Golf Tips Vol. 141

"Less is more"(レス・イズ・モア)全科正解

'Why less is more'
by Todd Anderson with Cliff Schrock ('Golf Digest,' August 1997)

「ゴルフ・スクールでコーチしている私の経験では、ゴルファー達は何かにつけてやり過ぎる傾向がある。特に、ボールを遠くに飛ばそうとする場合がそうだ。生徒達が『もっと飛距離を伸ばすには、どうすればよいか?』と私に聞くとき、彼らは私が『スウィングを長くし、大きく捻転し、もっとコックし、"do more of this and more of that"(あれをもっと、これをもっと)』と云うのを期待している。実際のところ、そんなことを勧めたら、彼らのスウィングは超不安定になり、逆に飛距離は減ってしまう。何故なら、彼らは何かにつけやり過ぎてしまうからだ。普通、『スウィング動作を少なくしろ』と説かれるのを聞くことは滅多にないだろうが、ここで私が云いたいのはまさにそれである。

[Less is more]

・肩の回転

『長いスウィングをすれば飛距離が伸びる』という常識を信じてはいけない。あなたがJohn Daly(ジョン・デイリィ)の強靭さと敏捷さを持っていなければ、肩を90°廻し、バックスウィングでクラブが水平以下に垂れるスウィングをしても何の意味も無い。

水平以下に垂れたクラブは、扱いにくい大ハンマーのように重くなり、過度に早期のアンコックを誘発し、肩・腕・手の動きをバラバラにしてしまい、蓄積されたパワーは徒(いたずら)に雲散霧消してしまう。

長いバックスウィングは不必要だ。左肩を90°廻し、トップで左腕とクラブで形成される90°の角度を維持せよ。あなたの手は11時(頭の上の12時ではなく)にあるべきだ。

・腰の回転

肩を90°廻せば、腰は理想的に45°廻る。あなたが肩を45°以上廻そうとすると、足を上げたり左膝を横移動させたりするしかなく、下半身の抵抗がない見せかけだけの捻転に堕してしまう。

腰の回転を制限することによって、蓄積されたパワーを解放する下半身主導のダウンスウィングが開始出来るのだ。

・右肘の角度

よく聞かれる言葉に『トップで右肘を身体から離すな』というのがある。不幸にしてこの助言は、ゴルファーに過度に右肘を身体に引きつけさせる原因となってしまう。その結果、スウィング半径が小さくなり、パワーの源を失う。

正しいアドヴァイスは『バックスングで右肘を90°に折り、ダウンスウィングで身体の脇に下ろせ』というものだ。これがストレートな左腕による、ワイドなスウィング弧を作り出す。ダウンスウィングで身体に引き下ろされる右肘は、梃子の作用とパワーとを生み出す。

・手首の角度

もっと飛距離を得ようとするゴルファーは、クラブを過度に操作しがちである。特に、トップにおける極端に柔軟な左手首の動きがそれだ。ゴルファーは、腕によるバックスウィングが完了したにもかかわらず、左手首を折ることでバックスウィングをもっと延長出来るかのように感じる。この感覚は誤り以外の何ものでもない。左手首が凸や凹の形に折れると、手首と親指はクラブヘッドを安定させられなくなり、バックスウィングのトップでスクウェアなクラブフェースは歪められてしまう。

トップでは左手首はフラットでなければならない。小手先によるクラブの操作が少なければ少ないほど、ダウンスウィングで必要な動作が少なくなり、正確度が増す。フラットな左手首を獲得するヒントの一つは、過度にストロングな(時計回りに廻した)グリップをしないことだ。

・グリップの強さ

《スウィングの間、グリップ圧を一定にすること》が重要だ。上級者は、無意識にグリップ圧を高めてクラブをコントロールしつつ、スウィング速度を徐々にゼロから全速に増やして行く。多くのゴルファーは切り返しの時点でグリップをきつくし始めてしまう。

丸めた濡れ雑巾を持っているイメージを抱いて欲しい。手の跡の凹みは残るものの、水が絞り出されない程度にクラブを軽く握る。スウィングの開始時点ではグリップ圧は軽くしておくべきである」

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(June 01, 2012)


ヒールシャフト・パターの問題点

これはヒールシャフト(あるいはヒール=トゥ・バランスト)型と呼ばれる、ヒールにシャフトがついているパター利用者への警告です。

[PING]

'Hitting putts off-center'
by Peter Farricker ('Golf Digest,' January 1999)

「ヒールシャフト・パターは歴史的パット名人Bobby Locke(ボビィ・ロック)やBen Crenshaw(ベン・クレンショー)などに愛好された型であるが、あなたが同じタイプを用いてムラのあるパッティングをしているなら、他の型に替えるべきかも知れない。

ロボットを用い、中程度の早さのグリーンで、10〜20フィート(約3〜6メートル)のテストをしたところ、距離と正確さに影響するミスはこの型のパターに多いことが判った。マレット型は良好で、Anser型は距離のロスも少なくストレートに転がり、発揮度は最高であった。

【編註】マレット型はストレート・ストローク、Anser型は円弧型ストロークに相応しいことをお忘れなく。

ヒールシャフト・パターで10フィート(約3メートル)のパットをした際、約10センチほどヒール側で打たれたボールは、25センチもショートし、2.5センチ左に逸れた。

逆に、ヒールシャフト・パターで25フィート(約7メートル)のパットをした際、約10センチほどトゥ側で打たれたボールは、60センチもショートした」

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(June 01, 2012)


手首をぐらつかせる張本人はきついグリップである

正確なパットを目指す時、自由気ままに動く手首は大敵です。このtipは、その手首の動きの驚くべき原理と、超簡単な対策を教えてくれます。

'Golf Mind: Unlocking the Real Game'というDVDをレンタルしてみました。スポーツ心理学者Dr. Joseph Parent(ジョゼフ・ペアレント博士、『禅ゴルフ』)、医学博士Dr. Deepak Chopra(ディーパク・チョプラ博士、'Golf for Enlightenment')、作家Michael Murphy(マイケル・マーフィ、『王国のゴルフ』)、インストラクターFred Shoemaker(フレッド・シューメイカー、『奇跡のスイング』)、コース設計家Robert Trent Jones, Jr.(ロバート・トレント・ジョーンズ二世)、インストラクターTina Mickelson(ティナ・ミケルスン)など、錚々たるメンバーが揃ったDVDです。内容は、ビジネス界の名士たちを集めたゴルフ・セミナーで、上の講師たちがメンタルな側面について語ったもの。講師たちの論旨はブツ切れで、彼らがそれぞれ出版した本を上回るものではありません。しかし、収穫がありました。

Dr. Joseph Parent(ジョゼフ・ペアレント博士)によるパッティング・セミナー。彼は練習グリーンに集まった参加者に、次のようなデモをします。「手を胸の前に上げて手首をだらんと下げてほしい。指先に力を入れてはいけない。リラックスした状態で、手首を曲げなさい。大して曲がりませんね?では、指に力を篭めてから手首を動かしなさい。今度は自由自在に動きます。手首は独立して勝手に動くものではなく、指に連動して動くのだということが解るでしょう。パッティングでは手首は動かない方がいい。「パッティング・グリップは緩めにせよ」という教えは、指を緩めて手首の動きを抑止する効果があるのです。多くの人々はパターの軌道を正確にしようとしてパターをきつく握るのだが、逆にそれは手首に自由な動きを与えて軌道を乱してしまうことになる」

これぞ、“目から鱗”ですね。千金の値があるtipです。ゴルフは逆説だらけのゲームですが、《きつくグリップすれば手首が曲がる》とは、これまた驚き。バーディ(あるいはイーグル)チャンスであるとか、80を切れる(あるいはパープレイ達成の)最終パットであるという段になると、われわれは無意識にグリップをきつくしてしまいます。逆なんですね。大事な場面であればあるほど、深呼吸して肩と手・指の力を抜くべきなのです。

(June 04, 2012)


グリーン・ジャケットを得たパッティング

これはMark O'meara(マーク・オメラ)がThe Masters(マスターズ)に優勝した最終パットについて回想したもので、彼のコーチHank Haney(ハンク・ヘイニィ)の解説が付いています。

'Tips from the top'
by Mark O'meara and Hank Haney ('Golf Digest,' January 1999)

「・Mark O'mearaの証言

容易に想像出来るように、オーガスタの最終グリーン上で、私はこれまで経験したことがない位に緊張していた。だが私は、このパットを成功させる唯一の方法は、手早くリラックスすることだと知っていた。だから、私は数回深呼吸し、集中した。一緒に廻っていたFred Couples(フレッド・カプルズ)のバンカー・ショットによって、どうブレイクするか知ることが出来た。そして、木曜日のラウンド終了後にコーチのHank Haneyと練習した内容を思い返した。

Hank Haneyは、私の頭をボールの上の中央に、両目をターゲットラインの上に位置させ、(あまりガチガチにではないが)身体をターゲットにスクウェアにさせた。最後の部分は重要である。どんな動きもクラブフェースをオープンにしてしまうから、安定していなければならないが、パターを動かすには腕と肩が自由であるべきだ。最後に私はリラックスし、ボールがカップに沈んで、全ての緊張は消え去った。

・Hank Haneyの証言

Mark O'mearaは二つのパッティング神話を一掃した。

先ず、『パターを地面すれすれに低く保て』という神話だ。彼の振り子型ストロークでは、パターはバックスウィングとフォローストロークの両方で持ち上がる。低く保とうと努力すると腕を伸ばさなくてはならず、ボールとの接触にムラを生じる。

次に、『左手首をフラットにせよ』という神話である。Mark O'mearaが実行したのは、手首と手で形成された角度を、最初から最後まで変えずに保つということだ。彼はフォロースルーで手首をフラットにしようなどとシャカリキにならなかった。あなたも、そんな努力をすべきでない」

 

(June 04, 2012)


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)の50代のゴルフ

この記事が雑誌に掲載された頃(1999年)、Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)は51歳でした。頑健な身体を持ち、既にゴルフの達人であったとは云え、彼も寄る年波には勝てず身体の柔軟性の喪失を痛感していました。そうした自分自身の身体の状態を踏まえた内容ですので、かなり説得力があります。50代以前のゴルファーであっても、身体のしなやかさが失われつつある方には参考になる筈です。

[Miller]

'Play smarter to hit it farther'
by Johnny Miller ('Golf Digest,' March 1999)

「・左足踵を上げよ

身体の柔軟な若者は左足踵を地面につけたままスウィングすべきだ。50代のゴルファーが腰と肩を大きく廻すには、勢いに乗って左足踵を地面から離せばよい。だが、左足踵を上げるのは(上げるのが目的ではなく)大きな捻転の結果であるということを忘れてはいけない。

・ドライヴァーはアッパーカットで打て

飛距離を伸ばすには、ドライヴァーを誇張した上昇軌道で打つべきだ。ボールのほとんどがドライヴァーの上に出ているぐらい高いティーアップ。スウィングはボクシングのアッパーカットのイメージ。梃子の作用を増すため、頭を後方に残し、右腕は右脇に引きつけておくこと。【編註:次項「ドライヴァーは左足上がりのイメージで打て」を参照のこと】

・狭いスタンスをとれ

足腰に障害を抱えているゴルファーは、狭いスタンスの方が快適である。狭いスタンスはまた腰の回転を楽にし、上半身を自由に捻転させても下半身のストレスを減らしてくれる。

・右脚を支柱とせよ

強力でダイナミックなバックスウィングの鍵は、しっかりした右脚である。固定した右の太腿を中心に回転すべきであり、スウェイ(横移動)したり、アドレス時の右脚の角度を変えてはいけない。右脚をしっかりさせれば、ダウンスウィングで腰と脚がボールに向かってパワーを炸裂させてくれる。

・ドローを打て

右から左へのボールの軌道を保証するのは、クラブヘッドの積極的なリリースだ。インパクト・エリアで右手が左手を追い越す。あなたが正しくドローを打ったとすれば、フォロースルーで、あなたの右肩は左肩より高くなっている筈だ」

(June 07, 2012)


ドライヴァーは左足上がりのイメージで打て

インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による、アッパーにドライヴァーを打つコツ。この方法ならポップアップの心配をせずに打てそうです。

'Here's how to launch your drives'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' July 1999)

「ドライヴァーをソリッドに打つには、ボールと上昇軌道で接触する掃くような打ち方が必要だ。そのための完璧なアドレスをするには、上り坂に立っていると想像することだ。

ボール位置をスタンス前方とし、あたかも左足上がりの勾配にマッチするように、身体の左側が右側よりも高いポスチャーをとる。この右サイドが左サイドに折り込まれたセットアップだと、あなたの上体はボールの後ろに傾斜し、体重も右側にかかっている筈だ。これによって、バックスウィングではボールの背後での身体の捻転、ダウンスウィングでは手足の伸張が可能になる。

この方法だとボールの背面にパワフルな強打を与えることが出来、最大のキャリーとランが得られる」

(June 07, 2012)


パットするようにチップしてはいけない

生体力学の博士号を持つインストラクターDr. Jim Suttie(ジム・サッティ博士)によるチッピングtip。

'Don't chip like you putt'
by Dr. Jim Suttie ('Golf Magazine,' May 1999)

「多くのゴルファーは誤った情報の犠牲者である。『パットするようにチップせよ』という助言は、カップに届かない弱々しいチップの原因となる。手首と身体を動かさずに、腕と肩だけがパターをコントロールするなら、低く引き、低く出すことが必要なパッティング・ストロークは、より簡単に遂行出来る。

しかし、チッピングのストロークは別物である。チッピングではディセンディング・ブローでボールを打つ必要がある。下降する打撃がボールを上昇させ、グリーンまで運んでくれるのだ。

クラブでボールをクリーンに摘み上げるアップライトなスウィング・プレーンを得るため、ウェイスト(胴のくびれた部分)から屈み、体重を左足にかける。

バックスウィングで右手首を僅かに折る。これはテンションを和らげ、距離感を増幅してくれる。

フォワードスウィングでは、両手にクラブヘッドをリードさせつつ、ターゲット方向に両膝を送る。下半身がストロークにリズムを与え、カップに届くような切れ味のいいショットが打てるようになるまで練習する。

パットするようにチップする人たちは、とてもぎごちない動きをする。手首と脚の動きを制限したスウィングをしようとすると、タッチとフィーリングが失われてしまう」

(June 10, 2012)


ハイブリッドによるチッピング

インストラクターDonald Crawley(ドナルド・クローリィ)は、一般に云われている「パッティング・ストロークのようにハイブリッドでチップせよ」という理論は間違いだと主張します。

'Chip with your hybrid'
by Donald Crawley ('Golf Magazine,' March 2008)

「パターと異なり、ハイブリッドによるチッピングは、ソリッドなコンタクトを得るためヒットダウンすべきである。

ハイブリッドのエクストラのバウンスはミスの許容範囲が大きいので、チップでチョロしがちな人にはいい選択肢だ。しかし、ディセンディング・ブローで打つことが必須である。

1) 少なくとも20°のロフトのあるハイブリッドを用いる。
2) ボール位置はスタンス中央。
3) ハンド・ファーストの構えで、体重は左足。
4) 肩が水平であることを確認せよ。
5) バックスウィングでは僅かにコックする(肩は水平のまま)。手袋のロゴがターゲットの右を指すように。
6) 腕、グリップ、シャフトが一体となってボールに向かうダウンスウィング。ハイブリッドの底部でボールの下半分を打つように。
7) 以上が正しく遂行されれば、インパクトはアドレスの体勢に戻る筈である。体重は左足、シャフトはターゲットに向かって傾いでいなければならない」

(June 10, 2012)


Nick Faldo(ニック・ファルド)のスウィング [Faldo]

これはヨーロピアン・ツァーのプロGary Evans(ゲアリ・エヴァンズ)執筆による記事。

'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)

「私のアマチュア時代(1980年代)、Nick Faldo(ニック・ファルド)のヴィデオを見た。彼は続けざまに10個のショットをして見せたが、クラブが何であるかは映されなかった。彼のスウィングが変わらないところからすると、彼が同じクラブを振っていたと考えるのが妥当な推測だった。しかし実際のところは、彼はウェッジからドライヴァーまでの異なるクラブを振っていたのだった。

これは凄いヒントだった。われわれはロング・アイアンではボールを上げようとし、ドライヴァーではあまりにも速くスウィングするが、われわれのベスト・ショットはこれらのクラブをウェッジと同じようにスウィングする時に出現する。

クラブの違いはシャフトの長さとロフトだけであるが、そういうことは忘れてスウィングすべきなのだ。ボールはどのクラブで打たれるかなどを認識しない。あなたが感じる違いは、全て心の中にあるだけだ」

【参照】「Nick Faldo(ニック・ファルド)のテンポ」(tips_70.html)

【おことわり】画像はhttps://www.golfchannel.com/にリンクして表示させて頂いています。

(June 16, 2012、改訂June 04, 2015)


Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)のティー・ショットのコツ

インストラクターの世界No.1として長く君臨するButch Harmon(ブッチ・ハーモン)のtip。

'Butch Harmon on Driver'
by Butch Harmon ('Golf Digest,' May 2006)

「長く真っ直ぐなティー・ショットを打つ早道は、ロフトの多い、しなやかなシャフトのドライヴァーを用いることだ。これは、ボールを素早く上昇軌道に乗せ、長いキャリーを生み出すという二つの点で役に立つ。

テクニックの重要なポイントは、ソリッドなコンタクトを得るということに尽きる。そのためには、80%以下のスウィングをする。それを越えてはならない。多くのゴルファーが、目一杯の力でボールを打とうとし、バランスを失ってミス・ショットを連発する。3/4スウィングをし、ボールが着地するまでフィニッシュのポーズをとれ。あなたは、そんなにもいいティー・ショットが打てたことが信じられないに違いない」

(June 16, 2012)


アイアンは左手甲でヒットダウンせよ

 

これはとても短いtipですが、非常に重要な内容です。筆者はインストラクターのPeter Krause(ピーター・クラウス)。

'Think "knuckles down"'
by Peter Krause with Peter Morrice ('Golf Digest,' May 2006)

「これはパワー・ゴルフのための偉大なtipだ。インパクトで左手のナックルが地面に向くように廻せ。前腕の回転がクラブヘッド・スピードを増幅する。腕をリリースすることが肝要だ」

[icon]


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)は「インパクトでは右掌がターゲットに面し、しかも若干地面に向かう角度でなくてはならない」と云っています。ナックル(左手甲側)と掌側と表現こそ違え、両者は同じことを云っています。左手甲をやや伏せ目にしたインパクトが望ましいわけです。

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は次のように云っています。

「アイアン・プレイに上達したいのなら、左手甲をターゲットに向けながらボールを打つつもりになることだ。なおかつ、シャフトが少しだけターゲット方向に傾いでいること。これがボール前方でターゲットを指して抉られた見事なディヴォット跡を作り出してくれる」(「Tiger流ストレート打法」tips_114.html)

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)も表現は異なりますが、上と同趣旨のことを云っています。

「インパクトにかけて左手首を弓形にし続けると、左手のナックル(拳の指関節)は地面を向く。これはアドレス時より少ないロフトの、ディセンディング・ブロー(下降気味のヒッティング)をもたらしてくれる」(「弓形の左手首でアイアンの鉄人」tips_114.html)

 

私は長いこと地面を払うような打ち方をして来て、やっと目覚めてヒットダウンでディヴォットを取る練習に精出したものの、あえなく挫折しました。ディヴォットを取るのが目的というのが本末転倒のような気がする上に、ボール前方10センチのところを掘るということが達成出来ませんでした(あまりにも遠い)。しかし、ディヴォットを取ることが使命ではなく「伏せ目の(ハンドファーストの)左手甲でヒットダウンするインパクト」なら、何とか出来ることを発見(結果として浅いディヴォットが取れることもある)。これを追求するようになってから、アプローチ・ショットが1ピン以内に寄るナイス・ショットが増え始めました。【これはパンチ・ショットやスティンガーの技法とは別物です】ただ、あまりにも左手の向きに集中すると手打ちになることがあります。両手は下半身に引っ張られながら受動的に動かなくてはならないのですが、しかもその間に左手甲を伏せ目にするというのが結構難しい。

ゴルフ雑誌のバックナンバーをめくってみると、一つの雑誌に年に何回も伏せ目のヒットダウン関連の記事が登場します。掬い打ちから脱却出来ないゴルファーがごまんと存在し、いくらインストラクターたちが念仏のように「ヒットダウンせよ」を繰り返しても、本気になって取り組まないということでしょうし【私もそうでした(^^;;】、われわれの掬い打ちはインストラクターたちが安定した現金収入を得る基盤となっているようです。

【参照】「ショート・アイアンではボールを押し潰せ」(tips_137.html)

(June 19, 2012)


ボールを押し潰す練習法

インストラクターMirk Bender(マーク・ベンダー)による、「インパクトで左手のナックルを地面に向けよ」の超簡単練習法。

'Present the ball to simulate impact'
by Mirk Bender with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' July 2007)

「ボールとの質のいいコンタクトを得るための左手の重要な役割を理解するには、ボールを一個左手に握ってバックスウィングの動きを模倣する。バックスウィングの半分のところでは親指が真っ直ぐ上を指している筈だ。

その手をベルトの前まで下ろし、掌を開いてボールを曝け出す。正しく実行されていれば、ボールは掌の上でバランスを保っている筈だ。これがインパクト・エリアへと動く左手の形である。

このドリルを、ティー・ショットの順番待ちをしている時にでも練習してほしい」

(June 19, 2012)


パッティング・コーチ御三家のメソッド比較

'Big 3 on putting'
by Jaime Diaz ('Golf Digest,' August 2010)


Dave Stockton
(デイヴ・ストックトン)
Dave Pelz
(デイヴ・ペルツ)
Stan Utley
(スタン・アトリィ)
スタンス オープン(*1) 広め 狭め
グリップ フィンガー 平行な両手(*2) 生命線で握る
ストロークの原動力 僅かなコックでバックストローク、
右手で押す
デッド・ハンズによる腕のスウィング 肩を廻す、腕でスウィング、前腕を回転
ストローク軌道 インサイド・バック、
ストレート・フォワード
往復ともストレート 円弧型
目の位置 ボールの真上 ボールの真上 ターゲット・ラインの内側
身体による狙いの鍵 左手甲でカップを狙う 肩、前腕、目、両足がターゲット
ラインに平行
前腕部がターゲットラインに平行
練習ストローク No Yes Yes
ドリル 左手のみでストローク ヘッドにスウィートスポット練習器具
を装着(*3)
右手のみでストローク
推奨パター・タイプ トゥ・ダウンのブレード型 フェース・バランストのマレット型 トゥ・ダウンのブレード型で
狙い線がついてないもの
パットの強さ ボールがカップで息絶える強さ ミスしたらカップを17インチ
(43センチ)通過する強さ
ラグ・パットではカップで息絶え、
短いパットではカップを通過する強さ
フォワード・プレス Yes No Yes
インパクトでシャフトを前傾させるか? Yes No Yes

(*1)'Dave Stockton's Putt to Win'(1996)では、「乗馬スタイル」と云っていますから、広めのスタンスです。

(*2)'Dave Pelz's Putting Bible' (2000)で、Dave Pelzは「全てのゴルファーにとってベストだと云い切れる唯一のグリップはない」とし、「フィンガーでなく、左手の生命線で握るのが手と手首の動きを抑えるのに役立つ」と云っています。左右対称のパームによるグリップも推奨されているものの一つです。

(*3)Dave Pelzは自分で開発・販売している練習器具のセールスマンですから、ここでも彼考案の器具がPRされていますが、そんなものを買う必要はなく、スウィート・スポットの両側にバンドエイドを貼るか、一本ずつ輪ゴムを巻けば済むことです。

【参考】
・「総括・Dave Stocktonのパッティング」(tips_128.html)
・「Dave Pelzのデッド・ハンズ・ストローク」(tips_122.html)
・「Stan Utleyのパッティング・アドレス」(tips_103.html)

(June 22, 2012)


ショート・パットをミスする原因:インストラクター四人の意見

'Why do golfers miss short putts?'
by Top-10 teachers ('Golf Digest,' February 2007)

「・Todd Sones(トッド・ソーンズ)

第一にショート・パットをミスするゴルファーは、パターをあまりにも遠くに引き、インパクトでパターを減速させてしまう。第二に、カップが彼らの周辺視野にあるため、ボールを目で追いたい誘惑に抗せず、結果的に身体を動かしてパットをミスする原因を作ってしまう。第三に、彼らは急いでパットする。いつものプレパット・ルーティーンを実施するのが馬鹿げて見えると感じるからか、彼を見守る同伴プレイヤーたちの目を意識するからであろう。

・Rob Akins(ロブ・エイキンズ)

第一の理由はテクニック不足であり、第二の理由はミスすることへの恐怖である。多くの場合、両方の理由は結びついているが、私はどちらか一方の理由で失敗したケースも見たことがある。偉大な例はPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)である。彼の三つのメイジャー優勝の全ては短いパットを成功させる能力で獲得されている。多分、何百回ものショート・パットの練習が彼のテクニックを助けたものと思われるが、重要なことは、それによって彼は自信を増し、もはや恐怖感を抱かないということだ。

・Pia Nilsson(ピア・ニルスン)

ミスの多くは心因性である。短いパットは技術的にはシンプルなものだ。スコアを考える時、プレイヤーの心は乱れる。彼らは期待と優柔不断を相手に苦闘し、結果について考えてしまう。基本的に、彼らは一生懸命過ぎるのだ。

・Martin Hall(マーティン・ホール)

 

多くのアマチュアは、パットする時に落ち着かない目をする。彼らはボールの後部、厳密に云えばディンプルの一個に焦点を結ばせるべきである。彼らはまた、下半身を動かし過ぎ、あまりにも大きなフォロースルーを取る。彼らはもっと膝と尻を落ち着かせ、腕を使ったポンと弾くようなストロークをすべきだ。ショート・パットを成功させたければ、3パットの危険を冒さなければならない。ボールをしっかり打ち、カップを数センチ越える強さで打つべきだ」

(June 22, 2012)


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のインパクトの鍵

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)が公開する、全てのツァー・プロが実行しているというインパクト・ポジションの秘訣。

'On magic move'
by Johnny Miller with Guy Yocom ('Golf Digest,' April 1998)

「スウィングを100万に分割して分析したことはないが、そんなことをしなくてもスウィングの最重要ポイントがインパクトであることは分かり切っている。インパクトにおけるクラブフェースの形の、小さな、しかし重大な違いが、下手っぴとベスト・ゴルファーとを分けるのだ。次の呪文を覚えてほしい。《お粗末なゴルファーはインパクトでロフトを増し、いいゴルファーはロフトを減らす》

【編註】オリジナルの記事と写真は5番アイアンを例にしていますが、Johnny Millerは「ドライヴァーではダウンブローでは打たないが、他の点は全く同じである」と書いています。

多くのスウィング・ミス(手打ち、リヴァース・ピヴォット等々)は、アドレス時に設定したクラブフェースのロフトを、インパクト時に増やしたせいで起る。そのミスの影響はスライス、トップ、ダフり、プル、空振りその他の結果となる。

インパクトでは、右掌がターゲットに面し、しかも若干地面に向かう角度でなくてはならない。ダウンスウィング後期におけるこの意図的“パーム(掌)ダウン”のアクションはややクラブフェースのロフトを減らし、ターゲットにスクウェアなおまけの効果をもたらす。これは非常に急速な動作だが、身につけるのは難しくはない。右掌でボールを覆う(カヴァーする)ように、インパクトで手がクラブヘッドに先行するイメージを抱けばよい。

ボールが打たれてもインパクトが完了したと考えてはいけない。ボールをクラブフェースで本当に押し潰すことと、ストレートなショットを保証するスクウェアなフェースを保つには、右手首の折れた角度をボールが去った後も維持すべきである。【編註:インパクト・ゾーンを過ぎるまで、右手を伸ばしてはいけないという意味】 右手を回転させてはいけない。右手首は右手が左のポケットに到達するまで下降し、【廻さずに】振り抜かれるべきである。

右腕は上体の近くで畳まれ、右肘は腰に接近する。右肘が身体の右脇の糊付けされたようなダウンスウィングが出来れば、常にソリッドなショットが打てる。

 

上の動作の出来映えを知るには、3/4の速度でスウィングし、インパクトで停止する。次のポイントをチェックする。
1) 右手首の僅かに折れた角度が維持されているか?
2) クラブシャフトと左腕が一直線になっているか?
そうなっていれば、右肘が腰に引きつけられ、クラブフェースのロフトを減らして打っている証拠である」

「右手を返さずに右掌でボールを覆うなんて不可能だ」と思われるでしょうが、記事添付の写真の「右掌でボールを覆う形」はほぼ垂直な掌です。座敷での宴会で、人と人の間を縫って歩く時に、「ご免なさいよ」と手刀のゼスチュアをします。あの形です。Johnny Millerの云いたいのは「アドレス時よりロフトを少し減らせ」ということですから、ハンドファーストのインパクトによる気持ち「伏せ目」であれば充分だと思われます。

これは、結果としてディヴォットを取ることになっても、「必ずボールの10センチ向こう(ターゲット側)でディヴォットを取れ」というBobby Clampett(ボビィ・クランペット)の要求よりは簡単です(と思う)。正確無比だったBen Hogan(ベン・ホーガン)は、大きなディヴォットは取らなかったそうです。手が先行したインパクトを達成すれば、クラブヘッドは自然にボールの向こうの地面を打つ…という風に考えればいいのでしょう。

おさらいです。《お粗末なゴルファーはインパクトでロフトを増し、いいゴルファーはロフトを減らす》

【参考】
・「ショート・アイアンではボールを押し潰せ」(tips_137.html)
・「アイアン左手甲でヒットダウンせよ」(06/19)

(June 25, 2012)


Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)のハイブリッドの打ち方

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)の、ハイブリッドに関する助言。

'How to hit your hybrid'
by Hank Haney ('Golf Digest,' September 2010)

「あなたは3番アイアンや4番アイアンをハイブリッドに置き換えたので、それらを3番アイアンや4番アイアンと同じように打とうとする。そうではなく、7番アイアンを打つ時と同じような順序と機械的動作をするのが肝要だ。ボールを上げるために、腕と手のスウィング速度を増そうとするのがありがちな衝動だが、それは不必要である。

肩をフルに廻し、腰と両肩がターゲットを向くぐらいのフル・フィニッシュへと振り抜く。右足が爪先立ちになるのが、完全に振り抜いたしるしである。

ボールを上げてくれるロフトを信じなさい。インパクト後の肩の回転を止めてしまうと、スウィング弧の最低点があまりにもボール後方になってしまい、ダフりやトップを招く結果となる」

(June 28, 2012)


Sean Foley(ショーン・フォリィ)の ボールではなくシャフトに集中せよ

Justin Rose(ジャスティン・ローズ)やTiger Woods(タイガーウッズ)などのスウィング・コーチSean Foley(ショーン・フォリィ)が教えてくれる、両手先行のインパクト形成法。

'Think about the shaft, not the ball'
by Sean Foley with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' April 2011)

「このコンセプトはアマチュアには理解が難しいかも知れないが、クラブを正しく用い、ボールを迸(ほとばし)らせるように打ちたいとすれば、スウィング弧の最低点はボールの前方(ターゲット側)でなくてはならない。シャフトはインパクトでターゲット方向に傾いでいるべきで、ディヴォットはボールを打った後で抉(えぐ)られるべきである。

あなたがボールを打つことに懸命になって集中すると、ボールを宙に浮かべるために掬い打ちしようとするため手首が折れる【左手甲側が凹になる】。ソリッドなコンタクトを得るには、ボールでなくシャフトに注目すると簡単である。グリップエンドは、インパクトで身体を追い越さなければならない。

【練習法】

この動きを身につけるには、クラブのグリップエンドの穴に長い鉛筆を差し込む。チッピングかピッチングの動作をし、インパクトで鉛筆が身体の左外側に出ていることを心掛ける。これが簡単に出来るようになったら、フル・スウィングで同じ目標を達成する」

鉛筆はグリップエンドに刺さりにくいので、針金ハンガーを切って使うか(安全のため、身体に当たる方を丸めておく)、焼き鳥の串やプラスティックの棒を選ぶ方がベターです。

この練習法はボールを打つ必要もなく、自宅でも出来るので素晴らしいアイデアですが、残念なことに鉛筆(あるいは串)が身体の左脇に出ているかどうかの確認が難しい。仕方なく、私はデジタル・カムコーダーで自分のスウィングを録画してみました。落第でした。木串は、よくて身体の左端で(身体から出ていない)、大体において身体の内側に留まっていました。

「左手甲を伏せ目にするインパクト」、「ボールを押し潰すインパクト」、「左手先行のインパクト」を説くプロやインストラクターはごまんといるのですが、「どうやって?」を教えてくれる記事は少ないので、現在懸命に発掘中です。実際にはインパクトでの鉛筆(あるいは串)の位置を確認しなくても、素振りの際の仮想のボール位置の前方(ターゲット側)の地面を削れるようになれば使命達成です。

(July 05, 2012)


ボールを打ってから地面を打つコツ

以下の二つも、切れ味のいいアイアン・ショットを打つためのtips。最初のはインストラクターTodd Anderson(トッド・アンダースン)の練習法。

'6 ways to feel perfect impact'
by Todd Anderson with Peter Morrice ('Golf Digest,' December 2011)

「ボールを先に打ち、それからターフと接触するには、ダウンスウィングで上体が下半身の動きと同期しているべきだ。これを達成するには、体重を先ず左に移し、その後で捻転された身体をほどく。上体がターゲット方向に廻り始める際に、左肩が顎から離れるのを意識すること。この《体重移動→回転》の連続動作を実施すれば、クラブがボールに向かうパワー軌道に留まるのは間違いない。

多くのゴルファーが、左サイドへの体重移動をせずに肩を廻してしまう。これはダフりやトップ、アウトサイド・インの斜めの軌道のスウィングを生む。

ダウンヒル(左足下がり)のライを選ぶ。本能的にボールを勾配に沿って打とうとすれば、重力が身体を左サイドに引っ張る。ダウンヒルでソリッドに打つためには、身体をターゲット方向に動かさねばならない」

次のはTiger Woods(タイガー・ウッズ)の元コーチSean Foley(ショーン・フォリィ)の考え方。

'Hit your irons solid—guaranteed!'
by by Sean Foley with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' January 2012)

「理想的なアイアン・ショットは、クラブが先ずボールに接触し、それからボールの5〜6インチ前方のスウィング弧の最低点であるターフに接触すべきである。そのためにはスウィングの軸を前方に移す必要がある。

 

あなたは時計の文字盤の上に立っていると想像してほしい。アドレスで6時にボールがあってそれに対しているとすれば、ボールは胸骨(みぞおちの真上の骨)の真下にある筈だ。あなたの目標は、インパクトで身体の中心を5時に移すことだ。これはボールに接触した後でディヴォットを取る確実な方法である。

アドレスし、クラブをボールの前方で接地し、そちらに胸骨を傾けて正しい身体のインパクト・ポジションをリハーサルする。スウィングする時、この体勢を再現すれば、もっとソリッドにアイアンが打てるようになる」

(July 05, 2012、改訂June 04, 2015)


1,000回連続成功のパット法

英国のイラストレーターPaul Trevillion(ポール・トレヴィリオン、1934〜)のこの奇妙なパッティング・メソッドは、ビリヤードの名人のストローク法にヒントを得たものだそうで、彼は4フィート(約1.2メートル)のパットを連続1,000回沈めたと豪語しています。

何故4フィートか?彼はある日のラウンドで生まれて初めてパー5に2オンし、しかもボールはピンから4フィートについていました。イーグル・チャンス!アドレスした彼の手は震えていました。ボールは…ショート(:_;)。怒り狂った彼はパターを森に抛り投げ、以後ラウンドしなくなりました。しかし、ゴルフを全くやめたわけではなく、復讐に燃えてパットの研究に専念したのです。彼はショートゲームの達人Paul Ranyan(ポール・ラニャン)のスプリット・ハンデド・グリップとビリヤード技法からヒントを得て、独自のスタイルを樹立しました。1970年に自分の懐から1,000ポンドの賞金を出してパッティング・コンテストを開催しましたが、誰も彼を負かすことは出来なかったそうです。

Paul Trevillionのメソッドは、'Perfect Putting Method'(1971)という本と、'Missinng Impossible'(2002)というDVDになっていますが、いずれも英国製です。アメリカで現在出版されていないということは、それなりの理由があるのでしょうし、深く屈み込む姿勢は腰痛を誘発しそうです。しかし、彼の考え方には一理あり、当サイトで紹介する意味があると考えました。

'Trevillion's Secret'
from 'The Secret of Golf' edited by George Peper (Workman Publishing, 2005, $18.95)

[Trevillion]

「・ボールの上に屈み込み、曲げた左手でパターを固定する。ストロークの中心は背骨の頂点となる。私の背中に、飲み物を注いだグラスを乗せたお盆を置けるぐらい屈む。完璧な振り子運動が出来る体勢である。
・目はボールの真上。両足、腰、両肩をターゲットにスクウェアに揃える。
・右腕を真っ直ぐ伸ばし、その掌をターゲット(カップあるいは中間目標)に向ける。

・右手の位置
 a) 3.5メートル以上の場合
  右手と左手の間隔は約15センチである。
 b) 1.2メートル〜3.5メートルの場合
  右手はシャフトの中間を握る。
 c) 1.2メートル以下の場合
  出来る限りパターヘッドの近くを握る(私の場合、ヘッドから20センチ上の部分)

 短くトリッキィなパットの場合は、右手を可能な限り伸ばしてヘッド近くを握り、まるで掌でボールを打つような感覚を抱くのが望ましい。

・両手の親指はどちらもシャフトの真上に添える。鉛筆を握る程度のグリップ圧で、緊張させないこと。右の人差し指を伸ばしてシャフト側面に当てる。

・スタンスは通常の歩行間隔。

・ストローク法
a) 1.2メートル以下のパット
 ストレート・ストロークを用いる。1.2メートル以下のパットでストレート・ストロークをすべき理由は次の通りである。

 もしゴルファーがパターをインサイドに引けば、フェースはオープンになる。オープンなバックストロークをしたのなら、インパクトでスクウェアにするために、そのパターフェースをクローズにしなくてはならない。問題は、彼が適切にクローズに出来るかどうかということだ。失敗すればボールは右に出て行くし、反対にクローズにし過ぎればボールは左に行ってしまう。インパクトでパターフェースをスクウェアに出来るのは三つに一つのチャンスでしかなく、多くの場合パットに失敗する。ストロークの間中、フェースをカップにスクウェアに保つには、ストレート・ストロークで右掌をストロークの間中ターゲットに向けていればいいだけなので、至極簡単である。

【編註:私が円弧型ストロークに馴染めないのは、まさにPaul Trevillionが上で述べていることに合致します。「フル・スウィングも円弧の軌道で動くのだから同じじゃないか」という理屈は成立しません。フェアウェイは広いですが、こちらはたった10.76センチの穴を目指す精密さが要求されるからです】

b) 1.2メートル以上のパット
 この場合は、左手首を蝶番のようにして、パターをラインのインサイドに引かざるを得ない。この場合も、右掌は真っ直ぐターゲットに向かって進むようにすること」

Paul Trevillionは、右手主導のストロークです。私は彼のように深く屈み込んだ姿勢ではなく普通のポスチャーですが、丁度彼のパターの握り方を左右反転した形でやっていたことがあります。私の方は左手を伸ばし、曲げた右手でグリップごと左前腕部を握り、ショルダー・ストローク(肩の上げ下げでストレート・ストローク)をする…というもの。これは距離感がやや難しいものの、方向性は抜群でした。興味のある方は、どちらの手を伸ばすべきか、両方試してみるといいと思います。

(July 08, 2012)


短いパットを静止して打つ

インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)の体重によってパットを成功させるコツ。

'Stay steady on short putts'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' January 2010)

「『短いパットでは頭を静止させてストロークせよ』と云われる。もう一つ、身体を安定させ、パターフェースをスクウェアに保つ方法がある。

ストローク開始前に、左足の内側(親指の付け根周辺)に体重をかけるのだ。これは肩・腕・手を調和して動かす基盤となってくれる。

もし、フォワードストロークで体重が左足踵にかかっていると、あなたの身体全体がオープンに捻られ、パターフェースをクローズにしてしまう。これは、ボールの行方を見ようとした時に起る一般的なミスである。

ストロークの間中、体重を左足の内側にかけ続けるように集中せよ。そうすれば3〜4フィート(1〜1.2メートル)のパットにしっかりした土台を作ることが出来る」

(July 08, 2012、改訂June 04, 2015)


アイアンを常にソリッドに打つ方法

他のインストラクターやツァー・プロ同様、この記事の筆者Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)も《先ずボールを打ってからターフと接触する》ことを基本としていますが、インパクトで下半身のシフトと、クラブヘッドを両手(グリップ部分)が引っ張ることが秘訣であると説きます。

'Hit it solid every time'
by Hank Haney ('Golf Digest,' August 2012)

「いいアイアン・プレイヤーになる鍵の一つは、《先ずボールを打ってからターフと接触する》ことだが、これは多くのゴルファーにとって最も難しいことの一つでもある。

多くの人がダウンスウィングで、スウィング弧の最低点をアドレス時の遥か手前にしてしまうため、ボールの後ろの地面を打つことになる。クラブヘッドはかなり速度を落とし、インパクトで上昇軌道になり、ボールの飛行は高く弱々しいものとなってしまう。

アイアンの理想的なスウィング弧の最低点(地面と接触する地点)は、ボールの数センチ前方(ターゲット方向)である。これを達成するためには、インパクト・ゾーンへクラブのハンドル(グリップ部分)が先行してクラブヘッドを引っ張る必要がある。これを実現するには、ダウン・スウィングの最初に下半身をターゲット方向にシフトしなければならない。体重をターゲット方向に移し始める動きと連携して、腰も廻す。

両手がクラブヘッドに先行してボールに向かえば、常に目一杯のコンタクトをお膳立てする」

(July 11, 2012、改訂June 04, 2015)


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のインパクトの鍵・2

1998年に'Golf Digest'誌に掲載されたJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)の記事'One Magic Move'(私がつけたタイトルは『Johnny Millerのインパクトの鍵』)は、主に写真がフィーチュアされたものでした。その二年後に出版された本に、文字主体で書かれた同じ趣旨の彼の原稿があるのを見つけました。前編と重複しない範囲で紹介します。

'Impact,' a part of 'Breaking 90 with Johnny Miller'
by Johnny Miller (Callaway Editions, 2000)

「前回、《お粗末なゴルファーはインパクトでロフトを増し、いいゴルファーはロフトを減らす》ということをお教えした。

[Sergio]

Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア、写真)のように攻撃的なスウィングの持ち主が、7番アイアンか8番アイアンを打つ場面をよく観察されたい。彼は畳まれたディナー用ナプキン大のディヴォットを取るが、彼のショットはクリーンで歯切れがよい。あなたは独りごちるだろう、『おれがあんなディヴォットを取ったら、ダフって20ヤードしか飛ばんわい』と。そういうダフった時のディヴォット跡をチェックすれば、それはボールの背後(右側)から掘り始められている筈だ。いったんボールの背後の地面でクラブを叩くと、ダウンスウィングで生まれたクラブヘッド・スピードはブレーキがかけられてしまう。運良くクラブがターフを掘り進んでボールまで到達したとしても、たった20〜30ヤードのゴロが出るに過ぎない。

Sergio Garciaとあなたとの違いは、彼は先ずボールを打ち、その後でターフを打っているということだ。言葉を替えれば、彼はスウィング弧の最低点に達する直前にボールを打っているということである。彼はボールに向かいつつ、地面を向くように伏せた掌でクラブヘッドに角度をつけ、ディセンディング・ブローで切れ味よくボールを打つ。そのディヴォットはボールが飛び去った後、ボールのターゲット側の地面で掘られる。彼はボールを地面とクラブとの間で押し潰しており、それがグリーンに向かうバックスピンの源となり、着地したボールは怯えた猫のように立ち竦む(すぐ停まる)。

あなたが練習場で充分時間を過ごせるなら、手と耳によってインパクトのフィードバックを得ることが出来る筈だ。ボールがスウィートスポットでピュアに打たれた時、あなたは全く何も感じない(振動すらも)。インパクトの音も特徴的である。PGAやLPGAのプレイヤーがフェアウェイからアイアンを打つのを見に行けば、そのピュアな打撃音を聞くことが出来る。金属音ではなく、ヒューッ!という音に続く、歯切れのいいカチッ!という音である。

【編註】Johnny MillerはNBCのTV中継でも、プロのスウィングの直後、よく「いい音だ」とか、「妙な音だ」と発言します。ヘッドフォンで聞いているから、われわれより鮮明に聞けるのでしょうが、耳もいいようです。

私が『インパクトの瞬間を探求している』と語った時、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、『あんな目にも止まらぬ瞬間に何が起るか、分かる人間がいるもんかね?』と、まるで気が狂った人間を見るように私の顔を見つめた。Jack Nicklausでさえこうだから、インストラクターたちは生徒にスウィングの機械的動作だけ教え、インパクトについては全く無視し、トップまでが間違っていなければ後は野となれという感じだ。私に云わせれば、これは幸運を祈る態度でしかない。

正しいインパクトの動きは練習によって得ることが出来る。私は自分の子供たちにも、平均的アマチュアにも、練習場でたった1〜2時間の間に教えることが出来た。全身大の鏡の前の練習でも簡単に会得出来る。

ゴルフに上達したいなら、理想的インパクトと、それを達成するためにどういう位置関係が必要であるかを理解すべきだ。一般的な機械的動作の知識があったとしても、インパクトについて無知であれば、あなたは暗闇でゴルフをしているようなものである」

【おことわり】画像はhttps://i.dailymail.co.uk/にリンクして表示させて頂いています。

(July 14, 2012)


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)のスライス撲滅法

この記事はJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)が説く、《アイアンでは伏せ目のクラブフェースによるインパクトをせよ》の一環なのですが、それがスライス防止に役立つという理論です。

'Impact,' a part of 'Breaking 90 with Johnny Miller'
by Johnny Miller (Callaway Editions, 2000)

「私が知るスライス撲滅法は、1/2スウィングで右掌を伏せ目に(下向きに)したインパクトを行うことだ。あなたはすぐさまフックを打ち始めることになる。3/4の速度で打って見なさい(結果はやはりフックだろう)。その後、もっともっと攻撃的にスウィングする。ハードにスウィングすればするほど、ボールは真っ直ぐ飛び始める。その理由は腕の動きがスピードアップし、クラブフェースがややオープンになるからだ。以前はスライスを生んでいた同じハードなスウィングが、今やフック系のストレートなショットに化けてしまう」

(July 14, 2012、改訂June 04, 2015)


体型別自然なトップの作り方

'Find your natural backswing'
by Rick McCord ('Golf Magazine,' August 2012)

「スウィングの度毎にアップライトだったりフラットなトップを作ったりしていては、正しいプレーンでダウンスウィングを行うことは不可能である。あなたの自然な傾向に逆らうから、トップでクラブを支えるバランスの取れた体勢を得るのが困難になるのだ。完全なトップを見つけるには、次のようにする。

1) 6番アイアンを、左手だけでヘッドの方で握る(グリップ・エンドが地面を指す)。ヘッドの方で握るのは軽くてスウィングし易いからである。

2) 肩を廻してバックスウィングし、左腕がスムーズにトップに到達する感覚を得る。

3) 右手をクラブに添える。これがあなたの身体が自然に欲するトップの位置である。

魔法のように、あなたに要求されているソリッドなバックスウィングの基礎が構築される。これを信じ、用いなさい」

(July 17, 2012)


トップでの手首の角度と球筋

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)による、手首の角度=クラブフェースの角度による球筋占い。

[wrist]

'Check your left wrist'
by Hank Haney ('Golf Digest,' June 2012)

「トップでの左手首の角度をチェックせよ。

図A) 左手首が真っ直ぐ伸びて、クラブフェースの角度も手首の角度に揃っていれば、完全にスクウェアである。

図B) 左手首が凹型に甲側に折れていて、クラブフェースが垂直であればオープン過ぎであり、スライスを生む。

図C) 左手首が凸型に掌側に折れていて、クラブフェースが天を差していればクローズ過ぎでフックを生じる」

(July 17, 2012)


チッピングとピッチングでは胸骨にボールを揃えよ

このDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)によるチッピングとピッチングのためのtipは、実はLPGAインストラクターJane Frost(ジェイン・フロスト)の「チップ・ショットのドジを防ぐ」(tips_66.html)として紹介した内容にそっくりなのです。Jane Frostの記事は2002年に'Golf Magazine'誌に掲載されたもので、David Leadbetterの記事の四年前です。David Leadbetterがイタダキをしちゃったのか、あるいはインストラクターたちには常識の事柄なのか、どっちなのかは不明です。いずれにしても、とても重要なtipなので、Jane Frostだけが唱えているわけではないという意味で、David Leadbetterの記事も採録しておきます。

'Position sternum over ball'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' November 2006)

「人々は、チッピングとピッチングを歯切れ良く打つには、体重をスタンス前方にし、ボールはスタンス後方に置くべきだと云う。それが間違いとは云い切れない。しかし、胸をボールの真上(か、やや前方)に揃えることの方がずっと重要である。

これは、正しいスウィング弧の最低点を作り出すためのセッティングだ。胸骨(みぞおちの上にある骨)の位置が、常にスウィング弧の最低点となる。ボールの真上(か、やや前方)に胸骨を揃えることによって、クラブヘッドが地面より先にボールと接触する下降気味のショットを実現する。

胸骨の位置をチェックするには、ボールにアドレスし、クラブのグリップエンドをみぞおちに当てて垂らせばよい。シャフトがボールの前後どちらを指しているかが解る。

多くのゴルファーが、単に左足に圧力をかけることで体重を前方に移したと考える。しかし、多くの場合、彼らは胸骨をボールの【真上か前方でなく】後方に置いたままである。スウィング弧の最低点は依然としてボールの後ろになるため、ダフりかトップという結果になる。

ピッチングとチッピングにおいて最も重要なのは、ボールをクラブでヒットダウンすることだ。それを確実に実行するには、胸骨を正しく揃えることだ。もし胸骨がボールの後方だと、ボールを宙に浮かべるには掬い打ちするしかなく、予測出来ない結果をもたらす」

Jane FrostとDavid Leadbetterの違いは、Jane Frostが「ボールの真上に胸骨を揃えよ」と云っているのに対し、David Leadbetterは「ボールの真上かやや前方に胸骨を揃えよ」と主張していることと、Jane Frostはチッピングだけに絞った論旨ですが、David Leadbetterはピッチングにも言及していることの二点です。チェック法も全く同じ。

(July 20, 2012)


チップする時、左右どちらの目でボールを見るべきか?

The Golf Channel(ザ・ゴルフ・チャネル)の'School of Golf'(ゴルフの学校)の校長Martin Hall(マーティン・ホール)の、非常に珍しい理論。

'Stop fat and thin chip shots'
by Martin Hall ('Golf Magazine,' August 2012)

「あなたがチップ・ショットでダフったりトップしたりしているとしたら、それはあなたがアドレスで重大なミスを犯しているからだ。

あなたは頭を傾げて、右目を左目より地面に近づけている筈だ。この姿勢は距離のコントロールを難しくするだけでなく、ボールとのソリッドなコンタクトを妨げる。この姿勢だと体重は自然に右足にかかり、上体をターゲットと反対方向に傾げ、右肩を左肩より格段に低くする。これはドライヴァーではいい姿勢だが、グリーン周りのチップ・ショットで地面より先にボールを打つという繊細な動作をするには相応しくない。これは掬い打ちをする姿勢であり、結果はダフリかトップが相場である。距離のコントロールを望む際に、当てに出来るメソッドではない。

これを直すためにすべきことは、セットアップの位置を変えることだ。左目が右目より1インチ(約2.5センチ)ほど低くなるように頭を傾げる。この変更は体重をターゲット方向の足にかけ、左手甲をターゲットを指すようになる。

右目が低い場合に比べ、左目が低い場合は両肩が水平に近くなる。これはチッピングにとっていいことである。

この方法だと、上方へ掬い打ちするのではなく、やや下降気味の軌道のクラブフェースと地面で、クリーンにボールを押し潰すことが可能になる。このセットアップによって、距離のコントロールが改善され、グリーン周辺のどこからでも寄せワンを達成出来るようになる」

 

[icon]

このtipを読んで、私はすぐさま鏡の前でポスチャーをチェックしました。私の利き目は右なので、ショートゲームでは右目でボールを見るようにしています。私はロブウェッジを用いて、状況によって高く上げたり低く転がしたりします。しかし、低いボールを狙った筈なのに、何故か高く上がってしまうことがあるのですが、原因が分かりませんでした。《チップでは胸骨(みぞおちの上の骨)をボールに揃えよ》というtipが既にあり、私はそれで充分だと思っていました。

しかし、鏡によるチェックでは私の右肩は見事に下がっていました。ボール位置を胸骨に揃えてもこういう抜けがあるのですね。体重に関しては、Martin Hallの云う通りで、右目でボールを見ると右足体重になり易い。彼は言及していませんが、右足体重だとかなり肩がオープンにもなり易い。左目でボールを見るとスクウェアに近くなります。チップインを狙うならこの方がよさそうです。

(July 20, 2012)


Steve Stricker(スティーヴ・ストリッカー)のパッティングの秘密

PGAツァー・プロSteve Stricker(スティーヴ・ストリッカー)は、2011年のPGAスタッツ"strokes gained"(【参照】「PGAツァー新スタッツ"putts gained"について」tips_134.html)で二位に入っています。

'Steve Stricker shares his putting secrets'
by Steve Stricker with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' August 2012)

「・グリップ

私は左手でかなりしっかり握るのを好む。10段階なら7のきつさだ。右手はずっと軽く握る。私は左手主導でストロークするタイプだ。

私はボールを打つ時、パターフェースがほんの僅かでも捩じれるのを好まない。私は左手はフィンガーでなくパームで握る。パターは私の生命線に沿う。それはパター・シャフトと左腕の一体感を与えてくれる。

・ボール位置

左足の2〜5センチ内側。この場所からだと、ボールが最高の転がりを見せてくれる。

・ワッグル

『ウッソーっ!』だって?。私はほんとにパットの前に、ターフに向かってワッグルするのだ。子供の頃の私はフォワード・プレスをしたのだが、シャフトの角度をパットの初めから最後まで変えたくないので、この上下の動きを開発した。静止状態から流れるようなストロークをするのは結構難しいのだが、このワッグルはスムーズにストロークを開始する方法として役立っている。

私のパターのヒールは僅かに地面から浮いて、ストレートな動きを確実にしてくれる。

・ストローク

アドレスで私の左手首は甲側に折れており、私の目標はその角度を最後まで維持することである。多くの人々はシャフトをターゲット方向に傾けるが、甲側に折れた手首だともっと垂直なシャフトを形成出来る。私はこれが、パターフェースの同じ場所で一貫してボールを打て、可能な限りよい転がりを得る方法だと信じている。私は左手主導でストロークするが、私の振り子式ストロークは左肩・左腕・左手が連携して動くように感じる。

私のストローク軌道はかなりストレートである。ほんの少しターゲットラインのインサイドからボールに向かうが、そんなことは大したことではない。

私はストロークの強さについては考えない。単にラインを選び、そのラインにボールを転がすことに集中する。

私は、バックストロークとフォワードストロークの長さは大雑把に云って同じであると考える。テンポも同じ。

 

・練習

折りにふれ、左腕だけでボールを転がす」

(July 23, 2012)


アイアンのシャフトを前傾させよ

これは「ショート・アイアンではボールを押し潰せ」(tips_137.html)を補強するtipです。こちらには「インパクトの瞬間、クラブのトゥにヒールを追い越させるべきだ」などという難しいことは書かれておらず、しかも全く同じ結果を生むことが出来るようです。

'Get lean with your irons'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' July 2012)

「あなたがアイアンに最大の飛距離とソフトに着地する軌道を望むなら、インパクトでターゲット方向にシャフトを傾けるべきである。言葉を替えれば、インパクトゾーンで両手がクラブヘッドに先行しなければならない。

あなたはシャフト全体がボールの上で傾き、クラブヘッドはボールと地面を押し付けている感覚を持つべきである。あまりにも多くのゴルファーが、インパクトで反対方向にクラブを傾げて、上昇途中のクラブヘッドで斜めの一撃をボールに与えるが、それはボールを押し潰すパワフルな一撃とは正反対のものである。

・ハンドファーストで構えよ

インパクトでの正しいシャフトの角度を確立するには、アドレスにおける簡単な変更で充分だろう。グリップし、グリップエンドを左腰方向(ベルトバックルの先)へと先行させる。そうした後でも、クラブのリーディング・エッジがターゲットにスクウェアであることを確認すること。インパクトでこの『ボールを押し潰す』形にシャフトを戻せば、ボールは簡単に宙に浮く。

・テイクアウェイで手首をセットせよ

アドレスで両手を先行させることによって、右手首に少量のコックをプリセットする。これは以下のような理由で重要である。 1) バックスウィングをヘッド・スタートさせる。 2) バックスウィングでフルにコックするのが容易になる。 3) ボールに最大の力で振り下ろす両手先行の位置の形成を促進する。

 

フルにコックしないと、クラブヘッドをトップから早期に投げ出し、ボールを(押し潰すのではなく)弱い力で打ち上げることになってしまう」

【参考】「ショート・アイアンではボールを押し潰せ」(tips_137.html)

(July 26, 2012)


Matt Kuchar(マット・クチャー)のバンカー・ショット

最近、めきめきと実力をつけて安定したプレイを展開するようになり、2009年のサンド・セイヴの四位に入ったMatt Kuchar(マット・クチャー)のtip。

'Flick the face under the ball'
By Matt Kuchar ('Golf Digest,' September 2010)

「私は、バンカー・プレイの厳守事項は《先ず脱出すること》と教わって来た。特に顎の高いバンカーだったらなおさらである。

ボールにアドレスしたら、僅かにオープン・スタンスをとる。次にサンド・ウェッジのフェースをオープンにしてからグリップを固める。グリップを固めてからフェースをオープンにしてはいけない。そこからバックスウィングしつつ、クラブフェースをもっとオープンに回転させる。

ここから、他のショットと異なるいささかトリッキィな部分になる。早期にコックをほどくのだ。言葉を替えれば、インパクト以前にクラブヘッドに両手を追い越させ、ボールの下を掬い打ちするのである。私は右手首を弾くような感覚でスウィングする。

クラブはボールの真後ろの砂に突入せねばならないが、手首のアンコックがスウィング・スピードを増し、ボールを真上に飛び上がらせてくれる。ボールはソフトに着地し、早めに停止する」

(July 29, 2012)


スタンス幅の決め方・決定版

これまで、いくつものスタンス幅の決め方についての記事を紹介して来ましたが、ついに結論が出ました。筆者はインストラクターでもありスポーツ心理学者でもあるDavid Wright, Ph. D.(デイヴィッド・ライト博士)。

'Find the right stance width'
by David Wright, Ph. D. ('Golf Magazine,' October 2008)

「全身が映る鏡の前に、足を閉じて立ってほしい。その時、両手の向きはどうなっているだろうか?

次に、7センチほど足を開いて立ち、再度両手の向きを確認して貰いたい。7センチ間隔で少しずつ足を広げ、両足が肩幅の外になるまで継続し、その都度両手の向きをチェックする。

リサーチの結果は、完全にバランスがとれている時、両手は身体の両脇に対称的に垂れていることが判っている。バランスがとれていない時は。一方の手が他方より多く身体の方を向く。このバランスの状態は、あなたが7センチずつスタンスを狭める毎に変化する。

足の間に物差しを置いて、再度上のテストを行い、両手の向きが完全に対称的になる幅を見つけてほしい。

バランスのとれたアドレスをすれば、正しいプレーン上でスウィングするチャンスが増え、不適切に手を回すことなくグリップすることも可能になる。その結果、あなたはクラブフェースをスクウェアにセット出来る。そして、そのバランスのとれたスタンスは、パッティングからドライヴァーまでに共通なのだ」

[palms]

【註】雑誌に掲載された内容は以上なのですが、golf.comというウェブサイトの同じ記事には、足の裏にどう体重がかかっているかの科学的写真が付けられています。バランスがとれたスタンスでは、左右の足の裏各部に平均して圧がかかっていますが、アンバランスだと圧は左右バラバラにかかっています。

このテストを行うと、あら不思議!右の写真Aが私の直立した時の両手の向きなのに、両足を33.5センチまで開くと写真Bの向きに変化します。左右対称に向かい合うのです。つまり、両足の(内側の)間隔を33.5センチにすれば、私はドライヴァーからパッティングまで何の心配もなく(重力の作用で)スクウェアにクラブを振れることになるのです。これまでの私のスタンスは30センチ未満でした。

私は中背でやや痩せ形、「体型別スウィング」の定義ではテコ型のゴルファーに入ります。「体型別スウィング」には「腰の細いテコ型プレイヤーはバランスのために広めのスタンスを取れ」と書かれていました。スタンスを33.5センチ広げることは「体型別スウィング」の推奨に合致します。

驚くのはまだ早い、お立ち会い。33.5センチは私の骨盤の幅と同じだったのです。前に紹介した「骨盤の幅でスタンスをとれ」(tips_139.html)と奇しくも一致したわけです。他のメソッドとこれほど多くの共通点があるスタンスの決め方ですので、スタンス幅はこれで決まりと断言出来ます。

2015年7月、私はパッティング・スタンスに上の方法を採用し、抜群の成果を挙げることが出来ました。「バランスのとれたスタンスは、パッティングからドライヴァーまでに共通」というDr. David Wrightの言葉は正しい。なお、博士は「バランスの状態は3インチ(約7.6センチ)毎に変化する」と述べていることを付記しておきます。

【参照】「正しいスタンス幅の決め方」(tips_126.html)

(August 08, 2012、改訂June 04, 2015、再訂July 12, 2015)


コックでボールを押し潰せ

これもボールを押し潰すアイアン・ショットのための秘訣ですが、それをコックによって達成するというのが異色です。

'Compress the ball for power'
by Dave Phillips ('Golf Magazine,' February 2009)

「パワフルなアイアン・ショットを生むには、ボールの後部にヒットダウンし、その後クラブヘッドで地面を打ち抜く方法ただ一つしかない。これを達成するには多くの動作が必要だが、右手首の動きに焦点を合わせて偉大な第一歩を踏み出すことが出来る。

1) バックスウィング

バックスウィングのトップに向かいながら、右前腕部と右手首に明瞭な角度を生じるほどコックする。【編註:正しいコックは親指の付け根に向かって折るもので、甲側や掌側に折ってはいけない】 正しくコックされれば、左手甲は(曲がらずに)真っ直ぐ伸びており、右手はクラブを下から支えるような状態になる筈だ。【よく云われる、お盆を乗せる感じ】 この右手首のコックは、スウィングの際のパワフルな梃子の作用のために重要であり、それがないと最大限のスピードでボールを打ち抜くための、クラブヘッドを鞭のように振る能力は得られない。

2) ダウンスウィング

ダウンスウィングでは、右手首に形成した角度を完全に維持する。これを実現する容易な方法は、単純に手のことを意識しないことだ。たとえ両手がベルトの下まで下りたとしても、その右手首のコックをほどくべきではない。これを正しく行えば、インパクト・ゾーンに突入しながらクラブフェースと右掌はボールの方向を向いている筈だ。これが正しくヒットダウンし、最大飛距離とスピンのためにボールを押し潰すことを可能にする」

これはレイト・アンコックと同じことであり、アマチュア・ゴルファーには簡単に出来ない方法です。その一つの側面は、われわれに「コックしたままだと、遅れて下りて来るクラブフェースによってボールが右に出て行くんじゃないか?空振りだってあり得る」という恐怖感でしょう。それが早期にアンコックしてしまう理由の一つです。'Four Magic Moves to Winning Golf'『マジック・ゴルフ 必勝ゴルフの四つの秘法』(1965)の著者Joe Dante(ジョー・ダンティ)は、「ゴルフ・スウィングの神秘的な要素だが、インパクトでクラブヘッドは必ず手に追いつく。ゴルファーが意識的に努力する必要はない。ゴルファーはクラブヘッドのことは忘れ、ひたすら腕を振り抜くだけでよい」と述べています。Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)は「左手首は、インパクト前に遠心力と重力の相互作用によって自ずとアンコックする。地球上の誰もそれを止めることは出来ない」と云っています。われわれが手助けするのはおこがましい所業ということになります。

(August 11, 2012)


鋭く刺すようなアイアン・ショットの打ち方

これも正確なアイアン・ショットを打つための練習法。筆者は女性インストラクターKrista Dunton(クリスタ・ダントン)。

'Move your divot forward for piercing iron shots'
by Krista Dunton ('Golf Digest,' February 2012)

「クラブが改良され、ボールが楽に上がるようになったとはいえ、ボールを押し潰さないことには適切なボール軌道と飛距離を得るのは得るのは難しい。それには、私が考案した"move-the-divot-forward drill(ディヴォット跡を匍匐前進させるドリル)を試してほしい。

ミドルアイアンでスウィングし、ディヴォット跡を作る。そのディヴォット跡の先端にセットアップしてスウィングし、ディヴォット跡を前方に拡張する。

インパクトでシャフトをターゲット方向に前傾させることに集中しながら、このドリルを数回繰り返す。正しく行うと、ディヴォット跡は長い帯のようになって行く。これはボールを押し潰す感覚を強化するのに役立つ」

やってみました。これはボールを打つ必要もなく、簡単に練習出来るいい方法です。野原でも砂場でも実行出来ます。ディヴォット跡が先に伸びなければ、ボールの後ろを打っていることになり、理想的な打ち方ではないことになります。

(August 11, 2012)


50ヤードのバンカー・ショット

「50ヤードのエクスプロージョン」(tips_128.html)という記事で、LPGAのNo.1プレイヤーだったLorena Ochoa(ロレナ・オチョア)は9番アイアンを使うと書いていました。こちらのPGAツァー・プロBen Crane(ベン・クレイン)は、同じヤーデージを7番アイアンで打つそうです。

'The easy way to hit the hardest shot'
by Ben Crane with Max Adler ('Golf Digest,' May 2012)

「このぐらい長いバンカー・ショットはゴルフの中でも最も難しい部類だが、あまりにも色々な技法があって、どれに習熟すべきか迷ってしまう。私は全ての理論を読んだ末、7番アイアンを使って通常のグリーンサイド・バンカーと同じように打つ超簡単なテクニックを発見した。距離はそのロフトに任せればよく、インパクトも完璧でなくていい。

1) グリーンサイド・バンカー・ショットと同じように、身体はターゲットの左を狙う。
2) 広いスタンスで下半身を安定させる。【編註:写真のBen Craneは肩幅の倍近く脚を開いている】
3) クラブを短く持つ。
4) 7番アイアンのソールにはバウンス(=日本語のバンス)がほぼゼロなので、ウェッジのようにクラブフェースを開き、さらに両手をボールの後方に位置させ、シャフトをターゲットと反対側に寝せる。【編註:ロフトを増やす】
5) バックスウィングのトップでは、クラブフェースが天を指すことを心掛ける。【編註:写真ではフェースが完全に身体の正面を向き、トゥが天を指している】これは、ウィークグリップを採用していれば、努力しなくても自然にそうなる。
6) サンドウェッジよりずっと軽い7番アイアンを砂に打ち込むのは異常な感じがするかも知れないが、攻撃的に砂を爆発させる必要がある。ボールの後ろ約5センチのところにクラブヘッドを突入させ、その勢いで振り抜く。

 

グリーンに届くように祈り、二度とこのような状況に陥らぬように誓いを立てなさい」

(August 14, 2012)


バンカー・ショットの手帖

いろいろバンカー・ショットのことが ここには書きつけてある
このなかの どれか一つ二つは すぐ今日 あなたのバンカー・ショットに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは すぐには役に立たないように見えても やがて 心の底ふかく沈んで
いつか あなたのバンカー・ショットを変えてしまう そんなふうな これは あなたのバンカー・ショットの手帖です

[PGA]

'The PGA Manual of Golf'
by Gary Wiren (PGA of America, 1991, $39.95)

PGAというのはアメリカのゴルフ・インストラクター(レッスン・プロ)たちの組織であり、この本はそういうインストラクター(レッスン・プロ)たちの教科書として出版されたものです。執筆・編集はマスター・プロフェッショナル(コーチのコーチ)Gary Wiren(ゲアリ・ワイレン)。彼は博士号を持つトップクラスのインストラクター、ゴルフ歴史学者、著作家です。

「・砂の上に乗っているボールを出すアクションにふさわしい用語は、『爆発』ではなく『スプラッシュ』(砂を飛び散らす)である。『掘る』はボールが砂に潜っている場合のスウィングを描写する言葉だ。

・短い距離では急激な角度、長い距離では浅い角度でスウィングせよ。

・短い距離ではクラブヘッドを寝せてロフトを増し、長い距離ではフェースをクローズにするか伏せ目にしてロフトを減らせ。ボール位置もロフトに関係する。ボールがスタンス後方ならロフトが減り、前方なら増える。

・ボールのより後方を打って砂を厚く取れば、短い距離が得られる。ボールに近い地点を打って砂を薄く取れば長い距離になる。ボールに近い場所を打つとボールは遠くに飛ぶが、スピンがかかるので着地後急速に停止する。

・短いフォロースルーは、一般的にインパクトで減速した結果である。長いフォロースルーは、大体において強く打たれかなりの距離に繋がる。バックスウィングと同じ長さのフォロースルーを行うこと。

・グリーンを読むのと同じように、砂も読まなければならない。ルールを守る以上、砂を読む道具はあなたの目と足である。ボールに向かって歩き、スタンスをとる行動は、砂の深さの情報を与えてくれる。砂の深さと状態は、視覚的にも測定出来る。もし砂が粗く湿っていれば、それは固く、クラブが弾かれる可能性が高い。ふわふわして乾いた砂は、クラブを埋め込んでしまう恐れが強い。固いライではソールのバウンスを少なめに用い、ソフトなライではバウンスを最大限利用すること。

・グリップエンドをターゲット方向に位置させると砂を深くカットし、逆にすると浅くカット出来る。

・バンカーの中でチッピングするのは難しく、教えられることも少ない。これをやろうとするなら、ボール位置をスタンス後方にし、手首を固くして水平なスウィングをするように。

・どういうバンカー・ショットをすべきか決定する要素は、ライ、ピンまでの距離、砂の構造と状態、グリーンの傾斜と早さ、顎の高さ、使用クラブのタイプである。

・クラブフェースを時期尚早にクローズにしてしまうことを防止する視覚的イメージは、クラブフェースに水の入ったコップを乗せていると想像し、フォロースルーまでその水をこぼさないようにバランスを取るというものだ。

・サンドウェッジでどこまでボールを運べるか、様々な砂の状況下で掴んでおくべきである。ターゲットが遠ければ、別のクラブを選択すべきことが解る。

・バンカー・ショットの恐怖の克服は、ゴルフの最も難しいものの一つであろう。この恐怖は過去の失敗、自信の欠如、結果に対する疑念などによって生じる。こういう心理状態を回避する最良の方法は、バンカー・ショットの原理を理解し、自分がボールを出せるという自信がつくまで練習することだ。成功を収めた結果を視覚化するのは、このショットを遂行する重要な一歩である。失敗への恐れは筋肉の緊張を作り出す。緊張は筋肉繊維を収縮させるか、強ばらせてしまう。あなたが強ばると、あなたはスウィングを抑制してしまい、ショットを成功させるチャンスを無駄にしてしまう。ネガティヴに考えることや、お粗末なイメージを抱くことは、バンカーでいいスウィングをする能力を破壊する。ゆったりとリラックスしなければいけないのだが、それはあなたがバンカー・ショットをうまく遂行出来ると知っている時に訪れる状態である」

【参考】
・「芝とパッティングの研究」(tips_157.html)
・「パットの手帖」(tips_139.html)
・「寄せの手帖」(tips_139.html)
・「練習の手帖」(tips_158.html)
・「コース戦略の手帖」(Tips_172.html)

【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。

(August 14, 2012、補足February 09, 2014、増補Dec. 04, 2015)


バックスピンの全て

ショートゲームの専門家Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)によるバックスピン生成法。

'Crack the wedge spin code'
by Dave Pelz with David DeNunzio ('Golf Magazine,' March 2009)

「あなたがバックスピンを生じるスウィングに長けていたとしても、それだけでは充分ではない。テクニックはバックスピンを生む条件の1/3でしかない。バックスピンに相応しいボールと、相応しいグルーヴも必要だ。

[backspin]

1) テクニック

・ボール位置をスタンス中央からボール1〜2個分後方にする。

・ボールをクリーンに打つため、両手が先行したインパクトをすること。

・下から3番目〜6番目のグルーヴでボールを打つこと。

・草の干渉を避けるため、ディセンディング・ブローで打つこと。

・インパクト・ゾーンで加速するため、短いバックスウィングをすること。

2) ボール

サーリン・カヴァー(2ピース・ボールに多く用いられる耐久性のあるアイオノマー樹脂製カヴァー)のボールではなく、ウレタン・カヴァーの多層構造ボールを使うこと。スピン率が断然違う。

3) ウェッジのグルーヴ

グルーヴにはV型、U型、ボックス(凹の形)型の三つがあるが、V<U<凹の順にスピン率が高い。しかし、USGAのルール変更により2010年以降U型と凹型は公式競技では使えないことになった。ただし、公式競技に出るつもりのないアマチュアは、死ぬまでU型と凹型グルーヴ・ウェッジを使うことも可能である」

【おことわり】画像はhttp://3.bp.blogspot.com/にリンクして表示させて頂いています。

(August 18, 2012)


老インストラクターのtips

Eddie Merrins(エディ・メリンズ、79歳)はPGAツァーで活躍後、ロサンジェルスのBel-Air(ベル・エア) C.C.のクラブ・プロに就任し、場所柄多くの映画スター、歌手、有名スポーツマンをコーチして来て、彼自身も有名人となりました。体型がアメリカ人としては小柄だったため、"The little pro"(ザ・リトル・プロというニックネームで親しまれています。

ところで、このEddie Merrinsは私の住むミシシッピ州Meridian(メリディアン)という町の生まれ・育ちなのです。市営ゴルフ場で私が一緒にプレイしている仲間の一人Mr. Kidd(ミスター・キッド、92歳)は、あるメンバー・コースでのレッスン・プロ時代、高校生だったEddie Merrinsをコーチしたというのが自慢です。

'The little pro'
by Eddie Merrins with Guy Yocom ('Golf Digest,' January 2007)

「・スウィングの間に左腕を真っ直ぐ伸ばそうなどと考えるべきではない。腕というものは、スウィングの間に自然に伸びるようにデザインされているものだ。ボクサーがジャブを出す時に腕が真っ直ぐになるのと同じことだ。腕は、突っ張って緊張していると伸びないものである。『真っ直ぐな左腕』というのは神話であり、あなたの腕から運動感覚を奪うものだ。

・私は一風変わったパッティング・ドリルを生徒にさせている。練習グリーンのカップの周り数センチのところに数個のボールを配置する。生徒にそのボールをタップインさせるのだ。パー・チャンスやバーディ・チャンスであっても、この距離だとミスすることはない。確信と信念を持って、例外なくソリッドにポコンと打てる。これが、どのパットでもすべき方法なのだ。ミスの心配などせず、いとも気楽なフィーリングでパットする。このドリルを試して貰いたい。あなたのパッティングから不安を取り除き、ミスする想念など心に浮かんで来なくなる。それはパットを成功させるという偉大なフィーリングだ。全てのパットをこんな風に確信を抱いて遂行すべきなのだ」

(August 18, 2012)


インパクトでは上体の傾斜を二倍に増やせ

インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)のユニークな、しかし説得力ある新理論。

'Let your tilt increase'
by Jim McLean ('Golf Digest,' February 2007)

「背骨を傾斜させることは、ゴルフ・スウィングのいくつもの部分で最も誤解され、認識されていないものの一つだ。ビッグヒッターがドライヴァーを打つ際は、アドレスでターゲットの反対側に約10°上体を傾斜させる。もっと重要なことは、インパクトにおける背骨の傾斜である。あなたの予測とは裏腹に、インパクトでは元のアドレス状態に戻すべきではないのだ。代わりに、背骨の角度を二倍傾斜させるべきなのだ。

ダウンスウィングで体重を左に移し、腰をターゲット方向に回転させることによって、あなたの最初の背骨の角度は変わらざるを得ない。右サイドを左に押し、回転させると、背骨の下部も左に動き、上体の先端(頭や肩)をターゲットから遠ざける。その結果、背骨の傾斜はアドレス時の二倍傾くことになる。

鏡を見ながら、背骨の傾斜の感覚を培ってほしい。この動きは、身体をボールの後ろに留めることになり、インパクトでパワフルなスウィングの原動力となる」

(August 22, 2012)


ピッチングでは脚を使え

'Leg action'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「ピッチ・ショットを成功させるには、上体を支えるためとスムーズでリズミックなスウィングを可能にするため、両脚の役割が重要である。

ツァー・プロのRaymond Floyd(レイモンド・フロイド)はこう云う、『6メートル離れたゴミ箱にボールを投げる場合、強ばった脚で直立し、腕だけで投げるなどという人はいない。リズミックに両脚を揺すり、同時に腕を前後に高く振る。そして、ゴミ箱に入るように高くボールをトスする筈だ』

Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)は『ピッチングの鍵は脚の動きだ。ダウンスウィングで右膝が左足に向う速度が早ければ早いほど、ボールに与えるスピンが増加する。両脚の動き無しで手だけで打てば、スピンが少ないか急停止するショットが得られる」

(August 22, 2012)


ボールを弾ませないパッティング

'Pure it with the putter'
by John Webster with Matthew Rudy ('Golf Digest,' February 2007)

「私がディレクターをしているインストラクション・センターでは、トップクラスのゴルファーたちのプレイを記録している。彼らは異なるパターを用い、異なるパッティング・スタイルをしているが、彼らの共通点は絶対にボールをぴょんと跳ねさせたり、斜めのスピンをかけたりしないことである。彼らは完璧なコンタクトをしているのだ。

快適なアドレスをすることが重要であるが、あなたのパターのロフトによってシャフトを前傾させたアドレスをすることが望ましい。あなたのパターのロフトが2〜3°などと少ない方であれば、ボールをスタンス前方に置くべきだ。【←編註:ボールをヒットダウンして埋め込まないための配慮】 もしあなたのパターが4°以上のロフトを持っているなら、ボールをスタンス後方に置き、さらにフォワードプレスすべきである【←編註:ボールを打ち上げてジャンプさせないための配慮】」

ボールをヒットダウンすると、ボールは一旦芝に埋め込まれて反動でぴょんと跳び上がります。あまりにも上昇軌道で打たれたボールもぴょんと跳び上がります。一度でも弾んだボールは勢いのエネルギーを失い、大幅にショートします。さらに、弾んだ後の着地の角度次第で、正しい方向性を失う恐れもあります。上のtipは、そのジャンプを防止する策です。

(August 22, 2012)


ラグ・パットの練習法

「ラグ・パット」は、あまりにも距離が長い場合に無理にカップインを狙わず(狙うと大幅ショートやオーヴァーになりがち)、インサイド・ザ・レザー(OK)の範囲に寄せるパット。以下はインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)自慢の練習法。

'My drill for great lag putting'
by Jim McLean ('Golf Digest,' February 2007)

「ラグ・パットがちゃんと寄せられないことが3パットの主な原因である。以下の、五個のボールを用いるドリルはそれを防止するのに役立つ。

1) 練習グリーンの端から端まで横切るようなパットをする。特定のターゲットは不要。ストロークの強さに注目すること。

2) 最初のボールをターゲットとし、それに近づけるように最初と同じ強さでストロークする。

3) 次の二回のパットを目を閉じてフィーリングでストロークする。目を閉じたまま、いま遂行したパットがショートしたか、オーヴァーしたか、ぴったりだったかを推測する。

4) 目を開けて最後のパットをする。

いまや、パッティングの強さと距離感に対するあなたの感受性は、最高度に高まっている筈だ」

(August 29, 2012)


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