Golf Tips Vol. 134

シニアの栄養補給術

'Golf and nutrition'
by Chris Rosenbloom, PhD, RD (from 'Golf Past 50,' Human Kinetics, 2001)

「人間は加齢とともに、カロリー、栄養、水分などの摂取の仕方を変える必要がある。その必要に気づいているか否かは、あなたのパフォーマンスに大きく影響する。

歳をとるに従い、エネルギーとカロリーの必要性はダウンする。あなたが若い頃と同じような量の食べ物を摂っていると、それは単に体重を増加させるだけである。その体重増は高血圧、心臓病、糖尿病への招待状となる。

次のキー・ポイントに注意すれば、コースでのフィーリングを改善出来る。
1) 血糖値レヴェルを適切に保つこと。【編註:血糖値に影響する炭水化物の摂取を控え目にすること】
2) 水分補給を絶やさぬこと。歳をとると脱水症状の影響を受け易くなる。腎臓の機能不良、乾きを覚える感覚の減退、身体全体の水分の減少…これらは全て脱水症状に繋がる。
これらは100%予防可能である。

以下は私の処方箋だ。

・どんな時間帯のラウンド開始であれ、朝食抜きで出掛けてはならない。ベーグル、シリアルをスキム・ミルク、果物、ジュースなどとともに摂取するのがエネルギーにとって最高である。

・暑い寒いの天候に関わらず、ラウンド前に2カップの水かジュースを飲むこと。そして、10〜15分おきに水を飲む。水が入った瓶を手近におき、機会さえあればその瓶を水で満たす。スポーツ・ドリンクは水分、栄養分、電解物などを含むいい飲み物であるが、カフェインの入っているものは避けるように。カフェインは脱水症状に繋がるからだ。

・コースで脂肪の多い食べ物を摂って、身体がストライキを始めるのを防ぐこと。果物、ベーグル、プレッツェル、グリルド・チキン、七面鳥の肉などは身体にいい食べ物である」

(July 16, 2011)


自分への伝言

1989年当時のLPGAメイジャー・トーナメントの一つであったdu Maurier Classic(デュ・モーリエ・クラシック)の優勝を含め、LPGAツァーで七勝を飾ったTammie Green(タミィ・グリーン、1959〜)のユニークな知恵。

'Play totally relaxed and without fear'
by Tammie Green ('Swing Thoughts' edited by Don Wade, Contemporary books Inc., 1993, $12.95)

「私はラウンド中に自分に余計なプレッシャーを感じさせないよう努めているが、トーナメント・ゴルフではプレッシャーを感じないでは済まないものだ。それは、リーダーボードの上位にいる時にやって来るし、不調の際にもやって来る。好調ではあるものの、他をぶっちぎることが出来ない時にもやって来る。

1989年のdu Maurier Classicでプレイを開始するに当たり、私は小さな紙に自分に宛てたメッセージを書いた。それは"Play totally relaxed and without fear."(完全にリラックスし、恐れを抱かずにプレイせよ)というもので、その趣旨は何が何でもプレッシャーを感じないで済まそうというものだった。私のキャディJimmy Gilmour(ジミィ・ギルモア)は私にその紙にサインさせ、その週ずっと持ち歩いていた。

私は最終ラウンド開始時のリーダーだったが、そんなことは初体験だったので私はとてもナーヴァスになった。でも、私はその日いくつかのバーディを得ることと、ラウンドを楽しむことを決意していた。Pat Bradley(パット・ブラッドリィ)やNancy Lopez(ナンシィ・ロペス)がイーグルやバーディを達成したが、私もイーグルやバーディで対抗してリードを守った。

その間じゅう、私のキャディのJimmy Gilmourは例の紙切れを取り出しては私に読むことを強制した。私は笑いながら、『分ったわ、Jimmy。これまでのところ、それは役立ってるわ』と云い、恐れを抱かずに歩み続けた。その自分への伝言は、深呼吸することを助けてくれた。プレッシャーの下では私たちは正しく呼吸することを忘れがちになる。その結果、明晰に判断出来なくなる。最後の五ホール、私は何度も深呼吸し、自分の直観を信じてプレイした。どんなものであれ最初に視覚化したショットを放ち、迷ったりしないよう懸命に努力したのだ」こうして、Tammie Greenはこのトーナメントに優勝しました。

 

Annika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)は、2001年のKraft Nabisco選手権(メイジャーの一つ)の最終ラウンド開始前、帽子のツバの裏側にスウェーデン語で"Don't Be Afraid. Face the Fear!"(案ずるな。恐怖に立ち向かうのだ!)という言葉をマジックで書いたそうです。これも「自分への伝言」の一つ。これ以前、五年間もメイジャー優勝から遠ざかっていたので、彼女はこのトーナメントに是非とも優勝したかったのです。メイジャー優勝がかかったラウンドがいかに(メンタルに)恐ろしいものであるかが分ります。Annika Sorenstamは「前に何度も優勝しているではないか。それを繰り返せばいいだけだ」と自分に云い聞かせ、見事優勝したのでした。

(July 16, 2011)


パッティング上達作戦

これはArnold Palmer(アーノルド・パーマー)が執筆した本に出て来る、示唆に富んだ内容。

[Parmer]

'My Game and Yours'
by Arnold Palmer (Simon and Schuster, 1963)

「もしあなたに頻繁に一緒にゴルフする友達がいて、しかも彼の上達を願っているのなら(え?好敵手の上達を願うなんてあり得ないって?)実験を試みて欲しいことがある。

彼に悟られないように、彼のラウンドのパット総数の平均を数える。その後、どんな機会であれ、彼を褒めそやすのだ。いいタッチやパットの成功。彼がミスした場合には、同情の言葉を口にする。不運にもラインに凸凹があったことを彼に告げる。彼がどうやってパターを握っているのか、どうやったら彼のように頭を静止させられるのか教えを乞う。数ヶ月後、彼のパット総数の平均をもう一度密かに数える。3〜4ストロークは減っている筈だ(これは凄い数字である)。【編註:あなたの賞賛と尊敬の念によって彼の自信が構築され、それがパットの成功に結びつくという筋書き】

この方法は逆の方法でライヴァルの上達を妨害するためにも使えるが、それはお勧めしない。ゴルフはそんな卑劣なゲームではないからだ。

私が強く勧めたいのは、上の方法を自分自身のために用いることだ。【編註:失敗しても成功しても自分を褒める。どんな些細なことでもいいから(スムーズないいストロークだったとか、プロ・サイドに転がしたとか、ショートしなかった等々)、良い点を見つけては自分の腕前を褒めそやす】あなたが、パッティングの研究をし練習もすれば、上達することは間違いない。熱意と自信を持って取り組むべし。どれだけ上達するかに限界はない。世界一のパット名人になるのだ。友よ、自信を持て。カップに転げ込むボールを見つめよ」

(July 18, 2011)


ほんとに上達するのか?

これは中年以降のゴルファ−のフィジカルおよびメンタル両面の悩みに、Q&Aという形態で二人のドクター(心理学者と医師)が答えるという趣向の本。

'Improvement: facts and fallacies'
from 'The Senior Golfer's Answer Book'
by Syd Harriet, Ph.D., Psy.D. and Sol Grazi, M.D. (Brassey's Inc., $26.95, 1999)

「Q: 全然上達しない。練習もしておりレッスンも受けているが、ハンデはずっと変わらない。素質のない者はいくら努力しても無駄なのだろうか?

A:ゴルフ道具とレッスンに莫大なお金を使っているにもかかわらず、ゴルファーたちは格別上達していないとする調査結果がある。USGAの分析でもここ十年【編註:この本の出版年は1999年】のゴルファーの平均ハンデは17.0から16.2に向上しただけである。その0.8の向上も、実はホームコースのインデックスを若干下げるスロープ・システムを適用した結果に過ぎない。アメリカ合衆国の2,000万のゴルファーは、大して上達しないまま死んで行くという悲しい事実である。しかし、それは練習の仕方に問題があるせいだ。

あなたが正しい練習法を学ぶまでは、あなたの練習は上達を妨げてしまう。あなたは250ヤードのショットを打った後になぜたった180ヤードしか打てなかったのか(しかもフックした!)について、理由を考えないし、考えても答えが出せない。230ヤードの綺麗なドローが打てたとしよう。感触は抜群だった。あなたはもう一発同じショットを打とうとする。駄目!そこでストップ!

練習で最大の効果を上げるには、腰掛けて身体がたった今何をしたのか反芻することだ。無理に分析するのではなく、心があれこれ思いまどうにまかせる。その感覚は、いいショットに繋がった手順を吸収して、いつか必要になった時に甦らせてくれる。

スウィングを構築するために1屯ものボールを打つのも結構。しかし、スウィングの欠陥を見つけるために試行錯誤している際には全然結構じゃない。身体に欠陥を定着させてしまうのがオチである。繰り返すが、打つのを中断し、座り込んでその瞬間の周りの雰囲気を楽しみ、どうしていい結果が出たのか深刻に考えたりすることなく、そのショットが出た満足感を味わうべきなのだ。蔭で一生懸命働いている潜在意識を信じなさい。あなたがリラックスしている間、あなたの脳の化学作用は、先ほどのあなたの奇跡的ショットの要素を整理し、その最新情報をあなたの筋肉群に吸収されるよう助けているのだ。

このような方法だと、練習はコツを見つけるまでぶっ叩くという辛いものではなく、楽しくポジティヴな経験を積み重ねる時間となる。

練習内容も再考すべきだ。ドライヴァーを打つのはスコアのたった40%に過ぎない。だから、他の60%のショットの練習の方がずっと重要であり、上達を助けてくれるものなのだ」

この記事の内容は「最新科学研究成果応用の練習法」(tips_132.html)の趣旨(小脳皮質が活動していない休憩時間に長期記憶が形成される)と完全に一致します。この本の著者たちは1999年に2011年の最新化学研究の成果を先取りしていたことになります。

(July 23, 2011、改訂December 07, 2015)


PGAツァー新スタッツ"strokes gained"について

「パット数」という記事で、私は「PGAツァーは最近"strokes gained"というstats(統計値)を付け加えました。しかし、基本となる尺度がフィートであり、カップからの距離とそのパットの成功・不成功によってカンマ以下三桁の数字を足したり引いたりするというややこしいもので、説明を読んでも私には理解出来ません」と書きました。この記事へのリアクションとして、『パット・エイミング教本』の著者・細貝隆志さん( http://putt-aiming.sports.coocan.jp/ )が以下のような解説を寄せて下さいました。細貝さんの御了承を得て掲載させて頂きます。

ゴルフは、パー72のコースを80打で上がった人とパー70のコースを78打で上がった人とを比べて、『同じ8オーバーで引き分けだったね!』というように、各ホールに設定されたパー(Oldman Par)と比べて何打少なかったか(gained)あるいは何打多かったか(lost)の各ホールごとの得失点を18ホールで合計して、その合計ポイントで優劣を決めるゲームだと言えます。この「Oldman Parとの比較」という考え方をパットに持ち込んだのが、今年からPGAツァ−が採用した新スタッツ『Strokes Gained: Putting』です。

PGAツァーでは何年も前から、各選手のショットやパットをレーザー機器で正確に測定し、飛距離やパットの距離などの膨大なデータを積み上げてきました。ピンからボールまでのパット距離はインチ単位で正確に測定され記録されているとのことです。このパッティングのデータベースを使って、PGAツァーは0〜100フィートまでのパット距離に対して、パッティングのParに相当する「Putting Baseline」という基準値を設定しました。「○○フィートの距離のパットをカップインするのにPGAツァー・プロの平均は○.○○○打である」という目安を算出したと言い換えることができます。(数学などでは、この平均打数のことを『期待値』と呼びます) PGAツァーのHPには、0〜100フィート(約30m)の各フィート毎にこの平均パット数(小数点以下3桁)を示したBaseline Chartが公表されています。

Baseline Chartの数値は、距離が1フィート未満であれば、まず絶対と言っていいほどミスなくタップインしますから、1.000打となります。2フィート(60cm)ではわずかに上がり1.009打となって、3フィート(90cm)を超えるあたりから急激に増加していき、8フィート弱(約2.4m)で1.500打となります。1.5打という意味は、2.4mの距離のパットでは、ワンパットで決める確率とツーパットにしてしまう確率とがちょうど五分五分であることを表しています。

距離が8mを超えてくると、さすがのPGAツァー・プロでもスリーパットの確率が徐々に頭を持ち上げてくるため、パット数期待値は順調(?)に増えていき、約33フィート(10m)の距離で、ちょうど2.000打となっています。2.0打という意味は、距離10mのパットをスリーパットにしてしまう確率とワンパットでカップインする確率とがちょうど同じであることを表しています。(プロとは違い、アマチュアの場合には、10mのパットを1発でカップインさせる確率より3パットになる確率のほうがはるかに大きいでしょうから、アマチュアのBaseline Chartを作成したならば、10mのパット数期待値は2.5打近くの値になってしまうのではないでしょうか)

25m超(82フィート超)の超ロングパットではパット期待値は2.4打弱のほぼ一定の値で頭打ちとなります。つまり、PGAプロ達はグリーンの端から端まで打たなければならないような超ロングパットでも、6割の確率で2パットで収めることができ、3パットする確率が4割以上にはならないことを意味しているのです。

このBaselineを使ってどのようにパットのStrokes Gainedを計算するのかを具体例で示すと以下のようになります。

A選手は1番ホールはアイアンがグリーンを捉えてカップから7m(23フィート)にパーオンしました。2パットでパーとしましたが、23フィートのBaseline値は1.914打ですから、パットについては0.086打の失点となります。

2番ホールではグリーンをわずかにこぼしてパーオンなりませんでしたが、90cm(3フィート)に寄せたアプローチを1パットで決めてパーを拾いました。3フィートのBaseline値は1.053打ですから、A選手は2番ホールでは0.053打をgainしました。1番ホールの失点0.086打と合わせると、パットについては累計で、まだ0.033打のオーバーです。

3番ホールのパー5では果敢に攻めて見事2オンしたものの、イーグルチャンスのパットは25m(82フィート)も残りました。2パットで収めてバーディーとしました。82フィートのBaseline値は2.357打ですので、3番ホールは0.357打と大きくgainし、3ホールの累計を0.324打のアンダーとすることができました。

4番ホールでは2.1m(7フィート)という絶好のバーディーチャンスを外してパーとしてしまったため、7フィートのBaseline値1.443打に対して0.557打を失うこととなり、4ホールでのパット累計は再び0.233打のオーバーになってしまいました。

このようにして18ホールを終了したA選手のパッティング得失点の総計は結局1.123打アンダーという成績となりました。この日の出場選手120名全員の本日分のパッティング得失点を平均した数値が0.567打のgain(アンダー)だったとすると、1.123打から平均値0.567打を引いた0.556打アンダーというのが、A選手の本日のPutting Stroke Gainedとなります。ツァー・シーズン中の出場試合での日々のStrokes Gainedを各選手毎に合計して出場ラウンド数で割った、1ラウンド当りのStrokes Gainedによってランキングが決定します。

以上がパッティングの新スタッツの仕組みについての説明ですが、7月24日現在のランキングでは、トップがスティーブ・ストリッカーの0.923打/1Rで、最下位192位は−1.038打/1R、ほぼ中間値の101位がちょうど±0の0.000打となっています。

パッティングの上位プロは平均的ツァー・プロに対して、4日間競技で、パットだけで約4打スコアを縮めてくるということになります。

新スタッツ「Strokes Gained: Putting」でのランキング上位の顔ぶれと従来からのスタッツである「パーオンホールでの平均パット数」でのランキング順位と比べて見ると、トップ3名は両ランキングともトップ3位内に入っており、一方のランキングで20位以内のプレーヤーはもう一方のランキングでも大体40位以内程度には入っていることがほとんどで、びっくりするほどの大番狂わせというほどの順位変動はあまり無さそうです。

新スタッツの順位に関して、有名選手の中では、アーニー・エルスが191位と『ブービー賞』であったり、神の子ガルシアが172位、スパイダーマンことビジェーガス161位、ジム・フューリク147位といったところが目につきました。

この新スタッツは、従来からの総パット数やGIR平均パット数というスタッツに比べ、真のパット技量の優劣を比較できる可能性が強いと期待しますが、あえてアラを探すとしたら、次のような事になるでしょうか。

1. アマチュアが簡単に使えない

2. 統計データ的には正しいのかもしれないが、果たして感覚的な尺度との間に違和感がないのかどうか。

例えば、2mのパットを外して2パットとなった時は約0.6打の失点となり、30mのパットを3パットした時も同じく約0.6打の失点だというのは、ツァー・プレーヤーの感覚と合致しているのかどうか。

3. 上記の2.と似ているが、ロングパットで3パットしないこととミドル以下の距離のパットをワンパットでカップインさせる率が高いこととは必ずしも一律に同列で評価するパッティング技術とみなせるのかどうか。

例えば、遠い距離にオンする確率が高いプレーヤー(3パットをしないことで得点を稼ぎやすい?)が、ショットの切れが抜群でいつもほとんどワンピン以内に寄せてくるプレーヤーよりも上位にランキングされる可能性が高いといったことは起きないのだろうか。もしそのような現象が出た場合には違和感を感じる人もいるのではないか。

いずれにしても、PGAツァーが“満を持して”(多分?)立ち上げた新システムであり、コンセプトとしては非常に期待できるパッティング・スタッツだと思いますので、どのくらい普及して行くものなのか今後とも注目して行きたいと考えています。

(July 25, 2011、修正December 03, 2015)


レッスンを受ける秘訣

'Eleven ways to get the most out of a golf lesson'
by Ed Luethke (from 'The Senior Golfer's Answer Book'
by Syd Harriet, Ph.D., Psy.D. and Sol Grazi, M.D., (Brassey's Inc., 1999, $26.95)

お金を出してレッスン・プロに教わったら、ひどいゴルフがますますひどくなった…とこぼすゴルファーがいます。カリフォーニア州の練習場のプロEd Luethkeは、「そういうゴルファーに勧める11のポイントがある」と述べています。

「1. 助言者を選べ

ほんの一寸の助言でゴルフに上達出来るとは思わないこと。MLB(メイジャー・リーグ)の外野手Ken Griffey, Jr.(ケン・グリフィ二世)は、外野スタンドの観客から次打者の打球にどう備えるべきか“コーチ”(?)されて、よく惑乱されたそうだ。好意からの助言には注意すべし。真の知識を持っている者は稀だからだ。レッスン・プロがtipを授けてくれたら、それが心身に定着するまで待つこと。

2. 正直が最善

スウィングの留意事項がコースで役に立たなかった場合、すぐプロに報告せよ。ほとんどの生徒がそういう報告を怠る。レッスン・プロはその詳細を知りたがるものだ。実際にはレッスン・プロが与えてくれた留意事項は役に立っているものの、本当の障害はクローズ目のアライメントなのかも知れない。私は生徒の率直な話を望む。

3. 練習こそが魔法である

レッスン・プロに魔力を期待してはいけない。教わったことを実際に試すことが重要だ。そしてたいせつなのは量ではなく質である。ウン千個のボールを打つことは、欠点を無くすよりも身体に欠点を定着させ易い。ボールの軌道を見守り、なぜそうなったかを考えるべきだ。

 

4. 近道はショート・ゲームにあり

ハンデを本気で下げたいがスウィングをオーバーホールする時間がない…というのなら、ショート・ゲームの練習(特にパッティング)に精出すべきだ。250ヤードのドライヴも1.5メートルのパットも等価値なのだから。

5. 自己欺瞞をやめよ

レッスン・プロが鍵となる留意事項を与えてくれる際、解った振りをするのは禁物である。実際にどういう動作で実行すればよいのか、別の表現で説明して貰うべきだ。プロがあなたの手・腕・肩などを動かしながら説明するか、プロ自身によるデモンストレーションを見せて貰うべきである。

6. 学習の潜伏期間を認識せよ

レッスン・プロが教えたことがすぐ実を結ばない場合がある。練習場ではよくてもコースでうまく実行出来ないということもある。しかし、数ヶ月経って突如効果を発揮することもあるのだ。頭ではすぐ理解出来ても、身体がそれを納得するまでに時間が必要だとも云える。

7. 保守的であってはならない

レッスンを受けに来ても、新しいことを一寸試しただけで「そういうのは嫌いだ。おれのやり方の方がマシだ」と云う人がいる。慣れない動きがぎごちないのは理解出来るが、心をオープンにして取り組んで欲しい。間違ったことを教えるレッスン・プロはいないのだから。

8. 真実に目を向けよ

Ray Floyd(レイ・フロイド)のように、『自分のスウィングなど見たくない』という人がいる。だが、自分のスウィングが見られるヴィデオは素晴らしい教材なのだ。プロに様々な角度から撮影して貰い、スローモーションで再生して見せて貰うべきである。

9. 他のプロの診断もあおいでみる

大きな病気の場合に別な医師のセカンド・オピニオン(第二の診断)を得るように、ゴルフでも他のプロの意見を聞くのは有意義だ。二人のプロから同じことを云われれば納得が行く筈。これが長年患っている病の治療に役立つことも少なくない。

10. 練習場のプロは真剣である

『ゴルフ場に所属するプロより練習場のプロは劣る』というのは偏見以外の何ものでもない。プロ・ショップの運営に多忙なプロに較べ、練習場のプロは教えることだけに専念しており、PGA公認のプロは知識も経験も豊富である。

11. 修業は一生続く

マイカーに定期的チューンアップが必要なように、ゴルファーにも定期的(少なくとも年に一度の)チューンナップが必要だ。ゴルフというものには、知らず知らずの間に妙な癖や誤った動きが忍び寄って来るものだが、優秀なレッスン・プロはあなたのスウィングの欠点を数分で見抜き、解決策を処方してくれる。生徒が抱える障害を取り除き、生徒のハンディキャップを減らすことだけがレッスン・プロの使命なのだ」

(August 04, 2011)


ロング・パターの御利益

この記事はルールに関するQ&Aです。

'The long and short of it'
by Don Penny ('Golf Magazine,' July 2011)

「Q: 普通、2クラブ・レンスにドロップする場合、多くのゴルファーは彼らのバッグの中で最も長いクラブであるドライヴァーを用いる。しかし、ロング・パターはドライヴァーより長い。これを使うのはルール違反だろうか?

A: 米国のUSGAあるいは英国のR&Aの基準に準拠して、ラウンドで使用することが認められているクラブであれば、1クラブ・レンスや2クラブ・レンスを測る際にどのクラブを使ってもよい。それをゴルフ・ルールの精神に悖(もと)ると主張する人がいるかも知れないが、そう云う人々もサンド・ウェッジでクラブ・レンスを測ったりはしない筈である」

プライヴェートなラウンドでは、カップにパターヘッドを差し込んで自分のボールがシャフト(グリップを除く金属部分)の圏内にあれば「ギミー」(OK)で、最終パットを省略出来ます。これにもロング・パターは役立ちます。PGAツァー・プロRobert Garrigus(ロバート・ギャラガス)のパターは28インチ(約70センチ)だそうですから、私の最も短いパター(34インチ=86センチ)より16センチも短い。普通は35インチ(約89センチ)です。ま、パットの上手いRobert Garrigusには「ギミー」は必要ないのでしょうが。

(August 04, 2011)


アンガー・マネジメント(怒りの制御)

Adam Sandler(アダム・サンドラー)とJack Nicholson(ジャック・ニコルスン)によるコメディ『N.Y.式ハッピー・セラピー』(2003)の原題は'Anger Management'(アンガー・マネジメント)でした。ゴルフも、クラブを折ったり投げ捨てたりする人がいるほど怒り狂うスポーツ。怒りがどう沸き起こるかを知れば、自ずとその制御法もマスター出来る筈です。

'The Senior Golfer's Answer Book'
by Syd Harriet, Ph.D., Psy.D. and Sol Grazi, M.D. (Brassey's Inc., $26.95, 1999)

「Q: 私はOBを出すとキレて怒り狂ってしまい、ラウンドを投げてしまうタイプ。怒りをコントロールするにはどうすればよいのか?

A: OBを出したボールが、心理的に怒りの引き金となるのはたった三秒間に過ぎない。しかし、あなたが自分に毒づくことによって実際にはもっと長く継続する。

ある心理学者は、怒りは何かの出来事が原因ではなく、むしろその出来事に対してあなたが言及する仕方によるのだと指摘する。言葉を換えれば、そのショットについてのセルフ・トーク(自分自身への語りかけ)があなたをキレさせるのであって、ミス・ショットそのものではないということだ。OB区域に出たボールは、OBになったというだけであって、それ以外の何ものでもない。あなたが宝くじに高額当選した後、OBを出したとしたらどうか?多分、腹を立てたりしないだろう。なぜ?その場合、あなたは『だからどうだってんだ?一千万が転げ込んで来たおれに、OBなんか問題じゃない』と考えて平気の平左なのである。しかし、『打つ前の構えにもっと注意すべきであった』とか『もっと左を狙うべきだった』などと、OBに出たボールそのものではなく“べき”を用いたセルフ・トークが、癇癪玉を破裂させるのである。繰り返すが、OBボールは、ころころと白杭の外に転がり出て停止したという出来事に過ぎないのだが、あなたが自分自身に語りかける言葉が怒りを増幅する決定的な要素なのだ。

 

この問題を解決するには、“べき”を含むセルフ・トークをストップする方法を学ばねばならない。冷静で道理をわきまえたセルフ・トークだけが怒りの暴発時間と強烈さをコントロール出来る。『OBショットを打つ前に、もっと時間をかけるべきだった』ではなく、『ボールはOBになった。それはもうどうしようもない事実であり、自分に可能なのはこの後どうするかだけである』とか、『いくら怒り狂っても、OBになったボールが白杭の内側に戻って来るわけではない。それよりも、この後、どう攻めるかを決めなくちゃ』という風に考えるのが望ましい。

この考え方は、ゴルフに役立つだけでなく、あなたの人生における様々な出来事への対処法としても重要なものである」

(August 19, 2011)


非常災害対策

'Scrambling Golf'
by George Peper (Prentice-Hall, Inc., 1977)

「1ラウンドで何回フェアウェイに打ち、何回ラフに打ち込むか、自分自身に尋ねてほしい。あなたの二打目、三打目の1/3は多分ラフからのショットであろう。ここで質問だ。一時間の練習のうち何個のボールをラフから打っているか?恐らくゼロだろう。

悲しい真実なのだが、誰もがトラブルに見舞われる癖に、誰一人トラブル脱出法を練習しようとしない。最悪の事態に備えないのは人間の(あるいはゴルフの)本性に反するものだ。目的意識を持って、ある夏の一時間をそうした練習に費やすべきだ。

あなたが中級以上のゴルファーなら、一日(あるいは数日)かけてフックとドローの打ち方に磨きをかけるべきだ。スタンス、グリップ、スウィング軌道などの違いによって、ボールの曲がり具合を自在にコントロール出来る迄実験する。それが済んだらフェードとスライスに挑戦する。五個のボールをフック、スライス、ドロー、フェード、ストレート…と打ち分けられるようになれば、やっとゴルフらしいプレイが出来るようになったと感じられるだろう。

あなたのレヴェルに関係なく、ボールを高い軌道、低い軌道で打つ練習もすべきだ。一本のクラブで一ダースの異なるショットが打てるようになれば最高である。

ラフからのショットも練習せよ。様々なライ、草の異なる密度から打ってみる。長い草との格闘によって、前腕部も鍛えられる。

ディヴォット・ホールや裸地、落ち葉の上、水たまりなどからも打ってみる。いざという時、あなたはどう打てばよいか知り尽くしているという寸法だ。

曲芸的ショットもたまに練習しておくのがよい。難題を処理しなければならなくなった時、あなたの脳味噌に過去の経験が蓄えられていれば、大きな助けとなってくれる。

【編註:灌木の木の枝にボールが引っ掛かったことがあります。私の胸の高さ。バッティング・センターのように打てばいいのだと舐めてかかったら、空振りを一回、チョロ一回でやっと脱出しただけでした。飛ばすなんて、とてもとても。ある時、グリーンズ・キーパー達数人が、遊びで腰の高さの棒に据えたボールを打とうとしていましたが、何度やっても空振りばかりでした。やってみないと、この難しさは理解出来ないでしょう】

チッピングの練習も平らな場所でばかりやってはいけない。土手から、クローヴァーの中から、ラフから、裸地からなどもチッピングする。これらは全て時至れば役に立つ。

Gary Player(ゲアリ・プレイヤー)の物語はお馴染みだろうが、もう一度。彼はあるメイジャー・トーナメントの最終日に、ボールをグリーンサイド・バンカーに入れた。そこからグリーンへは急なダウンヒルで、ピンまではバンカーの顎からたった3メートルしかなかった。さらに悪いことには、ボールは半ば砂に埋まっていて、ほとんど処理は不可能な状況と云えた。

彼は砂を爆発させ、バンカーの顎を越えたボールは試煉の3メートルをとろとろと転がり、ゆっくりカップに消えた。喚声が轟き渡り、Gary Playerは肩をすくめて微笑んだ。彼がバンカーを出た時、一人の観客が叫んだ、『凄い!幸運としか云い様がないね』と。Gary Playerは一瞬身体を凍り付かせた。そしてその男に振り向いて云った、『御明察。おれは幸運だった。練習すればするほどどんどん幸運が巡って来るんだよ!』」

練習しなければ幸運は巡って来ない…という教訓です。

【参考】
・「高い弾道、低い弾道」(tips_12.html)
・「曲芸的ショット」(tips_25.hyml)

(August 22, 2011)


ラウンド中のスランプ対処法

'The Senior Golfer's Answer Book'
by Syd Harriet, Ph.D., Psy.D. and Sol Grazi, M.D. (Brassey's Inc., $26.95, 1999)

「Q: 先週のトーナメントで、No.6までは絶好調だったのに、ドライヴァーが突如ダック・フックし始め、さらに三ホール連続で3パットしてしまった。こういうスランプからどう抜け出せばよいか?

A: ローマの政治家シセロは『誰もが過ちを冒すが、馬鹿者だけが失敗を繰り返す』と云った。不幸にしてシセロはゴルフしなかったので、ラウンドの間に何度も過ちを繰り返すことは、ほとんどお定まりのようなものであることを知らなかった。

ある週末、あるいはある一週間、全くゴルフから遠ざかれば、バッテリーが充電されるようにスランプが終ることがある。しかし、ラウンド中のスランプにはちと過激でリスキーな手段が必要だ。私のお勧めの手順に従う勇気があれば、コースでのスランプ症状に抵抗することが出来る。

ホールの長さに関わらず、ティーからドライヴァーを打つのをやめ、4番アイアンを使う。『4番アイアン?!』と友人たちが呆れるだろう。そう、4番アイアンだ。5番アイアンが必要な場面で、あなたがミドル・アイアンのショットに不安を感じているなら9番アイアンで打つ。何故なら、ラウンド中にゴルフから遠ざかって練習場に向かうことは出来ないから、唯一可能なのは過激な変化を起こすことだけなのだ。

心理的メカニズムは次のようなものだ。あなたの脳は、160ヤードなら5番アイアンを用いるという答えを出す。あなたの上の経験の場合、このプロセスは自動的にフックを打つ準備も行なったわけだ。しかし、あなたが9番アイアンを手にすると、あなたの脳は混乱する。もし脳が喋ることが出来るのであれば、『距離は160ヤードだから5番アイアンだと指示して、ダックフックを生じる情報でこいつをやっつけてやる。ハハハ!』と云ったであろう。あなたが9番アイアンを選んで自分自身にペテンをかける。あなたの脳は『OK。ダチ公。5番だ。ハハハ!違う、9番じゃない!5番だってば!ノー、ノー!9番なんか打っちゃ駄目!』と絶叫する。あなたが9番アイアンを打つと、一時的に定着していたダックフックのパターンは破壊される。このように、あなたの脳に混乱をもたらすことだけが、スランプから脱出する方策なのだ。

もし、上の方法があまりにもリスキーであると思われるなら、スランプに抗する準備を練習場で行なっておく。ボールを打ちながら、フックが出ていると想定し、自分に次のように云う。『OK。グリーンまで5番アイアンの距離だ。だから、一、二度9番アイアンを練習しておく』 練習の際に、こういうマインド・ゲームをしておくと、ラウンド中のスランプに対する準備が整うことになる。

パッティングのスランプに他のアイアンを使うことは出来ないので、グリップの変更で対抗する。普通のグリップをしているならレフトハンド・ロー、レフトハンド・ローを採用しているなら普通のグリップにする(クローでもよい)。混乱を生じさせて、パットをミスさせる脳をショート(短絡)させる点では同じ手口である。

最初の数回はいい結果が得られないかも知れない。コースや練習場で何度か繰り返すことによって、ラウンド中のスランプを断つことが出来るようになる。もちろん、いくつかのショットで距離を損することになるが、スコアをベラボーに増やす一時的なミスを断ち切る方が、もっと重要である」

(September 11, 2011)


ゲームへの姿勢・陰と陽

世の中には競争心の強い負けず嫌いと、そうでない人がいると思います。ゴルフでも相手に勝ちたい、仲間にロング・ドライヴやチッピングの巧さを見せびらかしたいという人がいます。コースのパーに勝ちたいという心理もこちらに入るでしょう。

しかし、片や勝ち負けなどどうでもいい、ゴルフ・テクニックの上達だけが望みだという人もいると思われます。武藝を極めようと一心不乱になった宮本武蔵のように、ゴルフを「道」とし、他人のことなどどうでもいいという姿勢です。

人と勝負し、勝って喜び、負けて悔しがるタイプを「陽」とすれば、ひたすら自己ベストの技量発揮だけに専念するタイプは「陰」と云っていいでしょう。どちらがいい悪いではなく、心理的に開放的か閉鎖的かという分類です。Ben Hogan(ベン・ホーガン、1912〜1997)は典型的な「陰」で、同伴競技者のプレイに全く無関心であったことで知られています。彼のずっと以前に、女性で「陰」であったプロを発見しました。彼女の名はJoyce Wethered(ジョイス・ウェザード、1901〜1997)。次は、彼女の有名な逸話。

1929年にSt. Andrews(セント・アンドリュース)で開催された全英女子選手権(マッチ・プレイ)で、Joyce Wetheredはあるホールで重要なパー・パットに臨んでいた。そこは鉄道線路の傍。彼女のストロークの最中に蒸気機関車が轟々と通過したが、彼女はパットを沈めた。後で『列車の音が邪魔じゃなかったか?』と聞かれた彼女、『どの列車?』と問い返した。ストロークに専念していた彼女には、列車の通過音など全く聞こえなかったのだった。

'The Golf Immortals'
by Tom Scott & Geoffrey Cousins (Hart Publishing Company, Inc., 1968)

上記の本にJoyce Wetheredの回想録からの転載があります。

「私がマッチ・プレイで成功出来たのは、私独自のあるルールのお蔭である。そのルールとは、《私の意識から私を不安にさせるような存在を消し去り、特定の相手とゲームをしているのではなく、単に正しい数字【=スコア】を生み出すためだけにプレイせよ》というものだった。

一旦このルールを定め、その利用価値が証明されて以降、私は重要なマッチ・プレイでこのルールの適用に失敗したことはない。自分に、興奮および現在プレイ中のマッチの重要性とを忘れさせることが出来れば、私の最良の心身状態を再構築出来る可能性大なのだ。逆に、それが非常に重要な試合であることや闘いの熾烈さを意識すると、対戦相手に最高のプレイをさせる火種を生み出してしまう。相手のヴァイタリティがその場に衝撃を与えている間、私に出来ることは私自身の小さな世界に引き蘢って自分自身を護ることと、外界の騒ぎから遠ざかることだけでしかない。

私が常にこのような方法を実践していたと云うと滑稽だろうが、それによって必要不可欠な集中力を維持することに成功していたのは事実だ。対戦相手の力強く個性的なスウィングに対抗しようなどと考えると、相手とは全く異なる自分のリズムとタイミング、ショットの遂行などに壊滅的打撃を受けるのは明らかだった」

Sam Snead(サム・スニード、1912〜2002)はスウィング・テンポの急速なBen Hoganと同組で廻る際、Ben Hoganのスウィングから目を逸らしていたそうです。自分のスウィング・テンポに影響を受けるのを恐れたのです。彼は性格的には「陽」の人でしたが、「陰」のBen Hoganに「陰」で対抗したわけです。

(September 14, 2011)


スランプというものは存在しない

スポーツ心理学者Robert Brown, Ph.D.(ロバート・ブラウン博士)によるユニークな理論。

'The Golfing Mind'
by Robert Brown, Ph.D. (Lyons & Burford, Publishers, 1994, $22.95)

「スランプというものは存在しない。スランプを定義するなら、それは筋の通った理由なくして通常よりお粗末なプレイをしている状態に過ぎない。あなたがスランプに陥っていると主張するなら、その理由としてはたった三つしか考えられないが、どれ一つをとってもあなたがスランプに陥っていないことを意味する。

・第一の理由

あなたが身体的、あるいはメンタル的にゲームに影響するような問題を持っていると思われる場合。この問題点は、あなたが一生懸命探せば何とか原因を突き止めることが可能である。身体的な問題にせよ、メンタルな問題にせよ、その問題点が突き止められるのであれば、もはやスランプとは云えない。その問題点を解決すればいいだけだ。

・第二の理由

スランプに陥っていると思っても、それはとても長く続いている不運の犠牲になっているだけという場合。この場合もスランプではない。その不運は、ゴルフの神様があなたの悪行か、あなたが幸運を感謝しない態度を懲らしめるためにやっていることなのだ。どっちにしても、あなたが問題点を特定出来るのだから、それはスランプではない。

・第三の理由

あなたが勉強熱心で経験も豊富であれば、絶好調の時期と、不調の時期とがあることを知っている筈だ。長期に見れば、あなたのスコアは平均より下になったり上になったり変動するものである。それはコインを投げるようなもので、表が出る確率は50:50(フィフティ・フィフティ)である。表の後は裏…と交互に出るなどと期待すべきではない。

スランプに関しても同じことである。好調と不調はランダムにやって来ると考えるべきだ。コインを投げて表か裏が長い間連続して出ると期待するのは愚かである。表が八回連続し、九回か十回裏が出るかも知れない。それらを平均すれば、表も裏も五分五分だろう。ゴルフ・スコアの場合について云うなら、あなたの平均スコアに近い結果が出ない場合もあるということだ。それが数ラウンド続くこともあるが、(愉快なことではないにしても)それは普通のことだと悟るべきである。

欲求不満になって焦ったり、間違いを直そうとしたりすると不調が続くことになる。原因が身体的あるいはメンタルな問題か、ゴルフの神様の怒りかのどれかであると確信出来るならいいが、そうでなければスランプを手当しようなどと思わぬことだ。それは治療出来るものではないからだ」

(September 17, 2011)


'The Pro'(ザ・プロ)

私のゴル友Jack(ジャック)が下記の本を私にくれました。

'The Pro'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. with Steve Eubanks (Crown Publishers, 2006, $24.95)

ここで"The Pro"というのは、インストラクターである著者"Butch" Harmon(ブッチ・ハーモン)の父親Claude Harmon, Sr.(クロード・ハーモン一世、1916〜1989)のことです。現在世界ナンバー・ワンのインストラクターと云われている "Butch" Harmonによる父親讃歌ですが、決して嫌味ではなく、とてもエンターテイニングであり、読み応えのある本になっています。

【註】写真は父Claude(クロード)に抱かれるButch(ブッチ)少年。

私は"Butch" Harmonのがらがら声とあのいかつい顔からして、凄く押し付けがましい自分勝手な筆法を想定していたのですが、そんなことは全くなく、父親に対しても自分とその兄弟たちに対してもべた褒めだけではなく、失敗談や挫折なども正直に記しています。

父親Claude Harmon, Sr.は、夏場はU.S. Open開催コースとして有名なWinged Foot G.C.(ニューヨーク州)で、冬場は避寒地フロリダ州のSeminole G.C.でレッスン・プロを勤めていました。Claude Harmon, Sr.はPGA選手権に三位タイ三回、U.S.オープン三位タイ一回、1948年のThe Masters優勝と輝かしい記録を残しています。レッスン・プロによるマスターズ優勝はまさに空前絶後。彼はBen Hogan(ベン・ホーガン)と仲良しで、よく練習ラウンドを共にし、お互いに助言し合う仲でした。なぜ、マスターズ優勝の実力があるのにツァー・プロにならなかったか?当時のツァーの賞金は現在より桁外れに少なく、旅費・滞在費、キャディーを雇う経費その他の費用が大変で、妻子を養うことがリスキーだったのでツァー参加を諦め、固定給が得られるクラブ所属プロに留まる決意をしたのだそうです。

この本は、レッスン・プロとして、子の父としてのClaude Harmon, Sr.の10の名言を選び、彼の主義・思考・行動を回顧し、"Butch" Harmonほかの兄弟がいかにそれに影響され、現在のコーチ業にどう応用しているかを詳述したものです。

実例として"Butch" Harmonが誇りとする生徒たち、Greg Norman(グレッグ・ノーマン)、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)、Natalie Galbis(ナタリィ・ガルビス)、Adam Scot(アダム・スコット)などのスウィングをどう指導したか、また彼らとの交遊について今まで知られていなかったことなども、この本でかなり明らかにしています。非常に興味深い内容です。

今後の当サイトで、いくつかのパートに分けて紹介する予定です。

【おことわり】画像はlinkslifegolf.comにリンクして表示させて頂いています。

(September 21, 2011)


Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)の練習かくあるべし

Johnny Miller(ジョニィ・ミラー)はU.S.オープン(1973)、全英オープン(1976)に優勝、Mastersで三度(1971, 1975, 1981)二位タイ、PGAツァーにおいて計25勝を挙げ、現在はNBC-TVのゴルフ中継解説者。

[Pure Golf]

'Pure Golf'
by Johnny Miller with Dale Shankland (Doubleday & Company, Inc., 1976)

「・スウィング構築は、ラウンドやラウンド前のウォームアップ時に行なうものではない。これは実に明瞭なことなのに、アマチュアは練習にもルールがあることを理解せず、しばしば逸脱する。練習時間は、スウィングや他の技術を改良・上達させる特別な時間である。

・疲れている時、あるいは疲労を感じる時点を越えて練習すべきではない。そういう時の練習は百害あって一利無しである。

・目的を持って練習すること。その目的が達成されたら直ちにその日の練習を終了する。全てを一回の練習で改良しようと思ってはいけない。一日一歩、三日で三歩だ。

・スウィングを完全に変えようと考えているなら、いちどきに全てを変えるのではなくワン・ポイントずつ取り組むべきだ。連続したスウィング動作の最初の部分から順番に選択し、先ずそれを確実なものとする。

・ラウンド前のウォームアップは、その日の自分のスウィングがどうであるかを確認し、その日はそのスウィングと添い寝することを受け入れるためのものだ。ウォームアップでスウィングを改良しようなどと考えてはいけない。試験前の詰め込み勉強と同じで、新しく仕入れた材料が以前勉強したことを追い出してしまうことになる。私自身経験していることだが、ウォームアップ時にそこそこのショットしか打てなくても、コースでは驚くようなショットが出来るものだ。案ずるなかれ」

(September 24, 2011)


Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)とGreg Norman(グレッグ・ノーマン)

"Butch" Harmon(ブッチ・ハーモン)の父親Claude Harmon, Sr.(クロード・ハーモン一世、1916〜1989)は「忍耐は過大評価されている美徳である」と云っていたそうです。ゴルファーの中には(プロも含めて)「いつかいい日も訪れる」と忍の一字で、大石内蔵助みたいに時節到来を待っている輩がいるわけですが、Claude Harmon, Sr.は「ベスト・ゴルファーは、後日の上達ではなく只今現在の上達を望むものだ」と喝破しました。

'The Pro'
by Claude "Butch" Harmon, Jr. with Steve Eubanks (Crown Publishers, 2006, $24.95)

「Greg Norman(グレッグ・ノーマン)は私("Butch" Harmon)が知る中で忍耐心などこれっぽちもない人間の一人であった(今でもそうだろうが)。彼はどこに行くのでも急いで行きたがる傾向があり、速い車、速い船、速いヘリコプター、そして速いジェット機を欲しがる。彼が周囲の人々に期待するのもてきぱきとした仕事であり、それは『今すぐやれ』ということと同意義である。スポーツ心理学者はプロたちに『リーダーボードを見るな』と教えるが、Greg Normanは、どのリーダーボードも見逃さない。自分がどこに位置し、トップに躍り出るためにいくつバーディが必要かを知るために見るのだ。

彼が19ヶ月間優勝から遠ざかっていて、賞金獲得額のトップ30から転げ落ちた後の1991年秋、彼は私のところへやって来た。彼は当時のパーシモン・ドライヴァーでは随一のプロだったが、アイアンを右へ曲げるミスを頻発させた。私は名人たちのスウィングは全て研究済みだったから、彼に会う前にGreg Normanに必要なことは何か、既に察知していた。
『何が見えるかね?』数発打ってみた後、Greg Normanが私に聞いた。
『自分が書いた本を読む必要がある誰かさんが見えるね』と私。
『何の話だ?』と彼。
『あんたは自分の本に書いたことを何一つやっていない』私は彼の著書の一つ'Shark Attack'(グレッグ・ノーマンの「攻撃的ゴルフ」、1988)に言及した。『あんたはアドレスでボールから離れ過ぎている。テイクアウェイが急角度過ぎる。インパクトにかけて、あんたはクラブを手で操縦しようとしている。あんたは基本に帰るべきだ。基礎がひどい状態だよ』と私。

彼の急角度のスウィングは、手でスクウェアに出来る間は役に立つが、それはプレッシャー下では難題だ。クラブフェースはオープンなまま留まり、重要なショットほど右に飛び出す。彼には歯に衣着せぬ助言が必要だった。彼が私の注文通りに打つと、何発も真っ直ぐのボールが飛び出した。

 

われわれは彼のグリップ、ポスチャー、ショート・スウィング、肩を水平にする、スウィング・プレーンをフラットにする…などを課題に時間をかけた。彼は、私が見たこともないほど一生懸命集中して練習を重ねた。完璧主義者の彼は、一旦どう変更すべきか納得すると、スウィングを完璧にするまで何千個ものボールを打った。

二ヶ月後、Canadian Open(カネディアン・オープン)に優勝し、六ヶ月後、あるコースのトーナメントでコースレコードを樹立した。Greg Normanは『1993年はおれの年だ』と予言した。1993年の全英オープンでは、最終日に一緒だったBernhard Langer(ベルンハード・ランガー)がGreg Normanと握手し『これまで見たこともない偉大なゴルフだった。優勝して当然だ』と云い、表彰式では91歳のGene Sarazen(ジーン・サラゼン)が『最高に印象的なパフォーマンスだった』と賞賛した。Greg Norman自身、『一打もミスしなかった。どのドライヴもアイアンも完璧だった。まるでチェスをさしているように、どのピンをも完璧に狙える位置に打てた』と云った。

Greg Normanと私の間が引き裂かれたのは、馬鹿げた衣料契約のごたごたのせいだった。私はGreg Normanブランドの衣料品を、彼の会社から何年もの間贈呈されていた。Tiger Woods(タイガー・ウッズ)がプロ入りを目前にしてNike(ナイキ)と専属契約がまとまりかけていた頃、Nikeは私とも専属契約を結ぼうとし、キャッシュ(現在の水準から云えばかなり低額)と衣装提供を申し出て来た。私はその申し出が嬉しかったが、Greg Normanが練習している脇にNikeの衣料で立つのはどうかと思われた。そこで私はGreg Normanブランドを製造・販売しているReebok(リーボック)にNikeのオファーを伝え、『長年の義理があるから、出来ればGreg Normanブランドを着用し続けたい。Nikeと同等の待遇は考えられんだろうか?』と聞いた。Reebokは『契約料は出せないが、プレゼンをして貰う謝礼として結果的に同額になるように計らえる』と云ってくれ、私は物事を正しく措置したと満足したのだった。

しかし、Greg Normanのマネージャーがその件を聞きつけ、私がGreg Normanの知らぬ所でReebokと裏取り引きをしようとしているとGreg Normanに告げ口し、Greg Normanが怒り狂った。私は説明しようとしたが、彼は聞かなかった。その年の秋、私はあるトーナメント会場で彼のマネージャーと遭遇し、彼の曲解による告げ口に対し思う存分罵ってやった。Greg Normanは、自分のマネージャーが罵られたことで又イチャモンをつけて来た。

数年後の全英オープンの会場でGreg Normanが近づいて来た。『詫びを云いたい。誤った情報を得ていた。あんたはReebokと交渉する権利があった。おれの云ったことは間違いだった。勘弁してくれ』彼はマネージャーを馘にしていた。彼は歩み去る前、『知って欲しいのは、あんたとの友情が絶えて寂しいと思ってるってことだ』と云った。それ以後、われわれはいい友達となっている。

『自分は忍耐強く、そのうちいい日が訪れる』と主張するツァー・プロたちは、滅多に彼らの潜在能力を活かし切ることが出来ない。彼らはいいプレイをし、多分一勝や二勝は挙げられるかも知れないが、彼らの才能の極限に達することは決してない。学ぶこと、上達すること、今すぐ(待つことなくたった今)勝利することを欲する者だけが、彼らの生来の能力を超えることが出来、予想以上の偉大なゴルファーとなれるのだ」

世間では「Tiger Woodsばかり面倒を見ている"Butch" Harmonに、Greg Normanが腹を立てて袂を分かった」と伝えられていますが、全然違うんですね。

全員がインストラクターであるHarmon兄弟は、Harmon Cupなる仲間内だけの小規模なマッチ・プレー大会を毎年催しているそうです。"Butch" HarmonとGreg Normanが仲直りした年、兄弟たちは"Butch" Harmon対Greg Normanのマッチを企画しました。二人のマッチは和やかに進みましたが、No.12になって"Butch" Harmonが4アンダーで1打勝ち越しとなった時、にわかにGreg Normanが真剣な表情になり、お喋りをやめてしまったそうです。"Butch" HarmonがNo.13でOBを出しダボを叩くと、またGreg Normanはおしゃべりを復活させ、ジョークも云い出したとか。勝たねば済まないという性格なんですね。結果はGreg Normanの勝利。

Butch Harmonは、一時ツァー・プロだったこともあるわけですが、今でも結構上手いということが分かります。

(September 27, 2011)


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