'Wrist cock/ Release'
by Mark Favell with Al Barkow ('Golf Illustrated,' January/ February, 2007)
「あなたがボールを強く正確に打とうと思うなら、可能な限り長く手首のコックをキープしなければならない。その方法をお教えしよう。
あなたの目指すものはレイト・ヒット(=レイト・アンコック)であり、そのためにはバックスウィングで手首をコックしなければならない。しかしながら、多くのゴルファーは手首をコックしないか、しても最小限だったりする。手全体でクラブを握ったり、掌の大部分を使って握ると、手首のコックは制約を受けてしまう。いわゆる“ウィーク・グリップ”(両手を左側に廻した形でグリップを形成し、ナックルが一つも見えない)は、手首のコックが制限されるだけでなく、左手の“ウィーク”なグリップは早期アンコックを招いてしまう。
左手はほぼフィンガーで握ること。これは“ストロング・グリップ”(両手を右側に廻してグリップを形成する)となり、二つのナックルが見える。これはしっかりした手首のコックを助ける要素である。ゴルファーの多くは右手のフィンガーでクラブを握ることの重要性を認識していない。彼らは掌でクラブを固く握り締め、クラブを指先のラインと平行にしている。これも早期にアンコックしてしまう原因である。右手はフィンガーで握り、人差し指は拳銃の引き金を引く形でクラブに添える。
両手をフィンガーで握ると、緊張を減らすことが出来る。掌で固く握るグリップは、実はあなたが考える程確実なものではない。実験をして見ればすぐ分る。掌で棒を握り、誰かに引っ張って貰う。棒は簡単に抜けてしまう筈だ。フィンガーで握ってみる。今度はそう簡単に抜けない。フィンガーで握れば持ちやすく、しかも緊張が生じない。緊張しなければフルにコック出来る。
コックした場合と、コックしないでクラブと左腕が一本となってスウィングした場合を比較すると、コックした場合のクラブヘッド・スピードは2.5倍も速くなる。
コックの仕方にはいくつかのメソッドがある。一つはJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)が有名にし、現在もツァー・プロの中で見られるような、バックスウィング開始と同時にコックしてしまう方式。もう一つはSergio Garcia(セルジオ・ガルシア)のように、バックスウィング完了直前にコックし、ダウンスウィング開始と同時にさらにもう一段コックする方式である。これはしょっちゅうゴルフをする、運動神経の発達している人にしか勧められない。
お勧めは第三の方法で、多くのプロが採用している伝統的メソッドである。コックせずに60センチほどクラブを引き、左腕が地面と平行になってからフルにコックする。これはスムーズでゆっくりのテイクアウェイを生む。もし、手首があまりにも早くコックされると、テイクアウェイのスピードが早くなってしまう。逆に、あまりにも遅くコックするとオーヴァー・スウィングになったり、腕主体のスウィングとなって早期アンコックに繋がりやすい。
インパクトでは、両手は左足の前にあるべきで、これは最近のTiger Woods(タイガー・ウッズ)の体勢でもある。Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)がコーチしていた頃の彼のアンコックはそこまで行っておらず、両手はズボンのジッパーの前辺りであった。
ダウンスウィングの間中、両手は腰に先行することが重要なポイントである」
【参考】「David Leadbetterの(レッド)ベター・グリップ」(tips_57.html)
(February 04, 2007、増補June 28, 2015)
インストラクターJim McLean(ジム・マクレイン)による背骨の角度の重要性。
'Let your tilt increase' 「背骨の傾斜はスウィングの中で最も誤解され、最も認識されていない部分である。 ドライヴァーで打つ場合、ロング・ヒッターたちのアドレス時の背骨は、ターゲットの反対方向に約10°傾いている。もっと重要なのはインパクト時の背骨の傾斜である。『インパクトではアドレスした時の角度に戻す』というのは間違いだ。逆に、元の角度の二倍後ろに傾(かし)げるべきなのだ。【編者註:ボールから真上に垂線を想定した場合、アドレス時にそれから右へ10°傾げ、インパクトでさらに10°、計20°傾げることになる】 ダウンスウィングではターゲット方向に体重を移し、腰を回転させるため、元の背骨のアングルは変わるのである。右サイドを押し、回転させると、背骨の下部はターゲット方向に移動する。一方、背骨の上部はターゲットから遠ざかる。よって、アドレス時の倍の傾きとなる。 これを練習すれば、ダウンスウィング時の傾斜の基本的な感覚を得ることが出来る筈だ。これは頭をボールの後方に残したパワフルなスウィングを生む動きである」 Jim McLean(ジム・マクレイン)は、ウン十年前のスウィングを復活させようとしているわけではありません。念のため、この記事のJim McLeanの写真のインパクトと、昔のスターJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)のインパクトの背骨の角度を比較してみました。Johnny Millerの背骨は元の角度の三倍(計30°)は右へ傾いでいます。 先日、私はショットが乱れていたのでこのtipを思い出して試してみました。その一発目から長く真っ直ぐ飛ぶようになりました。ただ、「ダウンスウィングではターゲット方向に体重を移し、腰を回転させる」というのが前提なので、体重移動がちゃんと行なわれないとボールの後ろの地球を叩くことになります。私も一度盛大なダフりをやりました。 |
(February 07, 2007、増補June 28, 2015)
ボールを急速に上げ、軟着陸させるショット。バンカー越えや、エッジのボールからピンまでの距離が少ない場合に必要な技法です。
'The pancake shot'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' February 2007)
「これはハイロブ風のショットで、目一杯フェースをオープンにする。どのぐらいオープンかというと、ホットケーキを引っくり返す時に使うスパチュラ(フライ返し)ぐらい平らにする(スパチュラはヘラのようなもの。ターナーと呼ばれることもある)。考え方としては、クラブフェースをボールの下でスライドさせ、ロフトによってボールをほぼ真上に上げる感じ。強く打てば打つ程高く上がって、ソフトに着地する。要領、以下の通り。
・スタンスとクラブフェースをオープンにする。
・ウィーク・グリップ(両手を若干左に廻した形で握る)。これがインパクトでフェースをオープンのまま保つコツ。
・ボール位置は左足踵。
・クラブを素早く持ち上げ、シャープにコックする(イラストでは90°)。
・右肘は身体の脇に引きつけてバックスウィング。
・手首を使ったダウンスイングで、インパクトまで左手首が折れるのを許す。ただし、フォロー・スルーへはクラブヘッドが手に先行するように注意。
・フォローで右腕を左腕の上に返してはいけない。フィニッシュまでクラブフェースをオープンにし続けること」
このショットのポイントはひとえに《フェースをオープンにし続けること》にあります。一読、ややこしそうですが、「左手首が折れるのを許す」とか、「クラブヘッドが手に先行する」などは全てロフトが減ってしまうことを防ぐための措置。その最大のものは《手首を返さない》です。折角オープンに構えてロフトを増やしたのに、手首を返すとロフトが減るため、期待したようにボールは上がらず、ピンをオーヴァーしてしまいます。
実は、私がしばらく前までやっていた「変則ロブ」というのは、ほぼこの「ホットケーキ式ロブ」に近いのですが、インパクトでボールをフェースで絡め取るように手首を返していました。好調だった時にはそれで成功し、ピン傍に結構寄ったものです。それに翳りが見えたので、現在はロブ・ウェッジを《フェースをオープンにし続ける》ショットに宗旨替えし、1ラウンドに数回はOKの範囲につけられるようになりました。雑誌などのコーチ陣は「素人はロブで寄せるな」を合い言葉にしていますし、“転がし”の方が安全であることは確かです。しかし、ラウンドの途中で急に「ホットケーキ式ロブ」をやろうとしても無理だと思います。私はグリーン周りは長年ロブ専門で慣れていますから、この手のショットではボールが上がり過ぎ、逆にショートしてしまうミスが恐いのですが。
(February 11, 2007)
'Fix these golf clichés'
by Tom Ness with Matthew Rudy ('Golf Digest,' January 2007)
「ゴルフには『頭を上げるな』とか『手打ちをするな』など様々のcliché(決まり文句)がある。しかし、人々はその真の意味を知らず指導もされないので、相変わらずそうした文句の泥沼から抜け出せない。
・Cliché No.1: 「Vが右肩を差すようにグリップせよ」
ストロング・グリップそのものは問題ない。しかし、Vの字を合わせるために両手を捩(ねじ)ると、トルク(捩じりモーメント)を作り出してしまい、クラブフェースをコントロール出来なくなってしまう。
【解決策】「クラブの下側の指関節を揃えよ」
Vの字を揃えるために手を捩るのではなく、指の先から二番目の関節を一線に揃えるとよい(写真では、左手の中・薬・小指、右手の中・薬指の代に関節が一直線に並んでいる)。こうすれば、クラブフェースをスクウェアに保つことが出来る。
・Cliché No.2: 「スウィングには良いリズムが必要」
これは常にインストラクターたちが口にする言葉だが、本当の意味は説明されないままである。
【解決策】「リズムはRPMである」
小さい子の両手を持ってその身体を両手で振り廻すと、あなたの身体・両手・子供の足などは、全部同じRPM(回転数/分)で動く。スウィングも同様である。身体・両手・クラブヘッドは同じスピードで動くべきである。両手はクラブを握っているだけであり、単独のスピードで動かすべきではない。
・Cliché No.3: 「アドレスでは良いバランスを確立せよ」
バランスの良いスポーツ特有の構えをせよというのは、繰り返し云われることである。しかし、それをどうやって見つけるのか?
【解決策】「身体に備わっているバランス感覚に頼れ」
体重を平均にかける最も簡単な方法は、宙にジャンプし両足で平らに着地することだ。これは自然にバランスの取れた体勢で、膝の柔軟性も備わっている。ボールに向かう時も、その感覚を求めるべきである。その後で腰から上半身を傾げ、クラブをセットする。
・Cliché No.4: 「大きいクラブではボールを左に寄せろ」
この常套句により、多くのゴルファーが同じスタンス幅でボール位置を変更している。
【解決策】「スウィングの中心は常に同じである」
ボール位置は足との関連ではなく、肩の付け根との関連で考えるべきである。ティーからのショットでは、肩の付け根よりやや前方、アイアンでディヴォットを取りたければやや肩の後方をボール位置とする。
・Cliché No.5: 「頭を下げ続けろ」
これを聞かされたゴルファーは顎を胸に埋めてしまい、肩の回転に束縛を受ける。
【解決策】「頭を安定させよ」
頭を下げるのではなく、安定させるべきだ。練習として、ボールの向こう側にバッグを置き、一本のクラブを引き抜く。そのクラブが視野の同じ位置に留まるように努力しながらスウィングする」
(February 14, 2007)
'In the shadow'
by Rob Akins ('Athlon Sports Golf 2006)
「ロング・ショットにおいてトルクとパワーを作り出すには、身体を曲げるべきではない。バックスウィングで身体を左右どちらかに寄せたりしてはいけないのだ。
簡単に出来るチェック法がある。地面にクラブを縦に置き、クラブと自分の影の中心(背骨)が合うように立つ。そのクラブを見ながらスウィングする。フォロースルーになるまで、太陽の光がクラブに当たってはいけない」
(February 20, 2007)
図は当サイトでお馴染みのものですが、インストラクターRick Smith(リック・スミス)によれば、バックスウィングのこの位置で単にシャフトをターゲット・ラインに平行にするだけでなく、もう一つ留意点があるようです。
'Match this position'
by Rick Smith ('Golf Digest,' January 2007)
「Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)とBen Hogan(ベン・ホーガン)のバックスウィングは劇的に異なる。Jack Nicklausのスウィング・プレーンはかなりアップライトである。しかし、二人のテイクアウェイで完全に一致する点がある。それは図の位置でシャフトはターゲット・ラインに平行であり、かつクラブのトゥが天を指すことだ。これは言い換えれば、クラブはプレーン上にありフェースはスクウェアであることを意味する。
この段階以降、Jack Nicklausは上に、Ben Hoganはインサイドにクラブを上げる。ただ、両者ともそれを過度に急速に行なわないように注意している。もし余りにも早く上げ過ぎると、プレーンから外れてしまい、インパクトで元に戻さなくてはならない危険を生じる。
図の位置で《トゥ・アップし、フェイスはスクウェア》を実行し、ソリッドに打てるようにすべきである」
(February 25, 2007、改訂June 02, 2015)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「多くのパットがカップの右へ切れるとしたら、あなたは最もありふれたミスを冒している可能性がある。それは、あなたが後退・前進するパター・フェースを見守っているという過ちだ。練習ではそうしてもいいが、本番でそういうことをするとフェースがオープンになり、ボールは右へ出て行ってしまう。目はボールを見続け、ボールが去った後はその下の芝を見るように」
(February 27, 2007)
先ず、右の写真を御覧ください。これはバックストロークの途中ではありません。アドレスなのです。筆者のJack Kuykendall(ジャック・キューケンドール)は、カナダの天才プロMoe Norman(モー・ノーマン)のスウィングを模した'Natural Golf'というメソッドの創始者で、ゴルフ・スクール経営者兼インストラクターです。
'Pure and Simple'
by Jack Kuykendall ('Golf Magazine,' December 1998)
「身体が何かを行うために設計されている構造に逆らってはいけない。ナチュラルな本能と喧嘩をしては、コトを難しくするだけである。
パッティングはボールをトスするのに似ている。トスする時、あなたは利き腕にボールを持ち、少しだけ腕を後退させ、ついでターゲットに向かって放る。本能的に掌で方向をコントロールする。この時、焦点は前方への動きに合わされていて、スイングというより押し出すアクションである。
パッティングもボールをトスするように行うべきだ。振り子式パッティングは等距離を往復させ、しかも利き腕でない方の手の甲でコントロールする。これは自然な本能に逆らっていて、身体の構造を活かしていない。
1) 利き腕の掌には、首の下における身体の神経の22%が集まっている。これを利用するため、パターを利き腕の生命線に沿って(パームで)グリップする。利き腕でない方の手は、単にストロークを安定させる役と割り切り、利き腕から離して握る。
2) 利き腕の掌は前方に“押す”ようにセットされている。2m以下ではバックストローク無しが最も効果的である。ボールがスタンスのターゲット寄りになるように立ち、パターヘッドをボール後方約20cmに構える(上の写真)。この位置から、パターをターゲットに向けて動かす(バックストローク無し)。
長めのパットではボール後方約20cmのアドレスに8cm〜10cmのバックストロークを加える。
3) パターを押し出す動きは、利き腕の肘を伸ばすことで行う。このピストンのような動きはフェースをスクウェアに保つのに役立つ。肩の運きはなく、利き腕のピストン運動の影響が見られるだけである。
このメソッドの鍵は利き腕の掌をターゲットに向けて押し出すということに尽きる。振り子式パッティングよりも、数段正確な結果が得られる」
私はこのJack Kuykendallのメソッドに100%賛同しているわけではありません。振り子式パッティング(イン→スクウェア)ですし、レフトハンド・ローなので左手の甲で方向を制御していますし。しかし、右手をパームで握ることと、フォワード・ストロークで「利き腕の肘を伸ばし」、「利き腕の掌をターゲットに向けて押し出す」動きは同じことをしています。バックストローク無しというのは、まだ試していませんが。
【追記】Moe Normanのスウィングのアドレスもクラブヘッドをスタンス後方で構えます。Jack Kuykendallのアイデアは、それをパッティングに応用しただけのようです。
(March 01, 2007、追記June 02, 2015)
'How shoulder movement affects path'
by Charlie King ('Athlon Sports Golf 2006)
「ほとんどのゴルファーがパット時の肩の影響を認識しない。大きな肩のスウィングはパター・フェースを内側に引き込んで外側にカットしたりして、ロングショットのスライスのようなパットになることもある。もちろん調節は可能だが、素直に正しくパットする方が簡単である。
頭と下半身を静止し続ける。肩は微かに弧を描くパターの動きをサポートするように練習する」
私はつい先頃、二人のゴルファーから続けざまに「キミは頭を動かしている」と指摘されました。パットした後、目を動かすと頭が動き、頭を動かすとつられて肩が動き、それにつられてパターフェースの角度も変わります。ボールを目で追わないと固く誓ったつもりなのに、いつの間にか悪癖が甦って来ていたようです。チーム・プレイをしているので、私のバーディ・パットやパー・パットの成功・不成功はチーム全体の損失になるため、それで彼らも助言してくれるわけです。個人プレーだったら、誰も何も云ってくれません。
(March 01, 2007)
'How to control your turn'
by Bruce Hamilton ('Golf Magazine,' March 2007)
「より大きく肩を廻せば飛ぶというのは間違いだ。プロはそうしてるって?彼らは懸命にトレーニングしているし、柔軟性もある。これを読んでいるあなたが真似したら、身体が許容する以上に肩を廻そうとしていることになる。自分の限界を知るべきである。
普通にセットアップし、クラブを左手だけで持つ。右手をウェイター(あるいはウェイトレス)が食べ物が載ったお盆を持つように上げる。この時、腰を廻してはいけない。無理はせず、しかし出来るだけ身体の背後に右手を廻す。左手でクラブを右手に渡す。これがあなたの自然なバックスウィングのトップである。
その形はTiger Woods(タイガー・ウッズ)やPhil Mickelson(フィル・ミケルスン)のようには見えないかも知れないが、あなたにとって充分なパワーを秘めたトップなのだ。
過度な右肩の回転は左肩を引っ張り過ぎて、正しいプレーンから外してしまう。次のドリルは練習場でTiger Woodsなどもやっているものだが、自然なバックスウィングというものは右肩ではなく左肩で決定されるべきものだということを証明するものだ。
1) 普通にボールにアドレスする。左手をクラブから外し、左手の甲が右肘に当たるようにする。
2) 左手が右肘から外れないようにバックスウィングし(左肘は曲げてもよい)、トップまで行く。左肩の緊張を感じるように。
3) もうそれ以上ターン出来ないとなったら、そこでストップ。それがあなたのバック・スウィングの正しい終点である。実際には右肩はもっと廻るのだが、それは過度のターンというものであり、飛距離と正確さを失う原因がそこにある」
私は「草を抉(えぐ)る」(tips_168.html)という練習法で、自分に最適の終点を見つけました。それ以前では捻転不足、それ以上だと捻転過剰で、どちらもミス・ショットに繋がります。
(March 05, 2007、改訂August 26, 2018)
高いパターを買えとか、謝礼の高額なButch Harmon(ブッチ・ハーモン)に教われとか云うのではありません。必要な金額はたったの10セントです。
'How to make a money stroke'
by Jim Suttie ('Golf Magazine,' February 2007)
「あなたがパットをプッシュしたりプルしたりしているなら、多分“ストロークする”というより“ヒットしている”に違いない。上手い人のバックストロークとフォロースルーは、振り子のようにどちら側も【編註:長さとかテンポなどが】同じであるべきだ。あなたがあまりに長くパターを引き、インパクトで減速する(急停止する)ようだと、ボールに近くなった時にフェースをオープンにしたりクローズにしたりし易いものだ。
“ヒットしている”かどうか確認するには、ダイム(10セント硬貨。直径約1.8センチ)をパターの後ろに乗せて、普通にストロークする。あなたが真に“ストロークする”タイプであれば、どれだけ大きい振幅でもダイムは落ちたりしない。あなたが“ヒットしている”タイプだと、バックからフォワードへの折り返し点でダイムは落ちてしまう」
これを試したところ、現在使っている'Belly Tour 2'では(折り返し点では落ちませんが)ボールと接触した反動でコインが落ちてしまいます。「あれ?おれは振り子式で、しかも"Beautiful!"とまで云われているのに?」とショックでした。上の記事に付いている写真ではマレット型で打球面の後ろの幅が結構広いものを使っています。'Belly Tour 2'はダイムと同じ1.8センチしかありませんから、横幅が少な過ぎるようです。逆に'Odyssey Rossie II'は約3センチも横幅があるので、これですとコインは全く落ちません。これで落ちる人は、相当乱暴なパッティングをしていると云えそうです。
(March 08, 2007)
'Stop topping it'
by Laird Small ('Golf Magazine,' February 2007)
「トップする原因はさまざまだが、そのうち特筆すべきものは以下の三つである。
・過度にインサイド・アウトのスウィング・プレーンだと、クラブヘッドがボールの手前の地面を叩いてからボールに当たる結果を生む。この対策としては、インパクトの後もクラブヘッドをターゲット・ラインに沿って投げ出すようにすべきである。
・インパクトで身体が伸び上がると、空振り寸前の感じでボールの天辺を叩くことになる。これを防ぐには、膝をリラックスさせて身体の高さを保ち、出来るだけ長く右の踵を地面につけておくよう努める。ボールをひっぱたこうとする衝動を鎮め、右肩が顎の下を回転し、ボールを振り抜く意識を持つように。
・スウィングが急角度過ぎて、しかもアウトサイド・インだとボールをかするようなショットになり、ゴロを生じる結果となる。この対策としては、アドレス時に左肩よりも右肩が下になるように構える。さらに、右肘を曲げて身体の近くに位置させる。これによってクラブがプレーン上に留まり、ボールとのソリッドな接触が得られるようになる」
(March 12, 2007)
'Copy that!'
by Brady Riggs ('Golf Magazine,' March 2007)
「Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)のフィニッシュを見て、学ぶべきこと…彼女は必ずと云っていいほど身体の右サイドをターゲットに向ける。
同じことをすれば、スウィングが横の運動ではなく回転運動であることを実感させてくれる筈だ。これはあなたのボールを打つ技法を格段に進歩させてくれる」
(March 15, 2007)
本屋で'The Plane Truth for Golfers Master Class' by Jim Hardy (McGraw-Hill, $24.95, 2007)というのを見掛けました。『上級コース』という感じでしょうか。相変わらず「1プレーン」と「2プレーン」を二部構成で解説しています。前著で自分がどっちのプレーンか自覚した人、あるいはどっちにするか決めた人は、この本の半分は要らないわけです。こういう出版の仕方には疑問があります。
なお、著者のJim Hardy(ジム・ハーディ)は'Plane Truth For Golfers DVD Set' ($119.95)という高額商品も手掛けています。DVDが数枚ついていますが、そんなに喋ることがあるのでしょうか?
雑誌コーナーへ行くと'Athlon Sports Golf Annual 2007'が出ていました。その記事の一つで、インストラクターKip Puterbaugh(キップ・ピューターボウ)が同業者Jim Hardyを批判しています。サブ・タイトルは『一時のブームに騙されるな』というもの。「Jim Hardyは本の中でもThe Golf Channel(ゴルフ・チャネル)の番組においても、『二つのプレーンは同等でどちらがいいというものではない』と云うが、最後には必ずプロのPeter Jacobsen(ピーター・ジェイコブセン)と共に1プレーンを礼賛するパターンで一貫している。Jim Hardyの分類だとPeter Jacobsenは1プレーン、そしてHale Irwin(ヘイル・アーウィン)は2プレーンだそうだ。二人の優勝歴を比較してみれば一目瞭然だが、Hale IrwinのPGAにおけるメイジャー優勝数回をはじめとする華々しい経歴は、Peter Jacobsenが足元にも及ばないものだ」
私もJim Hardyが1プレーンを依怙贔屓するのが不思議でした。だったら、「1プレーンがベスト!」と断言すりゃいいのに。過去・現在の有名プロで2プレーンの人も多数いるわけで、彼らを無視することが出来なかったからでしょうね、きっと。
Jim Hardyの最初の本'The Plane Truth for Golfers'が出版された2005年のU.S. Openに、彼の指導で2プレーンから1プレーンにチェンジして好成績を収めたプロが数人いたことは事実で、それが1プレーン・ブームに火をつけたわけです。私が以前紹介した「体型別スウィング」では、胸幅が広く厚く、中背の人を「幅広型」と呼んでいますが、このタイプに推奨されるプレーンは1プレーンに近いもので(実際にはトップでの左腕は右肩より下)、2005年U.S. Openで注目されたプロもこの「幅広型」に該当する人々でした。
インストラクターが他のインストラクターのセオリーを批判するというのは珍しいことですが、きっとKip Puterbaughのゴルフ・スクールを訪れる人が必ず「1プレーン、2プレーン」に言及するので、Kip Puterbaughは我慢の限界に達したのではないでしょうか。
私は金欠なので今回の本はパスします。ゴルフ雑誌のどれかが抜粋を掲載してくれれば紹介出来ますが。
【参考】「二つのプレーン」
(March 15, 2007)
'Copy that!'
by Bill Forrest ('Golf Magazine,' March 2007)
「Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のパターの動きに注目すべし。彼のパターは常に左足の爪先で停止する。彼は距離のコントロールをバックストロークの長さで行なっているのだ。インパクトからフィニッシュへと加速し、いつも同じ場所で終点を迎える」
(March 19, 2007)
Annika(アニカ)ではありません。2006年のPlayer of the Yearであり年間獲得賞金額No.1はメキシコの Lorena Ochoa(ロレーナ・オチョア)です。彼女の左右への打ち分け方は非常に簡単です。 'Breaking 100/90/80/70' 「私はフェードを打つ場合もドローの場合も、アライメントとクラブフェースをちょっと調節するだけ。グリップもスウィングも通常と同じ。 a) フェード ・ボールが最初に飛ぶ方向(ターゲット遥か左)を向いてアドレス。 b) ドロー ・ボールが最初に飛ぶ方向(ターゲット遥か右)を向いてアドレス。 |
(March 22, 2007)
'Tree trouble'
by Charlie King ('Athlon Sports Golf 2006')
「ボールが木の真後ろにある場合、私が若い頃は間違った考えでボールに歩み寄ったものだった。私の作戦は木を迂回させてボールをフックさせること(右へスタートし、左にカーヴする)で、クラブフェースをクローズにして身体の向きをターゲットの右に揃えた。しかし、ボールはフックしなかった。何故かと云うと、私はボールが右へスタートするイメージを思い描き、その方向にクラブフェースがスクウェアになるように無意識に調節してしまったのだ。これではフックする筈がない。
私が学んだのは、本当に必要なのはプル・フックだということだ。それは、ボールが木の右側を左方向に向かって飛び、やおらフックするショットである。木の右に身体の向きを揃え、クラブフェースはターゲット(着地予定ポイント)に合わせる。
上の例ではプル・フックのイメージを持つこと。反対に、もし左から右へ迂回させるショットが必要なら、プッシュ・スライスのイメージを持つ。インパクトにおけるクラブフェースの向きがボールの飛行に影響するということが理解出来たら、どんな障害物でも迂回することが可能になる」
(March 22, 2007)
本日、あるパー4のホールでティー・ショットを引っ掛けてしまいました。ボールは何本もの大木で区切られた左のホールのフェアウェイへ。行ってみると、上の「木を迂回する」のように木の真後ろというわけではありませんが、グリーンは私の5メートル前方にある木に遮られています。最大限フックをかけなくてはなりません。残り140ヤードなので、私の場合は6番アイアン。
私は上の「LPGA賞金王のフェードとドロー」と「木を迂回する」を続けざまに読んだので、どっちがどっちだか忘れてしまいました。で、とにかく、
1) 間違いなく木を避けられるだけ右を向いて(しかし右過ぎないように)両足、両肩を揃え、アドレスする。
2) ターゲットにクラブフェースをスクウェアにする(かなりクローズ)。
3) 普通にスウィング。
驚くべし、乗ってしまいました。グリーンの左へ乗ったので、ちとフックし過ぎた感じ。
帰宅して上の二つの記事を読み直すと、どちらも同じことを云っていることが分りました。私の取った手順は両方に共通なのです(やって見るまで気づかなかった)。となれば、コンパクトなLorena Ochoaの記事だけで済むところですが、彼女のは余りにも愛想がなさ過ぎるので、両方掲載することにしました。
(March 22, 2007)
インストラクターDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)による長いバッカー・ショットの処理法。
'Toes in for stability'
by David Leadbetter ('Golf Digest,' April 2007)
「フェアウェイ・バンカーでゴルファーが直面する難題の一つは、いかに身体を安定させるかである。フル・ショットしようとすると足元が乱れ易く、ミス・ショットに繋がる。その結果の多くはボールの遥か後ろの砂に接触するというものだ。
身体を安定させる鍵は、先ずスタンスを定めて足を砂に埋め込み、次いで爪先を内側に向けることである【編註:両足がハの字になる】。これが下半身を安定させる。体重は両足の内側の端にかかっているように感じるべきだ。スウィングに当たっては、体重を一点に保つように努める。通常のフル・スウィングと異なり、大きな体重移動はない。スウィングは主に腕と肩によって推進される。
もう一点、フェアウェイ・バンカー・ショットの重要ポイント:クラブを少し短く持つこと。足を砂に埋めた分を相殺するためである。これが砂よりも先にボールを打つことを助けてくれる」
(March 25, 2007、改訂June 02, 2015)
'For more distance, let the driver go'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' April 2007)
「ドライヴァーを使う時、充分にスウィング弧を伸張出来ないという問題を抱える人が多い。これは普通身体の柔軟性の欠如に由来するが、スウィング弧が短くなるということはパワーのロスに繋がるものだ。
次の“ベースボール・ドリル”は、固い身体をほぐす効果もある上に、正しい伸張の感覚を教えてくれるものでもある。先ずボールなしで、ドライヴァーの通常のスタンスでアドレスする。バックスウィングは両手が腰の高さになるまで上げ、やおらインパクトへと振り下ろす。フォロースルーにかけての段階で右手をクラブから離し、左腕一本でフィニッシュへと向かう。正しいフィニッシュを迎えるためには、身体を回転させ、左腕をフルに伸ばし続け、左手首が平らに(甲が凸でも凹でもなく一線に)なっている必要があることに気づく筈だ。あなたに必要なのは、この伸張である。
上のドリルに慣れたら、ティーアップしたボールを打ってみる。最初はインパクトで右手を完全に外し、次いで右手をフォロースルーまでとても軽く添えるように」
(April 02, 2007)
'In charge'
by Charlie King ('Athlon Sports Golf 2006')
「あなたがスタンダードなパッティング・グリップをしているなら、右手に責任を持たせるべきだ。右手をパターフェースと同じだと考えること。右手が目指したターゲットを向いているなら、ボールはカップに入るという観念を抱くべきである。
もしあなたがレフトハンド・ローでパターを握っているのであれば、左手に責任を持たせるべきである。
どちらの場合でも、あなたのパットには重みが加わり、成功する率も高まる筈である」
(April 06, 2007)
'Think speed'
by Rob Akins ('Athlon Sports Golf 2006')
「私がコーチしているChampions TourのLoren Roberts(ローレン・ロバーツ)でも誰でも、彼らがパターを手に考えることは正真正銘ただ一つ、強さである。セットアップやストロークなどは既に完成されているので、それらは自動的に遂行される。あなたがグリーン上でもがき苦しんでいるとすれば、多分あなたはストロークの技術的なことを考えているに違いない。グリーンはそういうことをするに相応しい場所ではない。
【編註:欧米ではパッティングの“強さ”を“スピード”と表現します。強く打てば早く長く転がり、弱く打てばゆっくり短く転がります。同じことなので、ここでは日本流に“強さ”としています】
アマチュアはラインに執着し、強さという要素を忘れてしまう。強さは考える問題ではなくフィーリングの範疇だ。
4.5メートル以上の長いパットでは、ラインより遥かに強さの方が重要である。ラインについて心配するより、カップまで20〜25センチ幅の“道”を視覚化し、最大のブレイクを想定してパットすることを勧める。この方法は、次のパットを容易にし、忌まわしい3パットを減らしてくれる」
(April 15, 2007)
練習グリーンでも絨毯の上でもいいのですが、ボールを三個ほどいつものように普通にパットします。そのボールを拾い、元の位置に戻ります。今度は「打った後、絶対に顔をターゲットに向けない」と決意して打ちます。結果はどうだったでしょうか?
私の経験で云いますと、こういう試みを全く経験していなかった時は、「本当にカップに届くだろうか?」という恐怖が支配し、大幅にオーヴァーしたものでした。あなたの場合もそうなら、距離が合うような強さを先ず発見して下さい。準備OKですか?では、再度挑戦。もう一度三個のボールをパットします。絶対に顔を上げてはいけません。《カップに入った音で結果を知る》というtipを実践します。 一つぐらいはカップに入りませんでしたか?三つとも入らなければ、それはラインの読みに問題があったからでしょう。入らないまでも、最初にやったいつものパッティングよりはずっと良くありませんでしたか? 私自身、ラウンド終了後に「何がいけなかったんだろう?」と、練習グリーンでグリップだのストローク法だのを変えてみても埒があかず、最後に《絶対見上げない》メソッドを試すと二発続けて入ったりして、「なあんだ、こういうことだったのか!」と思わされることがしばしばです。見上げるという行為がインパクトの前から始まっていると、微妙にフェースがオープンになったり、それを感知した潜在意識がクローズにしたりするのだと思います。ロング・ゲームにおけるフェース角度の微細なズレは許容範囲でも、的が小さいパッティングでは許容されません。見上げさえしなければフェースはスクウェアなまま保たれる筈です。しかし、この《絶対見上げない》メソッドは人間の心理に反しているようで、なかなか実行出来ないのです。18ホールのうち三回出来たらいい方でしょう。すぐ忘れてしまいます。なぜ、われわれは顔を上げてしまうのか? 1) 自信がないので結果が心配でたまらないから。 1の場合の処方箋は簡単ではないでしょうか?こういう人は自分の読みとストロークに自信を持てばいいのです。見上げるから入らない、入らないから自信がないのであって、《絶対見上げない》メソッドで練習して自信をつければいいのです。ボールに線を引き、その線をターゲット(カップあるいはブレイクの頂点)に合わせる。その線を左右に延長したターゲット・ラインに両足、両肩を揃える。これであなたの読みに身体がスクウェアになったわけですから、最適と思われる強さでストロークすればいいだけです。単純至極。心配することは何もありません。 |
さて、2の場合です。これは厄介です。実は、私がこのビョーキなんですね:-)。身の程知らずに自信過剰で始末に負えません。《絶対見上げない》ためのtipsというのもいくつかあるのですが、このテの自信過剰な連中は(って、他人事みたい)「ボールがカップ・インするのを見てオーガズムを得たい」という誘惑に負けているわけですから、いくらいいtipがあっても駄目です。考えられる唯一の手段は、その自信過剰を逆手に取って利用することぐらいでしょうか。「完璧に頭を残すことはプロにしか出来ない。しかし、あんたには出来るんじゃないか?18ホールやれたらプロ並だぜ」てな具合に。
(May 01, 2007)
「パット名人シリーズ」第1弾。南ア出身のプロBobby Locke(ボビィ・ロック、1917〜1987)は全英オープンに四回優勝したパット名人。「ドライヴは見世物、パットは飯の種」という有名な言葉は彼が最初に云い出したものです。
'Bobby Locke on Golf' 「・グリップ 私のパターは男性用のスタンダードなものよりずっと長い。それは、パター・ヘッドの重みをよりハッキリと手に伝えてくれる。 私はシャフトの末端を握り、どんな場合も同じグリップで通す。左右の手の親指はシャフトの中心に添える。これはラインに正確に乗せるだけでなく、ボールにトップスピンを与えてくれる。トップスピンはボールをカップに転がすに必須のものだ。 ・パッティング・メソッド スタンスは約10センチ間隔に開き、体重は両足に均等。ターゲット・ラインに平行にした両足の右足だけ約7.5センチ下げる(クローズド・スタンス)。これは、ボールにサイド・スピンを加えるカット打ちを防止するためである。ボール位置は左爪先の真ん前。これは僅かに上昇角度でボールを打つことを可能にしてくれる。もしボールが右足近くにあると、上から叩いたり、突くような打ち方になりやすい。 私はパターのトゥにボールを揃えてアドレスするが、実際にはパターの中心でパットする。これもカット打ち防止の策である。ボールをパターの中心でアドレスすると、バック・ストロークでターゲット・ラインの外側にパターを引きがちになり、カットしてボールの方向を曲げてしまう。 私のバック・ストロークは、パターが地面すれすれなほど低く、インサイドに引く。この時、手首は殺して動かさない。ストロークの間、パター・フェースはターゲットにスクウェアのままである。『インサイドに引いて、フェースをオープンにしないなんて不可能だ』と云う人がいるが、それは不可能ではない。これは1937年にWalter Hagen(ウォルター・ヘイゲン)から教わったもので、フェースを被せる("hooded" the face)ことによって可能なのだ。これがボールに真のトップスピンを与える唯一の方法であるとWalter Hagenが証明して見せてくれた。手首を使うとストローク動作が矛盾を孕み、ミスに繋がる。 |
私のストロークは時計の振り子と同じである。バック・ストロークが引かれた同じ分だけ、フォロー・スルーも押し出される。パッティングの動きはゆっくり、しかもスムーズでなければならない。とりわけ、グリップは繊細な感覚を維持するため、ゆったりとしていなくてはならない。
正しい強さで打たれたボールには三つの入り口(チャンス)がある。中央の玄関のドアと、左右の勝手口である。もちろん玄関口が最も安全であるが、カップまでの距離に到達すれば左右のドアからもカップに転げ込むチャンスがあるのだ」
インサイドに地面すれすれに、しかもターゲットにフェースをスクウェアに保ちながらパターを引くというのは、私にも出来ません。「地面すれすれ」でなく、時計の振り子のように上に上げる垂直の振り子動作なら可能です。しかし、Bobby Lockeのは水平の振り子動作で、インサイドに引く方式です。Stan Utley(スタン・アトリィ)の「インサイド→インサイド・ストローク」はバック・ストロークで完全にオープンになっています。「手首を使わずにフェースを被せる」というのも、水平に引く以上不可能です。
上の部分は理解不能ですが、ヘッド重みを感じるとかトップスピンの重要性などについてはとても参考になります。
【参考】「続・Bobby Locke(ボビィ・ロック)のパッティング」(tips_159.html)
(May 18, 2007、増補January 06, 2017)
「パット名人シリーズ」第二弾。アメリカの屈指のアマチュアJerome D. Travers(ジェローム・D・トラヴァース、1887〜1951)は全米アマ四回、全米オープンに一回優勝したパット名人。後にプロのインストラクターとなったそうです。
'Travers's Golf Book'
by Jerome D. Travers ('Great Golf,' Stewat, Tabori & Chang, 2005, $29.95)
「巧みで堅実なパッティングが出来るようになるためには、プレイヤーは自信を持たなくてはならない。いいパッティングの半分は自信である。
ゴルファーにとっての悪夢は、どのグリーンでも3パットするというものだ。こういう悪夢に見舞われないようにすること。
ラインとストロークの強さを決定するためにはじっくり時間をかけてよい。しかし、いざ決断したとなったらもうぐずぐずせずすぐにパットすべきだ。ぐずぐずすればするほど、無用の心配が沸き起こり、ボールをカップに沈めるチャンスは少なくなる。もし、近くの騒音や動きが気になったら、それが収まるまで待つこと。パットの際に少しでも気が散ると、それは惨事の原因となり易い。
ボールの後ろにパターをアドレスする時、パター全体の重みを地面に下ろしてはいけない。地面に軽く触れる程度にすべきである。
左目の焦点をボールの後部の中心に合わせ、パターがそこに当たるまで頭を上げてはいけない。ちょっとでも早く目を離して無意識にストロークの結果を知ろうとすると、ボールはカップの右へ行き易い」
最後の部分の「左目」がいいかどうかは疑問があります。「利き目」であるべきではないでしょうか?右目が利き目なのに左目でボールを注視すると、実はかなりずれた場所を見ていることになります。
(May 22, 2007)
'Start at the finish'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' June 2007)
「いいフィニッシュとはどういう感じのものかを学べば、 そこに至るスウィングの過程の連続した正しい動きを形成するのはかなり容易になるものだ。
【編註:写真は韓国の女子プロSeon-Hwa Lee(サンファ・リー、李宣和)のフィニッシュ】
1) フォロー・スルーが終了するまでには、体重の90%は左足に乗っているべきである。そうなっていなければ、あなたのスウィングは間違っている。
2) あなたの左足はやや外側に捩じれている。
3) 右足は爪先で立っている。実際には、バランスを崩さずに左足一本で立てるほどであるべきだ。
4) ベルト・バックルとシャツの前のボタンは全てターゲットを指している。【若いLPGAプロではターゲットの左を指していることが多い】もしこうなっていなかったら、あなたは腰を回転させず、単に横にスライドしているだけある。
5) 右肩と右腰は左サイドよりも下がっているべきである。これは上半身をやや右に傾けるので、アドレスとインパクト時の背骨の傾きに似た形になる。
6) 両手は頭の左側で左肩の上に位置する。これは両腕がクラブをストレートの軌道で振り抜いた証しである」
私に欠けている要素の最大のものは5番目の「上半身が右に傾斜したフィニッシュ」でした。私はインパクト後、直ちに直立してしまっていたのです。写真やヴィデオなどでプロたちの上半身が右傾したフィニッシュを知っていましたが、それが「アドレスとインパクト時の背骨の傾きを維持している姿」であるということとは気づきませんでした。
で、練習場で背骨の傾きを維持したフィニッシュが得られるように試してみました。ボールが目的地に飛ぶ率が高くなりました。アドレス時の体勢を最後まで維持しようとするわけですから、インパクトにもいい影響があって当然です。私がプルを出し易かったのは、すぐ直立してしまうプロセスで、手・手首・腕の角度が変化していたためでしょう。
【参照】「フィニッシュから始めよ」tips_33.html
(May 25, 2007)
「体型別スウィング」を提唱したインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)によるボールの曲げ方。
このtipは先ずフェードのフィニッシュの形を作り、その体勢を身体に覚え込ませた後でスウィングするというもの。実際のショットのフィニッシュは勢いと慣性に左右されるのでもっと大きくなるでしょうから、これはその形を通過させたいという“関所”を作るものと云えます。
'How to hit foolproof draws and fades'
by Mike Adams ('Golf Magazine,' June 2007)
「アドレスして素振りをし、腰の高さまでフォロースルーを出した後、
・左腕を一杯に伸ばしてクラブシャフトとLの形(90°)を作る。
・クラブのトゥは右方を指す。
・シャフトはターゲットの3メートル左を指す。
このフィニッシュの感覚を身体に覚え込ませ、スウィングしてみる。自動的にクラブはアップライトで【インサイドから】アウトサイドへの振り抜きになる。これが左から右へのスピンを生み出す完璧な動作である。
本番では上の動きを再現するように振り抜けばよい」
要するに、手首を返してはいけないし、フォローをインサイドに引っ張り込んでもいけないという趣旨ですね。姉妹編「馬鹿でも打てるドロー」は近日公開。
(May 29, 2007、改訂June 02, 2015)
「体型別スウィング」を提唱したインストラクターMike Adams(マイク・アダムズ)によるボールの曲げ方。
このtipは先ずドローのフィニッシュの形を作り、その体勢を身体に覚え込ませた後でスウィングするというものです。実際のショットのフィニッシュは勢いと慣性に左右されるのでもっと大きくなるでしょうから、これはその形を通過させたいという“関所”を作るものと云えます。
'How to hit foolproof draws and fades'
by Mike Adams ('Golf Magazine,' June 2007)
「アドレスして素振りをし、腰の高さまでフォロースルーを出した後、
・クラブはターゲットの3メートル右を指す。
・右腕を一杯に伸ばしクラブシャフトと一直線にする。
・クラブのトゥは天を指す。
このフィニッシュの感覚を身体に覚え込ませ、スウィングしてみる。自動的にクラブはインサイドに向って身体に絡みつくような振り抜きになる。これがボールにインサイド・アウトからアタックする完璧な動作である。
本番では上の動きを再現するように振り抜けばよい」
(June 01, 2007)
ポップアップはてんぷらのひどいもので、レギュラー・ティーからレディス・ティーぐらいまでしか届かないような、非常に幻滅するショットです。ポップアップがどのようにして起るかがよく解る記事を見つけました。
'10 ways to save 6 strokes'
by Tim Mahoney with David DeNunzio ('Golf Magazine,' June 2007)
ドライヴァーでは上昇軌道でボールを捉えるべきなのに(右図下)、下降する途中でボールを捉えるとポップアップになるわけですが、それはクラブフェースとクラウンの継ぎ目でボールの下半分を撥ね上げるからだそうです(右図上)。
なぜ、そうなるかは次のようなことが考えられます。
1) 余りにも急角度なディセンディング・ブローをした
2) ダウンスウィングで身体をターゲット方向にシフトし過ぎた
【ドリル】上記(1)の対処法
左肩が急激に下降するとポップアップになるので、ボール無しで野球のバッティングのような水平のスウィングを繰り返す。左肩が水平に廻るように。ボールに向ってもバットを振っている意識を持ち、水平に“掃く”ような軌道でボールに接触するように努める。
【参考】「ポップアップの回避」tips_107.html
(June 05, 2007)
「パット名人シリーズ」第三弾。イギリスの女性ゴルファーJoyce Wethered(ジョイス・ウェザード、1901〜1997)は全英女子アマ四回、全英女子選手権に五回連続優勝したパット名人。
'Game of Golf'
by Joyce and Roger Wethered et al. ('Great Golf,' Stewat, Tabori & Chang, 2005, $29.95)
「最近のゴルファーは次のようなことに気づいている。すなわち、パター・ヘッドがボールに接触する時、本当に微妙な上方かつアウトサイド方向への動きが、ボールに垂直の回転軸を与えるために必要であることを。ボールを完璧に転がすことが出来る唯一の方法はこれなのだ。
パッティングのアクションは、過剰な手首の動きと、過剰に硬直した両手の動きの丁度中間によるものであるべきだ。
すぐ結果を見ようとしてルックアップすることの危険性は、肩が動くことである。肩が動くとクラブヘッドを斜めに動かし、方向を不正確にするサイド・スピンを生じることになる」
(June 09, 2007)
'10 ways to save 6 strokes'
by Tim Mahoney with David DeNunzio ('Golf Magazine,' June 2007)
「背を屈め、両肘を折った構えでボールの赤道を叩くとトップする。屈んだ分、インパクトで伸び上がるのが原因だ。
背を伸ばし、両腕も伸ばしてアドレスする。それだけでなく、ダウンスウィングではボールの前方(ターゲット方向)の草を薙ぎ払うように両腕を伸ばすこと。
【ドリル】背を伸ばして、クラブのリーディンエッジをボールの赤道の一寸下に揃える。両腕が伸びるようにゆったりとフォワード・ストロークする。こうすれば、スウィング軌道の最低点がボールの前方(ターゲット方向)となり、しっかりした接触が得られる」
(June 12, 2007)
'The New Tour Swing'
by Peter Morrice ('Golf Digest,' June 2007)
この記事は"Radical new swing"という見出しが印象的だったので「紹介しようかな?」とは思っていたのですが、'Golf Digest'誌の馬鹿な編集者が最も大事なスウィングの説明をベラボーに小さな活字で、それも灰色の読みにくい色で印刷したものですから、中々取りかかる気になれませんでした。この“最新の過激なスウィング”のポスター・ボーイはAaron Baddeley(アーロン・バダリィ、オーストラリア)なのですが、彼がThe Mastersでもあまり振るわなかったので(52位)、「それほど凄いスウィングでもないんじゃないの?」と思っていました。
しかし、U.S. Open 2007の三日目にAaron Baddeleyがトップに立ち、NBC-TV解説者のJohnny Miller(ジョニィ・ミラー)も彼のスウィングを褒めるものですから、仕方なく読みにくい記事を読むことにしました(残念ながらAaron Baddeleyは最終日最終組という重圧に堪えかねて自滅してしまいましたが)。
このスウィングは、二人のインストラクターAndy Plummer(アンディ・プラマー)とMike Bennet(マイク・ベネット)が提唱し、彼らにコーチされたAaron Baddeley、Dean Wilson(ディーン・ウィルスン)ら数人が昨年のツァーで優勝して以後、今やMike Weir(マイク・ウィァ)など20人ほどのツァー・プロが教えを乞うほどの人気だそうです。Aaron Baddeleyは今年二月にも優勝。このスウィングを彼らは"Stack & Tilt"と呼んでいます。
"Stack & Tilt"の骨子はボールの真上から頭を動かさないことです。「現在主流のスウィングは、バックスウィングで上体を右に横移動させ、ダウンスウィングで左に戻すというものだが、これはプロにとっても常に完璧に出来る動きではない。どうせ戻すのなら動かさない方が簡単だ」という論理です。
・二つのポイント、すなわち1) 両肩の真ん中、2) 腰の真ん中…がスウィングの中心となり、背骨はその二点を結ぶ垂直の回転軸となる。右への横移動は行なわない。【http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt?slide=2】
・アドレスで背骨はボールに向って前傾する。バックスウィング開始を開始しても背骨の位置を維持するには、上体を左に傾けなくてはならない(約30°)。肩と腰を急角度で下に傾け、右脚は伸び、左脚はボールに向って曲げられる。「これは“リヴァース・ピヴォット”だと云う人もいるだろうが、この傾斜がとてつもない回転モーメントを生み出す。リヴァース・ピヴォットだろうが何だろうが、要はボールとのソリッドなコンタクトが得られればよいのである」【http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt?slide=3】
・バックスウィングで左肩はボールを指し、両手は身体の周りを円を描くように廻る。上方に動くのでも、遠くへ動くのでもない。両腕は肋骨から離れない。通常のメソッドに比べれば、スウィング弧が小さく感じられるだろう。
・トップでは背骨は垂直でなければならない。体重はやや左足寄りになる。両腕は身体の動きにつれて低く、インサイドに留まる。頭はアドレスの位置のままボールを直視している。
・ダウンスウィングでは、体重の多くは即座に左足に移る。腰は水平に回転する。バックスウィングと反対に、今度は左脚が伸び、右脚が曲げられる。【http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt?slide=4】
・傾斜し、回転を制限されていた腰は、傾斜をゼロにするため、お尻の筋肉によって腰を上に、かつターゲット方向に向う。クラブが下りるにつれ、プレイヤーは撥ね上がるような感じを抱く。
・フィニッシュでは背骨は飛行線後方に傾斜する(お腹を突き出し、反っくり返った感じ。現在の主流は垂直に立つ)。両腕は伸ばされ、左肩の上に落ちない。【http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt?slide=5】
この記事には、二人のコーチに入門したハンデ10の同誌編集者Peter Finch(ピーター・フィンチ)のリポートも掲載されています。彼の悩みはアイアン・ショットに勢いがなく、へろへろした軌道で飛ぶことだったそうです。コーチ陣は彼のスウィングを見て、彼のスウィング弧の最低点がボールの数センチ手前であることを見て取りました(結果として上昇軌道での掬い打ちになっていた)。コーチ陣は、彼の体重の60〜65%を左にキープしたまま、左肩を前傾させるように指示。これで7番アイアンを打つと、まさにボールを押しつぶす感触が得られ、低い軌道で10ヤード長く飛びました。訓練はそこで終らず、二人のコーチはコンパクトなバックスウィング、身体に密着した両腕によるスウィングを勧め、Peter Finchはスウィート・スポットでボールが打てるようになったそうです。
なお、上の記事の説明や写真は5番アイアンを使っていることに注意。このままロング・アイアンやドライヴァーに応用しては駄目で、ボール位置を左足踵前に移し、より浅いスウィング弧になるように心掛けるべきだそうです(早めに腰を上げることも重要)。
(June 17, 2007)、改訂(September 12, 2009)
'Tips to hit hybrids'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' June 2007)
「多くのシニアたちが3番〜5番ウッドをハイブリッドに替えている。しかし、ハイブリッドが常に奇跡を実現してくれるとは限らない。何故なら、ハイブリッドもセットアップはフェアウェイ・ウッドと同じであり、フェアウェイ・ウッドでトップし易いとすれば、そのトラブルはハイブリッドでも頻出するからだ。
ハイブリッドで(フェアウェイ・ウッドでも同じだが)冒す最大の過ちは、ダウンスウィングで体重を右に残して寄りかかり、ボールを空中に上げようと“努力”することだ。この“努力”は、往々にしてクラブがスウィング弧の最低点を過ぎ、上昇し始めたところでボールに接触することに繋がる。クラブのリーディング・エッジがボールの上半分を叩くことになり、極めて低い弾道か10ヤードしか転がらない醜悪なトップという結果になる。
正しいハイブリッドの使い方は、ダウンスウィングで体重を左に移し、インパクトへと向いながら右踵を地面から上げることである。インパクトにかけて腰を積極的に左へ回転させれば、自動的に右踵が上がり体重は左に移る。クラブで掃くような軌道を得るように努めること。そうすれば、ボールはロフト通りに空中に上がり、あなたが無理にボールを上げようと“努力”する必要など全くない」
【参考】「ハイブリッドはフックするように出来ている」(tips_177.html)
(June 20, 2007)
Copyright © 1998-2018 高野英二 (Studio BE)
Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.