'Greenside dew's and dont's'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' April 2010)
「朝露はフェアウィでもグリーン上でも距離を減らす。ラフの草の露はフライヤーの原因ともなる。
・パッティングにおいては、朝露は芝目の影響とブレイクを少なくする。攻撃的にパットすべきである。失敗しても、パットの跡が残るので返しのパットを読む必要がない。
・チッピングも強めに打つ。朝露はランを少なくするので、ロフトの多いクラブで空中を飛行させる方がよい」
(May 11, 2010)
'Golf Digest'『ゴルフダイジェスト』誌六月号は1,051種のボールをテストし、その中のベスト30について特徴と評価を掲載しています。
'Why everyone should play a tour ball'
by Rob Akins ('Golf Digest,' June 2010)
この記事で"tour ball"と云っているのはTitleistと考えて間違いないでしょう。それもProV1です。何しろ、Titleistは"No.1 ball in golf"と自称していますし、PGAツァーでTitleistと契約していないのはTiger Woods(タイガー・ウッズ)を初めとするNike派、Jim Furyk(ジム・フューリク)を代表とするSrixon派、Fred Couples(フレッド・カプルズ)を代表とするBridgestone派ぐらいで、ごく少数です。
そういう状況で「ツァー・ボールを使え」と云うんですから、まるでTitleistの回し者のような記事です。筆者はテネシー州のあるゴルフ場のインストラクターで、'Golf Digest'誌選出・全米ベスト50のコーチの一人。写真ではClevelandロゴの帽子をかぶっていますので、Titleistの宣伝マンではないようです。
「ハンティング旅行を計画した男がいるとしよう。彼はカナディアン・ロッキー山地にある最高の山荘を予約した。服から帽子、ナップサック、水筒、ハンケチに至るまで全てアウトドア・チャネルに出て来るカモフラージュ模様の製品で揃えた。ライフルはドイツ・アルプスの工場から直接取り寄せたものだし、銃のスコープはNASA推薦の製品だ。ところが、彼が装填する弾丸が100円ショップで買ったものであったらどうだろう?
私の観点では、ゴルフ・ボールは銃の弾丸と同じなのだが、多くのアマチュアは安いボールを使っている。確かにプロが使うボールは、二倍か三倍高い値段だろう。しかし、いいボールはアマチュアのスコアも改善してくれるのだ。
考えてみなさい。もはやパーシモンのドライヴァーは、タイテイニアム(=チタン)のものほどあなたのスウィングに寄与してくれない。だからあなたはパーシモンを見捨てたのだ。ボールだって同じだ。安いボールは、ショートゲームでのあなたの最高の努力にちゃんと報いてくれない。私の推測だが、ウェッジをフル・スウィングした場合、スピン率の高い【=価格も高い】ボールは典型的な2ピース・ボールより75%も多くスピンがかかる。それは、「OK!」と云って貰える距離に寄るのと、黙殺される結果との違いと云ってもよい。
ごく普通のゴルファーの多くが、典型的なラウンドにおいて2/3(あるいはもっと多く)の寄せに失敗する。それらの失敗が、あなたの目論見通りにボールが反応してくれないせいだとしたら?それでなくても難しいゲームなのに、【思ったように働かないボールを使って】更に難しくしてプレイする理由なぞないと思うけど?」
【警告】ゴルフ用品店に駆け出す前に、次の記事も読みましょう。
【おことわり】画像はtitleist.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 16, 2010)、改訂(November 27, 2010)
'Golf Digest'『ゴルフダイジェスト』誌六月号は1,051種のボールをテストし、その中のベスト30について特徴と評価を掲載しています。このテストはレッスン・プロとロー・ハンデのアマチュア17人を集めて四日間にわたって、ティー・ショット、アプローチ・ショット、寄せなどに分けて打たれた結果だそうです。ボールのブランド名は消されており、テスターにはどれがどれか分らない。最終選考に残ったボールは約300回打たれている…とのこと。以下は、編集者がテスター数人の反応をまとめたもので、上の記事とのバランスを取るような内容です。
'Cheap VS. tour balls'
by Max Adler ('Golf Digest,' June 2010)
「今回の『ボール・テスト』特集に参加したテスターA(ハンデ4)は、彼が属するコースのプロ・ショップでPinnacle Dimensionを買おうとして『本気なの?』と聞かれた。このテスターAは最高級ボールに対抗するこのような安いボール(1ダース15ドル)も今回のテストで試打したのだった。
『どちらも軌道とフィーリングは変わらないんだ』と+2のハンデのテスターBが云う。『ウェッジ使用時のスピンの度合いとカヴァーの耐久力だけは高いボールより劣るが、安いボールも使い心地はとてもいい』と付け加える。
ハンデ10のテスターCは安いボール、高いボール双方に同等の評価を与えていて、『自分にとって本当にツァー・レヴェルのボールが必要かどうか考えちゃう』と云っている。われわれのテストに参加したゴルファーは、安いボールを使った時三打余計に必要だという結果が出ている。しかし、テスターAはこう云う、『Pinnacleを水没させた場合、ProV1を水没させた時より嫌〜な気分を味わわずに済む。それはそれで価値がある』と」
Pinnacle Dimensionの項は次のようになっています。「発射角度:高い(ProV1は低い)、スピン率:低い (ProV1は高い) このボールの強みはティーからのストレートな軌道だ。親会社Titleistのボールと同じようにソフトなフィーリングを備えている。一個の値段はProV1の1/3でしかない」
(May 16, 2010)
先週末、腰痛になりました。金曜日は「何か臀部に異常な感じがある。疲れだろうか?」と思いました。腰痛の場合、腰と背骨の接点に異常感があるものですが、この時は臀部の異常感のように思えたのです。
しかし、翌土曜日になるとそれは臀部ではなく毎度お馴染みの腰部であることが判りました。当サイトの「その他の索引」→「練習法」→「腰痛体操」(tips_22.html)はいつもお世話になっている治療法です。これはゆっくり湯船に浸かってからの体操が望ましいのですが、一日に何回も風呂桶に湯を満たすのも不経済だし面倒なので、今回は新しい試みをしました。
カミさんが持っているアメリカの某社製Shoulder Wrapを使ったのです。これは様々なハーブや小麦を布で包んだもので、海外旅行の旅客機用に作られた枕に似た形態です(もっと分厚いですが)。これを電子レンジで2分ほど熱します。元々は首+肩にかけるように出来ているのですが、私はベルトを使って腰に装着。この温熱療法で患部を温めてからの腰痛体操は効果的でした。
月曜日(発症後三日目)の朝、無理すれば何とかゴルフ出来る状態にはなりましたが、この日はアメリカの"Memorial Day"(戦没者追悼記念日)という祝日で、元軍人が多いシニアは他の催しで忙しいだろうし、一般のゴルファーでゴルフ場は混むだろうと推察して敬遠しました。そして、二度ほど温熱療法+腰痛体操を実施。腹筋が痛くなるほど体操をしたことになりますが、その甲斐はあったと思います。
四日目、まだ腰部に鈍い感覚はありますが痛みは全く感じませんでした。出掛ける前に最後の温熱療法と腰痛体操を実施。この日のラウンドでは痛みは全く感じず、スウィングにも支障はありませんでした。四日で腰痛完治。万歳!
なお、私は爪楊枝で「足の三里」を突っつくというツボ療法も何度か行ないました。このツボはツボです:-)。
(June 01, 2010)
Bubba Watson(ババ・ワトスン)はPGAツァーの飛ばし屋の一人。彼が飛ばしの秘訣を開陳している記事ですが、その最初の項は彼の奥さんの体験に関するもの。
'10 Rules'
by Bubba Watson with Guy Yocum ('Golf Digest,' July 2010)
「私(Bubba Watson)の妻はプロのバスケットボール・チームのプレイヤーだった。六年前、彼女が真剣にゴルフし始めた頃、彼女は6°ロフトのドライヴァーを使っていて、飛距離(キャリー)はほぼ170ヤードだった。
今年初め、私は結婚記念日のプレゼントとして彼女をあるプロアマ・トーナメントに招待した。その時彼女は13°のドライヴァーに換え、即座に飛距離(キャリー)を215ヤードに増やした。ランの距離は以前と同じだった。
ロフトを増すだけでなく、軽くて正しく選択されたシャフトにすることも重要だ。カスタム・フィットされたドライヴァーなら、簡単に20ヤード与えてくれる。しかし、スウィング改造で同じ成果を得るには何ヶ月も(あるいはそれ以上)かかることだろう」
以下は彼の奥さんとは関係ない話。
「過去に二度、Re/Max World Long Drive Championship(Re/Max世界ロングドライヴ選手権)に招待を受けたことがあるが固辞した。たった一度のイヴェントのためにスウィングを変えたりしたくなかったからだ。しかし、私が契約しているクラブ・メーカーPINGは、5.5°のロフトで48インチのシャフトというドライヴァーを作ってくれた。折角なので試してみた。長いシャフトは自動的にクラブヘッド・スピードを上げられると思われているが、実はそうではなかった。懸命に打っても、いつもの44.5インチのドライヴァーほど遠くへは飛ばなかった。店頭にある一般的なドライヴァーのシャフトの長さは45.5インチだが、それより半インチ短いシャフトを試すべきだ。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は、彼が飛距離を誇っていた頃、43.5インチのスティール・シャフトで打っていた。短いシャフトの方がスウィート・スポットで正確に打てるものなのだ」
(June 11, 2010)
Bernhard Langer(ベルンハード・ランガー、ドイツ)は、ゴルフ人生で何度も"yips"(イップス)に見舞われています。彼の自伝を読むと「パットが入らない」などというのはyipsではなく、只のスランプという範疇に過ぎないことが解ります。"yips"というのは恐ろしいものです。彼は、神に祈り、パッティング・グリップを変え、パターを換えたりしてyipsを乗り越えて来たそうです。
'My Autobiography' 「Yipsについて説明するのは難しい。それは意識されずコントロール出来ない筋肉の動きであり、結果として急速でぎくしゃくした制御不能のパッティング・ストロークをもたらす。筋肉の痙攣のようでもあり、どうパターを持とうが関係ない。ある時はパターを引くことが出来ず、凍り付いてしまう。完全な凍結か、よくてグイと乱暴に動けるだけである。 筋肉は勝手なことをし、自分の両手が自分の身体の一部とは感じられなくなる。腹の中がぐりぐり掻き回されるように思われ、極度に神経質になる。度胸を失う。時々、私はどうやってパターを引けばよいか分らなくなったし、パターを引けたとしても、どうやってそれを戻せばよいかが分らなかった。 振り返ってみると、1976年当時のドイツのコースのグリーンはとても遅かったのだが、私が初めて遠征したスペインやポルトガルのコースのグリーンは非常に速かった。私の懐は寂しく、もしトーナメントで金が得られなければ、ドイツのコースのレッスン・プロの職に戻るしかなかった。だが、私は自分の実力を人々に示したかった。相当なプレッシャーがかかっていた。全てのパットが重要で、成功を望むあまり私はyipsを病んでしまったのだ。 1978〜79にかけてのyipsは酷かった。何度もプロ生活を諦め、レッスン・プロに戻ろうかと思ったほどだ。そうしなかったのは、私は自分が優れたゴルファーであるという認識があったのと、パッティングの問題も必ず解決出来ると信じていたからだ。『ランガー家の一族はものごとを投げ出さないのだ』と自分に云い聞かせもした。 パッティングに関する秘訣があるとすれば、それはアドレスした時に快適であるべきだということだ。私はレフトハンド・ローのグリップを採用し、それは快適だった(長いパットでは普通のグリップをしたが)。私はリラックスしてパット出来るようになり、その後七年間偉大な成功を収めた。 1988年にまたyipsを病み、世界のトップ10から転落した。私は神に祈り、すがった。悪いこともしていない私に、なぜこのような試煉が与えられるのか?もし、ゴルフを捨てよというのが神の思し召しなら、私はそうするつもりだった。友人の一人が『Bernhard、神は君がゴルフを続けることを望んでおられる。君が成功し、他の人々にとっての良き実例となることを望んでおられるのだ』と云ってくれた。 |
私は新しいパッティング・グリップ(split cross-handed forearm grip=脈拍チェック型グリップ)を採用し、一年後に遂に再び優勝することが出来た。この時も以後七年間成功が続いた。
1996年のyipsでは、私はロングパターを採用する決意をし、現在に至っている」
(June 17, 2010)
'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)
「インストラクターGavin Ryan(ギャビン・ライアン、英国)は、厄介な池越えのピッチ・ショットの克服法として以下のような方針を推奨する。
・池を快適に【=無理をせず】越えられるクラブを選ぶ。
・着地点としてグリーンの奥に焦点を当てる。
・池のことはきっぱり忘れ、ターゲットだけを考える。
・通常よりクラブを軽めに握る。
・バックスウィングとフォロースルーの長さ・強さを同じにする。
・ショットに専念すること」
(June 23, 2010)
'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)
「・練習場のウォームアップでその日の球筋を知ること。気に入ろうと気に入るまいと、それがその日の自分の球筋であると受け入れ、それによってターゲットを調整する。1997年のMercedes Championshipの優勝争いは、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)とTom Lehman(トム・レーマン)のプレイオフにもつれ込んだ。その日、Tiger Woodsは一日中プッシュに悩んでいた。プレイオフでの池越えのパー3、彼はプッシュを見込んでピンの遥か左を狙って打った。ボールはピン傍につき、バーディで勝利したのだった。
・初めてのコースを訪れた場合、プロ・ショップで重要な情報を集めること。コースの特徴(芝目の方向など)や難所の攻め方などについて、親切な助言が得られる筈だ。 ・インストラクターMickey Walker(ミッキィ・ウォーカー)は次のように示唆する。『最初の数ホールでは(うまく寄せが決まらず)長いパットを強いられることが多い。だから、練習グリーンを去る前に少なくとも五、六回は10〜12メートルのパットを試みて、長いパットの距離感とストロークの強さを知っておくべきだ』 ・最初の数ホールがその日のラウンドのトーンを決定する。スタートで躓いて惨事を招くと、それを挽回するために無理をする必要に迫られる。最初の30分のどのホールでも、せいぜい一打の損失に留められれば、次第に自信が湧き、いいゴルフが期待出来るようになる。 ・"Sucker pins"に騙されてはいけない。グリーンキーパーたちは往々にしてバンカーや池の背後にカップを切ったりする。それは完璧に打たれたショットを要求するピン配置だ。そういうピンは"sucker pins"と呼ばれるが、"sucker"(おめでたい人)だけが狙って行くものだからだ。こういうピンの位置は完全に無視し、グリーンの最も広く安全な場所をターゲットとするのが賢明である。 ・ツァー・プロChristy O'Connor Jr.(クリスティ・オコナー二世、英国)は『ティー・マーカーがスコアカードのヤーデージと合っているかどうかチェックすべし』と云う。カードには180ヤードと書かれていても、ティーマーカーがかなり前方や後方に移動しているかも知れない。150〜200ヤードのどこかから打たねばならないわけだが、それをクラブに換算すれば五つのクラブ差に相当する。カードの数字を鵜呑みにしてはいけないというわけだ。 ・LPGAツァー・プロHelen Alfredsson(ヘレン・アルフレドスン)は、『毎回、シンプルなラウンド目標を設定すべきだ』と云う。『例えば、3パットしないとか、いつもパーオンするのが8ホールだったら、10ホールのパーオンを目標にする。あるいはアウトで45だったらインでは44を目標にするとか。一寸した目標が大きな改善に繋がるものだ』 |
・PGAツァー・プロPer-Ulrik Johansson(ペル・ウルリック・ヨハンソン)は『ボールをピンハイにつけることが重要だ』と断言する。『ピンの左右へのミスは、ミスはミスでも上等なミスである。10ヤードほどピンの左右どちらかに届いたのであれば、カップまでたった30フィート(約9メートル)に過ぎず、チップインの可能性が残されている。しかし、10ヤードほどピンの左右で、なおかつ10ヤードもショートという場合は、厄介なピッチかチップによるパー・セーヴしか考えられない』
・距離が短いからといって、パー3のホールでパーを期待するべきではない。パー3のグリーンは小さく、障害物で守られているのが常である。一見難しく見えるパー4やパー5でのティーショットより時間をかけ、クラブ選択と作戦に慎重になるべきだ」
(June 27, 2010)
'Breaking the slump'
by Jimmy Roberts (Collins, 2009, $24.99)
この本の著者Jimmy Roberts(ジミィ・ロバーツ)はABC-TV、NBC-TV、ESPNなどのスポーツ中継で、コラム的な話題やプロ・インタヴューを主に手掛けていて、数々の賞も手にしている有名アナウンサー。彼は自分のスランプを乗り切るために、ゴルフ・トーナメント取材の合間を縫って有名プロたちに肉薄し、彼らのスランプ脱出法を聞き出し始める。
かなり目立つスランプ時期があったプロたちに共通するのは、スランプが訪れるの一度だけではないということだ。それは忍び足で何度もやって来る。しかし、パニックに陥ってはならない。必ず脱出法はあるからだ。 Tom Watson(トム・ワトスン)はテキサス州のインストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック、1904〜1995)の至言を忘れない。それは「お粗末なラウンドの後、いいラウンドが出来たのであれば何も憂えることはない。お粗末なラウンドが二度あったのなら、それについて考え始めるべきだ。三度目のお粗末なラウンドの後は、何か変更を加える必要があると思うべきだ」というものだった。 スランプに陥った多くのプロが取る行動は次のどれかである。 Steve Stricker(スティーヴ・ストリッカー)の場合は、愛する妻と娘がいる家庭から離れたくないというのがスランプの原因だった。トーナメント会場にやって来るものの、落ち着かぬ精神状態からスウィングが大きく、急速になり、ボールの行方は定まらず、賞金ランキングをずるずると後退して行った。ウィスコンシン州の凍てつく冬、彼はコンテナ車のような設備から野外にボールを打ちまくった。課題はテンポの回復とスウィング・トップ位置の変更であった。妻の父でもあるゴルフ・コーチに見て貰った。トップでクラブ・シャフトがターゲット・ラインをクロスする悪癖はなかなか直らなかった。しかし、努力の甲斐はあった。家族から離れて暮らすのも未来永劫ではないと悟った。Steve Strickerはカムバック出来た。 Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はスランプ時にスライスを多発したが、原因はボール位置が左寄り過ぎたためであった。Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)は恩師Harvey Penickの言をよく覚えている。「Harveyは異なるボール位置がスウィングを変えると云っていた。スタンス前方にボールがあると、腰の動きを遅らせる。スタンス後方にボールがあると、急速にボールに襲いかかることになる」。Ben Crenshawの助言:「多くのゴルファーに共通する病気は、クラブをフィンガーでなくパームで握ることだ」。 |
Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)はスランプに陥る度に、長い休暇を取って故郷の父の元に帰った。父はグリーンズ・キーパーでありレッスン・プロでもあった。彼の父は「急ぐな!」と云うのが常だった。Arnold Palmerは云う、「スウィングだけではない。歩くのも話す速度も全てスローダウンせよ」と。
TV中継でオンコース・リポーターを勤めるRoger Maltbie(ロジャー・モルトビィ、元ツァー・プロ)は、次のように云う:「誰であろうがバックスウィングでボールを打つことは出来ない。それは前戯に過ぎないのだ。バックスウィングはスローダウンすべきだ」。インストラクターJim Flick(ジム・フリック、Jack Nicklausの現在のコーチ)の言葉:「スウィングの間中クラブ・ヘッドの重みを感じることが出来なくてはならない。あまりにも速いスウィングでは、そんなことは不可能だ」。
Paul Azinger(ポール・エイジンガー)はデビュー当時パッとしなかった。稼げるようになったのは、メンタル面のコーチを得てからだった。満足出来るラウンドの後、夜ベッドに座り、次のラウンドの一打一打を視覚化した。その全てのショットはグリーンを捉えた。彼はまた呼吸法も会得した。彼は「四つ数えながら息を吸い、四つ数えながら息を吐くんだ」と云う。【編註:これを腹式呼吸で行なうのだと思います】「しかし、スランプ脱出はメンタル面だけの問題ではない」とPaul Azingerは云う。「もしそうだったら、Dr. Bob Rotella(ロテラ博士、スポーツ心理学の第一人者)は世界最高のゴルファーになれるわけだから」。
Hul Satton(ハル・サットン)はスランプに陥った時、ボールをA地点からB地点に正確に運ぶ練習に精出してカムバックを果たした。著者Jimmy Robertsが「飛距離を犠牲にしたわけ?」と聞くと、彼は「飛距離など問題じゃない。飛距離のために正確さを犠牲にすべきじゃないんだ。正確さを伴う飛距離が重要なんだ」と答えた。
Scot Verplank(スコット・ヴァープランク)が何度かのスランプを潜り抜けて得た教訓:「一度スランプを脱出出来たのなら、もう一度出来ない筈はない。以前いいプレイが出来たのなら、再度いいプレイをすることを妨げているのはただ一つ、自分自身である」。
(July 02, 2010)
'Breaking the slump'
by Jimmy Roberts (Collins, 2009, $24.99)
Greg Norman(グレッグ・ノーマン)夫人だったChris Evert(クリス・エヴァート、テニスのチャンピン)は「(テニスでもゴルフでも)スランプは主に二つの要素に関わるものだ。それは基本と自信である」と云う。
David Duval(デイヴィッド・デュヴァル)は断言する。「ゴルフで最もかけがえがなく、確保し続けなくてはならないもの…それは『自信』である。それは何が何でも絶対に守り通さなくてはならないものだ。友人を失おうと、何を失おうと、自分の自信だけは守り抜くべきだ」。
LPGAの「名誉の殿堂」入りを果たしたプロDottie Pepper(ドッティ・ペパー、現TV中継リポーター)は、何度かスランプに見舞われたが、「全ては基本を忘れたためだった」と述懐する。彼女は現役当時“New YorkのHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)”とも云うべき素晴らしいコーチGeorge Pulver(ジョージ・パルヴァー)に教わっていた。「George Pulverは『不調に陥った時のために、絶対自信を持って打てるショットを身につけておかなくてはいけない』と説いた。私にとっては、それはソフトなドローだった。それを打つにはダウンスウィングを両脚から開始せねばならないが、それは彼がいつも云っている『下半身が上半身を常にリードする。"Start from the bottom."(底部からスタートせよ)』に回帰するものだった。
George Pulverはレッスンの後、必ず彼女に手紙やメモを送った。それらはDottie Pepperの宝物となった。その一つは次のようなものだ。「練習する際は、必ず5番アイアンの気楽なショットで始めること。次にもっと長いクラブを選び、先ほどの5番アイアンと同じ強さで打つように努める。パワーはシャフトの長さによって生まれるものであり、おまけの強さによるものではないことを認識すること」。
同じ本の中でDavis Love III(デイヴィス・ラヴ三世)は有名インストラクターだった父が、大学時代のゴルフ・クラブのコーチHarvey Penickから受けたレッスンを紹介しています。父Davis Love, Jr.(デイヴィス・ラヴ二世)が練習場で7番アイアンでグリーンを狙って打っていると、Harvey Penickがやって来て「デイヴィス、5番アイアンでグリーンに打ちなさい」と云った。これに対し、Davis Love, Jr.が「コーチ、7番アイアンでぴったしなんですよ」と云うと、Harvey Penickは「5番アイアンでグリーンに打ってくれたまえ」と云って去って行った。Davis Love, Jr.は云われた通り、5番アイアンを打ち始めた。7番アイアンでぴったりの距離を5番アイアンで打つのだから、スムーズでごくイーズィに打たねばならない。このようにゆっくり打つことがリズムを取り戻す秘訣であることを、Harvey Penickは無言で教えたのだった。
著者Jimmy RobertsがDottie Pepperに「普遍的なスランプ対策があると思う?」と聞くと、彼女は「大方のスランプは、基本に帰ることで解決する。スランプはセットアップやグリップなど、大事な基本を悪化させたまま同じミスを繰り返すことに起因するものだ」と云う。
Jimmy Robertsは考える。「成功への鍵は、スウィングの留意事項を心にうずたかく積み上げることではなく、基本、自信、決断力以外の全てを忘れ去ることではないか?」…と。
この本には以上のプロの他、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、Phil Mickelson(フィル・ミケルスン)、Justin Leonard(ジャスティン・レナード)、Justin Rose(ジャスティン・ローズ)なども登場します。
(July 08, 2010)
中堅インストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)が指摘するティーの高さの影響。
'Low drives for low tees'
by Bill Moretti ('Golf Magazine,' March 2007)
「向かい風の時にボールを低くティーアップするといいことはよく知られている。しかし、その理由はあなたが考えるものとは異なるかも知れない。
ティーアップを低くすると、あなたの目にボールが地面に近く見えるため、いつものようにアッパーに打つのではなく、ヒッティング・ゾーンでクラブを水平にしなければならないとあなたは考える。体重を左に置き、3/4のスウィングをすることにもなる。
ティーの高さは物理的条件を変えるものではなく、あなたのスウィングを変更させるものだ。低めのティーはクラブヘッドの水平な動きを強制するので、風の下では有効な手段なのだ」
(July 02, 2010、改訂June 03, 2015)
以下の笑言集は当サイトが独自に収集・翻訳したものです。無断転載・引用を禁じます。
「ビジネスマンというのは、午前中一杯オフィスでゴルフの話をし、午後はゴルフ場でビジネスをする人たちだ」
詠み人知らず
「私はハンデキャップを持っていない。私にはハンデキャップがあり過ぎるんだ」
Lyndon B. Johnson(リンドン・B・ジョンスン、アメリカ第36代大統領)
「ゴルフは正直さで成り立っている。楽なパー3で七打叩いたことを認めるなんて、ほかのスポーツにあるかね?」
Jimmy Demaret(ジミィ・デマレ)
「100を切れるようになったらゴルフに気をつけよ。80を切れるようになったらあなたのビジネスに気をつけよ」
Joey Adams(ジョーイ・アダムズ、コメディアン)
「ゴルフ習得で最も難しい点は、ゴルフに関して喋らないでいるということだ」
George Houghton(ジョージ・ホートン、ゴルフ・ライター)
「ゴルフは、前の組はやけに遅く、後ろの組はやけに早いというゲームである」
詠み人知らず
「ゴルフはおはじきを贅沢にしたものだ」
G.K. Chesterton(G.K.チェスタートン、作家)
「ゴルフと政治の違いは、ゴルフでは"improve your lie"(ライの改善)は出来ないということだ」【政治では"improve your lie"(嘘をつくことが上達)出来る】
George Deukmejian(ジョージ・デュクミイアン、元カリフォーニア州知事)
「TVで自分のゴルフを映されるよりは、リハーサル無しでハムレットを演ずる方がいいね」 「50年前、野っ原で一人の黒人を100人の男が追いかけていれば、それはK.K.K.と呼ばれた。今日、それはPGAツァーと呼ばれる」 「都市部の貧民が好むスポーツはバスケットボールである。修理工レヴェルの労働者の好みはボウリングである。第一線のサラリーマンの好みはフットボールで、係長クラスの好みは野球である。中間管理職たちの好みはテニスで、理事クラス以上の好みはゴルフだ。結論:会社組織で出世するにつれボールのサイズが小さくなる」 「人は他の運命一切について不平を云うが、ホールインワンだけは自分の力で成し遂げたと思いたがる」 |
(July 05, 2010)
'The Secret of Golf'
edited by George Peper (Workman Publishing, 2005, $18.95)
'The Secret of Golf'(ゴルフの秘密)というこの本には、当時出版されていなかった三冊の本の骨子が収録されていますが、ハワイ在住のスポーツ療法士Darrin Gee(ダリン・ギー)による'One Shot at a Time: Seven Principles for Transforming Your Golf Game and Your Life'もその一つ。
「ゴルフ・スウィングの核であり基盤となるものは、地面に根を生やしたようなバランスだと思う。あなたのバランスをテストする方法がある。
一本足で立ち、目を閉じる。完全なバランスを得るには、体重を調整しなくてはならない。最初はぐらつくだろうが、この練習を続ければ将来のゴルフにいいバランスを確立出来る。
目を閉じたまま素振りをすることもバランスを得るいい方法だ。目を閉じたままスウィングを続け、スムーズでリズミックで流麗な感覚を得るように努める。最後に目を開けてスウィングし、あなたのバランスがどれだけ改善されたか認識する」
'Scoring Machine'
by Luke Donald with Dave Allen ('Golf Magazine,' September 2005)
次はイギリスの若手プロLuke Donald(ルーク・ドナルド)による、アイアン・ショットのための最適のバランスを見つける方法。
「ボールと身体の距離を常にチェックすること。最適の距離を決めるには次のようにする。
通常のアドレスをし、クラブを地面から上げる。重心を爪先にかけたり踵にかけたりを繰り返して、ちょうどいいバランスを見つける。そのままクラブを接地する」
(July 20, 2010)
'Use range mats to your advantage'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 2009)
「本物の芝による練習に優るものはないが、われわれがマットの上から打たねばならない運命にあるのも事実である。嬉しいことには、人工芝は本物の芝には出来ない『スピンをかける練習』を可能にしてくれる。強くスピンがかかったボールを打つには、ボールを歯切れ良く摘まみ上げなくてはならないが、それは本当の芝だとクラブが地面に突き刺さってしまい、とても練習にならない。
マットは完璧なライと瞬時のフィードバックを与えてくれる。以下の手順は『カット・スピン』を例にしたものである。
1) 浅い攻撃角度を念頭に置くこと。
2) ボールを通常のスタンスより1インチ(約2.5センチ)中程に入れる。
3) 両足を結ぶラインはターゲットの左に揃える。
4) 両手をリラックスさせ、クラブを腕と肩によってターゲット・ラインに沿って振り下ろすことに集中する。
ボールとのいいコンタクトが得られたら、マットを叩いた感触はしない筈だ」
(July 23, 2010)
先週、TVでEvian Mastersを観ながら、ふと考えました。「パッティングには"stroke"と云い、"swing"と云わないのは何故だろう?」
【註】ここではボールを動かす"stroke"について書いています。「打数」という意味の"stroke"ではありません。
パッティングには振り子運動の動きを模倣するのがよいと云われています。英英辞典'Longman Dictionary of Contemporary English'(略称LDOCE)で"pendulum"(振り子)を引くと、"a weight hanging from a fixed point that it swings freely"(固定された一点から吊るされ、自由にスウィングする錘り)とあります。振り子はスウィングする動きなのです。
では、"stroke"はどうか?同辞典で引いてみると、最初の一般的定義は"a hit esp. with (the edge of) weapon"(特に武器の先端による一撃、打撃)となっています。用例には鞭や斧、雷による一撃が並んでいます。そして、"an act of hitting the ball in sport; shot"(スポーツにおいてボールを打つ行為;shotに同じ)となっています。つまり、"stroke"にはスウィングのイメージは含まれておらず、野球のバッターがかっ飛ばすような急速な一撃というイメージのようです。
"stroke"には「(脳卒中などの)発作」という意味もあります。これも"an occasion when a blood tube in the brain suddenly bursts or is blocked, which damages the brain and can cause loss of the ability to move some part of the body"(脳の中の血管が突如裂けたり詰まったりして脳障害を引き起こし、半身不随となったりするような原因)とされています。これも"suddenly"(突如)という言葉が使われている点から考えて、急な一撃であり、スウィングのようなゆったりしたニュアンスではありません。
以上の諸点を総合すると、英米人がストロークと表現する際、彼らには実は振り子のスウィングのイメージはないことになります。人によっては"pendulum-like stroke"(振り子風ストローク)などとも云いますが、これは矛盾していることが判ります。
'The Historical Dictionary of Golfing Terms'(ゴルフ用語の歴史的辞書)を見ると、"stroke"は1744年頃の文献から登場しているようです。15世紀に始まったゴルフの歴史の中では比較的新しい言葉ということになります。スコットランドの羊飼いは、多分ボールを穴に入れることを当時"stroke"とは云わなかったのでしょう。ゴルフのプロ(賞金稼ぎでもありインストラクターでもある)が登場するのは19世紀半ばのようですから、彼らが"stroke"と云い始めたわけではなく、もっと以前から云われていたようです。
(July 27, 2010)
'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)
「・諺の"Practice makes perfect."(練習は完璧さを作り出す)は、実は正しくない。"Perfect practice produces perfect golf."(完璧な練習が完璧なゴルフを作り出す)と云うべきだ。大方のアマチュア・ゴルファーにとっては"Practice makes permanent."(練習は永続性を作り出すもの)でしかない。正しい基本を知っている者が、綿密に計画され統制のとれた練習をするのでなければ、数百個のボールを打ったところで巧いゴルファーになれるとは限らない。逆に、スウィングの欠陥が定着して除去出来なくなるのが関の山である。
・『毎日15〜20分、ゴルフの基本を復習すべきだ』とPGAツァー・プロDick Mayer(ディック・メイヤー、1924〜1989)は主張する。『一週に一時間よりも、毎日短時間でいいから練習する方がよい。ゴルフというのは、良い癖によって遂行されるべきものだ。毎日少しでも時間を費やせば、本能的な良い癖を身につけることが出来る』
・得意なものを練習しようというのは、人間の本性である。その誘惑を退けるため、練習場に出掛ける前に好みのクラブを家に置いて行くべきである。そして、好きではないクラブを打つのが楽しくなるまで練習する。
・Ben Hogan(ベン・ホーガン)は『練習する時、私は同時に集中力にも磨きをかけている』と云う。『私は単にボールを打ったりしない。どのように、どこへ打ちたいかを決める。周囲の一切を心から排除し、どのように、どこへ打ちたいかだけを考える能力を開発せよ。打とうとしている際に、もし何か集中心を阻害するものがあったら、プレショット・ルーティーンの最初に戻ること』
・インストラクターDenis Pugh(デニス・ピュー)の助言。『大概のアマチュアは、ゴルフ上達のプロセスを短期的・即効的にしか考えない。ツァー・プロの場合、長期的な技術的上達を望む際、短期的に貧弱なショットを打つことも意に介さない。しかし、アマチュアはスウィング・キィ(留意点)や新しいスウィング動作が直ちにいい結果を生み出さないと、即座に見捨ててしまうのが常だ』
(July 30, 2010)
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