Golf Tips Vol. 114

プロの真似をすべきでない明解な理由・左肩篇

「右肩篇」、「腰の捻転篇」に続く「明解な理由」シリーズ第三弾。自己診断テスト・分析・処方と三拍子揃っていて、説得力も充分な記事です。今回は左肩の柔軟性とフォロースルーの関係が診断されます。

'4 easy ways to be a more consistent ballstriker'
by Jon Tattersall with David Denunzio ('Golf Magazine,' November 2007)

「【テスト】
これは「右肩篇」のテストを左肩でやるだけです。あれを読んだ方はすぐお分かりでしょう。え?まだ読んでない?もぐりだね、ああた。

左腕を身体の横に水平に伸ばし、肘を90°に折る。そこから前腕部だけを出来るだけ後方に曲げる(肘や肩を動かしてはいけない)。このテストは左肩の柔軟性を調べるもの。柔軟であればあるほど、インパクト後両腕を左へ振り、両手でクラブをリリースすることが出来る。

【分析】
左前腕部を90°に折った(垂直の)状態から後方へ曲げられなければ、あなたの左肩の柔軟性は非常に制限されたものである。プロ的な手首を返すリリースは、非常に柔軟な左肩の持ち主にしか出来ないと諦めること。

あなたの柔軟でない左肩は、両手がクラブをターゲットの左へリリースするのを妨げてしまう。そのため、全身がターゲットの左に傾斜する(右肩が左足の上になる)ようなフォロースルーにならざるを得ず、バランスを失ってプルやプル・スライスを打つことになる。

【処方】
両手でなく、身体でクラブをリリースする。胸はターゲットを向き、両手とクラブヘッドが身体の真正面にあって、右掌はあなたの背後(アドレスした時の背後)を向くフォロースルー。こうすれば、スライスやフックを防止出来る。

【解説】
インパクト後、クラブをリリースするために前腕部や手首を回転させるのでなく、両手を向かい合わせたまま、ターゲットに向って上半身を回転し続ける。胸でボールを打ち、両手はそれに便乗しているように感じること。

鍵は、上半身をターゲットに向って回転させる時、左肩が右肩の上に位置し続けることだ。これを正しく実行出来れば、あなたの両手は常に胸の前にあり、両肩・両腕・両手で形成される明確な三角形が見られる筈だ」

【参照】
・「プロの真似をすべきでない明解な理由・左肩篇」(tips_112.html)
・「プロの真似をすべきでない明解な理由・腰の捻転篇」(tips_112.html)

(February 01, 2008、増補January 08, 2017)


インパクトの研究(チッピング篇)

'The Impact Zone'
by Bobby Clampett and Andy Brumer (St. Martin's Press, 2007, $24.95)

[Impact Zone]

著者Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)に云わせると、チッピングはパッティングや他のショットと基本的に変わらない。パッティングでは、ボールのジャンプや滑走を避けるため最大限オーヴァースピンをかけなくてはならない。しかし、チッピングではボールを上げるためにバックスピンが不可欠で、それには加速しつつボールに向って打ち下ろす必要がある。それを可能にするのが"Aiming Point"(照準ポイント)で、スウィング弧の最低点(ディヴォット跡の中央、あるいは最も深く抉れた場所)はボールのターゲット方向10センチの地点でなければならない。

[Bobby]

【註】チッピングの"Aiming Point"(照準ポイント)も、フルスウィングのそれと同じ10センチ向こうである。ただし、"Aiming Point"はゴルファーの身長、クラブの長さ、手の動きの速度、ボールと身体の間隔などで僅かに変わり得る。各自練習で最適のポイントを見つけるべきである。

「チッピングにおけるボール位置は、スタンスの中心点の前か後ろである。このボール位置は自動的にハンドファースト(+前傾したシャフト)の構えに繋がる。

・パッティング同様、インパクト前後でフラットな左手首を心掛ける。
・どんなスウィングでも、クラブが腰の位置に到達すると自然にコックとアンコックの動きが加わる。しかし、チッピングのストロークは小さいので、コックも僅かでしかない。
・これまた他のスウィングと同じだが、バックスウィングでは肩を捻転させ、ダウンスウィングは腰から始動する。
・インパクトにかけて重力と遠心力の作用で自然なアンコックが生じる。この時、早期に左手首が折れ易い。左手首が折れると、シャフトは減速してしまう(パッティングと同じ)。チッピングにおける減速はほとんどシャフトの動きを止めてしまうほどである。こうなるとダフリかトップは避けられない。

・"Aiming Point"(照準ポイント)の練習法
 【編註:これはバンカーショットの練習ではなく、チップショットの練習であることに注意】
 バンカー内に線を引き、それをボールであると想像し、それに向ってチップ・ショットする。"Aiming Point"のセオリー通り、照準はこの線よりもターゲット寄りでなければならない。目標は、この線のターゲット側の砂にクラブを入れ、その前方にクラブを打ち下ろし続けることである。ディヴォット跡の中心(一番深い凹み)が線から10センチターゲット寄りで、フラットな左手首で打てれば成功」

【参照】
・「The Golfing Machine」(tips_87.html)
・「インパクトの研究」(tips_112.html)
・「インパクトの研究(ピッチング篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(フルスウィング篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(ドライヴァー篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(レイトヒット篇)」(tips_131.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(道具篇)」(tips_113.html)

(February 06, 2008、増補November 22-23, 2015)


弓形の左手首でアイアンの鉄人

'Knuckles down' for great irons
by Jim Mclean ('Golf Digest, March 2008)

「左手首」と書くと、「あ、またBobby Clampett(ボビィ・クランペット)だな?」と思われるでしょうが、残念でした、外れ。これはインストラクターJim Mclean(ジム・マクレイン)によるものです。原文では"bowed"(弓形に反った)という形容詞が使われていて、"flat"(フラット)という言葉ではありません。"bowed"の反対は"cupped"で、これは手首が手の甲の方に凹型に折れるもの。これはゴルフ・スウィングの大敵とされています。凹型に対して"bowed"を凸型としたいところですが、Jim Mcleanの"bowed"はほぼフラットに近く、気持反っているだけという形なので、誤解を生じる凸型という言葉は避けたいと思います。なお、“アイアンの鉄人”というフレーズは駄洒落です。

「PGAツァー・プロが、7番アイアンで180ヤードも飛ばせるのは何故か不思議に思ったことはないだろうか?あなたには140ヤードしか飛ばせないというのに。テクニックとスウィング・スピードの違いは大きな要素だが、ツァー・プロはパワフルなインパクト・ポジションを作り出すことによって、7番アイアンのロフトを5番アイアンに変えてしまうことが出来る。これが最大の理由である。

もちろん、プロたちが常にそこまで細工をしているというわけではないが、彼らがどのアイアン・ショットにおいても多かれ少なかれロフトを減らしているのは確かである。これを理解するには、手首に注目することだ。手首の蝶番の状態を保持するのがロフトを減らし、シャープなボール軌道を生み出す鍵である。

ロフトを減らすには、インパクトにかけて左手首を弓形にし続けなくてはならない。身体の大きな筋肉が左へ回転する間、左手のナックル(拳の指関節)は地面を向く。これはアドレス時より少ないロフトの、ディセンディング・ブロー(下降気味のヒッティング)をもたらしてくれる。

多くのハイハンデのゴルファーは、上と正反対のことをする。彼らは左手首を凹型に折り、ナックルを空に向け、ボールを上げようとする。これは弱々しいショットを生み出すだけである。手首を弓形に反らし、両者の違いを確認すべきである」

(February 19, 2008)


最適のグリップ・プレッシャー

'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)

この本が出版された1976年は、Johnny Miller(ジョニイ・ミラー)が28歳で、ゴルフは絶頂、賞金獲得額も最高という時期です。彼は、現在はNBCゴルフ中継の解説者。

「ゴルフを教える時に最も難しいことの一つは、グリップ・プレッシャーに関するものだ。よく聞かれる説明は、聞く人によって異なる風に受け止められてしまう表現が多い。

私は左手に関してはいい解答を見つけたと考える。それは《左手一本だけでスウィング出来る程度のグリップ・プレッシャー》というものだ。左手だけでスウィングしてみれば、すぐさまこのコツを会得出来る。この度合いのプレッシャーなら、クラブを固く握り過ぎて手首の柔軟性を失うこともない」

(February 22, 2008)


背骨の角度を維持せよ

インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)が説く前傾姿勢を保つことの重要性。

'How to play consistent golf'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' March 2008)

「アイアンを正しく打つための重要な要素の一つは、スウィングの間中一貫して背骨の角度を保つことだ。これが実行出来ると、インパクトでボールに向って打ち下ろすことが可能になり、ボールを打った後でディヴォットを取ることが出来る。

多くのアマチュアは、ボールを上げようという誤った考えで、スウィングしながら立ち上がってしまう。(打ち下ろすのではなく)打ち上げることは、トップやダフりの因となる貧弱なコンタクトに繋がる。この傾向を正すには以下のようにする。フィニッシュのポーズで数秒静止し、あたかも誰かがヴィデオの巻き戻しボタンを押したようにスウィングを逆転させる。ボールがあった位置で自然にアドレスの体勢が再現出来れば、背骨の角度は正しく維持されていることになる」

[Wie]

つまり、《アドレスとインパクトの背骨の角度は同じでなければならない》というわけです。よく考えてみれば当然のことです。背骨の角度が変わればボールとクラブヘッドの位置関係が変わってしまう。しかし、私は長いことその重要性に気づかず、インパクト後すぐ直立してしまうフォロースルーをしていました。別にボールを上げようと努力していたわけではなく、正面から見て直立したように見えるプロたちのフィニッシュに影響されていたのです。

しかし、TVのトーナメント中継を観ているうちに気づいたことがありました。飛行線後方から撮られたプロのフォロースルーは前傾しており(背骨の角度が保たれている)、直立するのは最後の最後です。LPGAのPaura Creamer(ポーラ・クリーマー)やNatarie Galbis(ナタリィ・ガルビス)などのインパクトおよびフォロースルーは過度に前傾しているように見えますが、背骨の角度を維持しようという努力と考えれば納得出来ます。Michelle Wieの大きなフィニッシュ(図のシルエット)も、インパクトからフォロースルーにかけて背骨の角度を完璧に維持していることを証明しています。私も真似しなければ…と思っていました。

しかし、この「背骨の角度の維持」が、上のDavid Leadbetterの言葉によれば「インパクトでボールに向って打ち下ろすこと」に繋がるそうですが、これは驚きでした。図らずも「インパクトの研究」の"Aiming Point"(照準ポイント)が目指すものとぴったり一致するわけです。

「フラットな左手首」と"Aiming Point"、そしてこの「背骨の角度の維持」が、私の現在の課題です。

(February 25, 2008、増補June 02, 2015)


リズムを保て

'The Way of an Eagle'
Compiled by Robert Darden and P.J. Richardson (Thomas Nelson Publishers, 1996, $19.99)

この本はプロ・ゴルファーたちが、自分が育った宗教(キリスト教)的環境、信仰がゴルフを支えてくれた瞬間、および彼らから読者に贈るゴルフtipsという三部構成で、43人の男女が執筆した原稿をまとめた珍しい本。今回はChampionsツァー・プロLarry Gilbert(ラリィ・ギルバート)のtip。

「全てのゴルフ・スウィングに共通する鍵はリズムだと断言する。いいスウィングの基礎を身につけている人でも、いいリズムを身につけていなければいいゴルファーとは云えない。素晴らしいスウィングの持ち主ではないが、いいリズムを身につけている人を見ることがあるだろう。彼らはいいゴルファーである。

私がゴルフを始めてから30年以上もやっていることをお教えしよう。ゴルフコースに着くまで、私はBarbra Streisand(バーブラ・ストライサンド)、Barry Manilow(バリィ・マニロウ)、Sammy Davis Jr.(サミィ・デイヴィス・ジュニア)とか、John Denver(ジョン・デンヴァー)などのソフトで心が癒される音楽を聴く。そのうちのどれかが私の耳に残る。私はその歌を日がな一日、心の中に保ち、ハミングする。それが私のリズムをキープする助けとなってくれるのだ」

(February 25, 2008)


インパクトの研究(フルスウィング篇)

'The Impact Zone'
by Bobby Clampett and Andy Brumer (St. Martin's Press, 2007, $24.95)

[Impact Zone]

この本にはピッチングの章もあるのですが、ピッチングはチッピングの大きいものであり、コックが加わり身体の捻転が増すというだけの違い。著者Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)は「ウェッジのピッチングをフラットな左手首で打てない人は、それを習得するまでフルスウィングに移行すべきでない」と云っています。

ピッチングとフルスウィングに共通するアドレス時の留意点は、「グリップエンドがベルト・バックルを指す」こと。理由はこの方が体重移動と身体の捻転が容易だからだそうです。「これはスタイルの問題であり必須というわけではないが、多くのツァー・プロが採用している方法である」とのこと。

【参考】逆Kは古いのケエ?(tips-33.html)、「AnnikaのYの字アドレス」(tips_84.html)

・両手首は終始柔らかくしておくことが肝要。左手の最後の三本指に若干のプレッシャーを。
・ピッチングと異なり、フルスウィングはボールを遠くに飛ばさなくてはならない。そのために必要なのはエネルギーの蓄積で、その源は身体の捻転とコックである。次に必要なのはそのコックを維持すること(レイトヒット)だ。エネルギーをインパクトの瞬間まで放出してはいけないのだ。

・スウィングの間考えるべきことは、クラブヘッドではない。クラブヘッドを考えると、早期にアンコックしボールの手前を叩くことになる。両手のことを考え続けること。特に、フラットな左手首のイメージを持ち続ける。
・スウィングのトップに達したら“トリガー・フィンガー”(銃の引き金を引く形にした右人差し指)の真ん中の関節でクラブの重みを受け止め、その重みをスウィングの間中感じ続けること。トップでクラブヘッドがスクウェア(ターゲットを向く)であろうが、右を指そうが構わない(Tiger Woodsは時期によって、その両方でメイジャーに優勝している)。インパクトでスクウェアになればいいのだ。

[Bobby]

・レイトヒットは、スムーズでエフォートレスな状態の時に出現する。歯を食いしばって冷蔵庫を持ち上げる時のように、全力を傾けるものではない。力を使うとエネルギー(コック)はインパクトの前に使い果たされてしまう。
・レイトヒットの鍵は腰である。腰がダウンスウィングの主導権を握り、ターゲット方向への体重移動と腰の回転をミックスさせる。それが最後までコックを維持する助けとなる。この助けを借り、左手首のコックをほどかぬよう努力する。一旦アンコックが始まってしまうとそれを止めることは出来ず、全てのエネルギーは失われてしまう。Ben Hogan(ベン・ホーガン)は私にこう云った、『インパクト前後における腰の回転は、速ければ速いほどいい』と。

・トップに達して以降、あなたの使命は"Aiming Point"(照準ポイント)を用いてボールの向こう10センチの地面を深く抉ることにある。ボールを打とうとしてはいけない。
・ハンド・ファースト(クラブより手が先行)で、シャフトがターゲット方向に前傾しているインパクトを目指す。
・コックを維持すればするほど、スウィングの最低点はターゲット方向に移動し、その時点の左腰の回転の度合いによってクラブヘッド・スピードが変化する。
・自然の遠心力に逆らってはいけない。遠心力はクラブを解き放つけれども、アンコックを強いるものではないので、レイトヒットの大敵ではない。正しくコックを維持していれば、自然のアンコックはインパクトのかなり後まで始まらない。

・レイトヒットを達成する他の方法は、バックスウィングからダウンスウィングに方向転換する際のテンポを改善することだ。テンポが余りにも遅いとレイトヒットを生み出す勢いが得られない。普通、『ダウンスウィングの開始は緩やかに』と云われるが、私の場合、テンポが遅いとスウィング弧の最低点はボールの向こう10センチではなく5センチに短くなってしまい、距離も1〜1/2クラブ短くなる。だからといって、慌てふためいてダウンスウィングしろと云っているのではない。流麗でスムーズな、最適なテンポが必要だということだ」

【参照】
・「The Golfing Machine」(tips_87.html)
・「インパクトの研究」(tips_112.html)
・「インパクトの研究(チッピング篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(ピッチング篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(ドライヴァー篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(レイトヒット篇)」(tips_131.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(道具篇)」(tips_113.html)

(March 01, 2008、増補November 22-23, 2015)


続・弓形の左手首でアイアンの鉄人

インストラクターJim Mclean(ジム・マクレイン)の記事「弓形の左手首でアイアンの鉄人」の内容を完全に裏書きする文献を発見しました。図書館にあった古い本です。"Chi Chi" Rodriguez(チチ・ロドリゲス)の名前だけ借りて、実際にはゴースト・ライターが執筆したのではないかと疑いながら読んでいたのですが、以下の引用部分などはプロ本人でなくては書けない内容です。

'Everybody's Golf Book'
by Juan "Chi Chi" Rodriguez with Chuck Fitt (The Viking Press, 1975, $6.95)

「インパクトの瞬間、左手甲はターゲットを向き、手根骨(しゅこんこつ)は明確に盛り上がっているべきである。ボールが打たれる際、その手根骨は手のどの部分よりもターゲットに近い位置にあるべきだ。左手首がこうなっていれば、右手が出しゃばって左手を圧倒したりクラブを捩ったりする危険は回避出来る。

[supination]

どんなプロもインパクトでは左手首を甲側で反らす。【編註:原文は"supinating"で、写真のようにBen Hoganが1957年出版の'Five Lessons'『モダン・ゴルフ』で有名にした方法】これは飛距離と正確度を増してくれる。このメソッドではクラブがターフを取る前に、クリーンにボールと接触する。また、左手首の甲側を反らすこのスウィングでは、インパクト時に両手はほんの少しクラブヘッドに先行している。言葉を換えれば、ロフトが若干減るということだ。

もう一点強調すべき点がある。この方法はボールをこの上なくがっちり捉え、最大限のバックスピンが得られるということだ。これは、昨今の驚嘆すべきショットの一つについての説明となる。低く出てトップしたように見えるウェッジ・ショットが、着地してから前進せず、逆に戻って来るのはこのメソッドによる結果である」

整理すると、ここまでの記事では以下の順序で左手首の反り具合の表現が過激になります。
1) Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)「フラットな左手首」
2) Jim Mclean「弓形の左手首」
3) "Chi Chi" Rodriguez「盛り上がった左手の手根骨」

これらに共通する結果は、「スクウェアなインパクトによって正確なショットが望める。クラブはボールと先ず接触するため、ボールは低めに出て距離が伸びるが、バックスピンがかかっているので早めに止まる」とまとめられそうです。これが実現出来るなら、まさにグリーンを狙うのに最適のメソッドということになります。

(March 05, 2008、改訂June 02, 2015)


完璧なアドレス手順

'6 quick steps to a perfect address'
by Scott Sackett ('Golf Magazine,' December 2007)

「1) 両手で持ったクラブを目の前に立て、両足を揃えてボールに向う。
2) 両足を肩幅に開き、ボールが正しい位置にあるように調節。
3) クラブはまだ目の前に立てたまま、膝を伸ばす。
4) 股関節から上半身を曲げ、肩甲骨を後ろに反らして背骨を真っ直ぐにし、クラブをボールの背後に置く。
5) 膝を緩め、僅かに曲げる(過度に緩めてはいけない)。脚の筋肉をスタンバイさせる。
6) 上半身を右に傾げ、頭がボールの背後になるようにする。

以上を実行すれば、よしんばあなたのスウィングが完璧なものでなくても、ソリッドに打てる条件は整ったことになる」

(March 05, 2008)


Tiger Woods(タイガー・ウッズ)でない我々のバックスウィング

この記事はゴルフ・スクールの共同経営者兼インストラクターであり、CBS-TVのゴルフ中継解説者でもあるPeter Kostis(ピーター・コスティス)の執筆によるものです。

'Build your swing like Tiger'
by Peter Kostis ('Golf Magazine,' April 2008)

「Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のスウィング半径の大きさは、距離を求める人々のモデルとなるべきものである。

彼は腕と身体をワンセットにしてバックスウィングを開始する。その際、クラブを長い間胸の前にキープする。アドレスから両手が腰の高さになるまでに、両腕はフルに伸ばされて胸の前にあるが、彼の背中は既にターゲットを向いている。彼の下半身はあまり変化せず、頭は(やや回転するが)水平に保持されている。

あなたにはTiger Woodsの柔軟性はないかも知れない。だからと云って、彼のように捻転出来ないというわけではない。

あなたに必要なのは左側の踵、腰、そして膝をリリースさせることだ。左踵を固定して動かさないというのはゴルフに必須の要件ではない。一方、正しく身体を回転させることは最重要な基本である。あなたが左踵を上げるのを恐れるのは、スウェイしてコントロールを失うと思い込んでいるからだ。左踵を正しく上げればそんな障害とは無縁である。鍵は左踵を上げながら左脚を内側に押し込むことだ(単に左踵を持ち上げるだけだとスウェイしてしまう)。この動きは左膝を正しくリリースさせ、それが腰と肩を束縛から解放し、パワーに繋がるトップへのフル・ターンを確実にしてくれる」

(March 10, 2008)


Tiger(タイガー)流ストレート打法

以下はTiger Woods(タイガー・ウッズ)執筆によるtipですが、ここのところ集中的に取り上げている「インパクトでの左手首の角度」の問題にそっくり重なる内容です。

'My key to straight irons'
by Tiger Woods ('Golf Digest,' April 2008)

「アイアン・ショットを正確に打つ鍵となるものはいくつもあるが、インパクトにおける左手甲(Tiger Woodsは"the back of the lead hand"と書いています)の作用を理解する以上に重要なものはない。それこそが正確性とソリッドなヒッティングに決定的に影響を及ぼすものだ。

ストレートな打球は、インパクトでターゲットにスクウェアな左手甲によって打たれるものである。曲がったショットは左手甲がスクウェアでない時に出現する。何故なら左手甲はクラブフェースの向きを反映するものだからだ。

プロ・アマの日、私のアマチュア・パートナーがスライスやフックを打ちながら、その原因に気づいていないということはしょっちゅうである。バナナ・ボール(スライス)は、彼らがインパクト・エリアにおいて手の側面を先行させてボールを打った結果である。また、スナップ・フックは過度に両手の返しを行なった結果である。どちらの場合も左手甲の角度が損なわれている。

アイアン・プレイに上達したいのなら、左手甲をターゲットに向けながらボールを打つつもりになることだ。なおかつ、シャフトは少しだけターゲット方向に傾いでいること。これがボール前方でターゲットを指して抉られた見事なディヴォット跡を作り出してくれる」

(March 12, 2008)


インパクトの研究(ドライヴァー篇)

'The Impact Zone'
by Bobby Clampett and Andy Brumer (St. Martin's Press, 2007, $24.95)

[Impact Zone]

この本には「ドライヴァー篇」という章はありません。この本の"Aiming Point"(照準ポイント)は、ボールをダウンブローに(下降軌道で)打つことを推奨しているのですが、著者Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)は、同じことをドライヴァーにも当てはめようとしているのか?マジで?これは「フルスウィング篇」には収め切れないので、このように独立させました。結論から云えば、「イエス!」なのです。

「高名なインストラクターたちの多く(本や雑誌に登場する人々はもちろん)が、ドライヴァーは上昇軌道で打つべきだと唱えているのには呆れてしまう。これほど真実から隔たったものはない!彼らの云うことに耳を傾けてはならない!

ボールがティーに乗っていようが、フェアウェイの地面にあろうが、あなたがどのクラブを使おうが、スウィング弧の最低点は常にボールのターゲット方向10センチである。やや下降気味で打つことが、インパクトでのフラットな左手首を保証してくれる。その理由は、クラブが上昇し始めるとすぐ左手首は凹型に折れ易く、フラットな角度を損なってしまうからだ。

インストラクターの中には、ボールを打つ瞬間、ドライヴァーの軌道は水平になるべきだと主張する人もいる。これは『上昇軌道で打て』よりはマシだが、私に云わせればこれも間違いだ。ゴルフ・スウィングは円運動であり、そのどこにも水平な部分など存在しない。クラブは上昇するか下降するかどちらかである。

私が携わっているCBS-TVゴルフ中継では、Swing Vision(超スロー・モーション・ヴィデオ)によって、世界のトップ・プロたちのドライヴァー・ショットのインパクトがハッキリとやや下降気味に撮影されている。

私は練習場へ行き、ボールの10センチ向こうを照準に50発、7.6センチ向こうで50発、ボールの手前2センチで50発打ってみた。第二のグループのボールは平均距離が18ヤード減、正確さが7ヤード減であった。

『低重心でロフトの多い、最新の打ち易いクラブを使えばどうなのか?』と云われるかも知れない。それも試してみた。7ヤード正確さが失われたが、距離の減は8ヤードだった。最新の打ち易いクラブは、そこそこの距離は出してくれる。しかし、最新技術でも上昇気味に打つことによる不正確さの問題は解決出来ないということだ。

Sam Snead(サム・スニード)も云っている、『上向きにボールを打つのは、ゴルフ・ゲームの大敵である』と」

以上でお分かりのように、著者Bobby Clampettの理論は現在主流である「上昇軌道でドライヴァーを打つ」と真っ向から対立するものです。しかし、彼の表現は常に「やや下降気味」であって、他のクラブのように「ディヴォットを取れ」というものではありません。安心しました。

【参照】
・「The Golfing Machine」(tips_87.html)
・「インパクトの研究」(tips_112.html)
・「インパクトの研究(チッピング篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(ピッチング篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(フルスウィング篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(レイトヒット篇)」(tips_131.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(道具篇)」(tips_113.html)

(March 17, 2008、増補November 22-23, 2015)


日替わりボール位置

'Day-to-day ball position'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)

「Seve Ballesteros(セヴェ・バレステロス)は、毎日一定のボール位置でスウィングするのはトラブルの因だと信じている。彼は、ある日の身体は不活発だったり、ある日は柔軟だったりするのだから、ボールをどこに置くかはその日の感じで変わるべきだと云う。

『身体とクラブの動きがいつもより遅いと感じた場合、私はボールをターゲット寄りに置く。これだと機敏でない身体がインパクトでクラブフェースをスクウェアにする時間が稼げる。反対に、私の身体が柔軟で早いスピードでスウィング出来る場合、ボール位置を通常より後方にする。これは、ヒッティング・エリアで私の上体が後方に留まる助けとなってくれる』」

(March 17, 2008)


スウェイか否か

インストラクターJimmy Ballard(ジミィ・バラード)によるバックスウィングで右足体重にする重要性。

[Connection]

'How to Perfect Your Golf Swing'
by Jimmy Ballard with Brennan Quinn (Golf Digest/ Tennis Inc., 1981)

「人気ツアー・プロJimmy Demaret(ジミィ・デマレ、1910〜1983)がかつてこう云った、『Ben Hogan(ベン・ホーガン)は、バックスウィングでちょっぴりスウェイしている。それは多くのトップ・プレイヤーがやっているもので、スウィングのトップで中央右に動く』…と。彼は寛容ではあるが、それでもなおスウェイだと主張している。Ben Hoganはスウェイしていない。彼は左サイド全体を捻転し、右脚で踏ん張っている。彼は“壁”を越えてはいない」

“壁”とは何か?著者Jimmy Ballard(ジミィ・バラード)は、《アドレスした右脚の外側に仮想の壁を作れ》と主張します。バックスウィングでその“壁”を越えればスウェイなのです(壁に接触するのはOK)。

「可能な限り身体を捻転すべし。ただし、バックスウィングにおける体重は右足・右脚・右股関節など全ての“内側”に保つこと。誤解しないでほしい。体重が右股関節に乗るとか、右股関節上部に乗るなどと云っているのではない。右股関節の“内側”である。もし、右股関節の上に体重を乗せると、ゴルファーは右膝の柔軟性を失ってしまい、体重を右足の外側に移すことになり、土台となる支点を破壊してしまう。

あなたは『でも、“壁”に向って捻転すればボールから遠ざかってしまうのでは?それはスウェイじゃないの?」と云うと思う。答えは『ノー』だ。多くのゴルファーがボールから遠ざかったりスウェイすることを恐れるあまり、実際にはターゲット方向にスウェイしている(=リヴァース・ピヴォット)。

次にあなたは『スウェイじゃないとしても、頭が右に動いてもいいの?』と云うかも知れない。スウィングのトップへと捻転する際、頭は単純に背骨に従うべきである。頭が動く巾はアドレス時のボール位置と頭の位置関係で決まる。それは左右どちらが利き目で、どのようにボールを見るかによっても異なる。利き目が左のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、頭を右に向けてアドレスし、スウィング開始の前に頭をさらに右に廻した。もし、Jack Nicklausにこの動作を止めさせたら、彼は80を切れないに違いない。プレイヤーは個々の視覚的要素と快適さによって頭の位置を決定すべきである。

スウィングのトップで、体重は右足・右腰の内側にあるべきであり、右腰とバランス・ポイントはボールの後ろ15〜20センチになるべきだ。もしJimmy Demaretの言を正しいとすれば、あなたもBen Hoganのように“スウェイ”すべきである」

(March 21, 2008、改訂June 02, 2015)


正しいスタンス

インストラクターJimmy Ballard(ジミィ・バラード)による正しいスタンスのあり方。

[stance]

'How to Perfect Your Golf Swing'
by Jimmy Ballard with Brennan Quinn (Golf Digest/ Tennis Inc., 1981)

「優秀なゴルファーの全ては、右足はターゲット・ラインにスクウェアに、左足はやや外側に廻している。Ben Hogan(ベン・ホーガン)のアドレスは理想的である。両足それぞれに時計の文字盤を視覚化した場合(図)、右足はほぼ12時、左足は10時と11時の間になる。

【編註:似たような図はBen Hoganの'Five Lessons'『モダン・ゴルフ』にもあるのですが、左足の開き加減を度数で説明しているので解りにくい。文字盤の方が明解です】

上のようでなく両足を12時に揃えた場合、バックスウィングの捻転はうまく行くが、ダウンスウィングは左足が左サイドを邪魔するため、うまく捻転をほどけない。また、仮に右足を2時にすると、バックスウィングの際の体重は右脚・右足の外側に逸脱してしまい、左への体重移動は絶望的となる。

もう一つ、標準的ゴルファーが冒す過ちはスタンスの巾である。恐らく80%の人々のスタンスは狭過ぎる。一般的に云って、5番アイアンのフルショットにおけるスタンスは肩幅、それより長いクラブではほんの僅か広げ、6番アイアンからウェッジにかけては狭める。この“肩幅”の解釈に関し、多くのゴルファーに誤解がある。肩幅と云った場合、両肩の突端から突端までの長さであり、それを『両踵の“内側”』に適用するべきだ。『両足の“外側”』ではないので注意」

私も誤解していたクチです。しかし、両踵の“内側”を肩幅に広げると、全部プッシュしてしまいます。脚を広げ過ぎると、私の固い身体ではダウンスウィングの腰の回転がうまく行かないようです。

【参照】「超簡単・スライスとプル防止法」(tips_112.html)

(March 24, 2008、改訂June 02, 2015)


リヴァース・ピヴォットとブロック

インストラクターJimmy Ballard(ジミィ・バラード)によるリヴァース・ピヴォットの戒め。

[Connection]

'How to Perfect Your Golf Swing'
by Jimmy Ballard with Brennan Quinn (Golf Digest/ Tennis Inc., 1981)

「ゴルファーは自分のスウィングを見ることが出来ない。だから、問題を抱えたゴルファーにはヴィデオ・カメラは最大の贈り物である。私がゴルフ・スクールの生徒たちにヴィデオで彼らのバックスウィングを見せた時、一人は『これは誰ですか?』と聞いた(自分のスウィングが余りにもひどくて認識出来なかった)。ある一人に、彼のバックスウィングとSam Snead(サム・スニード)とJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のバックスウィングを並べて見せた時、彼は『(飛行機の座席にある)嘔吐袋はありませんか?』と云った。

人間の身体というものは常に釣り合いを保とうとする。塀の上を歩く子供にしろ、平均台の上の体操の選手にしろ、体重が一方に傾き過ぎて釣り合いが失われようとすると、無意識の自然な推進力が反対側に加わってバランスを中心に保とうとする。

ゴルファーがアドレス時に70%体重を右足にかけてスウィングをスタートすると、バックスウィングの途中でバランスとスウィングの中心は過度に左足に移ってしまう。これはターゲット方向へのスウェイであり【編註:身体はCの字になる】、絶対に避けなければならないリヴァース・ピヴォット(枢軸の反転)である。これはボール後方へ捻転すべき動きを妨げてゴルファーの持つパワーを破壊するだけでなく、インパクトでクラブがボールに向ってスクウェアに戻ることを不可能にする。

トップが形成されるまでに体重が圧倒的なまでに左足(あるいは左爪先)にかかっていると、ダウンスウィングで体重は右足に移らねばならなくなる(体重は既に左足にかかっているわけだから、もう左に移すことは不可能だからだ)。両脚のテコの作用と抵抗は失われ、両脚と身体の大きな筋肉は動けなくなってしまう。この結果、トップから手と腕による手打ちを余儀なくされる。フェースはオープンになり、弱々しいスライスとなる。それを避けようと両手を返せばプルになってしまう。

上級者もリヴァース・ピヴォット気味になることがある。初級者ほどひどくはなく、体重はある程度右に乗っている。程度問題である。プッシュ、飛距離不足、時折のフックなどを経験する上級者のスウィング軌道は悪くなくても、インパクトでフェースがスクウェアにならない。当人はクラブがリリース出来ないとこぼす。これは“ブロック”と呼ばれる現象である。ブロックの原因はアドレス時にまで遡ってチェックしなければならない。【編註:多くの場合、ブロックはリヴァース・ピヴォットの副産物である】

リヴァース・ピヴォットやブロックはツァー・プロにも忍び寄る過ちだ。ブロック症状のプロのスウィングは素人目には申し分なく見える。しかし、プロが受け取る賞金の額は激減してしまう」

Ben Hogan(ベン.ホーガン)の'Five Lessons'『モダン・ゴルフ』のイラストの元となった膨大な写真を点検したDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は、'The Fundamentals of Hogan'(邦訳『モダン・ゴルフ徹底検証』)という本で、「Ben Hoganのトップは若干リヴァース・ピヴォットに見える。彼の上体はボールの真上にあるが、腰はターゲット方向に傾いでいる」と指摘しています。'Five Lessons'は、Ben Hoganがマスターズ、U.S. オープン、全英オープンに優勝した最盛期(1953年)の四年後に出版されています。彼のリヴァース・ピヴォットはこの四年の間に生じたものかも知れません、1953年以後、Ben HoganはColonial National Invitation(1959年)に一勝しただけで、それ以外のツァー優勝はありません。

(March 29, 2008、改訂June 02, 2015)


スウィングの出口がショットを変える

'Hit the wall'
by Chuck Cook with Pete McDaniel ('Golf Digest,' April 2008)

この記事を文章だけで紹介するのは大変難しい。私の筆力も問われるわけですが、読者諸氏の視覚化能力も試されるとお考え下さい。よく理解出来なかったら、お互い様ということで…。もし、首尾よく理解出来れば、この記事はかなり有益です。

ここで“出口”というのはインパクト後、両手がターゲットを指す時点のことです(フィニッシュではありません)。この時のクラブの角度と両手首の向きがどうなっているかが焦点です。

さて、インストラクターChuck Cook(チャック・クック)の注文は、「両踵を結んだ線に沿って“壁”が存在すると想像してくれ」というもの。「そんな壁があったらバックスウィングも出来ないじゃないか」と突っ込まないで下さい。この記事はあくまでもスウィングの“出口”の状態を分析するものなので、身体半分からターゲット方向にだけ壁がある…ということです。

「どんなスウィングをしようが、左手の手首をフラットにし続けること。クラブフェースはその手首の角度を反映するから、《フラット=スクウェア》ということになる。フラットな左手首は、ソリッドなコンタクトとパワーを生むスウィングの拡張をもたらしてくれる。

あなたの背後に、ターゲットラインに平行に“壁”が立っていると仮定する。インパクト後、スウィングの“出口”でクラブはこの“壁”に衝突する筈だ。その時の衝突の仕方と両手首の向きによって、三つのタイプに分類出来る。

・コントロール型出口
 極めて正確なショットを打つプレイヤーの多くは、手の動きによってクラブフェースを操作したりすることなくボールの飛行をコントロールする。この型のプレイヤーはインパクトにかけて大きなターンをし、クラブヘッドよりも左腕とグリップエンドが先行して“壁”に当たる。左腕は右腕の上で伸ばされており、左手甲は天を向いている。

 上のアクションはクラブフェースの回転を減少させる。ニュートラル・グリップだとフェードに繋がるが、この型のプレイヤーの多くはストロング・グリップを採用しているので真っ直ぐに飛ばすことが出来る。

【例】Jim Furyk(ジム・フューリク)、Zach Johnson(ザック・ジョンスン)

・スピード型出口
 この型はクラブをフルにリリースするため、目一杯の距離が得られるものの正確性は保証されない。身体が急速にブレーキをかけるので、両腕とクラブは鞭のように身体を通過する。前腕部は回転し、手首は再コックする。クラブヘッドはグリップよりも先に“壁”にぶつかる。左腕は回転して右手の下になっており、左手甲は地面を向いている。

 ニュートラル・グリップでこの型のスウィングをするとドローになり易い。

【例】John Daly(ジョン・デイリィ)、Adam Scott(アダム・スコット)

・ミックス型出口
 これは上の二つの型が混じったもので、クラブ全体が“壁”に当たる。偉大なプレイヤーが真っ直ぐなボールを打つ時にこの型を用いる。左腕は曲げられて右腕と水平に並び、左手甲はターゲットラインに平行である。

 身体と両腕、クラブはインパクトにかけて一体となって働き、ターゲットラインに真っ直ぐ向ってクラブがリリースされる。これは距離と方向両方において満足すべき結果が得られる。

【例】Ben Hogan(ベン・ホーガン)、Sam Snead(サム・スニード)、ストレートに打つ時のTiger Woods(タイガー・ウッズ)

《ミスショットへの対処法》

・スライス
 大方のスライサーはウィーク・グリップをして、インパクトでクラブフェースをオープンにする。彼らはアウトサイド・インにスウィングしながら、クラブフェースを返してスクウェアにしようと舵を取る。これを直すには、グリップをストロングにして「スピード型出口」の練習をすべきである。

・フック
 フックは、インパクトにかけてスウィング軌道が過度にインサイド・アウトの場合に出現する。もししつこいフック病に悩んでいるなら、「コントロール型出口」を練習すべきだ。やがては「ミックス型」に到達出来るであろう。

・ダフり
 これはアンコックがあまりにも早く、スウィングの最低点がボールの手前に来てしまう結果起る。この症状がある人はストロングめのグリップに変え、「コントロール型出口」でパンチ・ショットの練習をするとよい。

・トップ
 フックと同じように、過度なインサイド・アウトのスウィングをするせいで起る。それは浅過ぎるボールへの攻撃角度に繋がり、クラブフェースの低い部分でのコンタクトを生んでしまう。この傾向があるなら、「コントロール型出口」の練習をすべきである」

(April 01, 2008)


右手人差し指を伸ばせ

'Use your trigger to increase feel'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' November 2007)

「パターをコントロールする方法の一つは、右手の人差し指をグリップの下方に伸ばすことである。これはパッティングを司るグリップの有効範囲を拡張し、いいコントロールを与えてくれる。

拳銃の引き金を引くように人差し指を緩く伸ばしてみる。もっと劇的な変化を望むなら、シャフトに沿って完全に伸ばしてもよい。いずれにしても、クラブに軽くあてること。でないと、折角得ようとしたフィーリングを失ってしまう」

(April 04, 2008)


アドレス前の儀式

The Masters 2008の優勝者Trevor Immelman(トレヴァー・イメルマン)のプレショット・ルーティーンが気になりました。 いえ、全体のことではなく、ごく一部、彼が飛行線の狙いを定めるアクションだけのことです。彼はボール後方に立ち、何度もターゲット方向とボール付近に目を往復させます。

彼以前に印象に残っているのは、スペインのヴェテランJose Maria Olazabal(ホセ・マリア・オラサバル)のアクションです。彼はアドレスを完了させてから、ターゲットを見てボールに目を戻し、100ヤード付近を見て目をボールに戻し、同じことを50ヤード付近、20ヤード付近、10ヤード付近、5ヤード付近(全て距離は私の推定)…という風に繰り返してからスウィングを開始します。これは距離のあるショットでは必ず一定のテンポで行なわれます。

Trevor Immelmanのアクションはアドレスに入る前なので、Jose Maria Olazabalとは一寸違いますが、両方に共通するのは「もっとスピーディに出来ないのかな?」という焦れったさを感じさせる点です。

そのうち、私はTrevor Immelmanの目線の特徴に気づきました。ターゲットを見上げる場合は普通なのですが、ボールに目を戻した時の目線がかなり低いのです。そして、彼の上半身アップの映像ではなく、全身が映った時にびっくりしました。彼はボール後方約2メートルの地点に立って狙いを定めていたのです。なぜ、びっくりしたのか、御説明しましょう。

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は、彼の著書'Golf My Way'において狙いの定め方を次のように説明しています。「ボールのターゲット方向数フィートのところ(60〜90センチ)に、草などのマークを見つけ、ターゲットとそのマークとボールを結んだ線にクラブフェースを合わせる」これを下図のN地点(ニクラスのN)とします。

Target←ーーーーーーーーーーーーーーNーーーPーーー【ball】ーーーーT

しかし、ゴルフ本などではボールのターゲット方向30数センチ辺りにマークを見つけるのが一般的なようです(図のP地点。ポピュラーのP)。私の場合はずっと以前からボール後方50センチほどに目標を定めています(図のT地点。私の姓)。これの利点は、一旦ボール後方50センチほどのところに何かマーク(枯れ草や砂利、埋まったティーなど)を見つけたら、その二つを結んだ線を視覚化しさえすれば、そのラインに平行に両足を揃えられることです(とても簡単)。同じラインに沿ってクラブフェースもスクウェアにセットします。

Trevor Immelmanの目線はかなり下を向いていましたが、最初私は彼がボールのすぐ後ろに立っているものと想像していました。その通りなら、彼もN地点かP地点を見ていたことになります。しかし、ボール後方約2メートルの地点に立っているとなると話は別です。彼の焦点はN地点でもP地点でもなく、ボール後方のT地点前後にあった筈です。ええ、私はボール後方に目標を置くメソッドを説くプロやインストラクターが少ない(ほぼゼロ)ので、助っ人が欲しいのは間違いありません。The Masters優勝者が私と同じメソッドなら、これは心強い限りですからね。いずれ、ゴルフ雑誌にこの件に注目した記事が載ることを祈っています。

ついでなので、私の方法を詳述しますと(偉そうに思われると困るのですが)、ボール後方に立った私は目標地点(ボール落下地点)に両手で45°に立てたクラブヘッドを合わせ、シャフトに沿って目を下げてグリップ上部越しに地面に何かマークを見つけます(完璧な直線なので絶対正確)。そのマークから目を離さずに、廻り込んでボールとマークを結んだ仮想の線に平行にアドレスするわけです。なお、このクラブを45°に立てた時のグリップ圧は、強過ぎず弱過ぎず最も適切なプレッシャーとされています。つまり、一挙動で二つの要素(グリップ圧確認とT地点の選択)を行なっていることになります。そして、Trevor Immelmanのように長い長い時間を必要としないのもメリットです。

【参照】
・「ボールの後ろに目標を」(tips_43.html)
・「適切なグリップ圧」(tips_52.html)

(April 13, 2008)


「二つのプレーン」への疑問

'One plane vs. Two plane'
by Jim Hardy with Matthew Rudy ('Golf Digest,' May 2008)

2005年に「二つのプレーン」(tips_90.html)を紹介した時、「これはひょっとすると今世紀最大の発見かも知れません」と書きました。体型とスウィング・プレーンの相性をシンプルに確定する発想は見事に思えたのです。と同時に、「二つのプレーンのどちらにも優劣はない」と云いつつ、必ず1プレーンを贔屓する著者Jim Hardy(ジム・ハーディ)の姿勢は妙だという気がしました。

当時から三年経ち、Jim Hardyの教え子たち(Peter Jacobsenなど)は現在目立った活躍をしていません。そのせいかどうか、今回の'Golf Digest'の記事では二つのプレーンは誌面の面積的にもほぼ互角の扱い方をされており、1プレーンを優遇するような作為は見られません。Jim Hardyも「二つのプレーンのどちらにも巨万の賞金を得たプロが存在する。私はただ、それぞれのプレーンに特有のパーツの組み合わせを混ぜこぜにして欲しくないと願っているだけだ」と謙虚です。

彼の定義によれば私は2プレーンに属します。今回の記事を読んで、「ふーん?」と思った点と「矛盾してるじゃん!」と思った点があります。

「・2プレーンの人のプッシュ防止法
 2プレーンのゴルファーは左から右へのショットが得意に違いない。このタイプのプレーヤーの危険な瞬間は、インパクトにかけて急角度から浅い角度への推移でクラブフェースをオープンにしがちなことだ。もし、ボールを左足の方に充分に寄せていないと、マイルドなフェードの筈が弱いプッシュ・スライスに変貌してしまう。

 ボールを左足踵の前に移してアドレスする際、両手をターゲット方向に突き出して【編註:真っ直ぐな左手とシャフト、それに右手と右脚で逆Kの字を形成して】しまわないように注意すること。これは右肩をボール方向に押し出すため、狙いを左に逸らせてしまう。両手はボールのやや後方にとどめ、両肩をターゲットラインに平行に維持すべきである」

これは私のゴル友であり理論家のJack(ジャック)から指摘された点でもあります。入門時にJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の本を熟読していた私は、黙っていれば自然に逆Kの字のアドレスになってしまうのです。上のJim Hardyの指摘は、私が生来のフック打ちである点で見当違いなのですが、逆Kの字から当世風の「AnnikaのYの字アドレス」に移行すべきことを示唆している点では正しいようです。

「・2プレーンの人はインパクト前後のフラット・ゾーンを拡張せよ
 2プレーンのゴルファーは急角度でボールに打ち下ろす。これはショートアイアンの場合にはコトを難しくする。

 練習場のマットに付いているゴムのティーで、次のような練習をしよう。ウェッジを用い、高いティーにボールをセット。短い、膝下の範囲のスウィングで、ティーに触ることなくボールをクリーンに打つ練習をする。これはスウィング弧に長くフラットな底辺を作り出してくれる。クリーンに打てるようになったら、マット上に置いたボールを先ほどと同じ掃くようなスウィングで打つ。

 ショートアイアンのスウィング弧の底辺をフラットにするもう一つの方法は、3/4(スリークォーター)スウィングでパンチショットすることだ。これはスウィングからアップライトな要素を排除し、クラブに身体の周囲を低く回転させる要素だけを残すものだ」

Jim Hardyの理論は、「2プレーンのゴルファーはボールに近く立ってアップライトに振れ」というものだったのですが、ここに来て急に「ショートアイアンではフラットに振れ」という相反する理論を提起しています。クラブシャフトが短くなれば、否応なくボールは身体に近づき、自然にスウィングはアップライトになるものです(2プレーンだろうと、1プレーンだろうと)。それをフラットに振れとは?また、クラブ別にスウィングを変えるというのは感心出来ません。ゴルフを複雑にしてしまいます。

彼の理論に疑問を感じたのは、実はこれが初めてではありません。この記事を読む前、ゴル友Jackから「トップをフラットにしてみたら?」と云われたことがありました。JackはBen Hogan(ベン・ホーガン)のファンなので、短身にもかかわらずかなりフラットなスウィングを指向しているのです。試しにフラット目に振ってみたら、いいボールが出ました。私のその後のラウンドで、どうもショットの方向が定まらないと思った際、Jackの言葉を思い出してフラットにスウィングしてみました。満足出来る結果でした。この頃から「二つのプレーン」への疑念が芽生えていたのです。「度合いの問題かも知れないが、私もフラット目に振るべきなのではないか?」

その後の練習で試してみました。結局、(手ではなく)身体を使ったスウィングをすれば、アップライトでもフラットでも問題なくいいショットになるようです。

【参照】
・「二つのプレーン」(tips_90.html)
・「二つのプレーンの続編」(tips_109.html)
・「AnnikaのYの字アドレス」(tips_84.html)

(April 16, 2008)


振り子式パットの際の肩の角度

1) パターなしで鏡に横向きに立ち、アドレスのポスチャーをとる。
2) 手はぶら下げて掌を合わせてもいいし、胸の前で交差させて組んでもいい。
3) バックストロークの動きをし、肩がスクウェアかどうか鏡で点検する。
4) フォワードストロークの動きをし、肩がスクウェアかどうか鏡で点検する。

[eyeline]

驚きました。私の場合、バックストロークで両肩を結ぶ線はクローズになり(左肩に邪魔され、右肩は鏡に映っていない)、フォワードストロークではかなりオープン(右肩はモロ見え)になっていたのです。これはインサイド→←インサイドのストロークにはいいでしょうが、ストレートなパッティングとはとても云えない代物です。クローズにした分正確にオープンに戻して帳尻を合わせない限り、スクウェアに打つことは出来ないからです。

色々試してみたところ、バックストロークでクローズになるのは、「仮説・パットの目線の問題」(tips_110.html)と関係することが分りました。現在の私の場合、ターゲットからボールに目を戻した時、右図のDになり易く、その目線に沿ってパターを引くためクローズになるようです。両目をターゲットラインに平行になるように調節すると、バックストロークの両肩もほぼスクウェアになります。

フォワードストロークでオープンになるのは、どうも右手主導でストロークしようとする時に起るようです。数日前にパット総数24だった日は、インパクトでボールの北半球を上向きに打つ(アッパーカットする)ことに専念しました。この動きを模倣すると、私の両肩はスクウェアに近く留まり、オープンにはなりません。

推測ですが、普通にストロークすると右利きの人間の身体は、右手を伸ばすだけでなく右肩をも押し出してフォワードストロークを助けようと動くようです。ボールの北半球をアッパーカットで打とうと努力するのは、(手を伸ばしてボールを送り出す動作ではなく)正確にボールの一部に当てようとする動きですから、右手の伸張と右肩の押し出しが抑制されるのでしょう。多分、これが先日のパット総数24達成の理由だと考えられます。つまり、「北半球をアッパーカットに打つ」ことが正確なパッティングの原動力と云うよりも(これも役には立つのですが)、それはスクウェアなストロークを可能にしてくれる引き金になるだけであり、実際にはスクウェアになる両肩がパットを成功させてくれたのではないかということです。

(April 21, 2008)


パットの右肩を静止させる

'Get your spine in line'
by Jerry King with Matthew Rudy ('Golf Digest,' April 2008)

「トップ・クラスのプレイヤーでさえポスチャーに関連したミスを冒す。その一つは、ストロークする間、ボールを追うように右肩を前方に押し出す動きだ。これはプルを生じるか、辻褄合わせのためにフェースをオープンにし続けてプッシュとなる。どちらにしても、正確さを損なう近道である。

右手一本でパットの練習をしよう。その時、左手はそっと右肩を押さえる。ストロークの間、肩が上下するのは問題ない。しかし、右肩がボールに向ってしゃしゃり出て来るのは不可」

(April 21, 2008)


前頁 ← | → 次頁



 Copyright ©  1998-2017   高野英二  (Studio BE)
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.