Golf Tips Vol. 156

打つ前の最後の想念

「愚かなミス」のほとんどはダフり、トップと相場が決まっている気がします。様々な原因が考えられますが(リヴァース・ピヴォット、スウェイ、タイミング不良、メンタルなど)、それらの結果はどれもダフりかトップになり易い。

アイアンの「愚かなミス」を防ぐには、ボールをヒット・ダウンするのが一番かと思われます。打つ前の儀式(プレショット・ルーティーン)の最後に、「必ずヒット・ダウンしよう!」という想念を抱き、それ以外のことは全て追い払うようにすべきだと考えました。

迂闊に掬い打ちをしてしまうと、クラブヘッドはボールの後ろの地面を叩き、地面で跳ね返ってボールの天辺近くを打つことになります。ボールの前方(ターゲット方向)の地面を打とうとすれば(これがヒットダウン)、ボールはクラブフェースのグルーヴ全てを駆け上がって正しい高さの軌道と方向が得られます。

プレショット・ルーティーンの最初で素振りをしながらヒット・ダウンして草を薙ぎ払ったとしても、その後グリーンのどこに着地させるか(ピンの左右、遠近など)、バックスウィングの大きさ、体重移動などについて考えてしまうと、最初の想念だったヒット・ダウンについては忘れ去られてしまったりします。最後の最後に、もう一度「必ずヒット・ダウンしよう!」と決意表明をするのが賢明です。

(October 07, 2014)


アイアン・ショットの心構え

忍耐の忍、忍者の忍の「忍」(我慢する、こらえる)という字は「刃(やいば)の下に心を置く」と書きます。身に迫り来る刀のプレッシャー下でじっと堪(こら)えるという感じなのでしょう。では、左下の文字はどういう意味か御存知でしょうか?え、御存知ない?そら、そうでしょうね。私が作った文字ですから。

[玉心]

ある日、チッピングの練習をしていてトップやダフりを防ぐいい方法はないものか?と思案しました。そして創造したのが左の文字です。《玉(ボール)の下に心を置く》。ボールの真上でも、後方でもなく、真下。そこを心眼で見つめ、そこに刃(ウェッジのリーディング・エッジ)を打ち下ろすのです。この想念は練習グリーンで直ちに役立ちました。

そしてその日のNo.3、比較的短いパー4。私のティー・ショットは良く飛び、残り75ヤード。サンドウェッジを1.25センチ短く持つ距離です。【註】私は新発明の《玉の下に心を置く》を実践してスウィング。ボールは真っ直ぐピンに向かいました。チーム仲間の一人Keith(キース)が「エイジ、いいショットだ!」と叫びました。ボールはピンの手前5ヤードほどに着地し、1バウンド、2バウンド、ころころと転がってカップイン!イーグル!「わーっ!」みんなが一斉に叫びました(当然、私も)。

【参照】「中間クラブ対策」(tips_87.html)、「続・中間クラブ対策」(tips_91.html)

この日、私は珍しく七つのパーオンを達成しました。七回のバーディ・チャンスがあったということです。パッティングが不調だったため、どれも失敗しましたが(>_<) 、この日のアイアンの冴えには自分でも驚いたことでした。

ボールのターゲット方向でディヴォットを取るのがプロのアイアンの打ち方ですが、それが真似出来ない場合、少なくともボールの真下を打てば正確なショットが出来、バーディ・チャンスにも恵まれるということを発見したわけです。《玉(ボール)の下に心を置く》は中々いいtipだと思っています。

(October 07, 2014)


ゴルフ金言集 Part 22

以下の金言集は当サイトが独自に収集・翻訳したものです。無断転載・引用を禁じます。

「アドレスしたら、一つのスウィング・キイ(留意事項)以外の全てを心から追い出し、タイミングを感じること」
Sam Snead(サム・スニード)

「ミスしたパットの圧倒的大多数は読みが悪かったのでなく、正しく打たれなかったせいである」
Jackie Burke, Jr(ジャッキー・バーク二世)

「ショート・パットのミスの大多数は、架空の傾斜をイメージしながらカップにボールをそーっと転がそうとするせいで起る」
Tommy Armour(トミィ・アーマー)

「撞球をする人の思考は、球を適切な強さで適切な一点に向けて突き棒を動かすことであって、どのように突き棒を持つかなどというものではない」
Roger Maltbie(ロジャー・マルトビィ、元ツァー・プロで現TV解説者、パットに関してのヒント)

[Nancy]

「お粗末なチッピングは、アマチュアのハンディキャップが頭打ちになる主たる理由である」
Corey Pavin(コリィ・ペイヴィン)

「私は自分の家族【夫と子供三人】のことを考えることを動機としている。家族と一緒にいられないなら、それだけ時間を価値あるものにしたい。いいプレイが出来れば、家族から一週間離れていることを正当化出来るが、いいプレイが出来ない場合、家族と一緒にいられた筈の時間を無駄にしていると感じてしまう」
Nancy Lopez(ナンシィ・ロペス、右図)

「腰がダウンスウィングを開始する。腰は連鎖反応のきわめて重要な要素である。先ず腰を正しく動かす…このワン・アクションが実質的にダウンスウィングを支配する」
Ben Hogan(ベン・ホーガン)

「ドライヴァー・ショットの飛距離は粗暴な力によるものでなく、クラブヘッドの速度によるものだ」
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)

「飛距離を増す方法は二つある。クラブヘッドを早く振ることを習得するか、あるいは、ボールに向かってクラブヘッドを正確に送り届けられるようにするかのどっちかだ」
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)

「あなたの最も遠くへ飛んだショットは、あなたの最も真っ直ぐだったショットだと気づいたことないか?」
Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)

「スイスで、私は自分が執筆したゴルフ教本を読んでいて、今の自分のアドレスがオープン過ぎることに気づいた。ゴルフの基本がこうも簡単に忘れ去られるとは…」
Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)

「覚えておきなさい。多くのグリーンサイド・バンカーからのショットの目的は、ボールを爆風によって叩き出すのではなく、クラブをボールの下で滑らせ、ボールを砂のクッションという罠から極めてやさしく浮遊させることなのだ」
John Jacobs(ジョン・ジェイコブズ、英国のインストラクター)

(October 22, 2014)


超簡単ライ角チェック法

ライ角はショットの正確さに影響します。一年に二回はクラブ・フィッターにライ角の調整を頼むのが理想だそうですが、それはゴルファーのプレイ頻度によって変わるものでしょう。以下の記事は、ライ角を調整すべき時期かどうか、自分で判断出来る簡単な方法を教えてくれます。

'Telling lies'
by Bill Moretti ('Golf Magazine,' March 2006)

[Lie Angle]

「ライ角とは、クラブのソール(底面)を地面と水平にした時、どの程度アップライトか否かの度合いである。

あなたのクラブが過度にアップライトなら【右図A】、インパクトでヒールが先に地面を掘ってクラブフェースをシャットにするため、ボールはターゲットの左へ向かいがちになる。

反対にあなたのクラブが過度にフラットなら【右図C】、インパクトでトゥが先に地面を掘ってクラブフェースをオープンにし、ボールを右へ向かわせる。

【ライ角チェック法】

1) マーカーでボール(ソフトカヴァーが望ましい)に1.5センチぐらいの直線を描く。
2) クラブフェースの中央にボールに描いた線が縦に相対するように調整してアドレスする。
3) ボールを打ち、クラブフェースに残された線をチェックする。

・もしマーカーの線が、クラブフェースに縦に残っていればそのクラブのライ角は正しい。

・もしマーカーの線が、あなたの方に傾いでいたら、そのクラブのライ角は過度にアップライトである。

・もしマーカーの線が、あなたから遠ざかる方向に傾いでいたら、そのクラブのライ角は過度にフラットである。

正しいライ角でない場合は、クラブ・プロかクラブ・フィッターに調整を頼むこと。これは、あなたのゲームに役立つ最良の投資である」

【参照】
・「ライ角と弾道」、「ライ角の調整」(tips_87.html)
・「ライ角のまとめ」、「ライ角の判定」(tips_93.html)

(October 28, 2014)


練習する際に心得ておくべきこと

筆者Michael Hobbs(マイケル・ホッブズ)はイギリスのインストラクターで、BBCのゴルフ中継の解説なども担当した人。

'From the Fairway'
by Michael Hobbs (Gallery Books, 1991)

「常にターゲットを設定せよ。特にドライヴァーを使う場合、飛距離を目的に練習してはいけない。一定の距離の一定の面積にボールが集まるような練習でなくてはならない。ピッチングの練習よりドライヴァーに時間を割いてはいけない。

覚えておくべきこと。あなたに堅実なゴルフが出来るなら、かなりの確率でピンに絡むようなショート・アイアンを打つ能力は、ドライヴァーによる数ヤードの飛距離増よりも遥かにスコアを減らす助けとなってくれることを。

どのクラブを使う場合も、ショットする前に、あなたが何を達成しようとしているのか考える時間をおくこと。何も考えずに次から次へとボールを打ってはいけない。それはゴルフの練習ではなく、手足の運動に過ぎない。

ボールの弾道について常に熟慮すること。フェードやドローの打ち方、高い弾道、低い弾道の打ち方も学ぶこと。

常にティー・ペグを使って打ったり、完璧なライから打つのではなく、難しい条件の場所から正確に打つ練習も交えるように。フライヤー・ライからのボールがどう飛ぶかも知っておくこと」

【参照】「ラフからの脱出」tips_92.html

(October 28, 2014)


Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の練習プログラム

伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)による、練習手順の見本。

'The Game for a Lifetime'
by Harvey Penick with Bud Shrake (Fireside, 1996, $10.00)

「先ず最初に、ちゃんとストレッチングを済ませること。

1) ウェッジで五発打ち、クラブを戻す。

2) 7番アイアンで五発打つ。そのショットが良かろうが悪かろうが、もっと打ちたい欲求に抗し、クラブを脇に置く。

3) 3番ウッドで、必ずターゲットを定めて五発打つ。打ったらクラブを戻す。

4) 再び7番アイアンで五発打ち、それを戻す。

5) あなたがその気なら、ドライヴァーを引き抜いて三発か四発打つ。この際、No.1ティーに立ったつもりで、あなたのベストを尽くすこと。しかし、いいショットが打てなくても、そのことは忘れてドライヴァーを仕舞う。

以上で20発以上のフル・ショットを打ったことになる。

この後の練習時間は、パターとチッピング用クラブを持って練習グリーンに赴き、ショートゲームの技を磨くことに費やす。そこがスコアを少なくするために必要な場所である」

(October 28, 2014)


スピンの完全理解

'Golf Magazine'『ゴルフ・マガジン』誌編纂のゴルフ百科全書ともいうべき本から、スピンに関する全て。

'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「バックスピンとサイドスピンの組み合わせが、クラブフェースを離れた後のボールの挙動をコントロールする。バックスピンはボールを浮遊させ、サイドスピンが右か左にボールをカーヴさせる。どちらのスピンもボールの飛行軌道に影響し、着地後に急停止するかもっと前進するかを決める。

[backspin]

多くのゴルファーはスピンに関する研究に熱心でないが、それは重要な情報であり、ゴルフのミステリーの幾分かを取り除いてくれるものだ。スピンに関する理解は、テクニックと戦略を塩梅する正しい方法の選択を容易にしてくれる。

インパクトでは何が起るのか?.0005/1秒の間にボールはクラブフェースと接触し、ボールはクラブによって劇的にぺちゃんこにされ、クラブフェースの大部分は扁平になったボールで覆われる。次に、ボールはクラブフェースをちょっぴり駆け上がり、摩擦を生じる。この摩擦が空中に跳ね上がってからボールがバックスピンし始める原因である。5番アイアンの場合、この衝突はボールにほぼ80〜120回転/秒のスピンを与えて打ち上げる(数値はクラブヘッド・スプードと他のインパクト要因によって異なる)。

空気力学の法則である揚力と抗力が後を引き継ぐのだが、説明があまりにも技術的になり過ぎるものの、結果としてバックスピンがボール上方の空気によってボール表面を自由に動かし、ボールを下降させようとする圧力を減少させる。従ってボールは上昇する。物理学ではそれはBernoulli Effect(ベルヌーイ効果)と呼ばれる。飛行機の翼も同じような働きをする。ゴルフ・ショットにおいて、バックスピンはどれほど重要か?それなしではTiger Woods(タイガー・ウッズ)でさえ200ヤードを越えられないだろう。

次の四大要素がバックスピンを最大にする。
・インパクト時のさらなるクラブヘッド・スピード
・さらなるロフト
・インパクトへと向かうクラブヘッドの鋭い角度
・クラブフェースのスクウェアなコンタクト

ボールの構造(2ピース、3ピース等)、ボールのカヴァーの材質、ディンプルのパターン、サイズ、深さなどもバックスピンとボールの飛行に影響を与える。多くのボール・メーカーは最大と最少のバックスピンでボールをデザインしている。

サイドスピンは、クラブヘッド軌道がクラブフェースが向いている方向と異なる方へ動く時に生じる。例えば、ターゲットにスクウェアなクラブフェースのクラブヘッドが、ターゲットラインのアウトサイドからインパクトに突入する場合だ。スウィング軌道とフェースの向きに角度があるため【編註:一線でないため】、このインパクトはサイドスピンを生む。このケースではスピンは時計回りであり、クラブヘッドが動くのと反対方向である(ニュートンの『運動の第三法則』or『作用・反作用の法則』)。このスピンはショットが左から右へカーヴする原因となる。その反対の状況は右から左へのショットを生み出す。バックスピンが同じであれば、スウィング軌道とクラブフェースとの間の角度が大きければ大きいほど、カーヴの度合いも大きくなる。バックスピンはサイドスピンを凌ぐ。それが、ショートアイアンではロングアイアンやウッドなどに較べてフックやスライスが生じない理由である。

ボールの赤道から下を打たない限り、バックスピンを与えないことは不可能である。低く飛び、急速に地面を打つショットにオーヴァースピンはなく、お粗末なコンタクトに由来する普通のショットよりもバックスピンが少ないだけである。宙に浮かぶどんなショットにも、全て幾分かのバックスピンが存在する」

【おことわり】画像はhttp://3.bp.blogspot.com/にリンクして表示させて頂いています。

(October 31, 2014)


ゲームをコントロールする作戦・第一部

この記事の筆者Chuck Cook(チャック・クック)は、Jason Dafner(ジェイスン・ダフナー)、Keegan Bradley(キーガン・ブラッドリィ)、Luke Donald(ルーク・ドナルド)などPGAツァーの有名プロたちのコーチを務めるPGAインストラクター。

'Strategies for getting your game under control' by Chuck Cook,
a part of 'The PGA Manual of Golf'
edited by Gary Wiren, Ph.D. (MacMillan Publishing, 1991, $39.95)

「《ルール No.1  出来ないことをしようと思うな》

われわれが実施したリサーチで、中規模の大きさのグリーンへ、完璧なライの150ヤード地点から打つショットの半分に成功するのはハンデが10以下でなければならないことが判った。あまりにも多くの一般ゴルファーが、悪い結果を招く場合のことに無頓着にこの距離(あるいは以上)から打ってしまう。どんなトラブルに陥るか、そこからのリカヴァリがどんなに困難かを考えずに。

他のテストで、次のことも判明した。あなたのクラブヘッド・スピードが少なくとも28 m/sなければ、3番ウッドの方がドライヴァーより遠くに飛ぶ。だが、大抵のゴルファーは可能ならどんな時でもドライヴァーを打とうという衝動を抑えられない。

上級者には、12フィート(約3.7メートル)を越えるパットは、ほぼ40フィート(約12メートル)のパットと同じくらい難しいことが判った。だから、あなたが上級者なら、12フィート以内でどれだけのパットを成功させたか考えるべきだ。この距離以下でかなりのパットを成功させていないのであれば、それ以上の距離でパットを沈める期待をすべきではない。『グリーンには結構乗せたんだが、パットがうまくいかなかった』という嘆きをよく耳にするが、多くの場合、パッティングがまずかったのではなく、Ben Hogan(ベン・ホーガンの『より近くに寄せろ』という言葉を実践出来なかったのだ。

 

われわれのゴルフ・スクールではハンデ24以上の者を初級、12〜24の者を中級、12以下の者を上級と分けている。

初級者は『ルール No.1』を適用し、ドライヴィング・クラブに5番ウッド、プレーイング・クラブは通常5番アイアン、ショート・ゲームには7番アイアン、サンドウェッジ、パターを用いて学ぶ。上達すればそれら三部門にクラブを足せるが、コースへ持って出る前にあくまでも練習場での能力発揮が前提である。

中級者は一つの基本となるショットを学び、それをコースで用いる。高等技術(意図的フック、意図的スライス、高いショット、低いショットなど)はアンタッチャブル。一つのスウィング、一種類のショットでひたすらムラのないプレイを目指す。腕前が上がり、練習場で折り紙がつけば高度なショットをレパートリーに加えてよい。

上級者はショットメーキングの基礎、異なる弾道と軌道、状況別の使い分けなどについて学ばなければならない。私の指導法は《嫌いなショットを練習し、好きなショットでプレイせよ》というものだ。

【強みを活かせ】

ルール1を守り抜くには出来る限りあなたの強みを活かしてプレイすべきだ。それが出来ないのなら、ホールの強みとの闘いにおいて思慮深くなければならない。優先順位、以下の通り。

1. プレイヤーの強み vs. ホールの弱み

ラウンドを計画する際、最も攻撃的であるべきホールを待ち受けるべきである。例えば、初級者はキャリーを強制しない比較的トラブルの少ないホール(あるいはコース)、中級者は攻撃にいくつかのオプションがある大きなグリーンのホール(あるいはコース)、上級者は自分の自然なショットを活かせるホール(あるいはコース)…を見繕う。

2. プレイヤーの強み vs. ホールの強み

可能な限り、自分の自然な持ち球でプレイし、ホールにショットを合わせる。それが出来ない場合、そのホール(あるいはコース)は慎重に対処し、あなたのハンデに基づくパーでプレイすべきである。

3. プレイヤーの弱み vs. ホールの弱み

往々にして、最も快適な状態からほど遠いプレイをしなければならない時がある(ゴルフとはそういうもにだが)。例えば、初級者が池越えに差し掛かった時や、上級者が自分の持ち球と反対のショットを打たねばならない場合とかトラブル方向を狙わなくてはならない場合などだ。こういう状況に出くわしたら、ミスした場合のベストの地点を探す。池越えに直面した初級者なら、【編註:グリーンやピンを狙うのではなく】キャリーで池を越えられる最も短いクラブを選ぶ。中級者はバンカーを避け、上級者はグリーンの安全な部分を狙う。

4. プレイヤーの弱み vs. ホールの強み

これはほぼいつも大惨事への招待状となるので、常に避けたいシチュエーションである。この難局に遭遇すべき理由は見出せない」

(November 03, 2014)


ゲームをコントロールする作戦・第二部

この記事の筆者Chuck Cook(チャック・クック)は、Jason Dafner(ジェイスン・ダフナー)、Keegan Bradley(キーガン・ブラッドリィ)、Luke Donald(ルーク・ドナルド)などPGAツァーの有名プロたちのコーチを務めるPGAインストラクター。

'Strategies for getting your game under control' by Chuck Cook,
a part of 'The PGA Manual of Golf'
edited by Gary Wiren, Ph.D. (MacMillan Publishing, 1991, $39.95)

「《ルール No.2 ストレートなショットが痛手となる地点を狙うな》

テストによって判ったことだが、かなり多くのペナルティ・ショットはボールがカーヴすることによるものではなく、12対1の割合でお粗末な方向性のせいによるものだ。だから、トラブルに向かって、あるいはトラブル近くを狙うショットは、事実上そのトラブルに陥ることを保証するようなものだ。

あなたが初級者なら、次にパット【編註:テキサス・ウェッジを含む】出来る地点に向かってプレイすべきである。大方の初級者はミス・ショット(トップ、ダフり、トゥ・ヒットなど)を異常なほど大量に打つものだが、それらはボールを地面に保ち続けることは間違いない。だから、ピンに向かう滑走路を選んでプレイすれば大惨事は避けられる。

中級者は、ライフル銃の精確さではなく大まかな狙いで撃つ散弾銃のようにプレイすべきだ。どのショットでも最も大きなターゲットを選び、大抵のトラブルから遠ざかることで身を守る。

上級者の作戦は簡単だ。トラブルに向かって狙い、トラブルを避けるようにボールをカーヴさせる。

【ショットに合わせた戦術】

コースやホールに特化した戦略は書き切れないが、以下はあなたが直面するショットに対する一般的な助言である。

・ティー・ショット

この重要なショットの戦術は、他のショットより攻撃的であるべきでないということだ。あなたの法則は《ホールに近づくにつれ攻撃的であれ》というものであるべきで、ティー・ショットの目的は次打に最適な位置にボールを運ぶことである。テストの参加者の多くがティー・ショットの二回に一回無理なくフェアウェイに運べる確率は3番ウッドによるもので、それ以上では稀であった。

 

・前進するショット

これはティー・ショットの後、グリーンを狙えないもののとにかくボールを先へ進めるショットである。ここでも次打を出来るだけ容易にする作戦を取る。多くのプレイヤーが、長いクラブの難しさやうまく打てなかった場合に何が起るかなどを考えることなく、最も長いウッドを用いる。われわれは、テストの参加者が少なくとも二回に一回フェアウェイからフェアウェイに打てる最も長いクラブを調べた。大方のプレイヤーがうまく打てたのは4番ウッドか5番ウッドであって、それ以上では稀であった。

・ターゲットを狙うショット

これはグリーンに乗せることを期待するショットである。ここでのキーワードは『期待』である。初級者にとってのこのターゲット圏は50ヤード以内であろうし、大方の中級者にとっては100〜125ヤードに延長されるだけで、上級者がグリーンまで150〜175ヤードを越える範囲をターゲット圏と出来ることは稀である。その意味するところは、少なくとも二回に一回グリーンにオンさせる期待が出来る距離が何ヤードであれ、そこからは『前進するショット』でなく『ターゲットを狙うショット』を打つ資格があるということだ。その有資格ゾーンの長さは次の二つの要素のどちらか、ターゲット・プレイの向上あるいはショートゲームの上達によって増大する。ショートゲームが達者なら、あなたのランクを越えてもっとターゲット・ショットを試みてよい。この査定をする際は、自分に正直であるべきだ。

・部分的ショット

これはグリーン周辺での、フル・ショットより小さいショット(パット、チップ、ピッチ、バンカー・ショットなど)である。グリーン外からのショットにおける優先順位は順に、オンさせること、ピンに寄せること、カップインさせることである。グリーン上では、カップに近いほど攻撃的に攻める。一方、遠ければ用心深くパットする。これは短いパットでは突撃し、長いパットでは寄せるという意味ではなく、短いパットではメンタルな成功への期待、長いパットでは2パットで満足する考え方等を確立するということだ。かなり頻繁に、プレイヤーは正反対のこと、短いパットにびくびくし、長いパットで無謀になりがちだ。

・トラブル・ショット

望ましくない場所にボールを運んでしまった場合の考え方は、《下手な考えでひどいショットを続けるな》である。言葉を替えれば、ボールをプレイアブルな場所に戻すことが第一、ギャンブルしてよいのは成功がかなり確実であり、ギャンブルが少なくとも1/2打をセーブしてくれる時だけである。これから試みようとしているショットによって、スコアをネットで4、5以上悪くならないという条件を満たすなら、一か八かやってみるべきだ。もし、ミスしたら6以上になる恐れがあるなら、ボールをフェアウェイに戻すだけにし、そこからプレイを継続すべきだ」

(November 06, 2014)


ゲームをコントロールする作戦・第三部

この記事の筆者Chuck Cook(チャック・クック)は、Jason Dafner(ジェイスン・ダフナー)、Keegan Bradley(キーガン・ブラッドリィ)、Luke Donald(ルーク・ドナルド)などPGAツァーの有名プロたちのコーチを務めるPGAインストラクター。

'Strategies for getting your game under control' by Chuck Cook,
a part of 'The PGA Manual of Golf'
edited by Gary Wiren, Ph.D. (MacMillan Publishing, 1991, $39.95)

「・ラウンドを計画せよ

どのホールがあなたのプレイに最適であるか決定し、それらのホールがあなたの通常の傾向に味方してくれるせいで大胆に攻められることをメンタルに記憶する。また、どのホールがあなたに相応しくないかにも注意し、それらでは注意深く前進する。全てのティーショットでどこを狙うか視覚化し、計画を練る。あなた方の多くはしょっちゅう同じコースでプレイしているのだから、試行錯誤している筈だ。だがもしあなたがあまり慣れ親しんでいないコースでプレイするのなら、その助けとなるいくつかのヒントがある。先ず、トラブルを明確に知ること。それは時間をかけてよく見れば明らかな筈だ。第二に、ヤーデージマーカーの位置を知ること。どのホールでもグリーンまでの距離を知るために必要だ。

・ウォームアップ

コースに到着したら、次の三つを満足させるウォームアップの時間をとる。

1. プレイの質を高めるためと負傷を避けるため、筋肉をゆるめる。
2. その日にどのスウィングが可能か突き止める。
3. 弾道の傾向を知り、必要なら計画を変更する。

・計画を実行する

期待通りコトが運ばなくても、設定したゲーム・プランにこだわること。問題があってもそれを帳消しにしようとか、自分の能力を越えて無理押ししようとしてはいけない。計画を立てる目的は、少ないスコアを達成する最良の方法を準備するものである筈だ。ラウンドが熱気を帯びているさなかに計画を変更するのは、事前の計画が杜撰だったということを認めるようなものだ。そんなことをすれば、無駄にした二、三の打数が、1ダースかそれ以上に膨れ上がるやも知れない。

 

・正しい心構えをするための手順

1. スウィングの選択

誰しも様々な理由により日々同じように感じることは出来ない。その理由とは、健康(病気、二日酔い等)、食事(前夜摂取した大量の塩分で手がむくんでいる等)、最近のゴルフ歴(長くゴルフしていない、あるいは沢山プレイしている等)など。したがって、身体に毎日同じレヴェルの性能を発揮することを期待するのは現実的ではない。あなたのスウィングが固く不安定な日々もあろう。ゴルフでありがたいのは、あなたを助ける14本の道具があるということだ。それは伸び伸びとした自由な日に相応しいだけでなく、固く強ばった日に相応しく変化すべき道具でもある。しかしながら、どちらの日であっても、ターゲットに届かなくてはならない。だから、第一に熟慮すべきは、その日の身体のコンディションに効果的であるスウィングを選択することだ。

2. ターゲットの選択

いったんスウィングを選択したら、どのターゲットが利用出来るかが分る筈だ。スウィングが最高に感じられる時には様々なオプションが利用出来る。元気がない日、あなたのターゲットは限られている。

3. クラブの選択

次のステップは正しいクラブを選ぶことで、これは簡単である。《快適なスウィング+快適なターゲット=正しいクラブ選択》である。

4. 熟知している道を歩め

何かをより多く行えば、それはより慣れ親しんだものとなり、より快適に感じられるものとなる。夜、暗く曲がりくねった道を初めてドライヴする時、あなたは注意深く急な発進停止を繰り返す筈だ。同じ道を、夜に何度も通過すれば、ほぼ無意識にドライヴ出来る。あなたのゴルフ・ショットの打ち方の学習も同じパターンであるべきだ。一貫したプレショット・ルーティーンを開発し、それを練習でもコースでも用いるべきである。それを実行すれば、あなたは熟知した道をドライヴすることになり、ショットも良くなり、スコアも少なくなることだろう」

(November 09, 2014)


距離患い

「恋患い」は恋い焦がれる人と一緒になりたい、相手を自分のものにしたいと懊悩すること。「距離患い」は人も羨むような飛距離を得たい、それを見せびらかしたいと悶えること。この記事の筆者Dr. David F. Wright(デイヴィッド・F・ライト博士)はスポーツ心理学者であり、PGAツァー・プロたちのインストラクターでもあります。

[Mind Under Par]

'Mind Under Par'
by David F. Wright, Ph.D. (Behavior Change Media, 1997, $15.96)

「男性ゴルファーが特に距離に執着する。こういうゴルファーがロング・ヒッター達とラウンドすることになると、ともすれば競争心に囚われる。ティーからの飛距離が男らしさの度合いと等価であるという暗黙の指針があるみたいだ。こういうロングヒッターと組み合わされたショート・ヒッターは、追いつかなきゃという頑張りズムと緊張を作り出し、パフォーマンスの悪化に見舞われる。ターゲットに向かって打つことに集中すべき心が、他のプレイヤーのパフォーマンスへの関心に取って代わってしまう結果である。

あるPGAツァー・プロは、1992年のPGA選手権最終日にJohn Daly(ジョン・デイリィ)と組み合わされ、John Dalyの飛距離に魅了されてしまった。その後彼はボールを遠くに打つことだけに専念し、スウィングも変えた。その結果、彼はゲームをプレイする能力を失ってしまい、いたく後悔することになった。

ゴルフ用具メーカーの宣伝マンは、ゴルファーの"distance disease"(距離患い)をよく承知しており、『より遠くに飛ばせ!』(ドライヴァー)とか『ゴルフ界最長飛距離を生むボール』などの広告が後を絶たない。だがHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)が云ったように『森の中はロング・ドライヴで一杯だ』【編註:「森の中はロング・ドライヴの墓場だ」の意】。John Daly、Fred Couples(フレッド・カプルズ)、Davis Love(デイヴィス・ラヴ)らは例外で、こういう人々は稀である。

シニア・ツァー【現チャンピオンズ・ツァー】のドライヴィング飛距離No. 1だったJim Dent(ジム・デント)は、ここ数年で何を変更したか?と問われ、『チッピングとパッティングだ。シニア・ツァーに参戦するまで、ショートゲームの練習などしたことがなかった。ボールを遠くに飛ばすことが自分の使命だと思っていた。それが間違いであることを悟った。スコアを良くするには、ボールをカップに入れなきゃならないんだ』と語った。

Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)は1995年に$737,475稼いだが、平均飛距離は253.1ヤードで、ツァーの飛距離ランキング72位だった。パッティングでは49位。

Corey Pavin(コリィ・ペイヴン)は1991年の賞金王だったが、平均飛距離は252ヤードだった。彼は『私はずっと以前に飛距離への関心を失った。私はその気になれば270ヤード打てるし、それで充分だ。昨シーズン、私は五つのイーグルをものにした』と云っている。彼は1995年のU.S.オープンに、平均飛距離257.3ヤード(73名中の66位)で優勝している。

PGAツァーのDennis Paulson(デニス・ポールスン)は1994年の飛距離ランキング二位で、最長距離は385ヤードであった。彼が参加したあるトーナメントの初日、Jose Maria Olazabal(ホセ・マリア・オラサバル)がコースレコードの63で廻った。翌日、Dennis Paulsonは62で廻って、Jose Maria Olazabalのコースレコードを書き換えた。彼は三日目に74を叩き、四位に終わった。彼は『62で廻った日は74の日より、ボールをうまく打てなかった。違いはパッティングだった』と云った。

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が1992年のシニアU.S.オープンに優勝した時、四日間で彼がドライヴァーを使ったのはたった17回だった。Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)が1962年のPGA選手権に優勝した時、彼は一度もドライヴァーを用いなかった。

リサーチの結果、以下の如し。
1) ウッド・クラブでプレイされるのは、ゴルフ・ゲームの25%である。
2) 43%はパッティングである。
3) ゴルフ・ゲームのほぼ72%は150ヤード以内でプレイされる。

あなたがティー・グラウンドに立った時は、フェアウェイのターゲットに集中し、素振りのフィーリングをなぞるようにすべきだ。飛距離に焦点を合わせると頑張りズム、緊張、そしてミス・ショットを生みがちである。あなたのベストの飛距離と正確度は、無理強いではなく、自然に生み出されるべきものだ」

次はDr. T.J.Tomasi(T.J. トマシ博士)が語る全英オープン・チャンピオンの悲劇。

「Ian Baker Finch(イアン・ベイカー・フィンチ、豪州)は1991年に全英オープン優勝、The Masters(マスターズ)でトップ10に三回(1992年は六位タイ)、1988年オーストラリア・マスターズ、1993年のオーストラリアPGA選手権でも優勝と輝かしい戦績を誇っていた。その彼はスウィングに苦しみ、1997年の全英オープンの初日に最初のホールで200ヤードもフックさせたOBを含んで92を叩き、直後にプロ生活に終止符を打った。将来あるキャリアを、彼はどんな風に駄目にしたのか?彼は中距離ヒッターだったが、もっと距離が必要だと考えスウィングを変えようと試みたのだ。いったん変えたスウィングは、もう二度と再び戻らなかった」

【編註:Ian Baker Finchは現在CBS-TVのゴルフ中継の解説者の一人となっています】

私がよくプレイするシニア・グループのゲームでは、75歳以上ならレディス・ティーで打てるルールです。75歳でもアメリカの体格がよく元気もあるゴルファーたちは、二打目地点で私に50〜100ヤードも先行していることが多く、私がつい劣等感を感じてしまうほど。しかし、上がってみると私も彼らもパーだったり、彼らがボギーということもあり、"drive for show…"(ドライヴは見世物)という言葉が的を射ていることを痛感します。

次は、David F. Wright博士が付け加える、暴力的に飛ばそう!の反対のtipです。

「Sam Snead(サム・スニード)は『距離を増したければ、ダウンスウィングに時間をかけろ』と云った。ミリセカンドの違いをコントロール出来るわけもないので、『急ぐな』というフィーリングの問題であろう。私はグリップ圧に焦点を合わせて練習することを勧める。かなり軽くグリップし、スウィングの間じゅう同じ感覚を維持する。飛ばそうと思うとトップでグリップ圧が強くなりがちで、それはミスに繋がるものだ」

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(November 09, 2014)


全員集合ドリル

これはパッティングのための練習法です。

'Golf's Mental Magic'
by Dr. Guy S. Fasciana (Bob Adams, Inc., 1992, $12.95)

「・全員集合ドリル

いくつかのボールを用意し、その一個を特定の方向に向かって打つ。そのボールの行方を見てはいけない。次のボールを、前と同じタッチになるよう模倣して打つ。ボールを見送らずに全てのパットを終えたら、漏れなく同じ場所に全員集合しているかどうか確認する」

・距離感養成ドリル

1) バックストロークを15センチ引いて打つ。
2) バックストロークを30センチ引いて打つ。
3) バックストロークを45センチ引いて打つ。

その結果を脳裏に刻む」

(November 27, 2014)


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