Golf Tips Vol. 160

集中の神経メカニズム

この記事の筆者Dr. David F. Wright(デイヴィッド・F・ライト博士)はスポーツ心理学者であり、PGAツァーのインストラクターでもあります。

'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph.D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)

「脳幹には、神経科学者が"waking brain"(覚醒している脳)と呼ぶシステムがある。それは知覚情報を脳に送り届けるシステムで、自覚的思考を作り上げるコンテンツを選び出す。われわれはこの取捨選択された焦点を『集中』と呼ぶ。

ゴルフコースで望ましい集中は、多くの人がお好みの本を読んでいる際に到達する境地と同じものだ。本の内容に完全に焦点を合わせているあなたは、あなたの周りで何が起ろうとも何も見たり聞いたりしない。あなたのメンタルなフィルターは、本以外のコンテンツが自覚的認識のレヴェルに達するのを阻む役目をする。

[brain]

一般のゴルファーは、われわれが学校の面白くもない課題を学習した時のようにプレイする。すなわち、一章や数ページを読むことは読むのだがどんなコンテンツだったか思い返すことも出来ない。われわれのメンタルなフィルターは、学ぼうと試みているコンテンツを遮断し、あらゆる本質的でないコンテンツ【周囲の音や会話や匂いなど】を自覚的認識に送り届けてしまう。それと同じように、多くのゴルファーは心ここにあらずという状態でショットを放っているのだ。

偉大なプレイヤーたちがベストのプレイをする時のことを『ゾーン』と呼ぶのは、大体において集中作用のことだと私は考える。しかし、人の集中する能力は、互いに作用し合う数多くの異なる不確定要素によって決まる。その不確定要素の多くは、最終的に脳の上層と影響し合う集中の脳幹の内外で連結する。

われわれが興奮する時、身体は行動の準備態勢に入り、集中の取捨選択センターのために働く脳幹の一部に活動の加速が見られる。身体の動員命令(あるいは警報)は、脳の上層によって作り出される“危険信号”である。このプロセスは、脳幹のフィルターを通して神経システムに入る情報で始まる。

興奮状態にある場合、この取捨選択システムは自覚的思考のための情報を選び出す。そして、差し迫った危険がないか状況をスキャンすることによって知覚情報の領域を開き、われわれを敏感にする。このスキャニングは過剰な知覚情報を生み出すことになる。聴覚と視覚が鋭敏になり、触覚、味覚、嗅覚などが高まり、一つのことを長く考えるのが困難になる。

神経システムの情報過剰になった回路には、雷雨のように火を吹く数十億のニューロン(神経細胞)がある。思考の洪水はこの火を吹くプロセスの一部となり、人の集中しようと専念する能力を衰えさせる。これは、われわれが人生で最も重要な1メートルのパットに直面した時、大混乱を引き起こす因となる。

ツァー・プロたちが彼らのベストのプレイをした時、どのように考えたか見てみよう。

Carolyn Hill(キャロリン・ヒル)は、LPGAツァーに参加する前に華麗なアマチュア歴を誇っていたが、14年以上もツァーの優勝から見放されていた。彼女が1994年のトーナメントでやっと優勝出来た時、彼女はこう語った、『私はボールをA地点からB地点に運ぶことだけに専念した。私は直前のショットのことや次のショットについて考えなかった』

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は『緊張が高まれば高まるほど、"I try to think of just one shot at a time, one situation at a time"(私は目前の一打だけ、目前の状況だけ考えようと努める)』と云う。

LPGAツァー・プレイヤーPatty Sheehan(パティ・シーハン)はあるトーナメントに勝利して、彼女の念願のLPGA名誉の殿堂入りを果たした。その最終ラウンドについて、彼女は次のように語った。『スタートの出来が悪かったので、私は自分に"one shot at a time"(目前の一打に集中せよ)、他の何ものをも考えてはいけないと云い聞かせ続けた』

LPGAツァー・プレイヤーSherri Steinhauer(シェリ・スタインハウアー)は、1992年のメイジャーの一つに優勝したが、それ以前の彼女は何度も最終日のリーダーボードの上位でスタートしながら勝てなかった。優勝した時の最終ラウンドの思考の変化について、彼女は次のように述べている。『"I just tried to play one shot at a time"(私は目前の一打に集中してプレイしようとだけ努めた)。私がリーダーボードのどの位置にいるか、何をすべきかなどについて考えないようにした』」

[icon]

テニスやピンポンなど、飛んで来る球を反射的に打ち返す競技では、意識が過去や未来に彷徨い出す暇はありません。考える暇があり過ぎるのがゴルフの難しいところ。その暇を状況(風、湿度、ライ、障害物、ピンの位置など)の分析と戦略をまとめる時間として使うのは有益ですが、それ以外のことを考えるのは無益、というか有害です。前ホールのミスを悔やむ雑念や、これからのプレイによる成果(イーグル、バーディ、パー、80を切るなど)を皮算用する想念は遮断し、ひたすら《この一打に精魂を篭める》という気概で、自分に可能なベスト・ショットの実現に務めるのが正しい態度でしょう。

【参照】「二つのボックス」(tips_101.html)

(March 14, 2015)


同伴競技者の心の底

筆者Gregg M. Steinberg, Ph.D. (グレッグ・M・スタインバーグ博士)はスポーツ心理学の准教授。

'MentalRules for Golf'
by Gregg M. Steinberg, Ph.D. (TowleHouse, 2003, $12.95)

「Mark O'Meara(マーク・オメラ)が新米だった頃の話。あるPGAツァーのトーナメントで、ヴェテランの前で散々な出来のプレイをした彼は、ラウンド終了後、同伴競技者だったHale Irwin(ヘイル・アーウィン)にみっともないプレイをしたことを詫びた。Hale Irwinはざっくばらんに、自分は同伴競技者のプレイなど気にしなかったこと、己のプレイにしか関心はなかったと語った。

あなたが次回コースに足を踏み入れたら、Hale Irwinのように自分にだけ焦点を合わせるべきだ。他のプレイヤーがどう考えているか気にしてはいけない。彼らはあなたのこと、あなたのスコア、あなたのぎくしゃくしたスウィングなぞ問題にしていない。彼らは彼ら自身のことを考えているのであって、あなたもそうすべきなのだ」

[icon]

実はこんな文章を読む必要はなかったでしょう。あなたもあなた自身の思考・行動を振り返ってみれば、他人のプレイなどどうでもよく、考えているのは自分の最前のショットのミスの原因だったり、次のショットをどう打つかなどで頭は一杯の筈です。そりゃ見るともなく同伴競技者のプレイは目にしていて、いいショットなら反射的に褒める、ロストボールを探して上げたりもする。しかし、彼らの成功や失敗に一喜一憂したりはしません。こちらは自分の心配で手一杯なのですから。

翻って考えれば、あなたの同伴競技者だって彼自身の心配で手一杯で、あなたのスウィングやプレイを興味深く見ている筈はありません。TV中継の解説者の目のように、彼らがあなたのスウィングを分析したり解剖したりしているだろうと思うのは自意識過剰です。彼らの目はあなたの方を向いていても焦点は合わさっておらず、虚ろなのです。そんな人達の思いなしを気にするのは愚の骨頂です。

自分のスウィングを分析しながら見ているであろうと想定し、同伴競技者たちの視線を自分の背中で感じるのも危険です。あなたの意識はあなたの背中を見つめる彼らの想念に集中してしまい、目の前のボールから彷徨い出し、実際にはボールを凝視していない状態になってしまいます。空振りしないのがマシなくらいで、いずれにしてもミス・ショットは必定です。同伴競技者たちの想念を慮(おもんばか)るのは御法度。目の前の自分の“仕事”に集中しなくては。

(March 14, 2015)


マスターズ関連クイズ18問

The Masters(マスターズ)トーナメントとその開催地であるメンバー・コースAugusta National(オーガスタ・ナショナル)について、下記の本から選んだ難題18問。

'The Ultimate Golf Trivia Book'
by Mike Towle (Rutledge Hill Press, 1999, $9.95)

[Augusta]

Q1: マスターズの優勝トロフィは何を象(かたど)ったものか?
答え

Q2: Augusta National共同創設者Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)の18ホールの最も低いスコアはいくつだったか?
答え

Q3: Augusta Nationalの権力は、1956年から独占放送を認めているCBS-TVに、他のプロ・トーナメントなら最も適切である話題の一つについてアナウンサーたちが語るのを厳禁とした。その話題とは何か?
答え

【編註】'I Remember Augusta' edited by Mike Towle (Cumberland House, 2000)という本に、CBS-TVの名物プロデューサーFrank Chirkinian(フランク・チャーキニアン)の思い出話が収録されている。彼はBobby Jonesがアマチュアとしてのゴルフを愛し、「お金を使い果たした後に残るのはトロフィーと思い出である」と胸を刺すような見解を吐露したのに感銘を受け、「それが、the Masters中継でわれわれがこの件について一言も語らない理由である」と述べている。彼は「圧力ではなく自粛である」と云っているわけだが、それが真実かどうかは薮の中。いずれにせよAugusta Nationalは、一年契約を毎年更新し続けなければならないCBS-TVの弱みにつけこみ、数々の表現の自由の制限を課している。"rough"(ラフ)ではなく"second cut"(セカンド・カット)と呼ばねばならない。観衆のことを"spectators"(観客)とか"crowd"(群衆)、"fan"(ゴルフ・ファン)等ではなく、"patrons"(後援者、顧客)と呼ばねばならない。CBS-TVのアナウンサーの一人Jack Whitaker(ジャック・ウィテカー)は、1966年のトーナメントのプレイオフNo.18で、大観衆がグリーン近くまで押し寄せた時、"Here comes the mob!"(ほーら、暴徒がやって来た!)と云い、その一言がクラブ最高責任者を怒らせ、以後の中継から外されることになった。同じくCBS-TVのアナウンサーの一人Gary McCord(ゲアリ・マコード)は1994年の中継で、「グリーンは"bikini wax"(陰部用脱毛クリーム)を使ったようにすべすべだ」と口走ったのがクラブ最高責任者の逆鱗に触れ、翌年から現在に至るまでthe MastersのTV中継から閉め出されている。The Mastersに言論の自由はない。

Q4: 開催地ジョージア州Augusta(オーガスタ)出身で最初にthe Mastersに優勝したのは誰か?
答え

Q5: 1948年のトーナメントに優勝した人物は、現在のある有名インストラクターの父親である。誰か?
答え

【編註】彼は某有名コースのレッスン・プロで、Ben Hogan(ベン・ホーガン)などが一緒にラウンドしたがったほど実力があった。現在までにレッスン・プロとしてthe Mastersに優勝した唯一の人物でもある。

Q6: 初めてグリーン・ジャケットを受けた優勝者は誰だったか?
答え

【編註】Augusta Nationalのメンバーのグリーン・ジャケットの着用は1937年から始まっていたが、トーナメント優勝者への授与は1949年から。この年、それ以前の十年間の優勝者にもグリーン・ジャケットが贈呈された。なお、優勝者がグリーン・ジャケットを贈呈されてもAugusta Nationalのメンバーになれるわけではない。また、グリーン・ジャケットをAugusta Nationalの外に持ち出せるのは、その年の優勝者に限られ、それも一年経つと返却しなければならない。Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)は1961年の初優勝の際に獲得したグリーン・ジャケットを故郷南アに持ち帰り彼の個人的記念館に飾っていた。'I Remember Augusta'という前述の本によれば、しばらくしてAugusta Nationalの最高責任者Clifford Roberts(クリフォード・ロバーツ)が国際電話を掛けて来て、「グリーン・ジャケットは持ち出しちゃいけないんだよ」と云った。Gary Playerが「じゃ、ミスタ・ロバーツ、取りに来られたらどうです?」と応じると、Clifford Robertsはくすくす笑って、「公的な席では着用しないことと、戸棚に入れておくことを約束してくれ」と云った。Gary Playerはグリーン・ジャケットにビニール・カヴァーを掛け、それを外したことはないと証言している。

Q7: グリーン・ジャケットの素材はどんな繊維か?
答え

Q8: Amen Corner(エイメン・コーナー)と呼ばれる三つのホールはどれとどれか?
答え

【編註】この本には「"Amen Corner"と名付けたのは誰か?」という問題もあるのですが、その答えは間違っていました。ですから、この本のクイズの答が100%正しいかどうかは(出来る限り検証はしましたが)保証の限りではありません。

Q9: Augusta NationalのNo.13のニックネームは?
答え

Q10: 1960年頃にthe Mastersトーナメントで創始され、現在の多くのトーナメントのリーダーボードで一般化しているシステムは何か?
答え

Q11: Augusta Nationalのメンバーが、自分はもはやメンバーでなくなったことを知る手段とは?
答え

【編註】Augusta Nationalのメンバー数は300人に限定されている。多数の有名人、大富豪たちが入会希望の列に並んでいるが、メンバーの誰かの脱会があり、Augusta Nationalが入会を了承し招待状を送ってくれるまで何年も待たねばならない。入会金は$10,000〜$30,000、年会費は$10,000と噂されている。

Q12: Ed Furgol(エド・ファーゴル)は1963年のトーナメント第三ラウンドのNo.10のグリーンで、パット出来るまでに30分待たねばならなかった。一体何が起ったのか?
答え

Q13: 当時の大統領の逸話によって"Eisenhower Tree"(アイゼンハワーの木)と呼ばれる木があったのは、どのホールか?
答え

【編註】この木は"loblolly pine"(テーダマツ)という種類で、アメリカ南部では最大級の部類の松。このホールのテーダマツは20メートルの高さで聳え、横にも広くせり出していた。何度もボールをこの木にぶち当ててむかついていたアイゼンハワー大統領(Augusta Nationalのメンバー)は、1956年のクラブ総会で「この木は伐るべきだ」と提案した。その意見を却下して大統領の気分を害したくなかったクラブの最高責任者は急遽閉会を宣言した。結局、クラブは大統領の提案を無視することに決め、このホールのテーダマツは命拾いした。しかし、その58年後のトーナメント開催の二ヶ月前、この木はアイス・ストーム(氷雨を伴う暴風)によって回復が望めないほどの打撃を受け、撤去されることになった。

Q14: Tiger Woods(タイガー・ウッズ)が1998年のチャンピオンズ・ディナー(前年の優勝者が翌年の大会前に振る舞う料理)に選んだメニューは何と何か?
答え

【編註】チャンピオンズ・ディナーの慣習は、1952年に前年の優勝者Ben Hogan(ベン・ホーガン)によって始められた。彼は過去のthe Masters優勝者(当時は11名)とAugusta Nationalの最高責任者一人を招待した。その後Ben Hoganが二位になった時、「優勝するとチャンピオンズ・ディナーの経費で賞金がパーになるから」と負け惜しみを云った。最近は前年の優勝者の出身国の典型的な自慢料理を振る舞うのが慣例となっている。1997年にTiger Woodsが優勝した後、Fuzzy Zoeller(ファズィ・ゼラー)はCNN-TVのインタヴューで「Tiger Woodsがフライド・チキン(黒人の好物)をチャンピオンズ・ディナーのメニューに選ばないように云って上げな。それと、"collard greens"(カラード・グリーン、煮たり蒸し煮にしたりして食べるキャベツの一種で、南部の黒人の好物)なんかも駄目だってな」と笑いながら発言して、人種差別的発言として物議を醸した。

なお、http://golf.about.com/od/majorchampionships/a/champdinner.htmに1986年以来の全てのチャンピオンズ・ディナーのメニューが掲載されているが、1998年のTiger Woodsのメニューには「チキン・サンドウィッチ」も加わっている。「チキン・バーガー」となっている文献もある。

2002年のTiger Woodsのメニューは寿司(前菜)、ポーターハウス・ステーキ、チキンで、2003年も同じメニュー。2006年のメニューは全てメキシコ風で統一。

Q15: 1968年のトーナメントで、晴天の暑い日にKen Venturi(ケン・ヴェンチュリ)が雨天用ズボンを穿いて汗だくになっていた理由は何か?
答え

【編註】それはNo.7で起った出来事で、雨天用ズボンを穿いたのは二ホールだけであったが、「気でも狂ったのかという目で人々が私を見た」と彼は述懐している。

Q16: 1956年のトーナメントで、最終日に九打差でスタートして優勝したプロは誰か?
答え

【編註】英語版Wikipediaでは「八打差」とされている。

Q17: 1988年に特別招待されたが、暴力団との関係を疑われ招待取り消しとなったアジア人のプロは誰か?
答え

【編註】日本語版Wikipediaでは「暴力団との交際問題が新聞で取り上げられ、自分自身のけじめとしてマスターズ出場を辞退した」となっている。

Q18: 第二次大戦中、Augusta Nationalが一時的にクローズされた際、安上がりに芝刈り作業を遂行したのは?
答え

【おことわり】写真はハメコミ合成です:-)。


(March 17, 2015)


向上心が上達を阻む?

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は1997年のthe Masters(マスターズ)優勝の直後、ヴィデオでその時のスウィングを見て、自分のスウィングの欠陥を悟ったそうです。二位に12打差をつけての優勝なんですからそれで充分の筈なのに彼は満足せず、自分のスウィングを改良しようとしました。これが第一次改造。コーチButch Harmon(ブッチ・ハーモン)の指導で研鑽を積みますが、おかげで翌1998年はあまり冴えず、改造に成功した1999年になってPGA選手権(メイジャー)を含めツァーで八勝を挙げます。そして2000年から2002年まではメイジャー七勝、その他で12勝という破竹の勢い。

[Tiger]

「たら・れば」で恐縮ですが、もしTiger Woodsがここで向上心を捨てていたらどうだったでしょうか?私の推測ですが、多分その時の実力のままでJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のメイジャー優勝記録(18勝)はそれほど時をおかずに達成されていたのではないでしょうか。Tiger Woodsは完璧を望む向上心からその後三回もコーチを変え、第二次改造、第三次改造…と継続します。スランプは誰にでもあるもので、優勝がパタッと止まるのは珍しくないことですが、Tiger Woodsの場合、スランプ打破もさることながら、これまで以上の高みに登るためにコーチを変え、スウィングを変えていた感じです。

Tiger Woodsはさておき、われわれの問題です。われわれにも向上心があります。思うようなプレイが出来ないので癪に触り、何としてでも上手くなりたい。上級にはなれなくてもいいが、そこそこ恥ずかしくないスコアで廻りたい。多分、それは一般ゴルファーの80〜90%に当てはまる普遍的な願いではないでしょうか。云ってみれば、誰もが向上したいと願っている。当サイトにtipsハンティングに来られるような方は、特に向上心旺盛なのではないかと思われます。

しかし、誰しもが感じているように、何か一つを覚えれば何か一つを忘れるという繰り返しで、一向に上達しません。文字通り、足踏み状態。無論これはプロのコーチにもつかず、雑誌記事やTV、YouTubeや「80を切る!日記」なんてサイトから仕入れたtipだけで上達しようとしているゴルファー(私を含む)のことです。この種のゴルファーは、いわば野生馬みたいなもの。本気でお金をかけて道具もクラブ・フィッティングし、毎週レッスンを受けているような人はサラブレッド。サラブレッドの方々はレッスン・プロの云うことを聞くことに専念すべきで、当サイトの技術tipsなど試すべきではありません。プロの教えと相反することもあるわけですし。

野生馬であるわれわれはどうすべきか?その答えは、こんなウェブサイトを公開していて云うのもナンですが、tips漁りは止めて、現在身についている技倆に磨きをかけることに専念するのがいいんじゃないか?…というもの。新しい技術を仕入れて古い(しかし基本的で役に立つ)技術を忘れるようでは進歩は望めません。今持てる技倆を常に一定のレヴェルで遂行出来るように努力する。それがスコアを良くする秘訣のように思われます。上達しないTips蒐集家としての反省であります。

外交官になりたいからといって、五ヶ国語を同時に平行して学んで、それぞれをぺらぺら喋れるまで同時に上達するでしょうか?一ヶ国語ずつマスターするのが早道ですよね。ゴルフの場合も、上達を焦っても「浅く広く」ではどの分野もいつまでも上達しないでしょう。どれかの分野に自信をつけ、周囲からも一目置かれるぐらいのレヴェルになったら、他の分野に手を広げる…というのが良さそうに思われます。先ずは「FLW(フラット・レフト・リスト)を完全に身につける」、あるいは「パッティングの距離感をマスターする」とか、「バンカー・ショットに上達する」等々。

2015年三月現在のTiger Woodsは文字通りスランプで藻掻き苦しんでいます。それは膝の故障のせいでもあり、セックス・スキャンダルに起因する離婚や英雄の座から転落した屈辱感・挫折感のせいでもあるでしょう。単なるスウィングの問題ではないと思われます。最近、彼の元コーチの一人Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)は「Tiger WoodsはショートゲームYipsを病んでいる」という記事を発表しました。Yipsも心因性であり、スウィングの問題ではありません。いま彼に必要なのは新しいスウィング・コーチではなく、スポーツ心理学者でしょう。

スポーツ心理学者Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)が当サイト愛読者諸氏に贈る(?)警告。

'Golf is Not a Game of Perfect'
by Dr. Bob Rotella with Bob Cullen (Simon & Schuster, 1995, $20.00)

「多くの週末ゴルファーの頭は、No.1ティーに上がる時、1ダースものスウィングtipsで埋め尽くされている。それらは友人から聞いたもの、雑誌で読んだもの、TVで見たものなどである。大抵の場合、それら1ダースのスウィングtipsは互いに矛盾し合っていたりする。週末ゴルファーはドライヴァーを引き抜き、バックスウィングしながら『左腕を伸ばす』、『頭を動かすな』、『精一杯捻転せよ』、『コックすること』、『手をプロネートすべし』等々と考える。彼らは、そうやって自分のゲームを台無しにしていることに気がつかない」

締めはGary Player(ゲアリ・プレイヤー)の言葉。

'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)

「あなたはゴルフに関して書かれた全ての本と雑誌記事を読むことが出来るが、もし練習をしないのならそれは時間の無駄だ。練習しなければ、どんな男性も女性もそのベストのプレイなど出来っこない」

【おことわり】写真はどっかで拾ったものであり、本文とは(あまり)関係ありません:-)。

(March 29, 2015)


インパクト・シール代用品(しかも格安)

ゴルフ仲間のKeith(キース)にインパクト・シールを数枚上げたのですが、使っている形跡がありません。「使わないの?」と聞いたら、「もっといい方法を見つけたんだ」と云います。YouTubeヴィデオで見たそうですが、クラブフェースにスプレーを吹き付けるんだそうです。「シールだとゴミが出るが、スプレーなら何も出ない」と鼻を蠢かせます。(じゃ、使わないんならインパクト・シールは返してよ)と云いたいところですが、こちらでは一旦上げたものを返せというと"Indian gift"(インディアン・ギフト)と軽蔑されるので云えません。また、アメリカでは貰ったものは人にやっちゃおうと売っちゃおうと棄てちゃおうと勝手放題が通り相場なので、一旦上げたら諦めるしかありません。

ある日練習場でKeithのスプレーを見せて貰いました。それは"Athlete's Foot Spray"というもの。(運動家の足?何だろう?)と訝りながら表示を読むと、効能は痒み、(皮膚の)赤み、水泡、かさぶた、ひび割れ…などと書いてあります。何のことはない、「水虫」用のスプレーなんですね。水虫が英語で"athlete's foot"だなんて知りませんでした。

Keithが実演して見せてくれました。スプレーした直後は濡れているので、乾いて白くなるまで一寸待たねばなりません。しかし、効果はインパクト・シールと同じかそれ以上で、くっきりとボールの痕がフェースに残ります。「しばらく打ったらタオルで拭けばいいんだ。シールを捨てる手間も要らない。一缶のスプレーは使い切れないほどだし、OEM製品で安いのを見つけたんだ。水虫を患ってるわけじゃないから、OEMで充分」とKeith。

なるほど。私もインパクト・シールを使い切ったらスプレーにしようっと。調べると、この種のスプレーには液状タイプと粉状タイプの二種ありますが、インパクト・シール代わりに用いるのは乾き易い粉状の方。値段は3ドル〜9ドルまで色々です。

【参照】http://www.golfwrx.com/231655/how-a-cure-for-athletes-foot-can-lead-to-longer-drives/

【参考】
・「インパクト・チェック」(tips_71.html)
・「インパクト・シールの作り方」(tips_71.html)
・「インパクト・シールを買わずに済ます」(tips_115.html)
・「続・インパクト・シールを買わずに済ます」(tips_115.html)
・「続々・インパクト・シールを買わずに済ます」(tips_115.html)

(March 29, 2015)


インパクト・チェック後の診断と処方

以下は'LongShot'というインパクト・シールに付属していた'Correction Guide'(インパクト位置修正ガイド)の要旨です。インストラクターBob Moss(ボブ・モス)が監修しています。

「重要:一貫してスウィート・スポットでボールと接触することが、即座に飛距離を増し、正確度を向上させ、スコアを減らせる最も効果的な方法である。

・インパクト位置 ②

分析:クラブフェースの上部でボールと接触するこの位置は、あなたのボールに向かうダウンスウィングが急角度過ぎることを示しており、結果として得られるのはポップアップと貧弱な飛距離でしかない。

Tip:ターゲット方向15メートルにある高い障害物を越えて打つ必要があると想定すれば、攻撃角度を変えられる。そうすればボールとの接触ポイントはクラブフェースの中央に移動し、低いボール軌道とかなりの飛距離増が得られる。

【編註】最近の研究では、高い発射角度でバックスピンを減らすことが飛距離増に繋がることが分り、それには高めにティー・アップし、この②の位置でボールを打つべきであるとされ、この位置は“hot spot”(ホット・スポット)とも呼ばれています。ただし、その後"hot spot”を利用して長く飛ばすことが出来るのはプロ並のスウィング速度の持ち主に限られると異論も出ており、インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)らはティーアップは低目にしてクラブフェースの真ん中でボールを捉えよと説いています。

[points]

【参照】
・「ホット・スポットを探せ」(tips_96.html)
・「なぜ高いティーアップは駄目か」(tips_131.html)

・インパクト位置①と③

分析:①はトゥ・ショット、③はヒール・ショットで、どちらのミスにも②と同じ処方を用いる。トゥ・ショットとヒール・ショットには多くの原因があり得るが、間違ったアライメント、適切でないセットアップ、貧弱なバランス、あるいは通常のプレーンをインサイドかアウトサイドから横切るようなスウィング軌道などが含まれる。

Tip:等身大の鏡を用いて問題点をチェックする。ボール後方の地面に、クラブのソール(底部)をターゲットにスクウェアに置く。通常の手順でクラブをグリップする。身体とグリップエンドの間隔は拳のサイズにする。両腕を肩から快適にぶら下げ、リラックスさせる正しいセットアップをする。ターゲットラインにスクウェアに振り抜くようにし、ラインをクロスすることは避ける。正しいセットアップをすれば、身体はリラックスしバランスもいい筈だ。両足が身体を平衡に支えるようにし、過度に踵や爪先に体重を掛ける癖を防ぐこと。

安定したスウィングの基本的要素に注意を払うことに集中する。一打毎にインパクト・チェックをすることが、進歩の道程を辿りながらスウィング修正の実際的効果を確認する助けとなる。

・インパクト位置⑤

分析:この位置はあなたがクラブフェースの下部でボールと接触していることを示し、クラブが上昇しながらボールを打つせいで、結果はトップのミス・ショットである。これはまた、スウィングの間にクラブが充分低い軌道を得ていないせいでもある。

Tip:両腕を肩から快適にぶら下げ、リラックスさせる正しいセットアップから始める。素振りをし、スウィング弧の最低点でクラブが地面と接触するかどうか確認する。次に、いつもよりクラブヘッドが長く地面に沿うようなフラットなスウィングを心掛ける。フラット目のスウィング軌道はクラブフェースのインパクト位置を引き上げてくれ、その結果、ボール軌道が高くなり、飛距離も増大する。

・インパクト位置④と⑥

分析:この位置は①と③の位置で説明したのと同じ問題点を示している。これらはトゥとヒールで打たれ、それは適切でないセットアップ、バランス、あるいはアライメントが原因である。

処方:これらのインパクトは、⑤と同じようにクラブフェースのかなり低い部分でのインパクトなので、⑤の処方に従いフラットなスウィング軌道をすべきである。そうすればボールとの接点はクラブフェースの底部から上方へ移動し、よりよいコンタクトが得られる。スウィングを変えようと試みる前に、以上の処方を適用して結果を見るべきである。

Tip:フラットなスウィング軌道を試みても、なおもヒールかトゥで打つようであれば、追加の努力が必要だ。それには①と⑤のtipを参考にする。それらの項は正しい全体的なスウィングを構築することについて詳細に説明されている。それらによる修正が、インパクト位置をクラブのスウィートスポットへと移動させてくれる筈だ」

【参照】「インパクト・チェック」(tips_71.html)…(Hank Haneyによるインパクト診断)

(April 01, 2015)


練習に熱中せずに休憩せよ

NHK-TV『ためしてガッテン』の「おでん〜“煮こむ”より“冷ます”〜」は、今や「コンビニ風おでんの作り方」として広まっている料理のコツの一つです。

NHKのウェブサイトによれば、おでんの煮方は「弱火でコトコトは大まちがい!加熱中は、素材に含まれる空気や水分が膨張して、外へと押し出されるため、だし汁は素材の中にうまく入り込めません。じわじわ冷ますことで、よくしみ込むようになるのです」(http://www9.nhk.or.jp/gatten/recipes/R20080604_18.html)

驚きました。これはスポーツの練習法の秘訣と同じではありませんか。「最新科学研究成果応用の練習法」(tips_132.html)で、科学者たちのある発見に関する次のような記事を紹介しました。「『練習を1時間行う場合、連続して練習するのではなく、例えば15分ずつ4回に分け、その間に30分くらいのインターバルを置くと、とても効率よく長期記憶への移動が進む』 つまり長期記憶の形成には、運動をしているときではなく、運動をしていないときの小脳皮質の活動が重要なことを示している」(「Yomiuri Online」2011年6月5日)

つまり、おでんの具を煮る場合もゴルフの場合も、休憩が大事なのです。練習場でぽんぽんボールを打っている状態はおでんで云えば加熱中であり、いいショットをいくら連続で打っても、脳や身体に滲み込まない(長期記憶として定着しない)。いいショットが打てるようになったら、そこで30分程度の休憩をとる必要があるわけです。『ためしてガッテン』流おでんは、おでん鍋を新聞紙とバスタオルでくるんでじわじわと冷ますべきだそうです。ゴルフ練習場でわれわれが新聞紙とバスタオルで身体を包むわけにはいかないので、代わりに30分間瞑想に耽るのがいいと思われます。これならじわじわと脳と身体にいい記憶が滲み込むことでしょう。

筋肉鍛錬も連日ではなく一日おきにすべきだと云われています。中日(なかび)に筋肉の組織細胞を成長させるためです。これも休憩が重要であることを示していて、上の二例に共通しています。「下手の考え休むに似たり」と云いますが、「ゴルフの練習休むが大事」と考えるべきだと云えましょう。

【参考】
・「最新科学研究成果応用の練習法」(tips_132.html)
・「休憩が練習の鍵」(tips_142.html)
・「生体力学的鍛錬ヴィデオ」(tips_50.html)

(April 01, 2015)


Gene Sarazen(ジーン・サラゼン)と日本 [Sarazen]

Gene Sarazen(1902〜1999)は生涯グランドスラムを達成した五人の最初の一人であり、1935年のthe Masters(マスターズ)最終日のNo.15(パー5)でアルバトロス(=ダブル・イーグル)を達成したことでも有名です。彼はまたサンドウェッジを開発した発明家でもあります。

'And Then Tiger Told the Shark. . .'
by Don Wade (Contemporary Books, 2000, $18.95)

「Gene Sarazenのキャリアは世界のゴルフの盛況と共通していた。彼はゴルフの大使のように世界中を旅し、エクスィビションやトーナメントを行った。それは彼にとって収入を得ながらの学習経験でもあった。

『日本への初めての訪問は、それまでに経験した何ものとも異なっていた』とGene Sarazenは回想する。『私があるマッチ・プレイをしていてボールをバンカーに入れた時のことだ。私がボールを出してバンカーから立ち去った後、ふとバンカーを振り返ると大勢の人々が私のスタンス巾を計測していた。私は科学研究の対象物にされているような感じがした』」

「Gene Sarazenは日本では"Mr. Double Eagle"(ミスター・ダブル・イーグル)として知られている。それは1935年のthe Masters最終日No.15での劇的なアルバトロス(パー5を二打でホールアウト)に由来するものだ。

日本での旅行中、彼はその歴史的なショットを放った4番ウッドを失ってしまった。『私はそれを誰かに上げてしまったのかも知れないが、定かでない』とGene Sarazenは云う。『そのクラブに何が起ったにせよ、日本政府はそれが失くなっていることに気づいた時、全ての警官に探すように命じた。私の知る限り、それは今もって見つかっていない』」

なお、Gene Sarazenが作って成功を収めた最初のサンドウェッジは失われず、ニュージャージー州にあるUSGA博物館に展示されています。


(April 08, 2015)


Gene Sarazen(ジーン・サラゼン)の娘が語るサンドウェッジ秘話

Gene Sarazen(ジーン・サラゼン、1902〜1999)はサンドウェッジを開発した発明家として知られていますが、彼の娘Mary Ann Sarazen(メアリ・アン・サラゼン)はGolf.comのインタヴュー(2010年2月)で、サンドウェッジは前からあったものを応用しただけに過ぎないという真実を明かしました。

'Dad didn't invent the sand wedge, but he modernized it'(父はサンドウェッジを発明したのではなく、現代風にしただけだ)
by Mary Ann Sarazen(http://www.golf.com/equipment/mary-ann-sarazen-dad-didnt-invent-sand-wedge-he-modernized-it)

「私の父が1935年のthe Masters(マスターズ)最終日のNo.15(パー5)で記録したダブル・イーグルは、未だにゴルフ界の伝説となっているが、その三年前、彼は自分でデザインしたWilson(ウィルスン)製のサンドウェッジをバッグに入れてU.S.オープンと全英オープンに優勝した。私の姓を目にした多くの人が『どんな風にお父さんはサンドウェッジを発明したのか?』とか『お父さんがあのサンドウェッジで特許を取っていたら、どれほどのお金が得られたか想像出来ます?』と云う。

一点、問題がある。私の父は実際にはサンドウェッジを発明したのではなかった。19世紀、あるスコットランドのゴルファーが、バンカーから脱出するための特別のクラブを持っていた。Walter Hagen(ウォルター・ヘイゲン)はヒッコリー・シャフトで、フランジに1/2ポンドの重さを持つロフトの多い凹んだフェースのクラブを用いていた(これは後にルール上違法とされた)。Edwin K. MacLain(エドウィン・K・マクレイン)という名の男が、Walter Hagenのクラブ製造会社のためにそのクラブの特許を取っていた。

私の父がしたのは最初の現代風サンドウェッジをデザインしたことだ。それはスティール・シャフトのクラブで、クラブフェースに刻印を付け【編註】、今日も広く用いられているフランジの量を有していた」

【編註】現在のサンドウェッジのクラブフェースにはグルーヴ(溝)が刻まれていますが、Gene Sarazenの原型には溝ではなく無数の凹みがつけられていたようです。Walter Hagenのサンドウェッジには無数の円形の凹みが刻まれていました。

Gene Sarazenが飛行機操縦のメカニズムからヒントを得て、フランジを加工し始めた経緯は「サンドウェッジ誕生秘話」(tips_132)と同じなので、そちらをお読み下さい。

「父は出来上がった原型をWilsonに送り、Wilsonは1930年代初頭に最初のサンドウェッジを製作した。約80年経過した今も、そのクラブの形状はほとんど変わっていない。

1940年代、Wilsonのクラブ・デザイナーBob Mendralla(ボブ・マンドララ)は、私の父をよく知っており、彼のオフィスに手作りのサンドウェッジを何本も置いていた。それらは現在のサンドウェッジほどのロフトを持っていなかったが、Bob Mendrallaが計測したところ、バウンスは約10°で、これは今日の規格に近かった。Wilsonは原型に55°のロフトを加えた。私の父はグリップの親指を当てるべき箇所にマークを施した。これは父の発明で、Wilsonはそれを適切に仕上げてくれた。

特許について云えば、父は出願する気などなかった。97歳で亡くなる時まで続いたWilsonとの75年間にもわたる契約で、年に20,000ドル足らずを貰って父は満足していたからだ。世界大恐慌を生き抜いたツァー・プロの彼は、腕前でたとえ大富豪を賛嘆させたとしても、からきし欲のない労働者だったのだ。

私の父はエクスプロージョン・ショットの草分けだった。エクスプロージョン・ショットとサンドウェッジは、私たちが考えるよりずっと多くの面白味を私たちに与えてくれているが、それは私の父の功績である」

(April 08, 2015)


「フォーアッ!」の語源

ゴルフにおける"fore!"という言葉の語源はいくつか考えられており、以下の説もその一つですが、諸説の中でも最も有力視されているものです。

'The Golf Book of Lists'
by Mitch Kaplan (The Career Press, Inc., 2001$16.99)

「"Fore"と叫ぶ慣習は18世紀に始まっている。当時のゴルファーは多くの場合、従者を雇える裕福な男性たちであった。これらの紳士たちは普通一人の従者(あるいはキャディ)にクラブとボールを運ばせた。一般的にコースは起伏があり自然の障害物も多かったので、多くのゴルファーは前方に"forecaddie"(フォアキャディ)を配置した。フォアキャディはゴルファーの前方を偵察し、着地したボールを発見するのが役目であった。ボールを打とうとするゴルファーはフォアキャディに警告するため、『フォーアッ!』と叫んでから打ったのである」

【参考】「『フォーアッ!』という叫び声を聞いたら」(tips_150.html)

(April 08, 2015)


パー3の成功はスウィートスポット次第

私が通っている市営ゴルフ場のNo.12(砲台グリーン)は、時に池越えの170ヤードから打たされることもあれば、池を越えた残り110ヤード付近にティーが設定されることもあります。後者の場合、グリーン表面が見えないような上り勾配なので、私は距離と風に応じて8番アイアンを長く持ったり短く持ったりして調節します。

このところ、このホールと相性がよく、ワン・オンが続いています。私はクラブを振りかぶったら重力の戻りを待ち、それに追随する程度の力を添えるだけのフォワード・スウィングをします。アイアン、しかも8番ですから、アップライトなプレーンになり、重力の作用も結構強いわけです。人為的努力を排除し、重力任せにしているのが、このホールでのワン・オンに寄与していると確信しています。普通110ヤードぐらいであれば私には9番アイアンの距離なのですが、ほとんど力を入れないスウィングなので8番が必要なのです。

他のパー3ではそれが通用しません。No.4(175ヤード)とNo.7(160ヤード)は3番ウッド、打ち上げのNo.13(210ヤード)はドライヴァーの距離です。ドライヴァーや3番ウッドを8番アイアンのようには打つわけにはいきませんし、そんなことをしたらポップアップは必定です。一般に、アイアンは遊園地の観覧車のように縦のプレーン、ウッドは回転木馬のように横のプレーンでスウィングせよと云われます。であれば、長いパー3ではクラブを水平に近くフラットに振ればいいのか?と思いました。ワン・オンに成功したこともあるものの、とんでもないプル・フックになることもあり、過度にフラットに振るのは恐ろしい気にさせられました。

[impact]

ノーコックとか、重力まかせのスウィングとか、あの手この手を試しましたが、それでもウッドによるショットはグリーンに真っ直ぐ向かわず、右に左に逸れてしまいます。

何も打つ手がなくなったある日、破れかぶれでNo.4(175ヤード)において、届かないのを承知で3番ウッドでコンパクト・スウィングをしてみました。何と、真っ直ぐ飛んでグリーン正面のエッジへ。ややショートですが、左右に曲がるよりは非常に寄せ易く楽です。多分、スウィート・スポットで打てたことにより、サイド・スピンがかからなかったので真っ直ぐ打てたのでしょう。

しかし、方向は良くても届かないと決まっているのは面白くありません。後日、右手が(ハンドルではなく)シャフト部分にかかるほどドライヴァーを短く持ち、両手が肩の高さ止まりという超コンパクトなトップで打ってみました。低い弾道で飛んだボールはころころころころ転がって、ワン・オン!。見てくれは悪いけど勝てば官軍、アイデアの勝利。

同じ日のNo.13(210ヤード)。結構打ち上げの砲台グリーンで、最近の私にはドライヴァーでも届かないのですが、それよりも右や左の林に入れるミスの解消が焦眉の急。正確さ第一で、この日はドライヴァーを5センチほど短く持って打ってみました。何と、ピンに真っ直ぐ飛んでまたもやワン・オン、それも1ピンの距離!「ドライヴァーでも届かない」というのは早計で、スウィートスポットで打てていなかったのが問題だったのです。これまたアイデアの勝利!

【結論】《パー3ではスウィートスポットで打つことを大前提にすべきである》【=距離よりも先ず方向重視】その条件を満たした上で距離をも満足させられる工夫をすべきである。

(April 15, 2015)


湿度と飛距離

"April Showers"(四月の雨)というのはイギリスとアイルランド発祥として知られている表現だそうですが、アメリカ南部でも三月、四月は雨が多い。先日なども湿度90%を越えるような日のラウンドでした。

私には「高湿度=空気が重い=飛ばない」という先入観があります。実際に、この日のラウンドでは何度もアプローチ・ショットをショートし、仕方なく1クラブ増やしたりする始末でした。

そのラウンドで私は湿度がショットに深く影響することを確信しました。でも、湿度が何%なら何ヤード飛距離が減るのかは見当もつきません。ひょっとしてそういう公式を教えてくれるサイトがあるかも知れないと期待しつつググってみました。驚いたことに、次の二つのフォーラムの議論によれば、私の先入観は完全に間違っていたのでした。

・フォーラムA『気温と湿度はボールの飛行にどんな影響を与えるか?』
http://www.freegolfinfo.com/forums/printable.aspx?m=150056

"Warm/moist air is less dense. Cold/dry air is more dense. Density=more resistance=less distance."
(温かいか湿った空気は密度が低く、冷たいか乾燥した空気は密度が高い。空気密度が濃密であればあるほど抵抗が多く、飛距離は減る)

・フォーラムB『天候はボールにどれほど影響を与えるか?』
http://www.thehackersparadise.com/forum/archive/index.php/t-21246.html

"It seems like the air would be "heavier" with the humidity, but water vapor in the air is lighter than air, i.e. clouds floating in the sky, which actually causes less resistance than drier air. Pilots have known this for years, and they report getting better fuel economy in humid conditions."
(湿度が高いと空気は重いように思われるだろうが、空気中の水蒸気は空気より軽い。それは即ち空を漂う雲が実際には乾いた空気より抵抗が少ないのと同じである。パイロットたちはこのことをずっと以前から知っており、湿度が高い状況だと少ない燃料で飛べることを報告している)

念には念を入れて"Moist air is less dense"(湿った空気は密度が低い)というフレーズでググってみましたら、以上の説を裏書きする気象学者やパイロットなどの説明がいくつも見つかりました。気象学者の意見なら確かなことこの上もありません。「野球のバッターは湿度が高いとボールがよく飛ぶので喜ぶ」という、主要日刊紙の一つChicago Tribune(シカゴ・トリビューン)の記事までありました。

つまり、雨天であれば雨粒の天から下への圧力と、ボールにまとわりつく水滴の抵抗によって飛距離は落ちるけれども、雨ではなく単に湿度が高い場合は(湿度が低い場合に較べ)多少飛距離が伸びるのは間違いないと云えるようです。ただし、湿気で地面や草が濡れていれば長いランは見込めないので、総体的にはやはり「飛ばない」という印象を受けることになるでしょう。湿度90%の日に私のアプローチ・ショットがショートしたのは湿度のせいなんぞではなく、単に手打ちやダフりのようなミスの連続のせいだったということになります。

【後記】既に2009年に「湿度と飛距離」という記事(tips_123)を書いたのを忘れていました。デジタル温度・湿度計を買った当時、湿度100%の日に乾いた日との飛距離の差を調べた記録で、「湿度と飛距離は関係ない」と結論づけていました。

(April 15, 2015、増補 April 25, 2015)


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