Golf Tips Vol. 174

ツァー・キャディの仕事

この本の著者Dave Hill(デイヴ・ヒル、1937〜2011)は、メイジャーではU.S.オープンニ位が最高でしたが、PGAツァーその他で25勝を挙げたツァー・プロ。気が短く、クラブを折って罰金を取られたり、1970年のU.S.オープン開催地だったRobert Trent Jones(ロバート・トレント・ジョーンズ)設計のHazeltine National G.C.(ヘイゼルティン)を「ここに欠けているのは80エーカーのトウモロコシと数頭の牛である。連中はこのコースを造ることで、良い農地を台無しにした」と酷評したり、85を叩いたトーナメントでバンカーから“手の5番”を使ったり、それで500ドルの罰金を取られるとPGAツァー相手に訴訟を起こすなど、ツァーの名物男であり問題児でもありました。

'Teed Off'
by Dave Hill and Nick Seitz (Prentice-Hall, Inc., 1977)

「キャディは先ず当てに出来る存在でなくてはならない。彼が遅刻したり二日酔いで現われるのを心配するのはご免だ。彼はルールも知っているべきで、私より先にバンカーに入ってレーキを使ったりして、私に馬鹿げた二打の罰を与えたりしてほしくない(そんなことをした地付きのキャディを何度も見たことがある)。キャディは、私のクラブとボールを常に綺麗にしてくれる。私は彼を信頼出来る。彼は私の車を運転し、私の子供たちの面倒も見る。

キャディの仕事は、月曜と火曜にヤーデージを得ることから始まる。彼はコースを歩き、ティー・ショットの着地点からのヤーデージを計算する。彼は目印として薮とかスプリンクラー・ヘッドとか何かを用い、グリーン中央からボール位置までどれだけあるかを知る。トーナメントの四日間、毎朝コースを歩き各グリーンのピンの位置をメモする。仮に私が左のラフに打ったとすると、彼はヤーデージのためのチェックポイントへ赴き、私のボール位置までの距離を歩測する。そして、ピンの位置を勘案し、ホールから174ヤードであると私に告げる。170とか180ではなく、174である。それは大した違いではないように思えるかも知れないが、クラブ選択にとっては極めて重大であると断言する。なぜなら、10ヤード違えばクラブを替えねばならないからだ。6番アイアンが必要な際に、7番アイアンを打ったら、私は池やバンカーに入りかねない。あるトーナメントで、私が地付きのキャディにピンまでの距離を聞いたら、127ヤードだと云った。彼は確信があるようだったので、私はそれを信じた。私のボールは遥かにグリーンを越え、ジャングルに突入し、乗せるまでに二打費やしてしまった。後に、私が自分で歩測すると、その距離はピンまでたった106ヤードだった!彼のミスは単純計算で私に3,000ドルの損害を与えた。

単なるヤーデージでなく、ヤーデージのタイプが重要である。トップ・クラスのキャディは、私に『距離は172ヤード』と告げた後、もの静かな声で上りなので182ヤードとプレイすべきだと警告するとか、グリーン手前の凹みによって距離を間違えやすいとか、ふわふわしたライだから通常より飛距離が増してしまうなど等を思い起こさせてくれる。われわれは彼がヤーデージを示してくれた後、詳細について話し合う。
私「5番じゃ飛び過ぎる?」
キ「6番で充分でさあ」
私「カップの手前につけて、下りのパットを避けたいんだ」
キ「5番だとカップの上になりやすぜ」
多分私は6番を選ぶだろう。しかし、私はキャディにどのクラブを使えとか云われたくない。彼がヤーデージを教えてくれ、もし私がクラブ選択の決断を下せなければ、私は詳しく質問し、彼が答える。彼は自分からべらべら情報を喋ったりしないし、私はそれを禁じる。私は最初に自分の印象を構築したいからだ。そのショットを放つのは私以外にいないからだ。

 

90を切るのに四苦八苦している平均的ゴルファーは、正しいヤーデージの必要性を過小評価している。先ず、練習場で時間をかけ、バッグの中のそれぞれのクラブでどの程度の距離を飛ばせるか知るべきだ。その際、練習ボールではなく、ラウンドで用いる良いボールを使うこと(あなたがラウンドで練習ボールを使うのなら別だが)。あなたが同じコースで何度もプレイするなら、目標物(樹木とか電柱とか)によってグリーン中央からの距離を得るのは容易である筈だ。その距離に相応しいクラブがどれか分らなくては、自信を持って打ち、いい結果を得ることは不可能である。あなたが平均的ゴルファーで、ツァー・キャディがあなたのクラブ選択を助ければ、あなたのスコアを六打縮められると断言する。

プロのキャディは、私の妻と同じように私の性格をよく知っている。ことゴルフに関しては、妻よりも私をよく知っている。彼は素人心理学者のようでもある。メンタル面で私を助けてくれることに較べれば、クラブ選択は彼の貢献度の中では小さな部分と云える。私は直情的で、せっかちな人間なので、トーナメントのプレッシャー下では突進しがちな悪癖がある。ツァー・キャディは私があまりにも早くプレイし出すと、わたしをスローダウンするための目立たない策略を用いる。ティー・グラウンドを離れる時にわざとぐずぐずしたり、ヤーデージの歩測に時間をかけたり。時々彼はバッグを数分間地面に置きっ放しにしたりする。クラブ無しでは私は何も出来ない。

私はひどいショットを放つと自分に腹を立てる。キャディは私を常態に戻そうと次のようなことを云う、『今度はスムーズなスウィングをして下せえ。あの2番ホールのティーでやったような、スムーズな奴を。あれが毎回ほしいんでさあ』彼はネガティヴな想念をポジティヴに置き換える。ゴルフは90%メンタルだ。いいキャディは絶対に失望を表に表さない。いいキャディは馬に乗っている騎手より重要だ。トップ・クラスのプロのキャディは、賞金ランキング60位のプロより収入が多い。

キャディは誰にでも出来る仕事ではない。最近のバッグは目一杯詰めると数百ポンドの重さになる。キャディは夜明けにピンの位置を確認し、ラウンド前と後に少なくとも一時間ずつ練習場でボール拾いをする。私は不調の時はラウンド後五時間は練習する」

[icon]

上の本は大分古いので、現在とは事情が異なる部分があります。現在のキャディたちも、ピンの位置は毎朝確認するでしょうが、練習ラウンドでは歩測よりヤーデージ・ファインダーを使っていると思われます。また、大きなトーナメントでは主催者が練習ボールをふんだんに用意しているので、キャディがボールをミットで受け止めたり、拾い集めたりはしないで済んでいます。

「キャディ三原則」
1. "Show up"(トーナメント会場に間違いなく定刻に現れること)
2. "Keep up"(プロに遅れないでついて歩くこと)
3. "Shut up"(余計な口を叩かないこと)

【参考】
・「PGAツァー・プロキャディの給料」(tips_106.html)
・「キャディ秘話」(tips_154.html)
・「Jordan Spieth(ジョーダン・スピース)の栄光の蔭に」(tips_166.html)
・「妻がキャディと呼ばれる日」(tips_77.html)

(August 17, 2016)

Nick Faldo(ニック・ファルド)がキャディに求めたもの

Nick Faldo(ニック・ファルド)は、「キャディ三原則」の"shut up"(余計な口を叩くな)に反することをキャディに求めました。

[Faldo]

'Driven—The Definitive Biography of Nick Faldo'
by Dale Concannon (Virgin Books Ltd., 2001, $27.00)

「1980年代にヨーロッパのトップ・プロの一人となったNick Faldo(ニック・ファルド)は、90年代に入って世界制覇を目指した。過去数年の努力が実を結んだこの十年は、自分の最高の十年になると考えた。だが、重要な変更がまだ済んでいなかった。キャディの変更である。

Nick Faldoはコースで相談出来る相手、まずい状況になった時に彼を励まし、鼓舞してくれる相手を必要としていた。これまで彼のキャディを勤めているAndy Prodger(アンディ・プロジャー)は、とても有能だったが、口数少なく、内気な、大人しい人柄で、「キャディ三原則」を忠実に守っていた。Andy Prodgerは四年半前にNick Faldoに雇われたのだが、この小柄なロンドンっ子はNick Faldoを最高にサポートしていた。キャディとしてだけでなくNick FaldoファンでもあったAndy Prodgerに、Nick Faldoとの別れ話はショックであった。

『Nick Faldoと一緒に1989年の暮れに日本とオーストラリアに行き、「じゃ来年また会いましょう」と云って家に帰った。しばらくして彼から電話があり、「おれたちは終わりだ」と簡単至極に云った。それがさよならであり、ありがとうだった。われわれはその年the Masters(マスターズ)を含む五つのトーナメントに優勝していた。1987年の全英オープン優勝やその他でも彼と一緒だった。だから、私はキャディとしていい仕事をしていた筈だ。彼は、私が充分喋らないと云った。何を喋れってえの?ボールを打つのは彼なんだからね。結論として、私はそんな風に薄情な扱いを受ける謂れはないと思ったよ』

1980年12月にAndy Prodgerを解雇したNick Faldoは、当時22歳のスウェーデン生まれの女性ツァー・キャディFanny Sunesson(ファニィ・スーネソン)に電話し、翌年自分とのキャディを勤める気はあるか?と尋ねた。世界のトップの一人と仕事出来ることにFanny Sunessonは有頂天になった。

【編註】Fanny Sunessonは当時Howard Clark(ハワード・クラーク)のキャディでした。Howard ClarkはDavid Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)のコーチを受けており、同じ門下のNick Faldoのキャディとして彼女をDavid Leadbetterに推薦したのでした。

Nick Faldoは彼女の他のプロとの仕事ぶりをいくつかのトーナメントで目にしていた。「彼女は自信たっぷりで明快だった。いつも彼女がプロを励まそうとする言葉が聞こえた。当時、私はそのようなサポートを彼(Andy Prodger)から受けていなかった。私が3メートル以内で六パットもするのを見ていて、彼が何も云わないというのは私には理解出来ないことだった」

トレードマークのポニーテールをした好ましいスウェーデン人こそ、Nick Faldoが必要としたものだった。常に笑みをたたえ、つられてこっちも笑い出すような大らかな性格のFanny Sunessonと彼女の新しいボスは直ちに意気投合した。Nick Faldoは、彼の気分を読んで適切に反応し、逆境で精神を高揚させてくれる人物が必要だった。それには"Miss Funny Fanny"(ミス・ファニィ・ファニィ)が適任だった」

こうしてペアを組んだ二人は、1990年から1999年までthe Masters二回優勝、全英オープン二回優勝を始め、世界中で大活躍します。1999年、Fanny Sunessonの方から辞意を表明し、Sergio Garcia(セルジオ・ガルシア)その他のキャディを勤め、Henrik Stenson(ヘンリク・ステンソン)のバッグを担いだのを最後に、彼女は2012年にキャディ業から引退し、コーチ兼アドヴァイザーとして働いているそうです。

(August 17, 2016)

キャディたちへの助言

1900年の'LIFE'誌に掲載された漫画。題名は'Advice to caddies'「キャディたちへの助言」。


[advice]

右後方で汗を拭いている男がボールを探しているキャディたちに呟く。「ゴルファーでなく、ボールを見ていれば時間を節約出来るのに…」


(August 17, 2016)

君よ憤怒のウォーター・ハザードを渉(わた)れ

Tommy Bolt(トミィ・ボルト、1916〜2008)は1958年のU.S.オープン優勝ほか、全18勝を挙げており、ゴルフ名誉の殿堂入りしている名人。彼の渾名は"Thunder Bolt"(サンダー・ボルト、雷電)で、怒りっぽく短気で、試合中にクラブを投げたり、折ったりしたことで有名です。

[Van-de-Velde]

'How to Keep Your Temper on the Golf Course'
by Tommy Bolt with William C. Griffith (David McKay Company, Inc., 1969)

「ウォーター・ハザードはたった一打で、高価なボールと共にあなたの尊厳、平常心、マッチ・プレイのホールなどを失わせるゴルフコースで唯一の場所である。水難を配置したホールは、バンカーやラフ、林などの障害物とは類を異にし、もっと悪質なものであり、法的・倫理的に非常に疑問のある存在だ。

ウォーターハザードは平均的ゴルファーの自信を失わせ、そのティー・グラウンドにおいてバッグから傷だらけの古いボールを取り出させるような、敗北主義者的行動を取らせる。ウォーターハザードにはラッキーな【編註:ゴロでもバンカーを転げ上がって1オンするような】チャンスはゼロである。一度水に入ったらお終いなのだ。たった一度の悪いショットに残酷で異常なペナルティを課される。

ウォーターハザードを発明した輩には、白人開拓者を捕らえたインディアンのように、さあこいつをどうやって料理しようかという残虐さが窺える。ウォーターハザードは、スポーツの歴史の中で疑いもなく最も卑劣な仕掛けである。それは恫喝し、略奪し、激怒させる以外に理論的理由が全く見当たらない障害物だ。それらの大半はあなたのゲームの肉体的・心理的双方の弱点につけ込み、あなたのスコアにダメージを与えるために配置されている。

あなたはどれだけ多くのコースで、最終ホールあるいはその近辺にウォーターハザードが置かれているか気づいているだろうか?それは明らかに、素晴らしいスコアでプレイして来たあなたをやっつけるために待ち構える絶好の場所であり、あなたのスコアを悪質な水しぶきと共に一気に雲散霧消させ、あなたの夢と希望の全てを無価値なものにしてしまうのだ。

他のどんなゲームでも、そのような意図的妨害工作は遥か昔に禁止されている。例えば野球のビーンボール(投手が故意に打者の頭部を狙って投げる球)やボクシングのロープロー(相手のベルトより下を打つこと)などだ。だがゴルフにおいては人間の人間に対する悲しむべき非人道的行為の例証として残存し、立派なスポーツの形体の一つだなどとみなされている。

あなたは私の論旨が一方的であると考えるかも知れない。私もそれを認める。妥当なウォーターハザードは肉体的というより心理的障害物である。ウォーターハザードの大半はまずまずのショットによってキャリーで越えられ、理想的にはいいゴルファーにとってハザードなど存在しないかのように無頓着にティーアップし、グリーンに向かって強打出来るものだ。ただし、それはあなたがクラチャン優勝目前でない場合の話だ。そんな状況では、目の前の池は突如アメリカ五大湖の一つであるミシガン湖のように大きく見え、長く忘れ去っていた過去のトップによって濁った水底に眠るボールを想起させることになる。

1964年のBing Crosby Pro-Am(ビング・クロスビィ・プロ=アマ、現AT&Tナショナル・プロ=アマの前身)でのArnold Palmer(アーノルド・パーマー)は、どのショットにも自信を持っていた。ギャラリーは彼を愛し、彼は巨人のようにゴルフを支配していた。Pebble Beach(ペブル・ビーチ)のNo.17(208ヤード)パー3で彼がボールを海に打ち込み、それから起った出来事を私はゴルフの歴史の汚点であるとみなしている。この特定のホールの挿話は、私がこの章で云わんとしているポイントの金切り声を上げるような実例である。このホールは恐らく広い世界の中でも最も卑劣で意地悪でプレイ不能なもので、(気づいてますか?これもNo.17なのだ)、あなたのスコアを壊そうと配置されている。

このホールでグリーンに届かせるには、油断のならない海風が吹き渡る左のラテラル・ウォーターハザード(太平洋)を越えて、およそ222ヤードのフックを打たねばならない。あなたがArnie(アーニィ)のようにフックを打つと、そこは崖の下になる。TV解説者Jimmy Demaret(ジミィ・デマレ)は『ボールが水に入った地点に最も近い陸地でドロップ出来るのはハワイである』と云った。Arnold Palmerは岩の間の打つことなど不可能な場所にドロップしたが、そこからは垂直な打ち上げとなる。しかも、バックスウィングを始める度に打ち寄せるさざ波の合間を縫って打たねばならない。Arnieはくるぶしまで水に浸かって、ルールブックが示唆する通り忠実に実行すべく立っていた。そこへトーナメント責任者がやって来て、乾いた土の上から打つことを許すという重大な決定を伝えた。言葉を替えれば、ついに健全性が勝利し、多分危険な前例が作られたとも云える。

この茶番劇が続いている間、数千人のギャラリーと数百万のTV視聴者が見守っていた。あなたも見た筈だし、みんなが見ていた。Arnieはそこに無意味に一時間いたようだが、面白可笑しいなどというものではさらさらなく、Arnieにとってだけでなくわれわれ全てにとってまさに惨めで気恥ずかしく、最高に恥辱的事態であった。

公衆の面前でプレイヤーを拷問の対象にするとは一体何たるゲームなのか。あなたはBabe Ruth(ベイブ・ルース)、Joe Lois(ジョー・ルイス)、Bill Tilden(ビル・ティルデン、テニス選手)などが、このように馬鹿げた屈辱的な立場に追い込まれたのを見たことがあるだろうか?ゴルフの歴史の中の偉大なプレイヤーの一人が、数万人の前で馬鹿げて見えることを余儀なくされたのだ。他の文明化されたスポーツでこんなことを一分でも許すものなどないのに、ゴルフはジェントルマンのゲームだなどと思われている。

ギリシア時代のボクシングは真鍮のナックルを嵌めて行われていたが、それが剥き出しの拳となり、最後に文明化された時代となって8オンスのパッド付きのグラヴを用いるようになった。フェンシングはかつて本物の剣だったし、ローマン型レスリングも二人の人間の戦争だったが、それも現在は変わっている。こうなると、闘牛と水難が待ち構えているゴルフのホールの二つだけが、いかに人間が血なまぐさい蛮人であったかの痕跡を留めていることとなろう。唯一、ゴルフだけが企まれたペテンを許している。

池を前にしたゴルファーが生まれついての負け犬なら水しぶきを覚悟しているだろうが、彼の血に闘争精神が一滴でも残っているなら、彼はボールの水没に頭に来る筈だ。そもそもゴルフコースへは楽しみを求めてやって来たのに、とんだ見世物を演じるわ、ボールは失くすわ…というのは激怒すべき不可解な成り行きである。頭に来ない何かいい理由などあるものだろうか?正義はどこへ行ったのか?ほんの一寸完璧でないショットを放っただけで(多くの場合、向こう岸に数センチ及ばなかっただけで)、謂れのない重い罰を受けねばならない。これが汚れなきスポーツと云えるだろうか?

では、池や小川が配されたホールでどうすべきか?正直云って私には分らない。このテーマについてリサーチもしたし、プロ仲間や一般ゴルファーにも聞いて廻った。誰もが水難に遭うと頭に来ると云った。だが、これに対する特効薬はない、読者が何か助けとなる策を御存知なら、是非お聞かせ願いたいものだ」

【参考】
・「池越え連続失敗のトラウマを消去する」(tips_148.html)
・「池越えの秘訣」(tips_14.html)
・「ボールを池に叩き込め!(続・池越えの秘訣)」(tips_45.html)
・「続々々・池越えの秘訣」(tips_87.html)【←当サイトの池越え特効薬】

(August 28, 2016)

Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)二年連続の水難

これは'Playing by the Rules'(2002, Simon & Schuster)というルールに関する単行本にArnold Palmerが執筆したものを'Golf Digest'誌が抄録・掲載したもの。1964年の水難は、上のTommy Bolt(トミィ・ボルト)の記事を当事者の観点から読めます。

[Palmer]

'The rules and me'
by Arnold Palmer ('Golf Digest,' April 2002)

「ウォーター・ハザードとラテラル・ウォーター・ハザードは扱いにくい代物だ。なぜなら、それらは多くの異なる水域と、プレイ条件とを包含しているからだ。定義:ウォーター・ハザードとは『…海、池、川、溝、排水路、あるいは開渠(水の有無を問わない)、そしてそれに類似した自然環境…』 つまり、パー3の背後の排水溝から太平洋までを含んでいるわけだ。私は、私のゴルフ人生で忘れ難い(しかし、早く忘れたい)水難事件を二回も経験した。

奇妙なことにどちらの水難事件も、異なる年のPebble Beach(ペブル・ビーチ)で開催されたBing Crosby Pro-Am(ビング・クロスビィ・プロ=アマ、現AT&Tナショナル・プロ=アマの前身)の三日目のNo.17(パー3)で発生した。

1963年、私はボールをグリーン・オーヴァーさせ、多分海に打ち込んだと思われた。私は海をどう扱っていいか不確かだったので、オリジナルのボールが見つからないかプレイ不能の場合に備えて暫定球を打つことにした。私は、これをプレイのスピードアップのために行ったのだ。もし、私のオリジナルのボールが見つかれば、単純に暫定球を放棄し、プレイを続行する。もし、オリジナルのボールが見つからなければ、ストロークと距離のペナルティを払って暫定球をプレイする。

一つ問題があった。オリジナルのボールがウォーター・ハザードに入ったと知っていたなら、暫定球は打てないのだ。海はウォーター・ハザードだから、私がティーから第二打を打った時点で、私は実際にはオリジナルのボールを放棄したと看做されてしまう。海をどう扱うべきか知らなかったという云い訳は通らず、グリーンの後ろの岩の間にオリジナルのボールを見つけ、それをプレイした時、実際には私は自分のボールでないボールをプレイしたことになる。

[Palmer]

二日後、私がクラブハウスに座っていると、競技委員がやって来て、私は失格となったと告げた。理由は私が三日目No.17での誤球による適切なペナルティを加算せず、ミスを訂正しないスコアカードにサインした…というものだった。この失格は47週連続で本戦進出を決めていた私の記録に終止符を打った。それ以後、私は暫定球を打つ前に、どんな場面であれ状況をチェックするのを常とするようになった。

一年後の1964年、同じホール。又もや惨事に見舞われた。また失格になる可能性もあったのだが、今回はそれだけは免れた。又も三日目、しかも同じNo.17のグリーンをオーヴァーさせてゴルフ・コースと海とを隔てている岩に打ち込んでしまった。今度は、一年前のように暫定球を打つのでなく、岩のところまで下りて行き、自分のボールを見つけた。

私はそこから打てると確信したので、ウェッジを取り上げてスウィングした。ボールが岩からの脱出に失敗し、最初の場所よりもっと困難なところで止まった時、私は興味深い状況に陥ったことを知った。救済を求めたければ一打の罰でa) 元の場所に戻ってドロップするか、b) ハザード外で最後にプレイしたところに戻るか、c) カップとの延長線上でハザードの外に出るか。その時のTV解説者Jimmy Demaret(ジミィ・デマレ)は『ルール上、最も近いドロップ地点はホノルルだ』と冗談を云った。しかし、私はどの選択肢も行使しなかった。その代わり、私はハザードからスウィングすべく、20分以上そこに留まっていた。三人の男性と一頭の迷い犬が、興味深く私を見守っていた。【註】私はこのホールを9で上がった。

【編註】ここにはTommy Bolt(トミィ・ボルト)が述べている「トーナメント責任者がやって来て、乾いた土の上から打つことを許すという重大な決定を伝えた」という部分は(巧妙に?)省かれています。なお、この時の写真には岩の上に十人の男性が写っていますが、Arnold Palmer本人と彼のキャディ、USGAの競技委員、Jimmy Demaretかどうか不明ですがマイクを握った人物、そして音声ケーブルを捌いているTV局に雇われた人間…を除く五人が見物人ということになります。

私が大失態の後クラブハウスに入ると、バーテンが新しい飲み物を発明していて、それを私に差し出した。『なんて名だい?』私が聞いた。『パーマー・オン・ザ・ロックスと、ポーカー・フェースでバーテンが答えた。【編註:ここでは"rocks"は「氷塊」ではなく本来の「岩」の意】』私は当時もそれを気に入らなかったし、今でも嫌いだ」

【おことわり】画像はhttp://media.golfdigest.comにリンクして表示させて頂いています。

(August 28, 2016)

Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)の食生活 [Gary Player]

Gary Player(ゲアリ・プレイヤー、1935〜)の身体鍛錬は有名です。彼は一日一時間、週五日、世界のどこを旅していようと、宗教的なほど身体鍛錬のスケジュールにこだわります。彼はエアロバイクの30分でスタートし、ストレッチングを行い、300回の腹筋運動を続け、ヨガも行うそうです。以下は、あまり知られていない彼の食生活について。

'The Senior Tour and the Men Who Play It'
by Steve Hershey (Doubleday, 1992, $30.00)

「Gary Playerが1952年に17歳でプロになった時の体重は68キロ、38年後の1990年にシニア・ツァーの一つに参加した時の彼の体重は69キロで、お腹に5センチほど肉をつけていた。彼はメタボリズムのせいで時々腹一杯食べるが、夕食では絶対にそういうことはしないそうだ。

『特別なダイエット・プログラムに従っているわけではない』とGary Playerは云う。『いい食生活は大事なものだが、脂肪の多い食べ物や過度の糖分の摂取は控えるべきだ。私は全粒パンやシリアル、果物などの繊維質を好む。鶏肉や魚、サラダ、蒸した野菜、ベークト・ポテトなどを楽しむ。カフェイン抜きのコーヒーや紅茶と沢山の水を飲む。

私が避ける食べ物はポーク、ベーコン、バター、クリームなどの揚げたものとか脂肪の多いものだ。こういう食べ物は人を太らせ、エネルギーを奪ってしまう。そりゃ私だって時々牛肉のような赤肉を食べるし(それも十日に一度くらいだが)、旅に出ている時はベーコン・エッグも食べる。しかし、頻繁にではない』

Gary Playerと、彼の仲良しであるChi Chi Rodriguez(チ・チ・ロドリゲス)の二人がディナーを共にしているのを見るのは興味深いものだ。彼らは同い年の生まれで、どちらも健康で引き締まった体型であるが、二人の食習慣は全く異なっている。Gary Playerがカレイ、蒸したカリフラワー、サラダと、タンニンやカフェイン抜きのハーブティーを飲むのに対し、Chi Chi Rodriguezはレアのステーキ、フレンチ・フライを食べ、その日十杯目のコーヒーと煙草で仕上げをする。不思議なことにChi Chi Rodriguezは実質的に禁酒主義者なのに反し、Gary Playerは時々ウィスキーやビールを飲む。彼は、全く飲まないより適度に飲む人間の方が長生きするという科学的根拠があると云う」

(August 31, 2016)

レーズン(干し葡萄)を携行せよ

'The Best Golf Tips Ever'
edited by Nick Wright (Contemporary Books, 2003, $24.95)

「伝説的プロGary Player(ゲアリ・プレイヤー)は云う、『あなたの身体は車のエンジンのようなものだ。燃料を補給しなければガス欠になる。だから、私はいつもレーズンをバッグに入れておき、ラウンドの間に食べる。レーズンはエネルギー源であり、消化し易い』」

(August 31, 2016)

ゴルファーが最低知っておくべき栄養学

スポーツ心理学者Dr. Guy S. Fasciana(ガイ・S・ファスキアナ博士)による栄養学。

'Golf's Mental Magic'
by Dr. Guy S. Fasciana (Bob Adams, Inc., 1994, &12.95)

「・ラウンド前の食事

大方の栄養学者は、プレイの二時間前の食事を避けるよう警告する。彼らは複合炭水化物(パスタなど)を含んだ食事を推薦する。脂肪分の多い食べ物(ハンバーガー、フライド・ポテト、鶏や魚のフライなど)は消化に時間がかかるので避けるべきであり、繊維質の豊富な食べ物も腸の運動を増進するのであなたを落ち着かなくするし、香辛料の強い食べ物も消化不良を起こす恐れがある。

・栄養摂取に関する神話

a) 『ラウンド前に高濃度の単糖類を摂取すると、急速にエネルギーを爆発させることが出来る』

これは間違っている。単糖類に属する食べ物は蜂蜜、ソフト・ドリンク、甘いお菓子、果汁などであるが、高濃度の単糖類は摂取後数時間経つと血糖値を下げ、ゴルファーの心身をだらけさせてしまうので逆効果。

b) 『ヴィタミンはエネルギーを与えてくれる』

既知の14種のヴィタミンのどれもエネルギーとは無関係である。

c) 『アンフェタミン(覚醒剤の一種)は競争力のエネルギーを生む』

そのような確証はない。逆にアンフェタミンが有害であることには膨大な証拠が存在する。それは血圧、心拍数と新陳代謝を増加させ、実際にはイヴェントの間のエネルギーを減少させてしまう。

d) 『競技中の水分摂取は胃の具合を悪くし、行動のスロー・ダウンを招く』

これは間違い。人体の2/3は水分であり、毎日約2リットルの水分補給が必要である。われわれは一日約2リットルの水分を排出するが、その2/3は尿として、1/3は汗と呼吸の排気時に蒸気として排出される。軽度の脱水症状でもパフォーマンスを阻害し、疲れやすくなり、パワーを失う。ラウンド中の水分補給は必須である。重度の脱水症状では血圧が下がり、腎臓がダメージを受け、熱中症や熱射病を患う恐れがある。

e) 『ラウンド前にステーキや卵を食べるとパフォーマンスを向上出来る』

 

競技前の高蛋白、高脂質の食物の摂取はエネルギーともパフォーマンスの向上とも無縁である。競技の数時間前のこうした食事は胃のむかつき、消化不良、吐き気などの原因となりかねない。

結論として、われわれは脂肪分の高いものや高濃度の単糖類の摂取を避け、水分を充分に摂取するべきである」

(August 31, 2016)

 

Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)の老化現象考

 

'The Senior Tour and the Men Who Play It'
by Steve Hershey (Doubleday, 1992, $30.00)

「年をとると、目と神経の二つがコントロール不能になる。知覚の深度も失う。それはパッティングよりチッピングに悪影響を与える。グリーンから40〜50ヤード離れていると、ピンからどれだけ遠いのか判断するのが困難になったりする。フルショットする時ならキャディがヤーデージを教えてくれるだろうが、短いチップでは自分の目を信じるしかない。

あなたの目はロング・パットであなたを騙したりもするが、短いパットをミスしたらそれは神経の仕業だ。われわれ誰しもがそれを経験するのであって、どうしようもないものだ。若い時には全ての2メートルのパットを捩じ込んで当然と思う筈だ。だが年をとると、その距離はミスして当然であることを実感する。なぜなら、それまでに数え切れぬほどミスが続き、とっくにうんざりさせられているからだ」

[icon]

加齢は乱視の影響を強めるそうなので、パットの方向ミスが乱視による狙いのミスである場合もあり得ます。乱視ゴルファーは利き目だけで狙いをつけるべきです。

【参考】「乱視ゴルファーへの警鐘」(tips_158.html)

 

(August 31, 2016)

Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)のバンカー・スタット

Arnold Palmer(アーノルド・パーマー)の本に出て来たGary Player(ゲアリ・プレイヤー)の実話。

'Go for Broke'
by Arnold Palmer with William Barry Furlong (Simon and Schuster, 1973)

「プロたちはバンカーの砂の質を調べるため、練習ラウンドではわざとバンカーに打ち込んだりするが、トーナメントの最中に意図してバンカーに入れたりはしない。何人かのプロ(とりわけGary Player)は、しつこくバンカー・ショットの練習をする。彼らにとっては、バンカーは厄介ではあるが真の障害物ではないのだ。

1969年だったと思うが、PGAツァーでGary Playerは92回グリーンサイド・バンカーに捕まった。そこから二打以内でホールアウトした数84回。つまり、彼にとってグリーンサイドの罠は2パットの範囲と同じだというわけである」

(August 31, 2016)

ツァー・プロと同じボールを使うな

ボール会社の広告も大きな収入源であるゴルフ雑誌には載せられない記事。筆者はGolfTec(ゴルフテック)のクラブ・フィッティング部門責任者のDough Rikkers(ダグ・リッカーズ)。

'Golf Magazine's The Par Plan'
by Dough Rikkers
powered by GolfTec edited by David Denunzio (Time Home Entertainment Inc., 2013, $29.95)

「多くのゴルファーは(頷けることではあるのだが)プロと同じ型のボールを使うのが一番いいのだろうと考える過ちを犯す。それらは(三層〜五層の)マルチ・レイヤーのデザインで、高いスピン率、低スピードのウレタンカヴァーで、ドライヴァーのためには低スピン、ウェッジのためには高スピンという傑出した組み合わせなのだが、これは誰にでも相応しいボールというわけではない。

短いショットにおける高スピンは、もしあなたがそういうショットを手堅くコントロール出来るなら最高に望ましいものの、もしそうでなければ高スピンは実際にはボールをピンに近づけるのを困難にする。あなたがグリーン周りでボールをスピンさせ、それをコントロール出来、アプローチ・ショットの軌道をも操れるのであれば、この種類のボールはあなたに向いている。

だが、ツァー・モデルで名称に"x"のついたボール【編註:Pro V1x】は要注意だ。これはスウィング速度の早いプレイヤーのためにデザインされた、ドライヴァーやロング・アイアンで極端にスピンを抑えるタイプだからだ。もし、あなたのドライヴァーのクラブヘッド・スピードが100 mph (44.7 m/s)以下なら、他の種類のボールを使うべきだ。

近年、目覚ましく改良されたボールは、ツァー・ボールまがいの2ピースあるいは3ピースデザインのボールである。これらは概ねソフトコア・コンプレッションとソフトなサーリン・カヴァーを売り物にしている。これらのボールはツァー・ボールほど値段が高くないだけでなく、並のクラブヘッド・スピードの持ち主でもティーから距離を稼げることが多く、しかもグリーン周りでのようにスピンがかからない。

今日入手出来る人気ボールには、低いコンプレッションの種類【編註:Precept Laddieなど】があるが、これはクラブヘッド・スピードの遅いプレイヤーのために特別にデザインされたものだ。これらは最もソフトなコアで構築されており、固いタイプより容易に押し潰すことが出来る。素材の製造技術の進歩により、これらの多くは充分なショート・ゲームの性能を提供するようになり、広範なプレイヤー層を助けている」

[icon]

以下のページに、アメリカで販売されているボールのコンプレッション一覧があります。 http://golf-info-guide.com/golf-tips/equipment-choices/golf-ball-compression-chart-and-rank/

(September 07, 2016)

ショートゲーム抜きの上達はない

 

'Scrambling Golf'(窮地脱出のゴルフ)から、ショートゲーム熟達の勧め。

'Scrambling Golf'
by George Peper (Prentice-Hall, 1977)

「ショートゲームはプロにも極めて重要だが、アマチュアにとってはもっと重要である。生活のためではなく、スコアを減らし、よいゲームをするために。

アマチュアの比較的不安定なアイアン・ゲームは、グリーン周りから数多くの三打目、四打目を打つことを余儀なくさせる。その数はプロよりも遥かに多い。プロはアイアンをグリーンの上に打つのに対し、アマはグリーンの近くに打つ。

ショートゲームの上手い週末ゴルファーは、しばしばパーをセーヴし、時折バーディをものにする。寄せワンを達成出来ないゴルファーは、スコアカードに数多くの"6"を記入することになる。その理由だけをとっても、アマチュアにとってはショートゲームは練習の筆頭に来るべきものだ。悲しいかな、ショートゲームの練習は常に最後の最後である。

誰もがティーショットをドカーン!と飛ばし、練習マットの上から5番アイアンを引っぱたくのを好むが、練習グリーンの周りの練習に時間をかけるゴルファーは少ない。グリーンの上での練習をする人はいる。しかし、その周りには誰もいない。これは恥ずべきことだ。ショートゲームがとても重要だという理由だけでなく、それがさほど時間をかけなくても容易に上達出来るという理由からだ。

プロとトップ・アマだけが、長く真っ直ぐなドライヴとフェアウェイでのショットを打つ能力を備えている。だが、誰でもよいショートゲームを構築することが出来る。ショートゲームにパワーは不要で、正確さだけが必要だ。それは書物から学ぶことが可能だし、練習によって磨きをかけられる。練習によって安定度を増し、安定性が自信を生み、自信によって突如『窮地脱出のゴルフ』の神髄であるグリーンサイドの技巧を身につけることが出来るのだ」

 

(September 18, 2016)

肥満体ハンドルへの道

私がオークション・サイトeBayで購入したR11ドライヴァーにはたまたまWinn Grip製Excel W7 Wrap Oversizedという太目のハンドルがついていました。これは"non-tapered"(ノン・テイパード)と呼ばれる先端から末端まで均一の太さのハンドルです(写真下のハンドル)。これが私に合っていたようで、このR11によって私のドライヴィングは飛躍しました。

[handles]

そして、Odyssey(オディスィ)Rossie II(ロズィー・トゥー)に10ドル分のテープを巻いた肥満体ハンドルもいい結果を生んでくれたため、私はアイアンとハイブリッドのハンドルの肥満化も考え始めました。3番ウッドと二本のハイブリッド、および5〜9番アイアンの計12本(ウェッジを除く)。調べると、Winn Grip製の肥満体ハンドルは13本セットで約80ドルと高価ですが、類似品なら送料込み約55.60ドルで購入出来ることが分りました。

私のゴルフ仲間で腰の故障でラウンドから遠ざかっている一人が、私がハンドルを購入し、交換作業を頼むだけなら一本1ドルでやってやると云ってくれました。まあ、1ドルというわけにはいかず、少なくとも各2ドルは払わなくてはならないでしょうが。

しかし、ゴルフ仲間である彼は「本当に全部肥満体ハンドルにしちゃっていいのかい?リスキーじゃないの?」と心配してくれました。そう云われると、一挙に全てを肥満体にして滅茶苦茶なゴルフになるのも恐ろしい気がします。

[feet]

で、テストとして、パターに巻いたのと同じテープを5番アイアンと3番ウッドに巻いて肥満化してみることにしました。まずければ剥がせるし、これで今よりもうまく打てるのなら、他のクラブも肥満化させようという計画。肥満化したクラブでアドレスすると、左図のように左右の足の拇指球の下方(赤丸)に体重がかかりますが、普通のハンドルだと左足は同じであるものの、右足の体重は爪先になってしまい、Wright博士によればこれでは狙った通りに打てないことになります。ある日の本番で、3番ウッドで目を見張るような(自分でもうっとりするような)ショットが出て、ついに全クラブの肥満化を決意しました。

数日悩んだ末、ウェッジを除くアイアンとハイブリッド八本を肥満化することにしました。八本なら37.70ドル(送料無料)のセット(ジャンボ+"non-tapered")が見つかったことと、以下のような理由からです。ウェッジは目一杯振るわけではなく、グリップ圧も比較的軽めなので肥満化の必要がないと思われ、現在「ピッチングとチッピングの距離調節・完全版」(tips_189)に記した方式(ハンドルに1.25センチ刻みで印をつけ、それによって距離調節をする)がうまく行っているので、出来ればハンドルを替えたくない…等々。一週間後に届いたハンドルは"Jumbo"(ジャンボ)という謳い文句ほどには太くなく、単なる"oversize"(オーヴァサイズ)でしたが、「自分の手に合ったハンドルでプレイせよ」(上方の記事)にあるように、左の薬指先端が親指の下の膨らみにかろうじて接する理想的な太さでした。例の友人にハンドル交換を頼み、翌々日クラブを受け取って、友人には20ドル払いました。

先端から末端まで均一の太さのハンドルは"non-tapered"(ノン・テイパード)と呼ばれますが、"tapered"は「先細りの」という意味ですから、"non-tapered"は寸胴(ずんどう)ハンドルです。私のようにアイアンを1.25センチ刻みで握って距離調節をする人間には、これはとてもありがたいデザイン。普通のハンドルだと先端に行くに従って細くなるので、次第に握りづらくなるからです。なお、肥満化する前のグリップ・エンドの直径は2.8センチ、オーヴァサイズのグリップ・エンドの直径は2.6センチ。先細りのハンドルのグリップ・エンドの方が太いわけです。意外や意外!

ハンドル肥満化後、アイアンとハイブリッドの方向性は抜群に良くなりました。ある日のラウンドで一緒に廻ったシニア・グループでもトップ・クラスの一人から、 "Eiji, you hit a lot of quality shots today!"(エイジ、あんたはかなりの数の上質のショットを打ってる!)と驚かれました。そう云われた時のハーフのスコアは2オーヴァーでした。

(September 21, 2016)

連れて来た娘と踊れ

その日の私のドライヴは何故かプッシュ気味でした。No.1では右の木にすれすれ、No.3でも右の林すれすれ、No.5ではついに右の大木にぶち当ててしまいました。私は「手首を折っているせいだろうか?」とか、スウィングの細部を点検し、必死に修正しようとしました。しかし、No.8でも右の木に接触して、ボールはぽとんと落下。

[dance]

お手上げとなった私は、No.9のティー・ショットでフェアウェイ中央より10ヤードほど左を狙って打ちました。久々の快打。続くNo.10も同じ方法でフェアウェイど真ん中に快打。No.11ではプルしたものの、以後ラウンド終了まで快打の連続。

ゴルフの古い諺に"You have to dance with the girl you brought."(自分が連れて来た娘と踊らなくてはならない)というのがあります。ダンス・パーティの会場で美しい女性を見つけたからといって、自分が連れて来た娘をほっぽらかしにしてはいけないというのが表面の意味ですが、余計なことを考えずその日の球筋に合わせて打てというのが真意。私の場合のその日の球筋はプッシュだったので、それに対応して早めに左を狙う作戦を採用すべきだったのです。No.9までグズグズするとは愚かとしか云い様がありません。

実は、よく考えればラウンド前の練習でもプッシュの徴候はあったのです。私はそれをウォームアップ不足のせいにしてしまい、本番では真っ直ぐ飛ばせると楽観していました。徴候を見逃したのですから、私の罪は倍も重いということになります。地震や津波の徴候を知っていて警報を出さなかった気象庁の予報官のように、減給処分を科せられて当然でしょう。

次回、もし事前の練習でプッシュするようなことがあれば、No.1のティーから左を狙うようにします。

(September 25, 2016)

アメリカ南部パブリックのホールインワン

つい最近、シニア・グループの中でも若い方の一人Richard(リチャード)が、No.12(170ヤード)池越えのパー3でホールインワンの幸運に恵まれました。

その日のゲームは三組のフォーサムが編成され、Richardは最初の組でスタート。最後の組だった私は感激の一瞬を目撃出来ませんでした。Richardの話だと、使用クラブは16°ハイブリッド。ティーからは軽い打ち上げ、しかも砲台グリーンときているので、ティーからホールインワンの瞬間は見えなかったそうです。グリーン手前に着地したボールがグリーンへジャンプしたのが見えただけ。これは彼の生涯初のホールインワンだそうで、とても嬉しそうでした。

さて、そのRichardがどのようにホールインワンを祝うか、私は興味津々でした。何故なら、シニア・グループの一人(もはや引退)がホールインワンを出した時は、このグループ内だけでなく、その日プレイした見知らぬゴルファーにも(多分50ドルの予算内で)ビールを振る舞ったそうです。しかしその後、数ヶ月の間に二度もホールインワンを達成した老人は、自分が酒を呑まないこともあって「ホールインワンって、ただのイーグルじゃん」という名台詞を吐いて、びた一文使いませんでした。そのせいかどうか(^^;;、彼は一年後に亡くなりました。

最初の組でホールアウトしたRichardは、クラブハウスで6本パックのバド・ライトを7ドルで購入しました。No.18グリーン近くにカートを並べ、後続の組が上がるのを待ちながら、彼自身が一本飲み、他の連中にも振る舞いました。彼にとって幸い(?)だったのは、下戸の人間がいてビールをパス。次のフォーサムがホールアウトしましたが、ここにも下戸がいてビールをパス。残るビールは二本。

最終組だった私はホールアウト前にRichardに近寄って祝いの言葉を述べ、ハイファイヴしました。彼が「ビール飲むかい?飲むよな」と云って、アイスボックスから一本渡してくれました。私の組のもう一人がホールアウトして、最後のビールをせしめました。最終組の残る二人にはビールは無し。ビールが飲みたいわけでもないのに、そのうちの一人が単に不公平な扱いに文句を云い続け、Richardは仕方なく「ビールを買うから、クラブハウスへ行こう」と云いました。彼はその日の賞金4ドルを得たので、それを使うつもりだったようです。文句を云った人間は、私の知る限りアルコール摂取を制限していた筈なので、本当に飲みたくて文句を云った筈はなく、実際、クラブハウスには行きませんでした。

タイトルにわざわざ「パブリックの」と断ったのは、この市営ゴルフ場はとても安いグリーン・フィーなので、貧しい老若ゴルファーのオアシスだからです。メンバー・コースだと金持ちが多いので、事情は異なるでしょう。市営ゴルフ場のマネジャーの話だとホールインワンだからと云って、普通は誰もお祝いなどしないそうです。もちろん、記念植樹などないし、パーティや記念品贈呈なんてのもありません。上のドキュメンタリー風記述をもって全て完結。6本パックのバド・ライトを7ドルで買えば済むのですから、ホールインワン保険などに入る必要はありません。

【参考】
・「いまどきのホール・イン・ワン」(tips_136.html)
・「ホールインワン・アメリカ南部篇」(tips_123.html)
・「ホールインワンって、ただのイーグルじゃん」(tips_138.html)

(September 25, 2016)

馬鹿げたミスを防ぐ

好調の後のラウンドは、必ず不調になるとまでは云えないまでも、大体においてあちこちに綻びが出ます。慢心のなせる業です。

 

最近も、ハーフを2オーヴァーで廻れたラウンドを二度ほど続け、「おれも進歩したかな?」と思った途端、次のラウンドで躓いてしまいました。No.1のティーショットをプッシュした時に反省すべきでしたが、二打目をグリーン手前のいい位置に運べたため、まだ好調は続いていると錯覚してしまったのです。ピンまで30ヤード。自分の得意芸だと思っているチップ・ショットを、カツーン!とトップしてしまい、ピンを2メートルほどオーヴァー。ピン傍に寄せて短い1パットのパー…という皮算用は脆くも御破算となり、3パットのダブルボギー。無惨なスタート。

トップはボール(あるいはクラブの接地点)を凝視しておらず、上の空の状態の時に起ります。ゴルフの好調なんていつまでも続くわけがないのに、上達したなどと思ってしまった罰です。慢心が上の空に繋がります。1ショット、1ショットを大事にしなければいけない。

いいラウンドを完遂するプロセスは、仏師の仏像作りに喩えられるかも知れません。一塊の木から仏像を作る。仏像の大まかな形を荒削りするまではラウンドの最初の1/3。そこから先は鑿(のみ)の一撃、一撃に細心の注意を払わないと全てを台無しにしてしまい、その木を捨て去らねばなりません。油絵のように上から塗り直すなんてことは出来ず、後戻りは不可能。仕上げの衣の襞や手の指、仏様のお顔などを刻む段はラウンドの最後の1/3です。神々しい仏像を作れるかどうかは、80を切る、70を切る、60を切る…等を達成出来るかどうかに匹敵します。最後まで手は抜けません。仏様の鼻を削り過ぎたり、耳を過(あやま)って削ぎ落としてしまったら、それまでの努力一切は水の泡。最後に3パットすれば、われわれの80切りも水の泡。

刀鍛冶は名刀を作るために、水垢離をとり神仏に祈願して鉄を鍛えたそうです。刀鍛冶でそうなら、仏師は当然斎戒沐浴してことにあたったことでしょう。いいスコアで廻りたいなら、われわれに必要なのもそういう敬虔な態度ではないでしょうか。「たかがスポーツに大袈裟な!」とおっしゃる?相撲はもともとは神々を悦ばせるための奉納相撲でした。相撲は神々に敬意と感謝を示す行為だったのです。であれば、神々に捧げるゴルフ・ラウンドがあってもおかしくない理屈です。

 

そこまで真剣になれないという方には、次のような方法もあります。仮想の大観衆の前でプレイするのです。

何かの間違いでマスターズに招待されてしまった。「とんでもない!」とは思ったものの、一生に一度でもいいからプレイしたいと夢に見たオーガスタ・ナショナル。折角だから招待に応じてしまいます。大観衆がティー・グラウンドの周囲やフェアウェイの左右はもちろん、グリーンまでも何重にも取り囲んでいます。観衆だけでなくTVカメラにも一挙一動を見つめられています。鼻くそをほじったりすることは出来ません:-)。

そういう大観衆の前ではベストを尽くすしかありません。ダフったりトップしたりホームランを出したり、3パットするなんぞは日本の恥です。そう考えれば、一打一打を丁寧に打とうという気になろうというもの。気の弛みや不注意による馬鹿げたミスが防げるので、一世一代のラウンドが出来るかも知れません。日頃からこういう仮想の大観衆に慣れておくことは、メンタル的に誰にでも役立つ方法かと思われます。

(September 25, 2016)

Sam Snead(サム・スニード)かく語りき

'My shot'
Interviewed by Guy Yocom {'Golf Digest,' April 2002)

[Snead]

「スポーツ記者たちは、1930年代に私を"Slammin' Sam"(飛ばし屋サム)と呼び始めた。私はそれが気に入らなかった。私がツァーに初めて参加した頃に付けられた"Swinging Sam"(スウィンギング・サム)というニックネームの方が好ましい。その名は私のパワー、スムーズさ、そしてリズムを象徴していた。人々は"Slammin' Sam"がいいと思ったのだろうが。

忙しなく喋り、そわそわと動く人は、一般的にゴルフするのに苦労するね。

人々は常に私が"natural swing"(生まれ持ったスウィング)の持ち主だと云う。彼らは私が努力家じゃないと考えている。だが、私が若い頃は、一日中プレイし練習し、さらに自動車のヘッドライトを照らして夜も練習したんだ。手に血が滲んだ。私ほど懸命に努力した者はいない。

ドライヴを真っ直ぐ打つのが正真正銘難しいのは間違いない。だが、私はデッド・ストレートに打とうと努力した。これだと、フックしてもスライスしても10ヤード横に行くだけで、私はなおもイン・プレイの状態でいられるからだ。

パッティングは"how"(どのように)ではなく"how many"(いくつで沈めたか)だ。私のサイドサドルは見た目に美しくはなかっただろうが、もしいい結果が得られるなら私は逆立ちしてでもパットしたろうよ。

有名人でよかったこと?レストランでいいテーブルが得られることと、州警察官が【編註:道交法違反を】時々お目こぼししてくれることだね。

誰しも料理、裁縫、そして庭仕事を学ぶべきだ。これらの三つがこなせれば、あなたは誰にも頼らず生きていける。

【編者独白】私は毎日何かしら料理し、裁縫もし、現在はきゅうりと茄子とトマトを育てています。

今でも私は、誰かが室内であるにもかかわらず帽子を取らず、靴が汚かったり、爪が汚れていると我慢ならない。

私は教会に絨毯やオルガンを寄付した。時々、私は人々のために家や車を買って上げた。だが、それは真の慈善じゃなかった。何故なら、私はいつも感謝を期待していたからだ。真の慈善はそういうものじゃない。

私は金に関して締まり屋(ケチ)だという評判を得ている。それは正しいと思う。だが、どうしようもないんだ。私の子供の頃最も盛大だったクリスマスで貰ったものは、靴下一足と15セントだけだったからね。貧乏はお金を大事にさせるんだ」

(September 28, 2016)

スーパー・シニアBrownie(ブラウニィ)御紹介

市営ゴルフ場で月、水、金とベスト・ボールのゲームをするシニア・グループは、全盛期には50人はメンバーがいたようですが、私が知っているだけで10人近くが死亡、10人近くが身体的事情で引退…と、絶滅危惧種に指定されてもいいような状態になっていました。最近、このグループに四〜五名の新メンバーが参加するようになりましたが、その一人がBrownie(ブラウニィ)です。

[Brownie]

Brownie(ブラウニィ)というのは愛称で、本名はHenderson Ford(ヘンダースン・フォード)。黒人にしては真っ黒くなく、茶褐色の肌色をしているのが愛称の由縁。彼は1932年生まれで、この八月に84歳になったそうです。彼は過去十数年間、市営ゴルフ場に集う黒人ばかりのグループでプレイしていたのですが、何故か彼らから離れて白人主体(と日本人一人)のグループに移って来ました。

なぜ、彼をここで紹介するかというと、彼のゴルフがドライヴァーからパターまで非常に安定していて、アマチュアとしては上の部に入る腕前だからです。ところが彼のスウィングはちと変則なのです。その辺が、読者諸氏にも役立つのではないかと考えました。

彼はアラバマ州で生まれ、仕事を転々とし、子育てもあり、ゴルフを始めたのは20年前のシカゴ時代だったそうです。当時、あるゴルフ場でPGAツァーに参加していたプロと顔見知りになり、アイアンの打ち方の手ほどきを受けました。このプロは賭けゴルフで稼ぐのが得意だった人で、Brownieへの手ほどきも只ではありませんでした。Brownieにボールの前に10セント硬貨を置かせ、それを打たなかったらプロが10セントを巻き上げるという練習法でした。初心者がダウンブローでボールのターゲット側でディヴォットを取るような打ち方など出来るわけがありませんから、ボールの手前をダフり続け、次から次へと10セント硬貨を取られたそうです。小銭とは云えこの一打ごとに金を取られる厳しい特訓によって、Brownieはアイアンの正しい打ち方を習得したのだとか。

その後も彼は正式なレッスンを受けることはなく、'Golf Magazine'誌の毎号の巻末に掲載されているイラスト付きインストラクション"Private Lessons"(プライヴェイト・レッスンズ)を愛読したそうです。写真よりもイラストの方が、要点が理解しやすいという理由でした。

彼がお気に入りだったツァー・プロはGreg Norman(グレッグ・ノーマン)。その攻撃的姿勢を見習ったそうです。

ドライヴァーを打つ時、彼は素振りをしません。ティーアップしたら、すぐ打ちます。力むようなスウィングは一切せず(肩も70°ぐらいしか捻転しない)、軽くスコーンと打つのですが、充分な飛距離を達成します。"sneaky long"(目立たない飛ばし屋)の一人です。今年六月の市長杯トーナメントでは、スーパー・シニア部門のロンゲスト・ドライヴで賞品を獲得していました。安定しているゴルファーには珍しく、彼はバックスウィングの途中から左肘を折ってしまいます。左肘を折ってミス・ショットが出るかと思いきや、ボールは真っ直ぐ狙ったところへ。常識を逸脱したスウィングですが、彼がトップしたり、ダフったりするのは非常に稀です。彼はこの左肘を折るスウィングを、梃子(テコ)の原理で飛ばすためにわざとやっているのだそうです。そう云えば、彼のバックスウィングの捻転も70°ぐらいですから、彼の飛距離の源泉は梃子の力だけのようです。

ウッドやアイアンの正確さも人並み以上で、滅多にグリーンを外しません。アイアンを打つ時は素振りをすることもあります。パットも上手です。バンカー・ショットは名人級とは云えません。

Brownieの唯一の弱点はチッピングでしょうか。彼はボールを打ち下ろすのと掬い上げるのと、二つの打ち方をするそうです。私の目撃したところでは、掬い上げる場合はピン傍で止まらないことが多い。転がしはかなり上手です。

シニア・グループのベスト・ボールはチーム競技ですが、毎回チームのメンバーは異なります。その日の参加者数によって"A"プレイヤー(A級プレイヤーの意)を三〜四人キャプテンとして選出し、その各キャプテンがチームメイトを交互に選びます。参加当初Brownieは"B"プレイヤーとして遇されていたのですが、彼のステディなゴルフが認められ、今や"A"プレイヤーに昇格しています。

(September 28, 2016)

前頁 ← | → 次頁



 Copyright © 1998−2017   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.