Golf Tips Vol. 145

Ben Hogan(ベン・ホーガン)の正確無比なアイアン・ショット

Ben Hogan(ベン・ホーガン)が一年間に三つのメイジャーを制覇した後で出版された'Five Lessons'『モダン・ゴルフ』(1957)があまりにも有名になったため、彼が1948年に出版した下記の本は、その蔭に隠れて引用する人もあまりいません。しかし、挿入写真を撮るためAugusta National(オーガスタ・ナショナル)を借りたというほど熱のこもったものですし、練習熱心だった彼でなくては書けない説得力がある内容です。【註:私が購入したペーパーバックでは写真ではなく、へたくそなイラストに置き換えられています。この挿絵は、写真に忠実ではないので信じてはいけないそうです】

[Power Golf]

'Ben Hogan's Power Golf'
by Ben Hogan (Pocket Books, 1948, $6.50)

「アイアン・ショットは攻撃的なショットである。いいアイアン・ショット抜きに、コンスタントにいいスコアで廻ることは出来ない。

いいアイアン・ショットはウッドを上手く打つことより難しい。その理由は、ボールはクラブヘッドのリーディング・エッジで正しく接触しなければならないが、それはウッドでは要求されないことだからだ。

アイアンを打つ際、そのショットに必要な距離とストレートの度合いに充分な注意が必要である。また、各アイアン(4番から9番まで、特に6番以降)を使った最長、中間、最短の飛距離を覚えなくてはならない。ドライヴァーを打つ時のようにスウェイしないこと。

ボールをヒット・ダウンするため、アイアンではウッドよりもバックスウィングの早期に手首のコックを開始する。さらに、ウッドよりも早めに体重を左にシフトする。この動作はスウィング弧の最低点をボールの前方(ターゲット側)に移し、ボールを打った後でボールの前方の(後方ではない)ターフを取ることを可能にする。

しょっちゅう受ける質問に『アイアンを打つ際、初心者はボールの後方でターフを取り、プロは前方でターフを取るのは何故か?』というものがある。一般的に云って、初心者はアドレスとバックスウィングで体重を右足にかけ、ダウンスウィングで体重を左足に移すことが出来ない。その結果、初心者はボール後方でターフを取った後、打ち上げるようにしてボールの後部を打ってしまう。それがその質問に対する答えだ。ドライヴァーを打つ時と同じように、スウィングのトップで体重を左足に移さねばならないが、ウッドの場合よりも意識的に早めに、しかも急速に体重移動を行う必要がある。この急速な体重移動がスウィング弧の最低点をボールの前方に移す。これによって、ボールをヒット・ダウンし、ボールの前方で(後方ではない)ターフを取ることが可能になる。

ダウンスウィングの最初の動きは、左腰を左に廻すことだ。その瞬間、腕・手・肩・クラブのことは忘れて、左腰に導かれた腰の回転に専念する。腰が左に廻されるとき、必要十分な水平の動きが体重を左足に移す。(意識的に体重を右足に留めようとするのは間違いである)ヒッティング・エリアでは、体重の90%は左足にかかっているべきで、右手はかなり身体の近くにあるべきだ。

ダウンスウィングを開始するため左腰を廻し始めると、その動作は手と腕を動かし始める。こういう風に、腕と手が関与する前に胴体によって可能な限りのスピードを作り出す。腰の回転がクラブを下ろし始めると、インサイド・アウトに打つことが出来るようになる。アイアンを打つ時には、特にインサイド・アウトの軌道が重要である。もし、肩や手がバックスウィングのトップで主導権を握ってしまうと、トラブルを招くアウトサイド・インのスウィング軌道を余儀なくされる。

ヒット・ダウンすることは、アイアンを打つ際の最も重要な部分である。なぜなら、それがある程度のバックスピンを与えつつボールをスクウェアに打てる唯一の方法だからだ。バックスピンはボールをコントロールするために絶対に必要なものであり、コントロールすることは他の何ものよりもアイアン・ショットに不可欠なものなのだ。

ティー・ショットでは充分な飛距離を得るため最少のバックスピンが求められるが、グリーンを狙うショットではボールをグリーンに留めるため、最大のバックスピンが必要だ。多くのアイアン・ショットを極度に効果的にするためには、最大のバックスピンを与えるべきである。最大のバックスピン抜きでは、アイアン・ショットの長さ、方向、そして高さをコントロールすることは不可能だ。ダウンスウィングでクラブヘッドのリーディング・エッジでがボールと先ず接触し、その後もダウンブローに打ち抜かれてターフを取る時にバックスピンが生じる。その時の打撃にはシャープさも必要だ。ボールはスウィングの間に手によってハードに打たれねばならない。あたかもボールを前方に打ち込むようにして、クラブフェースのロフトに、必要とするボール軌道の高さを与える」

【参照】「『パワー・ゴルフ』と『モダン・ゴルフ』読者への警告」(tips_153.html)

(December 01, 2012、改訂Oct 26, 2015)


パワー・マネージメントの秘訣

筆者Bobby Clampet(ボビィ・クランペット、1960〜)は、1982年の全英オープン二日目を終えて五打差でトップに立ち、若干22歳で優勝か?と世界を驚かせたゴルファー(三日目で崩れ、結果は10位タイ)。当サイトでは彼の「インパクトの研究」の成果を多く紹介しています。

'The Way of an Eagle'
edited by Robert Darden and P.J. Richardson (Thomas Nelson, 1996, $19.99)

「バックスウィングのトップに達した時、全てのプロは、ダウンスウィングへの全てのエネルギーを、遠心力が解(ほど)くまで出来る限り長く取っておこうとする。アマチュアがトップに達した時、彼らは左手首のコックを解き始めてしまう。これは破壊的行動である。次に彼らはボールをカットするようにしつつ、リヴァース・ピヴォットの体勢をする。これら全ては関連している:ダウンスウィングの開始における時期尚早なパワー(あるいは蓄積されたエネルギー)の放出である。

あなたがやれることが二つある。一つは、ボールはスウィングの通り道に存在するに過ぎないという感覚を抱くことだ。ゴルフは、スウィングに焦点を当てるべきゲームである。ボールはスウィングの軌道上に転がっているだけで、それがどこへ向かって飛んで行くかは、あなたのスウィングがどっちを向いているかという結果に過ぎない。【編註:ボールに当てに行こうとするとコックが解かれてしまう。ボールを攻撃目標にするのでなく、ボールはスウィング軌道にたまたま存在する邪魔物と考えよ…という意味】

第二に、ダウンスウィングの開始を足、膝、腰で行おうと努力することだ。ダウンスウィングの開始で最後に動くものは両手である。両手がダウンスウィングの開始で最後に動けば、蓄積されたエネルギーは長く保たれる。下半身でダウンスウィングを始めることが、インパクトで遠心力によってエネルギーが放出されるまでの連鎖反応をお膳立てするのである。

言葉を替えれば、バックスウィングで抵抗が確立される。バックスウィングが開始されるに当たって、両手は後方に留まり、両足が踏ん張り、膝と腰が回転を始めようとし、肩が動き始め、それに両手が追随する。これがパワーの蓄積と、いつどこでそれを放出するかを管理する方法である。

私に神が恵んでくれたゴルフに関する能力の一つは、以上のことを遂行出来ることだ。私の身体は大きくない。私の現在の体重は75キロだが、プロ生活のほとんどを61キロで過ごした。しかし、それでも私のツァーにおけるドライヴァーの飛距離はトップ20位に入っていた。その理由は、ダウンスウィングにおいてパワーを溜めておける能力があったからである」

 

(December 07, 2012)


左踵は上げるな

女性インストラクターJane Horn(ジェイン・ホーン)はゴルフ教本を二冊書いていますが、この本はパワーに特化した内容です。

'Power Golf for Woman'
by Jane Horn (Citadel Press, 1999, $16.95)

「「バックスウィングで左踵を浮かし、ダウンスウィングを始める際に地面に戻せと指導されるゴルファーは多い。トップ・アマやプロであれば、バックスウィングの勢いによって僅かに踵を浮かすことになるのも容認出来る。ただし、これはスウィングにパワーを得ようとして使われるべきテクニックではない。大抵の場合、そういうことをするとバックスウィングの体勢を崩壊させ、ダウンスィングをガクガクした動きにしてしまう。左踵を浮かし、それを元に戻すことに依存したスウィングは、メカニカルと云うよりタイミングに依存したスウィングと云わねばならない。

私は、アマチュアにパワーを得るために左踵を上下させる動きは勧めたくない。左踵を地面に戻すガクガクした動きは、身体のパワー・アッセンブリーを破壊する原因になるからだ」

(December 07, 2012)


パッティング姿勢の安定度チェック法

Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)のコーチCameron McCormick(キャメロン・マコーミック)のtip。'Do you stay stable?'
by Cameron McCormick ('Golf Digest,' January 2013)

「初心者の多くがパットする際、エルヴィス・プレスリーのように膝を右に左にと揺らす。長くゴルフをしている人にも、程度の差こそあれ脚や腰の動きが忍び寄ることがある。

振り子運動を遂行する肩は、完全に不動の基盤を必要とする。下半身が動いたのでは1.2メートルのパットでさえ成功は覚束ない。

下半身が安定しているかどうかチェックするには、左腰にウェッジ(のグリップ部分)を立てかけ、それを倒さないようにパットする。この方法だと、下半身の最小の動きでも周辺視野で目視出来る。

もし、ウェッジがゆらゆら揺れるようであれば、その動きがなくなるまで練習すること」

(December 14, 2012、追補January 10, 2017)


Runyan(ラニャン)式パッティングの実像

私は現在Paul Runyan(ポール・ラニャン)のパッティング・グリップを採用していますが、最初の頃に目覚ましい成果を挙げたものの、最近パット数が増え続けてパッとしません。先日などは六つのホールでパーオンしたのに、バーディはゼロでした。それどころかハーフのパット数が30という体たらく。

本を読んだだけでは解らない、何か大きな抜けがあるに違いないと思いました。となれば、どうしてもPaul Runyan本人に来て貰い、デモを見せて貰うしかありません。両肘の角度とか、ストロークの幅や強さなど、文字では説明出来ないし読んでも分からないことがあるのではないか?で、彼に来て貰いました。ギャラと旅費込みで約40ドル。え?随分安い?それよりも12年前に亡くなっている人物をどうして呼び寄せられるのか?イタコ(霊媒師)に頼む?いえいえ。オークション・サイトでDVDを買ったのです。このDVDについては後述。

[Runyan]

'The Short Way to Lower Scoring Volume 1'
by Paul Runyan (Golf Digest/Tennis, Inc., 1986)

色んなことが解りました。

・Runyanは完全な“手首封じ”をしていない

例の右掌45°、左掌45°のグリップは、両前腕部を90°にするための条件というだけであって、それだけで“手首封じ”が達成出来るわけではないのです。Paul Runyanは「手首を固くせよ」と云っていますが、それを達成するにはゴルファーが意識的に手首を固くしなければいけないのです。

なぜそう云えるか?ヴィデオのおけるPaul Runyanのパッティングは、ゆったりとしたストロークではなく、ビリヤードのようにボールをコツンと打って、パターを短いフォロースルーで止めているのです。ビリヤードをやったことのない方には解りにくいかも知れませんが、ビリヤードを日本語で「撞球」と云います。「球を撞(つ)く」のです。お寺の鐘もゴン!と撞いたらお仕舞いで、フォロースルーはありません。あれと同じです。

[shoe]

昔のプロゴルファーは、滞在中のホテルの部屋でパターで靴を打ったそうです。靴の爪先をボールに見立ててストロークし、フォローはほとんど出さない。私はこれには一理あると思います。重力がパターヘッドをボールに向かわせる力におんぶすれば、方向性は狂いにくい。また、長くフォローを出そうなどと人為的な努力をすると、余計な力が入ったり、方向性を歪めたりしかねません。パターフェースがボールに当たりさえすれば一件落着なので、そこでタイムカードをガチャンと押して家に帰ればいいのです。

では、Paul Runyanはどうコツンと打っているか?肩か?腕か?実は、手首なのです。ヴィデオの1シーンを抜き出して、手首の角度を調べてみましたが、写真上のように明らかにインパクト直後に右手首の角度が増しています。ヴィデオをサーッと見ただけではハッキリ解らないものの、静止画で見ると一目瞭然です。

つまり、「Runyanグリップ」はパターフェースがラインの左右に捩じれることを防ぐ“手首封じ”をお膳立てするだけで、手首の動きを完全に殺すわけではない。それどころか、Runyan自身はアドレス時の右手首の角度を僅かにアンコックし、パッティングに微量とはいえ勢いを加えている。その際、左右へのブレを防ぐため、“手首封じ”を確立した固い手首が重要になるわけです。「きついグリップ」ではなく、あくまでも「固い手首」です。

・Runyanのセットアップ法は正しい

上の分析を終えた後、練習グリーンでRunyan推奨のアドレスを試してみました。ボールを左足親指前方に位置させ、頭はライン上ではあるがボールの真上ではなくボールの背後、肩幅のスタンス、体重はスタンスの中央…とRunyanメソッドを全て実行します。

セットアップ手順としては、
1) 右手だけでパターを持ち、両足を揃えて左足親指前方にボールが来るように立ち、先ず高い目線でパターをターゲットに揃える。
2) パターフェースを動かさないように注意しつつ、左手を添える。
3) ラインと平行に右足を開き、体重をスタンス中央にする。
4) 両前腕の90°を確認する。
5) シャフトの延長線が両前腕を貫通するよう、上下に角度を調整する。
6) 手首を固くしてバックストロークを開始。

これで(ストレート・ストロークの場合)「はみ出し禁止のストローク」をし、コツンとボールを撞けばいい結果が得られます。

(December 17, 2012)


Paul Runyan(ポール・ラニャン)のショートゲームDVD

私はオークション・サイトeBay.comで、約40ドルで購入しました。これは1986年にGolf Digest社がリリースした二巻のVHSテープ、'The Short Way to Lower Scoring Volume 1 & 2'を二枚のDVDに焼き直したものです。売り主は「これはGolf Digestから著作権を譲って貰って販売しているものである」と明言していますが、本当かどうかは定かでありません。

第一巻:「パッティング」と「チッピング」
第一巻:「ピッチング」と「バンカー・ショット」

どちらも、一枚30分ずつしか入っておらず、ちと高い買い物です。第一巻にはSam Snead(サム・スニード)、第二巻にはGene Littler(ジーン・リトラー)のPaul Runyanの腕前についての賛辞が入っています。私は第一巻だけしか欲しくなかったのですが分売はしていません。

画質はVHSを変換したものとしてはまあまあですが、音質はあまりよくありません。大体において音量が低く、Paul Runyanが声高に話すと割れ気味になったりします。編集は最悪です。ゴルフを知らない編集者が担当したのは明白で、肝心のストローク時のグリップのアップなどは全く見られません(アドレス時のアップはある)。ボールを追うことに汲汲としている感じの編集です。

パッティングでは固い手首を推奨するPaul Runyanですが、チッピングやピッチングでは、かなりぐずぐずの手首を使った軟体動物的スウィングをします。これは彼の全盛期のフル・スウィングと同じで、あまり教科書的スウィングとは云えません。しかし、メイジャーに二勝し、PGAツァーで29勝した実績があるのですから、勝てば官軍です:-)。彼はパターもウェッジもCallaway製ヒッコリー・シャフトを使っています。

私のようにRunyanのパッティングを完全に学び取りたいというゴルファーだけにお勧めで、入門レヴェルには相応しくないでしょう。彼が著した本のように詳細な説明がないので(たった15分で説明は無理)、ストロークやショットのRunyan理論は理解出来ず、彼のデモを見るだけに終わってしまうだろうからです。

(December 17, 2012)


チッピングの距離をボール位置だけで調節する

インストラクターSean Foley(ショーン・フォリィ)は、Justin Rose(ジャスティン・ローズ)、Hunter Mahan(ハンター・メイハン)やTiger Woods(タイガーウッズ)などのスウィング・コーチです。彼が提唱する、チッピングのいとも簡単(そう)な距離のコントロール法。各項の括弧内の数字は、記事に添えられた写真のヤーデージです。

'Chipping made simple'
by Sean Foley ('Golf Digest,' January 2013)

「あなたがチッピングのストロークに自信があるなら、セットアップ(ボール位置、スタンスとクラブの前傾角度)を変えるだけで距離のコントロールが容易になる。

・長いチップ(例:15ヤード)

ややオープン・スタンスで、体重の多くを左足にかける。ボール位置は右足爪先の前方で、シャフトはターゲット方向に大きく傾げるものの、頭はボールの後ろ(右足爪先の真上)に位置させる。これはボールを歯切れよく打つために不可欠な要素である。ボールは低く出て、かなり転がる。

・中距離のチップ(例:10ヤード)

ボール位置は右足踵の前方。シャフトの傾き加減は"/"の字の角度に近い。体重はやはり左足にかけるものの、この距離に下半身の回転はさほど必要としないので、スタンスをオープンにはしない。頭の位置はやはり右足爪先の真上である。

・短い距離のチップ(例:5ヤード)

この距離だと体重は50:50である。シャフトは地面に対して垂直。ボールは左足踵の前方でスクウェアなスタンス。これは、クラブに備わったロフトでボールをぴょんと上げ、着地後あまり転がらない。頭の位置はやはり右足爪先の真上である」

(December 20, 2012)


バンカーからパット

'Precision Wedge and Bunker Shots'
by Jim Fitzgerald with Dave Gould (Human Kinetics, 1998, $16.95)

「あなたのボールは、浅く、顎が低いバンカーの中のいいライにある。ピンまでの距離はバンカーの縁から少なくとも5ヤード。

このケースでは、ピンが離れていてボールを転がせるのでパターを使って脱出出来る。ウェッジよりパターの方がクリーンに打てるので容易である。

・ボール位置はスタンスのターゲット寄りで、体重も左足に寄せる。これによってストローク弧の最低点がターゲット寄りになり、ボールをクリーンに打てる。

・ストロークは、同じ距離をパットする時の少なくとも五割増しの強さで打つ。こうしないと砂とフリンジを越えられない。カップの向こうにターゲットを選び、そこにカップがあると思い込むこと」

(December 23, 2012)


Paul Runyan(ポール・ラニャン)式バンカー・ショット

Paul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)は小兵ながら、そのショート・ゲームの名人芸でメイジャーであるPGA選手権に二回優勝し、PGAツァーで29勝、その他で六勝という素晴らしい成績を残し、後にはショート・ゲームのインストラクターとしても活躍しました。彼のバンカー・ショットは急角度の"V"の字スウィングを基本とし、砂の状態がさらさらの時や高い軌道が望ましい時はフェースを寝せてロフトを増やす方式です。

[Runyan]

'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/Tennis, Inc., 1979, $9.95)

「・バンカー・ショットの基本

"V"の字のスウィングは急角度にクラブを上げ、同じ角度で振り下ろすメソッドである。クラブヘッドのソールを、ボールの2〜5センチ後ろの砂に打ち込む。クラブフェースの表面に少量の砂が挟まる“紙ヤスリ効果”によって、かなりのバックスピンが生じ、ボール軌道の高さと急停止を与えてくれる。

"V"の字に急角度で打ち込んでもクラブが砂に突き刺さらないのは、サンド・ウェッジの構造のお蔭である。そのバウンス角(クラブヘッドの底部[trailing edge]がリーディングエッジを持ち上げている角度)によって、砂で弾かれて自然に上がるように設計されているからだ。

両足を快適に砂に埋め、体重は左足に多めにかけ、ボールは左足の2〜5センチ内側。ただし、水平なライならクラブをデロフト(ロフトを減少)させるほどターゲット方向に傾けてはいけない。

両手でしっかりとクラブを握る。それが手首の自由を奪い、精確さを増す。それはまたクラブが砂に突入した時に、グリップが緩むことを防いでくれる。バンカー・ショットの基本は、手首ではなく腕・脚・身体によって動きが作り出されるのだ。

ただし、一本のサンド・ウェッジであらゆる状況に適切に対応出来るわけではなく、ライや砂の異なる状態を全て処理するには、理想的には構造の異なる12本のサンド・ウェッジが必要である。しかし、ルール上それは許されない。幸い、一本のサンド・ウェッジを砂に浅く入れたり深く入れたりする二つの方法がある。

1) クラブヘッドの下降角度を変える
 "V"の字の角度をきつめにしたり緩めにしたりすることで、クラブヘッドの砂へ潜る度合いを変えることが出来る。

2) クラブフェースをオープンにしたりクローズにしたりする
 クラブフェースをターゲットの左右に向けることによってバウンス角を変え、ヘッドの砂へ潜る度合いを変えることが出来る。クラブフェースをターゲットの右に向ければ(オープン)潜る度合いは浅くなり、左に向ければ(スクウェア〜クローズ)潜る度合いは深くなる。

・砂を読む

1) ライのチェック

ライが良好なら、フェースをオープンにしたアドレスをし、通常の"V"の字スウィングをすればよい。

ボールが半分埋まっている状態なら、クラブヘッドを深く潜らせる必要がある。アドレスではフェースをターゲットの左にスクウェアかクローズにして構えるか、アップライトなバックスウィングをして、急降下するダウンスウィングをする。左に寄りかかる体勢で、ボール位置を後方にすれば、より急角度のダウンスウィングになる。

ボールが完全に埋まっているなら、ピッチングウェッジか9番アイアンを使う。これらはより深く砂にめり込み、埋まっているボールを弾き出してくれる。

2) 砂のチェック

砂の抵抗が強いようなら、ターゲットにスクウェアかややクローズ目にアドレスし、急角度の攻撃をすること。

砂が湿っていたり、粒子が粗かったり、砂の層が薄かったりすれば抵抗が強くなる。砂が湿っていて層が薄い場合、私はピッチングウェッジを使う。サンドウェッジだと、砂に弾かれた後ボールの天辺を叩くことになり易いからだ。ピッチングウェッジのソールでボールの下をスライドさせることを心掛ける。

3) 軌道の高さと長さの決定

どう打つか決める前に、顎を越えるためにどれだけ高く打つか、カップまでどれだけ長く打つかを判断しなくてはならなが、高さを最優先すべきである。脱出出来ずに次のショットも同じバンカーから打つのは最悪だからだ。

高く上げ、すぐ停止するボールを打つには、クラブフェースをオープンにすることによって、ボールの下をスライドさせるだけの浅い角度の進入を行う。“紙ヤスリ効果”でバックスピンが掛かる。距離はスウィングの速度によって決まる。

長めの距離を必要とする場合、あまり急角度に振り下ろさず、パワーを前方に向かわせる。浅い進入角度は、クラブが跳ね返ってボールの天辺を打つ危険性を高めるが、この危険性は、アドレスでクラブフェースをスクウェアにすることによって減らすことが出来る。

(ボール軌道の高さを必要としないと仮定して)ボールをサンドウェッジの距離以上に遠くに飛ばしたい場合は、通常のピッチショットををすればよい。クラブが砂と接触する前にボールを打つように。サンドウェッジより少ないロフトによって、長い距離が得られる」

上のような詳細を学び、理解することも大事なのですが、バンカー・ショットの原則を忘れてはいけません。私が最も助けられているバンカーtipは、「手首を返すな」と「ピンまでの距離の三倍の強さで打て」です。

(December 26, 2012)


スクウェアにインパクトを迎えるコツ

インストラクターJim Flick(ジム・フリック、1929〜2012)が1968年に提唱した《スウィングは左サイドで引け》というメソッドは、当時かなり異色だったようです。彼の「スクウェアからスクウェア理論」では、スクウェアなグリップ、スクウェアなアドレスをしたら、それを最後まで保つことに腐心せねばなりませんが、彼はその秘訣はプル(引く動作)であると規定します。Jim Flickは左肩・左腕・左手によってトップから引く動きをパワー源とし、早期にパワーを投げ出そうとする右肩・右腕・右手は徹底して出しゃばらない存在にし続けなければならないと説きます。現在、この説は異色でも何でもなく、非常に一般的なメソッドとして定着しています。以下に紹介するのは、切り返しからダウンスウィングにかけての動作に焦点を当てた解説です。

'Square-to-Square Golf in Pictures'
by Jim Flick with Dick Aultman (Golf Digest, Inc., 1974)

「バックスウィングからダウンスウィングへの切り返しは、車で急カーヴをターンすることと同じと思うべきだ。そんな際の急激な加速は、車をコントロール不能の状態に陥らせる。ゴルフでも同じである。

ダウンスウィング初期には、常にパワーを投げ出そうとする右手と、プル(引く)しようとする左手との闘争がある。望むべくんば引く方の手が勝利して欲しい。しかしそれは、クラブを自由に回転させられないほどきつくシャフトを握ることによってではない。左手が引く動きをし続ければ、優勢のまま右手を追随させてインパクト・ゾーンに突入出来るのだ。右手や右腕は力まずに軽やかに保つこと。

投げ出そうとする右手とプル(引く)しようとする左手の闘いにおいて、それぞれに協力者がある。左手・左腕には脚の助け、右手・右腕には肩の助けがある。トップでの切り返しにもっと時間をかければ、脚がフォワード・スウィングをリードし、インパクトへとクラブシャフトを引くための時間を生み出すことが出来る。【編註:私はこれを「トップで一瞬の間(ま)を置け」ということと解釈します】

ダウンスウィングの最初の動きは、左膝を左爪先へと(前方へ、そして外側へ)滑らすことである。その後、腰の捻転が解(ほど)かれつつ左膝は徐々にターゲットの左へと水平移動する。脚の動きが腕を引っ張り、腕をターゲットに向かって抛り出す。

この時点で、全てのゴルファーに降り掛かる二つの問題がある。一つは、トップから(遠心力の作用を待たずに)コックを解いてしまうこと。もう一つは、右肩によってダウンスウィングを開始することで手打ちになってしまうことだ。手打ちはアウトサイド・インのスウィング軌道でカット打ちをすることに繋がる。以上の二つの問題点は、右手と右肩がダウンスウィングを支配する時に起る。これを防ぐには、左膝のリードにより左腕でスウィングすることによって、右手・右肩を凌駕することしかない。

クラブヘッドがターゲットラインのインサイドからボールに向かうように感じること。

インパクトを過ぎるまで、クラブヘッドは両手に先行しないように感じること。

左腕がインパクト・エリアを超えるように加速させよ(インパクトが終点ではなく)」

(December 29, 2012)


Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパッティングの鉄則

'Putting My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $25.95)

「・グリーンを正しく読む知識と忍耐を身につけよ。

・《ストロークの強さが常にラインを決定する》ということを理解せよ。

・よいバランスを得ることによって、快適なアドレスをせよ。

・ラインの真上に目を置いて、脳に正しくラインを見せよ。

・手首と腕でストロークをコントロールせよ。

・左腕(右利きの場合)がストロークをガイドし、右手が打撃を加えることを忘れないように。

・パター・シャフトは、アドレスでもインパクトでも垂直であること。

・パターヘッドは、バックストロークでもフォワードストロークでも地面に近く低く保つこと。

・ターゲットラインに沿ってフォロースルーを行うこと。

・ストロークの間中、頭と身体を静止し続けること。

・最も重要なこと:ポジティヴな態度を持つこと。パットを成功させられると信ずれば、多くの場合実際に成功する。成功を信じられなければ、たいてい成功はしない」

 

【参考】
・「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のストローク」(tips_124.html)
・「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のパットの遵守事項」(同上)

(December 29, 2012、改訂June 04, 2015、増補January 10, 2017)


手と手首を凍結したパッティング

クリスマス前週まで、日中なら半袖でゴルフ出来たアメリカ南部にも、ついに寒波が襲来し、明け方には零下になる日が続いています。数日おきに雨も降って、ゴルファー泣かせの天気です。仕方なく、家に閉じこもってRunyan(ラニャン)グリップの習得に精出しています。

単にPaul Runyan(ポール・ラニャン)の云う通りばかりでなく、体重の配分を変えたり、スタンス巾を変えてみたりもしましたが、目立つような改善には繋がりませんでした。

[frozen hands]

《Runyanグリップは手首封じのためのものである》という初心に戻ってみました。手首を堅くすると、とてもいい結果が得られます。しかし、手首だけ動かさないように意識するのは中々難しい。そのうち、両手と両手首を含めたパターのグリップ周辺全体が「凍結している」イメージを持ってみました。力を篭めるのではなく、凍結しているのです。【右図】 これです!別にRunyanグリップでなくても構いませんから、やってみて下さい。全盛期のTiger Woods(タイガー・ウッズ)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)になったような気がしません?彼らの両手も、このように凍ったような縛られたような感じに見えたものです。一寸見、不自由そうな両手の左手甲でボールを弾いているような印象がありましたが、あれはつまり手首の柔軟さを奪っていたから不自由に見えたんですね。

このイメージを抱くとグリップが非常にしっかりし、カツンと小気味よくボールが打てます。当然いい転がりが得られます。自信もつきます。この自信も冷凍保存出来るといいのですが。


(January 01, 2013)


ピッチングのグリップを見直せ

全てのショットに共通ですが、特にピン傍を狙う精密さが要求されるピッチングにおいては、グリップの仕方が最も重要です。以下の記事はそうお目にかかれる内容ではありませんが、云われてみると「なるほど!」と合点がいきます。

[Runyan]

筆者Paul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)は小兵ながら、そのショート・ゲームの名人芸でメイジャーであるPGA選手権に二回優勝し、PGAツァーで29勝、その他で六勝という素晴らしい成績を残し、後にはショート・ゲームのインストラクターとしても活躍した人。

'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/Tennis, Inc., 1979, $9.95)

「パッティングとチッピングでは手首の動きを封じるべきだが、ピッチングでは幾分かの手首の動きを(意識的に作り出すのではなく、そうしむける感じで)利用するべきである。

・グリップ法

一般的ピッチショットには、以下のように三つのグリップ法がある。

a) 右掌を、クラブフェースが狙っている方向より左に向けて(クローズ目)に握る
 【編註:イラストでは右の伸ばした掌が、五本指全部が見える角度で左の太腿を向く感じでシャフトに当て、その後グリップしています】

 これはインパクトに向かう軌道で、オープンなフェースによってカットするピッチショットに理想的なグリップである。フェースがオープンになるのは、アドレス時よりもインパクトで両手が左に向く度合いを減らすからである。

 【編註】これを確認するには、「スクウェアに打つ特効薬」(tips_82.html)で紹介した方法を使うのが簡単です。上の手順でグリップしたクラブを目の前に上げ、垂直に立てます。クラブのリーディングエッジが垂直であることを確認します。次に左肩を身体の前に廻し(ミニチュア版のバックスウィング)、また元の目の前に戻します。【「スクウェアに打つ特効薬」の写真B-1→B-2→B-1の順】あら不思議、クラブのリーディングエッジはPaul Runyanの云う通り、オープンになっています。

 このグリップによって正しく打たれたボールは、高めの軌道で、バックスピンが多く、着地してからのランが少なく、右方向への若干のカーヴ(あるいはバウンド)がある。

b) 右掌を、クラブフェースが狙っているのと同じ方向に真っ直ぐ向けて(スクェア)に握る
 【編註:イラストでは右の伸ばした掌をターゲットに向けつつシャフトに当て、その後グリップしています】

 これはオープンフェースでカットするのではなく、ロブショットやピンチショット(ボールをクラブと地面で挟むようにヒットダウンするショット)に最適である。ピッチ&ランにも向いている。クラブフェースはアドレス時と同じようにスクウェアにボールに戻る。

 このグリップによって正しく打たれたボールは、通常の高さの軌道、通常のバックスピンで、インパクト時にクラブが動く方向へ真っ直ぐ飛ぶ。

c) 右掌を、クラブフェースが狙っている方向の右に向けて(オープン)に握る
 【編註:イラストでは右の伸ばした掌を、45°ぐらい身体の正面に向けながらシャフトに当て、その後グリップしています】

 通常のピッチショットでは、このように右の掌をオープンにしてクラブを握ってはならない。このグリップをすると、インパクトでクラブフェースが左を向き(クローズ)、ロフトが減ってしまう。

 このグリップによって打たれたボールは、低い軌道で左に向かい、バックスピンが少なく、着地してからのランが多く、左方向への若干のカーヴ(あるいはバウンド)がある。


以上は、長いシャフトのクラブでフルショットする際にも共通することだ。スライスに悩むゴルファーは、オープン気味の掌でアドレスすれば、オープンになるクラブフェースを防止出来る。

・グリップ圧

きついグリップはクラブヘッド・スピードを落とし、インパクトでクラブフェースをスクウェアにする確率を減らす。往々にして、ショートし易くクラブフェースをオープンにし易い。反対に、緩いグリップは手首と腕の緊張を減らすため、長いスウィングを可能にし、クラブヘッド・スピード(=飛距離)を生み出し、スクウェアな(あるいはクローズ目の)クラブフェースによるインパクトに繋がる。左手はスウィングをコントロールする手なので、ある程度のきつさは必要だ。しかし、右手のグリップ圧はショットの長さによって変わる。ドライヴァーや距離を必要とするアイアンでは、右手はかなり軽く握るべきだが、短いピッチショットでは両手共にきつめのグリップをすべきである。短い距離にはクラブヘッドスピードは不要であるし、手首の自由な動きはソリッドなコンタクト得る可能性を複雑にし、クラブフェースがクローズになるタイミングを早めてしまいがちだからだ。

きつめのグリップは、ロフトを増すオープンフェースのコンタクトに繋がる。それはボールを高く上げ、バックスピンも増やしてくれ、着地後すぐ止まるショットとなる。言葉を替えれば、きつめのグリップだと攻撃的にスウィング出来るということだ」

(January 04, 2013)


アーク・パッティング vs. ストレート・パッティング【理論篇】

私は欲張りなので、「まあまあじゃないの」程度のパッティングでは我慢出来ません。出来れば常時25パット以内、あわよくば23パットに収められるパットをしたい。

Paul Runyan(ポール・ラニャン)推奨のグリップを習得中ですが、まだとても25パットの域には達していません。Paul Runyanはアーク(円弧型)パッティングの人だったのですが、私はそれをストレート・パッティングに応用しています。ひょっとして、そのメソッドの齟齬が上達を阻んでいるのではないか?という疑念が生じました。

で、軽い気持ちで(本当に軽い気持ちで)、部屋の中でアーク・パッティングを試してみました。何と!信じられないような、素晴らしいパットが遂行出来たのです。ぶったまげました。では、早速アーク・パッティングに宗旨替えか?というと、そうは行きません。私は長いことストレート・パッティング派ですから、アーク・パッティングにチェンジするとなると、キリスト教信者がイスラム教に宗旨替えするほどの大問題です。

アーク・パッティングは、スウィング・ドアのようにインサイドに引いたパターヘッドをボール位置でスクウェアに戻し、その後(ターゲット方向にではなく)インサイドにフォローを出すというメソッドです。私にはインサイドに引く度合いと、どの程度に戻せばスクウェアになるのか?というアーク・パッティングの灰色部分が気に入りませんでした。円弧型ストロークのための練習道具が売られており、私はその模造品を自作して持っています。それで熱心に練習した時期もあったのですが、常にフォワード・ストロークの角度をどうすればよいのか納得出来ず、匙を投げていたのでした。

アーク・パッティングの驚くべき成果が気になったので、Paul Runyanの本をもう一度読み返し、ついでに現在アーク・パッティング指導で名を挙げているStan Utley(スタン・アトリィ)のメソッドも読み直してみました。

彼ら二人のメソッドは同じアーク・パッティングでも、類似点ばかりでなく、ポスチャーやグリップその他いくつもの相違点があります。

【類似点】

・スタンス
 二人とも狭め。Paul Runyanは靴の外側が肩幅と一致するスタンス巾。Stan Utleyは肩幅かそれ以内と云っています。

・両足のアライメント
 Paul Runyanも、Stan Utleyもターゲットラインにスクウェア。

・目の位置
 二人ともボールの真上ではなく、ラインの真上。Stan Utleyは左目はボールの右側で、しかもラインの内側(身体寄り)を勧めます。

・体重
 両人とも左右均等。Stan Utleyは上下(爪先側・踵側)に関しても均等と云っています。

・両肘
 二人とも胸郭(心臓や肺などを肋骨等で囲んだ籠状の骨格)の上に軽く当てると云っています。(☆)

・パターシャフトと前腕部の角度
 両名ともパターシャフトが左前腕部を貫通する角度に持ち、左右の前腕部を横から見た時、一線に揃っているべきであると主張します。

・身体の前傾
 二人とも股関節から前傾することを推奨します。

【相違点】

・グリップ
 Paul Runyanは、両掌が身体の正面を向くようにして、下向きかつ45°斜めにします。Stan Utleyのグリップは左手が生命線、右掌はターゲットを向いた逆オーヴァーラップ・グリップ。

・手と腕
 Paul Runyanは、両方の手首をきつ目に保つことを推奨。Stan Utleyはソフトに保つべきで、きつくしたり拘束するようであってはならないと主張。

・肩の高さ
 Stan Utleyは原則「水平」だが、左肩が右より僅かに高めと云っています。右肩が極端に低いと肩が(回転ではなく)上下運動をしがちだから…というのがその理由。Paul Runyanは、イラストで見る限り水平です。

・ボール位置
 Paul Runyanのボール位置は左足親指の前方。Stan Utleyは「スタンス中央のやや左」と指定しています。パター・ヘッドをスタンス中央にしたいという理由からだそうです。

・アドレス時のシャフトの角度
 Paul Runyanは垂直。Stan Utleyも原則的には垂直を推奨しますが、自分自身はやや前傾(ターゲット側に少し傾斜)させるそうです。Stan Utleyは「フォワード・スウィングは、インパクト・エリアでシャフトを垂直か若干(ターゲット方向に)前傾させるため、主に右手を伸ばすことによって生成される」とも云っていますが、これは手・腕の動きを封じるRunyanメソッドと180°異なる点です。(ヴィデオでは、Paul Runyanも右手首を伸ばしていますが)


二人がアーク・パッティングを提唱するのは、
・パットもフル・スウィング同様ボールを横から打つのだから、パターヘッドをインサイドに引き、スクウェアに戻して再びインサイド向かわせる円運動をするのが自然である
・ごく短い距離ならストレート・パッティングもいいが、それ以上の距離でターゲットに対しストレートに引き続けるのは無理がある
…という理由からだそうです。

フォワード・ストロークの際にどんな軌道でパターヘッドをスクウェアにするか、確たる説明がされていないのも二人の共通点です。

Stan Utleyが次のように述べているのが印象に残りました。「(ストレート・パッティングのように)肩を上下に揺らすことを止め、フル・スウィングと同じように背骨を中心として水平に肩を廻す。言葉を替えれば、(右利きの場合)バックストロークで左肩を(左足に向かって落とすのではなく)顎に近づけるように感じるべきである」(☆)また「ストローク開始に当たって僅かに肩を廻すが、腕は何もせずグリップエンドは静かなままで、パターヘッドは適切な距離を転がすに足るエネルギーを生むために必要なだけ遠ざかる」と述べている中の「グリップエンドは静かなまま」(☆)という説明も重要に思えます。

ストレート・パッティングをする際の私の《はみ出し禁止のストローク》は、左肩を左足に向かって落とします。正反対です。

私にとっては、☆印をつけた「両肘を胸郭に軽く当てる」と、「バックストロークで左肩を顎に向かわせる」、「グリップエンドは静かなまま」などが目新しい発見でした。「両肘を胸郭に軽く当てる」は、独立した手・腕の動きを防ぎ、浮かした肘よりも方向性を遥かに安定させてくれます。「左肩を顎に向かわせる」は、水平運動を推進します。「グリップエンドは静かなまま」は、安定した円弧の中心を作ります。幼児の両手を掴んで持ち上げ、その身体を振り廻しながら回転するイメージ。

[in_square]

フォワード・ストロークについて、私は次のように結論を出しました。パット名人Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)はインサイドに引きストレートに押し出すパッティングで有名です。彼に倣ってフォワード・ストロークの円弧の角度など気にせず、ヘッドを素直にターゲットに向かわせればいいのだ…と思いました。

やってみました。ベースとしてはPaul Runyanメソッドを採用。フルスウィングと同じように、腰の動きを抑制し(一寸苦しい感じになる)、その反動で上体の捻転を振りほどく。手・腕の独立した運動はなく、上体の反転に追随するだけ。つまり、フォワード・ストロークでは何もしないため、Paul RunyanもStan Utleyも何も書くことがなかったのでしょう。これ、かなりいいです。呆気なくアーク・パッティングをマスター!

しかし、待って下さい。この項のタイトルは「アーク・パッティングの研究」ではないことをお忘れなく。私はDave Pelz(デイヴ・ペルツ)も考えつかなかったようなテストを敢行したのです。アーク・パッティング vs. ストレート・パッティング。ゴジラ vs. アンギラス。関西風すき焼き vs. 関東風すき焼き。相反する二つのメソッドの対決。果たしてどちらが勝つか?待たれよ、次号。

【参考】
・「Paul Runyanのパッティング」(tips_96.html)
・「手首封じのRunyanグリップ」(tips_143.html)
・「Stan Utleyのアーク(弧)パッティング」(tips_103.html)
・「Ben Crenshawのインサイド→スクウェアのパッティング」(tips_105.html)

【お詫び】 「Stan Utleyのパットの目の位置」(tips_108.html)に、編者の誤解・誤訳がありました。お詫びします。記事は説明つきで訂正しました。

(January 07, 2013)


アーク・パッティング vs. ストレート・パッティング【比較テスト篇】 [caps]

ストレート・パッティングとアーク(円弧型)パッティング、どちらが私に向いているのかテストしました。私の室内でのパット練習法はちと過酷です。ターゲットは写真のようにブタン・ガス・カートリッジのキャップで、直径約2センチしかありません(本物のカップの1/4より小さい)。キャップに触らないボールは失格としますから、カップのド真ん中に入るパットしかカウントしないことになります。

距離は2.5メートル、ターゲットは四つ、四回のパットを1セットとし、何個成功したかを記録します。アーク・パッティングを四個打ったら、ストレート・パッティングを四個、次のセットでは順番を入れ替えて…と、公平に実施。それぞれのセットの第一パットが成功したら、それには特別なマークを付けておきました。何故かというと、普通本番では四回も続けて同じようなラインでパットすることはなく、全てぶっつけ本番だからです。その意味で第一パットを特に重要視したわけです。

アーク・パッティングにはトゥ・ハング(フェースが自然に斜めになる)タイプのPing Anser型が向いているとされているのですが(Stan Utleyもこのタイプを使用)、Paul Runyan(ポール・ラニャン)は、「トゥ・ハング型の方向性は信頼出来ない」と云い、フェース・バランスト(フェースが自然に水平か垂直になる)タイプを支持します。で、私もフェース・バランストのマレット型であるOdyssey Rosie IIを使用しました。

お断りしておきますが、これはPaul Runyan方式 vs. Stan Utley方式のテストではありません。Paul Runyan方式を応用したストレート・パッティングと、多少Stan Utleyのヒントを取り入れたPaul Runyan方式アーク・パッティングの、二つの比較です。

数日間にわたり、ストレート500パット、アーク500パット、計1,000パットを実施。

ストレート・パッティングの成功率は47%、アーク・パッティングの成功率は39%でした。私は長いことストレート・パッティングに慣れ親しんでいるわけですから、これはまあ順当な差と云えるでしょう。アーク・パッティングをする際には、まだ不安感が拭い去れない状態ですし。

傾斜も芝目もないカーペットの上の、2.5メートルのパットにしてはあまり成績がよくありません。1セットの成功数ゼロも双方のテストにあったほどです。お恥ずかしい。【余談】'Golf Digest'誌1966年10月号が初めてベリィ・パターを紹介した時の実験者はPaul Runyanだったそうですが、彼は「グリップエンドを身体につければ、2フィート(約60センチ)の距離を400回連続成功も可能だろうが、従来の方式だと143回以上の連続成功は無理だ」と云ったそうです。Paul Runyanなら60センチなど100発100中かと思っていましたが、違うんですね。ですから、2センチのブタン・ガス・カートリッジのキャップを狙った私の成功率が低いのは当然と云えます(言い訳)。

さて、もう一つの集計結果、各セットの第一パットの成功率です。ストレート42%、アーク49%。この両者の逆転は意外でした。アーク・パッティングはラウンドの条件と同じぶっつけ本番に強いと云えるのかも知れません。

アーク・パッティングのテスト中に発見しことですが、肩を水平に廻そうとすると腰や膝も一緒に廻りそうになります。これを防ぐ方法があります。ドライヴァーを打つ時、スウェイ防止のためアドレスで右膝を内側に押し込みますが、パッティングでも同じことをすればいいのです。

Paul Runyanはどういう肩の動きをしているのか、DVD(元はVHS)を見直してみましたが、彼の左肩は目立った動きを見せません。前に出しているようには見えないのです。Stan UtleyのパッティングのYouTubeムーヴィも見てみましたが(http://www.youtube.com/watch?v=aYdsSSYTz8k)、彼も目立つような肩の動きはしていません。かなり微細な円運動なのでしょう。

どんな角度でインサイドにパターを引くか?多分、その鍵はStan Utleyの「グリップエンドは静かなまま」という言葉にあると思います。グリップエンドを動かさなければ、自然にパターヘッドが円運動をすることになります。距離に応じて、その弧を増減すればいいわけです。

私が辿り着いたアーク・パッティングの手順、以下の通り。
 出典:[P.R.]=Paul Runyan、[S.U.]=Stan Utley、[E.T.]=Eiji Takano、[B.C.]=Ben Crenshaw
1) ボール位置は左足親指の前方 [P.R.]
2) スタンスは肩幅 [P.R.][S.U.]
3) Runyanグリップで、両前腕を90°に開く [P.R.]
4) シャフトの延長線が前腕部を貫通するよう、一線に揃える [P.R.][S.U.]
5) 両肘を胸郭に軽く当てる [P.R.][S.U.]
6) シャフト・手・手首を凍結させる [E.T.]
7) グリップエンドを動かさず、(背骨を中心に)左肩を水平に廻して顎に向かわせる [S.U.]
 【この時、下半身を動かさないこと】
8) パターヘッドをターゲットに向かわせる [B.C.]
 【この時、手や手首を動かさないこと】

【重要】《自信を持って、しっかりストロークする。でないと、フェースがオープンになったりクローズになったりする。しっかり打った時だけ、真っ直ぐ転がると思うこと》

上の手順は1,000パットを終えた後にまとめたものなので、もう一度比較テストをすればアーク・パッティングが勝つような気がします。

Stan Utleyはインパクト後ターゲット方向のインサイドへとヘッドを向かわせるそうですが、私は現在Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)流にストレートにターゲットに向かわせています。インパクト後はフェースがどこを向こうが関係ないとも云えますが、右に廻した左肩を左に戻すだけ…というシンプルな境地がベストではないでしょうか。バックストローク同様、フォワード・ストロークでも手・手首を作為的に使うべきではないので。

では、これからの私はストレート・パッティングを捨て、アーク・パッティングに専念するのか?残念ながらこのテストでは顕著な差が出なかったので、正直迷わざるを得ません。暫定的にですが、No.1をスタートしてしばらくはアーク・パッティングを先発させ、それが好調ならそのまま続投、不調ならすぐ引っ込めてストレート・パッティングに継投させるという作戦で行こうかと思っています。

【参考】
・「Paul Runyanのパッティング」(tips_96.html)
・「手首封じのRunyanグリップ」(tips_143.html)
・「Stan Utleyのアーク(弧)パッティング」(tips_103.html)
・「Ben Crenshawのインサイド→スクウェアのパッティング」(tips_105.html)

(January 10, 2013)


Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)の チッピングでは身体を廻せ

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)による、身体を使ったチッピング。

'Turn your body to chip it close'
by Hank Haney ('Golf Digest,' November 2012)

「チッピングの下手なゴルファーのミスの原因のほぼ100%は同じである。ボールの手前を叩いてしまうのだ。また、次の有害な助言も大きな理由である。友人やプロから『打つ間じゅう頭を下げていろ』と云われたことがある筈だ。ポスチャーを崩すのは問題だとしても、『低く留まれ』というのは上達の助けにならない。

チッピングの際に、パッティングのように頭と身体を静止させ、身体の回転を制限しようとしたら、スウィング弧の最低点がボールの手前になってしまうのは確実だ。平らな地面のパッティングで、やや上昇気味にボールを打つ場合なら問題はないが、チッピングでは下降気味に打つ必要があるのだ。それにはダイナミックな動きと、ボールから後方へ、そしてボールから前方への身体の回転が不可欠である。

この感覚を得るには、両方の腰から腰へ対称的にクラブを振るべきだ。バックスウィングでは、身体を回転させて手首のコックでクラブをベルトの高さまで上げ、次いで他方の同じ高さまで穏やかな回転で振り抜く。腰を廻し、目を動かして地面を離れるボールを追うことだ。

『頭を下げ続けろ』という文句は、プレッシャーがかかったパットの時にとっておくべきである」

(January 10, 2013)


バンカーからチップ

'Precision Wedge and Bunker Shots'
by Jim Fitzgerald with Dave Gould (Human Kinetics, 1998, $16.95)

「あなたのボールは、浅く、顎が低く、固い砂の上のいいライにある。ピンまでの距離は約20ヤード。

この状況なら、エクスプロージョンの危険を冒すよりも、砂との接触を最低限におさえたチッピングという選択肢がある。

・ボール位置はスタンスのターゲット寄りで、体重の70〜80%は左足に。

・クラブのハンドル(グリップ部分)はボールより前方に出す。【編註:ロフトがやや減る】

・ダウンスウィングでは水平か下降気味のショットが必要なので、バックスウィングも低く浅く上げる。

【注意】
・あまりにもロフトが多いと単に出すだけとなり、ロング・パットが残る。あまりにもロフトが少ないと、顎や土手にぶつかり、もう一度バンカー・ショットをするハメになる」

この方法でピン傍に寄せるには、顎を越えられるロフトと適切な距離(飛行とラン)を得るスウィング巾の組み合わせが重要です。ロフトの少ないクラブだと予想もしないランによってホームランになりかねません。練習しておかないと大怪我になります。

(January 13, 2013)


アーク・パッティングの基本・1:両肘アンカーリング

"anchor"(アンカー)は「錨」ですが、"anchoring"(アンカーリング)はベリィ・パターやロング・パターのグリップエンドを、身体のどこかに支点としてくっつけることを指します。ゴルフ・ルールを制定・改定する組織USGA(米国)とR&A(英国)は、パターの"anchoring"を2016年以降禁止しようとしています。

これから紹介する「両肘アンカーリング」はパターそのものは身体にくっつけないので、2016年以降も合法です:-)。「基本」と銘打ったように、これはアーク・パッティングを指向する際に必須のテクニックです。Paul Runyan(ポール・ラニャン)もStan Utley(スタン・アトリィ)も「両肘を胸郭に軽く当てよ」と云っています。以下は、“パット・ドクター”を自称しPGAツァー・プロたちにパッティングを指導しているDr. Craig L. Farnsworth(クレイグ・L・ファーンズワース博士)のメソッド。

'The Putting Prescription'
by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $24.95)

「アーク・パッティングをするには、ストロークの間じゅう、次のように上腕を正しく保つことが鍵である。
1) 左右の上腕が胴体に接し続けること。
2) 両方の腕は身体の輪郭の内側にあること。

私(Dr. Craig L. Farnsworth)が好ましいと考える位置は《左腕は胸の前、右腕は脇の近く》である。言葉を換えれば、左肘は右肘ほど折られないということだ。両腕はテンションを生じない範囲で出来るだけ近づける。胸と両腕は三角形を形成する。この三角形をフィニッシュまで維持すること。

【注意】上腕全体(肩の下から肘まで)が身体に接すると、胴体を過度に動かしたり手の動きが入り込んだりする恐れがある。

腕が身体から離れると、ストロークのパワーの効果が薄れ、距離のコントロールが難しくなる。チキン・ウィングのようなインパクトはプッシュに繋がる」

《左腕は胸の前、右腕は脇の近く》で練習してみると、方向性と距離感が格段に飛躍します。両腕と胸で形成される三角形を水平に廻せばいいだけなので、バック・ストロークやフォワード・ストロークでインサイドに向かう度合いなどを考える必要はありません。このシンプルさは快適です。

(January 16, 2013)


アーク・パッティングの基本・2:胴体回転ドリル

このドリルは「胸でパットする【パット・ドクターのストローク法】」(tips_133.html)という記事の中に含めた内容ですが、アーク・パッティングをする際に不可欠なものであることが分かりました。で、別に一項を立てて詳しく紹介することにします。

'The Putting Prescription'
by Dr. Craig L. Farnsworth (John Wiley & Sons, Inc., 2009, $24.95)

「理想的なストロークは、『両肘アンカーリング』(アーク・パッティングの基本・1)と『水平に動く肩』が一体になったものである。肩を、回転軸である背骨の周りで廻そうとするのは、スウェイを防ぐために重要なことだ。

正しい回転を完璧にするテクニックは、"Trunk Rotation drill"(胴体回転ドリル)を行うことだ。直立し、両肘アンカーリングでパターを持った手を、胸の前で水平にする。5〜6メートルのパットをするつもりで、腕・肩・背中を右方へ、そして左方へと回転させる。これは、ストロークの間じゅう肩を水平に保つ望ましい感覚を得るのに役立つ。

両肘アンカーリングされている腕が身体の中心をリードして肩(と胸)を後方に引き、前方に押す。腕は身体に接触したままであり、勝手に回転しない。また、頭は固定されたままにし、身体も左右に動かしてはならない。

バック・ストロークで、パターをインサイドに引こうとして頭と身体を廻そうとしてはいけない。インサイドへの動きは、背骨を軸に胴を回転させることによって自然に生じさせるべきものだ。インサイドへのパターヘッドの軌道は意図して作られるものではない。正しいセットアップをしていれば、自然に生まれるものだ。

両肩を動かすことに専念すると、バックストロークで身体と頭を廻し過ぎてしまう人がいる。その主たる原因は、アドレスで左腕がかなり脇の方に接触しているせいだ。【Farnsworth博士は、《左腕は胸の前、右腕は脇の近くにつける》ことを推奨しています】こういう場合、 両肩ではなく右腕・右肩・背中に意識を集中して回転を始めればよい」

[anchoring]

このドリルをもっと効果的に行う方法を考えました。2016年以降違法とされそうなアンカーリングを使うのです。みぞおちの下辺りでグリップエンドをアンカーリングし、左右の上腕部も身体にくっつけてからパターを握ります(ベリィ・パターのようになる)。すると、その形は図のようなものになります(これは"peace symbol"[平和のシンボル]を模したものです)。パターも両腕もアンカーリングされて自由が利かない代わり、パターヘッドの角度が絶対変わらない堅固さが感じられるでしょう。この図で云えることは、胴体を廻さずにパターヘッドを動かすことは出来ないということです。そういう具合に水平な胴体回転ドリルを行い、次いでパターを下におろして通常のストローク練習をします。

このドリルの留意点は、頭と下半身を動かさないことです。折角両肘アンカーリングで方向性の正確さを期しても、軸が動いたのでは台無しです。ただし、実際のストローク巾は短いのが当世風なのだそうで、Farnsworth博士は「10〜12メートルのパットでもない限り、バックストロークはパターを自分の身体の幅の外に出すべきではない。フォロースルーも胸がターゲットを向くほど廻さぬように」と云っていますから、下半身を動かすような動作は異常だということになります。

本番のラウンドでは、グリップエンドを身体につけずにパットします。あるいは、両肘だけ身体につけてパット(これは2016年以降も合法です)。

私のように長年ストレート・パッティングをして来た者は、肩を縦に動かすことに慣れているので、ともすれば肩を水平にではなく縦に動かそうとしがちです。これは落第です。Stan Utley(スタン・アトリィ)の本を読むと、Darren Clarke(ダレン・クラーク)のようなツァー・プロですら放っておくと肩を縦に動かす癖が出るそうですから、ダッファーの私においておやですが。この胴体回転ドリルを継続練習して、自分自身の脳と筋肉(マスル・メモリ)を洗脳しなくてはなりません。

(January 19, 2013、改訂March 28, 2014)


頭を起すな、横目で見よ

この本はヨーロピアン・ツァーのプロを中心に、PGAツァー、LPGAツァーなどのプロのtipを集めたもの。今回の記事'Swivel your eyes, don't lift your head'は、ウェールズ人のプロPhilip Price(フィリップ・プライス)によるもの。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「ショートゲームでアマチュアが失敗する主な理由は、スウィングの間にポスチャーの角度を変えてしまうことだ。これでは正確なヒッティングが出来るわけがない。

多くの場合、ゴルファーはあまりにも早く頭を持ち上げるか、インパクトで立ち上がってしまう。どちらの場合もミスショットは必然の結果である。私はそれを避けるため、スウィングが終了するまで頭を動かさず目を横に動かすようにしている。パットの時と同様である。この方法はアドレスした時の頭の高さと背骨の角度を維持してくれ、正確なボールとのコンタクトをもたらしてくれる」

(January 19, 2013)


ピンチ・ショットの勧め

'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/Tennis, Inc., 1979, $9.95)

ショートゲームの達人Paul Runyan(ポール・ラニャン)がこの本を出版した1979年当時は、まだロブ・ウェッジ(60°ウェッジ)が一般的ではなかったようで、彼がロブ・ショットに言及する時、「最もロフトの多いクラブ」と表現しており、それはサンド・ウェッジを指しています。ロブ・ウェッジを有名にし広めたのはTom Kite(トム・カイト)ですが、彼の本'How to Play Consistent Golf'(1990)で、彼がロブ・ウェッジを採用したのは「(執筆時の)数年前だった」と云っていますから、Paul Runyanの本の約10年後ということになります。【1986年にリリースされたヴィデオでは、Paul Runyanも60°ウェッジを使っていますが】

Paul Runyanがサンド・ウェッジを用いて60°ウェッジの効果を出そうとしていたと考えると、そんな苦労をするよりは60°ウェッジを使う方が簡単です。しかし、彼はロブ・ショットが適していないライにおいて、以下の「ピンチ・ショット」、「カット・ピンチ」という技法を選択するそうで、これらはどれもピン傍に寄せようとする時に役立つものです。

「・ロブ・ショット

ロブ・ショットにはボールが草の上で浮いている理想的なライが必要である。このショットでは、インパクトでクラブヘッドを地面と平行に動かし、攻撃角度も水平である(下降するのではない)。クラブヘッドはインパクトでボールの下の草を薙ぎ払うべきである。 ロブ・ショットが正しく打たれれば、クラブの"built-in loft"(ビルトイン・ロフト)通りの角度で打ち出される。

【編註:"built-in loft"(ビルトイン・ロフト):例えば8番アイアンには製造元が定めたロフトが組み込まれており、それを"built-in loft"(ビルトイン・ロフト)と呼ぶ。しかし、その8番アイアンのロフトは、シャフトの傾け方次第でサンドウェッジから2番アイアン、もっと云えばパターのロフトにさえも変えることが出来る。これを"effective loft"(実効ロフト)と呼ぶ】

・ピンチ・ショット

ライが貧弱な場合はピンチ・ショットの出番である。ピンチ・ショットとは、インパクト後クラブヘッドがなおも下降し続け、ボールを打った後、ボールのターゲット側の草を薙ぎ払うか、あるいは僅かにターフを取るようなショットである。下降しつつあるクラブの実効ロフトが減少しているため、ボールの軌道は同じクラブによるロブ・ショットよりも低い軌道になる。

【編註】ピンチショットを一言で表現すれば、ボールをヒットダウンしてクラブと地面でボールを挟みつぶすようなショットと云えます。

ピンチ・ショットがソリッドに打たれれば、ボールにより一層のバックスピンが加わる。長いショットではボールは高く上がり、滞空時間が長くなる。ただし、短いショットではその効果は薄れる。実効ロフトの減少により、着地後のランは長くなる。

なぜピンチ・ショットが必要か?これはロブ・ショットよりも安全なショットなのだ。ダウンブローのスウィング軌道によって、ボールの背後の草に絡まれることもなく、ボールの手前の地面でザックリする危険も回避出来る。ボールをクリーンに、ソリッドに打つことが出来るベストのショットなのである。ピンチし過ぎた場合、予期した以上に低い軌道のボールになるが、草に絡まったりボールの手前の地面を叩くよりはずっといい結果が得られる。

[cut shot]

・カット・ロブ

スタンダードなロブ・ショットもピンチ・ショットでもクラブフェースはクラブの進行方向にスクウェアであるが、カット・ロブとカット・ピンチでは、クラブはターゲットの左へ向かい、インパクトの際クラブフェースはオープンで、クラブの進行方向の右を向いている。

【編註:右図の説明】カット・ショットでは青線のようにアウトサイド・インの軌道でスウィングします。通常はクラブフェースを黄色線にしてターゲットラインにスクウェア(直角)に合わせるのですが、カット・ショットではクラブフェースを赤線のようにして、スウィング軌道(青線)のやや右を狙います。このクラブフェースはターゲットラインに対してはクローズに見えますが、ここではスウィング軌道(青線)に対してオープンなクラブフェースと考えます。カット・ロブとカット・ピンチによって打たれたボールは、クラブの進行方向であるターゲットの左(青線)に向かい、オープンなクラブフェース(赤線)によって次第に右へカーヴしてカップ(緑線)の方へ弾みます。

カット・ショットの大きな利点は、オープンなクラブフェースによって実効ロフトを増すことだ。ロブ・ショットをカットすると(=カット・ロブ)、通常のロブ・ショットよりボールが高く上がり、ボールは着地後グリーンで早めに停止する。

・カット・ピンチ

カット・ピンチは、ピンチしながらカットするため、劣悪なライからでもオープンなクラブフェースによってカットしないピンチよりも高く上がって、早めに停止する。

これはボールの背後の草や地面による妨害を排除出来る安全なショットであり、実効ロフトを増すことでロブ・ショットに匹敵する(あるいはそれ以上の)高いボール軌道を得ることが出来る。


カット・ショットにはいくつか制限がある。

1) 極端にカットしようとクラブフェースをあまりにも軌道の右に向けると、弱々しく右に横滑りするだけの結果になる。

2) オープンなフェースによるカットは、ボールにスライス・スピンを与えるわけではない。着地後若干右に弾んで転がるものの、ショート・ゲームのショットでスライス・スピンが顕著にかかることは稀である。

3) オープンなクラブフェースによるカット・ショットは、斜めからの打撃になるため、スクウェアに打たれる通常のロブやピンチ・ショットよりも飛距離が短くなる。だが、フル・スウィングが必要でない場合は、1/2スウィングを3/4へと長くすればいいだけなので、重大問題ではない」

(January 22, 2013)


トップはスウィングの半ばではない

'Accelerate into impact'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2012)

「あまりにも多くのゴルファーが、ボールと接触すればスウィングは完了だとばかり、惰力でインパクトを迎える。その結果、インパクト・エリアでの加速がないため、ボールはキャリーで遠くに飛ぶだけ充分なスピードでクラブフェースを離れることが出来ない。

遠くに飛ばすためには、バックスウィングのトップをスウィング全体の1/3だと思うべきだ。この考え方は、スウィングの前方にエネルギーを注ぎ込んでくれるだろう。それによって、充分なクラブヘッド・スピードと、フル・フィニッシュへと身体を進める勢いが生み出される。

多くのゴルファーが、バックスウィングのトップでスウィングの半分を終えたと考える。だが、まだ2/3残っていると知っていれば、ボールに向かってもっと加速しようという気になる筈だ」

(January 22, 2013)


ティーアップでスライスを防ぐ

インストラクターの世界No.1として長く君臨するButch Harmon(ブッチ・ハーモン)のtip。

'To hit a power draw, tee the ball higher'
by Butch Harmon ('Golf Digest,' August 2002)

「あなたがドライヴァーやロフトの少ないメタル・ウッドでスライスしがちなら、高くティーアップすることを勧める。ハイハンデのゴルファーは、ポップアップを恐れて低くティーアップする。だが、彼らはその低くティーアップしたボールを宙に浮かべようと努力するのだが、それは急角度の手打ちの原因となり、スライス御用達のサイドスピンを生み出してしまう。

ボールを僅かに高くティーアップすると、ボールをティーから払うことが出来るという自信を視覚的に与えてくれる。それは頭がボールの後ろに留まることと、インパクトにかけて手・腕をリリースすることを助けてくれる。その結果、スライスは消滅し、ドローによって飛距離も得ることが出来るようになる。

スタンダードなドライヴでは、私は生徒達に『ボールの1/4か1/2ほどをフェースの上に出すように』と云っている。最近の厚みのあるドライヴァーでは、その配分を考慮すべきである。

覚えておくべきこと:低いティーアップはスライスになり易い。高いティーアップはパワー・ドローに繋がる」

私は高めのティー・アップ、左爪先前方のボール位置でショットが乱れて来たので、現在低いティーアップにし、しかも左足踵前方のボール位置にしています。方向は僅かにドローで安定しています。ですから、上のButch Harmonの教えも誰にでもひとし並みに通用するわけではないと思われます。試すことが必要です。

(January 28, 2013)


シニアだってパワー・ゴルフ

この記事の筆者Bob Duval(ボブ・デュヴァル、1941〜 )は、若い時からずっとフロリダ州のいくつかのゴルフ場のクラブ・プロを勤めて来ましたが、シニア・ツァー(現チャンピオンズ・ツァー)に参加出来る年齢に達した時、息子のDavid Duval(デイヴィッド・デュヴァル)の勧めでシニア・ツァーに加わりました。1999年に息子がThe Players Championship(プレイヤーズ選手権)に優勝した日、彼もEmerald Coast Classic(エメラルド・コースト・クラシック)に親子同日優勝したことは有名です。Bob Duvalのヒントは特別変わったものではありませんが、四つのステップのうち最後の留意次項は非常に大事だと思われます。

'Golf Past 50'
edited by David Chmiel & Kevin Morris (Human Kinetics, 1961, $16.95)

「遠くに飛ばすには、遠くに飛ばそうとしないことだ。飛ばそうという誘惑と闘うのが大変なことであるのは分かるが、Fred Couples(フレッド・カプルズ)やDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)、そして私の息子のDavid DuvalらPGAツァーのロング・ヒッターたちは、ボールをぶっ叩こうなどとしていない。彼らは手首のコックと回転させた肩によるエネルギーを、フォワードスウィングまで温存する。この動きがレイト・ヒットを作り出し、ボールを遠くに運ぶ。以下は、あなたのパワーを最大にする四つのステップである。

1) 誰かと話しているかのようにバランス良くボールに相対する。すぐにでも機敏な動作に移れるように、両膝を柔軟にする。両腕は単純に肩から垂らすべきだ。あまりにも多くのアマチュアが、パワーを得ようとして伸ばした手でドライヴァーを前に突き出す。ドライヴァーでは、スタンスはパワーを維持出来る範囲の広さでなければならない。あなたにとって自然な手の位置になるグリップを用いる。垂れ下がった左手でクラブを持ち、それに快適にフィットするように右手を添える。

2) バックスウィングのトップへは、単純に上半身を下半身に対して捻(ねじ)り上げる。体重はトップに至るまで、右足の外に向かうべきではなく、背骨がターゲット方向に傾斜してもいけない。飛距離を最大にするため、トップで肩が完全に捻転し、手首を充分にコックしていることを確認せよ。

3) トップからは、単純に身体をフィニッシュ・ポジションへと向かわせる。インパクトまで可能な限り長く捻転とコックを維持しつつ、他の全てが後に続く。バランスのとれたフィニッシュ・ポジションへと、腕と手を従えながら運動選手のように身体を回転させることを心掛ける。思い切りハードに打っていいのだが、バランスを失うほど強打しようとするとボールをソリッドに(=遠くへ)打つことは出来なくなる。

4) ボールをうまく打つには、不変の背骨の角度を維持しつつ回転することが鍵である。二つの背骨の角度、1) 背骨を股関節から前方に曲げた度合い、そして2) ターゲットとボールから遠ざけて背骨を後方に曲げた度合い…である。背骨の前傾角度は、クラブによって変わるべきではないが、長いクラブほど後方への傾斜が増す」

私はこの「背骨の角度を変えるな」を以前から知っているのですが、ついつい立ち上がるスウィングになってしまいます。フィニッシュでは立ち上がっていいとしても、インパクトの瞬間に既に立ち上がりかけていたら、いいショットが打てるわけがありません。背骨の角度を維持すると方向性が抜群に良くなるのは間違いありません。反省してます。

 

(January 31 2013)


シニアは右足を開け

'Drive it in the short grass'
by edirors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2012)

「スタンスを若干肩幅より広くし、右足を約25〜30°ほど右に開く。これは、アドレスの姿勢から立ち上がったりせずに、バックスウィングのターンを容易にしてくれる。アドレス時の背骨の角度を維持しながら、捻転の度合いを増し、クラブヘッド・スピードを生み出すことが出来る」

(January 31, 2013)


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