'A multitude of motions'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「パッティングには独自性が許されているため、多くの人がグリップやスタンスなどに多少の変化をつけている。しかし、長い歴史の中には“多少の変化”どころではない異端のパッティングをする者も存在する。
George Low(ジョージ・ロウ)は1940〜1950年代にかけてプロであったが、パッティング・コーチとして有名になった。彼のメソッドは、ゴルフの格言の多くからかけ離れたものだった。彼はパターをフィンガーで握り、右手の親指と人差し指をピストルを射つような形にした。右手の親指は縮め、親指の腹(手の中で最も感受性の鋭い部分)をクラブの真上に位置させた。
彼は、身体を動かさずに立ち、目はボールの真上、体重は左足踵に集中させ、スクウェアかややオープンスタンスがいいと主張した。ストロークはインサイド→スクウェア→インサイド【編註:Stan Utleyのメソッドと同じ】で、若干手首の動きを加える。オーヴァー・スピンを与えるため、ややボールに向って打ち下ろす。彼は『ボールの中央から上を打てば、スキッドやスライドを防いで直ちにボールを転がすことが出来る。パター・フェースの上半分によって、ボールの赤道から上を打たなくてはならない』と云った。彼はまた、非常にゆっくりしたテイクアウェイで、一定の早さのストロークをすべきだと説いた。
日本の最も成功したプロ青木功は、パッティング・テクニックのルールとされていることのほとんど全てに“違反”しながら偉大な成功を収めている。パターのヒールをボールに当ててアドレスし、手首を曲げるため両手は低く、クラブのトゥは地面から浮いている(このためには、ソールが円いパターでなくてはならない。青木はさらに、ヒール寄りにスウィート・スポットを移すため、そちらに鉛テープを貼っている)。腕は動かさず、手首のコックとアンコックで、コツンとボールを叩く。フォロースルーはほとんどなく、すぐパターヘッドを止めてしまう。ツァー・プロHubert Green(ヒューバート・グリーン)は『青木のパッティングは妙チキリンに見えるだろうが、スコアカードの数字は妙チキリンじゃないよ』と云っていた。
英国人Paul Trevillion(ポウル・トレヴィリオン)によって、1970年代に広められた“完璧なパッティング・メソッド”も妙なテクニックだ。彼はハイハンデだったが二年間パッティングについて研究し、身体は普通のパッティングの位置ではあるもののSam Snead(サム・スニード)のサイドサドルに似たスタイルを作り出した。かなり屈み込んで、両手を30センチも離してシャフトを握る。下になる右手はパターヘッドの上30センチ以下のところを持ち、その右手の人差し指は伸ばす。左手でパターの先端を持つが、それは右前腕部で保持される。彼はターゲットラインに沿って右手で振り子運動を行なう。『4フィート(1.2メートル)以下なら失敗の余地はない』と豪語した。事実、彼は4フィートのパットを1,000回連続で成功させた。1996年に、彼は世界的ゴルファーたちに賞金$1,000,000のパット試合を呼びかけたが、受けて立つ者は皆無だった」
(November 04, 2007)
'Precision Wedge and Bunker Shots'
by Jim Fitzgerald with Dave Gould (Human Kinetics, 1998, $16.95)
「先ず、両足で砂の固さを感じ取る。
・ボール位置はスタンスのターゲット寄りにし、クラブがあまりにも深く潜らないようにする。
・固い砂ではクラブの跳ね返りが大きい。バウンスが少ないか、スクウェアなフェースのサンド・ウェッジを選ぶこと。もし極端に固い砂の場合、ピッチング・ウェッジを選ぶ方がいいこともある。
・柔らかい砂の時のように力を込めたり、大きなフィニッシュをとらないこと」
(November 04, 2007)
'Heel of an idea'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「スウィートスポットで打とうと思ったら、その真正面にボールが来るようにアドレスするのが普通。しかし、ツァー・プロにはクラブのヒールでボールにアドレスする者もいる。【編註:ヒールをボールに当てて構えているCorey Pavin(コリィ・ペイヴン)、Fuzzy Zoeller(ファズィ・ゼラー)、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)、Andrew Magee(アンドルー・マギー)、Billy Andrade(ビリィ・アンドレイド)などの写真が並んでいる】
彼らの論拠は、『アドレスでは両腕はリラックスしていて、腰と肩はターゲット・ラインに平行である。しかし、インパクトでは左腰と(ごく小さな範囲であるが)左肩が若干ボールから遠ざかる動きをする。つまり、ダウンスウィングではクラブが身体の方へ引かれるわけだ。だから、ボールにヒールを添えてアドレスすれば、インパクトではクラブの中心で打てることになる』というもの。
ヒールでアドレスする利点は他にもある。1) ボールに近く立つことになるため、正しいポスチャーで両脚に平均した体重のままリラックスするのが容易になる、2) もしミスヒットしても、トゥで打つよりもヒールで打つ方がシャフトに近いため、いい結果が得られる」
【参考】
・「Sergio Garciaのアドレスの秘密」(tips_100.html)
・「続・Sergio Garciaのアドレスの秘密」(tips_100.html)
・「インパクトの物理学(トゥ寄りでアドレスすべき理由)」(tips_176.html)【←お薦め】
(November 08, 2007、改訂June 02, 2015、増補August 27, 2018)
'The Way of an Eagle'
compiled by Robert Darden and P.J. Richardson (Thomas Nelson Publishers, 1996, $19.99)
この本はプロ・ゴルファーたちが、自分が育った宗教(キリスト教)的環境、信仰がゴルフを支えてくれた瞬間、および彼らから読者に贈るゴルフtipsという三部構成で、43人の男女が執筆した原稿をまとめた珍しい本。今回は元PGAツァー・プロ&インストラクターStan Utley(スタン・アトリィ)のtip。
「アマチュアが全然理解していないのは、サンドウェッジのデザインについてである。サンドウェッジの底部には大きな膨らみがあり、それが砂からの脱出を助けてくれるのだ。
アマチュアが認識すべきなのは、ウェッジのリーディングエッジを砂に突入させるのではないということである。突入させるべきなのは、リーディングエッジの背後にある“バウンス”と呼ばれる部分である。そこはなだらかではなく、リーディングエッジより角度がついて盛り上がっている。
その部分を水切りの石のように用いるのだ。小石を水面に向って投げる場合、石の底部が水を打つように投げる筈だ。それによって小石を水の表面で弾ませることが出来る(石の先端が水に接触すれば、石は沈んでしまう)。同じように、バンカーでもサンドウェッジの底部が最初に砂と接触せねばならない。ボールの2〜3インチ(約5〜8センチ)後ろにウェッジを入れ、バウンスが砂を弾くに任せれば、クラブが砂にめり込むことはなく、砂がボールを運んでくれる。
もし、リーディングエッジが最初に砂に突入するようだと、それは砂にめり込み、ボールの真下を走り、ボールは思ったように出て来ない。一度はうまく行ったりするかも知れないが、次には4フィート(約1.2メートル)ぐらいしか動かなかったりするだろう。
しかし、ウェッジの底部を使うことを覚えれば、より攻撃的に(目一杯)スウィングすることが可能になり、ボールはバシャっと空中に飛び出し、グリーンにソフトに着地する筈だ。水切りは誰にでも出来ることであり、それがアマチュアを助けるイメージになると信じている」
もう一つ、同じ本からツァー・プロTed Schulz(テッド・シュルツ)の言葉。「いいバンカー・プレイヤーになることは重要だ。グリーンに向って打つ時、バンカーを恐れる必要がなくなるからだ。恐れはエラーに結びつき易い。いいバンカー・プレイヤーになることは、他の部分のプレイを助けてくれるのだ」
(November 12, 2007、訂正January 07, 2017)
'The Way of an Eagle'
compiled by Robert Darden and P.J. Richardson (Thomas Nelson Publishers, 1996, $19.99)
この本はプロ・ゴルファーたちが、自分が育った宗教(キリスト教)的環境、信仰がゴルフを支えてくれた瞬間、および彼らから読者に贈るゴルフtipsという三部構成で、43人の男女が執筆した原稿をまとめた珍しい本。今回は元PGAツァー・プロRik Massengale(リック・マッセンゲイル)のtip。 「私のアマチュア時代、四つのメイジャー・タイトルの持ち主Raymond Floyd(レイモンド・フロイド)とラウンドしたことがある。彼が私に尋ねた。『パットをする時、どこを見るね?』と。私はボールを見ると答えた。彼は私が正しいところを見ていないと云った。 彼は『ボールを睨みつけるだけじゃ駄目だ。パターが接触するまさにその一点を見なきゃいかん。それが出来れば、毎回しっかりした転がりを望みのところへ届けられる』と云った。 これはビリヤードでボールを打つ方法に酷似している。ビリヤードのプレイヤーは球の真後ろのどこか一点をキュー(棒)の先端で狙う。【編註:球の上端を打てば前方回転、下端を打てば逆回転、左端を打てば右カーヴ、右端を打てば左カーヴとなる】 キューが接触する一点を見なくてはいけないわけだ。 大学時代、このRaymond Floydのtipを実行して『よく頭を残してるね』と云われたものだ。その理由は、私が真剣にボールの一点を見ていたからだ。私はパターがボールに当たる瞬間を常に見ていた。目がボールの行方を追う前に、ストロークは完了していた。 |
誰しもパットの成功・不成功は気になるものだ。しかし、目が動けば、大概の場合ストロークとストロークの方向も動く。パターがボールを打つ瞬間を見つめるようにすれば、常にソリッドにストローク出来、ライン上にボールを転がすことが可能になる」
(November 19, 2007)
このコンパクト・スウィングを推奨する記事は素晴らしい。自己診断テスト・分析・処方と三拍子揃っていて、説得力も充分です。
'4 easy ways to be a more consistent ballstriker'
by Jon Tattersall with David Denunzio ('Golf Magazine,' November 2007)
「あなたの右肩がツァー・プロのように柔軟で、バックスウィングのトップでシャフトが地面と平行になる…などということは殆どありそうにない話である。次のテストを実行して貰いたい。
【テスト】
右腕を身体の横に水平に伸ばし、肘を90°に折る。そこから前腕部だけを出来るだけ後方に曲げる(肘や肩を動かしてはいけない)。このテストは右肩の柔軟性を調べるもので、あなたがどれだけ大きくバックスウィング出来るかを教えてくれる。多くのゴルファーはフル・バックスウィング出来るほどの柔軟性を備えていない。
【分析】
もし前腕を90°に折った(垂直の)状態から後方へ曲げられなければ、あなたの右肩の柔軟性は非常に制限されたものでしかない。バックスウィングで両手がそのポイントに到達したら、そこがあなたにとっての終点と考えるべきである。
もし、その右肩の限界を無理に越えようとすると、以下のようなトラブルが待っている。
・クラブがプレーンから逸脱してしまう。
・背骨の角度が変わってしまう。
・リヴァース・ピヴォットになる。
・クラブフェースがオープンになる。
【処方】
『コンパクトなバックスウィングをする』というのは“云うは易く行なうは難し”の典型である。どの程度コンパクトにすべきかを知ることすら難しいからだ。
バックスウィングを始めたら、左腕の二頭筋(力こぶが出来る部分)が左胸から離れないようにする(左脇の下に虫がいて、そいつを押しつぶすイメージを持つ)。そのままバックスウィングを続ければ、悩むこともなく適切な終点に到達する。左腕と胸の接触を継続すれば、クラブを不要に持ち上げるような害も防ぐことが出来る。
【解説】
あなたが『だけど、遠くに飛ばすには長いバックスウィングが必要だ』などと考えているなら、大間違いだ。スウィングが遅かろうが、コンパクトであろうが、スウィート・スポットで打てた時にのみ一貫してより遠くに飛ばせるのだ。上の左腕のtipは、クラブをプレーン上に保ってくれるため、ボールとのコンタクトが良くなり、余分の飛距離が期待出来るのである」
驚きました。私がテストをやってみると、たった数センチしか後ろに曲げられません。ただ、私の場合、Suzann方式【註参照】なので、自然に左腕の二頭筋が左胸から離れないバックスウィングになっていました。そして、私のバックスウィングの終点はテストの際の限界のずっと手前です。多分、この記事の筆者が見れば、“コンパクト・スウィングの見本”と褒めてくれるかも知れないほど。
【註:Suzann方式=LPGAプロSuzann Pettersen(スザン・ペタセン、ノルウェイ出身)が先年までやっていたスウィングを指す編者による造語。バックスウィングの開始に当たって、先ずクラブシャフトをターゲット・ラインに平行にし、それから初めて左肩を廻し始めるメソッド。現在、彼女はもうこの方式ではプレイしていませんが】
昔、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)が“フライング・エルボー”を認知させるまでは、「右脇にハンケチを挟んで、それが落ちないようにスウィングせよ」と教えられたものでした。「左脇を身体から離すな」というのは、その正反対で面白いです。
この記事には、「腰のターンの限界を知るテスト」、「どこまで背骨の角度を維持出来るかのテスト」、「プロのように手首を返すリリースが可能かどうかのテスト」なども含まれています。最近の雑誌記事の中では出色の企画・内容です。
【追記】私は、完璧に雑草を抉る練習によって、自分の最適の捻転は左肩が雑草(ボール)に達した瞬間であることを知りました。それ以上、あるいはそれ以前でも雑草を抉るのは難しいのです。(August 27, 2018)
(November 23, 2007、増補August 27, 2018)
Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)はPGA of Amaricaのインストラクターであり、Keiser(カイザー)大学の教授兼ディレクターでもあります。10冊以上のゴルフ・インストラクション本を執筆し、新聞連載のコラムも持つ人気インストラクター。
'It's Good for Your Game'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeal Publishing, 2003, $12.95)
「Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)がTiger Woods(タイガー・ウッズ)のスウィングをコンパクトにした時、多くのゴルファーが真似を始めた…肩の回転をおろそかにするという過ちを冒して。肩の回転を少なくすると、距離を大幅に失い、普通正確さも幾分失うことになる。もし、あなたがスウィングを短くしようと思っていたり、正しい肩の回転に問題がある人なら、以下を熟読すべきである。
先ず、筋肉というものは伸ばされること(ストレッチング)が嫌いで、あなたが甘やかせば筋肉は伸びないで済む方法を見つけようとするものであることを忘れてはいけない。肩を回転させず、背骨を持ち上げたり、左肘を曲げたりしてトップを作る方がずっと簡単であることは御承知の通り。
両肩を正しく廻すには、背骨に対して90°回転させる。この時、左肩は顎の下に移り、右肩は首の後ろへと動く。実際には両肩は背骨の周りを水平に回転するのだが、背骨がボール方向に傾斜しているので、両肩の動きは地面に向かって角度がつくのである。
正しい肩の回転の練習をしよう。真っ直ぐ立つ。胸を何度も回転させる。両肩は地面に対して水平に廻る。次に、股関節から上体を折ってゴルフの体勢をとり、先ほどと同じように両肩を廻す。これはゴルフ・スィングと同じものである。重要なのは、両肩は背骨に対して直角に廻るということだ。
ポイントは、左肩をボールに向って下ろそうと考えるとか、体重を左足に残したまま左肩を傾かせたりして体重がボールの後ろに移らないようなミスを冒さないことである。また、両肩を水平に廻そうなどという誘惑に負けると、ボール方向に正しく傾斜している背骨を起してしまい、ポスチャーとボールとの間隔を破壊してしまう。
肩の回転をチェックする方法:スウィングのトップとインパクト直後の両肩を結ぶ線は、アドレス時のクラブシャフトと同じ角度で傾斜しているべきである」
「完璧なフィニッシュを作れ」(tips_109.html)で「私に欠けている要素の最大のものは上半身が右に傾斜したフィニッシュ」と書きました。それが「アドレスとインパクト時の背骨の傾きを維持している姿」であるということも。今回の記事の「実際には両肩は背骨の周りを水平に回転するのだが、背骨がボール方向に傾斜しているので、両肩の動きは地面に向かって角度がつく」とぴったり符合します。インパクト後、すぐ直立してはいけないということを(又も)忘れていました。これが私のショットにムラがある原因のようです。
(December 01, 2007)
ミニ・ゴルフ(あるいはパット・パット・ゴルフ)ですからパッティングに決まっているわけですが:-)。
ミニ・ゴルフ名人であるHans Olofsson(ハンス・オロフソン、スウェーデン、32歳)は、父が共同経営者だったミニ・ゴルフ場で育ち、数々のトーナメントで優勝。今や、ミニ・ゴルフ場デザイナーであり、プロにパッティングを教えるコーチでもあります。その彼が明かす、パッティング成功の秘訣。
'A helping Hans'
by Michael Walker Jr. ('Golf Magazine,' November 2007)
「『難しく考えないこと』というのがHans Olofssonの流儀。
・狙い
ボールから30〜60センチ先のライン上に、砂粒・変色した芝などを見つけ、打つ前にそのスポットを見、カップを見、もう一度スポットを見る。
・構え
両脚は少なくとも肩幅に広げ、股関節から上体を折る。目はボールの真上か、ボールと身体の間。両腕はリラックスさせる。
・両手
レフトハンド・ローが最も自然。Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)もJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)も『(全盛時代)レフトハンド・ローを知っていれば…』と悔やんでいる。
・平行線
腰、両足をラインに揃え、肩は地面の傾斜に揃える。ボール位置はスタンス中央より1インチ(約2.5センチ)ターゲット寄り。パターはスタンス中央に構える。
・三角法
前腕部で三角形を作る。手首は絶対に動かしてはならない。身体を揺るぎなく、かつリラックスさせる。グリップ圧は1〜10に分けた場合3の程度。
・ストローク
バック・バックストロークとフォワード・ストロークの幅を同一にするのが、スムーズに転がす秘訣。長いパットでは(強く打つのでなく)バック・バックストロークを長くする」
(December 04, 2007)
「あなたがコンパクト・スウィングをすべき明解な理由・右肩篇」に続く「明解な理由」シリーズ第二弾。自己診断テスト・分析・処方と三拍子揃っていて、説得力も充分な記事です。
次のような言葉を聞いたことがある筈でしょう。「バックスウィングで肩は目一杯廻す。しかし、腰の回転は極力抑えるべきである。両方を目一杯廻したのではバネの効果が生じないからだ」インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)は“Xファクター”と称してこの理論を確立させました(1996年)。ドライヴァーでのモデルは、肩を100°廻し("/"の文字の下端が捻転度)、腰を60°廻す("\"の文字の上端が捻転度)。"/"と"\"の文字を組み合わせるとΧになり、その交差角度が大きいほどパワーが生まれるというのが“Xファクター”(上の例では40°)。1992年当時のJohn Daly(ジョン・デイリィ)の“Xファクター”は48°だったそうです。しかし、以上はプロの話。以下の記事は「あなたにそんなことは出来っこない」という趣旨です。
'4 easy ways to be a more consistent ballstriker'
by Jon Tattersall with David Denunzio ('Golf Magazine,' November 2007)
「【テスト】
椅子に腰掛ける。両足はリラックスした膝から垂らして床に接する。その右足の爪先から右方に向けて靴かサンダルを横向きに寝かす(物差しの代わり)。右足を僅かに浮かし、それを出来るだけ右方に捩る(膝や太股を動かしてはいけない)。これはあなたの右腰の柔軟性を調べるテストである。
【分析】
右足が寝かせた靴(あるいはサンダル)の幅を越えられないのであれば、あなの右腰の柔軟性は標準以下である。腰を廻さない限り、あなたの肩も廻らない。
あなたの右腰の柔軟性が標準以下なのにプロのように腰の回転を抑えた場合、右にスウェイし易くなる。あなたがダフったりトップしたりするとすれば、腰の回転を抑えた結果以下のような“犯罪”を冒したせいである。
・肩を廻したフリをした。
・身体がボールから遥かに離れてしまった。
・体重が右脚よりも外側に出てしまった。
【処方】
右脚はしっかりと動かずに身体を支えるが、左膝をボール後方まで押し込む。ベルト・バックルがターゲットからかなり遠ざかるまで腰を廻す。こうすれば肩も90°廻り、背中はターゲットを向く。
【解説】
腰を廻したら、ダウンスウィングで戻さなくてはならない。それをトラブルなく実行出来るtipをお教えしよう。《トップに到達するまでに、体重をズボンの右のポケットに詰め込む》と考えるのだ。体重が右ポケットを越えて(身体の外に出て)しまうと、ダウンで左へ戻すのが困難になってしまう」
前回の「右肩篇」も説得力がありましたが、この「腰の捻転篇」にも納得させられます。私のテスト結果は、今回も落第でした。ただし、私は日頃充分肩を廻すことだけ考えていて、腰のことなど無視していましたから、落第でもさほどショックではありません。
筆者に云わせれば、プロは身体の柔軟性を保ち筋肉を強靭にするために毎日運動を欠かさないので、身体の固いアマチュアが彼らの真似をしても益がないのだそうです。
(December 08, 2007)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「TVでプロたちがパットするのを見ていると、かれらの多くがやる習慣に気づく筈だ。彼らはバックストロークに移る直前に、パターを一、二回上下させる。これは緊張を緩和し、パターの重さを感じ取るいい方法なのだ。試してみなさい」
静止したアドレス状態からいきなりバックストロークに入るのは、筋肉を強ばらせたままのストロークになり易い。フル・ショットにおけるフォワード・プレスのように、パッティングでも何らかの動きが必要のようです。
(December 08, 2007)
2008年の'Golf Magazine'『ゴルフ・マガジン』誌 1月号には意図的にか偶然か、似たような記事が揃っていました。その共通点は「飛距離を増やすには高いローンチ・アングル(発射角度)で、しかもバックスピンを減らすこと」というもの。
先ず私の目を引いた記事は次のものです。
'How to hit the power sweet spot'
by Bruce Patterson ('Golf Magazine,' January 2008)
この記事の見出し:「正しい攻撃角度が20ヤード以上増やしてくれる」は「又か!」という感じですが、「この記事はこういう人のためのものである。即ち、ドライヴァーで飛距離を増やしたいと思っている人、」(増やしたいと思わない奴なんているの?)「ドライヴァーで打ったボールが着地してほとんど転がらない人」(むむ?この筆者はおれのラウンドを見てたんだろうか?こないだなんか、雨の後でもないのにボールがピタと止まってしまった)「ドライヴァーを下降気味に打っているような気がする人」(油断するとポップアップが出るところを見ると、これも該当しそうだ)
「スウィング弧の底辺で下降気味にボールを捉えると、ボールはクラブフェースの底部から中央へと駆け上ることになり、多大なバックスピンを生じてしまう。この結果は少ないキャリーとほぼゼロに近いランである。
上昇気味のインパクトを迎えると、クラブフェースの上方でボールを捉えるためバッックスピンを低く抑えることが出来る。高いローンチ・アングルにより、キャリーもランも【編註:あなたの能力の範囲内の】最大限のものが得られる」
ここまではまあ、これまで出会ったいくつかの記事でも教えられて来たことでした。この記事は「理想的なドライヴァーの回転率は3,000 rpmだが、これは上昇気味の攻撃角度でしか達成出来ない」と断言し、どのようにすべきかを教えてくれます。 「1) 少なくともボールの3/4がクラブヘッドの上端から出るようにティーアップ。 上の最後の項目(4)は「フラットに振れ」と云い換えられます。Vの字の鋭いスウィング弧ではなく、Uの字で地面を掃くようなスウィング。私のポップアップはVの字になった時に出ます。 もう一つの記事は、 |
'The easy way to add 20 yards'
by Charlie King with David Denunzio ('Golf Magazine,' January 2008)
この記事の最後にグラフがありまして、これが衝撃ものなのです。攻撃角度がマイナス5°(下降気味で打たれた場合)、0°(フラットに打たれた場合)、プラス5°(上昇気味に打たれた場合)のキャリーと合計飛距離のデータが示されます。
クラブヘッド速度 (m/s) | 攻撃角度 | キャリー (ヤード) | 合計飛距離 (ヤード) |
---|---|---|---|
0° +5° | 156 167 | 188 198 |
|
0° +5° | 208 221 | 238 252 |
【記事には「クラブヘッド速度」が47と54のデータも出ていますが、当サイトのレヴェルとしては上の例だけで充分と判断します。これ以上速い人は自分で雑誌を買いなさい(妬み)】
このデータ(by www.trackmangolf.com)が本当なら、確かに20ヤード伸びるようです。5°上昇気味に打つだけで。
練習場へ行きました。打ったボールを自分で拾う練習場ですから、合計飛距離はハッキリこの目で確認出来ます。歳のせいか、練習不足のせいか、最近めっきり飛距離が落ちている私は、藁にもすがる思いです。ついでなので、以前に使っていたT-Rex ロフト8°(360cc)、T-Rex ロフト11°(360cc)のドライヴァーなども持って行きました。現在使用中の初代r7(ロフト10.5°、400cc)との差を見たかったからです。
先ずr7を、高めのティーアップ(ボールが3/4ヘッドより上)で、右肩を下げたアドレスで上昇気味にスウィング。これで十発。ボールを拾いに行き、180〜200ヤード付近に固まっているボールにがっかり。他のクラブでも同様にテスト。距離はほとんど変わらず。
インパクト・シールを使用してみて、びっくりしました。ボールの痕跡はフェースの下の方で、しかもヒール寄りに当たっています。上の記事によれば「下の方で打つとバックスピンによって飛ばない・転がらない」のです。また、ヒール寄りということはスウィート・スポットを外れているので、なおさら飛距離を減らす原因となっています。諸悪の根源が分りました。
インパクト・シールを頼りに、色々試行錯誤。結果として、私の場合はかなり極端に右肩を下げ、さらにボールを半分トゥ側になるようにアドレスしないと、フェース上部中央(最近ホット・スポットと呼ばれる部分)で上昇気味に打つことは出来ないことが分りました。スウィート・スポットで打つヘニャという手応え、真っ直ぐいい軌道で飛ぶボールが戻って来ました。記事の謳い文句の20ヤード増とは行きませんが、最初のテストより10ヤードは間違いなく増えました(以前はもう10ヤードは飛んでいたのですがねえ…)。
上の最初の記事には次のような締めの文句があります。「あなたのドライヴァーが三年以上古いものなら、新しいのを買うことを考えるべきだ。クラブフェースの上部でボールと接触する効果は、最近のMOI(慣性モーメント)の高いクラブによって最高度に発揮される」 私のr7は2004年ものです。先立つものが先立たてば、私だって460ccのr7にしてますって。やな記事だね。
(December 11, 2007)
私の、“距離感はいいけどカップの右か左に逸れる”というミスは、結局「仮説・パットの目線の問題」(tips_110.html)に帰着するようです。最後にカップを見て距離を最終確認した後、私は目を図Bのように揃えなければいけないのに、往々にして図Cになりがちなのです(利き目が右なので、そこでストップしてしまう)。悪くすると傾いで図Dになります(極めて微妙な度合いでですが)。で、ストロークは正直に両目を結ぶ線に沿って行なわれるので、図Dであればプッシュし、図Cだと左右にブレやすい。
先日のラウンドの間、強制的に図Bに戻し、しかも両目を結ぶ線がターゲット・ラインに平行になるように努力してみました。いい結果になる予感が得られました。
本日は「スクランブル」競技(チーム・プレイの一種)だったので、私個人のスコアとパット数を書けないのですが、私の狙いはかなり改善され、いくつかの大事なパットを成功させることが出来ました。
もう「仮説」という及び腰の修飾語は外していいと考えます。このtipは私の発見で、雑誌などの受け売りではありません。《ストロークする前に、目線をターゲット・ラインに合わせよ》©
(December 14, 2007)
「もう一つのXファクター」でインストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)は「ダウンスウィングの開始にあたって、先ず両腰は"sit-down position"に沈む」と云っています。この"sit-down position"は、下半身がガニマタになることを意味します。
「ダウンの開始はガニマタで」(tips_103.html)という記事でDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は「ダウンスウィングの動きは左膝によってきっかけが作られる。左膝は、左足爪先の方向へと若干斜めに動く。この時、右膝は何ら変化しない。このような両膝の分離は'squat'(スクァット)あるいは'sit down'(しゃがみ込み)的外見をもたらす」と云っています。これもガニマタです。
トップクラスのインストラクター二人が声を揃えて、同じことを云っているわけです。違いはJim McLeanが、(sit-down positionの後)「次いで、左腰が劇的に上がってパワーを爆発させる」と示唆する点。彼は「いったん沈み込むことなしに左腰を上げても意味がない」と主張していますので、ここでガニマタは必須です。
Jim McLeanは「左腰を劇的に上げる前に、いったん腰を"sit-down position"に下ろす」(原文では"As you start down, both hips should lower into a sit-down position before the left hip rises dramatically, producing that burst of power")と云っています。鏡を見る限り、左膝をターゲット方向に戻しても身体は下がりません。意識的に下げると、ダフりそうで恐い。下がったままで、瞬間的に上げたり出来ない懸念があります。「こんなに身体を上下させていいものだろうか?」という気もします。
David Leadbetterが「ガニマタの正しい感覚を得るためには、充分な練習を必要とする」と云っている通りです。どの程度“充分な練習”が必要なのでしょう。果たして私などの身に付くものでしょうか。
【図の左はSam Snead(サム・スニード)の"Snead's squat"(スニードのしゃがみ込み)として有名なもの。右はAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)の"sit-down position"】
【参考】「左膝の研究」(tips_49.html)
(December 19, 2007)
この記事は'Golf Digest'誌の読者投稿欄に掲載されたもので、筆者もコネティカット州に住む一読者に過ぎません。
'Set first to start the swing'
by Joe Larosa ('Golf Digest,' January 2008)
「貴誌の'How to start your swing'という記事【当サイトでは「2ピース・テイクアウェイの勧め」として紹介】を読み、私は今朝練習場に駆け込み、かつてないほどいいボールを次から次へと打つことが出来た。
《先ず手首をセットすることによってスウィングを開始する》という方法を体得出来た。私は練習ボールの三分の一を残してしまった。この方法を実際にコースで試すのが待ち切れなかったからだ。
今日、ここ十年以上経験していなかった最良のショットによるラウンドが出来た。アイアンの距離はワン・クラブ増し、ドライヴァーのキャリーは15ヤード増加した」
私のドライヴァーの飛距離は15ヤード増加はしていませんが、正確に打てるのは確かです。これはもうやめられません。
【参照】「2ピース・テイクアウェイの勧め」(tips_110.html)
(December 23, 2007)
中堅インストラクターBill Moretti(ビル・モレッティ)による真っ直ぐ打つ方法。
'Stop slice (and hooks!) with your feet'
by Bill Moretti ('Golf Magazine,' November 2007)
「慢性のスライスとどうしようもないプルに悩む人は、次のテストを先ず実行されたい。
普通にアドレスし、胸の上で交差させた両手によってクラブを水平に保持する。バックスウィングではクラブの左先端はどこを指すだろうか?また、フィニッシュで、クラブの右先端はどこを?
あなたがスライサーなら、バックスウィングにおけるクラブの右方への移動幅は、フォロースルーでの左方への移動幅より少ない筈だ。この不均衡な身体の回転がインパクトでカットする動きを生み、ボールを右へ送るのだ。【編註:私は「どちらかと云えばプル派」なので、テスト結果は上の反対となります。胸に添えたクラブの左先端はバックスウィングで右足爪先の前、フォローでは(ターゲットを時計の12時とすると)2:30辺りでした】
【超簡単スライス防止法】図A
・両足を見下ろし、それぞれの足元に時計の文字盤が一つずつあると考える。正面が12時で爪先が短針である。
・右足を2時、左足を12時に揃える。
・本式にクラブを振ってみる。バックスウィングでの肩の回転が増し、フォロースルーでは控えめになる筈だ。
・ポスチャーと前傾角度を維持するように努力すること。インパクトで直立してしまってはスライスは防止出来ない。
【超簡単プル防止法】図B
・両足を見下ろし、それぞれの足元に時計の文字盤が一つずつあると考える。正面が12時で爪先が短針である。
・右足を12時、左足を10時に揃える。
・本式にクラブを振ってみる。バックスウィングでの肩の回転が減り、逆にフォロースルーでは増す筈だ。
・結果的に身体でボールを打つことになるため、手をこねてインパクトでクラブフェースをクローズにするミスを防ぐことが出来る」
私の場合、「超簡単プル防止法」の通り、右足を12時、左足を10時に揃えると、クラブはバックスウィングでは右足爪先に届かず、フォローで(ターゲットを時計の12:00と見立てた場合)1:00辺りになりました。かなりの改善で、スムーズに振り抜けます。本日、この方式でラウンドしてみました。ドライヴァーを1ホールだけプルしましたが、後は全部フェアウェイをキープ。パートナーから「今日は凄く安定してるね」と云われました。でも、アイアンをショートしたり、パットの方向性が悪かったりで、全然喜べないラウンドでしたが。
(December 26, 2007、改訂June 02, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)による距離の打ち分け方。
'Hit the pin on half-wedges'
by Dr. Joe Parent ('Golf Magazine,' October 2007)
「ハーフ・ウェッジの距離を計測するのは大変難しい。あれこれ悩むよりも、あなたの好きなウェッジを手にして、次のようなドリルを試しなさい。
バックスウィングを、両手がズボンのポケットの位置に達したところで停め、大きなフォロースルーを取る。どれだけ飛びましたか?10ヤード増すには、両手をベルトの位置で停め、前と同じように大きなフォロースルー。その次は肋骨までのトップ、次は肩の高さ。
この練習を積めば、40〜70ヤードの範囲なら意のままにピン傍に寄せることが出来る。
ちなみにサンドウェッジのモデル飛距離をつけておこう。
・ズボンのポケット 40ヤード
・ベルト 50ヤード
・肋骨 60ヤード
・肩 70ヤード」
大分前ですが、私は「俄グリーンズキーパー」(tips_53.html)で書いたように空き地に三つのグリーンを作り、寄せの練習をしたことがあります。60°ウェッジを使い、10ヤード、20ヤード、30ヤードに寄せるというもの。今でもこの距離に近づくとその空き地のイメージが脳内に甦ります。頭の中で、眼前のグリーンまでの距離と空き地の三つのグリーンまでの距離を比較します。類似の距離を認識すると、自動的にバックスウィングの高さも決まります。これは非常に助かっています。
(December 31, 2007、改訂June 02, 2015)
'The importance of tempo'
from 'Golf Magazine's Complete Book of Golf Instruction'
by George Peper et al. (Harry N. Abrams, Inc., 1997, $45.00)
「ゴルフの最も重要な要素の一つはテンポである。また、教えるのがほとんど不可能なのもテンポである。一つにはテンポは定義するのが難しいのだ。ある人はリズムだと呼び、他の人はスウィング・スピードとかタイミングと呼び、二人の人が同意することはまるでないように見える。
Sam Snead(サム・スニード)は『リズムはスウィングするスピードであり、タイミングはスウィングの異なる要素を調整するものだ』と云う。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は『(テンポとは)効率的かつ矛盾なくベストのスウィングをする速度である』と云い、『(リズムは)スウィングの各要素のスピードをスムーズに効果的に全体にとけ込ませるもの』と定義している。
テンポは個人的なものだ。コーチが『キミの動きは早過ぎる(あるいは遅過ぎる)』と云うかも知れない。究極的には、あなたの完璧なテンポとは、何がどうあれ快適でいい結果を生むものである。スウィングが早くてもボールをうまく打てるのであれば、それで結構。そうでなければ遅くするまでだ。
個性もテンポを左右する。突撃的で興奮し易い人がゆったりとスウィングすることはありそうにない。ゆっくり歩き、喋るのも遅い人はスウィングも遅いのが普通。性格とテンポの組み合わせを間違えてはいけない。
元LPGAツァー・プロでTV解説者Judy Rankin(ジュディ・ランキン)はこう云う、『遅かろうが早かろうが、その中間のどっかだろうが、来る日も来る日も同じテンポで通すのが秘訣。それがあなたのゲームの不確定要素を取り除いてくれる』
元PGAツァー・プロKen Venturi(ケン・ヴェンチュリ)は、ゴルフ・スウィングにおけるテンポの重要性は、いくら力説しても足りないぐらいだと云い、あなたが模範とする人のテンポを盗めと示唆する。彼は『Sam Sneadとラウンドすると、常にいいテンポでプレイ出来た』と述懐する。
いったん自分のテンポを発見したら、メトロノームで計っておくとよい。後に、どうもテンポがおかしいと感じたら、記録しておいたメトロノームのテンポに自分のスウィングを同期させる。遅めのスウィングをすることは、いつの場合にも有効である」
(January 12, 2008)
'Looking ahead'
by Rob Akins ('Athlon Sports Golf 2006')
「家を建てる時は土台が重要だ。ゴルフ・スウィングでも動かない土台が必要で、それは頭である。僅かに動くとしても、身体の中ではほとんど動かない部分であり、それによってスウィング動作が正しく実行されるのだ。アドレス後、目を身体の前方(胸の正面)のどこかに据え、インパクトまでそのまま見続ける。インパクト後は目をターゲット方向に移してもよい。
常に頭を残せるようになると、エネルギーの全てがクラブヘッド・スピードに変貌する」
(January 12, 2008)
インサイド←→インサイドのストロークを集中的に取り上げたかと思うと、今度は「ストレート・ストロークの勧め」です。節操がありません。しかし、これは私がもがき苦しんでいるせいであり、当サイトが一冊の本ではないため矛盾したメソッドも平気で掲載するせいでもあります。読者が現在インサイド←→インサイドのストロークで成功されているのであれば、この記事は読まない方がいいと思います。
'Precision Putting' 著者のJames A. Frankは1990年以来アメリカ版'Golf Magazine'の編集に携わっている人で、Dave Pelz(デイヴ・ペルツ)の二冊の『バイブル』(ショートゲームとパッティング)の共著者でもあります。編集者だけに、多数のプロやインストラクターのtipsが脳味噌に詰まっており、どれが誰から仕入れたものか覚えていないほどだそうです。しかし、長年付き合っているDave Pelzの影響が最も強いと述べています。 「いいパッティングをするための第一の基本はストレート・ストロークである。これはターゲットラインの真上を出来るだけ長く往復するものだ。かなり長いストロークではパターは若干インサイドに引かれるが(そうでなければ不自然に手と手首を操作していることになる)、大抵のパットにおいてはラインの真上でパターを無理無く保持出来る。 ストレート・ストロークが推奨される最大の理由は『パターがターゲットラインに沿って動き、ボールがそのライン上を動き始めるなら、ボールはラインに沿って転がる筈だ』という前提に由来する。 二番目の理由は、ストレート・ストロークはミスの余地が少ないということである。パターがターゲットラインに沿って動くのであれば、(フェースがスクウェアで、スウィートスポットでボールと接触した場合)ボールは真っ直ぐに転がって当然である。一方、インサイド・スクウェア・インサイドのストロークをする場合、ターゲットラインにパターヘッドを直角にしてボールに接触させようとすると、そのタイミングは“完璧”でなければならない。パット名人であるBen Crenshaw(ベン・クレンショー)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)は一日に何時間も練習し、その努力に対する報酬を得、インサイド・スクウェア・インサイドのストロークを楽しみながら成功させている。あなたも彼らと同じぐらい時間を費やし、技を磨き、そのストロークを維持し続けられるなら、ストレート・ストロークには見向きもしないで結構。 |
最後の理由は統計上の数字であり、Dave Pelzによるパット成功の鍵の三つの要素の一つである。もしパターがインパクトでラインの右や左を向いているとすると、20%の偏差が回転に対して加わる。20フィート(6メートル)のパットを例に取ると、パターがターゲットから10°外れていれば、ボールは8インチ(20センチ)カップから外れることになる。これはボール二個分の幅である。
あなたがストレート・ストロークを成功させられるかどうかは、あなたのアライメントで予知出来る。パターはあなたの両肩を結ぶラインを往復する。だから、アドレスで両肩をターゲットラインに平行にすることが重要である。肩をオープンにしたアドレスは快適かも知れないが、多くの場合、パターがアウトサイドに引かれ、また戻って来て逸れた一撃を与えやすい。オープンにした両肩でストレート・ストロークをするのは、パターをライン上に保つため両手と手首、前腕部で不自然な調節が必要になる。それは可能であるとしても、そういう不自然な動きは失敗しやすい。特にプレッシャー下において。
一旦両肩をターゲットラインに平行にしたら、両肩と両腕で出来る三角形を崩さないようにストロークを完了させること」
私は、上の両肩を結ぶラインと共に、両目を結ぶラインもターゲット・ラインに揃えることを勧めます。詳細は「仮説・パットの目線の問題」(tips_110.html)を参照して下さい。もう“仮説”という慎み深い表現は不要であることが分っています。12月31日の私のラウンドの前半は「11パット」で済みました。
(January 15, 2008)
Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)はアマチュア時代に数々の優勝を遂げ、当時の“神童”のようにみなされた人。PGAツァーでも二勝し、1982年の全英オープンでは二日目を終えて七打差でトップに立ち、「優勝か?」と思われたほどの好成績を残しました。その後はCBS-TVのゴルフ中継解説者として活躍しています。
'The Impact Zone'
by Bobby Clampett and Andy Brumer (St. Martin's Press, 2007, $24.95)
2007年に出版されたこの本は、彼自身の絶好調と絶不調の浮き沈みの中から学んだ、インパクトの秘密を綴ったものです。Bobby Clampettが“神童”と呼ばれたテクニックは、「The Golfing Machine」(tips_87.html)で紹介したHomer Kelley(ホーマー・ケリィ)のメソッドを信奉するコーチから教わりました。素晴らしいスウィングを引っ提げて彗星のようにプロ・ツァーに登場した彼を待っていたのは、「もっといいスウィングにして上げよう」という、雑誌の「ベスト・コーチ100人」などというリストのトップ・クラスの人々の甘い言葉でした。彼らの云うことに耳を傾けているうちに、Bobby Clampettは自分のスウィングの土台を見失い、ついにツァーを諦めるところまで転落してしまったのです。最近の彼は以前のスウィングを取り戻し、トーナメント解説の傍らU.S. Open参加資格を得る地区予選を勝ち抜き、何度も本戦に出場するほどのカムバックを果たしています。
今回は彼がHomer Kelleyからヒントを得た"Aiming Point"(照準ポイント)というtipを紹介します。
Bobby Clampettは「ボールを打ってからディヴォットを取ることが、正確で望ましい飛距離を得るための条件である」という観点から、スウィング弧の最低点(ディヴォット跡の中央、あるいは最も深く抉れた場所)がボールよりもターゲット寄りの地点であるべきだと主張します。その地点を彼は"Aiming Point"(照準ポイント)と呼んでいます。
彼の調べではツァー・プロの最低点がボールのターゲット側約10センチ、スクラッチ・プレイヤーは最低点がボールの向こう数センチほどターゲット側、中級者は最低点がボールのほぼ中心、初級者の最低点はボールの手前…だそうです。
その根拠は以下のようなものです。彼は信頼出来る人物に依頼し、数ヶ月あるコースの練習場でランダムにゴルファーを選んでテストをして貰いました。ゴルファーたちの年齢は14歳〜70数歳の間。彼らに7番アイアンで五個のボールを打って貰い、最良の一個と最悪の一個は無視。中間の三個について、ディヴォット跡によってスウィング弧の最低点が計測されました。詳しいデータは次のようになります。
対象 | 平均ハンデ | 平均の最低点 | 最低点の長さ |
---|---|---|---|
PGAツァー・プロ | +10cm | +7.6〜+13cm | |
シングル | 5 | +4cm | 0〜+7.6cm |
ハンデ10〜19 | 13.7 | -4.9cm | -13cm〜0 |
ハンデ20〜32 | 25.13 | -10.5cm | -13〜-5cm |
(女性のデータも出ていますが省略)
このデータの読み方は、0(ゼロ)がボールの位置で、+はボールのターゲット側、ー(マイナス)はボールの手前を表しています。-13cmというと先ずボールの13cm手前の地面を叩いていることになります(完全なダフり)。シングルの実力を持つ人は、先ずボールを打ってからターゲット方向4〜7cm先の地面を抉っているわけです。
自らスウィング・コーチでもあるBobby Clampettは次のように云います。「プロとハイハンデの人のスウィングの最低点は20cm以上も隔たっている。ハイハンデのゴルファーが1インチ(2.5cm)だけ最低点をターゲット方向に移せば、平均4打減らすことが出来る。私は実際に最低点に焦点を合わせたレッスンをし、15〜30分で1インチ〜3インチ(2.5〜7.6cm)前方に移させることに成功している。それはラウンドにつき4〜12打の改善に当たる。たった30分未満の練習だというのに!」
【註】"Aiming Point"(照準ポイント)はゴルファーの身長、クラブの長さ、手の動きの速度、ボールと身体の間隔などで僅かに変わり得る。各自練習で最適のポイントを見つけるべきである。
私のゴル友Jack(86歳)は長年'The Golfing Machine'を熟読し、Homer Kelleyの教えを実践しようとして来ました。彼が云うには、われわれ素人の"Aiming Point"(照準ポイント)は10cmではなく30cmとして練習すべきだそうです。10cmという設定だと、なおもボールの後ろの地面を打つことになり易いとか。
やってみました。いやはや、トップばっかし。Jackは「あんたはこれまでずっとボールを打とうとして来た。そうではなく、ボールの向こう30cmにあると思って、そこを打たなくてはならない」と云います。しかし、ボールを素通りして30cm向こうを打つ(=空振り)のが恐い。実際にはそうはならず、ダウンブローにボールを打つことになるのでしょうが、ウン十年やって来たこと(ボール目掛けて打つ)と全く違うのですからね。
【追記】
"Aiming Point"(照準ポイント)でディヴォットを取るには、上図でBobby Clampettがやっているように、ボールのターゲット側10センチを見つめるのです。最初はまごつくかも知れませんが、バンカー・ショットでボールの数センチ後ろを見つめてスウィングするのと同じことです(方向だけ逆)。ちゃんと打てると、ボールは唸るように飛んで行きます。
【参照】
・「The Golfing Machine」(tips_87.html)
・「インパクトの研究(パット篇)」(このページ)
・「インパクトの研究(チッピング篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(ピッチング篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(フルスウィング篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(ドライヴァー篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(レイトヒット篇)」(tips_131.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(道具篇)」(tips_113.html)
(January 18, 2008、改訂November 21-23, 2015、追記November 29, 2015)
Harvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)は数々の有名男女プロを育てたコーチですが、彼のレッスンはパッティングに始まり、チッピング、ピッチングという順序で、最後にフル・スウィングを教えたそうです。Bobby Clampett(ボビィ・クランペット)の下記の本もパッティングから始まっています。彼に云わせると、パッティングも他のショットと基本的に変わらず、スウィング弧が短いだけだそうです。
'The Impact Zone'
by Bobby Clampett and Andy Brumer (St. Martin's Press, 2007, $24.95)
「パッティングにインパクトってあるの?」という素朴な疑問が湧きます。確かに、"impact"(衝突)という言葉は大袈裟に聞こえます。しかし、パターがボールに当たる瞬間を顕微鏡的に見れば、それはやはりインパクトなんですね。
この本のパッティングの章は、先ずBobby Clampettが説く《インパクトで左手首をフラットにする》ことがいかに大事であるか、ロング・パター、ベリィ・パター、レフトハンド・ロウ、クロウ・グリップなどは全て両方の手首の角度を変えないための工夫であることが説明され、最後にその証明として彼が見たスローモーション・ヴィデオのことが語られます。ここでは順序を逆にして、そのヴィデオのことから紹介します。
「フラットな左手首で打たれると、ボールは左手首が折れた場合よりずっと長くパターフェースにくっつき続ける。どのショットでも同じだが、物理的側面から云って、ボールがクラブフェースに長く留まれば留まるほど、クラブのエネルギーがボールに伝わるものである。それは『インパクトの瞬間のソリッドな接触』と云い換えることが出来る。
インパクトで左手首がフラットならパターフェースが水平に保持されてボールを押しつぶすのだが、左手首が凹型に折れているとパターヘッド全体は やや上向きに動く。パターフェースがボールの側面に斜めに接触する結果、スウィング軌道とボールは二つの歯車のようになってしまい、当然ソリッドなパットは望めなくなる。
左手首はストロークの間中パターフェースの動きを検知し、フェース角度を狙ったラインにスクウェアに調整しようとする。ゴルフのスウィング作用は単純な機械のようなもので、部品が少ないほど間違いなく作動する。フラットな左手首は、機械の可動部品を減らす役目をする。
左手首が折れると、ストロークの加速率がスムーズでステディな状態から、弾(はじ)くようなギクシャクした不規則なものに変貌する。具体的に何が起っているかというと、左手首が折れることによってパターヘッドが左腕を追い越してしまう一刹那、パターは何とか左手首・左腕との位置関係を保とうとして減速する。その結果、インパクトは崩壊したものとなってしまうのである」
どうですか?Bobby Clampettのヴィデオ分析は納得出来ましたか?彼は「パターを含むどのクラブでも、インパクトで左手首をフラットにするのが正確なショットを生む秘訣である」と云っています。パッティングで左手首が折れるのは、右手首が伸びるからです。「アドレスで折った右手首の角度は、絶対に変えてはいけない」というのが、Bobby Clampettのパッティングのもう一つの原則です。これを実践するための練習法が出ています。
・1-1-2ドリル
先ず、左腕一本で左手首をフラットにし続けてパットする。次いで、右腕一本で右手首の角度を変えないようにしてパットする。最後に、これまで得た感覚を維持しながら両腕でパットする。
・コイン・ドリル
室内の絨毯上で出来る練習法。ボールの前方2メートルにコインを置き、ボールがそのコインの上を通過するようにパットする。フラットな左手首と角度を維持した右手首のイメージを抱きながら実行すること。
なお、Bobby Clampettが推奨するボール位置は「左足踵から3インチ(約7.6センチ)内側」です。
【参照】
・「The Golfing Machine」(tips_87.html)
・「インパクトの研究」(このページ)
・「インパクトの研究(チッピング篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(ピッチング篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(フルスウィング篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(ドライヴァー篇)」(tips_114.html)
・「インパクトの研究(レイトヒット篇)」(tips_131.html)
・「なぜディヴォットが取れないのか?」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(練習篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(照準篇)」(tips_131.html)
・「インパクトの研究(道具篇)」(tips_113.html)
(January 25, 2008)
'The Way of an Eagle'
compiled by Robert Darden and P.J. Richardson (Thomas Nelson Publishers, 1996, $19.99)
この本はプロ・ゴルファーたちが、自分が育った宗教(キリスト教)的環境、信仰がゴルフを支えてくれた瞬間、および彼らから読者に贈るゴルフtipsという三部構成で、43人の男女が執筆した原稿をまとめた珍しい本。今回は現Championsツァー・プロBrad Bryant(ブラッド・ブライアント)のtip。
「大方のゴルファー(特に男性)で、胸板が厚く幅広型の人はバックスウィングが長過ぎる。私のように胸が薄く強肩でもない人は、かなり長いバックスウィングをしてもよい。しかし、あなたの胸が大きく、強肩で、腕力もあり、背中も丈夫なら、バックスウィングはかなり短くすべきだ。大抵の人はバックスウィングが長過ぎ、両脚を過度に動かしてしまう。
そういう人々に私が先ず云うのは、両脚を動かすなということだ。ゴルフ・スウィングにおける両脚は完全に受け身であるべきだ。両脚ではなく、胸と上半身を廻すことを学ぶべきなのだ。これがアマチュアの問題点No.1である。
両膝を動かさないようにしてボールを打つことを学ぶ。両膝は両肩の動きと同じ程度に動くべきである。それ以上動かしてはいけない。人々はバックスウィングで右膝を右へ、ダウンスウィングで左膝を左に動かし過ぎ、両膝が肩の下から逸脱してしまう結果、両肩が下半身のサポートを失ってしまう。
私はスウィングの間中両膝を両肩の下に保ち続けることを学んだ。私の両肩と上体は常に両脚のサポートを得ていて、バランスも良好である。バランスが悪くては、いいショットなど出来っこない」
(January 29, 2008)
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