Golf Tips Vol. 198

打つ前に左脳を遮断せよ

 

左脳は状況(ライ、勾配、湿気、風など)を分析し、作戦を練るために使います。結論が出たら、そこで左脳の役割りは終了です。習い覚えたスウィングやストロークは潜在意識に任せるべきです。もう思考する段階ではないのです。ボールにアドレスした後も分析的頭脳である左脳がしゃしゃり出て来ると、スウィングやストロークを妨害することになります。

注意すべきなのは、お喋りする際にも左脳の判断力や分析力を使っていることです。スウィングする前に仲間と何か喋り、その後僅か数秒でアドレスしてスウィングするなどというのは自殺行為です。左脳を使ったままの状態でスウィングしてしまうことになり、潜在意識が懸命に追っかけてスウィングを統括しようとしても遅かりし由良之助、もうボールは打たれた後です。真っ直ぐ飛べば幸運で、十中八九ミス・ショットでしょう。

喋った後は、数十秒無言でターゲットを見つめ、ターゲットに集中し、潜在意識に全てを委ねましょう。

喋ってすぐ見事なショットを打てるのは、Lee Trevino(リー・トレヴィノ)ぐらいのものと考えるべきです。

 

(January 05, 2020)

期待は小さいほど良い

 

ゴルファーの「期待」には次のようなものがあります。
1) バーディへの期待
2) 80を切る期待
3) パー・プレイへの期待

しかし、これらへの期待に胸弾ませるのはほどほどにしないといけません。ダボ発進だと「ああ、今日も80は切れんわい。来るんじゃなかった。時間の無駄だった」と意気消沈してしまいます。それは「今日こそ80を切ろう!」という期待が大き過ぎたからです。「80が切れたらいいなあ」ぐらいに留めておくべきなのです。云っておきますが、ダボ発進だからといって悲観するのは早い。ダボが一つや二つあっても80は切れます。

私は、「バーディを射止めたい!」という積極的な意志の効果を否定する者ではありませんが、実際には「バーディになれば最高だが、パーでも御の字だ」という心境の方が望ましいと考えます。何故なら、バーディを逸した時の挫折感は尾を引くからです。バーディを得た幸福感・満足感・高揚感は長くても次のホールまでしか持続しませんが、バーディ失敗の挫折感・喪失感は少なくとも続く三ホールにわたって影響します。

私は1メートルのイーズィなバーディ・パットにるんるん気分で臨み、パターを地面につっかえさせてチョロしたことがあります。これなどもう随分前のことですが、その時の状況・心境は今でも覚えているほど強烈な記憶です。その時、「まだバーディと決まったわけではない。リップアウトする可能性だってあるんだから…」と思っていれば、慎重にストロークしたことでしょう。「バーディなら最高だが、パーでも御の字」と考えればよかったのです。

ゴルフの神様は天狗になるゴルファーや自信満々のゴルファーの鼻っ柱を挫き、謙虚なゴルファーに御褒美をくれる傾向があります。「バーディなら最高だが、パーでも御の字」と思う謙虚なゴルファーには、バーディを恵んでくれたりするものです。

そのいい例が、チップインです。私はプロにとってもアマにとってもチップインはまぐれであり、狙って得られるものではないと思っています。でなければ、チップインでプロがあれほど喜ぶ筈がありません。彼らは毎日ゴルフし、われわれの何十倍も練習しているのに大喜びするのですから。私自身「チップインさせよう!」と狙ってチップインさせたことなど一度もありません。「ピン傍30センチに転がして、イーズィ・パーを得よう」と、堅実にプレイする態度で冷静に着地点を定め、充分なランを見込んで打った時に偶然チップインしてしまうというケースがほとんどです。チップイン願望が強過ぎると必ずピンをオーヴァーします。これも、欲張る者でなく謙虚な者に福が訪れるという好例です。

 

雑誌やTVでいいtipを仕入れた時とか、自分で発見した秘訣を実践で用いようとする際も要注意です。ゴルフはそんな一夜漬けで上達するスポーツではありません。新しいtipは、自家薬籠中のものになるまで充分練習した後でなければ効果を発揮しないものです。

いいプレイをしようという積極性は大事ですが、高望みはしない方が賢明です。終わってもいないホールのスコアを数える(バーディなどと決めてかかる)のは最悪。《常に薄氷を踏む思いでプレイする》のが正解です。

(January 05, 2020)

ゴルフも安全運転

 

私はゴルフ場へ片道10分のところの町外れに住んでいるので、通常繁華街を通過する必要はありません。しかし、先日、ゴルフを終えた後すぐ町に行かなければならない用事があり、家の前を素通りして町に向かいました。

[signal]

私はその日のゴルフを頭の中でおさらいしながら運転していました。特に、No.8で私がバーディ・パットに臨んでいた時に、ゴルフ・カートを動かして私の集中心を妨げた男のことを腹立たしく思い返しながら…。その瞬間、私は信号無視をしてしまい、横から来た車と衝突しそうになりました。そこは警察署の近くで、パトカーなどの出入りが激しいところでしたから、もし衝突していれば、
1) 信号無視の現行犯で逮捕(+罰金)
2) 車は大破
3) 私は大怪我
…という、目も当てられない惨状を引き起こすところでした。横から来た車がブレーキを踏み、私がアクセルを踏んで何とか回避出来たので事故にはなりませんでしたが。

落ち着いてから考えたことですが、ゴルフも車の運転に似ていると思いました。高速道路でもない限り、われわれの目は急に飛び出して来る車、歩行者、動物などがないか常に注意していなくてはなりません。黄信号になったタイミングから、進むべきか止まるべきかの判断もしなければいけません。耳は、エンジン音が正常か、妙な振動音やきしみがないか、それらをそれとは意識せずに絶えずチェックしています。時折温度計にも目を走らせ、ラジエーターの水が加熱していないかもチェックします。適切なギアに入っているか、エンジンの回転数にも目を走らせます。

ゴルフも、ハザード(危険地帯)をしっかり把握し、刻むのか攻撃するのか方針を決定しないといけません。不注意で手打ちをするとプッシュ、最悪の場合シャンクを招いたりします。GPSで距離は判るとはいえ、その日の地面の湿り具合や乾燥度によって飛距離を増減しないで打つと、ショートしたりオーヴァーしたりします。パッティング・ラインが上りか下りかをちゃんと考えずに打ったりすると、ダブル・ボギー、トリプル・ボギーになったりしかねません。つい…とか、うっかり…の一打が勝敗を別け、80を切るのを妨げてしまいます。

ゴルフは、交通事故に較べれば身の危険や実害は少ないとはいえ、常に神経を尖らせていなければいけない点ではよく似ていると思います。


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(February 05, 2020)

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のマスターズ初優勝回想 “[Tiger]"

以下の本を読みました。タイガーがメイジャー初優勝したマスターズの前後を綴ったもの。

’The 1997 Masters: My Story’
by Tiger Woods with Lorne Rubenstein (Grand Central Publishing, 2017, $30.00)

書店のディスカウント・コーナーに$6.97で並んでいたので買ったのです。Amazon価格より安かった。これがとても面白い。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)は技術書'How Play Golf'は出していますが、回想録はこれが初めてなので、1997年のThe Masters(ザ・マスターズ)の一週間の物語の中に生い立ちからアマチュア時代の思い出、プロ入り前後の経緯までも含めています。そのせいで、単なるトーナメントの記録に終わらず、内容豊かになっています。

そして、最後の方は2002年までに大改修されたAugusta National(オーガスタ・ナショナル)のコース・レイアウト(距離の増加、バンカーの追加、樹木の追加、ラフの新設等)についての分析が書かれています。これを読むと、TV観戦が楽しくなりそうです。

以下は読んでいて印象的だった部分にマーカーで印をつけた箇所をまとめたものです。

私はパパの側から云うとアフリカ系アメリカ人だが、ママの側からすればアジア人である。だから、私が自分をアフリカ系アメリカ人だと規定するとママから受け継いだ【アジア的】遺産を無視することになる。1995年のU.S.オープンの際、私は”Cabilinasian”という造語で私自身について言及したことがある。それは私の身体に流れているCaucasian(白人)、black(黒人)、Asian(アジア人)の遺産全てを統合したものだ。しかし、アメリカにおいては、黒人の血が一滴でも混じっていればアフリカ系アメリカ人と看做されることを学んだ。

私は、七、八歳の頃からグリーンから次のティーに向かうまでの間に汚い罵りの言葉を聞いた。私のパパは私がボールを打つ時、スウィングの間じゅう故意に汚い言葉を吐いた。”Fuck off, Tiger”(失せろ、タイガー)とか。私は気にせず、詩を聞いているように、もっとやれとけしかけた。彼は同じ台詞を繰り返さないだけでなく、非常に才能があった。”Motherfucker”、”you little piece of shit”とか”How do you feel being a little nigger?”などだ。私は成長してもそういう言葉を聞いた。学校でもトーナメント会場でも。私は除け者にされていると感じた。

MastersのコースAugusta(オーガスタ)で、グリーンに乗せるために私が打ったのはショート・アイアンばかりだったのは間違いない。しかし、私はどうやってハーフ・ショットで正確に寄せるかとか、どうやったら望んだヤーデージ通りに打てるかというテクニックは身につけていなかった。私のコーチのButch Harmon(ブッチ・ハーモン)は、どうやってボールをピンハイにつけるかを私に理解させようと、口を酸っぱくしてまくし立てた。それは旗の位置ではない。ピンハイは、必要な距離を決めたら旗がどこにあるかは関係ない。旗が164ヤードなら、私はボールのキャリーを160ヤードとし、カップより短く上りのラインが残るようにしたい。

私のメンタル・コーチJay Brunza(ジェイ・ブルンザ)は、私が”visualization”(視覚化)が得意でないことを悟らせてくれた。だから私は視覚化ではなく、私の本性はショットを両手と身体で感じることであることを知り、それを受容せねばならなかった。

私のパパは、次のようなことを教えてくれた。すなわち、スウィングのトップで特定のショット(ドロー、大きなフック、フェード、大きなスライス)を身体に命ずることによって、ショットをセーヴすることだ。「ゲッ、ひでえバックスウィングしちゃった。このままじゃまずい。どうする?腰を少しスライドさせないと、左へ打っちゃうぞ」あるいは、「クソ。腰をオープンにしなきゃ。右足を押し出す必要もある。両手を遅らせて上体の動きをスローダウンするか、左腕か右腕の速度を上げて伸ばさなくては!」こういう全てのことをショットを救うために感じるのだが、それは一瞬のことである。

このマスターズの前、パパはバイパス手術の直後で非常に身体を弱らせていた。医師は彼が旅行することなど望まなかったが、パパは「冗談じゃない!私は息子を見に行くんだ」と云ってオーガスタまで飛んで来た。

パパほど私のプレイを見て来た人間はいない。私には彼の助けが必要だった。私は彼のベッドの前でパッティング・ポスチャーをとり、彼がどう思うか尋ねた。彼は「両手が低過ぎる。もっと上げろ。いつもやってるように、手首をアーチ状(弓形)にしろ」と示唆した。

【1997マスターズ初日】
初日の最初の九ホールで40を叩くなんて、絶対に信じられなかったが、やっちまった。No. 4ではグリーンの遥か右にミスして、ほとんど竹林の中に打ち込んでしまった。思うんだが、人々はオーガスタに竹林があることなど知らないんじゃないだろうか。

私はNo. 9からNo. 10へと、五、六人のピンカートン探偵社の護衛に付き添われて歩きつつ、誰かが「タイガーのトーナメントはこの時点で既に終了した」と云っているだろうとぼんやり考えた。キャディのFluff Cowan(フラッフ・コーワン)が「まだたったの九ホールをプレイしたに過ぎない。挽回のチャンスはたっぷりある」と私に助言した。私は、何が間違っていたのか理解しようと思考に埋没していた。私はバックスウィングが長過ぎたのと、トップで地面と平行になることが気に入らなかった。動作が同期していなかった。ボールに向かって、下半身の動きでなく腕だけで正しい軌道に戻さなくてはならなかった。こんな風ではスウィングの各要素の不確かなタイミングに依存することになる。そうではなく、後半の九ホールのスウィングをどうしたいかに焦点を合わせた。それは、このマスターズ直前にアイルワースG.C.で59で廻った時のようなフィーリングであるべきだった。

アウトを終えた私に必要だったのは、ママが“静かな場所”と呼ぶものだった。それは自動的にNo. 9グリーンからNo. 10ティーへの間の歩行となって実現した。パパが表現したように、私は冷血な殺し屋になったように感じた。私はやけくそになることも出来たのだが、そうではなく自分をコントロールしていると感じた。そこでの歩行はたったの数ヤードに過ぎなかったが、そこで沢山のことを達成した。私は後半のプレイを準備完了させた。これまでにないほど集中した。内面の落ち着きを感じた。ずっと後になって、その短い歩行で私がどれだけメンタルに変化させたかを考えると、私はママとパパに感謝せざるを得ない。

どのトーナメントに参加する時も優勝を目指していると云ったら傲慢に聞こえただろうが、実際に優勝を狙っていたのだ。だがそれは私の感じ方であって、勝ちたくないような振りなど出来なかったのだ。

【二日目】
他のトーナメントと異なり、マスターズは時折防壁として用いることが出来る人垣を与えてくれた。No. 9グリーンの右側に座っている人々は、紛れもなく私の第二打のための防壁を提供してくれた。

Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)から学んだことだが、コースに関して文句を云うのはよいアイデアではない。文句を云ったからといってコースが変わるものでもないからだ。あなたが変わらなくてはならない。

私は、欲すればコースでほぼ瞑想的状態に突入することが出来る。

【三日目】
ボールは私がプロ入りしてたった七ヶ月目であることも、私が若干21歳に過ぎないことも知らない。ボールはまた、私がプロとして初めてマスターズをプレイしていることも知らない。1986年のマスターズで優勝した時のジャック・ニクラスもそんな風に感じたに違いない。ゴルフ・ボールは彼が46歳であることなど知らなかったのだ。

【最終日】
私はトーナメント最終日に赤いシャツを着るが、それはママが始めた迷信的行為である。赤はママの好きな色の一つだ。タイの伝統的毎日は色彩によって象徴され、日曜日の象徴は赤なのだ。だからママは私に赤を着せたがった。私は他の色でも優勝出来ると証明したことがあったけれど。ところで、スタンフォード大の最終日のユニフォームも、赤いシャツと黒い短パンであった。だからママに反論出来なかった。このマスターズ最終日のシャツには【脇の下に】多少の黒が混じっていた。だが、充分役立った。

No. 15で、私はきつめのドローを打とうとしたのだが、ダウンスウィングで”stuck”(スタック、次項参照)に見舞われた。これは、以前からのトラブルで腰が腕よりも早く動き過ぎ、ドライヴをとんでもなく右にプッシュさせてしまうものだ。

この日の目標はボギーを出さないことだった。ボギーを嫌悪する心境によって、それを達成した。

ラウンドを終了して最終ホール近くにいたパパとハグし合った。パパは”I love you, and I’m so proud of you.”(可愛い奴。とっても誇らしいよ)と云った。パパは初日前夜にパッティングに関するtipをくれたのだが、それ無しではこの週のこの結果は得られなかっただろう。

【その後】
マスターズで圧勝した後でスウィング変更をしたことで、私は世間一般から批判された。しかし、ブッチ・ハーモンと一緒にマスターズの録画テープを見たところ、(多くのトーナメントでいいスウィングをしていたにもかかわらず)私はあまりにも腕を使い過ぎ、ボールに向かって急速に動かし過ぎているのが明白だった。私はトロフィを得るためにプレイするのではなく、次の問いへの答えを見つけたかったのだ、「私はどこまで上手くなれるだろうか?」。

【オーガスタの改修】
私の、一打目がドライヴァーで二打目がショート・アイアンというプレイに対抗すべく、マスターズの主催者たちは大々的にコース・レイアウトの変更を思い立った。

 

1997年に8番アイアンで150ヤード飛ばせれば、あなたは飛ばし屋だった。だが、現在その距離はウェッジの距離である。当時と現在では同じ名称のクラブでもスペックが異なるのだ。8番アイアンは20年前の7番(あるいは6番)のロフトに嵩上げされている。Callaway(キャラウェイ)が金を注ぎ込んでこういうことを最初に始め、PING(ピン)がそれに続き、今はどのメーカーも同じことをしている。われわれはアイアンで長い距離を打つが、大方のゴルファーが信じたがるほど長くはない。われわれは(名称は同じでも)ロフトが異なるクラブを使っているのだ。私のアイアンは昔のままである。現在の標準からすると2°ロフトが多い。Rory McKilroy(ロリィ・マカロイ)のアイアンと較べると、私はワン・クラブ長いものを使う感じになる。

USGAは【同じコースなのに】日によってティー・グラウンドを変えることでパーを変えるという馬鹿げたことをする。私が育った頃は常にティーはバックであった。2015年のU.S.オープン(Chambers Bay)では、ある日のパー4が次の日にはパー5になったりした。

私はグリーンがどれだけ早いかなど気にしない。ウェッジを手にしたら、必ずボールをカップの下につけることだ。

パパは私が14のメイジャー・トーナメントに優勝すると予言した。これを書いている2017年初め、それは正しかった。

ゴルファー、特に頻繁に優勝するゴルファーは、直観を信ずるものだ。1997年マスターズの11年後、2008年のU.S.オープンでRocco Mediate(ロッコ・ミディエイト)とのプレイオフを制して優勝した時(それは私の14個目のメイジャー・タイトルであった)、最終ホールで彼とタイに持ち込むための4.6メートルのパットに直面した。グリーンはオーガスタのように滑らかではなかった。バールはバウンドする筈だ。パットに成功するか失敗するか、どちらかだった。私はパター・フェースのど真ん中で上向きに打つことだけに集中した。また、グリーンのコンディションに対応するため、ややフック気味に打つことにした。それでも(ヴィデオで明らかなように)ボールは弾んだ。だがパットは成功した。それは1997年マスターズの最後の1.5メートルのパットのフィーリングと同じだった。

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(February 17, 2020)

Tiger Woods(タイガー・ウッズ)のstuck(スタック)について

 

インストラクターHank Haney(ハンク・ヘイニィ)が、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)との六年間の交流を綴った話題の書に、“stuck”(スタック)という耳慣れない言葉が出て来ます。これは、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)が慢性的に罹っていた病(やまい)で、Hank Haneyは懸命に治療を施さねばならなかったそうです。以下は彼の本の末尾にある語彙集の中で、Hank Haney自身が説明した“stuck”の定義。

’The Big Miss’
by Hank Haney (Crown Archetype, 2012, $26.00)

「Stuck:ダウンスウィングで、下半身が上半身に先行し過ぎ、腕・手を後方に残した時に起る状態。身体の単純な回転によってクラブをスクウェアにリリース出来なくなるため、インパクト時に辻褄合わせのための腕・手の動きで下半身に追いつかせねねばならない。Tiger Woodsのように才能あるゴルファーは、上のような方法でミスを防げるものの、常に成功するとは限らない。

より信頼性の高いダウンスウィングは、手・腕が身体の正面に降りて来るものだ。バックスウィングで、クラブヘッドがターゲットラインに平行でなく、"across the line"(ターゲット方向に、ターゲット・ラインを横切る)トップになるゴルファーは"stuck"になり易い」

Tiger Woodsの下半身のバネの力と速度は、われわれとは桁違いに凄いので、腕・手が遥か後方に置き去りにされるであろうことは想像に難くありません。

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)は次のように書いています。

’The truth about "getting stuck”’
by Johnny Miller ('Golf Digest,' December 2003)

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「Tiger Woodsは"stuck"をまるで疫病か何かのように話す。彼の場合、確かにいいことではない。彼が"stuck"状態に陥ると、ダウンスウィングでクラブは上体を遥か後方から追いかけることになり、クラブフェースをスクウェアにするために彼は両手を攻撃的に回転させねばならない。もし、その動きが遅いとプッシュ、早過ぎると大きくフックさせてしまう。

しかし、"stuck"は万人に悪いものではない。Lee Trevino(リー・トレヴィノ)、Paul Azinger(ポール・エイジンガー)その他のプロたちは、毎度のように"stuck"するのだ。違いは、彼らの左手のグリップがTiger Woodsよりずっとストロングであるということだ。彼らはクラブフェースをスクウェアにするために意識的に両手をひっくり返す必要はない。何故なら、左手のストロング・グリップが自然にそれをやってくれるからだ。もし、Tiger Woodsがグリップを少しストロングにすれば、彼のドライヴァー・ショットは一夜にして改善されるだろう」

"stuck"が聞き慣れない言葉なのは、身体のバネが強くないわれわれには絶対に生じない症状だからのようです。今回のこの記事が役に立つのは、Bubba Watson(ババ・ワトスン)級のゴルファーにとってだけかも知れません。

(February 17, 2020)

神様とのゲーム

 

その日、私はアウトで三度、インに入って二度もバーディ・チャンスに恵まれながら、全部失敗していました。長いのばかりでなく、入れ頃の距離のパットも外しました。私自身も、私のバーディを期待しているチームメイトもガックリです。

“[God]”

ふとキャプテンのRichard(リチャード)のことを考えました。彼はわれわれグループの中でも類のない飛ばし屋なので、バーディ・チャンス、イーグル・チャンスに恵まれ易い。しかし、私はここ三回ほど彼のチームでプレイしていますが、彼はどのラウンドでもバーディを得ていません(私は毎回一度か二度は達成)。私には彼の気持ちが痛いほどよく分ります。キャプテンとしてバーディは得たい。是が非でも…。前回のラウンドでは、その意志が災いしてか、パットをとてつもなくオーヴァーしたり、慎重に打ち過ぎてショートしたり…の繰り返しでした。

私は彼のその「バーディを得たい!」、「パットを沈めたい!」という意志が邪魔をしているのではないかと思ったものです。私は「チップインさせよう!」と思うとチョロッたりオーヴァーしたり、「このロングパットを入れよう!」としゃかりきになると絶対入らないことを知っています。そうではなく、「ピン傍に寄せよう」とか「ワンパット圏内に寄せよう」と思うとボールがカップに転げ込むことが多い。

これはゴルフの神様がわれわれの心を読み、「チップインさせようだと?何て高慢ちきな!チップインはわしが手伝ってやって入るんだということを知らんのか!」と立腹し、生意気なゴルファーにお灸を据えるからなのです。かと思うと、「ふむ!こいつは『出来ればピン傍に寄せたい』だと?何て殊勝な奴よ!こいつのボールは入れてやろうじゃないの」と機嫌を良くすることもあるわけです。

云ってみれば、バーディ・パットに臨むわれわれは、神様とポーカー・ゲームをしていると思うべきなのです。「バーディを得たい!」という欲望・野望を神様に読まれてはいけない。かと云って、「入らなくてもいい」と思うのは嘘になります。ここではポーカー・フェース、いやポーカー・マインドで神様がわれわれの心を読めなくするのです。音は出さずに好きなメロディをハミングする、般若心経を唱える、「心を無にしてストローク」のようなプレストローク・ルーティーンに集中して心を閉ざす。そうした何らかの方法で神様にこちらの思惑を気取られないようにする。

その日のNo.14(360ヤード、パー5)で又もやバーディ・チャンス(六つ目のチャンス)。バンカーから寄せた三打目はピンを3メートル近くオーヴァー。このラインをよく知っていた私は、カップの数センチ左を狙えばいいと読みました。そして、バーディだのゲームの勝ち負けなど忘れ、ひたすらボールにつけた赤い点をパターのスウィート・スポットで打つことに集中しました。するすると穏やかに転がったボールは、読み通りカップの直前で右に切れ、ぽとんとカップイン。サンディ・バーディ!神様の邪魔も入らず、無心にストロークした成果でした。

【参考】「心を無にしてストローク」(tips_179.html)

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(March 04, 2020)

ニクラス(46歳)奇跡的優勝のマスターズ・前篇 [Crane]

安売り雑貨店で’The 1986 Masters’ by John Boyette (Lyons Press, 2011, $14.95)という本が$1.99という破格の値段で売られていたので、あまり期待もしないで買ってみました。期待以上に面白い本でした。直前のメイジャー優勝から六年、PGAツァー優勝から二年遠ざかっていたため、誰も期待していなかったJack Nicklaus(ジャック・ニクラス、46歳)の、信じられないような逆転優勝の詳細が、さまざまな人々の証言と共に語られています。

・当時ニクラスの最大のビジネスはゴルフ・コース設計だった。ところが、1985年、彼が設計したニューヨークとカリフォーニアの二つのゴルフ場が危機に瀕し、ニクラスの設計事務所も大打撃を受け、ニクラスはゴルフどころではなかった。1986年に入り、やっとマスターズでプレイする心の準備が出来た。

・当時ニクラスはクラブ・メーカーMcGregor(マクレガー)社の代表の一人だった。ニクラスは、この会社の開発主任Clay Long(クレイ・ロング)に、「Tom Watson(トム・ワトスン)愛用のPing Palモデルに似通ったパターを作れ」と命じていた。Clay Longと同僚たちは超大型で”overhang“な(ひさしの突き出た)パターを設計し、実際使った見て転がりの良さに満足した。しかし、USGAが認可しなかったので”overhang“無しに改造したが、それは凄い慣性モーメントを持つに至った。言葉を替えれば、ボールを打った時に捩じれたり廻ったりしないということである。

そのパターは“Response ZT”(リスポンス・ズィーティー)と命名された。ZTは”zero twist”(捩れゼロ)を意味する。そのパターを見せられたニクラスは「冗談かい?」と云った。しかし数発打ってみて、トーナメントで試すことにした。トーナメント会場から「悪くない。いい転がりだ」とニクラスが電話して来た。Clay Longが「製品化の可能性はあるだろうか?」と尋ねると、ニクラスは「イエス」と云った。

McGregor社は、“Response ZT”を生産ラインに乗せた。ニクラスはそのパターを使って、あるコースでコース・レコードを作った。McGregor社は“Response ZT”(定価62ドル)を約6,000本売る予測を立てていたが、マスターズ前に既に20,000本売れていた。

“[ZT]”

“Response ZT”はヘッドが大きいので重そうに見えるが、スィング・ウェイトはC8で生産されていた。ニクラスはパターの凹みに鉛を8〜10枚貼り付けて、普通のパターと同じD2にしていた。

・この1986年マスターズでは、ニクラスにとって異例なことがいくつかあった。彼の母Ellen(エレン)は、彼がアマチュアとして初めて参加した1959年のマスターズを見に来て以来、ずっとマスターズを見に来ることはなかった。しかし、この年全く出し抜けに「ジャック、私にはもう一つやりたいことがある。もう一度マスターズを見たい」と云い出したのだ。ニクラスがプロになってから初めてのことであった。また、今回はプロのキャディではなく長男Jackie(ジャッキー)がバッグを担ぐことになっていた。

 他の多くのプロたち同様、ニクラスはオーガスタの町のゴルフ・コースに近い家をレンタルする。この年、彼は二軒の家を借りた。一軒は彼、妻のBarbara(バーバラ)、長男Jackie(ジャッキー)、ニクラスの親しい友達夫妻二組が逗留し、もう一軒に母、ニクラスの姉と彼女の夫が宿泊した。

 家は別れていたものの、毎夜ニクラスの方の家で共に食事をし、バーバラが弾くピアノで皆で歌を唄った。ニクラスも合唱に加わった。

・マスターズ・トーナメント開始の四日前、Atlanta Journal-Constitution紙(現在の販売部数200,000)に、マスターズ関連の記事が掲載された。筆者はTom McCollister(トム・マカラスター)。「ニクラスは過去の人、完了形だ。もう彼に技倆は残っていない。あんまり使わないので錆び付いてしまったのだ。彼は46歳だが、その年齢でマスターズに優勝した者は一人もいない」

 この新聞記事を冷蔵庫の扉に貼り付けたのは、ニクラスの友人John Montgomery(ジョン・モンゴメリ)だった。彼はマネジメント会社の社長としてニクラスが主宰するメモリアル・トーナメントの開催を助けていただけでなく、二人で互いに悪ふざけする悪童仲間のような存在でもあった。モンゴメリの息子はアトランタに住んでいてこの記事を読み、オーガスタでニクラスと同宿している父親に届けた。それを冷蔵庫に貼ったのはモンゴメリの悪ふざけの一環であった。この記事を見たニクラスは何も云わず、剥がすこともしなかった。

・この当時、ゴルフ界ではセヴィ・バレステロス(スペイン)、ベルンハード・ランガー(ドイツ)などヨーロッパ勢の活躍が目立っていた。米欧対抗戦Ryder Cup(ライダー・カップ)もヨーロッパ・チームが勝っていた。バレステロスは記者会見で「勝つための準備完了と感じている。マジな話だ。私が最終日のNo.16に達する頃にはトーナメントは決しているだろう、私の優勝で…」と公言した。

・CBS-TVの解説者Ken Venturi(ケン・ヴェンチュリ)は、「ジャックは引退時期を考え始めるべきだ」と放送で語った。

・記者会見
 トーナメント開始の前日(水曜日)は「パー3コンテスト」の日であるが、毎年ニクラスは参加せず、この日を記者会見に使うことにしていた。しかし、この年、トーナメント記者委員会はニクラスを会見に招待しなかった(記者の誰一人ニクラスが優勝に絡むなどと考えていなかったのだ)。

・初日
 ニクラスは14のホールでパーオンしたものの、4.5メートル以内の四つのバーディ・チャンスを逃し総計35パットもし、74を叩いた。

・二日目
 バレステロスは68で廻って一打差でトップに立った。ニクラスは71で廻って予選落ちを免れた。

・三日目
 グレッグ・ノーマンが68で廻って首位、ランガー、バレステロスほか二人が二位タイ、69で廻ったニクラスは九位タイであった(首位と四打差)。

【続く】

【合わせてお読み下さい】
・「金熊の65打」(tips_101.html)
・「あれはSeve(セヴェ)の優勝だった」(同上)

【おことわり】パターの画像はhttps://thegolfauction.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 04, 2020)

ニクラス(46歳)奇跡的優勝のマスターズ・後篇

・最終日
 ミシシッピ州で開催されていたPGAトーナメントに参加中の次男Steve(スティーヴ)が電話して来て、「パパ、どう思う?」と尋ねた。ニクラスは「66ならタイ、65なら優勝だと思うが、どうかね?」「ボクの考えも同じだ。Go shoot it(やってみて)」

“[Jack]”

 ニクラスはトーナメントで黄色いシャツを身に着けることが多いが、それは理由なく選ばれたものではない。ニクラスの妻バーバラが通う教会の牧師Bill Smith(ビル・スミス)の息子Craig(クレイグ)は少年ゴルファーでニクラスを尊敬していたが、若くして癌に冒されていた。ニクラスが少年と親しく話すようになったある日、少年が「ボクはラッキーな黄色いシャツを持ってる」と云った。ニクラスは「じゃ、おじさんも今後ラッキーな黄色いシャツを着ることにする」と応じた。以後、彼は特に最終日に黄色いシャツを着るようになった。少年は1970年代に13歳で他界したが、ニクラスは黄色を身につけることを続けている。

【ここから最終ラウンド後半のニクラスの快進撃が(彼の競争相手たちのプレイも交えつつ)息詰まるような一打一打の描写と共に36ページに渡って展開します】

 ニクラスはNo.9で約3.7メートルのパットを沈めてバーディ、3アンダー(首位との差は変わらず)。続くNo.10で7.6メートルを入れてバーディ、4アンダー。

 オーガスタのNo.11〜13はAmen Corner(エイメン・コーナー)と呼ばれる難所である。No.11では6メートルを沈めてバーディ。No.9から三連続バーディ。

 リーダーボードでニクラスの進撃を知った数百人の観客が丘を駆け下りて来た。オーガスタでは走ることが禁じられていたが、この日その規則は無視された。ハイヒールを履いた女性まで走っていた。

 No.12ティーで数千の観客が総立ちの拍手喝采でニクラスの好プレイを讃えた。その中には、ニクラスの五回のマスターズ優勝をサポートしたオーガスタのキャディWillie Peterson(ウィリィ・ピータースン)の姿もあった。このNo.12(パー3)では、スパイク・マークに邪魔されてパット失敗、ボギー。No.13(パー5)ではイーグル・パット失敗のバーディ、トータル5アンダー。

 No.14はパー。

 No.15(パー5)で3.7メートルのパットを沈めてイーグル、7アンダー。首位のTom Kite(トム・カイト)に並ぶ。

 No.16(パー3)は池越えの難しいホール。ニクラスの5番アイアンはあわやホール・イン・ワンかという完璧なショットで、ピンの下約1メートル。それを沈めてバーディ。CBS-TVの総合アナウンサーJim Nantz(ジム・ナンツ)は「疑いの余地はない。熊は冬眠から覚めて出て来たのだ」とマイクに向かって云った。

 No.17で、ニクラスがティー・ショットを左の観客の中に打ち込んで、二打目の準備に入っている頃、バレステロスもNo.15の第二打を池に入れてしまった。ニクラスの第二打はピンから約3.4メートルについたが、それは難しいラインで、ニクラス親子の読みも食い違った。しかし、このパットに成功すれば単独首位を奪取出来る。ニクラスがパットした。CBS-TVのNo.17担当アナウンサーVerne Lundquist(ヴァーン・ランドクィスト)は”Maybe...YES SIRRRR!”(入るかも…イェス・サアアアア!)と声を張り上げた。バーディ、単独首位。

“[Nicklaus]”

 No.18。ニクラスは湧いて来そうな涙を抑えるのに懸命だった。「まだ終わったわけではない」と自分に云い聞かせた。彼の二打目はショート気味で、ピンまで約12メートルあった。是が非でも2パットに収めなければならない

 自宅でTV観戦していたパター・デザイナーのクレイ・ロングは、最高度に緊張していた。ニクラスが3パットしたら、パターは売り物としての価値が激減するからだ。しかし、ニクラスは最初のパットをギミー(OK)の距離に寄せ、パーでラウンドを終了した。

 ニクラスは最終ラウンドを65で廻り、最後のハーフのスコアは30。トータル9アンダー。トーナメント・リーダーとなったニクラスとキャディを務めた息子ジャッキーは、コースの一軒のキャビンに招じ入れられ、TVで後続のグループのプレイを見ることになった。もはや待つことしか出来ない。ニクラスは神経質に(檻の中の熊のように)部屋の中を行ったり来たりした。座ってなどいられなかったのだ。

 バレステロスは自滅し、トム・カイトだけがニクラスとタイになるチャンスがあった。彼のNo.18でのバーディ・パットは、完璧に打たれたにも関わらずカップの左に逸れた。ノーマンはNo.17で長いパットを捩じ込み、熊と鮫がタイとなった。ノーマンはNo.18の二打目をプッシュして観衆のど真ん中に打ち込み、パー・パットをミスし、ニクラスの優勝が決まった。

 「過去の人、完了形」と云われた46歳のニクラスは、六着目のグリーン・ジャケットを手に入れた。父と息子は抱擁し、祝福し合った。

・優勝者記者会見の席で、優勝の感想を話していたニクラスは、ふと話を中断し、記者たちに「Tom McCollister(トム・マカラスター)はどこ?」と尋ねた。誰かが「この席にはいない」と答えると、ニクラスは「じゃないかと思った」と云った。「ニクラスは過去の人、完了形である」という記事を書いたトム・マカラスターは、実際には気恥ずかしくてその場にいなかったのではなく、〆切りに追われて原稿を書いていたのだった。彼が会見場に遅れて現われると、ニクラスは「やあトム…ありがとう」と云い、トム・マカラスターも悪びれずに「お役に立って何よりだ」と応じた。彼が仲間に話したところによれば、Tom Watson(トム・ワトスン)が「来年はおれを記事にしてくれ」と頼んだとのこと。痛烈な冗談であった。

・パター・デザイナーのクレイ・ロングはこう云っている、「(マスターズの翌日の)月曜日の昼前、5,000本のパターの電話注文があった。1986年末までに125,000本の“Response ZT”を売ったが、それは生産ラインの限界で、もっと作れればもっと売れたのだが、われわれの工場はそれ以上作れなかったのだ」

・この優勝に貢献したパターはニクラスの手元にない。行方も判らない。「おかしなことだ。メイジャー優勝で使って、持っていないクラブはこの一本だけだ」と、2006年にニクラスは語った。

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Youtubeには、最終日のTV放送三時間分がまるまるアップされています。これは画質も良く、CMが抜かれているので快適に見られます。ニクラスの姿はNo.9のバーディ・パットまで出て来ません(その段階まで度外視されていたので)。しかし、No.10からは次第に焦点はニクラスに絞られて行きます。このヴィデオはいつ削除されるか分りませんので、早めに見ておくことをお勧めします。

【合わせてお読み下さい】
・「金熊の65打」(tips_101.html)
・「あれはSeve(セヴェ)の優勝だった」(同上)

 

【おことわり】画像はhttps://i.ytimg.com/とhttps://www.liveabout.com/にリンクして表示させて頂いています。

(April 15, 2020)

三代目古今亭志ん朝の卓見

 

“[三代目志ん朝]”

たまたまですが、昭和47(1972)年に発行された『レコード芸術 臨時増刊 レコードスペイス72』というムックを読んでいたら、三代目古今亭志ん朝(1938〜2001)のジャズ談議が見つかりました。彼はジャズについて語っているのですが、私はゴルフに通じるものとして読み、「その通りだ!」と頷きました。

「二度目にアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズが来日した時、トランペットのリー・モーガンなんかひどかったですよ。だんだんひどくなるんですね。ああいうのを見ると、やっぱり嫌になりますね。おれはちゃんとやれば出来るんだって云うけど。長いことそれやってると、芸事というのは、絶対その力が同じところに位置してないものですよね。必ず、上がるか下がるかどっちかしかないわけでしょう。

だから、一生懸命勉強して、一生懸命精進して演奏しているときは、必ず登っている状態ですよね。そうでなければ、あるいはそこで初めてほぼ同じ位置のところをずーっと横這いでいられるわけ。ちょっと緩めたら絶対に下がりますものね。出来るんだって思っても、その次にちゃんとやってみると、中々ひどいもんで、一生懸命やったって駄目になっちゃいますよね。

あのアート・ブレイキーだって最近のひどさっていうのはないですね。昔日の感激というのはまるでないみたい。だから、聴きに行きたいという気持がしないですもの」

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私などもバーディが複数出るラウンドが続いたりすると、「おれも上達したんじゃない?」などと思ってしまい、ついスウィングの遵守事項やパッティング・ストロークのコツを忘れてしまったりします。「うっかりしただけだ。ちゃんと真面目にやればうまく出来る」なんて思うと大間違い。忘れたものを取り戻すのは大変なことです。常に薄氷を踏む思いでプレイしないといけない。うっかりすると薄氷が割れ、溺れ死んでしまうと考えるべきなのです。


(May 21, 2020)

道具選びと使い方

私はゴルフ雑誌の購読を止めたのですが、色んな人が読み古しの雑誌をくれるので、引き続き読むことになっています。毎年ゴルフ雑誌各誌は新しいクラブ、ベストセラーのクラブなどをリストして特集します。’Golf Digest’誌は、その中にツァー・プロの動向を読者の参考のために含めています。そこだけをいくつか抜粋して紹介します。

‘Tour Talk’
by EMJ of ’Golf Digest’ (’Golf Digest,’ February 2020)

「・ドライヴァー
Charles Howell III(チャールズ・ハウエル三世)は云う、『私が学んだことの一つは、調節可能なドライヴァーの全ての設定を試してみるということだ。熟知した設定に安住せず、どの設定ならどうなるのかこの目で見る。積極的に全ての設定を試せば、いつか利用出来る設定を発見出来るかも知れない。私は練習場だけでなく、コースのラウンドでも試す。私のゴルフ人生で《練習場はゴルフではない》ということを学んだのだ。練習場でテストを始めるが、テストの本番はコースで行う。ターゲットが300ヤードも広い練習場ではなく、たった30ヤードしかないコースで行わなければその真価は解らないからだ』

・フェアウェイ・ウッド
あなたが、ロフトの多いウッドは初級〜中級ゴルファーのためのものだと考えるなら、Brooks Koepka(ブルックス・ケプカ)やAdam Scott(アダム・スコット)、Tony Finau(トニィ・フィナウ)にそう云ってみたらいい。PGAツァー・プロの15%は16°かそれ以上のロフトのフェアウェイ・ウッドを使っているのだ。

 

ツァー・プロたちはボールを地面から上げるのには全く苦労していない。彼らは高い軌道によって、他のフェエアウェイ・ウッド、ハイブリッド、ロング・アイアンとの適切な距離の差をつけたいだけである。

・アイアン
Web Simpson(ウェブ・シンプスン)はプロ=アマでのラウンドの経験から次のように云う、『アマの大きなミスは重過ぎるクラブを使うことだ。彼らが弱いというわけではなく、多くの人々は重いクラブを使うに適した筋肉を持っていないということだ』

Cobra(コブラ)関係者たちはそれに賛同する。彼らはグラファイト・シャフトの重さを60グラムから55グラムにしたら、プレイヤーたちは時速1マイル(1 mph=0.447 m/s)速くスウィング出来ることを発見した。それは大雑把に云って2ヤード増に相当する。

軽いシャフトに加えて、Web Simpsonはアマチュアが大きいクラブヘッドを使うことを勧める。『多くの初級・中級者たちが、小さいヘッドのアイアンを使っているが、彼らはそれでソリッドなショットよりもミス・ショットを沢山打つことを認識すべきだ。私だってそうなのだから…』

・パター
もし、マレット型パターがブレード型のように動作したら、あなたはどう思うだろうか?『トゥ・ハング』という言葉に耳慣れない方は、パター・シャフトを掌に乗せ、パターフェースが天を向くようにしてバラスンスを取ってみられよ。もし、パターヘッドのトゥが水平より下がれば、そのパターはトゥ・ハングである。

トゥ・ハング型パターは『アーク(円弧)型ストロークによくマッチする。上のテストでパターヘッドが天を向いたままの状態を保つパターを『フェース・バランスト型パター』と呼ぶが、この型はストレートに引きストレートにボールを打つストロークに向いている。

だから、円弧型ストロークをするプロはブレード型を選択する。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)も円弧型ストロークの プレイヤーだが、彼は2018年の短期間TaylorMade(テイラーメイド)の’Ardmore 3’というトゥ・ハング型パターを試したことがある。あなたがブレード型パターを使っていて、期待した成果が得られない場合は、こうしたトゥ・ハング型マレット・パターも選択肢に入れるとよい。

PGAツァー・プロたちはマレット型パターに惹き付けられている。2014年、ツァーの1/3のプロがマレット型を使用した。現在、40%のプロがマレット型を用いている。マレット型の許容度に期待する賞金獲得額リスト下位の者ではない。2019年末のトップ50位のうち23人がマレット型を使っている。五年前はたった19人であった。2014年の段階では、Dustin Johnson(ダスティン・ジョンスン)とRory Mcilroy(ロリィ・マカロイ)はどちらもブレード型を用いていたが、現在はマレット型パターをバッグに入れている。

(June 21, 2020)

パター・シャフトの長さを変える

 

Rory McilRoy(ロリィ・マカロイ)がパター・シャフトの長さを変えたそうです。

‘Putter priority’
by Jonatan Wall (‘Golf Magazine, May 2020)

「Rory McilRoy(ロリィ・マカロイ)はパッティングに苦労したことはないが、パターを替えれば彼のストロークのいくつかの問題点を一掃してくれるかも知れないと考えた。ゴルファーがパターの長さを考慮することは稀だが、それは安定した繰り返し可能なストロークを生むための鍵となるものである。彼の選択の真似をする際、心しておくべきことがいくつかある。

1. Rory McilRoyは長めの35インチ(88.9センチ)が、彼の肩と右肘がストロークの間中いい位置になるのを助けてくれることを発見した。パター・ヘッドではなくシャフトの長さを変えることが正しい場合がある。もし、あなたが苦闘しているなら、試してみるべきだ。

2. シャフトの長さを短くしたり長くしたりすることはスウィング・ウェイトを変えてしまうということを忘れてはならない。それは両手のフィーリングに影響する。ヒールとトゥの間で重さが変更可能なパターは、この状況に適している。

[Sigma 2]

3. パターの長さを変えることに簡単に踏み切れない場合、PING Sigma 2(写真)のようにレンチと捩じるだけで、32〜36インチ(81センチ〜91.4センチ)と1/4インチ(0.635センチ)刻みでシャフト長を変えられるパターを考慮するとよい」

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業界標準で男性用として売られているパターの長さは35インチ、女性用は34インチです。Rory McilRoyが35インチを選んだのは、別に目新しいことではなく、実は業界標準に戻っただけなのです。この記事では触れられていないのですが、Rory McilRoyの身長は1.75メートルです。日本人男性の平均身長1.62メートルより13センチ高い。しかし、次の記事によれば大事なのは身長ではなく、ストロークする際のポスチャーだそうです。「パターの長さとライ角」(tips_93.html)

「パター・デザイナーScotty Cameron(スコッティ・キャメロン)は次のようなパター・チェック法を推奨する。鏡をターゲット方向に置く。最近のパッティング・コーチの多くが推奨する『振り子式パッティング』の理想的アドレスを、以下のように実行する。両目はターゲット・ラインの真上で、両手が肩関節から真下に下がり、パターは地面と同じ高さに。『この時、パターのトゥが浮いているようなら、パターが長過ぎるか、ライ角が過度にアップライトである。振り子式パッティングをする場合、35インチの業界標準は大多数のゴルファーにとって長過ぎる。だからと云って1インチだけカットすればいいというものではない。シャフトを短くするとフレックスがStiff(スティッフ)になるだけでなく、パターを軽くしてしまう。シャフトが硬いと、フィーリングが失われる」Scotty Cameronは「クラブヘッドが軽過ぎると、ストロークするのでなくヒットすることになる。重過ぎると、ストロークを減速しなければならなくなる」と付け加えています。

やはり、地面に対して水平なライ角が望ましいようです。

【画像はhttps://www.golfalot.comにリンクして表示させて頂いています】

(June 21, 2020)

君子の兵法 [No.2]

写真は私が通っているコースのNo.2(275ヤード)パー4のグリーンを写したものです。青丸は70ヤード付近です。プレイすると実際には写真よりずっと勾配があり、青丸地点からは端竿の下半分は見えません。

旗を目掛けて打って右スピンがかかっていると、ボールは右の崖下Aに転げ落ちてしまい、ここからは旗の天辺しか見えない打ち上げになります。私の「砲台グリーンの斜面からのチップ」(tips_197.html)のテクニックを使っても中々ピン傍には寄せられません。グリーンの傾斜と乾燥度にもよりますが、やはりピンの根元が見えないショットというのは距離感が難しい。

ある日の私のティー・ショットは、残り90ヤード地点へ。青丸より20ヤード後方です。ここ数ラウンド、私の二打目は右の崖下A地点でした。一旦グリーンに乗ったものの右に転げ落ちてしまったのです。その反省から、この日は「A地点ではパーも望み薄だから、少し遠くてもB地点を狙おう」と考えました。そこからならピンの根元も見え、グリーンを読んだチッピングが可能です。

私の二打目は左へ向かったのはいいのですが、予想よりかなり遠くピンから20ヤードも左のB地点へ。「うまく寄せてパーを得なくてはならない」私は必死で考えました。20ヤード離れてはいますが、ここのところカラカラ天気が続いていたので、私は余分のランを見込み、ほぼ10ヤードに相当するチップ・ショットを行いました。グリーン上の期待通りの地点に着地したボールは、するするとカップを目指し、ぽとんと入ってしまいました。バーディ。

A地点からの打ち上げだとパーも難しい。B地点は平らなので楽にチッピング出来る。雲泥の差です。君子危うきに近寄らず。今後も《二打目は、ピンではなくピンの10ヤード左を狙うこと》を心に誓いました。

[No.14]

No. 14 (360ヤード)パー5の攻め方もコツを発見しました。このグリーンのガード・バンカーは顎に鉄道の枕木を使っているので、転がし上げることは絶対に出来ません。しかも砂の粒子が細かく重いのでバンカー・ショットも難しい。ですから、第二打をバンカー手前に刻むかグリーン右横につけるか決断しなくてはならない。

実際には、刻もうとすると快打が出てバンカーに転げ込んだり、バンカー右横に打とうとしたのにプルしてバンカーに打ち込んでしまったり、ほとほと手を焼いていました。ある時、バンカー右横を狙ったショットをプッシュしてグリーンの40ヤードも右に打ってしまいました。しかし、私はウェッジを使えば5ヤード刻みで打てる自信があります。【参照:「ピッチングとチッピングの距離調節」(tips_195.html)】その時も三打目を難なくグリーンに乗せ、簡単にパーが得られました。

つまり、このホールはバンカーのべったり右横でなくても50ヤード以内の右ならロブ・ウェッジ、60ヤード右ならサンド・ウェッジ、70ヤード右ならギャップ・ウェッジを使えばいいので、右を恐れることはないことに気づいたのです。間違ってもプルを出さなければいい。で、私はこの二打目では、ボールをスタンス中央ではなく、やや右足寄りにアドレスすることにしました。この位置であればフェースがややオープンな段階でインパクトを迎えますから、絶対にプルは発生しません。うまくいけばグリーン右横べったりにつけられ、こうなると寄せの出来如何でバーディ・チャンス。頭は使うものです。

【追記】こう書いた次のラウンド。No.2の私の二打目はグリーン左横ではあるものの10ヤードほどオーヴァーしちゃいました。思惑よりちと飛び過ぎでした。短めにチップしランを見込んだ私の三打目は、またもやチップイン、バーディ。 No.14での二打目は不運にもグリーン横のカート道路で撥ね、狙い通り右ではありましたが、これも予定よりオーヴァー目。ピンまで30ヤードですが、短めに打ったつもりだったのに、ピンを1.5メートルもオーヴァー。しかし、無事に沈めてバーディ。

「君子の兵法」、大成功の巻。

(August 08, 2020、追記 August 10, 2020)

飛んだあとの二打目に注意

 

これは自戒も含めて書くのですが、ティー・ショットが意外に飛んで、ベラボーにピンに近くなったりすることがあります。こういう場合、われわれは「確実にバーディをモノにしなくてはならない」、「うまく行けば、チップインのイーグルもあり得る」と、どんどん期待が膨らみます。同伴競技者たちは何も云いませんが、彼らの期待をひしひしと感じます。実際には彼らは「どうせまぐれで飛んだだけだ」と思っているんですが、そうはあからさまに云わないので、われわれは誤解してしまう(^^;;。

意外に飛んだ位置というのは、実は滅多に経験していない位置でもあるわけで、“未知との遭遇”なのです。どのクラブをどのように使って寄せればいいか、さっぱり判らない。「ううむ、どうしよう?」疑心暗鬼で打った一打は、トップしてグリーン・オーヴァーか、ザックリでショート。

乗ったとしても、バーディを得ようという意気込みが強過ぎて、カップを遥かにオーヴァーする第一パットをしてしまい、結局スリー・パットのボギーになったりします。

飛び過ぎた(?)ティー・ショットの後は、欲張らず、「この滅多にないチャンスを、馬鹿げたミスで台無しにすることだけは避けよう」と、常にも増して入念にショットすべきです。

(August 08, 2020)

見上げてごらん、コースの空を

 

[cloud]

最近、私はラウンド中、何度か空を見上げます。雲一つない紺碧の青空だったり、青空に真っ白な積乱雲が浮かんでいたり、不吉な黒雲が迫っていることもあります。

どんな空模様であろうが、私は「ああ、今日も元気にゴルフが出来て幸せだ。この数時間、何があっても充分に楽しむのだ」と、自分に云い聞かせます。例え、ダブル・ボギーを出していようが、巡り合わせで不愉快な男とラウンドしていようが、ベストボールのゲームに敗色濃くなっていようが、身体の故障や家庭の事情でプレイ出来ない人に較べれば、自分は何て幸せなんだろうと実感出来ます。

不思議に、空を見上げた後は悟ったような達観出来たような心持ちになり、欲や不満や見栄などが消え去って、自然流のプレイが出来ます。これ、どんなメンタルtipより気分を落ち着かせてくれます。お薦めです。


(August 15, 2020)

馬鹿げたミスを減らす苦肉の策

何ラウンドか連続で馬鹿げたミスを犯してスコアを台無しにしていました。シャンク、チッピングをダフってショート。最悪はパターを地面につっかえさせて大幅ショート(;へ;)。

[mistake]

それらが何故起こるかの原因は解っています。
・シャンク 意気込み過ぎて手首を強ばらせると起こる。手首を柔らかくしておけば起こらない。
・ダフり 右膝を支柱のようにして踏ん張って、体重を右膝の上(か内側)に留めれば起こらない。
・パターで地面を引っ掻く 左腕を十二分に伸ばしてアドレスすれば(それ以上伸びないので)つっかえることはない。

では、原因が解っていて何故これらが生じるのか?解っていて起こすから”stupid mistakes”(馬鹿げたミス、愚かなミス)と呼ばれるのです。これらが起こる原因は、うっかりしたという不注意以外の何ものでもありません。不注意によるものなので、ぽかミスと呼ぶことも出来ます。

私が属するシニア・グループのベストボール・ゲームのチーム・キャプテンは、出来ればほぼ全てのホールでパー、出来れば三つや四つのバーディを得ることが期待されています。チームの牽引車なので、馬鹿げたミスなど犯している暇は無いのです。私のように、ワン・ラウンドで複数の馬鹿げたミスを犯すと、チームは勝利から見放され、今後私がキャプテンとなった場合チーム・メンバーは、スタート前から絶望的になってしまうことでしょう。

ある日、こう考えました。馬鹿げたミスが続くようなら、もうゲームに参加せず二週間ほど自主トレに励み、ぽかミスが出なくなったら復帰しよう…と。胸に秘めているだけでは、色んな口実を設けて決意を翻すかも知れないので、主だった連中に私の決意を伝えました。

次のラウンド、No.1(パー 4)でグリーンを狙う5番アイアンによるショットは、左の崖を避けるべくフェードをかけたのですが(それはうまく行った)予想以上に固いグリーンで跳ねてしまい、やはり左の崖下へ。これは上手く打てたショットなので、馬鹿げたミスではありません。不運だっただけ。ボギー。

No.2(パー4)。ティー・ショットは良く飛び、残り90ヤードの打ち上げ。ボールはグリーンに乗ったものの、右に転がってエッジへ。これも馬鹿げたミスではありませんが、またもやボギー。

No.3(パー4)はウェッジによる寄せさえうまく行けばバーディが得られるホール。チップは期待より1メートルほどオーヴァーして2メートルのパットになりましたが、これを沈めてバーディ。

No.5(パー4)。私の二打目はトップして、これこそ馬鹿げたミスでバンカーに入るところでしたが、何と低く転がったためバンカーを転げ出てピン傍へ。結果オーライでバーディ。

No.11(パー4)でもバーディ。

結局パット総数は31で褒められない結果でしたが、馬鹿げたミスを起こさなかったお蔭で6オーヴァーで廻れました。我がチームは勝てなかったものの、私は3バーディでキャプテンの役目は充分果たしました。自主トレは延期しました^^。

その後12回のゲームに参加していますが、十勝二敗の好成績です。まだ時々馬鹿げたミスを出すこともありますが、なんとかキャプテンとしての面目は保っています。

【参考】
・「愚かなミス」全集(tips_01.html)
・「馬鹿げたミスを防ぐ」(tips_174.html)

(August 15, 2020)

パットに関する助言

 

ある日のシニアのベスト・ボールのゲーム、その日の私のショットは好調だったのですが、パットが冴えませんでした。5メートルをぶち込んだと思ったら、1メートルを外したり。

No.16で私が1.5メートルのバーディ・パットにアドレスしようとした時、チーム・メイトの一人Wally(ウォリィ)が「エイジ、あんたは知ってるだろうが、そのラインは左に切れるぞ」と云いました。とんでもない!私はこのホームコースの全てのグリーンの勾配マップを作成して知っているのですが、グリーン奥からのパットは全て右へ切れるのです。

[Lee]

しかし、私はそこで「いや、これは右へ切れるんだ」とか、「このグリーンはよく知っているから助言は要らない」などと云いませんでした。議論を始めると、お互いに「俺の方が経験豊富だ」と意地になり、彼は「勝手にしろ!」と云うだろうし、私は自分の読みの正しさを証明するためのプレッシャーが強くなります。私は単純に彼の助言を無視し、彼が近くで見守る前で自分の読み通りカップの左を狙ってカップインさせ、バーディを射止めました。Wallyは「ワハハハ!」と笑いました。彼は私がカップの左を狙ったのに気づいた筈ですが、そのパットが成功しちまったので笑うしかなかったのでしょう。

次のラウンド。偶然ですがまたWally(ウォリィ)が私のチームの一員になりました。No.11で私が1.5メートルのバーディ・パットに臨んだ時、またもやWallyが「エイジ、ストレートに打てば入る」と声を掛けて来ました。冗談でしょう。このグリーンは受けているので、カップの真横からだとカップの右上を狙わないと駄目なのです。しかし、今回も私は議論などせず彼の助言を無視し、フックラインとして打って成功し、バーディ!

同じ日のNo.14(パー5)。私は三打目をカップの上2メートルにつけました。このグリーンはちょっとトリッキィで、カップが下の方に切ってあると、勾配から云うと右から左に切れそうに見えるのですが、実は左から右に切れるのです。私は迷うことなくボールに描いた線をカップの左に揃えました。そこへまたWallyが「エイジ、ストレートに打て」と声を掛けました。私はそれを雑音として無視してパットし、難なく沈めてバーディ。

私はWallyの全ての助言を無視して自分の読み通りにパットして成功しているのですが、Wallyはあたかも彼の助言通りに私がパットして成功していると誤解しているようです^^。

私はよほどの初心者(あるいはこのコースに不案内なプレイヤー)でない限り、自分から助言したりしません。あるプレイヤーが明らかに間違った読みをしていると察知出来ても、それを指摘しません。聞かれれば自分の推測は云います。しかし、他人のパットに助言するのは好きではありません。「これは右へ切れるんだろ?」と聞かれて、「いや、そう見えるけど実は左に切れるんだ」と云ったとします。そのプレイヤーがパットし、「やっぱり右へ切れた」などと私の助言を批難されるのは不愉快です。彼が真っ直ぐ打ったのならともかく、プッシュしたかも知れないのに「やっぱり右へ切れた」と云われては業腹です。

そういう不愉快なことを経験してから、私は助言に注意深くなりました。「エイジ、これはどっちに切れる?」と聞かれたら、「あんたはどう思う?」と問い返すようにしています。彼が「右へ切れるように見える」と云った時、私もそれに同感なら「その通りだ!」と同意し、励まします。同意出来ない時は、彼が失敗して怨まれるのが嫌なので「自分が思った通りに打て」と突っ放します。助言して逆恨みされるのも迷惑ですからね。正直なところ彼がパットに成功するかどうかはチームの浮沈に関わるのですが、私はWallyのように「右を狙え!」とか「真っ直ぐだ」などと云いたくありません。

実際問題、そのプレイヤーがどの程度の強さで打つかは、第三者には推測出来ないのです。強く打てば真っ直ぐ転がるし、弱く打てば芝目の影響を受けてブレイクが大きくなる。助言者は自分が打つ強さを基準にしているわけですが、それは往々にしてプレイヤーの打つ強さとは違うことが多いのです。助言者に出来るのは「右に切れる」、「左に切れる」程度のことであり、どの程度切れるか(カップの右端とかカップのボール一個分右とか)は、第三者が云っても意味がないことだと思われます。

Wallyの場合、私との二度のラウンドで自分は一度もバーディなど得ていない癖に、まるで私より上級者であるかのように助言するのは笑止千万です。しかし、私は彼と議論したり彼の間違いを正したりせず、黙々と自分の思った通りに読み、ストロークしました。ことを荒立てないという極めて日本人風の態度かも知れませんが、チーム内で要らぬ不協和音を生じないためには、これが最善の策だと思えたからです。

しかし、正直云ってWallyの一言はウザいので、私がキャプテンの時は今後は彼を選ばないようにしたいと思っています^^。

【おことわり】写真はhttp://media.mlive.com/にリンクして表示させて頂いています。

(November 02, 2020)

Green Maps(グリーン・マップス)

 

[16th]

「グリーン・マップス」とはゴルフ・コースの各グリーンの傾斜とその度合い(緩急)を地図にしたもので、有名コースのものはかなり昔から出回っていました。しかし、私がプレイするミシシッピ州の田舎のゴルフ場のグリーン・マップスなんてどんな会社も作成しないだろうと思っていました。ところがそれが売り出されたのです。驚きました。

[GolfLogix]

実は私は自分でこのコースの全グリーンの傾斜を計測し、左図のように地図にしたものを九年前から既に携帯してプレイしていたのです。【参照:「グリーンの地図を作る」(tips_135.html)】しかし、「二歩に一度計測」という方法はいかにも手抜きでした。グリーンの大まかな傾向は解るものの、中距離、近距離のパットのブレイクを読む参考にはなりません。唯一私の地図で自慢出来るのは、勾配のきつさを矢印の太さで表したことです。太い矢印はかなり急な下りの傾斜、細い矢印は急ではないが顕著な傾斜…という具合。

先日私がクラブハウスに早めに行った時、馴染みの職員からGolfLogixという会社が製作した'Green Maps'を貰いました。メンバーは全員無料で貰えるのかと思ったので、その後現われたシニア数人に「早く貰いに行け」と云ったのですが、たった二人が手に入れただけで後はもう品切れだったそうです。GolfLogixのサイトを訪れると、何とこのコースの'Green Maps'は40ドルもする代物でした。後に、このグリーン・マップスをくれた職員に礼を云うと、"Merry Christmas!"と云いました。まだクリスマスには早いのですが、プレゼントだというわけです。

GolfLogixの地図には二種類含まれていて、一つは私のと同じように傾斜の方向を知るもの(白黒)、もう一つは傾斜の緩急を赤(急)、黄色(やや急)、緑(緩やか)、青(平坦に近い)、白(平坦)…と色分けしたものです。さすが40ドルも取るだけあって、傾斜は細かく調べてあり、一つの枡目は5ヤード(約4.6メートル)単位で、その5ヤードの区画に全部で16もの矢印が表示されています。これなら中距離、近距離のパットにも役立ちそうです。ただ、云わずもがなですが、ブレイクを知ってもそれを相殺するポイントに真っ直ぐ打てる技術がなければ、グリーン・マップスは宝の持ち腐れですが…。

【参考:真っ直ぐ打つための練習法:「完璧なストロークの秘訣」(tips_193.tml)】

[No.6]

GolfLogix版の難点は、白黒地図の方向性と、カラー地図による傾斜の度合いが二つに別れていること。いちいち、その二つの地図を照合してストロークの方向と強さを決定しなくてはなりません。ややこしく、まどろっこしい。私は矢印の数が多い(データ量が豊富)白黒の地図をスキャンし、それに傾斜の度合いを示す色を重ね合わせました(右上図)。これなら、方向と傾斜の緩急が一目で読み取れます。

なぜ私がNo.6のグリーンを選んで表示したかという理由を御説明しましょう。ここはパー5(430ヤード)であり、私にはとても2オンなど出来ません。三打目のアイアンで、やっとグリーンのどの地点を狙うかが問題になります。見た目は右の写真のようにさほど急なグリーンには見えないのですが、グリーンの真ん中に着地したボールは全て右の崖下へ転落し、30ヤードほど転がってしまいます。「だったらグリーンの左を狙えばいいじゃないか?」しかし、グリーンの左にはバンカーが待っています。顎が低いのでパターで出せるとはいえ、距離のコントロールが難しいのはバンカー・ショットとさして変わりません。出来れば入れたくない。

[16th]

私の地図(最初の図版)では明瞭でないのですが、GolfLogixの色分けした傾斜の度合いを見れば一目瞭然。このグリーンではピンがどこにあろうとグリーンの左内側5ヤードのところへ着地させなくてはいけないのです。その右に打ったら、全部右側の地獄へ逆落とし。先日、私の三打目はプルしてグリーンの左10ヤード。ピンまで15ヤードとして打ったチップは、グリーンをころころ横断して右のエッジでかろうじて止まりました。私は、ここで寄せを左へミスしたら、チップではなくパットすべきだと反省しました。

寝る前の数十分、コースのいくつかのホールをこのグリーン・マップスで検討すると、「そうか、ここを狙って打てばいいんだ!」という発見があります。グリーン・マップスはパットだけのためのものではなく、アプローチ・ショットにも役立つのです。プロたちは「ストレートなパットが得られる場所に乗せるためにグリーン・マップスを用いる」そうです。私にはそんな細かい芸当は到底無理ですが。

このGolfLogixのグリーン・マップスは横11センチ、縦17.5センチと一寸大きい。ズボンのポケットには入りません。私の最初の案は、地図をスキャンし編集したデータを小さくプリントして携行しようというものでしたが、それよりもいいアイデアが浮かびました。18ホールのグリーンの地図をiPhoneで撮影し、そのiPhoneを携行するのです。iPhoneのアルバムに全ての地図を並べておけば、参照するのも簡単です。これぞ21世紀のゴルフ。

USGAとR&Aは横4.25インチ(約11センチ)、縦7インチ(約18センチ)以上の大きさのグリーン・マップスを携行しての公式ラウンドを禁止しています。GolfLogixの地図のサイズに合わせたようなルールです^^。iPhoneはもっと小さいので問題ありません。私が友人から貰ったiPhone 4(アンティーク!)は殊に画面が小さいので、ベルトケースに入れてラウンドするのに便利です。

【註:グリーン・マップスの著作権を保有するGolfLogixは、地図の複製・配布を禁じています。しかし、私はこの地図の正規の所有者であり、便宜的に自分のiPhoneにコピーしているだけで、配布を目的としているわけではありません。映画のDVDを購入すると、それをコンピュータにコピー出来るサーヴィスがありますが、それと同じであると考えています】

(November 15, 2020)

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短いクラブでハードに打て

 

PGAツァー・プロで、現在NBCのトーナメント中継のアナウンサーの一人であるPeter Jacobsen(ピーター・ジェイコブセン)の本を読みました。全体にはさほど面白くなかったのですが、一つだけ印象に残った部分がありました。

'Buried Lies'
by Peter Jacobsen with Jack Sheehan (G.P. Putnam's Sons, 1993, $21.95)

「私(Peter Jacobsen)がプロ入りした1977年当時、既に全英、全米両オープンのタイトルを得ていたTom Watson(トム・ワトスン)は、八年間に29勝を挙げ、それには二度のMasters(マスターズ)優勝、全米オープン、そして四度の全英オープンが含まれていた。彼は私のアイドルというだけでなく、プロ・ゴルファー全ての夢であった。

私はTom Watsonを見守りながら多くのことを学ぶべく、トーナメントの練習ラウンドで彼と一緒に廻れるチャンスに飛びついた。彼はとても攻撃的なスウィングをした。

彼は彼の師匠であるByron Nelson(バイロン・ネルスン)から教わったことについて話してくれた。それは《興奮している時には、長いクラブをソフトに打つのでなく、短いクラブをハードに打て》というものだった。ハードなスウィングをすると自然でアスレティック(活発)な動きでボールを打てる…と云う」

 

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普通でも長いクラブをソフトに打つのは難しい。「ソフトに」というのは「ゆっくり」とは違うのですが、私の場合などゆっくり、しかもソフトに打とうとしたりして通常と異なるテンポになって脳が逆上し身体をコントロール出来なくなり、シャンクやチョロになったりします。いつもハードに打っているゴルファーのインパクトは、そのテンポでクラブフェースがターゲットにスクウェアな状態になると考えられます。興奮状態の時、ハード過ぎて飛び過ぎる恐れがあると思ったら、テンポを変えるのではなく短いクラブを選ぶなり、クラブを短く持っていつも通りハードに打つ方がいいようです。

(December 16, 2020)

中部銀次郎・名言集

 

ある日、風呂に浸かりながら読む本を探していました。どうせ短い間だし、寛いで読みたいので英語ではなく日本語の本がいいと思いました。たまたま、本棚の上で横になっていたこの本を選びました。もう何度も読み返したことがあり、これが五回目ぐらいでしょうか。

[daiji]

『ゴルフの大事』
中部銀次郎×三好 徹 (ゴルフダイジェスト社、2006、1,500円)

日本のアマチュアゴルフのトップとして長く君臨していた中部銀次郎(1942〜2001)のこの本は、彼が生涯に携わった最後の本で、彼の「シンプルに考えよ、シンプルにプレイせよ」という主張が鮮明に伝わって来る好著です。

唯一の欠点は“理論シングル”を自称する作家・三好 徹が、名人に向かって自説を振りかざして突っ掛かって行く不遜な態度が不愉快なこと。ま、議論することで中部銀次郎の話のボルテージを高めるのに一役買っていると考えれば我慢出来ますが…。面白いのは、練習場で三好 徹がボールを打つ段になると、全然うまく行かないので急に謙虚になる様子。それまでの大言壮語はどこへやら。滑稽ですらあります。

この本についてはこれまでに何度か取り上げていますが、それらと重複しない範囲で今回印象的だった中部銀次郎の発言を紹介します。

当サイトの読者に興味深いであろう「80を切る考え方」について、中部銀次郎は以下のように云っています。パー72のコースで79で廻る場合、スクラッチの人(パー・プレイする人)より7打のミスが許されると考えることが出来る。全てのホールで2パットすると仮定すると(計36パット)、残り36+7でショットに43打費やせるという計算になる。しかし、もしパット数が減らせれば許されるミスの数はもっと増える。そう考えれば、かなり心にゆとりを持ってプレイ出来る筈だ。

【私見】「パット数が減らせれば許されるミスの数はもっと増える」という点は重要だと思います。それはパッティングに上達するのが早道だということでもあり、ワン・パット(あるいはOK)圏内に寄せるチッピングに習熟することであると云ってもいいでしょう。私の最近の1ラウンドのパット総数は31、29、28、29という感じですので、5〜8ストロークほどミスの許容範囲を広げています。《ミス・ショットをカヴァーしてくれるのは上質のショート・ゲームである》…という説が数字で理解出来ます。

中部銀次郎は「頭を動かさないこと」を最優先しますが、特に飛ばそうと考えた時に左に頭が動くことが最大のパワー・ロスの原因であると喝破します。

【私見】私はシニア・グループの中でドライヴァーの正確さでは三本の指に入ると自負していますが、時折プルを打つことがあります。これは中部銀次郎が云う通り、「飛ばしたい!」という欲望が芽生えた時に、ボールの真上に頭を留まらせるのではなく、身体全体が左に流れる時に起ります。伝説的インストラクターHarvey Penick(ハーヴィ・ピーニック)の"Stay behind the ball"(ボールの後ろに留まれ)という名言のように、頭は右膝の上に踏み留まっていなくてはなりません。欲張るのは百害あって一利無しです。

中部銀次郎はこうも云っています。「右手の返しを意識的にする必要はない。頭が残って左手でリードしてやれば、自然に手は返る」…と。やはり頭を残すことが肝心要(かなめ)のようです。

パットに関して、中部銀次郎は示唆に富んだことを述べています。18ホールのターニング・ポイントとなるパットをする場合と、深く考えないで漫然とパットする場合とでは結果が異なる。ここ一番の大事なパットだと思うと二回に一回、あるいは三回に一回はパットの入り方が違う…と。

【私見】私の場合、1.5メートルぐらいのバーディ・パットに臨む時、「このラインは知ってる。頂きだ」と成功を確実視して打つ場合と、「チームは現在5オーヴァーで、このままでは自滅だ。何とか入ってくれ!」と祈るような気持で、基本(グリップ、ポスチャー、体重など)を全て正しくし、運を天に任せて頭を残した(ボールを見送らない)ストロークをした場合は、入ることが多いようです。

最後に、中部銀次郎のゴルフ観。「知性、教養、人格…というものが全部含まれて、その人のゴルフを形成していると思う。単にスコアがいいというだけでは片手落ちである」

【私見】煎じ詰めれば「紳士的であれ」ということですね。自分や他人のボールを蹴ったり、スコアやハンディキャップを誤摩化すトランプ元大統領みたいなゴルファーは下の下である…と解釈します。

・「中部銀次郎のゴルフ」(tips_118.html)
・「中部銀次郎のゴルフ・パット篇」(〃)
・「中部銀次郎のゴルフ・メンタル篇」(tips_117.html)

(January 10, 2021)

ベスト・ボール

 

日本では個人のストローク・プレイが一般的で、他の形態のゲームはあまり知られていないと思います。私がプレイする市営ゴルフ場にはいくつかのグループがあり、それぞれ独立して異なるゲームを楽しんでいます。

[seniors]

私が属するシニア・グループは週に三回(月・水・金)「ベスト・ボール」というゲームをし、月末の金曜にだけ「スクランブル」をします。スクランブルは、チームの誰かの最も良い位置に飛んだボールを選び、四人全員がそこから打ち、次にまた最も寄ったボールをまた四人全員で打つ…というゲームです。ですから、スクランブルには個人のスコアというものは存在せず、チームのスコアが残るだけです。うまく行けば10アンダー(あるいは12アンダー)などというスコアが出ても不思議ではありません。これは上手い人、下手っぴを寄せ集めたチームが参加するチャリティ・トーナメントの定番の方式となっています。

「ベスト・ボール」は、チームの四人がそれぞれストローク・プレイを行い、各ホールにおける四人の中のベストのスコアを記録して行きます。No.1で誰か一人がバーディを達成すれば、チームは1アンダー。No.2で四人ともボギーを出せば差し引きイーヴン・パーがチームのスコア…になるという具合に進行します。

シニアの多くはチーム・プレイにしか関心がなく、個人的スコアを記録する人はほぼいません(僅か数人のみ)。80を切るような実力がないので、あるホールでのまぐれのパーやバーディに期待しているだけなのです。ですから、チームの誰かがパーやバーディを得れば、グリーンにある自分のボールを拾い上げてさっさと次のホールへ行ってしまいます。私は最後まで残ってホールアウトします。こうしないと、自分のスコアは記録出来ませんし、パット総数も数えられないからです。

シニアたちはどちらかと云えばスクランブルを好んでいます。ティー・ショットが飛ばなくなった人は飛ぶ人のティー・ショットにおんぶ出来るし、自分の下手くそな寄せやパットもさほど目立たずに済むからです。私は反対で、スクランブルは好きではありません。スクランブルには自分個人のスコアというものがないからです。私は常に「80を切る(7オーヴァー以下で廻る)」という目標を追求しているので、豪華賞品が出るトーナメントでもない限りスクランブルに参加したいとは思いません。

しかし、スクランブル好きの連中が土曜日に集まってスクランブルをプレイするようになり、週日をしのぐ人数が集まったりするそうです。私は行かないので分かりませんが(^^;;。

チームの決め方にも触れておきます。必ず毎日同じメンバーが集まるわけでもなく、人数もその日毎に異なるので、チームといってもその日限りのチームです。六人集まればスリーサムが二組、八人ならフォーサムが二組、九人ならスリーサムが三組、十人ならファイヴサムが二組という具合。七人ならスリーサム一組とフォーサム一組です。

幹事(大抵はグループの会長、彼がいなければ上級者の誰か)が、その日の顔触れの中からチーム・キャプテンに相応しいゴルファーを選びます。チームが二組なら二人のキャプテン、三組なら三人。全員が自分の名前を書いたボールを集合場所の地面に転がしてあるので、幹事がキャプテンのボールを抜き出し、他の大勢のボールと別けます。

幹事がキャプテンの順番を決め、それによってチーム・メンバーを選びます。ある幹事の場合は過去の勝敗に関係なくキャプテンの順を決め、別の幹事はキャプテンたちの最近の実力・戦績によって、前回負けた人を優先させます。そういう順番でキャプテンがチーム・メンバー1人を選びます。【七人の場合はスリーサムのキャプテンを優先させます】キャプテンは選んだメンバーのボールを自分のボールの傍に並べます。次のキャプテンが彼のチームの最初のメンバー1人を選び、そのボールを自分のボールの脇に並べます。これを繰り返して、チームが構成されます。

私がキャプテンの時はゴルファーの腕前と最近好調であるかどうかでメンバーを選びますが、他のキャプテンには自分との相性や一緒に廻って楽しいかどうかでメンバーを選んだりする人もいます。

以上のように、チーム・メンバーが毎回変わるので、馴れ合いでインチキすることもなく、フェアなゲームが保たれています。

(January 19, 2021)

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