「臍下丹田(せいかたんでん)」とは、おへその下を指し、昔から剣道などの重要な集中ポイントです。スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)はそこに注目します。
'Zen Golf'
by Dr. Joseph Parent (Doubleday, 2002, $17.95)
「東洋武術では身体の重心が動作とエネルギーの流れの源であり、それは臍下丹田に他ならない。驚かれるかも知れないが、心の状態は重心を変えてしまう。もし色んな想念が渦巻き、心の中であれこれつぶやきながら打とうとすると、重心は頭部に移ってしまう。9キロものヘルメットをかぶって、安定したスウィングが出来るわけがない。スウェイし、バランスを失い、ボールを突くような結果になることは目に見えている。
友人の助けを借りて次の実験をして貰いたい。
1) 肩幅のスタンスで直立し、膝は柔軟にする。意識を胸と背の上部に集中し、自分の体重が上半身にあると考える。息を吐き、体重が肋骨の辺りにあると考える。排気と体重移動を繰り返しながら、最後に体重を脚の上部まで下ろす。ここで友人に肩の一方を軽く押して貰う。肩は揺らぐかも知れないが、下半身はびくともしない筈だ。
2) 同じセットアップで、今度は額に意識を集中する。首の付け根の肩の筋肉を緊張させる。体重が肩、首、額にあるように感じること。ここでまた友人に一方の肩を押して貰う。あなたはバランスを保てず一歩後退せずにはいられない筈だ。
上の実験で云えることは、両方の物理的体重には何の変化もないのに、心の中の体重のありようによって物理的変化が起ると云うことだ。スウィングの最中に心の中で(スウィング・キィなどを)自分に囁いたりすれば、顎と肩の緊張によってまるで手打ちを欲しているかのように体重が上昇する。
重心を臍下丹田に保つ方法は、こうだ。ボール後方で安定した深呼吸をする。アドレス位置に歩み寄る前に、空気を全て吐き出す。息を吐きながら重心が臍下丹田に落ち着くことを感じ取る」
(May 06, 2009、改訂June 03, 2015)
“スパイダーマン”のように這いつくばってラインを読む姿勢で人気が出たCamilo Villegas(カミロ・ヴィジェイガス)。2008年の彼のバーディ達成率は、ツァーのトップ5に入っていたそうです。
'How to make more birdies'
by Camilo Villegas with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' June 2009)
「・飛距離を減らせ
フロリダ大のゴルフ部に在籍していた頃、コーチの口癖はこういうものだった。『お前がプロになってランクが上がれば上がるほど、飛距離は短くなることだろう』その心は、スコア第一という状況になったら、飛距離よりもコントロールし易いスウィングが必須になるから…というものだ。
・成功の甘き香り
パットする時、私は過去に成功したパットを思い出すように務める。あるいは、絶対に負けたくない相手とのマッチ・プレイで、バーディを得ようとしている場面を考える。そういう集中の結果、適切な攻撃的パッティングが出来るようになる。
・スピンをかける
グリーンに乗せるためスピンが欲しい時、私は通常より短いクラブを選び、ハードにスウィングする。
・左手首に注意
スウィングで私が最も重要視しているのは左手首だ。どんなライから打つ時でも、左手首がインパクトでターゲットにスクウェアになるように集中する。左手首の角度はボールの飛行に大きな影響を与える。インパクトで手の甲がターゲットを向いてさえいれば、それはいいショットと云ってよい。
・緊張は飛距離の敵
ちょっと多めの飛距離が必要な場合、私はリラックスするように務める。それを実現するために、私は先ず筋肉を緊張させ、次いでその緊張を解いて、二つの状態の違いを感じる。ハードにスウィングしようとすると緊張を増すだけで、身体とクラブの自然な動きを制限する結果にしかならない。
・予測出来ぬ要素を排除せよ
寄せワンのパーでいい場合、私はパターを使う。しかし、チップインを狙う場合にはチッピングかピッチングが望ましいと考える。何故なら、ボールを転がすより飛行させる方が、フリンジの要素(芝の長短、不規則な凸凹など)を度外視出来るからだ。私はこの方針によって多くのバーディを達成した」
【おことわり】画像はhttp://cdn-s3.si.comにリンクして表示させて頂いています。
(May 14, 2009)
2006 U.S. Open優勝者Geof Ogilvy(ジェフ・オグルヴィ)のtip。
'Save 5 shots every round'
by Geof Ogilvy with Mike Walker Jr. ('Golf Magazine, June 2009)
「好調時にはどんな位置のピンを攻めても結構。しかし、不調の際に難しいピンを狙うのはクレージーである。不調の場合の私の第一目標はダブル・ボギーを防ぐことだ。自分にとって自信が持てる着地点を選ぶ。
不調の日のアイアン・ショットの留意点は、スタンスを狭め、クラブを短かめに持ち、ボール位置をスタンス後方に下げることだ。これらの措置により、パンチ・ショットのようにボールを間違いなくクリーンに打つことが可能になる。
トーナメント最終日、プロたちの多くは安全な感覚で打てるこのショットを多用している」
(May 14, 2009)
Dr. Bob Rotella(ボブ・ロテラ博士)の七冊目の本。
'Your 15th Club'
by Dr. Bob Rotella with Bob Cullen (Free Press, 2008, $24,00)
依頼人の数は増えているのでしょうが、相談内容が似ているせいか、この本で新しく語られることはあまりありません。このサイトでは印象に残った部分だけ取り上げることにします。
Dr. Bob Rotellaは、ほぼ十年前にPadraig Harrington(パドレイグ・ハリントン)から相談を受けるようになり、2007年の全英オープンの際にはPadraig Harringtonが借り受けた家に友人として招待され、練習ラウンドから最終日まで彼とその家族・友人たちと共に過ごしたそうです。この本の最終章は、その最終日の大詰めのPadraig Harringtonの心理と結果が一打ずつ描写されており、この部分は『江夏の21球』(山際淳司のルポルタージュおよびNHK特集)のように面白い。しかし、自分の依頼人がメイジャーに優勝したので嬉しくて仕方がないという自画自賛のような内容でもあります。
「私がこの本で"the 15th club"と呼ぶのは“自信”である。 'Golf Is not a Game of Perfect'(邦題『私が変わればゴルフが変わる』)などの旧著において、私は常にメンタル・ゲームの重要性を強調して来たが、大事なことを書き忘れていた。読者に、メンタル・ゲームというものは自転車に乗るように一度獲得したら失われることはないと思わせたとしたら、私は陳謝しなければならない。メンタル・ゲームは失われるものだ。 フィットネスで身体を鍛えても、ちょっとサボればまた身体はなまくらになる。弛みない鍛錬が必要だ。メンタル・ゲームも同じである。絶えずチェックし続け、研ぎすませていなければならない。 Tiger Woods(タイガー・ウッズ)やAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)と他のプロたちを分けるものは何か?それは自信である。Tiger Woodsもドライヴァーを左右にバラけさせ、Annika Sorenstamも以前ほどパットが入らない。それでもなお、彼らの胸の奥底には他の連中を打ち負かせるという感覚がある。自信こそが、ピンチにあっても彼らに素晴らしいプレイを可能にさせる源なのだ。彼らに対抗する人々にはそれがない。 Tiger WoodsとAnnika Sorenstamが完全に彼らの胸の内を吐露すれば『おれ(あたし)は世界一だ。それも、これまでに出現しなかったような世界一だ。おれ(あたし)がトーナメントにエントリーして通常のプレイをすれば、他の連中は二位争いをするに過ぎない。それぐらいおれ(あたし)は凄いんだ』という感じだろう。しかし、溢れるような自信を表明することは、われわれの社会では粗野な傲慢さのしるしと捉えられる。だから、Tiger WoodsとAnnika Sorenstamのような賢いスポーツマンは、自分の真のフィーリングを表に出さずにしまっておくのだ。 |
私は自惚れ屋を擁護するわけではない。しかしTiger WoodsやAnnika Sorenstamなどの、表に出ない内なる傲慢さは敬服に値すると思うし、それは誰にも必要だと考える。内なる傲慢さの有無は、特に重大な局面で明白になる。ツァー・プロであればメイジャーの大詰めの9ホールであり、アマであればクラチャンの決勝戦や初めて80を切れるかどうかという状況などだ。
内なる傲慢さを持っている人々は『成功とはミスのない完璧なゴルフを意味する』などと考えない。自信のあるプレイヤーはミスがあっても勝つ道はあると信じており、従って忍耐強い。こういう人々はどのショットも過剰に重要視せず、プレショット・ルーティーンを忘れない。多くの場合(常にではない)、こういう人々が勝つことになる。
ゴルフにおいては自信過剰というものは存在しない。私のところへ「先週の失敗の原因は自信過剰だった」と云って来るツァー・プロなどいない。仮説として自信過剰はあり得るだろう。自信過剰で充分練習しなかったとか、自信過剰によって自分の能力以上の飛距離を期待して池ポチャをしたとか(あくまでも仮説である)。私は30年以上もツァー・プロ相手に働いているが、未だかつて自信過剰で困るという人は皆無で、全て『自信がない』と云う人ばかりである。
ドライヴァーが遠くへ真っ直ぐ飛び、アイアンがピンを目指し、どのパットも入るような日、誰もが『今日は勝てる』と思う。それはスウィングに関する自信である。スウィングというものには失敗がつきものだ。Ben Hogan(ベン・ホーガン)でさえ、『1ラウンドで完璧なショットは二つか三つに過ぎない』と云っていた。スウィングに関する自信はぐらつき易い。特にピンチに際しては全く役に立たない。必要なのは“真の自信”である。それがあれば、自分では不出来なラウンドに思えても他の連中よりはマシなラウンドになり、完璧にボールを打てなくてもスコアをまとめられ、勝つことも出来る。
ゴルフというのは無慈悲な側面があるゲームである。上達を夢見て懸命に努力しても、東京を訪れた外国人旅行者よりも早く途方に暮れることになりがちだ。メンタル的修練も伴わないと、ゴルフがあなたを痛めつけ、あなたの自信を奪い去ってしまう。ゴルフにおいては上達すべく懸命に努力するだけでなく、賢く努力する必要がある。賢く努力すれば、実際には全く努力していないように感じられるものだ。スウィングなどのフィジカルなテクニックの上達とともに、“考え方”というメンタル面のテクニックにも上達すべきである」
私は自分の欠点は調子がいいと“自信過剰”になることだと思っていました。Dr. Bob Rotella(ロテラ博士)が「ゴルフにおいては自信過剰というものは存在しない」と断言するのであれば、表現が違うのでしょう。私の場合は“期待過剰”と云うべきかも知れません。いい結果を期待して、気もそぞろになり、ルックアップしてしまう。結果はトップかダフりです。
なお、私のこのサイトは世界に類を見ない“メンタルtipsの宝庫”でもあります。左のメニューの「その他の索引」をクリックし、「自己コントロール」を選んで下さい。「戦略・雑学」もお薦めです。
(May 24, 2009)
「スポーツ選手の試合や競技当日の速効栄養補給について」という記事(http://www.kazokunokenkou.net/sports-eat9.html)を読んだら、次のように書かれていました。
「試合中は、およそ10分でエネルギーになってくれるドリンクが、効果的なエネルギー補給といえる」
「十分でエネルギーになる」のであれば、私のようにインで効果を発揮させたければNo.9の途中で服用すべきだということになります。否応無くアウト・インの中間で昼食をとらされる日本のゴルフ場では、イン・スタートの10分前という感じでしょうが。
サイクリング走者を対象にした「適切な水分補給」(http://pbp.audax-japan.org/index.php?plugin=attach&refer=ParticipationDocument&openfile=energy-program.pdf)というウェブサイトには次のように書かれています。
・スタート直後からエネルギー・ドリンクを飲むこと。乾きの徴候が現われる前に、早めに50〜100mlの少量のエネルギードリンクを、出来るだけ一定の間隔で摂り続ければ脱水症状にならない。
・身体は少しずつしか水分を吸収出来ないので、一度に大量の飲み物を摂取しても意味がない。一時間に摂取する最適量のエネルギードリンクは約500ml。定期的に少量ずつ飲むことによって、細胞の良好な水分吸収の状態が得られる。暑い時には一度に飲む量を増やすのでなく、より頻繁に飲むようにする。
私が購入した高麗人参エキス入りドリンクは、どれも473mlです。ということは、No.1スタート前に一缶を飲み始め、アウト終了直前にもう一缶飲み始めるという戦略もあり得るわけです。二缶でも5ドルに満たないとはいえ私にとっては無視出来ない金額なので、毎回そんな贅沢は出来ません。しかし、一度は試してみてもいいと思いました。
(June 29, 2009)
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
これは美しい本です。何方もBen Hogan(ベン・ホーガン)の'Five Lessons'『モダン・ゴルフ』を一読されたことがあると思いますが、あの本のイラストレーターAnthony Ravielli(アンソニィ・ラヴィエリ)が描いた様々な絵をフィーチュアし、スポーツ心理学者Dr. Joseph Parent(ジョゼフ・ペアレント博士)による100のメンタルtipsと組み合わせた本です。装丁・レイアウトも素晴らしい。
「プレショット・ルーティーンの間の呼吸における最も重要なポイントは、ボールに歩み寄る前に空気を全て吐き出すということだ。それを実行すれば、スムーズなスウィングが出来る確率がかなり高くなる。何故なら、ボールに歩み寄る時のテンポが、あなたのスウィングのテンポを規定するからである。
ボールに向かって急いで近寄ると、急速で慌てたスウィングをし易い。ボールに向かう前に呼吸のサイクルを一端完結させることは、自分の望むスウィング・テンポをスタートさせる手段として理想的な方法である。
ボールに向かってセットアップする際、歩み寄った時と同じテンポを維持すべきである。コトを早く済まそうとスウィングを急ぐ傾向に抗し、安定したアドレスをし、心を乱す想念を捨て去り、自分の重心からスウィングする準備を整えること。ボールに歩み寄る前に呼吸のサイクルを完結させたように、スウィングする前にセットアップ手順も完了させる。ただし、ボールに向かって必要以上にぐずぐずすると、テンポを台無しにしてしまうことを忘れないように。
プレショット・ルーティンからバックスウィングまでの間、ずっと一定のテンポを維持すること。最も一般的な障害は、バックスウィングからダウンスウィングへの切り替えの際に生ずる。クラブを持ち上げる動作を完了させ、ダウンスウィングを開始する前に微妙な間(ま)を置いてエネルギーを蓄積する感じを抱くべきである。その切り替えを慌てずに行なうことが、いいボールを打つコツである」
【図はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示しています】
(July 06, 2009)
'Tiger Woods'
by Judy L. Hasday (Infobase Publishing, 2009)
これはゴルフの本ではありません。"Black Americans of Achievement"という、様々な分野で成功した黒人の伝記シリーズの一つです。現在までに40冊近く刊行されているようですが、その主なものはMuhammad Ali、Ray Charles、Jamie Foxx、Martin Luther King, Jr.、Malcolm X、Barack Obama、Rosa Parks、Colin Powell、Condoleezza Rice、Chris Rock、Oprah Winfrey…などで、いわゆる“偉人”に限られていません。いくら功なり名遂げた人々ではあっても玉石混淆に思えますが、いずれも人種差別を乗り越えて成功した人々という視点で選ばれているようです。Tiger Woodsの場合も例外ではありません。この本の著者はスポーツ・ライターではなく、青少年向けの本を何冊か執筆した女性です。100頁に足りない薄い本で、Tigerの技術面のことには全く触れられていませんが、伝記としては簡潔によく書かれていると思います。
以下は私が知らなかった事実を書き抜いたものです。よく知られたことばかりであれば御容赦。
・Tigerの父Earl Woods(アール・ウッズ)は、黒人の血、アメリカン・インディアンの血1/4、中国人の血1/4の混血であった。【中国人の血というのを忘れていました】
・Earl Woodsには前妻との間に三人の子供(二人の息子、一人の娘)があったが、Earl Woodsはヴィエトナム駐留が長く、夫・父親としての役割を充分に果たさなかったため、離婚されてしまった。
・タイ人Kultida Punsawad(クルティダ)と結婚することになった時、Earl Woodsは前の結婚の反省から、今度はよき夫、よき父親になろうと決意した。【他の資料によれば、Kultidaはタイ人の血1/2、中国人の血1/4、ドイツの血1/4の混血だそうです】
・退役直前、Earl Woodsはニューヨーク州のHamilton基地に配属され、そこで友人に勧められ初めてゴルフを始めた。42歳だった。彼は四ヶ月後に81で廻って友人に勝ち、五年の間にハンデ1となった。彼はゴルフを知る以前の人生は時間を無駄にしていたように思え、息子が出来たら若い時からゴルフをさせたいと考えた。
・Tigerの本名"Eldrik"は、父親Earlの"E"と母親Kultidaの"K"を含んだもので、Kultidaが考えた。【…と書かれていますが、本当だろうか?タイ人の発想には思えないけど】
・退役後、再就職したEarl Woodsはカリフォーニア州オレンジ郡に居を構えた。そこは圧倒的に白人の多いところで、夫婦を立ち退かせようと嫌がらせが行なわれた。
・Tigerが圧倒的に白人の数が多い幼稚園に入った時、白人の子供たちはTigerを木に縛り付け、石を投げつけたり罵ったりした。
・一家の周りにはいくつもゴルフコースがあったが、ほとんどは黒人のラウンドを拒んでいた。母Kultidaは家から16キロも離れた9ホールのコースを訪れ、アシスタント・プロ(Rudy Duran)の指導とTigerの受け入れを頼んだ。
・Tigerが七歳の頃、Sam Sneadと2ホールの公開試合を行なった。Tigerは負けたものの、たったの一打差であった。Sam SneadがTigerにサインを贈呈すると、頼んでもいないのにTigerもお返しにSam Sneadにサインを贈呈した:-)。
・Tigerは両親の希望もあったし自分の志としても大学を卒業したかった。しかし、NCAA(全米大学競技協会)は、TigerがArnold Palmer(アーノルド・パーマー)に食事を奢られたことにさえアマチュア資格を云々するほど目くじらを立て、Tiger自身も学業とゴルフの両立が難しくなり、さらに大学ゴルフ部の活動に飽き足らない思いをするようになったこともあって、三連勝すると否とを問わず1996年の全米アマ大会を最後にプロ入りすることを決意したのだった。【結果的に三連勝を達成】
・母親Kultidaによれば「赤」は幸運の色で、Tigerのみならず母親も妻Elinもトーナメント最終日には赤い衣類を身に着けるようにしている。
確か父親Earl Woodsの存命中に夫婦は離婚(別居?)したと聞いていたのですが、その事実と理由については何も書かれていませんでした。デマだったのでしょうか?
【おことわり】画像はhttps://prodimage.images-bn.com/にリンクして表示させて頂いています。
(July 09, 2009)
インストラクターStan Utley(スタン・アトリィ)が教えてくれるショートゲームに必須の感覚。
'Can you feel it?'
by Stan Utley with Mathew Rudy ('Golf Digest,' June 2009)
「ツァー・プレイヤーたちは自然な、スポーツマンとしての感覚を身につけている。しかし、あなたがハンデ15〜20のゴルファーであって、本当の感覚を知らないとしたら?安心してほしい。ショートゲームの真の感覚を、日常生活で既に誰もが知っている動きに関連づけてお教えしよう。
1) パッティングの感覚
パッティングに必要なのは、床を掃除する際にモップを押し出す感覚である。モップは右肘が身体の右サイドに沿うように引かれ、右腕が伸ばされて繰り出されるピストン運動だ。パターも程度の差こそあれ、同じ動きをする。この感覚は腕が自由に動く間、身体を静止させる助けとなってくれる」
【編註】筆者であるショートゲーム・コーチStan Utley(スタン・アトリィ)は「水平アーク(弧)パッティング」を推奨している人であることに御注意。彼のパッティング・ストロークは、インサイドに引き、スクウェアなインパクトを迎え、再びインサイドへのフォロースルーとなります。現在の私は「垂直アーク(弧)パッティング」で、時計の振り子そのままに、パターが終始ターゲット・ライン上を往復する弧のストロークをしています。この場合、常に肩をターゲット・ラインに平行に動かさなくてはならないのですが、「モップを繰り出す」ような動きは右肩を押し出してしまう危険性があります。
「2) チッピングの感覚
中級ゴルファーがチップする際、ボールを上げたいとか、ロフトを作り出すためフェースをオープンにし続けたいという欲求を抑えることはかなり難しい。
左手に卓球のラケットを持っていると想像してほしい。ラケットフェースをクラブ・フェースと考える。掬うような動きでも、フェースをオープンにし続ける動きでもなく、卓球のバックハンドでトップスピンをかけるように、ボールに向かってフェースを返す。これがチップ・ショットでシャープなコンタクトを得る秘訣である。
3) ピッチングの感覚
高く上げるピッチショットでは、クラブ底部のバウンスがスウィングの間じゅう常に地面を向いていなくてはならない。ゴルファーが右腕を返してしまうとトラブルの因となる。ここで必要なのは石ころで水切りをする感覚である。右手は右サイドから投げ出され手首と肘を完全に解放するが、その際掌は空に向き続けている。ゴルフの場合、ボールをヒットする前後で右掌はずっとグリップの下側にあるということだ」
「団扇(うちわ)であおぐ」ようなチッピングは、私が実践しているメソッドです(Ben Hoganもこれだったようです)。私の場合は、バックスウィングでシャフトを完全にターゲット・ラインに平行にします。フォローでクラブシャフトはターゲットを指します。この方法の方向性は素晴らしいのですが、正確な位置でインパクトを迎える必要があり、私はその準備として素振りで地面と接触した位置をボール位置にします。本当はボール位置は一定の筈ですが、プロでもないわれわれのスウィングは日毎、時間毎に変わってしまい、一定していません。ですから、その時の素振りの結果に合わせる方が安全なのです。
Stan Utleyのピッチングで「手首を返さずにクラブのロフトを保つ」というのは、バンカー・ショットのコツと同じです。
(July 12, 2009)
'Golf Digest'『ゴルフダイジェスト』誌最新号に、全米のインストラクターたちの投票による“Best 50ゴルフ・コーチ”の結果が掲載されています。
1位(359票)Butch Harmon(ブッチ・ハーモン)生徒:Phil Mickelson、Adam Scott、Natalie Gulbis
2位(352票)Hank Haney(ハンク・ヘイニィ)生徒:Tiger Woods
3位(293票)David Leadbetter(デイヴィッド・レッドベター)生徒:Michelle Wie、Suzann Pettersen
4位(250票)Jim McLean(ジム・マクレイン)生徒:Len Mattiiace、Christie Kerr
5位(249票)Chuck Cook(チャック・クック)生徒;Tom Kite、Carin Koch
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)の元のコーチと現在のコーチがトップ争いをしており、三位以下を大きく引き離していますが、二人の差はたった7票です。Tigerがメイジャーにあと二勝もすれば、1位と2位は逆転することでしょう。
この記事は投票結果を掲載するだけでなく、“Best 50ゴルフ・コーチ”が自分のお気に入りのtipを公開するという企画でもあります。次のPia Nilsson(ピア・ニルソン)は、154票を得て18位で女性インストラクターのトップとなっています。
'Drill: Speed check'
by Pia Nilsson ('Golf Digest,' August 2009)
「あなたがドライヴァーで悩んでいるとしたら、その原因はあなたが毎回一定の距離を飛ばそうとしていないからである。あなたは、遠くへ、さらにもっと遠くへ飛ばそうとして、スウィング・メカニズムがバラバラになり、同調しなくなってしまったのだ。
そういう症状に効果的な練習法は、7番アイアンなど一定の距離を打つ他のクラブとドライヴァーとを交互に打ってみることだ。この練習の目的は、7番アイアンのスウィング・テンポをドライヴァーで模倣することにある」
(July 15, 2009)
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)編纂のメンタルtips集より。
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「Dr. Cary Middlecoff(ケアリ・ミドルコフ)が1957年のU.S.オープンのプレイ・オフに敗れ、『三度目のU.S.オープン優勝を果たせず失望したのでは?』と聞かれた時、彼は『別にそれほど深刻な問題じゃないよ。妻はまだ私を愛してくれるだろうし、帰宅しても愛犬が私に噛み付くこともないだろうし…』と答えた。
ゴルフに真剣になるのは結構だが、真剣になり過ぎるのは考えものだ。ボールの軌道を曲げるたびに怒り狂うゴルファーとプレイしても楽しくない。こういう人は大抵は自分が実際より上手いと思い込んでいる。
あるプロ=アマ・トーナメントで、ツァー・プロが一緒に廻っている短気なアマチュアにこう云った、『失礼ですが、あなたはクラブを投げていいほど上手くないですよ』と。
身の程をわきまえ、ゴルフ・コースでのラウンドを楽しもうではないか。そうすれば、一緒に廻る人たちもあなたとのラウンドが楽しくなる筈だ」
【図はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示しています】
(July 19, 2009、改訂June 03, 2015)
「クラブ投げるにゃ十年早い」に「こういう人は大抵は自分が実際より上手いと思い込んでいる」という一節があります。これを読んでいてニヤリとしてしまいました。
ボールを右に左に、あるいは天ぷらやゴロばかり打っていたプレイヤーが突如いいティー・ショットを放つことがあります。当然みんなで褒めそやすわけですが、当人はボールの行方を睨んでニコリともせず、やおらティーを拾い上げ、苦虫を噛み潰したような顔でティー・グラウンドを下りて来ます。
このゴルファーの無言のメッセージは「これがオレの実力なのさ。今迄は何かが狂ってたんだ。やっと元に戻っただけだ」というものです。これまで面目丸つぶれだっただけに、本当は凄く嬉しい筈ですが素直に喜ばない。可愛くないですね。「元に戻った」のならいいのですが、実は只のまぐれ当たりに過ぎず、すぐ彼は地球を掘り返す考古学的調査活動に戻ります:-)。こういう人が結構多い。いや、多いどころか99%そうかも知れません。「自分が実際より上手いと思い込んでいる」ので、ちゃんと打てるのが本当の自分であり、みっともないショットの連続は何かの間違いだったと自分を騙し、周囲にもそう思わせたいのです。
ある日の日例ベストボール・ゲームで同じチームになったDon(ドン)は、アウトのいくつかで林間学校に通ったりして不調でした。しかし、彼のNo.9でのティー・ショットはフェアウェイに長く真っ直ぐ飛び、素晴らしい一打になりました。Donはわれわれの褒め言葉にもすぐは反応ぜず、無言でボールの行方を追っています。私はDonもむっつりと「これがオレの実力さ」という顔をするのかと思っていたら、彼は破顔一笑し「ランラララーン!」とか云いながら、小さな女の子のようにスキップして戻って来ました。無言だったのは自分でも信じられない一打だったからで、我に返った彼は素直に喜びを表現したのです。普段から剽軽な人なので、それが地なのですが…。私の心は和みました。こういう人ばかりだと、もっとゴルフが楽しくなるのに…と思いました。【写真説明:Don愛用のパターは世にも珍しいソーセージ型パターです。シャフトはBBQ調理用のフォークをかたどっていて、丁度グリルしたソーセージを刺した形になっています】
(July 19, 2009)
当サイトには「80を切る!」以前の読者も多いようです。読んで頂くのは結構ですが、技術面のtipsもメンタル面のtipsも上級者対象のものが多いので、背伸びし過ぎて挫折感を味わったりしないよう御注意下さい。今回はそういう方々に捧げる「目から鱗」的内容の記事です。筆者はスポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)。
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「・100を切る
100を切れない人は、先ず自分がシングルではないことを自覚するように。スコアカードに記載されているパーを一個も達成しなくとも100は切れる。9個のボギーと9個のダブルボギーで99なのだ(パー70のコースでは97)。
1ショット、1ショットに自分の能力以上の期待をしないこと。過大な期待をしなければ、欲求不満に陥ることもない。極めて成功率の低い際どいショットに挑戦したりないこと。そういう一か八かのショットはトリプルボギーなどの大惨事を招き易い。
全てのホールに二打プラスしたあなたの個人的パーを目標にプレイする。長いホールではパー7と設定してもよい。
ラウンド中スコアを合計しないように。100が切れそうだと期待すると、最後の数ホールで痺れてしまって、折角の機会をフイにする人が多いからだ。目標を95に設定しまさい。いくつか失敗しても、それでも充分100は切れる。
・90を切る
90を切るということはバーディを達成することでも、パーの数を増やすことでもない。いかに大きい数字(8、9、10など)を減らすかに過ぎない。
成功率の低いリスキーなショットを試みないこと。英雄的・冒険的ショットは滅多に成功せず、大きい数字に繋がるだけである。
深いラフに入ったら、フェアウェイにチップで戻すこと。池越えで3番ウッドによる英雄的ショットを試みたりせず、池の手前に刻むこと。
ボギーとパーの数がダブルボギーの数より多くなれば、90は簡単に切れる」
【図はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示しています】
(July 23, 2009、改訂June 03, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)による80を切る指針。
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「80を切るコツはパー・セーヴにある。パー72のコースで80を切るには、ボギーの数よりパーを多く達成しなければならない。
あなたがリスキーなショットをして大きい数字(ダボやトリプル)を作る段階はもう卒業していると仮定すると、あなたに必要なのはアプローチ・ショットをミスした場合の寄せワンの数を増やすことである。同時に、長いパットをする際の3パットの数を減らす必要もある。
寄せワンを頻繁に成功させるにはショートゲームに習熟することだ。フルスウィングの練習よりも、60ヤード以内のショットにもっと時間をかけるべきである。練習グリーンでは9〜12メートルのパットを沢山練習する。3パットを避けるためには、強さの感覚が最も重要であることを実感せよ。
ボギーを一個出したら、必ず二つのパーを得る。ダブルボギーを出したらバーディで帳消しにする。こうすれば80は切れる!」
(July 29, 2009、改訂June 03, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)による自分を騙すテクニック。
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「ティーグラウンドに立ってホール・レイアウトを一瞥した時、非常に落ち着かない思いをするホールというものがある。ティーグラウンドのどこにボールをティーアップしても、無心に打てる境地になれない。このような状況では、ターゲットに向かってのびのびとスウィングするなどということは至難の業である。
そういうホールで快適にティーショットするには、いつもいいショットを打てると自信を持っている好みのホールのティーグラウンドに立っていると想像することだ。ボールの軌道から落とし所から何から、その自分の好きなホールでの方針を適用する。いったんアドレスしたら、フェアウェイに目を戻してはならない。そこにあるべきなのは、あくまでもあなたの好きなホールのフェアウェイであり、その脳内ホールをプレイするつもりでスウィングすること。
このテクニックは、あなたのティー・ショットを自由にかつ自信をもって打てるようにし、どのコースでプレイしようが良い結果を期待出来る重宝なものである」
(August 04, 2009、改訂June 03, 2015)
スポーツ心理学者Dr. Joe Parent(ジョー・ペアレント博士)による「ケセラセラ」の戒め。
'Golf: The Art of the Mental Game —100 Classic Golf Tips'
by Dr. Joseph Parent (Universe Publishing, 2009, $24.95)
「プレイするに当たって何かまずいと感じた時、その直感を押さえつけて『えい、ままよ!』と突き進むのはよくあるミスである。いつもよりボールから離れて立っている気がするとか、距離に見合ったクラブを手にしていない、何か落ち着かない気がする等々。
あなたの心が快適でない場合、あなたの身体はそれを察知し、何とか埋め合わせをしようと努力する。あなたはいつもより強めに打ったり、ボールを右や左に誘導したり、スウィング開始後にテクニックについて考え始めたりする。結果がいいことなど、ほぼ確実にゼロである。
『えい、ままよ!』と打ってしまうのでなく、仕切り直しをしてスタンスを変えるとか、ティーアップし直すなどしたら、どれだけの打数を節約出来るか考えるべきだ。深呼吸とともにプレショット・ルーティーンをやり直し、のびのびと自信のあるスウィングをすることに集中すべきである」
私にはよく判ります。私も「えい、ままよ!」をやってしまい、もの凄く後悔します。私の場合、クラブ選択の迷いとか、どの程度にフェードをかけるべきか確信がないなど、自分自身に由来する原因もないわけではありませんが、ほとんどは同伴競技者に由来する障害が大半です。
ティーグラウンドで私がアドレスしているのに、後ろでお喋りを始める奴。私がアプローチ・ショットを打とうとしているのにカートを発進する奴。私がチップしようとしている傍らで静止しているのはあり難いが、私のバックスウィング開始と同時に歩き出すセッカチな奴。彼らは同じチームに属し、他のチームを凌いで賞金(とても安いですけど)を得ようとしている運命共同体の一員なのです。それなのに、同じ組のメンバーのプレイを妨害するなんて信じられません。しかし、誰しも自分のプレイだけに関心を持っているので、ついうっかりすることもあるでしょう。
私は耳が良過ぎるので、騒音は常に敵です。車や犬の吠え声、どこかの誰かの怒鳴り声など。それらはコントロール出来ないので、やり過ごすしかありません。その敵がチームメイトとなると話は別で、「味方の邪魔をしてどうしようってんだ!」と腹立たしくなり、そいつを憎み、その苛々が以後のプレイにも影響します。
唯一進歩したことは、他人より先には絶対に打たないようになったことです。隣りホールに打ち込んだ人間や、チョロってばかりいるメンバーがいると、順番(ピンから遠い順)通りでなくつい先に打ちたくなりますが、こういう場合、常にスウィング・テンポが早くなります。後方のメンバーより早く打ち終わろうとする心理でもあり、他のメンバーのショットへの反応(彼自身の罵り声や、別のメンバーの"Bite!"とか"Kick left!"などという掛け声)が起ることを恐れる心理でもあります。最近はじっと我慢の子で、私の後ろの人間が全て打ち終わるまで打たないことにしています。
何が原因であれ、一抹の不安がある時はプレイを中断し、その不安を払拭すべきです。こちらの仕切り直しに気づいた同伴競技者はお喋りを止めるでしょう。カートを走らせている奴がいれば、停まるまで待つ。仕切り直しに要する時間はたった十秒程度です。それだけの努力でチョンボを防ぎ、悪い後味が残る恐れもなくなります。「急がば廻れ、慌てる乞食は貰いが少ない、君子危うきに近寄らず、後悔先に立たず、急いては事をし損ずる」
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(August 13, 2009、改訂June 03, 2015)
1988年公開の'Bat21'(バット・トゥーワン)という実話に基づいたアメリカ映画を観ました。主演のGene Hackman(ジーン・ハックマン)は空軍中佐ですがゴルフ狂で、任地のヴィエトナムでも週に三日はラウンドを欠かさないという人物。タイトルのBat21は彼のコードネームです。
彼はミサイル情報の専門家で、北ヴィエトナムのミサイル情報を得るための飛行に出た際、敵の銃弾で偵察機が撃墜され、乗組員としてはたった一人生き残ります。敵地のジャングルに孤立した彼を支援するためにやって来たプロペラ機のパイロットDanny Glover(ダニィ・グローヴァー)が、上空からGene Hackmanの位置を確認し励まします。Gene Hackmanは救出ヘリに来て貰うランデブー地点をDanny Gloverに告げますが、Danny Gloverにはちんぷんかんぷん。米軍の交信が北ヴィエトナム軍に傍受されているため、Gene Hackmanは暗号を使ったのでした。
Gene Hackmanは、2001年のOwen Wilson(オーウェン・ウィルスン)主演の映画'Behind Enemy Lines'『エネミー・ライン』では、敵地に不時着した偵察機のパイロット救出作戦を指揮する海軍提督を演じましたが、その13年前には自分が救出される役だったわけです。彼とDanny Gloverは無線通信による会話だけで友情を感じ始めますが、この辺は'Die Hard'『ダイ・ハード』(奇しくも同じ1988年公開)でニューヨークの刑事とロス警察の警官が心を通じ合うようになる無線交信に似た趣向です。
さて、Gene Hackmanの暗号とは何だったのか?彼はヴィエトナム駐屯地にあるゴルフ場のホール番号を云うことで距離と方向を示したのです。北ヴィエトナム軍に英語を解する兵士はいたとしても、ゴルフは知らないだろうという前提で、Gene Hackmanのゴル友だけに解る暗号でした。ゴルフを知らないDanny Gloverは、上官からゴルフルールの本を渡され、一夜漬けでゴルフ用語を勉強します。「ドッグレッグ」、「クラブハウス」(基地)、「ハザード」(川や地形的難所)など。Gene Hackmanは目的地(救出ヘリとのランデブー地点)まで「チッピングの距離に潜んでいる」などと云ったりします。
'Behind Enemy Lines'『エネミー・ライン』のような派手な映画ではなく、肉弾戦を経験したことがなかったGene Hackmanが、自分一人のために敵味方大勢の人々が死んで行く様を見て心を痛めたりして、'Saving Private Ryan'『プライベート・ライアン』(1998)に通じる反戦のメッセージが篭められている、どちらかと云えばリアルっぽいアクション佳篇。
(August 18, 2009)
これは、アメリカの新聞の日曜版に折り込まれて来る無料情報誌に掲載された内容です。
'Golf for life'
by Michael O'Shea ('PARADE,' August 30, 2009)
「“ゴルフ・ウィドウ”という言葉は再考さるべき時期かも知れない。あるスウェーデンの研究によれば、40〜79歳で定期的にゴルフをしている男性・女性は、ゴルフしない人々より40%も死亡率が低いという結果が得られた。【直訳すると『死亡率が低い』なのですが、当然ながら“死なない(=不死)”という意味ではありません:-)】
事実、ラウンドをすると約五年は長生き出来る。ゴルフによる最高の恩恵を得たければ、ゴルフ・カートに乗るのは止めて歩くべきである。コロラド州デンヴァーのある健康・スポーツ関連組織の研究によれば、一週間に36ホール歩く人は2,900カロリーを燃焼させると云う。その数字は一年に18キロの体重を減少させるに等しい。
ゴルファーはカートに乗るよりも歩いた場合にいいスコアを達成する。多分、歩く方がコースのディテールを観察出来るので、クラブ選択とどうショットすべきかのヒントが多く得られるからであろう。
さらに重要なことは、歩くことはフィットネスと健康全般に役立つことが証明されていることだ。ゴルフはほぼどんな年齢でもプレイ出来、楽しむだけでなく恵みもある素晴らしいスポーツと云えるだろう」
(August 30, 2009)
'Use the right swing thoughts'
by David DeNunzio and Dr. Robert Christina ('Golf Magazine,' September 2009)
「練習場で、そしてコースで、スウィングに集中するための留意点("swing thought"あるいは"swing key")が役に立たない場合、それは留意点の選び方が間違っているのだ。 運動学教授でパフォーマンス・キュー(目標達成のための切っ掛け・合図)の研究の第一人者Dr. Gabriele Wulf(ゲイブリエル・ウルフ博士)は云う、『留意点の内容には、良いものと悪いものがある。あなたの身体の一部に意識を集中させる留意点は良くない。自分の身体の外に注意を向ける留意点がベストである』 『インパクトで手を伸ばせ』という留意点は、一見無害に見える。しかし、それは自分の身体の特定の部分に意識を集中し特定の動きを強制するため、その動きの学習と記憶するプロセスを困難にする。Dr. Wulfは『もっと単純に《クラブフェースをスクウェアに保て》というようなもので置き換える方がずっと効果的である』と云う。 Dr. Wulfは初心者ゴルファーたちを集め、9番アイアンで直径約4.6メートルの円内にピッチ・ショットをさせた。ゴルファーたちは三つのグループに分けられた。 ゴルファーたちにはニアピンの度合いによってポイントが与えられた。その結果、『身体内の動き』に集中したグループよりも『身体外の動き』に集中したグループの学習能力が約33%上廻った。何も留意点を与えられなかったグループの成績は『身体内の動き』に集中したグループと全く同じであった。 |
・『インパクトで両手をクラブヘッドに先行させよう』という留意点は、『インパクトでシャフトを前傾させよう』に変えるべきである。【以下同じ】
・『ダウンスウィングで右足から左足に体重を移そう』→『ダウンスウィングで体重を前方に移そう』
・『バックスウィングで左腕を伸ばそう』→『クラブヘッドで大きな弧を描こう』
・『腰を廻さず肩を回転させよう』→『バネのように巻き付こう』
・『インサイド・アウトのスウィングしながら手首を返してスライスを防ぐつもりだ』→『フックによってスライスを防ぐつもりだ』
・『両手と肩で作られる三角形を崩さないようにパットしよう』→『パターを振り子のようにスウィングしよう』」
(September 08, 2009)
'How do you measure up?'
by editors of 'Golf Digest' ('Golf Digest,' August 2008)
「以下のデータは、当'Golf Digest'誌と提携しているスコア記録・分析サイトshotbyshot.comに寄せられた、あなたのようなゴルファーの膨大な記録をもとに作成されたものだ。ハンデ別に、個々の最近の20ラウンドのベスト10が集計され、平均値が出された。あなたはどの辺に該当するだろうか?
ハンデ | 10 | 20 |
---|---|---|
平均スコア | 82打 | 92打 |
フェアウェイ・ヒット | 7/14 | 6/14 |
パーオン数 | 7/18 | 4/18 |
チップ/ピッチ数 | 7回 | 9回 |
チップ/ピッチによる寄せワン | 31% | 18% |
チップ/ピッチの失敗(乗らない) | 12% | 22% |
バンカー・ショット数 | 2回 | 2回 |
バンカーから寄せワン | 23% | 12% |
バンカー・ショット失敗(乗らない) | 21% | 38% |
パット総数 | 32パット | 34パット |
これを見ながら、ハンデ10とハンデ20の差である10打はどこで費やされているのか、考えてみました。パット数の差はたった2ストロークですから、これは大問題ではなさそうです。すぐ目につくのは、ハンデ20の人がバンカー・ショットで倍近くも失敗していることです。練習用バンカーというものはそうお目にかかれるものではないので(日本では特に少ないでしょうね。あったとしても、熱心に練習する人も多くないでしょうけど)、これはアマチュアには仕方の無いことかも知れません。
チップ/ピッチで乗らないという失敗も倍に近い。多分これですね、課題は。乗らない失敗が10%も多く、乗ったとしても寄せワンに繋がっていない。ただ乗せるだけでなく1パット圏内に寄せる練習が必要です。これに成功すれば自動的にパット数も減るわけで、スコアが80台半ばまで改善されるのは瞬く間でしょう。
(September 17, 2009)
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