'Got a big match tomorrow? Try sleeping alone'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' February 2007)
「心身を最も機能的にするには、最低7時間の熟睡が必要であると医師たちは認識していた。しかし最新の研究によれば、妻からベッドを追われ、長椅子で寝る方が(見た目は惨めでも)睡眠には効果的であることが分った。
Viennna大学のリサーチャーたちは、パートナーと寝るのは睡眠の質を下げる恐れがあると云う。ベッドの共有は男性の認識機能にマイナスとなる強い影響を与え、ストレス・ホルモン値を増大すると彼らは結論づける。これは特にスポーツをする男性に目立つと、彼らは付け加える。肉体的に活動する男性は、ストレス・ホルモンの生成を抑制し、筋肉の回復を促進するため、中断されることのない睡眠を必要とする。
反対に、ベッドの共有は女性に悪影響をあたえることはない。研究者たちは、女性たちの身体は中断される睡眠に慣れているからと考えている」
母親は夜中でも赤ちゃんにお乳を上げるわけですから、睡眠を何度中断されてもいいように出来ているのでしょう。
(February 11, 2007)
'Thorough the uprights'
by Charlie King ('Athlon Sports' Golf 2006)
Athlon Sports()アスロン・スポーツ)は様々なスポーツの年鑑を発行している出版社。今回見つけたのは2006年のシーズン初めに発行されたゴルフに関するもので、メイジャー開催コースの詳細情報や主なプロたちの名鑑が掲載されています。それらはもう古いのですが、ゴルフ・テクニックに関するページは当然古くなっていません。いくつか、役立ちそうなところを書き抜いてみようと思います。
「スポーツ心理学者の中には『ターゲットを出来るだけ小さくして狙え』という人がいる。【編註:Bob Rotella(ボブ・ロテラ)博士もその一人】しかし、私に云わせれば、それは常に正解ではない。グリーンへのショットで、ターゲットをあまりにも小さく絞ると、往々にしてボールの舵を取るように打ってしまいがちになる。
私のゴルフ学校の生徒たちと私はGIR(パーオン率)のデータを取ってみた。私の場合、18ホールにつきたった9ホールでしかパーオンしないことが分った。たった9ホールしかパーオンしないなら、小さなターゲットを狙うことなど意味がない。ただグリーン(のどこか)に乗せることを考えるべきではないのか?
こうして、私と生徒たちは戦略を変更した。われわれはターゲットをフットボールのゴールポスト【写真の黄色い凹形】並みに拡大した。スウィングを調節したりしない。その結果、私は1ラウンドのGIRを2ホール増やすことが出来、生徒たちのGIRもかなり改善された。リラックスしてグリーンを狙った効果である。あなたもグリーンの幅一杯にセットされたゴールポストを視覚化し、その間を狙うべきだ。
フィールド・ゴールを狙うキッカー(ボールをゴールポストに蹴り入れて追加得点を狙う選手)がもし一本の柱をターゲットにするとしたら、彼は常に失敗するに違いない。ゴールポストが広いから安心して蹴れるのである。
・ピンに執着してはいけない。
・小さなターゲットを捨てて、ショットの遂行に専念すること。
・あなたが上手くなるにつれ、メンタルなゴールポストは自然に狭まって行くことだろう。
(February 20, 2007)
'Copy that!'
by Jon Tattersall ('Golf Magazine,' March 2007)
「ミス・ショットをした後のJim Furyk(ジム・フューリク)から学ぶべきことは多い。失敗したスウィングを素振りによるいいスウィングに置き換えることなしに、彼が次のショットに向かうことは絶対にない。
いいスウィングを思い出すことによって、どうすべきか明確なフィーリングを持って彼は次の地点に到着する。ショットを遂行するフィーリングは、テクニックを思い起こす最も効果的な方法である」
(March 12, 2007)
'6 Keys to watching a tour event' 「・Tiger Woods(タイガー・ウッズ)を観る場合 通常のラウンドなら『3ホール前メソッド』を使えば、Tigerを5〜6回観ることは可能である。彼のプレイを観た後、彼より3ホール先に進み、観る場所を確保する。彼がドライヴァーでティーショットするのを飛行線後方から観るのは、ゴルフ・ファンなら最低一度は経験すべきことである。 午後遅く練習場へ行くとよい。かなりの確率でTiger Woodsの練習が観られる筈だ。特にメイジャーなら確実である。 ・他のプロを観る場合 三つ以上のホールが一望に出来るところを探す。動くことなく、一つのグループがティー・オフし、他のグループがパットする様子が観られる。 |
Tiger Woodsがプレイしている9ホールでない方で、同じ時間帯にプレイしているいいグループ(上位あるいはお好みのグループ)について歩く。あなたはたった一人のギャラリーかも知れない」
'How to get your favorite golfer to sign something'
by Ron Kaspriske ('Golf Digest,' April 2007)
「サインが欲しい人には次のような留意点がある。
・時間と場所を考えること。ベストは練習ラウンドの後。
・お好みのプロについて調べておき、彼(彼女)の注意を引く言葉を考える。経歴、大学、趣味など。
・あなたのお子さんに話させる。子供にしかサインしないプロもいるからだ。
・マジックペンとサインして貰う物を持参する。
・プロにあなたの名前も書いてくれと頼む。彼は「この人はオークションで売るつもりではないようだ」と考えて、サインする気になってくれる。
・上のどれも失敗したら、PGAツァーにリクエストを送る。事務局はプロの郵便受けに入れてくれ、プロは時間がたっぷりある時にサインして返送することが出来る。当て先は以下の通り。
PGA Tour Communications
112 PGA Tour Blvd.
Ponte Vedra Beach, FL 32082
U.S.A.」
(March 19, 2007)
'3 secrets to better Course management'
by I.J. Schecter with Doug Weave ('Golf Illustrated,' January/ February 2007)
「安全にグリーン中央を狙う作戦はエクサイティングには見えないが、しばしば勝利に繋がるものである。
1994年のMemorial(メモリアル)でTom Lehman(トム・レーマン)が優勝出来たのは、彼の危険を避けるゴルフの賜物だった。その方針によって、グリーンの一番広い所へオンさせたボールがカップインしてしまうというイーグルが二つも出た。彼のパフォーマンスは、ボールをカップに入れようとするのが常に上策とは云えない証しである。
1996年のMasters(マスターズ)におけるGreg Norman(グレッグ・ノーマン)の歴史的失敗は宿命だったろうか?否。彼は最終日のスタート時点で、二番手のNick Faldo(ニック・ファルド)に六打差をつけていた。Greg NormanがNick Faldoに追いつかれることになった原因は、彼がNo.12とNo.13で無用の冒険を行なったからに他ならない。そのどちらにおいても、彼のボールは池に入ってしまった。
対照的に、Nick Faldoは目を見張るようなゴルフではなく、スマートな(賢い)ゴルフを続けていた。一貫してグリーンの一番広い所を狙い、トラブルを避け続け、究極的には彼は栄冠を勝ち得てしまったのである。
もし、あなたが安全にプレイすることは凡庸なショットにしか繋がらないと考えるのであれば、1989年のOak HillにおけるU.S. Openを思い起すべきである。ある日のラウンドのNo.6において、四人の別々のプレイヤーがホールインワンを達成した。このグリーンはTの字型をしていて、急な背が前部・後部を隔てている。その前部は右に盛り上げられたバンカー、左に濃いラフで覆われた小川によってガードされている。唯一安全なプレイは、堅固に護られたピンを通過して着地させ、傾斜がボールを戻してくれるのを祈るというものだった。四人のいずれもが、単純にグリーンの安全な部分を狙ったと語っていた。実際には、彼らの安全策は未曾有の記録達成に繋がったのである」
【参考】「グリーン中央を狙え」tips_104.html
(March 29, 2007)
'Ask the Pros'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' December 2006)
PGAツァー・プロは毎週どの位の費用をかけて旅をしているのか?以下は、若手プロBubba Watson(ババ・ワトスン)の場合。
「キャディへの支払い、ホテルの部屋代、その他もろもろは、予選でカットされたとしても約2,000ドルかかる。航空運賃や何やかやを含めれば2,500〜2,800ドル。結構な金額だ。だからカットされないようにしなきゃならない」
'My check please!'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' March 2007)
こちらの記事にはMini-Tour(ミニ・ツァー)プロ(36歳)、Nationwide Tourプロ(36歳)とPGAツァー・プロSteve Flesch(スティーヴ・フレッシュ、39歳)の三人の必要経費が掲載されています。ここではSteve Fleschのケースのみ紹介します。
「開催コースでの朝食と昼食は無料。ロッカー・ルームの係に少なくとも50〜100ドル。夕食には週平均250ドル使う。ホテル代は週に1,200〜1,500ドル。キャディには週1,000ドル。予選を突破出来れば賞金の5%、トップ10に入れば賞金の7.5%、優勝すれば10%。航空運賃は年20,000〜30,000ドル」
(April 15, 2007)
'Carved in stone'
by by editors of 'Golf Digest' ('Golf Digest,' April 2007)
「以下の十項目はルールのうち最も必要不可欠のものである。記憶して混乱と議論を避けるべし。
01) 助言
他のプレイヤーにホールについて質問すること(どちらへドッグレッグしているとか、見えない池があるかとか、ヤーデージなど)は構わない。しかし、どういうショットを打つかとか、どのクラブを使うかを聞くことは出来ない。
02) 誰が遠いか?
カップから遠い人から打つのが正しい順番。グリーンからこぼれていても、そのボールがよりカップに近ければ、グリーンに乗っていてもより遠い人の方が先に打つ。
03) 暫定球
必ずグループの誰かに『暫定球を打ちます』と宣言すること【編註:無言で勝手に打ってはいけない】。暫定球を打つかどうかは、問題のボールを打った地点を離れて前方に歩き出す前に決断すべきである。
04) ドロップ
ほとんどの場合、元のボールがあった場所よりホールに近づいてはならない。
05) アンプレイアブル
ウォーター・ハザード以外でなら、どんな場所ででもアンプレイアブルを宣言出来る(1打足すことを忘れないように)。2クラブ以内で、ホールに近づかない場所でドロップ。
06) ウォーター・ハザードに入った?
ボールがウォーター・ハザードに入ったと思われたら、暫定球を打つことは出来ない。元の場所から別のボールを打つ場合、最初のボールは諦め1打のペナルティを足さなくてはならない。
07) ウォーター・ハザードの外でドロップ
赤杭は、ボールがハザードに入った地点から横に2クラブ以内でドロップ出来ることを意味する。黄杭はホールから最も遠いハザード側で、カップとハザード突入地点を結ぶ線【編註:ハザード後方への延長は無制限】のどこかの一点でドロップ出来ることを意味する。【編註:いずれの場合も1打のペナルティ】
08) 埋まったボール
フェアウェイに着地して埋まったボールは、マークして持ち上げて清掃し、マークの傍にドロップ出来る。【編註:ノー・ペナルティ】しかし、ラフやハザードで持ち上げてはならない。
09) 誤球
ハザードからの誤球にペナルティはない(正しいボールで改めてプレイする)。それ以外では、ストローク・プレイの場合2打のペナルティで、次のホールのプレイを始める前にエラーを正すこと。そうしないと失格となる。マッチ・プレイではそのホールの負け。
10) 境界
ボールの一部がハザード・ラインに接していれば、それはハザード内にあると見なされる。グリーンやティー・グラウンドでも同様。逆に、ボールが(一部ではなく)完全にOB区域に入っていなければ、そのボールはOBにあることにはならない」
(April 22, 2007)
今日の当地の新聞に、ジョージア州のローカル紙の記事が転載されていました。Murray Flint(マレイ・フリント)という16歳の高校生が2007年2月のあるトーナメントでダブル・イーグル(アルバトロス)を達成したが、当人はあまりその有難味を実感していなかったという内容です。
「ダブル・イーグルを達成するには二つの方法しかない。パー5を二打でホールアウトするか、パー4でホールインワンするかである。
PGAツァーでの1シーズンにおけるダブル・イーグル出現率は概ね六回。彼らの腕前がわれわれより相当上であるのを考えれば、その数から難しさが理解出来る。'Golf World'誌のデータによれば、ダブル・イーグルの確率は1/1,000,000だそうだ。ということは、誰かに殺される可能性(1/18,000)、プロ・スポーツマンになる可能性(1/22,000)、スーパー・モデルとデイト出来る可能性(1/88,000)、浴槽で溺れる可能性(1/685,000)などの方が、ずっと確率が高いことになる。だから、スーパー・モデルとのデイトを夢見ているあなたにはいいニュースであり、この記事を浴槽の中で読んでいるあなたには悪いニュース、もしあなたが(ダブル・イーグルを夢見る)ゴルフ気違いなら最悪のニュースということになる。
高校生Murray Flintの場合、480ヤード、パー4のティー・ショットを林越えでショートカットし、ピンまで130ヤード残すだけであった。彼がパー5を二打で乗せることは珍しくなかったので、このホールのピッチング・ウェッジによる二打目がオンしても彼は別に驚かなかった。当人はボールがカップインするところを見ていなかった。しかし、グリーンの近くにいた彼の同級生たちが目撃した。彼の9ホールにおけるスコアは34であった。『ホールインワンの前にダブル・イーグルを達成するとは思わなかった』とMurray Flintは語った」
この記事の筆者は、ホールインワンの確率について触れていません。調べたところ、1999年の'Golf Digest'誌は「ある保険会社によればPGAツァー・プロのホールインワンの確率は1/3,756で、アマチュアだと1/12,750」と伝えています。ホールインワンはダブル・イーグルよりはずっと達成し易いわけで、上の高校生もいつかはホールインワンを記録するでしょう。しかし、ダブル・イーグルは滅多に出ないのですから、彼は今回のスコアカードを額に入れて壁に掛けて自慢してもいいのです。
(April 25, 2007)
幸運にもマスターズを観に行けた人には懐かしく、行けない人には「どんなものだろう?」と憧れの「ピメント・チーズ・サンドイッチ」。私はオーガスタ・ナショナルには遠くないところに住んでいますが、まだこのサンドイッチを食べたことはありません。なぜこれがマスターズ名物になっているかというと、ピメント・チーズはクラッカーやセロリにつけたり、サンドイッチに塗って食べるために南部一帯で貧富の差なく愛好されている南部名物だからだそうです。たまたま、食料品店で'Pimento Spread'というものを見つけました。これは、簡単に云えばクリーム・チーズに乾燥ピメントを混ぜた“肌色のマヨネーズ”という感じで、そのまま食べ物に塗れるもの。
Pimento(ピメント)というのは、赤いピーマンのもっと風味豊かなもので、オリーヴの漬け物の真ん中に挟まれていると云えば、何方も御存知でしょう。それをチーズに混ぜたものがピメント・チーズ。
'The Green Room'
by Josh Sanburn ('Golf Magazine,' April 2007)
The Masters 2007特集号の'Golf Magazine'誌に「4チーズ・ピメント・サンドイッチ」の作り方が出ていました。これはパーティ用のレシピなので、大量にピメント・チーズを作る場合です。それは大袈裟なので、材料名だけ記します。
・白いチェダー・チーズ(漫画映画でネズミの好物としてよく登場するチーズ)を下ろしたもの。
・黄色いシャープ(辛口)・チェダー・チーズを下ろしたもの。
・粉になったブルー・チーズ
・パルメザン・チーズ
・ピメント
・マヨネーズ
・ディジョン・マスタード(中辛の白ワイン入り辛子)
以上全部をフード・プロセッサーに入れて滑らかになるまで混ぜ合わせ、冷やしてからパンに塗ればマスターズ風「4チーズ・ピメント・サンドイッチ」の出来上がり。
私はそんな本格的にはせず、軽くトーストしたパンの片方に'Pimento Spread'、もう一方に粗挽きの辛子を塗り、そこに「ピザ・トースト」用に買ってある「チェダー・チーズとモツァレラ・チーズを下ろしたもの」と、パルメザン・チーズ少々をかけて挟んでみました。'Pimento Spread'に酢が入っていて充分酸っぱいのでマヨネーズは要りません。上の材料とはかなり違いますが、これはこれで美味しく、しかも簡単に作れるのでスナックに最適です。
TV観戦しながらでも、オーガスタ・ナショナルにいる気分で是非お試し下さい。
【おことわり】画像はhttps://images.pga.com/にリンクして表示させて頂いています。
(April 29, 2007)
スウェーデン出身のメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)は、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)に「全てのホールをバーディで廻る」という'Vision54'を植え付けた女性。彼女がアメリカ人女性インストラクターLynn Marriott(リン・マリオット)と組んで'GOLF54'というゴルフ・スクールをアリゾナ州に開設しました。二人の共著に出て来るアイデア「二つのボックス」は既に紹介済みです。
'Every shot must have a purpose'
by Pia Nilsson and Lynn Marriott with Ron Sirak (Gotham Books, 2005, $22.50)
「練習場で、何も目的なしにボールをかき寄せては打ち、かき寄せては打ちしているゴルファーを見ることが多い。そういう人にとっては、練習の終りはボールがなくなったか、手や指が痛くなったか、暗くて打てなくなった時か、どれかである。もし、一打一打の練習に目的がなく、上のように徒にボールを打つことは、締まりのないスウィングを身に付けることに拍車をかけるだけで、プレッシャー下でプレイする本番には何の役にも立たない。練習は出来るだけ本番に近い条件で行なうべきである。
・一打毎にターゲットを変えよ
OBでもない限り、コースで同じターゲットに向って打つということはあり得ない。また、練習場でありがちなのは、完璧なライでだけ打つことだ。これは"princess lies"(“お姫様のライ”、あるいは“乳母日傘のライ”)と呼ぶべきものである。本番でこのような甘やかされたライが続くことはまずない。本番では一打毎にショットの内容(軌道の高低、左右へのカーヴなど)と打ち方(クラブ選択、ボール位置、ターゲット、シャフトを短く持つかどうか、インパクトの強さなど)を考えなくてはならない。練習場でも一打毎にターゲットを変更することは、あなたの心に『一打毎に考える』ことを身につけさせ、あなたの身体に『目的意識を持って一打を遂行する』ことを教える。
30分で50発のドライヴァー・ショットを打つことは、実戦で役に立たないどころか、スウィングの欠点を身体に定着させるだけに過ぎない。30分で10発のショットを打つようにしなさい。練習は量より質である。
・一打毎にクラブを替えよ
これもまた本番の状況を作り出し、あなたの脳に一打毎に考えることを教える方策である。6番アイアンを二度続けて打つことは、普通本番ではあり得ない。ドライヴァーを打ったら、6番アイアンを打ち、ウェッジを1/2スウィングで打ったり、ターゲット目掛けバンプ&ランをする。もし、練習バンカーが近くにあれば、そこからの一打も含める。この方法によって、練習場であなたのホームコースの18ホールをラウンドするとよい。
・寄せワンの練習をせよ
大方のゴルファーは練習グリーンの外からボール数個をピンに向って打ち、やおらパターを持ってグリーンに上がってパットの練習に専念する。これまた、本番の状況とは無縁の練習法である。一個のボールを練習グリーン外からピンに向って打ったら、パターでそのボールを1ストロークでカップインさせる練習をすべきである。一打毎にクラブとショットが変わることにより、本番そのものをシミュレート出来る」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 04, 2007)
'Vision54'で有名なメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)による冒険主義の戒め。
'Every shot must have a purpose'
by Pia Nilsson and Lynn Marriott with Ron Sirak (Gotham Books, 2005, $22.50)
「一般ゴルファーの最も普遍的過ちの一つは、彼らの平均的ショットでなく、ごく希なベスト・ショットに基づいて決定を下すことだ。もっと自分自身のゲームを虚心に見つめることを学ぶべきである。自分の傾向を理解することによって、悪い決定を良いものに置き換えることが出来る。良い決定は、ダブル・ボギーを視界から追い出し、常にパーの可能性を残してくれる。
奇跡的ショットを必要とする唯一の場面は、奇跡しか問題解決の途がない場合である。Phil Mickelson(フィル・ミケルスン)がメイジャーと無縁だった頃のプレイは攻撃的で、320ヤードのロング・ドライヴや、他人には真似出来ないようなフロップ・ショット(高あ〜く上がってピタリと止まるショット)に自ら陶酔していた。2004年のMastersでついにメイジャー優勝を果たした時、彼が全く別な戦略を用いていたのは偶然ではない。彼はドライヴァーによるフックを3番ウッドのフェードに置き換え、60°ウェッジに手を出さないでバンプ&ランを実施し、パターでチップすることさえした。一言で云えば、Phil Mickelsonはエゴを捨て、彼の持てる全てのショットを現実的に再評価し、選択肢に含めたのだ。
もちろん、あなたにも木の間を抜く英雄的ショットは可能である。しかし、今それが必要だろうか?そういうことを試みて木を直撃し、トリプル・ボギーとなった惨事の数を数えてみるべきだ。次のティーに向って歩く時、あなたの心はそのホールでティー・ショットをどう打つか考えるのではなく、『何故安全なプレイをしてボギーに留めなかったのか?』と前のホールの決定を悔やむことで一杯になる。それが最後のホールであなたが1ダウン(マッチ・プレイの際、そのホールで勝たないと試合に負ける状態)なら、賭ける価値はあるかも知れない。それ以外の全ての英雄的ショットは愚かな選択である。
事実経過から自分の愚かな決断を認識することを学んだら、そういう愚かな決断を避けることが次なる重要なステップだ。様々なショットを学んで、豊かな選択肢を得るべきである」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 07, 2007、改訂June 02, 2015)
「クラブ投擲レッスン」で紹介したFred Shoemaker(フレッド・シューメイカー)は、ゴルフ・スクールを経営するティーチング・プロ。彼のユニークな好著'Extraordinary Golf'『奇跡のスイング あなたの“本能”を目覚めさせる!!』に続くパット編の紹介。
'Extraordinary Putting'
by Fred Shoemaker with Jo Hardy (G.P. Putnam's Sons, 2006, $21.95)
「私が日本であるグループにゴルフを教えた時のこと。一つの興味深い質問事項が浮かんだ。それは『パッティングの動作(動作の結果ではない)を楽しんでいる人は何人いるか?』というものだった。
私は、誰一人パッティングの動作を楽しんでいる人がいないことに唖然とした。フル・スウィングに関して同じ質問をしてみた。結果は同じだった。彼らはソリッドに打てた感触や正しく打てた感覚は好きで、時々はその結果も好んでいるのだが、動作自体を楽しんでいる人は皆無だった。
あなたがゴルフ・スウィングをエンジョイしないのなら、あなたを見る他の人もエンジョイ出来ないだろう。パットを楽しむ風情でない人のパットを見るのは気が滅入ってしまう。多くの場合、精神的に疲れ、気まずくなるものである。自分のスウィングを気に入っている人というのは、概ね効率的でエフォートレスで、イーズィで、優雅で、そして自由なスウィングをする。パッティング・ストロークも、それ自体をエンジョイするという前提がなければ、思ったような結果には繋がらないものである。これまでに40,000回のレッスンを行なって来た私は、心配しながらの作業(パフォーマンス)では、よりよい作業(パフォーマンス)は不可能だということを知っている。
パッティングについては、先ずショート・パット、その後にロング・パットという順で、あなたがエンジョイ出来る動作を見つけてほしい。あなたの身体が心地よく感じる何か小さな動作を見つけるべきだ。自由で愉しい動作の探求を継続するのは勇気の要ることだが、唯一その動作だけが一貫して繰り返し可能な方法であると断言する。
動作をエンジョイすることから生まれる自由さは、偉大なパッティング・ストロークの基盤である。それは他のゴルフ・スウィングにも通じることであるが」
(May 11, 2007)
'Vision54'で有名なメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)によるポジティヴ思考の勧め。
'Every shot must have a purpose'
by Pia Nilsson and Lynn Marriott with Ron Sirak (Gotham Books, 2005, $22.50)
「ゴルファーとして(あるいは人間として)大きな発展性を得るには、何が自分に制御可能で、何が制御不能かを見極めることだ。例えば、悪天候や容認し難いピンの位置、同伴者のひどい行動など。これらはあなたがどうこう出来る問題ではないのだから、これらについて情緒的エネルギーを浪費するのは完全なる時間の無駄である。
正しいフォーカスを得るにはポジティヴ(前向きの考え方)でなくてはならない。
【誤】『今日はパットをショートしないようにしよう』(ネガティヴ)
【正】『今日はカップをオーヴァーするようにパットしよう』
【誤】『65で廻って、トーナメントに優勝したい』(コントロール出来ないことを願っている)
【正】『自分が決断したことに確信を持ってプレイしよう』
【誤】『ずっと矛盾なく一貫したプレイをしよう』(具体的でない)
【正】『どのショットでもバランスを維持しよう』
ハンデ15のゴルファーが間違いなく失望の一日を送るスタート時の思考は、『今日は80を切る!』というものだ。このプレイヤーが80を切る途がないではないが、最初に思うべきなのは『このティー・ショットをフェアウェイに送り届けるぞ』というものでなければならない。
どのショットも生涯で唯一度のショットであると思ってプレイすべし」
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 14, 2007、改訂December 04, 2015)
"MOI"はフランス語ではなく、"Moment Of Inertia'(慣性モーメント)の略。USGAがMOIの限界を6,000 g・cm²と定めた結果、クラブメーカー各社がヘッドを四角にするやら、三角にするやらで、その限界に到達しようとシノギを削っている現状なのだそうです。
MOIが大きいと、スウィート・スポットに当たらない場合の許容度が高いので、素人には理想的に思えますが、ではどの程度ミスが助かるのか?それは飛距離にも関連するのか?
'The M.O.I. Monster'
by Mike Stachura ('Golf Digest,' June 2007)
「クラブが回転しなければ【編註:スウィート・スポットでない場所で打ってフェースが捩れなければ】エネルギーはダイレクトにボールに伝わる。多くのメーカーは、安定性は飛距離の安定にも繋がると確信している。
MOIはスウィート・スポットでない部分で打っても、センター・ヒットと同じようなパフォーマンスに変えてくれる作用をする。
460ccのドライヴァーによるミス・ヒットが、10年前の250ccのタイテイニアム(=チタン)製ドライヴァーのセンター・ヒットよりもかなり飛ぶのは明白な事実である。
MOI値の高いドライヴァーによる平均的ミス・ヒットは、5年前のトップ・モデルのドライヴァーのセンター・ヒットの飛距離にほぼ等しい。
'Sumo²'なる(現在最高のMOI値を持つ)ドライヴァーを製造・販売しているNikeのクラブ製造部門のディレクターは、「ボールの発射角度も高くしている。それはどこの部分でミスしても助けとなってくれる」と云う。
PINGのマネジャーは「4年前のドライヴァーを使っているということは、未だに2番アイアンを使っているのと同じことと云える」と断言する。
クラブデザイナーたちは、MOI値の高いドライヴァーはヘッドをストレートに保つとも云うが、それは即アマチュア・ゴルファーがインパクトでクラブフェースをスクウェアに出来ることを意味しない。われわれは実際にゴルファーがMOI値の高いドライヴァーを打ってみて、どれだけボールをバラけさせるかテストした。その結果、5年前のドライヴァーよりもセンターラインに3ヤード近寄っていた」
(May 20, 2007)
'Tales From Q School'
by John Feinstein (Little, Brown and Company, 2007, $26.99)
著者John Feinstein(ジョン・ファインスタイン)は'A Good Walk Spoiled'『苦悩の散歩道 PGAツアー・トッププロたちの実像』、'The Majors' などをはじめ、ゴルフものの感動的ルポルタージュの第一人者です(ゴルフ以外のスポーツも手掛けていますが、未読)。今回彼が取り上げたのは2005年に行なわれたPGAのQ School(Qualifying School、いわゆるプロ・テスト)の一部始終。
その昔はルールやマナーの講義もあったため"School"(学校)という名がついているのですが、現在は講義は一切なく選抜式のトーナメントだけとなっています(で、正式名称は'PGA TOUR Qualifying Tournament')。参加料も昔は$200ぐらいだったのが、今は$4,500。もっとも、それは三段階に別れているトーナメントに最初から参加する場合で、過去の実績に基づき第一次予選免除の人は$4,000で第二次選考に、第二次選考免除の人は$3,500で最終選考に臨むことが出来ます。【註:2006年からのQ Schoolはシステムが変更されていますので、ここで紹介する2005年の例とは若干異なります】
アメリカのゴルフ界には大小いくつかのゴルフ・ツァーがあります。mini-tourと呼ばれる最も小さいもの、Hooters Tourなどやや中規模のもの、PGA Tourの弟分Nationwide Tour(昔はNike Tour、Buy.Com Tourなどと呼ばれた)、そして本命のPGA Tourです。後の二つに参加するにはQ Schoolを上位で卒業しないといけません。
TVで観る限りPGA Tourのトーナメントはいつも同じような顔ぶれで争われているように見えますが、それはTVがトーナメントの上位陣しか映さないからです。下位陣は毎年激しく変動しているのです。年間賞金獲得総額が125位以下のプロは容赦なく翌年のツァー参加権を剥奪されるので、かなり有名なプロでも賞金獲得総額が少ないとQ Schoolでいい成績を修めない限りツァーに戻れません。著者に云わせれば「PGA Tourは年に$500,000稼いでも馘になるという、世界でも珍しい職業」だそうです。
2005年のPGA Q Schoolには総勢1,205人が参加し、全14ヶ所で開催された第一次予選には(シードされた者を除く)973人が参加しました。4ラウンド(72ホール)のストローク・プレイを行ない、19位タイスコアまでの成績の者が次の段階に進めます。
第二次予選は六ヶ所で開催され、294人が参加。この中には第一次予選を免除された者(過去のツァー優勝者、どれか一つのメイジャーで予選を通過した者、Nationwide Tourで賞金獲得総額が37〜71位だった者、その他)が含まれています。又も4ラウンド(72ホール)のストローク・プレイを行ない、第二次予選通過者は165人。
最終選考は一ヶ所2コースで開催。連続6ラウンド(108ホール)という長丁場のストローク・プレイ・トーナメントを行ない、30位とタイスコアまでの者が翌年のPGAツァーに参加出来ることになります。それ以下の50名は翌年のNationwide Tourに参加を許されます。
連続6ラウンドの前に練習ラウンドもするわけですから、いくら好きな道とは云え鉄人レースのような感じです。その上、ここで合格しないと一年間どうやって食べて行くのかという重圧があります。僅か30センチのパットもマークしてラインを読む者が多いので、全体に超スロー・ペース。極度のテンションから、ラウンドの途中で嘔吐する者も珍しくないそうです。参加者の痛恨の一打や運の悪いキックなど、1ストロークをめぐる悲痛な物語の数々には息が詰まり、「遊びでゴルフをしているのが一番だわい」とホッとさせられます。
この年の受験者にはマスターズ・チャンピオンのLarry Mize(ラリィ・マイズ、当時47歳)、元PGAツァー・プロのTommy Tolles(トミィ・トールズ、当時39歳)、Steve Stricker(スティーヴ・ストリッカー、当時38歳)、Bob May(ボブ・メイ、当時37歳)らに、新人Bill Haas(ビル・ハース、Jayの次男、当時23歳)などが混じっていました。
Larry Mizeのような年配の人間は、年ごとに若者たちの飛距離の伸びに驚くそうです。また、若者たちの恐れを知らない果敢な精神を目の当たりにして、昔の自分を見るような思いと共に、そういう精神を失った自分に寂しさを感じるとか。温和な性格の彼の唯一の愚痴は、青年たちから"Mr. Mize..."と呼びかけられることだそうです【老人扱いあるいは大物扱いが辛い】。
Larry Mizeほど老いていなくても、30代後半から40代の人間には、「もうゴルフをやめて別の仕事を探すべきか?」という課題を抱えた参加者が多いようです。彼らは「今年こそ!」と背水の陣で参加し、何年も不合格になり続け、いつを潮時とするか決めかねるのだそうです。遅咲きのプロもいますから、「おれだって」と思うのも当然なのです。しかし、そういう幸運は滅多にないのが現実です。
なぜ老いも若きもPGAツァーを目指すかというと、当然賞金額が多く、120位辺りでも結構いい暮らしが出来る。トーナメント開催中の無料レンタカーと無料携帯電話レンタル、ファーストクラスの飛行機、豪華な食事など、まさに“夢”のような待遇が待っているからだそうです。
身の程知らずに“夢”を見て、(経歴詐称で)時たま80も切れない参加者が忍び込んで来るので、そういう連中をふるい落すため、2006年から第一次予選の前に四ヶ所で「予備審査」を行なうようになりました。これも4ラウンド(72ホール)ストローク・プレイ・トーナメントで、各所から平均40名ずつを第一次予選に進めるのだそうです。
この本が面白いかどうかですが、長丁場のイヴェントの沢山の出来事を網羅しようとして、顔も知らない無名の人々ばかりわんさと登場し、誰が誰やら分らなくなるのが欠点。この著者の他の本のように、誰か数人のドラマを綿密に再現する手法ではないので、どこにも焦点が合っていず、薄味の料理に成り下がっている憾みがあります。
(June 12, 2007)
スウェーデン出身のメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)は、Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)に「全てのホールをバーディで廻る」という'Vision54'を植え付けた女性。彼女がアメリカ人女性インストラクターLynn Marriott(リン・マリオット)と組んで'GOLF54'というゴルフ・スクールをアリゾナ州に開設しました。二人のアイデア「二つのボックス」と「練習の害をなくせ」は既に紹介しました。
'Every shot must have a purpose'
by Pia Nilsson and Lynn Marriott with Ron Sirak (Gotham Books, 2005, $22.50)
「ティー・グラウンドで池を恐れれば、ボールは迷わず池に飛び込む。バンカーのことを考えれば、ボールはバンカーに入る。あなたがフォーカスを当てた障害物は磁力があるようにあなたのボールを引きつける。
『思考ボックス』でショットの内容(軌道の高低、左右へのカーヴなど)と打ち方(クラブ選択、ボール位置、シャフトを短く持つかどうか、ターゲット、インパクトの強さなど)のプランを練り『決断ライン』を越え『実行ボックス』に移動したら、『思考ボックス』で考えたプラン通りに打たなくてはならない。アドレスしてからハザードが恐くなり「やはりもう少し右を狙おう」とか、「少しクローズに構えた方がいいかも」などという想念がわき起って来たら、アドレスを解き『思考ボックス』に戻って仕切り直しすべきである。プランになかった要素をアドレス時に加えると、フェードが大スライスに、ドローが大フックに化けたりしやすい。
恐怖が勇敢なショットに貢献することはまずない。エネルギーをターゲットに集中した時にのみ、ボールは正しくそちらに向う。スウィングの準備中に自信を失うと恐怖が忍び寄って来る。そうした時にしやすいスウィングを、プロは"steer job"(舵とり仕事=フェースを無理にターゲットに押し出すようなスウィング)と呼ぶ。
私たちのスクールで実施しているドリルの一つを御紹介しよう。練習グリーンの近くに六個のボールを置き、生徒にチップするターゲットを選ばせる。生徒は『思考ボックス』でラインを読み、どの程度強く打つかを決定する。生徒が『実行ボックス』に移った時、私たちは『ボールではなくターゲットを見るように』と指示する。生徒は打った後二つの点で驚く。1) いいコンタクトが得られたこと、そして、2) その結果…である。
このドリルで生徒はエネルギーを外へ(ターゲット方向へ)放つことを学ぶ。(ボールのある)真下や地面の方向へではなく。生徒たちは『頭を上げるな』と云われ続けているので、反対の行動を取りやすい。ボールを打つことは方程式の半分であって、ターゲットは残りの重要な要素なのに。
ターゲットの右にハザードがある場合、私たちは舵をとるスウィングでボールを無理矢理左に持って行こうとする。このアウトサイド・インのスウィングは、より強いスライス・スピンをかけてしまい、恐れている右方向へとボールを運ぶ。正しくターゲット・ラインにボールを打つ唯一の方法は、そのターゲット・ラインにこだわることなのだが」
【参照】「二つのボックス」tips_101.html
【おことわり】画像はamazon.comにリンクして表示させて頂いています。
(June 15, 2007)
'Get a feel for smooth pitches'
by Steve Bosdosh ('Golf Magazine,' July, 2007)
この記事はピッチ・ショットをピシッと打てない人、ピンを遥かにオーヴァーしたりショートしたりする人、時々シャンクする人…などのためのものだそうです。
「ピッチ・ショットの上手い人は素晴らしいテンポでプレイするので、彼らのショート・ゲームはとてもスムーズに見える。ピン傍につけようという時に、急速で荒っぽい動きをしたのでは成功の見込みはゼロである。
ピッチショットの練習にはダンベルを使おう。私は20ポンド(9キロ)のダンベルを使っている。何故20ポンドかと云うと、それが両腕とクラブの重さを合計したものに等しいからだ。しかし、実際にはどんな重さのダンベルでも構わない。
アドレスでダンベルをぶら下げながら、それがいかに重いかを実感する。そして、スウィング開始に当たって、両腕を急速に動かすなどということは、ほぼ不可能であると認識する。その結果、スムーズで急がないスウィングをするしかなくなる。それはいいテンポのために絶対不可欠な要素である。ダウンスウィングでは余計な力は篭めず、重力がダンベルを落とすままにする。
上の訓練を繰り返してダンベルの重さを身体に覚え込ませたら、コースではそれをクラブの重さに置き換え、ゆっくりのバックスウィングをし、重力がクラブを地面にスムーズに引き下ろす動きをガイドとして利用する。距離のあるピッチ・ショットをする時は、バックスウィングを長くするだけでテンポは同一であるべきことを忘れないように」
(June 25, 2007)
'Vision54'で有名なメンタル・コーチPia Nilsson(ピア・ニルソン)による奥の深い話。
'Every shot must have a purpose'
by Pia Nilsson and Lynn Marriott with Ron Sirak (Gotham Books, 2005, $22.50)
「LPGAの名誉の殿堂入りを果たしているヴェテランPatty Sheehan(パティ・シーハン)は、ある年のあるトーナメント最終日の最終ホール(パー5)で川越えの第二打を打とうとしていた。優勝戦線に絡むためにはバーディが必須で、優勝するにはイーグルを狙いたいところだった。結果は、彼女の生涯最悪とも云えるトップ・ショットとなり、ボールはフェアウェイを転がってグリーン手前の小川に入ってしまった。優勝のチャンスは失われた。
TVの解説者たちはショックを受け、『何が起ったのか、見てみましょう』とテープをスロー再生し、彼女のリヴァース・ピヴォットを発見した。しかし、彼らはポイントを見失っていた。彼らが本当に意味のある再生をしたかったのだったら、Patty Sheehanが打つ前の場面を見せるべきであった。彼女は最初フェアウェイ・ウッドを手にしていた。それからアドレスをやめ、彼女のキャディがアイアンを手渡した。その後、彼女はもう一度フェアウェイ・ウッドに戻った。このクラブ選択の際の不決断がショットの最中の確信を失わせたのである。貧弱なスウィングは貧弱な思考の結果だったのだ。
TV解説者たちはPatty Sheehanの貧弱なプレイが“病気”ではなく“症状”であることに気づかなかった。多くのゴルファーたちやインストラクターたちのように、解説者たちもゲームのメカニカルな面にとらわれていたのだ。メカニカルな部分は、このゲームの一部分に過ぎないのに。
ある時、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は不本意なラウンドを終え、即座に練習場に向った。彼は篭からボールを一個取り出し足元に置いて、立って腕組みをしてボールを見つめていた。数分後、彼はキャディに云った、「分った」と。そして、一球も打たずに練習場を去った。翌日、彼は65を記録してトーナメントに優勝した。彼は、このゲームがクラブを振るというメカニカルなものだけではないことを知っていた。彼がボールを凝視していた時、彼は何か別なものを探していたのだ。そして、彼は答えがそこにあることを知っていた。Jack Nicklausはゴルフには様々な要素があり、その日彼が見失っていたものは、スウィングだけではないことを理解していたのだ」
(June 29, 2007、改訂June 02, 2015)
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