目を閉じ、身体を静止させ、両方の手を上げて双方の人差し指でターゲットがあると思われる場所を指差す。
3. 目を開け、本当のターゲットと自分の指先が指している位置関係を確認する。
あなたがこの視界深度認識テストを受けた大多数の人々と同じなら、ターゲットの凄く手前の地点を指差した筈だ。それはあなたの運動神経系に誤った距離の情報をインプットしてしまう。あなたは実際のカップの代わりに幻影に向かってパットすることになる。それは視覚的な軽微な傷であるが、その影響はあなたの読みとスコアに大被害をもたらす。
上のような視界深度認識欠乏症への対策を考案した。これを服用すれば素早く簡単に症状を軽減出来る。
・結果を見積もる
1. ラインの横(註)から距離を判断する
これはパット全体の長さについてよい認識を与えてくれる。その位置から心の目でボールの転がりを追う。こうすると、ボールの後ろから見た時より、ずっと距離が長いことに気づく筈だ。その長さを記憶し、ボールに戻って読みを完結させる。
【編註】傾斜しているグリーンの場合、これは低い側のライン横から行うべきです。「Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)の読み方の手順」(tips_159.html)参照。
2. パターで全行程をリハーサルせよ
ラインの中程の横に立ち、先ず地形と距離を分析する。手に持ったパターヘッドでボールを指し、次いでカップに向かうイメージ上のラインに沿って、ボールを実際に転がしたい強さでパターを動かす。終点で想像上のボールがカップインした瞬間パターの先もカップを指すように。ボールからカップへと正しい速度で目とパターヘッドを動かせば、それは脳にとって本番の際に正確なエネルギー量で腕とパターを動かすリハーサルとなる。あなたはこれを単純にラインを目で走査しながら行うのだが、研究結果によれば目と両手を同時に用いることは、単に目だけを用いる場合よりずっと脳の遂行能力を高めることが実証されている。本番ではリハーサルと同じ速度でパターを動かす。
私の生徒たちが初めてこのドリルを行う際、彼らは常に早い速度による間違いを犯す。例えば50フィート(15メートル)のパットを2秒でシミュレートしてしまったりする。平らな地形で適切に打たれた場合、実際にはその距離のパットには5秒必要なのに…。急いではいけない」
【おことわり】この記事には、同じ筆者ほかの共著'The Best Putting Instruction Ever!'(Time Home Entertainment, 2010)の中の説明を加味して編集しました。
上の視界深度認識テストは面白い趣向で、私は何度やっても合格しませんでした。平らな場所でやっても合格しないのですから、勾配のある場所だったらなおさら難しいでしょう。われわれのショートし易い傾向の原因は、こんなところに潜んでいるのかも知れません。
(August 23, 2015)
●回転ではなく、捻転せよインストラクターDavid Glenz(デイヴィッド・グレンツ)は、"Turn"(ターン、回転)と捻転の違いに注意を喚起します。
'Stretch run'
by David Glenz with Greg Midland ('Golf Magazine,' February 2001)
「ロングヒッターたちに共通する特徴は、バックスウィングで背・胸・肩の筋肉がストレッチされ、しっかりした下半身に対して抵抗することだ。この上半身と下半身の差が、パワフルなティー・ショットの真の源泉である。嬉しいことに、ゴルフの最も誤解されている動きである『回転』を脱却すれば、バックスウィングでクラブが水平に達しないあなたでもこのストレッチを実現出来るのだ。
嘘ではない。私の助言は回転を忘れよというものだ。何故なら、回転はあなたのティー・ショットの飛距離に事実上なにも上乗せしないからだ。はっきり云えば、あなたが柔軟性を欠き、回転するために下半身も廻すとしたら、【編註:捩れのない】回転はパワフルなストレッチの敵である。そうではなくストレッチに集中すべきだ。
正しく上体の筋肉をストレッチするには、下半身がぐらつかないソリッドな基盤でなければならない。そのためには、左踵を地面につけたまま、バックスウィングで腰の旋回軸を快適な場所に位置させなければならない。左踵を上げると、腰が自然な位置を越えてしまう。
・先ず捻転せよ
バックスウィングで肩が適切にストレッチするとコイル(螺旋)状になり、捩られたゴム・バンドのように緊張を呈する。逆に、腰がクラブと一緒にターゲットラインの反対側を向くようなバックスウィングは、回転ではあっても全く捻転しておらず、左サイドのフル・ストレッチと抵抗の構築に失敗している。
・そして緊張を解け
次の動きは、バックスウィングで捻転した筋肉の緊張の解放である。この反発は飛距離増に必要なクラブヘッド・スピードの追加を生み出す。これには充分な高いフォロースルーを求めて、身体の周りからターゲットラインの内側へと逆転しようと考えることが望ましい。あなたは、対応する右サイドの筋肉がフィニッシュでフルにストレッチするのを感じる筈だ」
(August 30, 2015)
●シニア向けの最大コック・グリップ'Cheat for power'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' September 2002)
「ドライヴァーの威力が薄れて来たと思ったら、手首の最大のコックに焦点を合わせるべきだ。ダウンスウィングにおけるアンコックは、スウィングに最高のスピードを与えてくれる。
典型的なグリップは、バックスウィングのトップで左手の親指がクラブシャフトの下側に位置し、突っかい棒の役をするのだが、それは同時にコックの邪魔をする。インストラクターBob Baitt(ボブ・バイット)は、この問題点を克服するグリップを開発した。手首を爆発させるこのグリップには、次のような微調整をする。
右手の小指を左の人差し指と絡める通常のインターロッキング・グリップをする。そして、左の親指をハンドルの上から外し、右小指と左中指の間に置く。
【編註】原文は解りにくい説明になっていますが、左親指は完全に右手の下でハンドルを握るわけです。これはインターロックとベースボール・グリップをミックスしたような感じ。
インターロックしているのでコントロールに問題はなく、左親指の配置によって手首に最大のコックが得られる。これによって失った飛距離を取り戻そう」
やってみました。ここ20年ほどヴァードン・グリップで通して来た私ですが、ゴルフ入門時はJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の影響でインターロックだったので、抵抗はありません。確かにコックは最大限に可能です。しかし、私の場合、左親指と人差し指の股が緩みがちになることがあり、そうなるとテコの作用が弱くなり、方向性が乱れもします。手が強くしっかりしたゴルファーにはいいかも知れません。
(August 30, 2015)
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