'Better by Saturday'(土曜日までにうまくなる)シリーズは、多くの有名インストラクターたちのtipを集めた小型本で、「ドライヴィング」、「アイアン/ロング・ゲーム」、「パッティング」、「ショート・ゲーム」の四冊が出ています。この項は「パッティング」篇のRick Grayson(リック・グレイスン)によるロング・パットに関するtip。
'Better by Saturday...Putting' 「プラムボビングをやっているつもりの人も、実際に彼らが何をしているか分ってない。彼らはただクラブシャフトを目の前にぶら下げて、どれだけブレイクがあるか想像しているに過ぎない。プラムボビングにはパッティングの強さが要素として含まれていない。それこそがブレイクの巾を規定するものなのに。 プラムボビングをする代わりに、ラインに沿ってボールとカップの間を歩くべきである。上り勾配か下りか、サイドヒルであるかどうかなどを感じ取りながら。最も重要なことは、ボールの勢いが落ち傾斜の影響を受けやすい、カップの近く1メートル以内のチェックである。ブレイクが最大になるのはその範囲だからだ。カップの後ろからもラインをチェックするように。 以上の要素を測定したら、見て感じたブレイクにマッチするストロークをしなければならない。これらのステップは、パターをブラブラさせるより数倍正確な読みをもたらしてくれる」 私がこちらで一緒にプレイする連中は、ボールとカップの間を歩くどころか、ライン横の低い側から勾配を見る人すらもいません。そんな人はゼロです。勾配を見れば明らかに左に切れるラインなのに、真っ直ぐカップめがけて打ったりします。そして、地形によってブレイクしたのに「プルした」とか自分で解説をします。こういう人たちはプレイがスピーディでいいのですが:-)、一緒のチームとなって他のチームに勝とうという時には非常に歯がゆい思いをします。かといって、聞かれもしないのに私の読みを喋るわけにもいきません。 プラムボブをやっている人がパットが上手いか?というと、そんなことはありません(私の周辺では…ですが)。プラムボブはカップ近辺の傾斜は分るでしょうが、どの程度切れるかは(上の記事にあるように)ストロークの強さ次第なので、それはパットする人の脳+筋肉の共同作業にかかっているということになります。 |
私の場合、最重要なものから並べると以下のような手順で読みます。
1) ボールの後ろから、ラインの左右どちらが低い(水が流れる方向)かを判別。
2) その低い方へ廻り、ラインの中間で下りか上りか、下って上るかなどを測定。【ここまでは必ず実行。以下の3〜4は時間があれば実行】(註1)
3) カップを覗き込み、壊れている部分の有無を確認(壊れている方に切れるのが普通)。
4) カップの後ろからボール方向を見る。(思いがけぬ傾斜が見つかることがある)。
5) ボールの後ろに戻り、得た情報からパットの強さを決定し、仮想ターゲット(註2)を定めてアドレスに入る。
【註1】ラインの低い方からのチェックは、誰かがチップやロングパットの準備をしている時に素早く行なって、仲間を待たせないようにしています。
【註2】本物のターゲットであるカップ(終点)とは別に想定した終点あるいはボールの通過地点。下りならカップの手前、上りならカップの向こう、スライス・ラインならカップの左、フック・ラインならカップの右が仮想ターゲットとなります。
(May 03, 2008)
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David & Charles, 2006, $14.99)
「最も一般的なミスの上位に位置するのはアライメントのお粗末さであり、とりわけ両肩を結ぶ線の問題である。そして、ほぼ常にプレイヤーの肩が左を向くことと相場は決まっている。偉大なプロ、たとえばErnie Els(アーニィ・エルス)などでさえ、定期的にアライメントをチェックしないと、その左を向く悪い習慣に冒されかねないものなのだ。
両肩を結ぶ線がターゲットラインから逸れていると、スウィング軌道もターゲットラインから逸れてしまうから困るのである。だから、セットアップはしょっちゅうチェックすべきだ。友人に見て貰うもよし、ヴィデオに撮って見るもよし。肩の線がターゲットラインに平行かどうか確認せよ。
正しくスクウェアに構えると、左肩は周辺視野の中に入っている(過度にオープンだと見えない)。これをチェックポイントとすべきである。
正しく肩を揃える恩恵の一つは、バックスウィングのトップで肩を廻す距離が減るということだ。もしあなたの肩が20°オープンだとすると、オーソドックスな捻転度(90°)を達成するには肩を110°廻さないといけないことになるが、それは無理難題というものである」
(May 09, 2008)
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David & Charles, 2006, $14.99)
「アマチュアの最も一般的過ちは、ドライヴァーで飛ばそうと力むことだ。これはスウィングを急速で不規則なものにしてしまう。もっとゆっくりスウィングすれば、身体と腕の動きが調和する時間の余裕が出来、パワーも増加する。
いいリズムを得るには呼吸がとても大事である。ボールに向う前、胸を空気で一杯にすべきだ。ただし、打つ前に息を吐くことを忘れてはいけない。何故なら、空気を吸って緊張している筋肉よりも、空気を吐いてリラックスした筋肉の方が効果的だからだ。排気した後の方がスピードが得られ、ボールはより遠くに飛ぶ」
(May 12, 2008)
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David & Charles, 2006, $14.99)
ヨーロピアン・ツァーのプロPhilip Price(フィリップ・プライス、ウェールズ出身)執筆の'Swivel your eyes; don't lift your head'(頭を上げず、目を回せ)というtip。
「アマチュアのチッピングがお粗末である主な理由の一つは、スウィングの間に身体の角度を変えてしまうことにある。これでは一定の打ち方をすることなどほとんど不可能だ。
多くの場合、あまりにも早く頭を上げるか、インパクトの途中で立ち上がってしまうのが原因である。どちらが原因でも、結果の大半はミスとなる。頭と身体の上昇を防止するため、私は頭を動かすことなく目だけ回転させることにしている。パットする時と同じ。横目でボールを見送るのであれば、アドレス時の頭の高さと背骨の角度を維持出来る。これが私に、ボールをしっかり打つことを可能にしてくれる」
(May 15, 2008)
「アドレス前の儀式」(tips_114.html#ritual)で「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、彼の著書'Golf My Way'において『ボールのターゲット方向数フィートのところ(60〜90センチ)にマークを見つけ、ターゲットとそのマークとボールを結んだ線にクラブフェースを合わせる』」と書きました。迂闊でしたが、実際にはもっと複雑なことをやっていることを、現在の彼のスウィング・コーチJim Flick(ジム・フリック)の証言として、既に当サイトで掲載していました。【参照】「Jack Nicklausの秘密」(tips_90.html) 'On golf' 「Jack Nicklausは四つの中間目標を設定する。一つはボールからターゲット方向数インチ(約5〜8センチ)のところで、ボールを見下ろした時に目の隅で捉えるためのもの(N1)。もう一つは12〜15フィート先(N2)、三つ目は30〜40ヤード(約4〜6メートル)先のフェアウェイのある地点である(N3)。さらに彼は、テイクアウェイでクラブを引くための線を視覚化するため、ボールの後ろにも目標を設定する(N4)」 前回の図を改定すると次のようになります。N地点は都合四つです。 Target←ーN3ーーーーーーーーーーーーーーN2ーーーーーーーPーーーN1ー【ball】ーN4ーT N地点(ニクラスの中間目標)、P地点(ポピュラーな中間目標)、T地点(筆者の後方目標) 'Golf My Way'は1974年出版ですから、Jim Flickのこの本が出るまでの23年間に、Jack Nicklausのアドレス前の儀式はかなり変化したようです。で、彼もボールの後方に目標を作っているというのが驚きでした。別にTrevor Immelman(トレヴァー・イメルマン)の加勢を得るまでもなく、私にはJack Nicklausという強い味方があったのでした。 |
(May 18, 2008)
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の二人目のコーチとなったJim Flick(ジム・フリック)による、アマチュアのパッティング練習に関する苦言。
'On golf'
by Jim Flick with Glen Waggoner (Villard Books, 1997, $24,00)
「パットの練習をしない人は様々な言い訳を用意している。例えば『ロング・アイアンが不調だから、そっちの練習が先』というのがその一つ。私だってロング・アイアンは不調だよ。誰だってそうだ。しかし、普段のラウンドでバッグからロング・アイアンを引き抜く回数って何回ある?で、パターの使用回数は?論告終り。
最も多いのが、『あたしゃ腰痛で…』という言い訳だ。医学的調査によれば、人口の1/3は腰痛に悩んでいて、それがこの言い訳を正当化している。しかしだ、私に云わせれば屈んだままの姿勢で長い時間パット練習するからいけないのだ。
三、四個のボールを抛り出し、パットを開始し、位置も変えず次から次へとパットすれば、腰にかなりストレスを与えるだけでなく、実際には何の役にも立たない練習をしていることになる。必要なのはボールの後ろに廻ったり、ターゲット・ラインを設定したり、カップまでのボールの転がりを視覚化したりし、その後やおらアドレスに入ることなのだ。ボールの背後からターゲット・ラインも見ず、ストロークの強さとブレイクを見定めることもなく三、四個のボールを打つなんて、本番で実力発揮するための能力開発には全く繋がらない練習だ。もっとも、あなたが一旦グリーンに上がったら三個のボールを打てるという不思議なゲームをしているのなら、話は別だが。
腰のストレスを緩和し、多くのパット練習を可能にするには、先ず通常のプレパット・ルーティーンを練習でも行なうこと、次いでパットとパットの間には立ち上がって歩き廻ることである。こうすれば、あなたの腰もあなたに感謝するだろうし、あなたのスコアカードも少ないストローク数を喜んでくれるだろう。
練習時間がないと言い訳する人もいる。だったら、ゴルフと異なり、最大限の悦びを実感するために時間と努力を必要としないもっと刺激的で実行可能な何かを見つけるべきだ。もし見つかったら私に連絡してほしい」
【参考】「Dave Stocktonのパッティング練習法」(tips_12.html)
(May 25, 2008、改訂June 02, 2015)
六人の有名インストラクターが、恐るべき"sideways express"(横向き急行)の原因と対処法を説明します。これだけあれば、どれかは役立つでしょう:-)。
'Six ways to stop the shanks'
by Nick Mastroni ('Senior Golfer,' August 1999)
「・Peter Krause(ピーター・クラウス)
シャンクは、インパクトでクラブをボールの向こう側(ゴルファーから遠い方)に伸ばしてしまい、クラブのホーゼル(シャフトの付け根)でボールを打ってしまう時に出現する。一般的な原因はクラブヘッドがターゲットラインのアウトサイドに動くことと、左腕の正しい回転に失敗するからである。
対策としては、ターゲットラインのインサイドからボールに向ってスウィングすることと、左手甲がターゲットを向くようなインパクトを迎えること、この二点である。
練習法。ボールの向こう側にターゲットラインと平行にヘッドカヴァーを置く。バックスウィングの開始は、そのヘッドカヴァーに沿って行ない、ヘッドカヴァーに触れないようにダウンスウィングする。意識的に左腕を反時計方向に回転させること。練習初期には、ボールがターゲットの右に出るかも知れないが、それはシャンクではないと保証する。
・Carl Rabito(カール・ラビト)
シャンクは、バックスウィングかダウンスウィングどちらかで過度に腰のスライドを行なった時に出現する。過度の腰のスライドは、ダウンスウィングで右肩が下降する原因となり、右肘の伸張を阻害する。それはスウィングプレーンをあまりにも急角度にし、クラブフェースをオープンにしたまま両手をアウトサイドに進ませてしまう。その結果シャンクとなる。
バックスウィングとダウンスウィングにおいて腰の動き(あるいはスウェイ)を制限する鏡像(左右対称)ドリルが役に立つ。先ず通常のアドレスをする。左足を3インチ(約8センチ)背後に引き、その爪先で立つ。体重は右足で支えられている。そのままスウィングする。腰が(スウェイではなく)回転する間、右膝はその柔軟性を維持している。次に、ターゲットラインから右足を数インチ後ろに下げ、その爪先で立つ。この体勢はダウンスウィングで左腰と左脚が回転する必要性を強調する。
このドリルは腰の健全な回転を教えてくれ、右肘の伸張を促し、クラブフェースがボールに向ってスクウェアに戻ることを可能にする。
・Craig Bunker(クレイグ・バンカー)
シャンクはアドレスの間違いに根ざしていることが多い。ボールがあまりにもターゲット寄りだと、両肩をオープンにし、ターゲットラインの左を向くことになる。両肩がオープンの場合、ゴルファーはクラブを“インサイド”に引くつもりで、両肩を水平に廻しがちになる。だから、クラブは充分上に上がらず、身体の周囲で廻すことになる。このようなフラットなバックスウィンの後は、ターゲットラインの外からクラブを投げ出すことしか残されていない。このアウトサイド・インの軌道は、アイアンではシャンクかプルを招く(メタル・ウッドではスライスかヒール・ショット)。
これを直すにはボール位置を左足踵の向かい側に戻すことだ。この修正は自動的に両肩をスクウェアにしてくれる。ターゲットラインに沿って両腕とクラブでバックスウィングを開始し、ターゲットラインの内側からダウンスウィングすること。
練習場の地面に三本のクラブを置く。一本はターゲットラインに合わせ、二本目は両足に揃えてアライメントをチェックし、三本目は先の二本に直角にして、ボール位置を示す(〒の形になる)。
(June 01, 2008)
六人の有名インストラクターによる、恐るべき"sideways express"(横向き急行)の原因と対処法、その二回目。これだけあれば、どれかは役立つでしょう:-)。
'Six ways to stop the shanks'
by Nick Mastroni ('Senior Golfer,' August 1999)
「・Rich Setter(リッチ・セッター)
ゴルファーがあまりにもボールに近く立つとホーゼルで打つことになる。アドレスとインパクトでは体勢が異なり、インパクトでは腰の回転が先行して行なわれることは御存知だろう。もし、アドレス時に両手があまりにも身体に近いと、インパクトでは右腰によって両手の通路を塞がれてしまうことになる。【編註:その結果両手を押し出すことになり、クラブフェースでなくホーゼルで打つことになる】
シャンク防止のためには、グリップエンドと左太腿の間に最低6インチ(約15センチ)の空間(あるいは親指を伸ばした拳の巾)を置かねばならない。また、体重が両足に(踵にではない)均等にかけられているかもチェックすること。これはダウンスウィングで前傾してシャンクの原因となる芽を断つ方策である。
・Paul Trittler(ポウル・トリットラー)
シャンクはアウトサイド・インのスウィング軌道によって起る。この問題を解消するには2-by-4(ツー・バイ・フォー)の板を練習場に持って行くことだ。その板を2インチの側で立て、ターゲットラインと平行にする。板から1.2インチ(約4センチ)離してボールをセットし、ピッチングウェッジから始めてスウィングする。短いスウィングで、板に接触しないように打ち、次第にスウィングを大きくして行く。
・Keith Lyford(キース・ライフォード)
シャンクは破壊的なショットのように云われているが、それは実は結構いいスウィングの副産物でもあるのだ。ゴルフ・スウィングは両肩と腰の活発な回転が生み出す遠心力(外側に引かれる力)と結びついたものである。クラブヘッドがゴルファーの回転の中心から遠ざかって外側に動けば、ホーゼルがボールと接触する。
練習場でアイアンを手に普通にアドレスする。いつものバックスウィングをし、ダウンスウィングでは意図的にボールの手前(ゴルファーに近い方)を打ってディヴォットを取る。この動きを何回か繰り返す。その後で、今度はクラブのスウィートスポットでボールを捉えようとする。多分、出来る筈だ。再度、何度かボールの手前(ゴルファーに近い方)を打つことを繰り返す。そしてまた、スクウェアに打つ。この繰り返しの中でシャンクの悩みは消え去ってしまう。
アイアンのシャンクやメタルウッドのヒール・ショットの症状が現われたら、練習場でこのドリルを繰り返しなさい」
(June 07, 2008)
'It's all in the hips' この記事の筆者Josh Sens(ジョッシュ・センス)は「ゴルフをするからには300ヤード飛ばしたい」という悲願を達成するため、筋肉増強剤ほかあらゆる手だてを試みます。何とか280ヤードまでは到達しましたが、残り20ヤードが埋まりません。ClubGolf(clubgolfmd.com)という会社に電話すると「われわれは30ヤード増やして上げられる」と云われ、早速出掛けます。そこには身体にいくつものセンサーを取り付けてスウィングを分析する機器があり、それを使った結果筆者は単に肩だけでパワーを生み出していて、腰を使っていないと診断されます。しばしトレーニング・ルームでトレーナーの指導に従って腰で打つ練習をし、再度スウィング分析をすると、クラブヘッド・スピードは以前の100mph(秒速44.7m)から110mph(秒速49.2m)へと跳ね上がっていました。こうして、ついに彼の300ヤードの夢が叶うことになります。 「ClubGolfのトレーナーは、クラブヘッド・スピードを最大限に増すには、下半身、特に腰の力強い動きを利用すべきだと云う。以下は私に役立った練習法である。 あなたが本塁ベースに立っていると想像してほしい。ドライヴァーを手に、シャフトが地面と垂直になるところまで振り上げ(そこから先へ行ってはならない)、そのままボールを打つ。この短いバックスウィングから本当のパワーを生み出すには、腰を爆発させる以外にない。それはターゲット方向へのスウェイではないので間違えてはならない。そうではなく、誰かがあなたのベルト・バックルを引っ掴み、三塁方向にグイっと引っ張るように感じるべきだ。 この方法で、あなたのドライヴァーの通常の飛距離の75%に到達するまで練習する。その後、フル・バックスウィングにして、同じ腰の爆発力を用いる」 |
(June 10, 2008)
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David & Charles, 2006, $14.99)
Padraig Harrington(パドレイグ・ハリントン、アイルランド出身)執筆の'Chip with your center of gravity over the ball'(重力の中心をボールの上に置いてチップせよ)というtip。
「私は毎週プロ・アマでアマチュアとプレイするが、彼らの三人に二人はショート・ゲームで苦しんでいるのが普通で、その99%は同じミスを冒している。それは驚くほど簡単に解決出来るミスだ。
アマチュアがチッピングする際、彼らはボールを上げようとするあまり、ボールを打つ瞬間に身体を後方に動かす(反り返る)。これは、彼らがボールを打つ前に地面を打っていることを意味する。
そうではなく、重力の中心(胸骨)をボールの真上に置くべきなのだ。こうすると、突如ボールを小気味良く打てることに気づく筈だ。あなたが手首を折ろうが折るまいが、このテクニックは間違いなく効果を発揮する」
(June 16, 2008)
Loren Roberts(ローレン・ロバーツ)はメイジャー優勝もないのでそう有名ではないかも知れません。しかし、彼は"Boss of the Moss"(パッティングの達人)としてPGAツァーでも尊敬されていましたし(八勝)、Championsツァーに参加してからは2007年シーズンまでの三年間に七回優勝という成績を収めています。彼の最近のラウンド平均のパット総数は28.59ストロークだそうです。
"Boss of the Moss"について:"moss"は「苔(コケ)」であって「芝」ではありません。なぜ、「苔の親分」が“パッティングの達人”になるのか不思議でした。私のゴル友Jack(ジャック)に尋ねると次のような説明がありました。「パットは山から谷の方向へ、また川や池のある方向へと流れる。あるコースでは東西南北のどれか一方に流れることがある。【編註:バミューダ芝は西に流れることで知られている】Loren Robertsはコースの木々についている苔を調べた。苔は南に面して生えるのが普通だから、彼はそれによってどちらが南かを察知し、グリーン上の東西南北を知ることが出来たのだ」これはJackの説であって真説かどうか定かではありませんが、でも説得力はあると思います。 'Golf Tips from the Pros' この本は欧米の多数のプロによるtips集です。以下の記事はLoren Robertsによる'Speed is everything'(スピードが全て)という一章です。なお、英米ではパットの強さを「スピード」と表現しますが、ここでは「強さ」と云い替えていますので御承知おき下さい。この本の編集者の解説では、「Loren Robertsは屈まずに立ち、肩と腕によるストロークで、テンポはスムーズで急がず、ピュアに打つ」となっています。 「私は『パットにうまくなるにはどうすればよいか?』としょっちゅう聞かれる。答えは常に同じで、『強さが全て。ラインは二の次である』というものだ。私が練習する時、ボールを打つ強さをどうコントロールするかだけに専念する。 30〜40フィート(約9〜12メートル)のパットに際し、アマチュアたちは『カップの右端からボール二個分外側』などと云う。でも、そんなの関係ねぇ:-) 単にカップの右か左を狙い、カップの傍にボールを正しい強さで転がすことに集中せよ。強さを間違えれば、ラインについて考えることなど時間の無駄に過ぎないからだ。 パットの強さのコントロールを、バックストロークの長さで行なうことを勧めたい。そのテクニックに習熟すれば、バックストロークによってどれだけ遠くへボールを転がすかを決定出来る。パッティングのテンポは一定でなければならない。【編註:インパクトの瞬間に突如手首で弾いて強さを与えたりするのではない。時計の振り子はそんな動きはしない】 |
ボールをしっかり打つことも学ぶべきである。パターのスウィート・スポット以外でしっかり打つことは出来ないし、トウやヒールでは異なる強さになってしまう」
(June 19, 2008)
《三塁に向ってベルト・バックルをグイっと引く》という「腰の動きで飛距離を伸ばす」(このページ上)は衝撃的でした。いえ、別に300ヤード飛ばそうなどと夢想しているわけではなく、あのドリルを完全に実行しているわけでもありません。単に、普通のスウィングの最後で《三塁に向ってベルト・バックルをグイっと引》いているだけです。それだけでも、私には衝撃だったのです。
私はこれまで何度も「下半身主導のダウンスウィング」とか、「トップで両手を置き去りにする」などと書いて来ましたし、かなりの程度でそれを実践しているつもりでした。それは、そう思い込んでいただけだったようです。《三塁に向ってベルト・バックルをグイっと引く》を試して初めて分ったのですが、これまでは下半身からダウンスウィングを始めても、トップで両手は置き去りにはならず、下半身とほぼ同時に両手も動き始めていたように思えます。両手・両腕はスピーディに動く筋肉ですから、すぐ下半身の動きに追いつき、追い越してしまいます。これでは“下半身始動”に過ぎず、結果として忌まわしい“手打ち”に変貌していたのでした。
手打ちは早期にアンコックしてしまうのが最大の害ですが、同時に両手が主導権を握ったスウィングは手首に限りなく自由な動きを与えてしまいます。ボールの軌道をコントロールしようとしたり、その時のテンション次第で手首の角度が変わり易い。私の場合、多くはプルになります。アライメントを正しくしても、「スクウェアに打つ特効薬」(tips_82.html)を実行しても、一向にGIR(パーオン率)が上がらないのは、実は私は手打ちだったからという衝撃的事実が判明したわけです。
《三塁に向ってベルト・バックルをグイっと引く》を実行すると、間違いなくトップで両手を置き去りに出来ます。余りにも急激かつ凶暴な動きなので、小器用な両手・両腕も「ようついていかんわ」と逡巡する感じ。そういう具合ですから、手首もしゃしゃり出て来るわけにいかず、鳴りを潜めてくれます。これが本当の「下半身主導のダウンスウィング」であり、「トップで両手を置き去りにする」ことなのです。この「腰の動きで飛距離を伸ばす」を毎回ちゃんと実行出来れば、何とか言行一致の境地に到達することが出来そうです。
(June 19, 2008、改訂June 02, 2015)
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David & Charles, 2006, $14.99)
ヨーロピアン・ツァーのプロPierre Fulke(ピエール・フルキ、スウェーデン出身)執筆の'Shorten your swing'(短いスウィングをせよ)というtip。
「多くの人々が、長いバックスウィングをすればボールを遠くに飛ばせると考えている。これは間違いだ。これはアマチュアが、特にドライヴァー手にした時に嵌まる落とし穴である。大概の場合、スウィングを長くすることは効率的でない。実はこれは私が悩んでいた問題でもあった。ひと頃、私の肩の回転はかなり貧弱なものだったので、その埋め合わせのために腕による長いスウィングをしていた。それは、パワーを生むというより、飛距離と正確さを失う結果に陥った。
最近私はコーチと共に、肩の回転度を増し、同時に腕のスウィングの長さを減らすことを考えた。二つのキィ・ポイント、腕のスウィングと身体の回転、それらが一体となって機能することが課題だった。その結果、クラブはヒッティング・エリアでライン上を動くようになり、出来損ないのショットは減り、多くの場合ボールを好位置に届けられるようになった。
ドライヴァーを手にしたあなたが、もし飛距離について考えているなら、長いスウィングをしようという誘惑に抵抗すること。代わりに、可能な限り大きく肩を回転させる。その時、腕の動きは適度な範囲にとどめる。フルにコックをしさえすれば、短いスウィングでも必要なパワーを生むことは可能である」
(June 23, 2008)
'How to Putt Like Tiger'
by Dale Shankland with Al Barkow ('Golf Illustrated,' Nov./Dec., 2000)
「現在主流のパット法は、ストロークの際に手首の角度を変えないメソッドである。
過去の世代のゴルファーたちは手首を多用し、ポン!と叩くパッティングをした。何故なら、昔の濃い芝のグリーンはとても抵抗が強く、しばしば凸凹でもあったからだ。当時はボールをしっかりコツンと叩き、芝にやや沈んでいるボールを出来るだけ早く芝の表面に上げて転がりを与える必要があった。そのためには手首を使う動きが最適だったのだ。
その後25年、芝は品種改良され、グリーンの維持管理も進歩し、もはや上のようなストロークは必要なくなった。今や、手首は動くべきではない。パターは肩と腕だけで左右に振られるべきである。この単純な、大きな筋肉による動作は、パターフェースをストロークの間中スクウェアに保つことを容易にしてくれる。手首を使ったストロークはエラーを招き易い。フェースをスクウェアに保つのが難しいだけでなく、距離と軌道をコントロールすることも難しいからだ。蝶番のないストローク(手首を使わないストローク)で、フェースが狙ったライン上を正しく動けば、パットに成功したりボールがカップを覗き込むようなケースが増えるのは間違いない。それが、昨今のプロたちが過去の人々よりパットが上手くなっている理由である」
つまり、Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)など歴史上の人物の古いヴィデオを観て真似をしてはいけないということですね。昔、ある男に「あなたのパッティングはPalmer(パーマー)かWatson(ワトスン)みたいなスタイルだね」と云ったら、褒められたと思った彼はみんなの前で「エイジ(私のこと)が云うには、俺のパッティングはPalmerかWatsonみたいだってよ」と吹聴するので慌てました。褒めたわけではなく、真意は「(パチンと打つなんて)随分古いスタイルだね」という意味だったのに…。ま、誰も相手にせず、呆れて 聞き流してくれたので良かったのですが:-)。
(June 27, 2008)
Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)はPGA of Amaricaのインストラクターであり、Keiser(カイザー)大学の教授兼ディレクターでもあります。10冊以上のゴルフ・インストラクション本を執筆し、新聞連載のコラムも持つ人気インストラクター。
'Match posture with path'
by T. J. Tomasi, Ph.D. ('Golf Tips,' April 2004)
「あなたがアップライトな姿勢でパットするタイプ(これを仮にA型と呼ぶ)なら、両肩を上げ下げするのではなく、両肩を身体の周りで水平に廻すストロークが相応しい。この“メリー・ゴーラウンド”型の動作は、バックストロークでパターフェースをオープンにし、ボールに戻って来る時にスクウェアにする。これはBen Crenshaw(ベン・クレンショー)やGreg Norman(グレッグ・ノーマン)が採用している効果的なパット法である。
他のパット名手Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)やDave Stockton(デイヴ・ストックトン)などは、屈み込んで、背骨を前傾させ、胸は地面を向くアドレスをする。この姿勢の場合(これを仮にB型と呼ぶ)、両肩を身体の周りで横に回転させるのではなく、縦に上げ下げする動きが望ましい。バックストロークで左肩を下げ、自動的に右肩が上がる。フォワードストロークでは逆の動き。この方式だと、ストロークの最初から最後まで、フェースはターゲットにスクウェアのままである。
上から導き出される結論は、もしあなたがA型の体勢が快適と思うなら(腰痛患者はこれを好む)、パターフェースを終始ターゲットに向けるのではなく、両肩を左右に回転させるべきだということだ。B型の体勢が好きならば、振り子式パッティングが正しい組み合わせであり、パターは上下する両肩に追随し、終始ラインにスクウェアに留まるようにパットする。これは理解するのは容易でも、実際には上のA型・B型二つの体勢とストローク軌道の組み合わせは、いとも簡単にごちゃまぜにされてしまうのが常だ。
もしあなたがA型の体勢で終始ターゲットにスクウェアなストロークをすると、その動作はフェースをオープンにさせがちで、プルする軌道になり易い。それにうんざりしたあなたは、次第にカットするようになり、“リップアウト”の数が増大する。もし、リップアウトに悩むようになったら、それはB型の姿勢に変更すべきか、あるいはA型のままでバックストロークでパターフェースをオープンにする軌道に変更すべきか、決断すべき時がやって来たというサインである。ただし、パターフェースをオープンにするといっても、手や腕によって意図的にするものではないことに注意(肩の水平回転に追随するだけである)。
逆にB型の体勢でパターフェースを開閉するとどうなるか?結果はプッシュである。プッシュしたり、ギクシャクした動きが現われたら、それは体勢とストローク軌道の組み合わせがマッチしていないサインである。こういう場合は、アップライトに立つか、あるいは屈んだまま常にスクウェアなフェースのストロークに変えるか、どちらかを選ぶべきである」
【参照】「パッティングの三つの型」(tips_35.html)
(July 03, 2008)
「手首を使うパッティング」(このページ上)は「手首でボールを弾いてはいけない」という趣旨でした。それに反するようでもあるし、そうでないようでもあるという、微妙な問題に取り組んでいます。
最近の私のパッティングはパッとしません。で、ボール位置を中央にしたり、左に寄せたり、右足を半歩下げてみたり色々模索しているところです。そんな中で、現在最も効果的に思えるのがストロークの振幅の変更です。
U.S.オープンやU.S.女子オープンを観ていて感じたのですが、プロたちのストロークは振り子運動と云うよりは「押す」動きに近い。勿論、彼らがプレイするグリーンは滑らかで、しかもかなり速いわけです。ちょいと触っただけでもころころ転がる感じで、われわれがプレイするグリーンとは全く違います。で、彼らはボールを押し、パターを止めてしまう。振り子運動のように大きく上げ下げしません。
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のパッティングなどは、素振りに特徴がよく出ています。ちょこちょこと小刻みに往復させる動きだけ。本番ではもっと振幅が短くなり、ガツンとボールに衝突させた後、パターは急停止してしまいます。往復同距離の振り子運動みたいに長くはなく、私がやっているようなアッパーに打ち上げる動きもありません(パターは地面と平行に動いているように見えます)。全て私と正反対。
で、私もプロたちの真似をしてみました。これまでの、振り子式でボールを撫で上げるような打ち方ではなく、ビリヤードで球を突くイメージ。「突く」が「ボールを弾く」ように見えるかも知れない点ですが、手首で弾くのではなく、玉突きで右手がキューを押すのに似て、インパクトで若干力が加わるだけの感じ。左手首は折りません。フォローも長く出しません。これ、やってみるとボールが小気味よく転がるのです(“突く”のだから当然ですが)。地面の凸凹に影響されず、かなり真っ直ぐ進みます。ショート・パットには最高です(軽く撫でる方式より曲がらないので、入る確率が高い)。次第にロング・パットにも応用し始めています。この「玉突き式ストローク」、なかなか使えそうです。
(July 10, 2008、改訂June 02, 2015)
LPGAに君臨したAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)のバンカー技法。
'The Basic Splash out'
by Annika Sorenstam ('Golf Digest,' August 2008)
「グリーンサイドのバンカーでは下半身を安定させなくてはならない。広めのスタンスで、少ししゃがみ込むようなアドレスをとる。
インパクトでクラブフェースをオープンにすることも重要である。【編註:ここから熟読玩味→】特にグリップを作り上げる前にフェースをオープンにしなければならない。グリップを作ってからクラブフェースをオープンにしても、それはフェースをオープンにしたことにならないので注意。クラブを回転させてオープンにし、それから両手をセットすべきである。【←ここまで】また、ボールはスタンス中央よりややターゲット方向に置く。これによってボールの数インチ後方を打てる。
3/4スウィングで、砂を打ち抜く。胸がターゲットを向くようなフィニッシュが出来れば、それは砂の中でクラブを加速させたことを意味する(これは私のバンカー・ショットの鍵である)」
そう云われれば、私はグリップしてからフェースをオープンにしていたような気がします。これだと、インパクトでヘッドは立ってしまい、ヘッドを砂の中で滑らすどころか往々にして砂の中に突き刺してしまいます。私のバンカー・ショットにムラがあったのは、このせいでしょう。これからは、バンカーの外でウェッジのフェースをオープンにし、グリップを作り、その後でバンカーに入ることにします。
(July 12, 2008)
Bob Dickson(ボブ・ディクスン)はPGAツァーに参加して二勝(1968、1973)を挙げたものの、その後25年間鳴かず飛ばずでした。Champions(チャンピオンズ)ツァーに参加するようになったあるシーズン・オフ、彼はDave Pelz(デイヴ・ペルツ)の「ショート・ゲーム・スクール」を受講し、いくつかの風変わりな技法を教わりました。彼が1998年のCadillac NFL Classicで25年振りの勝利を飾ったのはその直後でした。以下は、彼の優勝に貢献したtips。
'Backward thinking' 「・チッピング オープンスタンスは同じだが、両足はほぼくっつくほど狭くする。ボールははるか後方で私の右足の後ろ5〜10センチ以内のところ。最初の頃はクラブフェースをオープンにしがちだが、スクウェアに保つため若干フェースをかぶせ気味にする。このセットアップだと、手や手首の独立した動きは生ぜず、まるでパッティング・ストロークのようにチップ出来る。これによってボールとのクリーンで、加速されたコンタクトが得られ、距離のコントロールも改善される。 ・ピッチング 現在、私はボール位置をスタンス中央に移した。スタンスはオープンのままだが、若干狭めである。両手はボールより少しターゲット方向なので、スウィング弧の最低点の手前でボールと接触することになる。 この体勢だと両手の勝手な動き無しでクラブを前後に振ることが出来る。ボールをダウンでシャープに打て、距離のコントロールも良くなるのは保証付きだ。このボール位置でロフトを減らしたからといって、ソフトに打てないと思ったら大間違い。60°ウェッジはなおもインパクトで56°のロフトを有するので、どんな状況でもこれだけあれば充分過ぎる。 |
・フル・アイアン
アマチュアのフル・アイアンショットのボール位置は、前方(ターゲット寄り)過ぎるか後方過ぎるか、どちらかである。私のかつてのボール位置はスタンスの左踵の向かい側だった。しかし、今シーズン、私は上の二つのショットに関する助言がフル・アイアンショットにも当てはまるのではないかと考え、全てのアイアンショットのボール位置を以前より3インチ(約8センチ)スタンスの中程へ後退させた。
ボール位置があまりにもターゲット寄りだと、インパクト後も上半身をターゲット方向に水平移動して、ボールを追いかけるようなスウィングをしなければならないが、ボールを後方に移せば単純に身体を回転させればいいことになる。今や私は地面よりも前にボールをしっかりと打つことが出来るようになり、クラブを小手先で方向調整する必要もなくなり、アプローチ・ショットはしごく望ましいものとなったのである」
(July 14, 2008)
'Make pitches hop then stop'
by Jim Murphy ('Golf Magazine,' August 2008)
「グリーンから30ヤードのフェアウェイで、ライは良好だが、カップはグリーン手前に切られていて、普通にピッチ・ショットしたのではボールはカップをオーヴァーしてしまう…という状況。どうしても、1バウンドで止まるボールで攻めなければならない。他のスペシャル・ショットと同じだが、その秘密はセットアップにある。
1) サンドウェッジのフェースを数度オープンにする。
2) ボールは左足親指前方に置き、全ての体重をターゲット方向にかける。これはスピンを生む鍵と云うべき、ボールを地面に押しつぶす動作を助けてくれる。体重をターゲット方向に置くことの駄目押しとして、右足を後退させ、しかも足首をややターゲット方向に向ける。
3) 両手が腰の高さまでの短いバックスウィングをする。
4) ダウンスウィングでは、身体の左側全体がクラブを引っ張り、ボール後部に向うように感じること。加速しながらボールを打ち抜き、ターフを取る。為すべきことはボールをフェースと地面の間で押しつぶすことであり、両手が腰の高さに達したら、そこがフィニッシュである」
私はサンドウェッジではなく60°ウェッジで上の方法を試してみましたが、それでも1バウンドでは止まらず、3バウンドになってしまいます。ただし、段々弾む距離が小さくなるので、普通に打つよりはずっと早く(短い距離で)止まります。ボールを押しつぶしてターフを取るという感覚が実感出来る、いいトレーニングです。
(July 24, 2008)
'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)
Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)の流儀は、全てのショットのボール位置(ウッドでもウェッジでも)を左足踵の前方に固定するというものです(Ben Hoganもこの方式でした)。そして、必ずクラブフェースはターゲットにスクウェアに構えます。これはフェードやドローを打つ場合でも変わりません。
「・フェード
右にカーヴするボールは、スウィング・ライン(振り抜くライン)にオープンなクラブフェースによって作られる。では、ターゲットにスクウェアなクラブフェースで、どうやってボールを右へスピンさせるか?答えは、スウィング・ラインがターゲットの左になるように身体のアライメントを変えるのだ。
スウィングするラインは、両足、腰、両肩の方向と一致する。だから、イメージ上のターゲットを左に移し、全てのアドレス位置をそれに揃え、クラブのリーディング・エッジをターゲットにスクウェアにすれば、クラブフェースはスウィング・ラインとの関係ではオープンになり、左にスタートして右に戻って来るボールを生じる。
フェードもスライスも同じ一族であり、違いはどれだけターゲットの左に向いて身体と両足を揃えたかの度合いだけである。あるトーナメントでフェードを打つ必要に迫られ、私はピンの30フィート(約9メートル)左を狙った。別のトーナメントで木を迂回するスライスが必要となった際は、ほぼ30ヤード以上左を狙わなくてはならなかった。しかし、両者は同じタイプのショットであり、スウィング・プレーンも変わらない。身体の向きによってフェースのオープン度(=カーヴ量)が変わるだけなのだ。
ピンの30フィート左を狙った場合も、ボールは僅かに20フィート左へ向っただけであった。これは気づく人が少ない事実だが、フェードやスライスを打つと、クラブフェースがオープンなのでボールはトゥに向ってスライドする。右にカーヴするボールを打つ際のアライメントでは、このプッシュ要素を考慮に入れなくてはならない。
フェードかスライスを打とうとしたゴルファーが、正しくターゲットの左を向いてスウィングしたのに、ボールが真っ直ぐ左へ向うことがある。原因は何か?右手を余りにも早くリリースしてしまい、クラブフェースがクローズになってしまったからだ。これを避ける方法がある。左手のグリップ圧を少し増し、右手のグリップ圧を減らすのだ。そして右手と右手首の角度のリリースを遅らす意識を抱く。これだとクラブフェースはオープンなままインパクトを迎え、計画通りのショットが得られる。
付け加えることが二つある。先ず、7番アイアンよりロフトのあるクラブでは、左から右へのカーヴを期待してはいけないということだ。ショート・アイアンではサイド・スピンよりバックスピンの方が優るからである。もう一つ、フェードは同じクラブの真っ直ぐなショットほど飛ばない。だから、長いクラブを選ぶべきである。
・ドロー
右から左にカーヴするボールは、上の反対のことをすればよい。クラブフェースはターゲットを狙い、身体と両足をターゲットの右に揃え、結果的にクラブフェースがクローズになるようにする。フェースがクローズになるとロフトが減ってしまうため、ボールは上がりにくく、しかも通常より距離が増えてしまう。その対策として短かめのクラブを選ぶことが肝要。
意図的にドローを打とうとしても、スウィングをブロックしてしまうとボールは右へ突き抜けてしまう。これを避けるには、左手のグリップ圧をやや減らし、右手のグリップ圧を増す。これは通常よりも右手のリリースを早めてくれる」
(July 28, 2008)
'PGA Golf Instruction Video Series'
by PGA of America
PGA(インストラクターの組織)から突然DVDが送られて来ました。'Golf Illustrated'誌購読者を対象にしたセールスで、気に入って$12.95を払えば数ヶ月後に次のDVDが送られて来るのだそうです。気に入らなければ、DVDを送り返すだけ。今回視聴出来たのは「ショート・ゲーム篇」と「ティー・ショット篇」で、約二時間半あります。ゴルフ・チャネルの解説でお馴染みのBrandel Chamblee(ブランデル・シャンブリー)をホストに、PGA of Americaのヴェテラン・インストラクターたちが様々な基礎や上級tipを説きます。構成・撮影・編集はよく出来ています。ただ、私のようにtips漁りに明け暮れている者には、どれもどこかで読んだか聞いたかしたものが多く、驚くようなものはほとんど見当たりませんでした。
一つだけ、「あ、なるほど!」と思った部分があったので、それを紹介します。四月頃、私は以下のような「振り子式パットの際の肩の角度」という記事を書きました。
1) パターなしで鏡に横向きに立ち、アドレスのポスチャーをとる。
2) 手はぶら下げて掌を合わせてもいいし、胸の前で交差させて組んでもいい。
3) バックストロークの動きをし、肩がスクウェアかどうか鏡で点検する。
4) フォワードストロークの動きをし、肩がスクウェアかどうか鏡で点検する。
驚きました。私の場合、バックストロークで両肩を結ぶ線はクローズになり(左肩に邪魔され、右肩は鏡に映っていない)、フォワードストロークではかなりオープン(右肩はモロ見え)になっていたのです。これはインサイド→←インサイドのストロークにはいいでしょうが、ストレートなパッティングとはとても云えない代物です。クローズにした分正確にオープンに戻して帳尻を合わせない限り、スクウェアに打つことは出来ないからです。
その後、バックストロークで両肩を結ぶ線がクローズになることは何とか防止出来るようになりましたが、オープンに戻って来る軌道を防ぐ決定的な策は見つかりませんでした。上記のDVDに、このフォワードストロークでオープンになることを防ぐtipが含まれていました。
インストラクターはKevin Weeks(ケヴィン・ウィークス)で、「パット練習の際に、手袋を左肘と身体で挟み、手袋が落ちないようにストロークする」というもの。「落ちたら、左肘が浮き、パターフェースのスクウェアな角度は失われ、プッシュしてしまう」そうです。実は私なりの対策として「フォワード・ストロークで左脇を締める」ということを考えついていたのですが、脇を締めても肘が浮いたのではパットの方向性は保たれないわけです。いいヒントをくれたPGAに感謝したい思いです。感謝しつつ、$12.95は払わないでDVDを返送することにします:-)。
(July 30, 2008)
'Swing thoughts'
by Jaime Diaz ('Golf World,' July 25, 2008)
「Greg Norman(グレッグ・ノーマン)は、全英オープン2008で見事なショットの数々を見せた。競技生活から長く遠ざかっていた53歳のプレイヤーが、一体どうやって?その秘密は、アドレスで若干ボールに近く立つことだった。
腕と上半身でスウィングしがちなアマチュアは特にそうだが、プロでさえ時としてボールから2〜3センチ遠くに立って屈んだアドレスをする傾向がある。全英オープン2007で12位タイになったTiger Woods(タイガー・ウッズ)がそうであった。コーチのHank Naney(ハンク・ヘイニィ)との共同作業を経て、次に登場した時のTiger Woodsは明らかに背を伸ばし、ボールに近く立っていた。彼はその後13のトーナメントに出場し、10の優勝をもぎとった。
ボールに近く立つことはバランスを改善し、両腕が身体に近くなるせいで身体との結びつきを良くする。このアドレスはまた、両腕の正しいプレーンを維持しながらヒッティング・ゾーンに下ろす際に邪魔になる腰部を、早期にターゲット方向に開くことを強制するものでもある。この下半身のアグレッシヴな回転は、インパクトで全身を振り解(ほど)くことに繋がるもので、パワーと正確さの鍵となるものである。
Greg Normanは次のように述べている。『全盛期の頃の私は、常にボールに近く立っていた。私の両手はインパクトへと向う時、ほとんど太股を擦るほどだった』Greg NormanのコーチDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)はこう云う、「Greg Normanは、背を伸ばして立てばクラブをいい位置に納められることを知っているので、目一杯スウィングする自信を持っていた。実際、今度の全英オープンで彼は全身でボールを打ち抜き、全てがターゲットを向くフィニッシュをしていた。彼が、高くて弱々しい右方向へのショットをしたのはホンの僅かだった』
最終日、Greg Normanは前の三日間に較べ若干ボールから遠ざかっていた。多分それが、ラウンドの序盤でフェアウェイを左にミスし、No.14、17、18で切れ味の悪いアイアン・ショットが右へ飛んだ理由であろうと思われる」
(August 01, 2008)
前回のラウンドの際、私の目標の一つは「パー3を全部パーで上がる」というものでした。惜しくも一つだけボギーにしてしまいましたが、後の三つがパーで廻れたのは私にしてみれば快挙でした。ただし、ワン・オンは一つもないのです。三つとも寄せワン。バーディ・チャンスはなく、かろうじてパーを拾ったという感じで、全く褒められません。
ワン・オン出来なかった原因は、全てフックにあります。ボールはピンを目指して飛ぶものの、グリーンに近づく頃に左に曲がり始める。以下の本を読んで対策を考えてみました。
'Hook'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「フックは、インパクトでクラブフェースがクローズになっていて、ボールへの攻撃角度があまりにもフラットで身体の周りを回転するようなスウィングの時に発生する。
インパクトでクラブフェースがクローズになるのは、次のどれかが一つ(あるいは複数)当てはまる場合である。
・過度なストロング・グリップをしている
・アドレス時にボールが身体から遠過ぎる
・スタンスが過度にターゲットの右を向いている
・バックスウィングのトップで、左のグリップが緩いか位置がずれている
・スウィングのテンポが速過ぎる
【編註:私の場合、最初の三つは当てはまりません】
・対処法
1) アップライトに構え、腰や膝を折って屈むのをやめる。
2) バックスウィングを短くし、トップでシャフトが地面と平行になるのを限度とする。バックスウィングが長くなればなるほど、左手のコントロールが失われる。
3) 急速なスウィング・テンポはクラブヘッドの回転を速め、インパクト以前にクラブフェースをクローズにしてしまう。クラブフェースの回転のタイミングを簡単に変えるには、スタンス、腰、肩を若干オープン(ターゲットの左を向くよう)にすることだ。これはバックスウィングを短くし、インパクト・エリアでのクラブフェースの回転をやや遅くしてくれる」
上の方式で試してみました。四つのパー3は以下のような結果でした。
1) 5番アイアン:球筋はストレートだったが、グリーン手前にショート。
2) 18°ハイブリッド:プッシュして池ポチャ。
3) 18°ハイブリッド:プッシュして、ショート。
4) ドライヴァー:フックしてグリーン左。
4番目のドライヴァー・ショットには上の対策を適用しませんでした。プッシュはオープンに構え過ぎたせいだと思われます。アップライトに構え、アップライトにスウィング出来れば、さほどオープンにしなくてもいいようです。まだまだ研究課題です。
(August 01, 2008)
'Putting Rx' 「あなたのパットの質に重要な影響を及ぼすセットアップ要素は、ボール位置である。狙った方向へボールを転がすには、パターフェース、腰、両肩がターゲットラインにスクウェアでなければならない。 大概の人は成長の過程で、腰と肩のラインをオープンかクローズか、どちらかに偏って築き上げてしまう。あるプロ・フットボールのキッカーは長い間右足でボールを蹴り続けたため、右半身が異常に発達してしまい、彼が直立すると右腰は左腰よりも4インチ(約10センチ)も高く位置するほどである。そういう人であれ誰であれ、スクウェアな腰と肩を確立し、中庸(ニュートラル)なボール位置を採用しなくてはならない。 ボール位置があまりにもスタンス後方(ターゲットと反対方向)だと、ターゲットに対して肩をクローズにし、右へボールを打つセットアップになる。反対に、ボール位置があまりにもスタンス前方(ターゲット寄り)だと、肩をオープンにしボールを左へ打つことになる。そういう場合、ゴルファーは緊急の帳尻合わせによってターゲットにボールを転がすことも出来たりするものの、大抵は褒められるような結果に結びつかない。練習によって中庸なボール位置を探すこと。両腕は肩の下に自然に下がって左右に動くように。 フルスウィング同様、アドレス時の体重のかけ方はパッティングに大きな影響を与える。体重を両足の指の付け根にかけてアドレスすると、パターフェースをクローズにする結果に繋がる。爪先に体重をかければプッシュである。脳はプッシュになることを予測するが、あなたがターゲットラインに沿ってパットしたがっていることを知り、あなたが狙った方向の反対側にストロークを誘導する。 納得出来ない?では、証拠をお見せしよう。中庸のボール位置にし、体重は両方の爪先にかけてアドレスする。手首をコックしてシャフトが地面と平行になるようにする(動かすのは手首だけであって、他の部分を動かしてはいけない)。パターフェースを見てほしい。クローズになっているはずだ。今度は両方の踵に体重をかけてみよう。また手首をコックする。お察しの通り、フェースはオープンになる。フェースがスクウェアになるのは、平均に体重をかけた時だけである。このチェック法は、私の名を取って"Write Hinge"(ライト・ヒンジ)と呼んでいる。【編註:"hinge"は蝶番の意】 |
アドレスの際に、両手をどの程度の高さにするかもストロークを左右する。青木功のように両手が極端に低い位置でパターのトゥを上げてアドレスすると、体重を両方の爪先にかけた時と同じように、自然にフェースはクローズになる。先ほどの"Write Hinge"でこの現象をチェックしてほしい。両手を高い位置で構えると、フェースはオープンになる。最もいい結果は、両手を肩から自然に垂らして形成される中庸の位置を採用した際に得られる。
体重 | 両手 | パターフェース | 結果 |
---|---|---|---|
踵 | 高 | オープン | ターゲットの左 |
踵 | 低 | スクウェア | ターゲットへ真っ直ぐ |
踵 | 中庸 | オープン | ターゲットの左 |
爪先 | 高 | スクウェア | ターゲットへ真っ直ぐ |
爪先 | 低 | スクウェア | ターゲットの左 |
爪先 | 中庸 | クローズ | ターゲットの右 |
中庸 | 高 | オープン | ターゲットの左 |
中庸 | 低 | クローズ | ターゲットの右 |
中庸 | 中庸 | スクウェア | ターゲットへ真っ直ぐ |
いいセットアップは、中庸の体重配分+中庸の手の位置であることは明らかなのだが、ツァーの名手たちは異なる組み合わせでも巧みに帳尻を合わせてしまう。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の全盛時代、彼は狭いオープン・スタンスで、大半の体重を右足にかけていた。通常、オープンな肩のこのセットアップはターゲットの左にボールを送り出すところである。しかし、彼が右足に体重を移せば移すほど、ストロークはラインに沿って真っ直ぐ転がった。もちろん、このような結果を得るには相当な練習が必要なのであるが」
(August 04, 2008)
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のパッティングtip。
'How I Play Golf'
by Tiger Woods with the editors of 'Golf Digest' (Warner Books, 2001, $34.95)
ストレート⇔ストレートの軌道で、「パットの方向性を良くする(インパクトで左肘を身体から離さない)」(July 31, 2008)を実行すれば、完璧なストロークになるのではないか?と思われました。しかし、先日のパット総数28は完璧とはほど遠いものでした。何がいけなかったのか?Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の本を読み返してみました。Tiger Woodsは「1.5メートル以内ではストレート⇔ストレートのパットをし、長いパットでは肩を廻す長いバックストロークのせいで、パターは若干内側に動く」と述べていることを心に止めておいて下さい。
「パットの要素の大部分はタッチである。強さを感じ取るには、イーズィでスムーズでナチュラルなストロークはでなくてはならない。ロボットのようにギゴチ無く機械的にパットしたのでは、距離を調節出来なくなってしまう。
・トゥにヒールを追い越させよ
私がフォワード・ストロークの際に左腕を身体にかなり近く保っていれば、パターヘッドはインパクト後左へターンしようとする。トゥがヒールを追い越すわけだ。私はこの傾向に逆らおうとは思わない。重要なのは、インパクトでターゲット・ラインにパターフェースがスクウェアになることであって、私がスムーズに急がずにパターをリリースすれば、それは自ずと起ることなのだ。
【編註:Tiger Woodsの場合、「左肘を身体から離さない」とまでは云っていませんが、「左腕を身体にかなり近く保っている」のは確かなわけで、やはりこのメソッドは正しいと思われます】
・パターの進路を強制するな
ゴルファーの中にはプッシュやプルを防ぐため、クラブフェースを最初から最後までスクウェアに保とうとし、パターヘッドをターゲットラインから逸らすまいと必死になる人がいる。これは自然に反する行動だ。それはスクウェアなコンタクトに大して役立たないし、パターに正しい強さを加えることを不可能にしてしまう」
ストレート⇔ストレートのストロークであっても、パターをカップ方向にガイドする動きはよくないとされているのはショックです。実は私はガイドしようとしていました。しかし考えてみれば、左肘を身体から離さずにクラブフェースを最後までスクウェアに保つことは出来ません(ターゲット方向に蟹のように横歩きすれば別)。左肘を身体につける使命はインパクトで終っているので、あとは「イーズィでスムーズでナチュラルな」フォローでいいということと総括します。
(August 06, 2008、改訂June 02, 2015)
鏡に横向きでアドレスし、図のように右方の壁に、鏡に映る右肩の突端のマークとして数センチのビニール・テープを縦に貼ります。(もし、右肩に当たるところに額縁や家具の角などがあれば、それを目印にしても同じことです)ストロークすると、どの位の振幅で右肩が動くかが視認出来ます。
アドレスした時にマークに接して見える右肩が、インパクトでその位置に戻って来てほしい。右肩がマークを上下に動くのは当然いいのですが(註:もちろんストレート⇔ストレートのストロークの場合です)、マークの左右には外れないのが理想です。特に、インパクトでマークを越境するのは不可。
ところが、これが難しかった。右肩をマークの内側に留めようと懸命に練習したのですが、右肩の出しゃばりを止められませんでした。スタンスを変え、体重を変え、ボール位置を変え、右足を下げたり前に出したりしても変化なしでした。しかし、こういう苦労話は端折ることにしましょう。
最終的には、フォワード・ストロークの際に大袈裟なほど右肩を下げれば、右肩はマークの外にハミ出さない…ということが判明しました。振り子式パットですから、両肩を上げ下げすべきなのですが、私の場合、これ迄左肩の上げ下げ一本に集中していて、フォワード・ストロークで意図的に右肩を下げるということはやっていませんでした。私の右肩の扱いがおろそかだった盲点を衝いて、右肩が忍び足で前に出てプルを発生させていたようです。
この「右肩をちゃんと下げるパッティング」を初めてコースで試した日、何度か中距離のパットでボールがカップのド真ん中から転げ込み、仲間を驚嘆させました(私もびっくり)。しかし、しばらくした後、そういう美技は消滅してしまい、「一体どういうこと?」と帰宅後早速鏡の間でチェック。分りました。私は単に右肩に力を篭め、右肩を下げたフリをしていただけで、右肩はちゃんと下がっていなかったのでした。下がっていないのですから、やはり以前のように右肩が出しゃばって来ます。私の場合、右肩の力を抜いてストーンと垂直に落下させなければいけないのでした。(肩に力が入ると、途端に前に出て来ます)
こんな、鏡を見れば一発で分るストロークのミスに気づかなかったので、ここ数年私はパターを替えたりグリップを替えたり、パットに関するスポーツ心理学などにすがったりして来たのです。全て無駄な努力でした。解決策は常に目の前の鏡に映っていたというのに。
あなたの右肩はどうか?鏡に向ってチェックすることをお勧めします。あなたの問題点は私と異なるかも知れませんが、あなたがパット名人でもない限り、鏡は何らかの改善点を示してくれることでしょう。
「右肩をちゃんと下げるパッティング」のフィールド・テスト二回目は全般的に好調でした。あるホールで結構長いパットを沈めた時、一緒のチームだったJim(ジム)が、"Perfect shoulder stroke!"(完璧なショルダー・ストロークだ!)と声を掛けてくれました。私は内心「ショルダー・ストローク?聞いたことないけど、そう云われれば、そんな風かも知れない」と思いながらも、それはJimの造語だろうと決めつけていました。違いました。ちゃんと「ショルダー・ストローク」というメソッドがあり、私はいつの間にかそのメソッドに知らず知らずに踏み込んでいたのです。
(August 09, 2008)
パッティング・コーチというとDave Pelz(デイヴ・ペルツ)を思い浮かべますが、彼を追いかけている壮年のインストラクターにTodd Sones(トッド・ソーンズ)がいます。様々なショット全般も扱っているものの、彼の売りはパッティングです。Dave Pelzの'Putting Bible'(2000)に「ショルダー・ストローク」に関する記述は全くありませんが、Todd Sonesの本ではちゃんと触れられています。
「手首を使うパッティング」(tips_116.html)で「過去の世代のゴルファーたちは手首を多用し、ポン!と叩くパッティングをしていた」という話を紹介しました。芝が改良され、グリーンがスムーズで早くなるにつれ、手首を使うパッティングは消滅しました。Todd Sonesによれば、その次に出現したのが「ショルダー・ストローク」だそうです。
'Lights-Out Putting'
by Todd Sones with David DeNunzio (Contemporary Books, 2000, $22.95)
「『ショルダー・ストローク』という用語を振り子式パッティングと混同しないように。ショルダー・ストロークは単に肩の動きに反応してストロークされるメソッドである。振り子式パッティングにも肩の動きは含まれるが、それはショルダー・ストロークとは別物である。
ショルダー・ストロークのアドレスでは、パターは両肩の中心に位置し、ストロークの間中その位置を変えない。プレイヤーはバックストロークで左肩を下げ、フォワードストロークではインパクトからフィニッシュにかけて加速するため、右肩を下げなくてはならない。
ショルダー・ストロークの人気が出た主な理由は、その方向性の良さによるものだ。大きな筋肉(ここでは肩)は小さな筋肉(手や手首)よりもコントロールし易いからだ。しかし、ショルダー・ストロークはパターヘッドを上げ下げするので、ボールの赤道とパターフェースの中心を接触させるためにかなりの修練を必要とする。もし、上昇軌道でボールを捉えるとボールが跳ね上がってしまうし、下降軌道で捉えるとボールを芝にめり込ませてしまう。どちらの場合もボールの理想的な転がりを困難にするため、強さのコントロールを悪くし、距離の不足を招く。それを避けるには、パターフェースがインパクト・ゾーンでターゲット・ラインにスクウェアになっている間に、パターフェースの中心でボールの中心を打つ必要がある。それ以外は全てミスとなる。常に完璧な接触でなければならない。これはパッティングの真のゴールであり、そんな完璧な接触が可能な動作をマスター出来るのであれば、あなたはパット名人への道を歩むことになる。
ツァー・プロたちは常に完璧な接触が出来る方法を会得しており、パターフェースの中心でボールの中心を打つことに失敗したりしない。しかし、週末ゴルファーにそんな域に達するほどの練習時間はないだろうから、上に述べたメソッドは重荷であると思われる。実際にはツァー・プロでさえ常に正確な接触を求めて『アーム・ストローク』に移行している。現在のパット名人であるBrad Faxon(ブラッド・ファクスン)やJim Furyk(ジム・フュリク)がその代表だ」【註:「アーム・ストローク」については後日紹介予定】
というわけで、私はそれと気づかずにショルダー・ストロークを採用したことによって、パット名人への険しい道を歩むことになってしまったのであった:-)。ショルダー・ストロークが本当にトーシロに不可能なほど難しいのかどうか、しばらく試してみます。目が出なければ、潔く諦めます。
その後、ちゃんと右肩を下げるように努力しているのですが、“努力”している段階では駄目なんですね。自動車教習場で初めてクラッチ車を動かした時のようなものです。クラッチを踏みギアをチェンジする動きは、ギゴチない二動作になっていました。運転に慣れてしまうと、身体が勝手に動いて無意識の一動作に変貌します。右肩を下げる動作も無意識に遂行出来るようになるまで習熟しなくてはなりません。
ショルダー・ストロークの方向性の良さは充分に味わっています。Todd Sonesが云うように、問題は距離のコントロールです。正確にボールとパターフェースの中心を接触させるには、確実にスウィートスポットで打たなくてはなりません。その練習法は分っています。写真のようにパターに輪ゴムを二本装着してパットするのです。(tips_20.html 「スウィート・スポットでパットする」)スウィートスポットを逸れて打つと、ヘニャという感触を残してボールはあさっての方に転がって行ってしまいます。
(August 11, 2008)
以下のポイントは実は数ヶ月前に発見したことなのですが、ショルダー・ストロークをするには不可欠の要素なので、時系列は逆になりますが詳述しておきます。
ストレート・パットを模索し始めた頃、横位置で鏡を見ながらアドレスをチェックして驚きました。両足はターゲット・ラインにスクウェアなのですが、両膝を結ぶライン、腰、肩などが全てオープンだったのです。何度繰り返しても、自然にオープンになってしまいます。ターゲット・ラインにスクウェアに修正するには、左膝を10センチほど時計回りに廻さなければなりません。不思議ですが、膝を廻すと自動的に腰と肩もスクウェアに揃います。鏡を見ながらこの動作をすると、なかなか面白いです。膝の一挙動が身体の他の部分もスクウェアに揃えてくれるのですから。
自然にオープンになるアライメントが心理的なものに根ざしているのか、私の右脚が1センチ長いという体型的なことに起因しているのか、原因は不明。インストラクターTodd Sones(トッド・ソーンズ)は「アマチュアの大多数は、パット後すぐボールの行方を見たいがためにオープンに構える傾向がある」と云っていますので、心理的要因も無視出来ないかも知れません。
もし、私が上のアライメント修正法に気づかないでショルダー・ストロークを始めたとしたら悲劇だったでしょう。ショルダー・ストロークは両肩を結ぶラインに沿ってストロークするわけですから、全てのパットはプルになってしまいます。
アドレスで膝を10センチほど時計回りに廻すという動きは、初めの頃はとても抵抗がありました。とてつもなく右を狙うように見えてしまうからです。これは、膝の動きが肩を右へ廻し、ついでに首も右へ廻すのですから当然の帰結です。アドレス初期にスクウェアだった両目を結ぶ線は、スクウェアを通り越してオープン(ターゲットの右を向く)になってしまいます。その対策として、ターゲットラインに揃えたパター上に描かれた線(あるいは、ターゲットを向いているボール上の線)に両目を結ぶ線を合わせます。この追加作業によって、足・膝・腰・肩・目の全てがスクウェアになります。私の場合、この手続きを踏まずにショルダー・ストロークを開始することは出来ません。
【参考】
・「スタンス幅の決め方・決定版」(tips_141.html)
・「脚の長さの違いは両手の向きに影響する」(tips_169.html)
・「ハンドルの太さがパットの軌道を変える」(tips_173.html)
・「完璧なストロークの探究」(tips-193.html)
(August 13, 2008、増補August 09, 2018)
'Precision Wedge and Bunker Shots'
by Jim Fitzgerald with Dave Gould (Human Kinetics, 1998, $16.95)
グラスバンカー(コレクション・バンカーとも云う)はグリーンの近くにあるスリ鉢のような凹みで、芝はフェアウェイと同じ高さに刈られている。グリーンをミスしたボールが転げ込むように作られた蟻地獄のような罠。
この比較的歴史の浅い罠から脱出するには、こちらも新しいテクニックが必要。メタルウッドをチッピングやパッティングのクラブとして用いる。単に脱出するだけでなく、2パット圏内に寄せられるように練習しよう。
・メタルの3番ウッドを短く持つが、パターを持つようにボールの近くに立ってはならない。フル・スウィングのグリップをし、バック・スウィングとフォワード・スウィングの動きを左右対称にする。
・メタルの3番ウッドは、ロフトがパターより多くアイアンより少ないので、スリ鉢からの脱出を保証してくれる。またその平らで滑り易いソールは、アイアンのように地面につっかえる恐れもない。ウェッジを用いるとスピンを生み出し、ボールが充分に転がらない恐れがある」
(August 09, 2008)
インストラクターTodd Sones(トッド・ソーンズ)が推奨する「アーム・ストローク」は、現在PGAツァーなどで最も主流のメソッドなので、いまさら紹介することもないのですが、Todd Sonesが注意を喚起している留意点は参考になると思われます。
'Lights-Out Putting'
by Todd Sones with David DeNunzio (Contemporary Books, 2000, $22.95)
「アーム・ストロークに上達する鍵の第一は、両腕によってコントロールするストロークであることを正しく理解することだ。アーム・ストロークでも肩は動くけれども、それは両腕が動くのに追随するだけに過ぎない。他の部分(足から上の全て)は完全に静止していなくてはならない。両腕は、静止した身体と分離して動く。【右のアニメは、胴体と分離して動く両腕のイメージ】
アーム・ストロークでは、バックストロークで右腕は右腰から離れ、フィニッシュにかけて左腕は左腰から遠ざかる。この分離した動作は確固たる基盤が築かれている場合に可能なもので、それが頭と背骨をストロークの中心に留める必要があるとされる理由である。
以上の胴体から分離した腕の感覚を身に付けるいいドリルは、右手一本のストローク、左手一本のストロークを繰り返すことだ。
アーム・ストロークを成功させる第二の鍵は身体の全ての緊張を解き放つこと。そのためにはリラックスした呼吸をするのがベストである。ゆっくり吸い、ゆっくり吐き、それにつれて上体と両腕がリラックスするのを感じるように。
第三の鍵は、いいセットアップである。両手は肩から真っ直ぐに垂れ、両肩を結ぶ線はターゲット・ラインと平行になっていること。この正しいセットアップは、あなたに『ゴー!』サインを送って来る。もし、セットアップのどこかがまずいと、『なんか変だ』という信号が届き、身体は緊張し、両手によるコントロールへの自信と信頼が揺らぎ、インパクトでのボールとの接触の正確さが損なわれてしまう」
上の「右手一本、左手一本のストローク」をやってみました。右手はうまく行くのですが、左手だとボールは右へ行ったり左へ行ったり。よくよく左手のグリップを点検すると、私の左手はフィンガーに近いグリップになっていました。これはまずかった。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)やDave Stockton(デイヴ・ストックトン)など過去のパット名人たちはフィンガーでパターを握っていたようですが、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)やTodd Sones、Bill Moretti(ビル・モレッティ)など現役インストラクターたちはパームで握ることを推奨しています。パターを掌の生命線に当てて握るのです。フル・スウィングと異なり、パッティングに余分なパワーや距離は必要じゃないので、手首の自由度を減らす方が正確にコントロール出来るから…という理由です。
【参照】「パームでパッティングせよ」(tips_70.html)
(August 17, 2008)
'Better by Saturday'(土曜日までにうまくなる)シリーズは、多くの有名インストラクターたちのtipを集めた小型本で、「ドライヴィング」、「アイアン/ロング・ゲーム」、「パッティング」、「ショート・ゲーム」の四冊が出ています。この項は「アイアン/ロング・ゲーム」篇のKent Cayce(ケント・キース)によるトラブル・プレイに関するtip。
'Better by Saturday...Iron Play/ Long Game' 「多くの場合、木の上を越すよりも木の枝の下のルートで脱出するのが正解。低いボールでフェアウェイ(うまく行けばグリーン)に届くようなショットである。しかし、大抵のゴルファーはボールを空中に放つ練習ばかりしているせいか、低いボールを打つのが下手なようだ。 ボールを低く打つ秘訣はゆっくりしたスウィング速度であり、それがバックスピン(これはボールに高い軌道を与える)を減らし、軌道を低く保ってくれる。 ボール位置はスタンス中央より後方(ターゲットの反対方向)、両手はボールよりターゲット方向に傾げる。60%の長さのスウィング。リズムとバランスに集中し、体重は一貫して左側にキープする。フィニッシュを低くすることが重要」 《バックスピンを与えないためにゆっくり振る》というのは、「なるほど!」と感心したのですが、実は「木越えはやめて転がすべし」(tips_86.html)で2004年に同じ趣旨を紹介していました。ドジ。 |
(August 19, 2008)
このところ、私はグリーンを狙う打ち上げ・打ち下ろしのショットにかなり成功しています(嬉しい)。忘れないうちに、私なりの留意点をメモしておきます。いずれもピン迄100ヤード以上ある場面を想定しています。
・上り斜面
ピンの根元が見えない程度の左足上がりの場合、ヤーデージに10ヤード足す(地形のせいで自然にロフトが増え、距離が減ってしまうため)。ピン全体が見えない左足上がりの場合は20ヤード足す。地面が湿っていたり、湿度の高い日はさらに5ヤード足す。
ピンの2メートルほど右をターゲットとする。斜面に平行に(右膝・右肩を下げて)立ち、ボールはスタンス中央寄り。ターゲットに足・腰・肩を揃える。
フル・スウィングを10としたら、7〜8のバックスウィング(大振りはしない)。プルが出易いので、インパクトで手首を返さないようにする(ターゲット・ラインに沿ったフォロースルー)。
・下り斜面
左足下がりの斜面ではロフトが減り距離が出ないため、勾配によって20〜25ヤード足す。地面が湿っていたり、湿度の高い日はさらに5ヤード足す。
ピンの1メートルほど左をターゲットとする。斜面に平行に(左膝・左肩を下げて)立ち、ボールはスタンスのやや後方。ターゲットに足・腰・肩を揃える。
フル・スウィングを10としたら、7〜8のバックスウィング(大振りはしない)。プッシュになり易いので、両手を内側に引き込む(普通のフル・スウィングの)フォロースルー。
なお、ピンの右・左にどれだけの距離を見積もるかは、ピン迄の距離と勾配に左右されるので、上の数字は目安に過ぎません。上りでも下りでも距離が減るというのが面白い点だと思います。
(August 19, 2008)
'Low hands'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「バンカー名人たちには、人にあまり気づかれない共通点が一つある。それは手の低さである。
アドレスで両手をだらんと下げ、手首をゆったりさせる。それはバンカー・ショットに必要な両手主導のテイクアウェイを可能にする。アドレスで両手を膝の一寸上まで下げると、クラブのトゥを上向きにすることになり、その結果クラブのヒール部分が先に砂に突入する。トゥを遠ざければ砂の中でクラブをスライドするのが容易になり、スピンがかかり、よりコントロールされた高いショットが生まれる」
(August 25, 2008)
'Stop that top!'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' August 2008)
「なぜトップするか?ボールを地面に押しつぶすように打つのではなく、ボールを空中に上げようと余計な努力をした時に、よくこの現象が起きる。
ボールの1メートル先に紙コップがあると想像してほしい。あなたの使命はそのコップの中にボールを打ち込むことだ。これはボールを低めに保つことを強制するもので、掬い上げるようなスウィングは出来なくなる。
もう一ついいドリルは、数メートル先の地面にゴルフバッグを横たえ、その横腹めがけて7番アイアンでチップすることだ。いったん打ち下ろす感覚が得られたら、フルスウィングに移行する。いつしか、ボール目掛けて打ち下ろすのが当たり前になり、ボールが空中に上がるのを助けようとする(=トップする)なんてことは皆無になるだろう」
(August 27, 2008)
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