Stan Utley(スタン・アトリィ)はPGAツァー・プロ兼コーチ。多数の有名ツァー・プロに「アーク(弧)パッティング」を指導し、優勝に導いています。これまでも、いくつかの記事で彼のメソッドを紹介していますが、一つのトピックに括れなくて漏れていたポイントの数々を集めてみました。
'The Art of Putting' 「・セットアップ時の両手は互いに協調すべく添えられるべきで、対立すべきものではない。 ・私がパターを替えたのは過去20年の間に四回だけで、それもバッグが失くなったためである。 ・私はパッティング・ストロークは基本的にフル・ショットと同じであり、単にサイズが小さいだけだと思う。 ・いいストロークをしているのにボールがカップインしないようなラウンドの途中、何とかパットを成功させようと色々と小細工したくなる誘惑にかられるものである。その瞬間がスランプ突入への第一歩である。 ・あなたにコントロール出来ない『結果』に心を集中して惨めな思いをするよりも、『プロセス』に集中すべきである。そうすれば、あなた自身のパフォーマンスに対し、よりリアリスティックな評価を下せることになる。 【編者独白】ラインやボールを打つ強さに集中するよりも、例えば「ボールの北半球を打とう」と集中するといい結果が得られることがあります。アクションは潜在意識のコントロールに任せ、小さな一つのことに集中するわけです。この「ボールの北半球を打つ」はヘッドアップを防いでもくれます。 ・ラインを視覚化した後、私はその日の一つか二つの遵守事項を思い浮かべる。どういうものかは日によって異なる。ある遵守事項は二、三日は効き目があっても、次第に効力を失うので新たなものを見つけなくてはならない。いずれにしても、私は虚ろな精神状態でボールにアドレスし、ストロークしたりしない。 |
・パターを急速に動かしたくなる衝動は強い。しかし、私が好調な時は全てがスローで、打たれたボールも緩慢にパターから離れる感じである。
・ラインを決定する時、私はボールが通過すべき2〜4ヶ所の“関門”を設定する。
・私の利き目は右なので、パターには先ず右手を添え、右手でフェースをターゲットに合わせる。
・3メートル以内なら、私は全てのパットを成功させるべく努力する。
・私はPGAツァーにおける9ホールの最少パット数の記録保持者である。2002年のAir Canada選手権の際の"6"であるが、それには二つのチップインが含まれているので、パッティングだけというより、私のショート・ゲーム全般の証明書と云えるものだ」
(July 04, 2007)
'Origines of the claw grip'
by Johnny Miller ('Golf Digest,' July 2007)
「私(Johnny Miller)が初めてTiger Woods(タイガー・ウッズ)に会ったのは、私が1994年のAT&T Pebble Beach National Pro-Amに優勝した後のことだ。彼の最初の言葉は『あのさ、まだ例のクロー・グリップ使ってんの?』というものだった。
実はPGAツァーで最後に優勝した時、私は最近で云えばChris DiMarco(クリス・ディマーコ)やMark Calcavecchia(マーク・カルカヴェッキア)らのクロー・グリップに類似したものを用いていたのだ。
私は何年もYipsと格闘していて、ストロークの最中にためらいがちになる左手をどうにかする方法を探し求めていた。その週、そのグリップは役に立った。現在のプロたちがそれを模倣しているのかどうかは知らない。しかし、確実に云えることが一つある。クロー・グリップはここ数年における、最も劇的な技術革新であると」
(July 04, 2007)
'Why you miss with your wedges'
by David Denunzio ('Golf Magazine,' February 2007)
「結論から云えば、あなたが100ヤードのウェッジ・ショットをミスする原因は、クラブのリリースが早過ぎるか遅過ぎるか、どちらかのせいである。
フル・スウィングとは異なりデリケートなウェッジ・ショットでは、スウィングで加速すべきタイミングを早めてしまったり、逆に遅らしてしまったりし易いものだ。これはクラブのリリース(とクラブフェースの向き)に影響を与える。簡単に云えば腕が加速し、ある一点で減速する時、この瞬間にのみ手首はクラブの慣性に打ち克ってクラブをリリース出来る。腕が早期に最高速度に達してしまうと、手首は早過ぎる時点でクラブをリリースしてしまい、ボールは左に向かってしまう。腕が遅い段階で最高速度に達すれば、反対のことが起る。
当誌編集部は、某独立テスト機関に調査を依頼した。ロボットで52°ウェッジを用い、1) 科学的に正しい加速、2) 早過ぎる加速、3) 遅過ぎる加速…の三種類のデータを得た。遅過ぎる加速の場合、ターゲットの右36フィート(約11メートル)にミスし、早過ぎる加速の場合、ターゲットの左へ60フィート(約18メートル)もプルすることが判明した。
正しい加速ポイントを発見することが、ボールをピン目掛けて真っ直ぐ運び、3パットを防止する近道である」
(July 09, 2007)
「パット名人シリーズ」第四弾。アメリカのスポーツ界のスーパーウーマンMildred Didrikson Zaharias(ミルドレッド・ディドリクスン・ツァハリアス、通称"ベイブ"・ツァハリアス、1911〜1956)はオリンピックの陸上競技で金・銀メダルを得ただけでなく、ボクシング、野球、ソフトボール、バスケットボール、ボウリング、ローラースケート、高飛び込み、テニス、射撃など全てに見事な記録を達成。彼女の最後の関心はゴルフで、アマチュアとしても君臨しましたが、プロに転向して41勝し、メイジャーには10勝しました。女性として初めて男子のトーナメントに参加した人でもあり、LPGA創設者の一人でもあります。
'Championship Golf'
by Mildred Didrikson Zaharias ('Great Golf,' Stewat, Tabori & Chang, 2005, $29.95)
「ターゲットにクラブヘッドをスクウェアに合わせ、ゆっくりクラブヘッドを引いたら、地面すれすれに、スムーズな動きでボールに戻す。これがボールをアッパーに捉えるスウィングとなり、"over-spin"(オーヴァー・スピン)を与える。これが正しいラインにボールを乗せる助けとなってくれる。
私はショート・パットは打ち、ロング・パットはストロークする。
パターフェースがボールと接触した後、フォロースルーを行ないながら徐々に頭を廻す。頭を上げるのではなく、廻すのである」
(July 16, 2007)
これまでのインストラクターや有名プロは、単に自分のパッティング・メソッドだけを推奨するのが常でした。彼らはパターのタイプが色々あり、パッティング・メソッドも色々あり、その両方の相性が問題であることを無視して、あたかも世の中には自分の方法一つしかないような説き方をしていました。そういう筆者(インストラクターやプロ)と異なるタイプのパターを使っている読者は、相性の悪いメソッドと格闘して時間を浪費して来たわけです。われわれ読者も利口にならなければいけません。
・自分のメソッド(水平の円弧ストローク型か、垂直の時計振り子型か)によってパターを選ぶ 「体型別スウィング」を提唱したインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)によるパターとストローク法の相性。 'How to make a model stroke' 「パッティング軌道を決定するのはあなたのパッティング・スタイルではなく、パター・デザインである。パターのバランスを取った時(指の背にパターを乗せてシャフトを水平に保つ)、1) フェースが水平に天を向くパター(Odyssey Rossie IIなど)は垂直の時計振り子型ストローク(ストレート←→ストレート)をするように製作されていて、2) トゥが重いパター(Ping Anser、Scotty Cameronなど)は水平の円弧型ストローク(インサイド←→インサイド)をするように設計されている。 パターにあなたのストロークを合わせるか、あなたのパッティング・スタイルに合わせてパターを買うか、どちらかである。 1) フェースが水平に天を向くパター ・ボール位置:スタンス中央よりややターゲット寄り |
2) トゥが重いパター
・ボール位置:左脇の下の前方
・両手:両肩を結ぶ線よりも前方に出す
・ポスチャー:真っ直ぐに立ち、目はターゲット・ラインの内側
・ストローク:両手が腕の前にあるので、自然にパターはインサイドに向う。この流れるような円弧を壊してはならない
・練習法:左手一本だけでストロークし、蝶番によって止められた門や扉が滑らかに開閉する動きを模倣する」
【参照】
・「二つの振り子」tips_78.html
・「二つのパッティング・スタイル」tips.103.html
・「パッティング・スタイルとパターの相性」tips.103.html
(July 16, 2007、改訂June 02, 2015)
ショットの行方が一定しない。たまに真っ直ぐ飛ぶと、距離が出ない。ゴルフ・スクールに行ってスウィングを変えるのも嫌。高いゴルフ本を買って勉強もしたくない。出来れば『80を切る!日記』でタダで秘訣を仕入れたい。そういうあなたにぴったりのtip:-)。
'Thumb your way'
by Dr. Jim Suttie ('Golf Magazine,' August 2007)
「・ミス・ショットの多くがフックだったり、パワー不足だったりする人
左手の親指を伸ばしてグリップする。こうすると、指ではなく左手全体でグリップすることになる。これはフェースがクローズになることを防ぎ、同時に手首のテコの作用(=パワー)を増大させる。
・ミス・ショットの多くがスライスだったり、オーヴァー・スウィングの人
左手親指を縮める(反らす)。こうすると、左手首が固定されるので、自然にコンパクト・スウィングになり、よくコントロールされたダウンスウィングが出来、インパクト時のフェースもスクウェアになる」
私は「左手親指を縮めるのが正しい」と教わりました。オーヴァー・スウィングを防いでくれることも効果の中に含まれるのですが、確か多くの書物で「左手親指を縮めないのはトーシロ」というぐらい強調されて教えられた気がします。で、以来ウン十年何の疑いもなく左手親指を縮めていたわけです。
「左手の親指を伸ばしてグリップする」というメソッドは初めて聞きました。しかも、フック系の私にぴったりじゃないですか。「オーヴァー・スウィングしないように気をつけながら、左手の親指を伸ばしてグリップ」というのが私に向いているように思われました。ここ半月天候不順だったため、先日練習もしないでいきなり本番でやってみたのですが、プッシュばっかり。惨めなゴルフになりました。私にはやはり「左手親指を縮めるのが正しい」ようです。
(July 20, 2007)
'Make good putts on bad greens'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' June 2007)
「あなた方の多くは、大金を払って毎週TVで見る一流コースの絨毯のようなスムーズで早いグリーンでパットしていないに違いない。しかし、遅くてスポンジのようなグリーンでも、ボールをスムーズに転がす方法はあるのだ。【編註:“スポンジのような”がふわふわしたという意味なのか、スポンジのように穴が空いているという意味なのか、どっちか解りません】
一流コースの刈り込まれた早いグリーンであれば、水平に、あるいはやや下降気味にボールと接触しても問題ないが、芝が長かったりスポンジのような二流のグリーンだと、ボールは芝に掴まって横滑りしたり、ぴょんと跳び上がってラインから外れてしまうことになる。
こうした傾向に対抗するには、ボールと上昇気味に接触することだ。アドレスでは、頭をターゲット・ラインの上ではあるものの、目がボールの(真上ではなく、ターゲット・ラインの)後方になるように移動する。頭を動かすことは胸骨を動かすことであり、振り子運動の最低点をボールの真後ろに移動する結果となる。
上の調整により、ボールは上昇気味に打たれ、ぴょんと跳び上がったりせず、直ちにスムーズに転がって行く。二流グリーンを一流グリーンに変えることは不可能だが、少なくともラインを外さないように転がすことは可能なのだ」
(July 22, 2007)
図のAは『Stan Utleyのパットの目の位置』(tips_103.html)に出て来た目の位置です。これはパター・デザイナーScotty Cameron(スコティ・キャメロン)がStan Utleyに教えたメソッド。目はボールの後方で、しかもターゲット・ラインの内側に置くのがポイントです。
ところで、『パターがパッティング・ストロークを決める』に「トゥが重いパター(Ping Anser、Scotty Cameronなど)は水平の円弧型ストローク(インサイド←→インサイド)をするように設計されている」とあるように、Scotty Cameronのパターはインサイド←→インサイドのストロークを前提に作られているようです。そして、Stan Utleyもまさにインサイド←→インサイドのストロークを提唱する人。
現在私が使っているパターはOdyssey Rossie IIで、これは垂直の時計振り子型ストローク(ストレート←→ストレート)をするようにデザインされています。また、同じ『パターがパッティング・ストロークを決める』の記事では、「ストレート←→ストレートのストロークをする場合、目はターゲット・ラインの真上」が最適と書かれています。
以上を総合すると、私の場合は図Bのように修正しなければいけないことに気づきました。それでもパットが満足出来る結果を生まないので色々考えているのですが、注意すべき点がいくつか浮かび上がって来ました。
1) アドレスで、私が図Bのように両目を結ぶ線がターゲット・ラインの真上になるようにしているのは間違いない。
2) しかし、ターゲット(カップ、あるいは目印)を見た後、ボールに目を戻した時が問題である。
3) 私の利き目が右なので、ややもすると図Cのように利き目がボールの真上で停止しがちである。これは大怪我ではないものの、照準が狂いやすい。
4) 私は「頭を起して(=首を立てて)ターゲットを見てはいけない」というtipを覚えていますので、首をターゲット・ラインに沿って廻す(=捩る)ようにしてターゲットを見ます。ここまではいいのですが、問題はその目をボールに戻した時です。ごく僅かな角度の違いで図Dや図Eのようになりかねないのです。私がターゲットの左へミスしがちであることからすると、私の場合図Eになり易いようです。多分これは個人個人の生理的・心理的快適さに根ざした傾向ではないか?というのが私の仮説です。
図CやD、Eにならないためには、目をターゲットからボールに戻した時、正しく図Bになるように自分に強制しなくてはなりません。【インサイド←→インサイドのストロークの人は図Aに】
まだデータが少ないのであくまでも仮説の段階ですが、私の場合図Bにちゃんと戻した時はパットの成功率が高くなっている気がします。
(August 01, 2007)
'How to nail your alignment'
by Tom Patri ('Golf Magazine,' February 2007)
「アドレスで目はボール(ターゲット・ライン)の真上に置くべきである。しかし、それだけでは不十分で、両腕の状態にも注意しなければならない。
・練習グリーンに誰かいる場合、その人にラインの背後に立って貰い、前腕部をチェックして貰う。背後から見た時、あなたの右前腕部は左前腕部を覆って完全に重なっていなくてはならない。
・一人で確認するには、アドレスしてから左右の前腕部を見下ろし、それらが互いに同じ高さにあるかどうかチェックする」
(August 01, 2007)
"Stay behind the ball"は古くから云われている鉄則です。正確に云うと、「頭をボールの後ろに留める」わけですが。
'Stay behind the ball'
by edirors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' August 2007)/P>
「『パワーを増加させたければ、下半身をもっと活発に動かせ』と云われたことがある筈だ。しかし、脚と腰を過度に動かすと、上半身もターゲット方向に動かす結果となり易い。それはまた、ひどいプルか、プル・スライスに繋がる。
そういう副作用を避けるには、スィングの間中"Stay behind the ball"《ボールの後ろに留まれ》に集中することだ。これは下半身の暴走を防ぎ、手・腕のフリーなスィングを助けてくれる。それはまた、飛距離に繋がるドロー系の両手のリリース(振り抜き)も容易にしてくれる。
下半身を動かし、上半身を静止させるというのは矛盾して聞こえるかも知れない。ドライヴァーを打つ時、ボール位置は左足踵の前方であるべきだ。となれば、あなたの頭は当然ボールの後ろに位置する。アドレスでは、頭はボールの右。ダウンスウィングでは、頭を静止させることによってインパクトで両手が顎を通過してターゲット方向に伸ばされるように感じるべきである。
もう一つ役に立つであろうポイントは、身体をボールと左耳を中心に回転させるというものだ。インパクト前後では左耳を後方に留め、フォロースルーになって自然に頭が上がるまで保持するのがコツ」
写真を御覧下さい。鉛筆で描かれている円弧がスウィング軌道だとします。指で摘んでいる部分がゴルファーの頭。頭が右へ動けば円弧も右に移動し、スウィングの最低点が変わってしまいます。それではクラブフェースがボールに正しく当たるわけがないことは簡単に分かる理屈です。上の記事で「上半身をターゲット方向に動かしてはいけない」というのは、そういうことです。
ドライヴァーの場合、ダウン・スウィング開始と同時に《頭を右膝の上に留める》よう努力すれば、ボールの後ろに留まれます。
(August 07, 2007、増補August 26, 2018)
'How to be a clutch putter'
by Lorena Ochoa with Topsy Siderowf ('Golf Digest,' September 2007)
「パターを軌道上にキープするには、頭を静止し続けなくてはならない。練習する時、私のコーチは私が自由に腕とパターを往復させる間、私の頭を押さえていてくれる。
私はボールを打った後、結果を見る前にボールがあった場所を見ながら二つ数える。これは気が遠くなるように長く感じられるが、静止させた頭は私のパッティングの大きな鍵なのだ」
LPGAの現在のNo.1プレイヤーLorena Ochoa(ロレナ・オチョア)は二つですが、私には「三つ数えろ」という自作のtip(tips_76.html)があります。以下のようなものです。
打ってから三つ数え、それからカップを見るというのを習慣にしようと思っています。ハンフリー・ボガートの映画に『三つ数えろ』(原題:'The Big Sleep'、1946)というのがありました。ストロークの前に「三つ数えろ」と唱えるつもり。
(December 15, 2003)
プロのLorena Ochoaの方が一つ少ないのに「気が遠くなる」んですから、三つ数えるなんて人間業では中々出来ない筈です(私は結局実行出来ませんでした)。
PGA Championship 2007のTV中継でプロたちのパットを観ながら、彼らの頭の動きと体重の掛け方に注目していました。やはりプロの多くはきちんと頭を残していますね。打つや否やボールを見上げる人は外すことが多かったように見受けられました(成功させた人もないではありませんが)。
その後のラウンドで必死に頭を残したところ、前半9ホールで計12パットという快挙が達成出来ました。後半は頭のことを忘れて16パット(スコアは9オーヴァー)。「二つ数えろ」というこのtipは特殊な技術が要るわけでもなく、有名インストラクターへの月謝が必要なわけでもありません。決意一つなのですから、スコアを縮めるには最も安上がりで効果的tipと申せましょう。
(August 18, 2007)
'Precision Putting'
by James A. Frank (Human Kinetics, 1999, $16.95)
「頭はパッティング・ストロークの間中静止しているべきである。頭が動けば身体も一緒に動くものであり、それではパターとボールの正しい接触は望めない。
しかし、頭を静止させる時の注意点がある。首や肩の筋肉を緊張させてはいけないということだ。顎を胸に埋め込んでしまうのもよくない。上半身を硬くするのもスムーズでリズミカルなストロークの妨げとなる。緊張しないこと。
頭の動きについて悩むよりも、頭がじっとするような習慣をつけるとよい。例えば、インパクトの瞬間後もボールのあったところを見つめ続けるとか、ボールを見送らないでカップに転げ込む音を待つとか。
頭に関する最後の重要ポイント。完璧にアドレスした後、ターゲットへの最後の一瞥が全てを台無しにすることがある。頭を持ち上げると身体全体も持ち上がり、折角作り上げた良いポスチャーを破壊してしまう。アドレスした後は、頭を持ち上げるのではなく、頭を横に単純に回転させるべきなのだ【編註:イヤイヤする時の頭の動き】。これなら作り上げた体勢に影響は出ない」
「ボールの残像を見よ」(tips_171.html)というtipを実行すれば、簡単に頭を残せます。
(August 22, 2007、増補August 26, 2018)
Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の二人目のコーチとなったJim Flick(ジム・フリック)の飛距離増強法。
'Lighten your grip'
by Jim Flick ('Golf Digest,' September 2007)
「全てのスポーツに当てはまる原理は沢山あるが、《硬い筋肉は遅い筋肉である》というのもその一つだ。硬い筋肉はスピードとフィーリングを減じてしまう。多くのスポーツマンがプレッシャー下で能力を発揮しようとする時、緊張することを恐れる。
1970年頃、私は有名なプロ野球選手のJohnny Bench(ジョニィ・ベンチ)と知り合った。彼は生涯で389本の本塁打を放った人だが、ゴルフも上手だった。
彼はフェンスに向って打とうとする時、バットのスピードを増すためバットを軽く握ると云っていた。これはゴルフにも当てはまる原理である。アドレスからスウィングに至るまで軽いグリップとリラックスした腕を維持出来るなら、それはクラブを精一杯伸び伸びとリリースし、さしたる努力無しに距離が稼げる結果に繋がる」
最近の私はかなり距離が落ちてしまって、「歳のせいだろうか?もう年貢の納め時か…」とがっくりしていました。ところが、グラグラするような軽いグリップにしてみたところ、また以前の距離に戻りました。
私の推測ですが、スウィングに自信がないと硬いグリップになるようです。右や左に行かないように、スクウェアなフェースを保とうと思うからでしょう。《舵を取るな》という格言があります。右が恐いからとか、左が恐いと云ってフェースの向きを操作しようとしてはいけないのです。指を硬くすると手首も硬くなります。自由に手首が返らなくなるので、結果的に恐れている右や左に行ってしまいます。テコの原理が働かなくなるので飛距離も落ちます。
いくつかのミス・ショットに懲りておっかなびっくりになるのが硬いグリップの始まりで、どんどんショットが悪くなる雪崩現象を起こすような気がします。
ゴルフは逆説的スポーツです。素人が考える逆が真ということが実に多い。ミスが出たら縮こまるのではなく、伸び伸びと自由に振るという逆説も成立するのではないでしょうか。
(August 25, 2007)
'Precision Putting'
by James A. Frank (Human Kinetics, 1999, $16.95)
「グリーンが水で濡れている場合、ボールは遅く真っ直ぐに近い転がり方をする。より強めに、ブレイクを少なめに見積もってストロークしなければならない。
グリーンがずぶ濡れの場合、かなり強く打ってもボールが動かないことは珍しくない。水分はもの凄い抵抗を作り出し、ボールの重みを増す。こういう時は大人しくラウンドを中断し、別の日に出直して来る方が賢明というものだ。
上の法則が当てはまらないのは朝露である。水蒸気の薄い層はボールを早く転がす(転がるというより滑走に近い)。【編註:ハイドロプレーン現象】そして、ブレイクも大きい。朝早くラウンドする場合、最初の数ホールは、こういう朝露でカヴァーされた早い転がりのグリーンに注意すること。後になって朝露が乾いてからは、ボールの転がりは全く変わってしまう」
(August 28, 2007)
ピンから20ヤード離れたバンカー越え、しかもバンカーとピンの間がすごく狭いという難題である。そこで今回の君の使命だが、高あーく上げて距離を抑え、ほとんどランも無しで止めるというスーパー・ロブショットを遂行して貰いたい。この記事は読後10秒経つと自動的に消滅する。
'How to lob it to a tight pin' 「【セットアップ】 ・先ず第一にシャフトを廻してクラブフェースをオープンにし、その後で通常のグリップをする(先にグリップを作ってから単純に手を右に廻してクラブフェースをオープンにしても、それではインパクト時にフェースはスクウェアになってしまうので意味がない)。 ・最後に、シャフトをターゲットから遠い方に若干傾げる。【編註:クラブヘッドよりも両手がターゲットライン後方になる】 【スウィング】 ・フォロースルーで絶対に右手首を返してはならない。手首を返すことはフェースをクローズにするので、ボールは高く上がらない」 |
え?まだ消滅しません?
(August 28, 2007)
Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)はPGA of Amaricaのインストラクターであり、Keiser(カイザー)大学の教授兼ディレクターでもあります。10冊以上のゴルフ・インストラクション本を執筆し、新聞連載のコラムも持つ人気インストラクター。
'It's Good for Your Game'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeal Publishing, 2003, $12.95)
「人体は、ウェスト(腰の上のくびれた部分)ではなく腰から前に折るように出来ている。もしウェストから折ると、背を曲げてしまって回転軸の役を果たせなくしてしまう。背を1°曲げると背骨の回転を2°失うことになる。ウェストから身体を折ると股関節を動かなくしてしまうので、腰は横方向への移動を強制され、回転ではなくスライドする動きをしてしまう。
股関節から上体を折ることによって、両腕は肩の真下にテンションもなく垂れ下がることが可能になる。それは、両腕に正しいプレーンでスウィング出来る空間を作り出してくれる」
上の引用はスウィングのポスチャーに必須の要素について書かれていますが、パッティングのポスチャーでも同じです。
股関節は股の付け根(図の逆ハの字の白線)ですから、かなり下の方です。われわれのポスチャーはややもすれば背骨の根元の辺り(腰痛になり易いところ)で折りがちです。首と背を屈めてお辞儀をする日本人の習い性となったポスチャーでしょうか。
ボールもパターも無しで鏡の前に横向きで立ち、ウェストから上体を折るお辞儀スタイルのポスチャーでパッティングの動きをして、下半身を見つめてみましょう。次に、股関節から折ったポスチャーをします。このポスチャーではお尻が突き出され、背骨はビーンと一直線になります。こちらでもパッティングの動きをします。これで分ることは、お辞儀スタイルだと両手の動きにつれて膝や腰もわずかに動いてしまいますが、股関節から折った姿勢では下半身は動かず、しっかりした土台を作っているということです。上の記事の内容と矛盾していますが(スウィングとパッティングの違いでしょうか)、パッティングでは振り子となる両肩・両手・両腕以外の部分は動かさないのが理想なので、股関節から上体を折ることは不可欠でしょう。
ウェストから上体を折る過ちを防ぐには、性急に完成されたアドレスを作るのではなく、ボールの前で先ず直立し、股関節から上体を折り、それからスタンスを決め、膝をリラックスさせるという順序がいいようです。最後にボールとの距離を微調整します。
(September 01, 2007、改訂August 27, 2016)
ショートゲーム専門インストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)によるパッティングtip。
'Position, Position, Position'
by Dave Pelz ('Golf Magazine,' March 2004)
「あなたは完璧なパット名人になれるだろうか?否だ、もし、ボール位置が間違っていれば。
《ボール位置はストローク弧の最低点の1インチ(約2.5センチ)前》であるべきだ。これはパッティングのスタイルに関係ない定理である。この方式だとボールを上昇気味で捉えるため、ボールを芝にめり込ませたりせず直ちに芝の上を転がし始めることが出来る。
この方式を適用するには、パットの構えで両目を閉じ、地面に触れない高さでパターを何度もストロークする。慣れたら、ストロークを続けながら芝に触れるまで少しずつパターを下ろして行く。芝に触れる時点になったら、友人にストローク弧の最低点をマークして貰うように頼む。そこから1インチ(約2.5センチ)前方が、あなたの完璧なボール位置である」
(September 01, 2007)
Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)はPGA of Amaricaのインストラクターであり、Keiser(カイザー)大学の教授兼ディレクターでもあります。10冊以上のゴルフ・インストラクション本を執筆し、新聞連載のコラムも持つ人気インストラクター。
'It's Good for Your Game'
by Dr. T.J. Tomasi (Andrews McMeal Publishing, 2003, $12.95)
「どこの練習グリーンでもいいから、ゴルファーたちのパッティングを見てみるといい。あなたが目撃しているのは、彼らがパットを失敗するための練習なのだ。それは以下のような風である。彼らはカップから15フィート(約4.6メートル)のところに五個のボールを置き、最初のパットをショートし、次の二個をプルし、四個目をプッシュ、最後のボールを3メートルもオーヴァーさせる。これでは脳味噌が「今日もパットはうまくいかないな」というメッセージを受け取るのにさして時間はかからないだろう。こうして、ゴルファーはギミー以外は全てのパットに失敗する心の準備を整えてコースに向うのだ。
統計によれば、平均的ツァー・プレイヤーがコースで6フィート(1.8メートル)のパットに失敗する率は50%である。それも完璧なグリーンでの話。だから、週一ゴルファーが凸凹の、カップ位置が毎日同じで芝がすり切れたような練習グリーンで、15フィートの距離からのパットを成功させる確率って一体全体?今度一度記録を取ってみてほしい。20%以下であると断言出来る。
練習時間の多くは、正しい距離感を得るために使われるべきである。常に適切な距離にパット出来るなら、あなたは結構なパット名人と云えるだろう。大抵の3パットは、方向のまずさからではなく、貧弱な距離感によるものだ。考えてもみなさい。もし、激しく見当もつかないブレイクでもない限り、6フィート(約1.8メートル)も右か左にミスするということはまずあり得ないが、6フィートショートしたりオーヴァーしたりすることはしょっちゅうだということを。
・距離感を養うドリル
練習グリーンに三本のクラブを3メートル、6メートル、9メートルぐらいに離して寝せる。三個のボールを用意し、最初は三個とも同じクラブ・シャフト目掛けてパットする。次に、9メートル、6メートル、3メートルにそれぞれ一個ずつパットする。その次はターゲットの順番を変えてパットする。
このドリルの利点は、カップをターゲットにした場合のいわゆる“失敗”というものが存在せず、カップを逸れるボールを目にすることもないことだ。【編註:この練習では自信を喪失する要素がないということ】
・自信をつけるドリル
仕上げはボールがカップに入るところを見ることである。平らな1メートルのラインを見つけ、4〜5回のパットを、全てカップのど真ん中にぶち込む。そして、『1メートルまでのパットはどこからでもことごとく沈められる』という自信を抱いてコースに出て行くのだ」
(September 05, 2007)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。編著者Bill Kroen(ビル・クロエン)は精神療法士、児童心理学者として著作をものにするかたわら、ゴルフ・インストラクターとしても活躍し、Callawayのプロ・スタッフの一員ともなっています。
「情けないゴロの原因となるトップは、硬直した両脚とインパクトでの伸び上がりによって引き起こされる。スウィングの間中膝の柔軟性を保つようにすること。ボールを掬い上げようとしてはいけない。クラブは自然にボールを上げるように出来ているのだから、上げようなどと考える必要はない」
(September 05, 2007)
野球のバッターはバットを振りかぶってピッチャーの投球を待ちます。今回のこの記事の骨子もそれで、ゴルフ・スウィングのエラーの70%はバックスウィングの過ちに由来するものなのだから、バックスウィングをやめればパワフルで正確なショットが出来るというセオリー。しかも、一寸でも野球を知ってる人は、練習の必要もなくこの新しいスウィングを始められるのが利点。
'The No-Backswing Swing'
by Jim Suttie, Ph.D. and T.J. Tomasi, Ph.D ('Golf Magazine,' September 2007)
1) 普通にスウィングを始め、左腕が地面と平行になったところで止める。
2) 左肩がボールの後ろに達するまで廻し、体重を右腰に乗せる。左腕は両肩を結ぶ線に沿って動いて捩(ねじ)られるべきであって、無理に上に上げないこと。
3) 野球のバッターが投球に合わせて僅かにバットを引くように【水平だった両腕を】30センチほど引く
4) 3のアクションの直後、体重を左に移すのをきっかけに身体を逆転させ、ダウンスウィングを行なう。
'Golf Magazine'誌は初心者からレッスン・プロまで29人の協力者を得て、この'No-Backswing Swing'(以下NBSと略)を試して貰いました。彼らの5番アイアンで通常のショットを五発、NBSを五発打って貰い、その飛距離と正確さを計測しました。その結果、飛距離には大差はなく、正確さはハンデ1以下、11〜20、20以上のそれぞれでNBSの方が上廻る成績でした。ハンデ1〜10の人々では何故かNBSの正確さがガクンと落ちました。
さらに同誌は、あるハンデ8の男性(39歳)を選び、二週間NBSの練習をして貰いました。その結果、この男性はクラブ・スピードとボール・スピードを増し、キャリーで9ヤード以上飛距離を増したそうです。
「バックスウィングが必要な理由は、身体を捻転させることと、次の二ヶ所でテコの作用を生み出すことにある。
・前腕部とクラブシャフトで形成される90°の角度
・曲げられた右肘の90°の角度
身体をターゲット方向に回しながら、上の二つのテコを同期させてリリースすることが、クラブヘッド・スピードを生む原動力である。NBSはエラーの可能性なしで二つのテコを作り出せる。また、不完全なバックスウィングをするよりも、NBSの方が完璧に同期したリリースをすることが可能である」
このNBSに完全に慣れるまでは、フォロースルーを3/4の位置で止め、以下のポイントをチェックすべきだそうです。
・両腕は胸の前にある
・上半身はターゲット向いているが、背骨はターゲットから遠ざかっている
・全ての体重は左腰の上にかかっている
私のゴル友Jack(ジャック)は'The Golfing Machine' by Homer Kelleyを熟読しているほどの理論家ですが、上のヴィデオを観た感想を寄せてくれました。「このNBSは別に新しいセオリーではない。何年か前にもどこかで読んだ記憶がある。上の2の振り上げるアクションは野球同様一回が適切だと思うが、練習の際には好きなだけ行なっていいと思う」
そう云われて思い出しました。五、六年前、このスタイルで打っているアマチュアを見たことがあります。彼は海軍航空訓練基地ゴルフ場のグリーン・キーパーの一人で、仕事が終わってから時々ラウンドしていました。ラウンドを終え練習グリーンにいた私は、何度も彼のティー・ショットを目撃したのです。それは野球の打ち方そっくりだったので「変なスウィングだなあ!」と思いましたが、当人は堂々とプレイしていましたし、ボールも真っ直ぐ、いい飛距離で飛んでいたように記憶しています。
(September 16, 2007)、改訂(March 24, 2010、再訂June 02, 2015)
'Don't be a stiff'
by Craig Shankland with Greg Midland ('Golf Magazine,' March 2004)
「“入れ頃外し頃”の短いパットに膝がガクガクし、必死で落ち着こうと努力しているあなた。手首を使いなさい。よく云われるように手首を硬くするのではなく、カップに向って右手の手首をリリースするのだ。
5フィート(1.5メートル)の距離から練習してみよう。インパクト前後で、まるでボールをカップに押すように右手の曲げられた手首を伸ばし、パターを低目に出す。フェースはちゃんとターゲットにスクウェアだろうか?そうであれば、両手をこねたりせず手首をリリースしたことになる。この動きをマスターすれば、もうショートパットなんか恐くなくなる」
(September 16, 2007)
'Perfect posture'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 2007)
「自由にクラブを振れる最適な状態を作り出すのは、いいポスチャーである。完璧なポスチャーの作り方、以下の通り。
・背骨を伸ばして直立して立ち、両手は両脇に自然にだらんと下げる。この時、両肩は屈まずやや背後に引かれ、お尻は引っ込められている筈だ。
・両手を両脇に下げたまま、股関節から上体を前傾させる(背骨を曲げてはいけない)。
・両膝に若干の柔軟性を与える。
・体重は両足の内側に均等にかける。
・お尻はやや突き出された形。
・両腕は肩から自然にぶら下がっている。ここまでの手順が正しく実行されていれば、両手は太股から15〜20センチ離れている筈である。
このポスチャーなら、肩と腰は背骨を中心として回転し、両腕は自由に往復運動可能である。このポスチャーが自動的に作れるよう練習すること。これはあなたのスウィングと秘められたパワーを劇的に改善するものである」
(September 20, 2007)
「上体を(股関節ではなく)背骨から曲げてアドレスすると、回転軸が折れてしまうので、正確なスウィング(ストローク)は望めない」と云われます。独楽(こま)回しのコマの心棒が真っ直ぐだから静止したように完璧に回転するわけですが、屈折していたらゆらゆらガクガク廻って、すぐ転げてしまうでしょう。回転動作にはシンプルな軸が望ましいようです。
パッティングの際、股関節で曲げた上体の肩からだらんと下がった両腕でパターを握るのがいいとされています。しかし、ほとんどのツァー・プロもコーチも、その腕をパンタグラフのような菱形に折って(両肘を左右に突き出して)パターを持っています。シンプルな形ではありません。折角肩からだらんと下げたのであれば、そのまま両腕を伸ばしてパターを持ったらどうなのか?という疑問が浮かびました。
先ず、パンタグラフ型を推奨するメソッドをおさらいしてみましょう。ショートゲーム(特にパット)名人のPaul Runyan(ポール・ラニャン、1908〜2002)です。
'The Short Way to Lower Scoring'
by Paul Runyan with Dick Aultman (Golf Digest/ Tennis, Inc., 1979, $9.95)
「前腕部が作る角度は、パターを中心として45°+45°=計90°が最適である。もしこれより少なければ余りにも立ち過ぎていて、ボールと頭の距離が離れ過ぎである。もしこれより多ければ、両肘は外に突き出されることになって腕の動きが阻害される。この場合、グリップは固く握り締められ、手と手首による不正確なパッティングになり易い」
'Dave Pelz's Putting Bible'『デイヴ・ペルツのパッティング・バイブル』をめくってみました。両手を伸ばしてパターを持っている写真は沢山あります。特に筆者Dave Pelzは真っ直ぐに近い。しかし、「手を伸ばしてパターを持て」とも「パンタグラフのように折れ」とも書いてはありません。唯一、「市販のレギュラーサイズ・パターは、背の高いゴルファーにとっては短過ぎるので肩から垂らした両腕を伸ばして持ち、かなり背の低いゴルファーには長過ぎるので(背を屈めるのでなく)両肘を突き出すことになる」とあるだけ。そのDave Pelzも、正面からの写真では両手を真っ直ぐ伸ばしているように見えるものの、横からの写真では肘を軽く前に折っています。パンタグラフ型ではありませんが、完全に真っ直ぐ伸ばしているわけでもないのです。(ただし、ロングパターやベリィ・パターを持つと、Dave Pelzも一方の手は完全に真っ直ぐに伸ばしていますが)
私は「パッティングにパンタグラフ型が必須というわけではないのだ」と確信しました。「じゃあ、完全に両手を伸ばしてパットしてみよう!」と思いました。練習グリーンでの成果は目覚ましいというほどではありませんでしたが、パンタグラフ型よりは安心してストローク出来ます。肘を伸ばすことによって、パンタグラフ型よりも身体と両腕の間隔を一定に保てるような気がします。手首が勝手に回転したりもしないようです。では、両手を伸ばしたパッティングは常に正確かというとそうではありません。18ホール、この方法でやってみましたが4パットまで出しちゃいました。
'Dave Pelz's Putting Bible'を再度チェック。すると、"Your elbows and forearms don't have to be under your shoulders, just your hands."という説明にぶつかりました。「肘と前腕部は肩の下にある必要はない」と云っています。「二の腕(肩の付け根から肘までの部分)だけ肩から自然にぶら下がるようにせよ」ということです。
1) 頭はボールの真上である
2) 二の腕は肩から垂直に垂らす
3) 手と腿(もも)の間には広過ぎず狭過ぎない空間をおく
これらの条件を満足させるとなると、身長によってボールとの距離を調節するために、肘を折って前腕部に角度を作る必要が出て来るのでしょう。Dave Pelzが折る方向を指定していないことからすると、それはパンタグラフ型でもいいし、肘を軽く前方に折るスタイルでもいいということのようです。
これはもう少し研究してみる必要がありそうです。
(September 20, 2007)
'Delay the hit'
by Ron Gring with Greg Midland ('Golf Magazine,' June 2005)
「多くのアマチュアは、折角トップまでにコックした角度を早期に緩めてしまうことで飛距離のハンディキャップを生んでしまう。インパクト直前までコックを維持する練習が必要である。
1) 7番アイアンを用いる。
2) アドレスし、シャフトが地面と平行になるまでコックする(ターゲットラインとも平行)。【右図】
3) そこでしばらく静止し、その感覚に慣れる。
4) その地点から両手が胸の高さになるまで上げる。
5) そこから最後まで身体を捻転させる。
6) 腰からダウンスウィングをスタートして、胸の高さでフィニッシュする(パンチショット)。
腕のスウィングの勢いがクラブをリリースさせるに任せること。これは両手、両腕に可能な限り長くパワーの解放を待つことを覚えさせる訓練である。前以てコックをセットすることにより、インパクトでヘッドスピードが増す。当然、飛距離も伸びる」
私は、練習ではなく本番のドライヴァー・ショットで上の1〜5まで実行しています。ドライヴァーですから、フィニッシュはフル・フィニッシュで、そこだけがこの記事と異なります。アイアンでも同じようにやっていたのですが、何故かタイミングがうまく取れないので、アイアンでは普通にスウィングしています。
(September 24, 2007)
スポーツ心理学者Patrick Cohn, Ph.D.(パトリック・コーン博士)によるトラブル・ショットへの心構え。
'Going Low'
by Patrick Cohn, Ph.D. (Contemporary Books, 2001, $22.95)
「木、バンカー、池を避けようなどという、恐怖に支配されたゴルフをする時、人はボールの舵をとろうとする。狭いフェアウェイを目にした時、舵をとる(誘導する)ショットは、意識的にショットをコントロールしようとするゴルフである。大概の場合、悪いショットを打つかも知れない恐怖に根ざした緊張は、あなたのスウィングに枷をはめてしまう。右の林を避けようと努力するとどうなるか?あなたの緊張した手首は返らず、舵をとろうとする腕は振り抜きをブロックし、結果としてあれほど避けたかった右の林にボールを抛り込んでしまう。さもなければ、ためらいがちで弾くような手の動きによって、ボールを左に放ってしまう。
覚えておくこと。恐怖が邪魔をする時、意識がスウィングをコントロールしようとし、舵をとろうとする」
【参照】「舵をとるな」tips_49.html
(September 24, 2007)
この記事はグリーンへ乗せるショットのことで、パットの話ではありません。
'Stop coming up short'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' October 2007)
「ショートする原因は色々あるが、先ず「おれは飛ぶ」というエゴを捨てること。クラブ選択に迷ったら長いクラブを選ぶように。
・爪先上がりのライ +1(クラブ)
この状況だと、身体のバランスを保つために80%のパワーでスウィングしなければならない。加えるに、斜面が作り出す右から左への弾道は、ストレートなショットよりキャリーが少ない。
・爪先下がりのライ +1
この斜面は左から右へカーヴする弾道を作り出す。フェードはストレートのショットのようには距離が出ない。
・砲台グリーン +1 あるいは +2
打ち上げとなるグリーンへのショットは、ボールの着地が早くなりキャリーが短くなることを意味する。もし、フェアウェイが平坦でグリーンへ打ち上げるのであれば、1クラブ足す。フェアウェイが登り斜面で、さらにグリーンが高くなっているなら2クラブ足すべきである。
・向かい風 +1〜3
顔に感じる程度の向かい風であれば1クラブ足す。顔に強い向かい風が当たるのであれば、2クラブ足す。もし、唸るような風であれば3クラブ足す。風に向って打つ場合、バックスピンを与えないようにゆったりとスウィングするのが鍵である。(バックスピンはボールを高く上げ、距離を減らしてしまう)」
(September 28, 2007)
'From the fairway'
by Michael Hobbs (Gallery Books, 1991)
これはイギリスで出版されている"Instructor's Library"シリーズの一冊で、筆者のMichael Hobbs(マイケル・ホッブス)も英国人です。スウィングの連続写真を多用していることと、20冊以上の本を書いているという筆者の端的な表現が特徴。
「ドライヴァーというものは、普通ティー・ペグ上にあるボールを、水平かやや上昇気味のスウィング弧で打つものである。しかしながら、多くのプレイヤーが下降気味のスウィングでボールをとらえるが、それは劣ったプレイヤーだからというわけではない。
若い頃のArnold Palmer(アーノルド・パーマー)は、単に下降気味に打つだけでなく、意図的に地面を先に打ち、次いでボールを打ったものだ。ドライヴァーで下降気味に打つことは、ティー・ペグによって得られる飛距離を減じるものである。ボールは若干スウィートスポットを外れ、ターゲット・ラインからも逸れて打たれる。バックスピンが多めにかかる。結果は、高めの弾道でキャリーとランが少なくなる。しかし、これはフェアウェイでドライヴァーを打つ場合の利点となる。上級者であれば距離が減ることもない。あるウェールズ出身のプロは、全英オープン三回優勝のプロHenry Cotton(ヘンリィ・コットン、1907〜1987)は、フェアウェイでドライヴァーを打ってもティーから打つのと同じぐらいの飛距離があったと証言している。
ドライヴァーのロフトに関してのルールはないが、8°〜12°が多いようだ。クラブメーカーは、多くのゴルファーにとって8°は扱いが難しいか、全く扱い切れないものであることを知っている。だから、メーカーはよりロフトの多いドライヴァーを作ろうとする。その結果、ドライヴァーと云うよりも2番ウッドと呼ぶべきクラブが多くなっている。だから、もしいいライに恵まれたなら、あなたはフェアウェイからボールを飛翔させるに相応しいクラブを手にしているというわけである」
【参照】「フェアウェイ・ドライヴ」tips_57.html
(October 01, 2007)
K.J. Choi(K.J.チョイ、韓国)愛用のデカ・グリップ'Super Stroke'は40ドル+送料とあって、私でも手が出せない代物ではありません。しかし、只の筒っぽ(中は空洞)に40ドル+送料は高いと思います。オリジナルのグリップを捨てなくてはならないのも辛い。
何とか40ドル出さずに同じ効果を得られないものかと思いました。先ず、頭に浮かぶのがBernhard Langer(ベルンハルト・ランガー)のグリップです。彼はスランプになる度に様々なグリップを試しましたが、その一つは左手は普通にグリップするものの、右手はグリップを覆いながら左腕を掴むというものです。これは完全に両方の手首を殺します。ただ、私がこれを真似しようとしても、手が小さいのかパター・グリップが太すぎるのか、右手が左手を掴み切れません。
Dave Pelz(デイヴ・ペルツの)'Putting Bible'もめくってみましたが、Bernhard Langerの方法に優る手首固定式グリップの写真は見当たりませんでした。
仕方なく自分で工夫してみました。最初は全部の指を組み合わせて、親指をシャフトの上に揃えるというグリップ。全部の指を組むと、パター・グリップと手の間に隙間が出来てパターをしっかり保持出来ません。両方の親指をパター・グリップの側面に当てると、ややしっかりしますが、それでも長いストロークなどの際にはパターがふらつく感じ。
指一本だけのインターロッキングを試しました。レフトハンド・ローのインターロックとライトハンド・ローのインターロック。どちらも手首を殺し、'Super Stroke'と同じ効果が出ることが分りました。私の場合、ライトハンド・ローだとどうしても右手で打つ感じになり、ラインをキープ出来ません。前者が良さそうでした。
昨日、レフトハンド・ローのインターロッキング・グリップで18ホール廻ってみました。左手の親指はパター・グリップの真上に添えますが、右手の親指はパター・グリップの右側面に当てます。こうすると右手首が勝手に伸びる(こねる)のを防いでくれます。練習グリーンではそう素晴らしいとも思えませんでした。距離感はいいものの、左右にバラけます。前回のバーディ・チャンス六回を活かせなかったのも、ほんの少し左右にバラけたからでした。
パットの成功・不成功をパット総数で計るのは、実は完璧ではありません。アプローチ・ショットの寄り加減との関連が深いからです。ですから、実はレフトハンド・ローのインターロッキング・グリップがいい選択かどうか定かではないのですが、この日のラウンドのパット総数は12+16=28でした(スコアは+12)。初めて試みたグリップとしては悪い数字ではありません。この日、一つ気になったことがありました。左手を真っ直ぐ伸ばす構えとパンタグラフ型で両肘を左右に突き出す構えの違いです。ラウンド後半になってそれを意識し、極力パンタグラフ型にしてみたのです。ひょっとして、二つの構えの違いがパット総数12+16に影響しているとしたら?
私はこういう疑念を抱くとじっとしていられない質なので、今日練習だけのためにコースへ行ってみました(なんせ、片道十分)。練習グリーンで、6メートルのロング・パットを一個ずつ交互に異なる構えで十個打ち、往復しました。パンタグラフ型のバラけ率が高く、左手真っ直ぐ型がカップの周りに固まる率が高いという結果でした。次に、比較的フラットな場所にあるカップの周りに十個のボールで円を作り、全部沈める練習。これはパンタグラフ型で連続十個、左手真っ直ぐ型で連続十個。結果はどちらも三個ミスで、似たようなものでした。
以上をOdyssey Rossie IIとTwo Bar Putterで実施したのですが、Two Bar Putterの成績の方が優秀でした。このパターでもう一度6メートルに挑戦したら、十個のうち三個がカップインしました。ラインに慣れたということもあるでしょうが、この新式グリップによる距離感が抜群で、方向のブレが少ないことの証しだと思われました。まあ、魔法のような効果は期待出来ないとしても、六回のバーディ・チャンスの一つや二つの成功は期待したいところです。
【参考】
・「ランガー・グリップ(必殺・手首封じ)」(tips_157.html)
・「脈拍チェック型パッティング」(tips_126.html)
・「Bernhard Langerの右手封じ」(tips_126.html)
・「Bernhard Langerのパッティング」(tips_139.html)
(October 01, 2007、改訂June 02, 2015)
'The Game I Love'
by Sam Snead with Fran Pirozzolo (Ballantine Books, 1997, $18.95)
「私の過ちは手首を使うパッティングを覚えたことだ。手首を使う名手というのはBilly Casper(ビリィ・キャスパー)ぐらいしかいない。もし、また白紙からやり直せるものなら、私は“腕”を使うパッティングを始めたい。
Bobby Jones(ボビィ・ジョーンズ)から、パットする前に深呼吸をして心拍を落ち着かせる方法を教わった。
ホテルの床に1ヤード(約1m)の木製の物差しを置き、それに沿ってスクウェアにストロークする練習をしたものだ。
私は10フィート(約3m)以内の距離では、カップの一部(縁に垂れている一本の芝など)に当たるように("at the hole")パットした。長めのパットではカップに向かって("to the hole")パットした。
私はボールがカップで止まるようにパットした。1m以上の返しのパットをするのは御免だったからだ」
(October 02, 2007)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。編著者Bill Kroen(ビル・クロエン)は精神療法士、児童心理学者として著作をものにするかたわら、ゴルフ・インストラクターとしても活躍し、Callawayのプロ・スタッフの一員ともなっています。
「大方のパットは打ち方と読みによって失敗する。スウィートスポットで打たれたボールはラインから逸れずに転がり、カップに入る可能性が高い。バックストロークを始める前に“ソリッド”という言葉を念頭におき、ボールをソリッドに打つことに集中すべきだ。パターはふらふらせずにボールを打ち抜き、目指した通りのラインへとボールを送り出す」
(October 04, 2007)
+3のラウンドに貢献してくれた私流の“手首固定式”パッティング、忘れないうちに詳細を書き留めておきます。あくまでも私の方法の記録であって、別にお薦めしているわけではありません。
1) 左手は親指をパター・グリップの真上に置く。
2) 右手の人差し指を、左手の薬指および小指の間に挟む(レフトハンド・ロー・インターロッキング)。
3) 右手親指の腹をパター・グリップの右側面に当てる。
4) ボール位置は左足踵の前方。
5)(背を丸めるのではなく)腰から上体を折ったポスチャー。
6) 二の腕は自然に下げる(パンタグラフ型に広げない)。
7) グリップの完成:両掌とパター・グリップの間に隙間が出来ないようにする【結果として、左手はパーム、右手はフィンガーで握ることになる。力は入れないこと】。
8) 両肩の動きによる振り子運動に徹する。頭・手首・足・脚・腰を動かさないこと。
9) ボールを上昇軌道で捉えるようにストロークする。
10) ボールの行方を見るまでに二つ数える。
“手首固定式”とは云っても、手で弾こうとすれば手首は動きます。両肩の上げ下げだけでストロークすると決意をしなければいけません。そうすれば、このしっかりしたグリップによって手首の角度は変化しなくなります。これはK.J. Choi(K.J.チョイ、韓国)愛用のデカ・グリップ'Super Stroke'の効果に似たものです。しかも、タダ! 特に、(3)の右手親指の位置が私の工夫です。これを普通にパター・グリップの真上に置くと、手首は簡単に折れてしまいます。
(5)(6)(7)の順序が不思議かも知れません。何故、ポスチャーよりグリップの完成が後なのか?最初にグリップを完成させてからアドレスすると、先に決まったパターの長さがボールと身体の距離を規定してしまうため、二の腕をだらんと下げることが出来なくなる場合があります(精神状態や疲れによってポスチャーも微妙に変化する)。その対策としてゆるゆるの手でパターを保持し、(5)と(6)で適切なポスチャーを作ることを優先します。自然にボールと身体の最適の間隔が得られます。その後で、両手を締めてグリップを完成するわけです。締めると云ってもガチガチに握り締めるのではありません。
(8) 短・中距離のパットでは、肩と腕以外の身体の部分は極力静止させなくてはなりません。長距離でも頭は動かすべきではありませんが、パワーを増すため手首の若干の動きが必要になることもあるでしょう。
(9)も重要。「ボールを上昇軌道で捉えるようにストロークする」ためには、インパクトの瞬間を凝視していなければなりません。それは「頭を残したパッティング」に繋がり、(10)の「二つ数えろ」の第一歩となります。
このパッティング・グリップ名は長過ぎるので、今後は"Left-hand Low Interlocking"の頭文字を取り、LLIグリップと呼ぶことにします。
【参考】
・「手首固定式パッティング」10/01 2007
・「仮説・パットの目線の問題」tips_110.html
・「二つ数えろ」tips_110.html
(October 05, 2007)
'Precision Wedge and Bunker Shots'
by Jim Fitzgerald with Dave Gould (Human Kinetics, 1998, $16.95)
「・ショートゲームの最も重要な基本:あなたのフォワード・スウィングとバック・スウィングは、その長さもスピードも同一であり、インパクトを過ぎるまで絶対に減速しないこと。 ・短いクラブで強打してはいけない。希な例外を除き、8番アイアン、9番アイアンやウェッジなどを絶対に目一杯の力で打ったりしないこと。ショートゲームはコントロール・ショットであって、飛距離を望むものではない。距離が必要ならロフトの少ない長いクラブを使うべきである。 ・ショートゲームの上手い人は測量士である。正確なショットのために、ボールの落下予定地点の傾斜、芝や砂の状態、地面の湿り気、跳ね返りや転がり具合などを推測する。 ・ロフトのあるクラブで空中から高く攻めるか、低く転がして攻めるかを選択出来る場合、常に低い転がしを選ぶこと。高く上げるショットは障害物があって転がしが不可能な時のみの選択肢。 ・バンカー、小川、地面の隆起などを高く越さなければならないショットに直面した時、ピンに寄せようなどと色気を出さないこと。グリーンに乗れば、6メートルであろうが10メートルであろうが結構。いいショートゲームは奇跡を願うものではなく、成功率をもとにして実行すべきものである。 ・スウィート・スポットでヒットすることは、短いクラブなら比較的容易である。しかし、それでもなお、フェースの中央でボールを捉えることに意識を集中すること。 ・あなたのスウィングの形態は、こう打ちたいという軌道の予告編となる。Vの字の鋭いスウィングは高い弧を描くショットを作り出し、Uの字の浅いスウィングは低く猫背のような弧のショットになり易い。 |
・ショートゲームの根本的要素はクラブのロフトである。覚えておくべきポイントは、ロフトの多いクラブが高い軌道を生まないのであれば、インパクト以前に減速しているか、スピンによってブレーキをかけようと小細工していることが考えられる」
(October 09, 2007)
英語では“テークバック”と云わず「テイクアウェイ」と云いますので、そこんとこよろしく:-)。このサイトの私の文章から“テークバック”という語は一掃しました(ゲスト執筆の言葉だけは残してあります)。なお、この記事には「1ピース・テイクアウェイを忘れろ」という見出しがついています。
'How to start your swing'
by Jerome Andrews with Matthew Rudy ('Golf Digest,' November 2007)
「クラブと腕と身体が一体となってボール後方へ動く『1ピース・テイクアウェイ』は、アマとプロを問わず、ゴルフの基本のようにみなされている。しかし、それはバックスウィングの最中に致命的な欠陥を作り出しかねない非常に難しい技術だ。
どんなスウィングにおいても、アドレスからトップまでの間に、クラブヘッドは腕や肩、腰の動きと較べ問題にならないほど長い距離を移動するが、『1ピース・テイクアウェイ』では身体が早期に回転し、腕とクラブが追いつくまでの間一時停止しなければならない。クラブヘッドを待って身体が静止している間に、往々にしてターゲット方向に傾いだり、両手を正しいスウィング弧の外へ持ち上げてしまいがちになる。この微妙な一瞬によほどうまく辻褄を合わせない限り、ゴルファーはパワーと正確度を損なうことになる。
バックスウィング時の一つのシンプルな動きが、あなたのスウィング要素の全てを同期させてくれる。
1) 先ずクラブヘッドを動かす。左前腕部の微妙な時計方向への回転でクラブヘッドをボール後方へ引く(右図)。両手はアドレスしたままの位置で静止し、右手首をコックする。
2) クラブヘッドが動くとともに、左掌の膨らんだ部分(親指の下方)がグリップを押し下げるように。両手が太股の外側を通過する時点では、グリップエンドが真っ直ぐ地面を指すようにする。【編者註:シャフトが垂直になる】
3) 後はトップを形成するまで単純に肩を廻す。
バックスウィングの早期に上の動作をすることにより、クラブ、腕、身体の回転は全部同時にトップに到達する。これなら、大慌てで三つの動きを同期させる辻褄合わせは必要なくなる。当初、これは小手先の動きに思えるかも知れない。しかし、この全ての動きを同期させる始動方法は、Ernie Els(アーニィ・エルス)やCharles Howell III(チャールズ・ハウェル三世)らが、彼らのしごくエフォートレスに見えるスウィングの中で実行していることである」
なんのことはない、これはノルウェイ出身のLPGAプロSuzann Pettersen(スザン・ペタセン)が昨年までやっていたメソッドで、もっと古くは2000年に私が紹介した「マジック・コック」と同じものです。しかし、「マジック・コック」では明らかにされていなかった1ピース・テイクアウェイの危険性が説明されているのが、この記事の特徴です。
この号の'Golf Digest'誌はErnie Elsのスウィング分解写真を掲載しているのですが、筆者の云う通り、Ernie Elsもアドレスからターゲット・ラインに平行にグイッとコックし、そこからコックを強めつつ肩を廻しています。David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)は、解説で次のように云っています。「Ernie Elsのパワーの鍵の一つは、彼の手首の動きだ。バックスウィングの半ばまでにコックを完了させてしまう。彼の左腕が地面と平行になる時点で、クラブシャフトは地面に対し90°以上コックされる(左図)。このテコの作用とバランスのとれたスウィングによってトップまで身体を回転させ、スムーズに捻転をほどくのである」
ところで、この記事の筆者Jerome Andrews(ジェローム・アンドルーズ)はDavid Leadbetter Golf Academyの講師の一員です。記事に出て来たErnie ElsもCharles Howell IIIも、分解写真の解説を書いたDavid Leadbetterにコーチされています。こう全てが符合するということは、2ピース・テイクアウェイは彼らのゴルフ・スクールで教えているメソッドなのでしょう。
1ピース・テイクアウェイでは、アドレスした形のまままま両手を上げるため、バックスウィング開始からスウィング弧は大きくなります。2ピース・テイクアウェイの場合、トップまでの間右手を伸ばさないためスウィング弧が小さくなります。しかし、当然ながら(左腕の長さを半径とする)ダウン・スウィングの弧はどちらも同じになるので、結果的にはどちらも違いはなくなります。左肩を顎の下に持って来ることだけを考えて手首の勝手な動きを封じれば、2ピース・テイクアウェイは完璧なトップを完成させてくれ、正確なショットが期待出来ます。
この2ピース・テイクアウェイは、私がこの記事を読む以前からドライヴァーとハイブリッドで実行し、「エイジは"straight shooter"だ」と云われている(ただし絶好調時のみ)メソッドです。アイアンでは何故かうまくいかなかったので1ピース・テイクアウェイにしていたのですが、今回の'Golf Digest'の記事でアイアンを打っている写真を見せられ、アイアンにも再挑戦しようかという気になっています。
【参照】
・「『2ピース・テイクアウェイの勧め』の反響」(tips_112.html)
・「マジック・コック」(tips_35.html)
(October 12, 2007)
以前の「カット・ロブ」という記事で触れた私の個人的方法にそっくりな内容です。ちゃんと同じことを教えているインストラクターがいるということを知って頂きたいためと、いくつかの注意点が参考になるので取り上げることにしました。著者Michael Hobbs(マイケル・ホッブズ)は英国人で、20冊以上のゴルフ関連書を出版し、欧米の雑誌への寄稿も多数、BBC-TVの解説も務めているそうです。
'From the fairway'
by Michael Hobbs (Gallery Books, 1991)
「カット・ロブは難しいショットで、自信がある人だけが用いるか、マッチ・プレイで一か八かという局面でのみ試みられるべきものである。
これはウェッジによって最大の高さを生み、グリーン上で進行方向への勢いを少なくする目的で打たれる。高さとバックスピンがランの距離を決定する。
このショットはボールがある地点よりグリーンが高い場合や、バンカーなどの障害物のすぐ近くにピンがある場合に最も利用価値がある。
1) オープンスタンスをとり、ボールは左足内側の前方。
2) 身体はターゲットの左を向くが、クラブフェースはカップにスクウェア。もし、サイドスピンを意図する場合はカップのやや左に向ける。
3) バンカーショットのように鋭くクラブを持ち上げ、ターゲット・ラインを横切るようにスウィングする。
4) ボールの真下をクラブがスライドする感じを持つこと。
このショットは、少し左足上りの斜面だと実行しやすい。平らであっても、少なくともボールが芝の上に乗っていればよい。
次のような場合、このショットを実行してはならない。
・ ダウンヒル・ライ
・ 裸地
・ 練習していない場合
・ 自信がない場合
ロブ名人のTom Watson(トム・ワトスン)でさえシャンクしたことがあるほどなので、このショットがうまくいかないことは多い筈だ。最もありがちなミスは、クラブがきちんとボールの真下をスライドしないケースである。結果はトップとなって、ボールはグリーンを横断して出て行ってしまう。
フル・バックスウィングは必要ないが、流麗なショットでなければならず、スウィングのエネルギーは前方に対してではなく上方に対して使われなければならない。クラブがボールをシャープにカットする動きなので、非常に精密な接触が必要とされる。しかし、うまく実行出来れば、これは喜びとなる」
つまり、著者Michael HobbsはDave Pelz(デイヴ・ペルツ)の方法とは「ボール位置」と「クラブフェース」の二点において異なり、それは私の採用している方法と同じなのです。私の経験から云いますと、盛り上がったグリーンの3メートルのピンに寄せるにも、60°ウェッジを持つ両手が胸の高さになるほどのトップが必要です。「こんなに大きいトップ?」と信じられないほどですが、エネルギーが高さに化けてしまうので、普通のショート・ピッチの三倍ぐらい大きいスウィングをしなければなりません。
前のショットがグリーン・オーヴァーし、凄い下り斜面に寄せる場合には、このカット・ロブでブレーキをかけることが出来ます。これ以外のショットでは、ボールはどんどこどんどこ転がり、グリーンを転げ出てしまいます。
【参照】「カット・ロブ」tips_55.html
(October 16, 2007)
上のカット・ロブを含め、ピッチング、パッティングの練習をし、仕上げにバンカー・ショットも練習しました。私のホームコースである市営ゴルフ場には練習用のバンカーなどありませんから、人の来ない時を見計らって本物のバンカーでやるしかありません。No.18が最も近いし、No.16、No.17にも人影が見えないので最適でした。しかし、始めて見ると一番難しいバンカーを選んだことを実感しました。何しろ、顎が1メートル以上あって、60°ウェッジを使っても8メートル離れたピンに届くどころか、グリーンに乗るか乗らないかの結果ばかり。
十個のボールを三回も打ったでしょうか。こう顎が高いと只の「当世風バンカー・ショット」では駄目だと思いました。ふと、カット・ロブの手法で打ってみました。スクウェアなスウィング軌道ではなく、若干アウトサイド・インにボールの下を滑らすわけです。すると、先ほどまではグリーンエッジより遠くへ飛ばなかったボールがずっと先まで飛ぶようになりました。面白いようにピンの近くへ飛んで行きます。「こういうことだったのか!」と思いました。
顎が高いと「当世風バンカー・ショット」では60°ウェッジでもロフトが足りず、出るだけで先へ進まない。カット・ロブの応用はもっと高さが得られるので、かなり先まで届きます。砂を取り過ぎるミスもなく、砂の下で薄く長くクラブを滑らすことが出来ます。刺身を作る時に斜めに薄く切りますね(スライス)。あの感じ。砂の抵抗がないので大きいフォローをとるのも簡単。
しかし、よく考えると、カットする手法はほとんど昔ながらのバンカー・ショットなんですね。違いはエクスプロージョン(爆発)ではなく、砂を浅く取ることとピンを直接狙うこと(ピンの左ではない)。ですから、100%昔風というわけでもありません。これで、私は二つのメソッドを手に入れたことになります。選択肢があるということはありがたいことです。
(October 16, 2007)
'Better by Saturday'(土曜日までにうまくなる)シリーズは、多くの有名インストラクターたちのtipを集めた小型本で、「ドライヴィング」、「アイアン/ロング・ゲーム」、「パッティング」、「ショート・ゲーム」の四冊が出ています。この項は「パッティング」篇のMike McGetrick(マイク・マゲトリック)によるtip。
'Better by Saturday...Putting'
by Golf Magazine's Top 100 Teachers with Dave Allen (Warner Books, 2004, $15.00)
「短いパットも長いパットも、ストロークに要する時間は同じである。長いパットでは長く早い速度の(=強い)ストロークが必要で、短いパットでは短く遅い速度の(=弱めの)ストロークが必要とされる。どれだけの距離を転がすかには、ストロークの正しい速度(強さ)を見つけることが肝要だ。
【註】英語圏の人々は"faster pace"(早い速度)とか"slower pace"(遅い速度)と表現します。それは転がりの速度を意味しているのですが、どれだけの強さで打たれたかの結果に過ぎません。これを日本では「速度」ではなく「強さ」と表現します。で、以降は"pace"を「強さ」と変換しますので御了承下さい。
下りか上りか、右へ切れるか左へかなどを読んだ後、強さを決定する。あなたはカップで息絶えるのが好きか、カップの向こうの壁に当たって落ちるパットが、どちらだろうか。素振りをするが、実際のパットの強さで、バックストロークとフォワードストロークの長さを同じにすること。素振りは筋肉にどれだけのエネルギーを使えばターゲットに到達するかを教え、それによってストロークの強さを明確にする。最後の素振りの後、もう一度距離感を確かめるためにターゲットを一瞥する。本能を信頼し、ゴー!」
(October 19, 2007)
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