Golf Tips Vol. 32

カール・ローレン名言集

'One Move'の著者Carl Lohren(カール・レーレン)の二冊目の本から拾った名言集。

'Getting Set for Golf'
by Carl Lohren with Al Barkow (Viking Penguin, 1995, $18.95)

「自分の順番になるまでボールのそばに行ってはいけない。ライや距離、ショットの重要性などを過剰に分析しがちになる。果ては不必要で有害な緊張を招き、出来心で全く別なアイデアに身を委ねたりしてしまう。自分の番になるまで、ボールから適当に離れていること」

「グリーンの手前に20〜30ヤードの奥行きのバンカーがあるとすると、実際の距離よりもピンが近くにあるような錯覚を与える。大きな池を越そうという場合も同様である」

「あなたの最高のエネルギー・レヴェルは45分も持てばいい方だ。しかし、18ホールのラウンドは4時間はかかる。コースに出るまでに貴重な神経面のエネルギーを無駄遣いしないこと。練習場でいい結果が出ないことにイライラしたりするのもいけない」

「人それぞれ、固有のテンポを持っている。アメリカ南部や中部の小さな町の人々は、New York(ニューヨーク)やChicago(シカゴ)のような大都市で育った人々に較べて、ものごとをゆっくり処理する。同じように、証券取引所のフロアで働く仲買人は、注意深く研究を進める化学者よりも、全てを迅速に処理するだろう。このテンポがゴルフのテンポの基盤でもある」

【参照】「'One Move'名言集」(tips_3.html)

(November 05, 1999、増補May 29, 2015)


練習・上級篇

'The Golf Secrets of The Big-Money Pros'
by Jerry Heard with Paul Dolman (The Hanford Press, 1992)

「ラウンド前のウォーミングアップの練習で、もし本当にいい調子が出て来たらそこでストップ!練習ボールが10個ぐらい残っていても、迷わず置いて行く。エネルギーをラウンドに取って置くべきだ」

'Masterstroke'
by Harry Alder and Karl Morris (Judy Piatkus, 1996, $13.95)

「Boby Locke(ボビイ・ロック)、Ben Crenshaw(ベン・クレンショー)など、何人かのパットの名人達はパットの練習をほとんどしない。Sam Snead(サム・スニード)はどんな練習もほとんどしない。練習の虫Ben Hogan(ベン・ホーガン)はプロの中の例外であると評する人もいる。いいパッティングとはフィーリングと手順の問題である。経験豊かなプレイヤーにとって、手順は潜在意識に染み込んでいる。それは階段を昇るようなことと同じで、我々は階段を昇る練習などしない。フィーリングも肉体的訓練とは関係無い。「壊れていないなら直すな」という原則がある。調子良くパット出来るなら改良する必要は無い。もし不調なら、それはメカニカルなことよりメンタルな問題である場合が多い。

がむしゃらな練習は報われない。Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)はパッティング練習についてこう云った:『練習の量だけがいいパッティングをもたらすわけではない。フィーリング、タッチ、タイミング、これら抜きの練習は無意味だ。それらが得られたら、私は練習を止める。この目標は、パターのスウィート・スポットでソリッドにそしてスクウェアにボールを捉える調和の取れたリズムとテンポによって到達出来る。これらが作り出す肉体的フィーリングとメンタルな映像は、両手とパター・ヘッドの間に優れた流動性を醸し出す。一旦これらが獲得出来れば、たとえまだ五回に満たない練習数でも、私は止める。それ以上続けると、あまりにメカニックになり過ぎるか、タッチの感覚を失う危険を冒すことになる。あなたも、やり過ぎていいものを駄目にすることのないように』。

Nicklausの話はあらゆる無意識の自動的な動きに当てはまる。我々は呼吸の練習や歩く練習、靴紐を結ぶ練習などしない。これらは一度自分のものにしたら後はやるだけであり、それについて考える必要はない。脚の動きなどを考えながら、真剣に長時間階段の上り下りを練習したら、首の骨を折るのが必定だ」

'Mind Over golf'
by Dr. Dick Coop with Bill Fields (Macmillan, 1993, $12.95)

「持ち主は"driving range"(打ちっ放し)と呼んでいるかも知れないが、あなたは習慣として"practice range"(練習場)と呼ぶべきだ。そうすれば、そこがどれだけ遠く飛ぶかを見る場所だという意味を抑えることが出来る。

ウォーミング・アップとラウンドしない時の練習は全く違うことを認識すべし。しかし、いずれの場合も実戦に近い状況を作り出すことが望ましい。

漫然と打つのではなく、必ずターゲットを設定する。

練習の際には、“プレイ・ホールズ”という方法が効果的。あなたのホーム・コースをシミュレートし、一打、一打別のクラブを使う。林に入ったと想定されれば低い、フック・ボールを打つなど。

“プレイ・ホールズ”はラウンド前のウォーミング・アップにも役に立つ。最初の三ホール(あるいは、特定の苦手なホール)をシミュレートしてプレイするのである」

(November 11, 1999)


タフ・ゴルファーへの道(第二部)

'The New Toughness Training for Sports'
by James E. Loehr, Ed.D. (Penguin Books USA Inc., 1994, $12.95)

「競技者にとって能力発揮を改善する最良の作戦は、段階的に肉体的ストレスにさらすことで、これは感情のタフさを培う。腹部と斜筋(下腹部両横の筋肉)は強靭さの核である。弱い腹部と貧弱なフィットネスは二人三脚である。運動障害、腰痛、貧弱な姿勢、間違った呼吸法等は、腹部の弱さと関連づけられる。弱い腹部は傷害と全体の肉体的タフネス訓練を阻害する方向に導く」

(編者註:これが正しければ、腰痛の障害があろうとあるまいと、中年以降は「腰痛体操」を毎日数回実施するべきですね。腰痛を防止し、タフにもなれるのですから一石二鳥です)

「メンタルにタフな競技者は、ネガティヴな感情をタフな思考を通して逆転させることを学んでいる。ユーモラスに考えることもネガティヴな感情を破壊出来る。感情的に過剰に興奮状態にある場合、心で笑うことはコントロールを取り戻す助けとなる。

ミスを恐れれば、ミスは実現する。敗北を恐れれば、あなたは負ける。

Chokingとは恐れによって貧弱なプレイをすることである。恐れはプレイを阻害する強烈なホルモンを分泌する。Chokingは生化学的現象である。恐れに関連するホルモンは現実のものであり、その影響も現実となる。タフであろうが、なかろうが誰でもびびる。Chokingを根絶しようと思わず、それをうまく処理するのがタフネスというものである。

ストレスとはエネルギーを消費する原因になるもの、回復(Recovery)とはエネルギーを補充することである。言葉を変えれば、ストレスはお金を使うこと、回復は預金することである。預金額を超えてお金を使うのはトラブルの因である。スポーツの肉体的分野では、慢性の通帳の赤字は筋肉の機能不全、消耗、傷害を意味する。スポーツのメンタルな分野では、消費と回復の不均衡は、“焦点を合わせる”、“集中する”、“問題を解決する”こと等への失敗を意味する。

“常にポジティヴ”であってはいけない。ポジティヴなフィーリングはストレスと回復のバランスが取れていることを示し、ネガティヴなフィーリングは不均衡を示す。常にポジティヴな競技者はネガティヴなフィーリングの浮上を許さないので、ストレスと回復のバランスを取る必要性を認識出来ない。

疲労は我々を臆病にする。運動競技には一日に4,000カロリー以上が必要で、暑い気候のもとでは320オンスの水分が必要である。一日にコップ8杯の水を飲むこと。可能なら、二時間毎に食べ物・飲み物を摂る。遅い夕食は好ましくない。午後10:30か11:00に就寝しようと思ったら、8:30以降の食事は全てをぶち壊す。

単純な炭水化物、例えばクッキー、ドーナッツ、キャンディバーなどを食べたり、ラウンド前・ラウンド中の砂糖やソフト・ドリンクの摂取などは、血糖を増やすので注意すること。糖分の一気飲みは、糖分が血糖を増加させるため膵臓は多量のインシュリンを放出する。この結果、血糖値は逆にプレイを阻害するまでに下がってしまう。固いウェハースとエネルギー・ドリンクは血糖を簡単に安定させる品目である。

脳の中で血糖が一定のポイントから下がると、的確な集中と明晰な思考は不可能になる。これまでメンタルな問題だと思われていた多くは、実はエネルギーの不十分な回復によるものだと分った。

好結果をもたらす集中心に繋がる情緒的状態の特徴は、高度にポジティヴなエネルギー、楽しみ、喜びなどのフィーリングである。集中と神経学的興奮状態の関係は、集中心の技量向上の前に必ずリラックスする訓練が先行することが説明してくれる。

適切に集中している場合と、そうでない場合を瞬間的に認識する努力をしなさい。完璧に集中している際、どういう感じがするか。目はどこを向いているか。どんな感情が存在しているか。競技中、そういった感じと焦点を正確に複製する練習をしなさい。

あなたがパットが下手くそで、パットに関してネガティヴな態度を作り上げてしまったゴルファーだと仮定する。「パット大好き」と書いたカードを沢山作り、冷蔵庫、トイレ、自動車…と、いたるところに貼る。30日間、「パット大好き」と一日25回紙に書く。グリーンに上がる度に、「パット大好き」と自分に語りかけ、ニコっと笑う。成功までには20〜30日かかるし、このやり方は馬鹿げて見えるかも知れないが、とてつもなく効果的なのである。この方式は、多くのネガティヴな心理的悪癖に利用可能である」

【参照】「タフ・ゴルファーへの道(第一部)」(tips_29.html)

(November 14, 1999、増補May 29, 2015)


わかっちゃいるけど?

スポーツ心理学者Dr. Dick Coop(ディック・クープ博士)によるわれわれダッファーへの苦言。

'Mind Over Golf'
by Dr. Dick Coop with Bill Fields (Macmillan, 1993, $12.95)

以下の指摘の多くは、我々がよく知っていて、そのくせ改善しようとしないポイント。

「大抵のゴルファーはパットが上手くなりたいと答える。しかし、どのレヴェルのグループにおいても、練習グリーンでほとんどの時間を費やしているという答えは無い。実際には、パッティングは全く練習されていない。ツァー・プロだけがほとんどの練習時間をパットに割いている。

上手いプレイヤーほど練習時間が長い。シングルの11%が一週間に7〜10時間練習している。24以上のハンデの人間で、それだけ練習している人はいない。

どのクラブを手にしても、お気に入りのクラブと同様、自信を持って、リラックスして打ちたいと思うでしょう。では、練習の通算時間が長いクラブはどれ?多分、お気に入りのクラブが一番長い筈だ。

私はクラブ一本毎に1頁を割いたノートを用意し、ゴルフ・バッグに入れておくように勧める。とりわけいいスウィングが出来た時に、自分のフィーリングを書き留めておく。これは、将来スランプに陥った時に役に立つ。

多くのゴルファーはミスした後で自分を赦(ゆる)す方法を学ぼうとしない。ある心理学的調査は、自分を受け入れることが出来ない人々は、他人をも容易に受け入れられないと指摘する。もっと自分を受け入れ、自分を赦すことを学べば、ゴルフも上達し、恐らく他者との関係もうまく行く筈である。

あるプロを補佐していた時のこと。コースに関係無く、彼は必ずNo.13、No.14、No.15でトラブルに見舞われる傾向があった。これは彼の食生活から来るものであることが判明した。以上のホールで彼のエネルギーが衰えてしまったのだ。集中心がこぼれ落ち、スコアが上がってしまった。良い食生活(コースでの栄養物摂取を含む)が問題を解決した。

スコアを減らす二つの秘訣。
1) スコアを期待しないでラウンドすること。
2) いいショットを打つことに夢中になること。
大概の場合、生涯最高のラウンドをしている人々は、自分がどの位で廻っているか知らない。なぜなら、一つ一つのショットに専念していてスコアを数える閑など無いからだ」

(November 17, 1999)


新兵器愛好症候群

スポーツ心理学者Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)から、練習しないで道具で上達しようとするわれわれへの忠告。

'Handle with care'
by Dr. Bob Rotella ('Golf Digest,' December 1999)

「プロ、アマを問わない弱点と云えば、新しい道具の誘惑である。

1) 偽薬に注意
 『効く薬だ』と云われて服めば砂糖水でも効く。新しい道具のチェックには、十分時間をかけること。

2) 何を望むのか
 現在のスコアに満足なら、新しい道具に慣れるために時間を費やすのは無駄。新しいドライヴァーに慣れたら、他のクラブでのスウィングに悪い影響が出るやも知れない。まして伝家の宝刀のウェッジを買い換えるのは危険である。

 ゲームの目的はあなたのベストのプレイをすることであって、最新の道具を所有することではない。

3) 道具がプレイするわけではない
 ベストのプレイを展開するのは、集中し、道具を信じているあなたである。

4) いいスコアは金では買えぬ
 自分に合う道具を使わないことに言い訳は存在しない。プロの使用クラブが、直ちにあなたのスコアを減らすことに繋がるわけではない。プロと同じクラブを使おうという衝動を抑えること(それがあなたに相応しいクラブと明白でない限り)。

 新兵器は、問題無く繰り返せるスウィング、いいショート・ゲーム、しっかりしたメンタル・アプローチなどが附随して来るわけではない。実は、ベストのゴルフに必要なものはそうしたものであり、お金が全く要らないというのが素晴らしい点である」

これはスポーツ心理学のセンセーだから云えることで、クラブ・メーカーと契約して宣伝に一役買っているプロやインストラクターには、絶対に云えないことですね。この記事で、私はFireSole driverやTrimetalへの誘惑を断ち切ることが出来ました。

(December 12, 1999)


認知

著者Tom Saunders, M.D.(トム・ソーンダース博士)は、医師でありカナダの某大学の名誉教授であり、オリンピック・チームのメンタル面の相談役も務めた人。

'Golf: The Mind-Body Connection'
by Tom Saunders, M.D. (Mind-Body Golf Limited, 1996, $39.95)

「活性化は、多くの場合感応する神経組織の刺激を伴い、アドレナリン、コーチゾンその他の伝達物質のようなホルモンを生成する。その効果は速い心拍、深く急速な呼吸、非常にアクティヴで機敏な精神状態をもたらし、強さとエネルギーを増大させる。

これらの生理学的変化が過大になると、バランスが失われ、全てが混沌となる。心 拍は速くなり過ぎ、呼吸は不規則になり、筋肉はスムーズに動かなくなる。

ミスショット後の怒りは“逃げるか闘うか”という非常時に出現するような伝達分子を高度に生成する。これらの過剰な伝達分子はどこかに納まらなくてはならず、対応する細胞に貯えられる。そこで待機することによって、それらの伝達分子は“逃げるか闘うか”の決断に備えてすぐに活動可能になっている。このため、その後たとえ小さなミスでも強いリアクションを引き起こし、好ましくない習慣に勢いをつける。怒りの感情は通常数ホールにわたって留まる。なぜなら、身体が莫大な数の伝達分子を処理するのには時間がかかるからである。

以上のような状態を避けるには、先ずエラーを認めること。エラーを冒した自分を許すこと(同伴競技者の似たようなミスは、直ちに許す筈)。これがエラーを客観的に分析出来る土台となる。心理的、身体的状態を振り返り、こうプレイすべきだったというプレイを再現する。これは記憶のメカニズムに働きかけ、イメージと長期記憶が張り合って引き分けとなる結果、失敗の記憶はぼやけ、それに伴う感情は静まる。

常に完璧なショットが出来るわけではないことを受け入れなさい。

エラーは失敗と同じではない。エラーと良いショットは、どちらもそこから学ぶことが引き出せる経験である」

“エラーを認める”というのは「出来てしまったものは仕方がない」、「誰の子でもなく、俺の子だ」、「認知するしかないじゃないか」…というシナリオに近いものです:-)。人間だと、手遅れでない限り堕ろすという手段もありますが、ゴルフの方では一手前に戻すことは出来ません。認知したからといって、毎月養育費を送らなくても済むのだけが唯一の慰めです。

(December 24, 1999、増補May 29, 2015)


前頁 ← | → 次頁



 Copyright ©  1998-2017   高野英二  (Studio BE)
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.