これはインストラクターHank Naney(ハンク・ヘイニィ)による総合的に(パットだけでなく)ウォームアップする方法。
'Only got 5 minutes?'
by Hank Haney ('Golf Digest,' September 2012)
「ゴルフは間違いなくスポーツの一つなのだから、ベストの状態でプレイするにはちゃんとウォームアップする必要がある。ツァー・プロのように45分たっぷり時間をかけられれば云うことはないが、多くの場合最初のティー・グラウンドに駆けつけることになりがちだ。たった5分しかないとしても、それをなんとか利用することが出来る。
ゴルフで重要な筋肉とストレッチングに時間を使うことから始める。アイアンを二本一緒に持ってスウィングする。エクストラの重さがあなたの捻転を助けてくれる。
その後、ウェッジで数個のボールを打ち、7番アイアンでも数個、最後にドライヴァーを打つ。その際の目的は機械的動作の矯正ではなく、スムーズなスウィングとソリッドなコンタクトである。
最終段階は練習グリーンに向かう。二個のボールで4.5〜6メートルの距離を、主に強さに意識を集中してパットする。
ティー・グラウンドに向かう時、スローダウンするよう自分に云い聞かせる。No.1ティーにおける速いテンポは、粗っぽいティー・ショットを生み、その日の悪い基調を作ってしまう」
(September 07, 2012)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)がわれわれアマチュアに説く、80切りのコツ。
'Secret to breaking 80'
by Johnny Miller ('Golf Magazine,' October 2012)
「80を切る秘訣は、50ヤード以内のプレイに習熟することだ。チッピング、パッティング、ピッチングを練習せよ。いいショートゲームは七難(=エラー)を隠してくれる。
時間と努力が必要だ。だが、それは15センチのラフの中やバンカーの顎の下に埋まっているボールをセクシーに寄せたり、20メートルのパットを練習することではない。一日にショートゲームのショットを200〜300打練習したがるタイプの人でなければならない。だが、これは最も簡単に打数を減らせる方法なのだ。
いいショートゲームの持ち主は、『オンしなくたって、どっちみちパーで上がれる』と自分に云えるので、アイアンの『乗せなきゃ!』というプレッシャーを軽減出来る。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)を見てみなさい。彼らは私に匹敵するほどアイアンをうまく打てないのだが、彼らのショートゲームは私を…えーと、(この言葉は使いたくないのだが)へたくそに見せてしまう」
(September 24, 2012)
インストラクターBrady Riggs(ブレイディ・リグズ)が明かす、ヴィデオ撮影のコツとスウィング分析法。
'The No. 1 key to improvement'
by Brady Riggs with Michael Chawsky ('Golf Magazine,' October 2012)
「自分のスウィングを録画するタイミングは、不調の時にその原因を調べるためだけとは限らない。絶好調でスウィング出来ている時に、自分の理想のモデルとして撮影しておけば、好・不調のスウィングの違いが確認出来る。あなたのポケットにあるスマートフォンを使うことによって、ヴィデオはかつてないほど簡単に、そして快適に利用出来るようになっている。
撮影は、"down-target view"(ターゲット・ライン後方からの視点)から始める。これは両手の位置の真後ろでカメラを構えるものだ。トップでのクラブヘッドを完全に捉えるため、頭の上に1メートルほどの余裕を置く。アライメントを示すクラブや棒を置いて、適切なカメラ・アングルの助けとするとよい。
・ヴィデオ撮影の六つの要件
1) カメラの高さ
私は常にベルト・バックルの高さで構える。手持ちカメラで撮る場合、撮影者は膝立ちする必要がある。最悪の高さは目の高さで、これはスウィング中のクラブの角度を異常に見せてしまう。
2) 三脚を使え
あるいはゴルフ・バッグにカメラを括り付ける。静止した画像は正確なスウィング分析を容易にしてくれる。
3) 全てのショットを撮る必要はない
ある特定のテクニックや身体の位置関係を練習中であれば、五回に一回の撮影で充分である。
4) ソリッドに打てている時だけ撮影せよ
これは不調になった時にコピーすべきいいスウィングを記録するためだ。
5) ターゲット・ライン後方からと、身体の正面からと両方撮影する
両方の視点からだと問題点が明らかになることが多い。どちらか一つなら『ターゲット・ライン後方』を選ぶ。
6) 時々グリップも撮影すること
グリップの一寸した変更はスウィングに影響する。グリップのクロースアップを、ターゲット・ライン後方からと、身体の正面からと両方撮影しておく。
・10ヶ所のチェック・ポイント
1) アドレス
チェックすべきポイントは、上体が前に充分屈んで、両腕が肩から真っ直ぐに垂れているかどうか?両肩、腰、両膝と両足はターゲット・ラインにスクウェアかどうか?(スライサーはターゲット・ラインのやや右に向いているかどうか?)
2) テイクアウェイ(クラブが地面と平行になる時点)
クラブヘッドは画面上であなたの手を覆い、クラブフェースはあなたの前腕部の外側と平行であるべきだ。この時点では、クラブフェースは天を指しているべきではない。
3) バックスウィングの中間(左腕が地面と平行になる時点)
グリップエンドの延長線がターゲット・ラインを指すか、そのやや内側を指すべきである。もし、ターゲット・ラインの外側を指していると、ダウンスウィングでフェースをスクウェアにするのは困難になる。
4) トップ
クラブヘッドは両手よりも上で、両手の真後ろにあるべきである。テイクアウェイでそうだったように、クラブフェースは左腕と平行になっていなければならない。
5) 切り返し
スウィングの中でインパクトの瞬間が最重要だとすれば、この切り返しの瞬間は二番目に重要なポイントである。グリップエンドの延長線はターゲット・ラインを指すか、その外側を指す。これがムラのないコンタクトを生じるチャンスを増やす。
6) ダウンスウィングの中間(クラブヘッドが両手の高さに近い時点)
クラブヘッドは両手よりも内側(あるいは左側)にあるべきで、これが正しい軌道でボールに向かうことを確実にする。もし、クラブヘッドが両手の外側(あるいは手の右側)にあると、プルやスライスで苦労することになる。
7) インパクト
クラブはターゲット・ラインの若干インサイドからボールの後部内側に向かうべきである。もしクラブがアウトサイド・インの軌道だと、ソリッドなショットではなく、強打することになる。
【編註】この時点で背骨の前傾角度はアドレス時の角度に揃っているべきです。
8) リリース(クラブが両手の高さに近い時点)
クラブシャフトとヘッドは、手と身体の狭い隙間で依然として見えているべきである。また、クラブヘッドは両手のやや右にあるべきである。
【編註】この時点で背骨の前傾角度はアドレス時の角度に揃っているべきです。
9) フォロースルー(クラブが身体の外に出て行く)
ドライヴァーでは左肩方向(アイアンでは左肩の下)に進む、クラブフェースがクラブシャフトに平行かどうかチェックせよ。これは、あなたが正しくクラブフェースを回転させているかどうかを物語るものだ。
【編註】この時点で背骨の前傾角度はアドレス時の角度に揃っているべきです。
10) フィニッシュ
身体の右側は上下にかなり真っ直ぐであるべきだ。あなたの右の靴のスパイクはほぼ全部はっきりと見える。これは、あなたの右サイドが適切に移動したことを示している」
本当は1〜9までずっと「背骨の前傾角度はアドレス時の角度に揃っているべき」なのですが、あえて7〜9だけに【編註】を入れたのは、この時点での前傾角度の維持を忘れがちな筆者の自戒のためです。最近、これを忘れないで実行すると、とても切れ味のいい球がピンに向かうようになりました。
(September 24, 2012)
この記事の筆者Jim Flick(ジム・フリック)は長くJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のインストラクターを務めていましたが、Tom Lehman(トム・レーマン)の師匠でもあります。
'Want lower scores? Hit more greens'
by Jim Flick ('Golf Digest,' October 2012)
「あなたは飛距離を得るために、ボールのコントロールを犠牲にしていないだろうか?だとしたら、それは大きな間違いだ。2000〜2010年の期間で、PGAツァーの飛距離部門の上位の者たちの賞金獲得額の平均順位は100位だった。パーオン率の上位の者たちの賞金獲得額の平均は37位である。
1995〜1996年にかけて、Tom LehmanはPGAツァーのパーオン率のトップだった。彼が1996年に全英オープンとツァー選手権に優勝したのは偶然ではないし、彼はこの期間に賞金獲得額でもトップだった。2011年、彼はChampions Tourのパーオン率のトップとなり、案の定賞金王ともなった。
'Golf Digest'誌プロフェッショナル・アドヴァイザーであり統計家のLou Riccio(ルウ・リッキオ)は、一般ゴルファーにとってGIR(パーオン率)は、スコアリングのための圧倒的に強力な指標であるとし、「本気でスコアを縮めたいならGIRのパーセンテージを増やす方法を見つけるべきだ」と説いている。
もっとグリーンを捉えるにはどうすればいいか?"sucker pin"(バンカーや池の背後などに配置されたピン)を無視し、グリーン中央を狙う。アプローチ・ショットに用いるクラブの真の飛距離を知ること(ピンハイに打たれたボールはバーディ・チャンスを与えてくれる)。そのためにティー・グラウンドからフェアウェイに打つことから始めるべきだ。いいライからだとグリーンを狙うのが容易だからだ。
フェアウェイに打つ助けとなるドリルをお教えしよう。これは私がジュニア・ゴルファーたちに与えているものだ。
六個のボールをティー・アップする。
1) 最初のボールをクラブヘッド・スピードの50%で打つ。
2) 次のボールをクラブヘッド・スピードの60%で打つ。
3) 三つ目のボールを70%で打つ。
4) 四つ目のボールを80%で打つ。
5) 五つ目のボールを90%で打つ。
6) 最後のボールを100%で打つ。
これを数回行う。どれがムラのないショットになるだろうか?多くの場合、それは80%か90%の筈だ。Sam Snead(サム・スニード)は80%であると云っていて、それで打つのが常であった。このドリルは、あなたのベストのテンポによるリズムでのスウィングを教えてくれる。試してみなさい。賭けてもいいが、あなたのGIR(パーオン率)は劇的に上昇する筈だ」
【参考】
「パーオン率がゴルフを決める(リッキオの法則)」(tips_89.html)
(September 27, 2012、改訂June 04, 2015)
この記事は、「体型別スウィング」(tips_54.html)の著者の一人で有名インストラクターのJim Suttie(ジム・サッティ)によるもの。彼は生体力学の博士号を持ち、二つのゴルフ・コースのティーチング・プロでもあります。インストラクター集団であるPGA of Americaの百科全書に採録された原稿ですから、信頼出来る内容と云えるでしょう。
'Golf swing misconceptions'
by Dr. Jim Suttie
from 'The PGA Manual of Golf' edited by Gary Wiren (PGA of America, 1991, $39.95)
「・誤解その1:『左腕を真っ直ぐか、固くし続けよ』
もしスウィングの間中左腕が硬直し続けていたら、その腕は身体から独立して動くことになる。また、腕の強ばりは緊張を誘発し、左肩の回転を制限してしまう。
・誤解その2:『頭を下向きにし続けよ』
もしゴルファーが頭を胸に埋めていたら、インパクトで否応無くその頭を上げざるを得ない。『ヘッド・ダウン症候群』は、肩が顎の下へ廻るのを制限してしまう。大体において、この頭の位置はセットアップ時のお粗末なポスチャーのせいである。
・誤解その3:『頭を動かすな』
もしゴルファーが完全に頭を静止させ続けたら、捻転と右足へ体重を移すことが出来なくなる。ツァー・プレイヤーで頭を完全に静止させ続けられる人は非常に稀である。多くのプロは肩を充分に廻すため、頭をほんの僅か動かすことを躊躇しない。普通、バックスウィングで頭は背骨の上部でアドレス時より最長5センチほど動く。
・誤解その4:『ゴルフ・スウィングの中心は胸骨である/頭である』
もし身体の一点(胸骨とか頭)を回転軸としたら、われわれは絶対に右脚に体重を乗せることは出来ないだろう。実際には、スウィングの中心は脊柱底部の後面である。
・誤解その5:『スウィングの間に、ターゲット・ライン後方および前方への横移動がある』
ゴルフ・スウィングはクラブの円運動なのだから、われわれは身体で回転運動を作り出さなくてはならない。スウィングの間、横移動はない。基本的には、横移動する動きに見えるのは、バックスウィングで右踵の上に右腰が、フォワード・スウィングで左踵の上に左腰が乗るまでの回転運動に過ぎない。
・誤解その6:『腕がスウィングし、それに身体が単純に反応する/腕が先ず動き、肩と腰が続いて動く』
もしバックスウィングで手と腕が最初に動くとしたら、バックスウィングで肩は遅れて回転することになる。その結果、ゴルファーは伸張幅を失い、過度に長いだらけたスウィングをすることになり、それはアウトサイドからの手打ちのダウンスウィングになり易い。
本当はバックスウィングの最初は手・腕・クラブヘッド・肩・腰の全てが一緒に動くワンピースの動きであるべきだ。これが体重移動と腕とクラブの伸張、しっかりしたショート・スウィングを確実なものとする。
さらに云えば、スウィングが遠心力を生み出すとしたら、その力を作り出すためにはスウィングの中心が先ず動かなくてはならない。真のスウィング・センターは、腰の後ろにある脊柱底部の後面に位置する。そこが先ず動き、その先行する動きに単純に手・腕・クラブヘッドが反応する。肩や背中、腰などは身体の中で最もパワフルな筋肉だが、ゆっくり動く部分である。これらの筋肉が先ず動き、手・腕などの早く動く筋肉をコントロールする。正しい動きは、常に身体の中心から外側に向かって作り出され’る。絶対にクラブヘッドから内側へではない。
・誤解その7:『バーのストゥールに腰掛けているように、スウィングの最初は踵の上に体重を乗せるべきである』
アドレス時に体重を踵の方に掛けていると、両膝が過度に曲げられがちである。踵の上の体重と曲げられた膝では、外転した腰のせいで下半身を回転させることが出来ない。また、踵に体重を掛けて開始すると、大抵はトゥ以外は動かすことが出来ない筈だ。
・誤解その8:『ボール位置はクラブによって変わる。例えば、ドライヴァーではスタンス前方、9番アイアンではスタンス中央…という風に』
短いクラブでボール位置が変化して見えるのは、実際にはスウィング開始時に体重がより左足にかかった狭くてオープンなスタンスのせいでしかない。ボールは9番アイアンではスタンス中央、ドライヴァーでは左足踵の前方に見える。現実には、ウッドでもアイアンでもボール位置はほぼ同じである。ショート・アイアンでボール位置がスタンス後方に見えるのは、オープンで狭いスタンスのせいである。本質的に、常にむらなく打とうとするならスウィング弧の最低点は一ヶ所しかない。
・誤解その9:『テイクアウェイで、クラブはボールから真っ直ぐ遠ざかる』
ゴルフは横からボールを打つゲームである。それは、ボールの横に立って打つという意味だ。そのセットアップのせいで、クラブをターゲットラインの内側に弧を描いてテイクアウェイせねばならない。それに加えて、手と腕はバックスウィングとフォワードスウィングの両方で身体の回転に追随する。この原理に従えば、肩と腰の回転は、バックスウィングでクラブを自然にターゲットラインのやや内側に押しやることになる。
・誤解その10:『スウィング開始時、体重は右足に乗り始める』
もしアドレス時に体重が右脚に乗り始めたら、身体の回転運動は不可能になるだろう。それだからゴルファーは手打ちになってしまうのだ。また、もし体重がアドレスで右にセットされているとしたら、バックスウィングで体重は左に動きがちになる筈だ。これは多くのゴルファーに見られる逆の体重移動である。実際には、体重は左脚の方にあるべきで、その後右側に動くべきである。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(October 07, 2012)
この記事は、「体型別スウィング」(tips_54.html)の筆者の一人で有名インストラクターのJim Suttie(ジム・サッティ)によるもの。彼は生体力学の博士号を持ち、二つのゴルフ・コースのティーチング・プロでもあります。インストラクター集団であるPGA of Americaの百科全書に採録された原稿ですから、信頼出来る内容と云えるでしょう。
'Golf swing misconceptions'
by Dr. Jim Suttie
from 'The PGA Manual of Golf' edited by Gary Wiren (PGA of America, 1991, $39.95)
「・誤解その11:『バックスウィングで腰の動きを制限し、腰に対抗して肩を廻せ』
ゴルファーがバックスウィングで腰の動きを制限すると、肩の回転幅をも制限してしまう。腰の回転の制限は凄く柔軟性に富んだ、身体の動きが調和したゴルファーだけがすべきことだ。
実際には、腰はバックスウィングとフォワードスウィングの両方の肩の動きをコントロールする。だから、ゴルファーが腰の回転を制限すると、肩の回転まで制限してしまう。肩の回転が制限されていると、腰よりも肩の逆回転によるダウンスウィングを先行しがちになり、プルかプル・スライスを生じてしまう。
・誤解その12:『インパクトではアドレスの体勢に戻るべきである』
われわれはツァーのスター・プロたちのインパクトの写真で、ターゲットラインに対してオープンになった腰と共にほぼ全体の体重が左脚にかかっているのを見る。実際には、腰の位置はアドレスよりややターゲット方向である。多くの人々が間違えるのは、ダウンスウィングで腰を前方にスライドさせ、インパクトで体重移動とバランスに問題を作り出すことだ。実際上、肩の回転はバックスウィングで腰の回転を凌ぐ。だから腰がダウンスウィングの最初に動いてオープンになり、インパクトでも肩に先行すべきなのである。
・誤解その13:『ゴルファーは意識的にクラブをリリースすべきである。リリースという意味は、インパクト・エリアで手と腕を意図的に返すことである』
正しい身体(肩と腰)の回転は自動的に正しい手と腕の回転を作り出す。バックスウィングであれフォワードスウィングであれ、クラブヘッドを意識的にオープンにしたりクローズにしたりすることは、ボールを打つ際に矛盾を作り出す。クラブヘッドをリリースしようとする意識的努力は、お粗末な身体の回転を相殺しようとする結果に他ならない。
ゴルフスウィングが遠心力による円運動であるなら、慣性とクラブヘッドを振る重さが自動的にリリースを作り出す。
・誤解その14:『ゴルフ・スウィングのパワー源は手、腕、手首である。インパクト・エリアでは手首をパチンと弾くべきである』
ゴルフ・スウィングのパワーは梃子の作用(スウィング弧)、捻転(身体の回転)、体重移動から生じるものだ。これら三つの目標を達成するには、身体を回転させねばならない。実質的なゴルフ・スウィングのパワー源は腰である。ダウンスウィングで腰を早く動かせば動かすほど、手・腕も早く動く。インパクト・エリアで手首や手を意識的に用いる必要はない。手と腕は身体の回転に反応して回転するものだ。
・誤解その15:『ゴルファーはボールの後ろに留まるべきである。これはゴルファーがヘッド・ダウンし、インパクト後出来る限り長く右肩を後方に留めた結果可能になることである』
ボールと接触した瞬間に、頭がボールの後ろにあるのは事実である。だが、インパクト直後、肩の強力な逆転運動が肩と一緒に頭を動かし、上昇させる。ボールと接触した後、頭と右肩をボールの後ろに残そうといういかなる努力も、体重を右足に留めてしまう結果となる。このエラーはプル、プル・フック、プッシュ・フェードなどあらゆるお粗末なショットの原因となる。
現実的には、肩はフォワード・スウィングで200度回転する。肩は実際には腰に追いつき、インパクト後に腰を追い越す。フィニッシュでは右肩が左肩よりやや高く、胸はターゲットラインの左を向き、腰は真っ直ぐターゲットラインを向く。このフィニッシュ・ポジションは、肩が腰を追い越して、左足への正しい体重移動が遂行されたことを証明するものである。
・誤解その16:『トップから左手・左腕でクラブを引き下ろすべきである。言葉を替えれば、グリップ・エンドをボールに向かって引っ張り下ろす動きである』
ゴルファーがダウンスウィングで、グリップ・エンド(あるいは左手か左腕)を引き下ろすとしたら、彼は腕に角度を作り出してしまうことになる。このケースだと、左手と左腕を引き下ろすことは左肘を空に向けることを強い、それはクラブフェースをインパクト・ゾーンでクラブフェースをオープンにしてしまう。よりよい助言は『下半身でダウンスウィングを開始し、スウィングの間中両肘が下を差すようにし続けろ』というものだろう。ゴルファーが腰をボールに向かって(スライドするのでなく)回転させるのであれば、クラブフェースは自然にクローズになり、インパクト後左腕は下向きに折られることになる。
加うるに、ゴルフ・スウィングは左右対称の動きであり、身体の右サイドも左サイドも、どちらも優勢であってはならない。
・誤解その17:『正しいゴルフ・スウィングのクラブヘッドの軌道はインサイド・アウトである』
われわれの多くはインサイド・アウトにスウィングせよと教えられている。不幸なことだが、これは正しくない。もしゴルファーが過度にインサイド・アウトにスウィングすると、多くの場合プッシュ・フェードとフックを製造してしまう。インサイド・アウトにスウィングしているように感じられても、実際に起ることは次のようなものだ:インパクト・エリアでクラブはターゲットラインのインサイドからボールに近づく。そして、インパクト後ターゲットラインから左へと動いて行く。これは、バックスウィングとダウンスウィングで手と腕が身体の回転に追随するせいである。インパクト・エリアでクラブヘッドの自然なリリースを生み、ターゲットラインのやや左側の地点にディヴォットを作り出すのは、このインサイド→ストレート→インサイドのクラブの動きなのである。
・誤解その18:『スウィングの間中、体重は中央に留まる』
もしスウィングの間中、体重が中央に留まるとしたら、体重移動をすることが出来ない。また、ゴルフ・スウィングというものは卵形の長円形の弧を描くものだが、これは両肩の二つの関節窩(か)と二つの腰の関節窩(か)とを働かせるために生じるものだ。バックスウィングでの肩と腰の回転は、右踵の上への体重移動を生む。最後にダウンスウィングでは、足・膝・腰の動きが左踵の上への体重移動を生む。
・誤解その19:『ゴルファーは体重移動するよう努力すべきだ』
体重移動は、肩と腰の回転に寄って作り出される。バックスウィングでは、肩の回転とワンピース・テイクアウェイが体重移動の主要な役を務め、ダウンスウィングでは腰の回転が体重移動を司る。スウィングの間、最小限の腰のスライドがあり得る。
・誤解その20:『クラブは単一のスウィング・プレーンで振られる』
先ずはじめに、各自のポスチャー、体型、ボールとの距離、タイミング・システムなどにより、誰しも特有のスウィング・プレーンを持っている。だが、一般的に云って、ダウンスウィングのプレーンは体重が左の回転軸へと動くため、バックスウィングのプレーンより下になる。この左への動きが両腕(両腕は身体に近くなっている)を身体に対して外転させ、バックスウィングよりプレーンを落下させる。しかし、個人個人で独特であり、例外もあり得る。覚えておくべきことは、バックとダウンを単一のプレーンでスウィングすることは不可能だということだ。また、インパクトの60センチ手前で、クラブヘッドはターゲットラインのインサイドからボールに近づくということだ」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(October 10, 2012)
これは「手打ちとの訣別」をするための秘策です。
下半身の回転でクラブを引き下ろすスウィングというのは、いくら口で(あるいは筆で)説明しても理解して貰えそうもありません。レッスン・プロについている方は早期に教われることでしょうが、私などいくら本や雑誌を読んでいても本当に身についてはいませんでした。やっと発見した方法は、ロープ一本で先ず形とフィーリングを身につけることでした。
1) ロープを一本用意します。
2) 木か柱の上の方にロープの一端を縛り付けます。
3) ロープをぴんと張るようにして、スウィングのトップの形を作ります。
4) 腕と手の力を使わず、下半身の力だけでロープをボールの方向に引っ張り下ろそうとします。
【右の写真は、ドア上部の掛けがねにロープを引っ掛けて練習しているところです】
これが《下半身の回転でクラブを引き下ろすスウィング》の形とフィーリングであり、この下半身主導のダウンスウィングがレイト・ヒットの基礎となるものです。クラブヘッドをロープで縛り、それを木か柱に縛り付けて同じことをすれば、実際のスウィングにより近づきます。
ボールを打つ時も、ダウンスウィングの開始でこの形とフィーリングを再現します。ボールが右へ出て行くような不安に駆られますが、実際にボールを打ってみると、ボールは真っ直ぐ、しかもクラブのロフトに相応しい軌道で飛びます。以前の手打ちに較べれば、飛距離も増す筈です。
(October 13, 2012)
Gardner Dickinson(ガードナー・ディッキンスン、1927〜1998)は、アラバマ州に生まれてアマチュアとして優秀な成績を残し、プロになってからはBen Hoganに可愛がられた存在です。彼の回想録は、ほとんど知られていないBen Hoganの素顔を教えてくれます。
'Let 'er Rip'
by Gardner Dickinson (Longstreet Press, 1994)
Gardner Dickinsonはプロ入りする前の1951年に連戦連勝し、翌年プロ入り。1953年春、メキシコ・シティで開かれたPan American Openで、運命的なBen Hoganとの出会いを経験します。彼は最初の2ラウンドを快調にプレイし、トップ・グループに近い位置につけていました。三日目、彼は全盛期のBen Hoganと、若手のスターArt Wall(アート・ウォール)と組み合わされます。気圧され、ビビってしまったGardner Dickinsonは、最初の四つのグリーンで3パット、No.6ではティー・ショットを林に打ち込んでしまい、憤怒の形相でフェアウェイに向かおうとしました。すると、Ben Hoganが彼の肩を掴み、「スローダウンしろ。色んなことを考えず、本能でプレイしろ」と諭しました。Gardner Dickinsonは驚きました。“冷たい男”として知られていたBen Hoganが話しかけてくれ、なおかつ助言を与えてくれるとは!
翌週、Gardner Dickinsonはテキサス州ダラスのColonial Invitationalに赴きます。招待された選手の一人としてではなく、観客としてBen Hoganについて歩きました。この頃のトーナメントにはロープはなく、プロの近くで見物出来ました。初日のNo.6のフェアウェイで、Ben HoganはGardner Dickinsonを振り向き、次のようなメモを渡しました。「Gardner、キミの財政状態は知らないが、もし金欠になるようなことがあってもゴルフを諦めるな。私の内緒の電話番号を書いておく。いつでも電話してくれ。金を用意するから」 Gardner Dickinsonは、偉大なBen Hoganがそこまで自分を認めてくれていることに感激し、その年、参加したどのトーナメントでも賞金を獲得し、Ben Hoganに電話しないで済むことになりました。
1953年の全英オープンの際、Ben Hoganはそのラフの深さが脱出不能であることに気づき、絶対にラフを避けようと決意しました。ところが、彼は何故かグリーンをオーヴァーしてラフに入れてしまうミスを連続。その理由は、英国のピンが1.5メートルしかなく、2.1メートルある米国のピンより短いので、現実より距離が短く見えるせいだったのでした。 1953年末、Gardner DickinsonはBen Hoganに手紙を書きました。Ben Hoganは絶対にゴルフ・スウィングの指導をしないということで有名でしたが、「そのいつものルールの例外として、私のスウィングを見てくれませんか?」と頼んだのです。当時、Ben Hoganは、冬場だけカリフォーニア州のパーム・スプリングスにあるTamarisk C.C.に所属していたのですが、「ここへ来れば見てあげよう」と返事して来ます。Ben Hoganの指導というのはTamarisk C.C.のメンバーでさえ驚くべき出来事だったそうです。 数ヶ月後、Gardner DickinsonはBen HoganからTamarisk C.C.でのアシスタント・コーチの仕事をオファーされ、一も二もなく引き受けます。彼の最初の生徒は、ラジオやTV、映画で有名なコメディアンのJack Benny(ジャック・ベニィ)で、幸運にもGardner Dickinsonはその有名人にピン傍で停止させるバンカー越えのウェッジ・ショットを教えることに成功し、Ben Hoganの舌を巻かせます。 毎日、Ben HoganはFuzzy(ファズィ)というシャグ・キャディにボールを拾わせながら練習していました。Hoganのショットが正確なので、Fuzzyは僅かに1メートルぐらいしか前後左右に動かずに済むので、ゴルフ関連で最も楽な仕事と云えるものだったそうです。 |
「この世で私(Gardner Dickinson)ほどBen Hoganの練習を見た人間はいまい。だから、彼のスウィング技術に関する私の印象を記し、神話のいくつかに終止符を打てればと思う。
Ben Hoganはバックスウィングで腰の捻転を控えめにすると云っていたが、特にドライヴァーにおいては彼が腰の捻転を制限しているスウィングなど見たことがない。仮に、彼が北に向かって打つとすると、スウィングのトップで彼のベルトバックルは南を向いていた。【編註:90°の腰の捻転】 偉大な人でも、自分が考えているようにスウィングしていないということだ。
Ben Hoganはクラブヘッドを振るのではなく、シャフトを振る人であった。彼はクラブヘッドや彼の身体の一部でなく、シャフトに注意を向けていた。アドレスでは、クラブフェースを思った通りにボールの後ろに配置するものの、それ以降はシャフトのことしか考えないのだ。
Ben Hoganの著書'Five Lessons'(『モダン・ゴルフ』)は、低いダックフックを防ぐための方策以外のなにものでもなく、世の中にそんなものに悩むゴルファーはほとんどいないと云ってよい。私がフロリダ州でゴルフを教えていた時、彼の本に忠実に指導した。多分、生徒の2/3はそれで助けられたかも知れないが、残る1/3の生徒には不治の病【編註:スライス病】を与えたろうと思う。出来ることなら、私はその犠牲者たちにレッスン代を払い戻したい思いだ。
Ben Hoganは私の知る中でベストのダンサーだった。彼は妻Valerie(ヴァレリー)とダンス学校で学んでいて、中南米ダンス(マンボ、タンゴ、チャチャチャなど)が得意だった。午前1:00頃、バンドの連中が帰り支度を始めようとすると、Ben Hoganはバンド・リーダーにキャッシュを渡し、さらに一時間近く踊ったものだ。
ゴルフ・クラブを製造する会社Ben Hogan Companyは、テキサス州ダラスの石油成金Pollard Simon(ポラード・サイモン)が主な出資者だった。Ben Hoganブランドの最初の製品が出来上がった時、Ben Hoganはその出来映えに不満で、『こんな不良品を売り捌くよりは、一からやり直す』とPollard Simonに告げた。しかし、Pollard Simonは経費を取り戻すべく、Ben Hoganが努力してそれらを販売すべきだと主張した。Ben Hoganは拒否し、結局これら大量のクラブは日本に流れて行ったと聞いている。その後、Ben Hoganは銀行から$450,000の借金をし、Pollard Simonの出資金を返して彼と縁を切った。
Ben Hoganのツァー・プロとしてのキャリアがほぼ最終段階に近づいた頃のことだ。私とGeorge Knudson(ジョージ・ヌードソン、カナダ)が、マサチューセッツ州で開催されたトーナメントでBen Hoganと一緒に廻ったことがある。ボストン付近はゴルフ人気の高い地域で、この時も信じられない位もの凄い数の観客が集まっていた。われわれがティー・オフした時、No.1のフェアウェイだけでも50,000人ぐらいのファンが並んでおり、木々も人で鈴なりだった。Ben Hoganはボールで旗竿を攻撃する目の覚めるショットと、Yipsによる哀れなパッティングの両方を披露した。どのホールのフェアウェイも群衆で埋まっており、通り過ぎるBen Hoganに声援を送り、多くの人々は彼らの帽子を胸に当てて【編註:最高の敬意を表すジェスチャー】Ben Hoganを見送った。これは私が目撃したことのない驚くべき光景であった。絶え間なく続き、木々の間にこだまする拍手の音も異常であった。その音は私の首の後ろの毛を逆立たせた。Ben Hoganは帽子のツバに手を当てて声援に応えながらフェアウェイをとぼとぼと歩き、明らかに当惑していた。私とGeorge Knudsonにとって、これほどプレイしにくい状況はなかった。何故なら、われわれ二人とも鳥肌を立て、涙で曇る目でプレイを続けなければならなかったからだ」
(October 29, 2012、改訂June 04, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Patrick Cohn(パトリック・コーン博士)による自信過剰への戒め。
'Going Low'
by Patrick Cohn, Ph.D. (Contemporary Books, 2001, $22.95)
「自信というものは勢い(弾み)がつくと新たなる高みへと到達するものであるが、それは制御不能の域にまで暴走するものだろうか?アマチュアの何パーセントかには、勢いは自信過剰にまで膨らんでしまう現象が見られる。そうなると飛躍の可能性を秘めたラウンドだったものが、どうってことないありきたりのラウンドに堕してしまう。突然やって来た勢いのエネルギーが、プレイヤーをスーパーマンかスーパーウーマンになったかのように錯覚させてしまう結果、自信過剰となって自分の能力外の領域に踏み出してしまい、賢明なゴルフを捨て、馬鹿げたゴルフを始めてしまう。届きもしないパー5で刻む代わりに、あなたのエゴは攻めろ攻めろと勧める。林から横に出すよりも、木を飛び越し迂回するという夢のようなショットを試みる。なぜなら、あなたはいま“絶好調で何ものもあなたを止めることは出来ない”からだ。難しいホールで賢明に3番ウッドかアイアンでフェアウェイをキープする代わりに、どのホールでもドライヴァーを引っぱたく。なぜなら、あなたは無敵だからだ。自信過剰は、賢明で堅実なゴルファーを、愚かでわけも無くやたらめったら攻撃するゴルファーに変えてしまう。
いいスタートを切ったら、勢いをチェックしつつも、自信過剰の興奮状態に陥らぬようにすべきである。ボギー・ゴルフの段階のゴルファーが三連続パーでスタートしたら、早期の自信は有利に働くものの、狂喜してしまうと逆効果になる。ゴルフは、トラック競技やフィールド競技のようにすぐ結着がつくスポーツではない。短距離走者ならレースの後酔っぱらっても問題ない。しかし、ゴルフの場合、まだ三時間もプレイしなければならないのだ。馬鹿丸出しの態度は愚かな決断をする原因となり、出だし三ホールの見事な成果を台無しにしてしまう。ツァー・プレイヤーたちは情緒的にバランスを取ろうと努力する。あなたもスタート時の三つのパーに興奮したり(自信過剰になったり)、三つのダブルボギーで意気消沈したりしてはいけないということだ」
(November 09, 2012)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)が見聞きした、全盛時のBen Hogan(ベン・ホーガン)の策士的側面。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim MacLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「・Hoganの戦略的心構えには、リラックスした気分になるため、ゴルフ・コースへの超遅めの運転をすることが含まれていたし、またスウィングのテンポを早めたり戦略的思考過程に影響を与えることを恐れてラウンド前のカフェイン(コーヒー)の摂取を控えるということも含まれていた。
・Hoganは地味な色のシミ一つない服をスマートに着ることを好んだ。そういう服装が、彼に自信をつけさせてくれたからだ。
・Hoganは、彼の有名なフェード打ちを助けるため、重く、ロフトの少ない、縦幅が長いフェースの、太いグリップつきのドライヴァーを用いた(太いグリップは手の動きを抑えることが出来る)。そういうドライヴァーは彼にしか向いていなかっただろうが、彼は自分のスウィングに最適なドライヴァーを見つけ出したのだ。
・HoganはNo.1ティーでは、いつもより多い(正確には三回か四回の)素振りをした。それは全ラウンドの基調をセットする第一打を脳に準備をさせるためであった。
・Hoganは究極のコントロール・ショットであるフェードを多用した。ただし、急な左ドッグレッグではアプローチのためのいいアングルを得るため、ドローも打った。彼のように、フェードとドロー両方の打ち方を知っておくとスコアを良くするのに有利である。
・Hoganは、常にチェスをプレイするようにコースを攻めた。彼はA地点に達するための一手としてドライヴァーを打った。彼はどのティーショットにも綿密な計画を用意していた。
・ラウンド前、Hoganは練習場の左側からボールをフェードさせる練習をした。
・ラウンド終了後、Hoganは時折ドライヴァーを疲れるまで打った。それはメイジャー・トーナメントの長丁場で疲れた大詰めで、ドライヴァーのセットアップとスウィングをどうすべきかを知っておくためであった。
・HoganはJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のように、彼の心の目で理想的ドライヴァー・ショットを視るまで、絶対にスウィングを始めなかった」
【おことわり】図版はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(November 15, 2012)
「魔法のダウンスウィング」のJoe Dante(ジョー・ダンテ)が説く、レイト・アンコックの練習法。
'The Four Magic Moves to Winning Golf'
by Joe Dante with Len Elliott (Doubleday, 1995, $12.95)
「・2番ウッドか3番ウッドを使う。ボールをティーアップしアドレスする。
・トップまで行き、いつもの1/2の速度(か、それより遅い速度)で、腰がボールを通過するまでダウンスウィングする。この際、手は肩・クラブとワン・ピースで一体となって動くように。
・クラブがボールに到達する前で動きを止める。手がボールの位置に達するまで手首のコックを保持する。
・コックされたままの手がボールを通過しても、クラブヘッドはまだボールの6インチ手前であるように努力する。
・このボールを打つ直前で止める練習を5〜6回行う。次第に少しずつスピードアップするが、ボールを打たないようにクラブをコントロールすること。
・最後に、もっとスピードアップし、コックを保持する努力は継続しながら、今度は動きを止めずに、なるがままにボールを打つ。
これが、レイトヒットを会得するコツである」
コックしたまま解(ほど)かないと、とんでもなく右の方へ打ってしまうような恐怖感を抱きますが、実際には遠心力の作用で自然に(否が応でも)コックは解かれてしまいます。上の方法はあまりにも早く遠心力に降参する(あるいは協力する)のでなく、最後の最後まで遠心力に抵抗する癖を身につける練習法と云えます。
(November 18, 2012)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)が見聞きした、全盛時のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のトーナメントにおける戦略。
'The 3 Scoring Clubs'
by Jim MacLean (Gotham Books, 2005, $30.00)
「・メイジャー・トーナメント開始前、Jack Nicklausの師匠Jack Grout(ジャック・グラウト)とのレッスン・ティーで、Jack Nicklausはコースで必要に迫られるであろう、ドライヴァーによるハード・フェード、ソフト・ドローなどを練習した。
・Jack Nicklausは、コントロールを良くするため、43 3/4インチというやや短い、しかし重い、カウンターバランスのドライヴァーを用いた。
・Jack Nicklausは、絶好調でない場合でさえ自信を呼び戻した。ポジティヴな態度が身体をリラックスさせ、それによって加速しつつスムーズにスウィングを流れさせたのである。
・Jack Nicklausはターゲット指向の人で、常にアプローチ・ショットが狙いやすいベストのアングルを残す側のフェアウェイに着地点を選んだ。
・Jack Nicklausはたとえハードにスウィングしてもバランスを保つことの重要性を知っているので、リズミカルにスウィングすることを忘れなかった。
・Jack Nicklausはラウンド最初の一打に非常な重きをおいていたので、No.1ティーに彼の同僚たちよりは早めに現れて心の準備をした。
・特に1960年代と70年代、Jack Nicklausはドライヴァーによるティーショットを放っても、すぐティーを拾ったりしなかった。彼は結果(良くても悪くても)のフィードバックを得るため、フィニッシュの体勢で静止してボールの飛行と転がり方を見つめた」
【おことわり】図版はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(November 18, 2012)
インストラクターEddie Merrins(エディ・メリンズ、79歳)はPGAツァーで活躍後、ロサンジェルスのBel-Air(ベル・エア)C.C.のクラブ・プロに就任し、場所柄多くの映画スター、歌手、有名スポーツマンなどをコーチして来て、彼自身も有名人となりました。体型がアメリカ人としては小柄だったため、"The Little Pro"(ザ・リトル・プロ)というニックネームで親しまれています。余談ですが、彼は編者の住むミシシッピ州Meridian(メリディアン)の生まれ・育ちで、私が一緒にプレイしている94歳のシニア(ゴルフ場の元インストラクター)は、若きEddie Merrinsにスウィングを教えたことがあるそうです。
'Playing a Round with the Little Pro'
by Eddie Merrins with Mike Purkey (Atria Books, 2006, $16.99)
「ゴルフのゴールは四つある。1) 目の前のショットの遂行、2) いま現在プレイしているホール、3) 18ホールのラウンド、そして4) 全体としてのトーナメント…である。スコアはゴールではない。スコアは見返りである…一つのホールでどうプレイしたかの合計であり、各ホールの合計がラウンドのスコアとなる見返りだ。勝利はゴールではない。それは各ショット、各ホール、トーナメントの各ラウンドをどうプレイしたかの見返りである。
あなたがNo.1をスタートする時、スコアがどうなるかなど見当がつかない筈だ。だから、プレイしながらスコアのことを考えるのは間違いだ。ラウンドの途中でスコアを勘定する人は、座礁し易い。生涯最高のラウンドになる筈だったのに、スコアを数えたために集中力を消滅させてしまう。四つのそれぞれのゴールと折り合いを付けることが出来れば、いいプレイをしていい見返りを得るだろう。Greg Norman(グレッグ・ノーマン)は1996年のthe Masters(マスターズ)最終日のスタートで、6打のリードを失うという結果を予知したであろうか?
人々は、ゴールと、ゴールを追い求めた見返りとを混同する。ゴールは、われわれに可能な範囲でパーとの関連でプレイすることである。見返りはバーディ、パー、ボギー等のホールのスコアである。ゴールはわれわれが可能な限りパーとの関連でラウンドする18ホールのプレイである。見返りは、その日の終わりに得られるスコアである…満足であろうと不満足であろうと。
勝とうとして勝てるものではない。勝利を夢見るのは誰しもだが、われわれに遂行可能な何ものかに焦点を合わせるべきであり、その焦点は前述の四つのゴールであるべきだ。打った結果よりも、どう打つのか?ゴールに注目せよ。勝利は結果としてやって来る。それは究極の見返りである」
【参考】「ハンドルを振れ!」(tips_147.html)
【おことわり】画像はhttps://golf-info-guide.com/にリンクして表示させて頂いています。
(November 28, 2012、改訂June 04, 2015)
パッティングに関して、《最初の一瞥で感じたブレイクを信じろ》と云われます。疑心暗鬼になると、ありもしないブレイクが見えたり(錯覚です)、ボールの背後からとカップの後ろからで異なるブレイクに思えて混乱したりします。こういう場合、ボールに歩み寄った時の直感を大事にしろ…ということです。
距離感に関しても《ボールの傍に立った時の直感でクラブを選べ》と云えると思います。ヤーデージのマーカーが150と表示されていて、ある時そこから打って成功したクラブが常にぴったしかというとそうではありません。風向、湿度、季節などによって飛距離とランが変わるのは当然として、われわれの体調も日々異なります。すこぶる健康でエネルギーに満ち満ちていれば、150ヤードを7番アイアンで打てるかも知れませんし、激務に追われていたりお腹をこわしていたり、風邪気味だったりすれば、同じ150ヤードに4番アイアンを必要とするかも知れません。張り切っている午前中と、疲れが出た午後のラウンドでも違うかも知れません。
「○ヤードだから◎アイアン」と機械的にクラブを選択するのではなく、ボールの後ろに立ってターゲットを見つめ、自分の目からの情報によって脳と相談するのがいいと思います。デパートや大衆食堂のウィンドウには食べ物の模型が並んでいますね。われわれは、鰻丼だの天丼、スパゲティ、ラーメン、オムライスなどの見本を見ながら、自分の胃袋と相談します。どのくらいの量で、どんな味で、汁物か、御飯ものを欲しているか、勿論懐具合も考慮しなければなりません。目から入った情報により、胃袋と脳の共同作業で分析して結論を出すわけです。ゴルフも全く同じだと思います。脳は、その日の筋肉の状況とショットの結果を把握していますから、「この前は150ヤードを6番アイアンだったが、今日は5番アイアンが必要だ」などと結論を出す筈です。
こういうことがありました。その日のラウンド、私のウェッジはずっとショート気味でした。疲れていたわけではなく、睡眠不足でもありませんでした、ヤーデージにぴったりのクラブを選んでいるつもりなのに、5〜10ヤードほどショートしてばかり。コックの度合いが少なくて、インパクト時のエネルギーが不足していたのかも知れません。No. 16(パー4)、私のティー・ショットはかなり伸びました。GPS利用のレンジ・ファインダーを持っているチーム仲間が「残り55ヤードだ」と云います。数字の上でそれを鵜呑みにすれば、ロブ・ウェッジで届く距離です。しかし、この日の私の直感では、ロブ・ウェッジによるショットはグリーンサイド・バンカーに落ちるように思えました。好調の日ならともかく、この日のショート気味のショット歴を土台に攻めるべきだと判断。で、選んだのはサンド・ウェッジ。これをフル・スウィングすると私の場合80ヤードなのですが、この時はシャフトを1.25センチ短く持ちました。理論上は5ヤード減る勘定です。
レンジ・ファインダーの数字を20ヤード多めに見積もったショットは、自分でも驚くようなOKの距離につきました。この日のショット歴から目を背けず、それに合わせたクラブ選択による勝利でした。数日後に同じ地点に立った時、同じクラブが功を奏するかどうかは未知数です。その日の体調とショット歴で勘案しなければなりません。杓子定規ではなく、その日の直感に従ってクラブ選択すべきなのです。
(November 28, 2012)
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