'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「潜在意識はイメージによってあなたの身体を駆け巡る。あなたが食べる時、美味しい食べ物を一口噛むイメージを抱きさえすれば、あなたの身体は何も考えなくともそれを口に運ぶことが出来る。
そういう風にイマジネーションを使えば、あなたの身体はどこへボールを運べばよいかハッキリと指示を受けたことになる。そして、あなたの想念は『それを遂行するにはどうすべきか』などと余計なことを考えなくても済むのである。
ゴルフする際には、どこにボールを運ぶべきか、ハッキリと、活き活きした明確なイメージを持ち、あなたの身体がベストを尽すことを信じるべきである」
(April 17, 2012)
Walter Hagen(ウォルター・ヘイゲン、1892〜1969)は、The Masters(マスターズ)以外の三つのメイジャーに11回優勝した名人。彼の特徴は、お洒落で贅沢な生活を愛し、常に余裕のある姿勢(人生でもゴルフでも)で通していたこと。それは多少のミスや敗北にもめげないというメンタルな強さに繋がりました。また、野球選手にスカウトされかかったほどの腕前だったせいもあり、野球のヒッティングと同じ極端に幅広いスタンスでスウィングしたことでも有名です。
下記の本から、Walter Hagenのゴルフと考え方を抜き出してみました。
'The Methods of Golf's Masters'
by Dick Aultman & Ken Bowden (The Lyons Press, 1975, $19.95)
Walter Hagenを勝利者にしたのは、運を受け入れることだった。幸運も、不運も。
彼は云った、「私は完璧な18ホールのプレイなどしたことがない。そんなものはあり得ない。私は1ラウンドにつき七つのミスを予想する。だから、ひどいショットをしても、それは七つのうちの一つだから気にする必要はない」
「大多数のゴルファーはパット沈めることを期待する。しかし、パットの失敗(その長短に関わらず)は悲劇ではない。われわれはこの点で考え違いをしている。そもそも、あんなちっぽけなボールを平らでない地面を転がしてカップに入れるなんて物理的に不可能なのだ。パットのミスを恐れないというメンタルな心構えがあれば、物理的側面を乗り越えられる。《パットのミスはゴルフにつきもの》と考え、心をオープンにしてたまさかの成功を待ち受ける方が健全である」
Walter Hagenのミス・ショットを受け入れる(あるいは忘れる)という能力は、彼を追い込み逆転型の覇者にした。あるプロの証言、「Walter Hagenはトーナメント・リーダーとの三、四ストロークの差を詰めるスリルを楽しんでいた。彼ほど逆転優勝したプロは存在しない」
Walter Hagen曰く「ゴルフ・プロが学ぶべきことは、去年のゴルフ、先週のゴルフ、あるいは来週のゴルフは同じものではないということだ。唯一目の前にあるゲームが存在するだけであり、それはベストと云えるものから程遠いかも知れない。しかし、それが彼のゲームの全てなのだ」
Walter Hagenは不様なラウンドの後も新しいテクニックを探し求めたりせず、微笑みつつ挫折を認め、パーティに出掛けて次の日の好調を待ち受けた。このようにして、彼は自己分析による麻痺("the paralysis from self-analysis")を回避したのである。
(April 29, 2012)
PGAのマスター・インストラクターGary Wiren(ゲアリ・ワイレン)の「学習意欲を持てば上達する」…という主張。
'The PGA Manual of Golf'
by Gary Wiren (PGA of America, 1991, $39.95)
「あなたにゴルフについて学ぼうという欲求がなかったら、完璧な施設、練習道具が揃っていたとしても何の意味もないだろう。だが、逆に強烈な動機を持つ人々は、指導者の援助などなくても、何とかして学ぶ方法を見つけてしまう。
Calvin Peete(キャルヴィン・ピート、1943〜)は、有名なストレート・ヒッターで、PGAツァーで優勝しようという熱烈な決意によって目的を達成した。彼の動機は環境だった。彼はフロリダの黒人農家集落の家の13人の子の一人として育ち、そこからの脱出を図らない限り、彼の未来は出稼ぎ農夫にでもなるしかないという夢も希望もない状況であった。
20代だったCalvin Peeteは新聞でJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)がゴルフで1,000,000ドル稼いだというニュースを読み、そういう生き方を試そうと決意した。高校のグラウンドにペーパーバックのゴルフ教本を置き、写真を研究し、それを彼の能力のベストで模倣しながら、ボールを打った。彼は子供の頃の事故で左腕が変形していた上、ゴルフ練習場もなく、インストラクターにつくだけの金銭的余裕もなかったのだが、それでも彼は成功した。
【編註】Calvin PeeteはPGAツァーで12勝、Japanツァーで二勝し、Ryder Cupのアメリカ代表に二回、年間平均最小スコアのプロに与えられるVardon Trophy(ヴァードン・トロフィ)を1986年に受賞し、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)登場以前の最も成功した黒人プロ・ゴルファーだった。
彼の例は、学習という観点でどういう意味があるか?最も重要な要素は成功への欲求である。理論的には学習は無限に継続する。ストップするのは、人が継続しようという動機を失う時でしかない。そうなると学習はストップし、パフォーマンスの劣化が忍び寄って来る」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 02, 2012、改訂June 04, 2015)
ゴルフの映画というのはつまらないものが多いので、この映画も全く期待しないで観ました。原作はDavid L. Cook(デイヴィッド・L・クック)作'Golf's Sacred Journey: Seven Days at the Links of Utopia'(ゴルフの聖なる旅:ユートピア・ゴルフ場での七日間)という小説。
'The Fast and the Furious: Tokyo Drift'『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)、'Friday Night Lights'『プライド 栄光への絆』(2004)などのLucas Black(ルーカス・ブラック)演ずる新進PGAツァー・プレイヤーが主人公。キャディを務める彼の父は、息子の勝利だけを夢見ていて、コース・マネジメントにも自分の考えを強引に押し付ける。あるトーナメントでLucas Blackは父の態度にキレてしまい、No. 18で10を叩く。憤慨した父は息子を放り出して去って行く。
失意のLucas Blackが一人テキサス州を車で走っていて、Utopia(ユートピア)という名に惹かれて小さな町を訪れる。牧場主Robert Duval(ロバート・デュヴァル)はもとPGAツァー・プロで、Byron Nelson(バイロン・ネルスン)やJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)などと競い合った腕前だった。Lucas Blackに自分の若かりし頃を重ね合わせたRobert Duvalは、「本当のプロになりたければ、ここに一週間滞在しろ。おれが色々教えてやる」と云う。彼の教えというのは、インストラクターが手を取ってスウィングを教えるようなものではなく、いわば禅坊主が悟りの境地に目を開かせるというスタイルであった…。
Lucas Blackの役名がLuke(ルーク)なので、Robert Duvalの役名がYoda(ヨーダ)でないのが不思議なほどです:-)。
Lucas Blackがキレた場面のヴィデオが【映画の中の】Golf Channel(ゴルフ・チャネル)のニュースで流され、キャスターKelly Tilghman(ケリィ・ティルマン)と解説者Frank Nobilo(フランク・ノビロ)がコメントします。後半のTexas Open(テキサス・オープン)の試合では、Kelly Tilghmanと解説者Brandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)が中継します。それぞれ、TVと同じ、いつもの調子でやっています。
PGAツァー・プロとしては、Lucas Blackの対戦相手としてK.J. チョイがかなりの比重で登場し、他にはStewart Cink(スチュアート・スィンク)、Rickie Fowler(リッキィ・ファウラー)、Rich Beem(リッチ・ビーム)などが顔を見せますが、いずれも台詞はありません。
Lucas Blackは実際にスクラッチ・ゴルファーだそうで、AT&T Pebble Beach National Pro-Am(AT&Tプロ・アマ)に出場し、Rickie Fowlerとペアでプレイしたそうです。彼はこの映画のプロデューサーの一人でもあります。
Robert DuvalがLucas Blackに教えることの一つは、"See it, Feel it and Trust it"(ショットを視覚化し、手応えを想像し、自分の判断を信じ切れ)というもので、Lucas Blackはその文句の頭文字を取って"SFT"とボールにマジックで書きます。
美しい風景が綺麗に撮影されており、本当に“ユートピア”の物語に思えます。完全にゴルファー向けに作られた映画で、ゴルフを知らない人に用語やルールを教えるような説明口調は全くありません。'The Legend of Bagger Vance'『バガー・ヴァンスの伝説』(2000)のようなメルヘン調でもありません。Robert Duvalの信仰に根ざした説教が日本人向けではなく、父との和解がちと安易だったりしますが、最近のいくつかのゴルフ映画の中では、まあ観られるものの一つだと思います。
映画製作にCallawayの資金援助を得ているようで、帽子、クラブ、ボール、全てCallawayです。
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 05, 2012)
スポーツ心理学者Dr. Patrick Cohn(パトリック・コーン博士)が説く、スウィング前に(スウィングそのものではなく)ターゲットに集中することの重要性。
'Going Low'
by Patrick Cohn, Ph.D. (Contemporary Books, 2001, $22.95)
「自動車運転の習い始めほどぎごちないものはない。ハンドル、アクセル、ブレーキと色々扱わねばならず、マニュアル・ミッションとなればクラッチも加わる。車はジャンプしたり、ギッコンバッタンしたりする。ゴルフの入門時も同じで、身体各部の動きが飲み込めないうちは、それぞれのコントロールに必死になる。車の運転に慣れると車の操作は無意識に出来るようになり、関心は自分の動作ではなく、前方の道路や周囲の状況へと移行する。ゴルフにおいても、ラウンド時の関心は身体の機械的動作に向うのではなく、ターゲットやボールの軌道に集中すべきである。見栄えのいいスウィングや長い飛距離よりも、少ないスコアが重要なのであり、それを望むならターゲット・ゴルフを学ばなくてはならない。
視覚化に慣れた人なら、バックスウィング開始直前のターゲットのイメージはとても有用である。ターゲットを終始意識し続けると、恐怖や機械的動作のことを忘れることが出来る。信じてほしいのだが、ターゲットのイメージこそが、スウィングを開始するために唯一必要なものなのだ。他のほとんどのスポーツでは、技を展開しようとする人はターゲットを見据えるものであるが、ゴルフは希な例外と云える。【編註:ゴルフでは、ターゲットではなくボールを見つめてスウィングする】しかし、ゴルファーは心の目でターゲットを感じ取り、引き金を引く。
ターゲットを心の目で見ることに次いで重要なのは、ショットを心の目で見ることである。いいイメージは空中で抛物線を描く凍ったロープだろう。【編註:あるいはミサイルなどの尾を引く煙?】このイメージによって、ショットの曲がり具合や軌道を見ることが出来る。注意しておくが、ドローを打つ練習もしないでおいてドローの弾道を視覚化しても時間の無駄である。
第三に必要なのは、ショットを感じることである。ショットの動作を感じるのではなく、『今のショットは良かった』と満足出来た時のフィーリングのことだ。人によって、それはテンポであったり、インパクトの手応えであったり、自由で伸び伸びとした感じであったりするだろう。素振りで、いいショットの視覚とフィーリングを掴む。もし、満足出来なければ、もう一度。そのフィーリングの獲得をスウィング開始の引き金とする。
ターゲット・ゴルフの習得には、ロボットのように打ちまくる練習を先ず止めることだ。ああいう練習はコースに出た時には全く役に立たない。正しい練習法は、一打毎にターゲットを選び、ターゲットまでの距離を推定し、クラブを選び、軌道と強さなど全てを考えて打つことだ。このようにして、あなたのホームコースの18ホールをシミュレートすれば最高である。
ターゲット・ゴルフの練習は分析的ではなく、決めつけたりせず、あまり意識的でもない方がいい。目的は、練習したものが効果的スウィングであると信頼出来るようにすることだ。意識的で懸命になろうとする心を遮断し、視覚と感覚が統括するように助ける。あなたの集中心はスウィングではなくターゲットにあるべきだし、スウィング軌道やヘッド位置ではなくテンポにあるべきだ」
(May 14, 2012)
'The 80/20 rule'
by Todd Anderson with Lorin Anderson ('Golf Magazine,' September 2003)
「アマチュア・ゴルファーの大半は、アドレスに要する時間の80%をボールを見つめることに使い、20%をターゲットを見ることに使う。プロは正反対である。
目をボールに釘付けにすると、折角構築したターゲットとの繋がりが薄れ、狙いが歪んでしまう。加えて、たとえ数秒とは云え静止状態で立っていると筋肉を硬直させる。硬い筋肉は、リラックス状態よりゆっくりしか動けない。テンションはまた、クラブのリリースを妨害する。これが、臆したゴルファーが右翼スタンドに打ち込む理由である。
リラックスするには、両腕でピストン運動をし、クラブをワッグルするか、両足を揺り動かす。ターゲットを確認し、その後すぐに打つべし!」
(May 14, 2012)
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