'Get your stroke back'
by Rick Smith ('Golf Digest,' October, 2008)
'Golf Digest'の最新号(February, 2009)の読者投稿欄に、上の記事への感謝の言葉が掲載されていました。筆者は11歳の少年で、「ワシントン州のジュニア・トーナメントに出たのですが、ぼくのパットはひどいものでした。その時、この'Get your stroke back'(練習グリーンで片手でパットする)という記事を目にし、早速コースで試し、41で廻ることが出来ました」というもの。
当サイトでは「右手だけ」ではなく、その後に「左手だけ」で練習するというtipも既に紹介しており、この記事は特に目新しいものではないのですが、「何故そうするといいのか?」について書かれているので、取り上げる気になりました。筆者はトップ10インストラクターに入るRick Smith(リック・スミス)です。
「何度もパットに失敗すると、恐る恐るパットするようになる。グリップは固く、ストロークは短く不規則になる。『ハンド=アイ・コーディネーション』(手と目の連携動作)も鈍化する。
そういう時には真っ直ぐ練習グリーンに向い、右手だけでパットしてみるべきだ。この練習法は二つの面で役に立つ。一つは、パターヘッドを正しくリリースしているかどうかの検証であり、これはミスが出始めたら真っ先に調べるべき事柄である。何故?ミスが続くと、ゴルファーはパターヘッドを正しい軌道に保とうと舵を取る動きをし始め、スムーズにストロークすることを忘れてしまうからだ。
二番目の効用は、このドリルが『ハンド=アイ・コーディネーション』を回復してくれることにある。片手だけでパットすることに集中するため従来の機械的動作を忘れ、単純にスムーズなストロークが遂行出来るようになる。
プレッシャーのもとでパットを成功させる名人Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)は『私は右手の掌が目指す方向へと進むように努めた』と云っていた」
最近の私のパットは距離感は申し分ないのですが、ボール一個右や左にずれてしまうことが多い。それが「舵を取っている」せいなのかどうかは不明ですが、確かに片手でパッティングするのは原点に立ち返るいい方法のように思われます。
家の中でこの「右手だけ」の練習をしてみると、両手によるパワーが出ないため心もとないせいか、膝でボールを送り出そうという悪弊が見られました。最近これはやっていない筈ですが、要注意のポイントだと思われました。次に、「右手だけ」の練習という意識が強烈なせいで、つい腕主体のストロークになりがちです。私はストレート・ストロークをしていますので、肩主体のストロークでなければなりません。これも忘れてはいけないポイントです。
【参考】
・「片手でのパット練習」(tips_65.html)
・「ロング・パットは片腕で」(tips_94.html)
(January 08, 2009、改訂June 03, 2015)
'Drive for Shaw, Putt for Dough'
by Leon Crump and John Stravinsky (HarperCollinsPublisher, 1997, $23.00)
この本は賭けゴルフで生計を立てていた男の回想録です。生活のためですから掛け金も高く、勝っても負けても一試合で$2,000〜$5,000(約20〜50万円)などというケースが少なくありません。この本にはアメリカのあちこちを旅しながらギャンブルに明け暮れたハスラーの、波瀾万丈の日々が描かれています。本の末尾に"Cheap Advice"という一章があり、ここで筆者から読者へ“無料の”助言が提供されています。御当人は練習嫌いでコーチについたこともなく、全て対戦相手の強豪たちから“盗んだ”ものだそうです。
「・私がスウィングをチューンアップする必要を感じたら、先ずフィニッシュをチェックする。鍵は《左手の甲がターゲット・ラインを掃くように進み、高いフィニッシュへと向う》ことだ。いいゴルファーのスウィングは必ずそうなっている。
・パットが不調になったら、ウェッジでパットする練習を約30分続けること。ウェッジのリーディング・エッジでボールの中心を捉えるのは非常に難しいので、今やっているストローク法の欠点が全て曝け出される。
・よく云われる『バックスウィングを短くすれば、スウィングの問題点のほとんどは解決する』というのは考え違いである。私に云わせれば、短いバックスウィングはスウィング全体を急速にしてしまい、さらに問題点を増やしてしまう。少なくともトップでクラブが地面と平行になるぐらいには長いバックスウィングをすべきだ。
・トラブルに陥った場合、「クソ、どう打てばいいか分らない」などと呟くようではお陀仏だ。難しく、普通じゃないライのショットも、やり方を知っておけば自信が持てる。それが第一歩だ。【編註:当サイトの「テクニック別索引」の中に「トラブル・ショット」という項目があります】
・裸地でのショットでは、私はスウィングを遅くし、左手がリードすることによって地面より先にボールと接触するように努力する。本当はボールとボールが乗っている地面を同時に捉えられれば最高だ。クラブフェースをオープンにし、パンチ・ショットする。手首で弾くような動きはしない。
・ボールがディヴォット跡に入っていたら、1クラブ上(5番アイアンの代わりに4番アイアン)のクラブを選び、ボールをスタンス中央に置き、体重はやや左足にかけたまま打ち下ろす。こうすると、低い弾道が生じ、ミス・ヒットが起る度合いを減らすことが出来る。
・ボールが深いラフに入ったら、とにかく脱出するのが先決。短い距離の場合は大きいスウィングをし、フォロースルーまで完結させること。長い距離を打つ場合は2クラブ短いもの(7番アイアンの代わりに9番アイアン)を選び、若干クローズ・フェースに構え、力一杯スウィングする。ボールが死にかけているような悪いライでは正確度など忘れて、まともなライの場所で蘇生させることに集中すべきだ。マッチ・プレイなら引き分けの可能性だってないわけではない。
・賭けゴルフではアウトのラスト三ホール(No.7〜No.9)、インのラスト三ホール(No.16〜No.18)が重要だ。私はこれらのホールでは、リラックスしてプレイするように努める。これらラスト三ホールでは必ず上りのパットを残すこと。でないと短いダウンヒルのパットに気分が悪くなって嘔吐することになる。もし知らないコースで勝負する場合は、早めにゴルフ場へ行き、カートでNo.16〜No.18をチェックする。ティー・ショットの着地点、アプローチの角度、ピンの位置など全てを脳裏に刻む。本番でこれらのホールに差しかかった時は、もうメンタルに準備が整っているというわけだ」
著者お薦めの「ウェッジでパットする練習」をやってみました。絨毯の上ですと、私の場合99%はちゃんと打てます。現在のパッティング・メソッドは問題ないということのようです(やれやれ)。
【おことわり】画像はhttps://images-na.ssl-images-amazon.com/にリンクして表示させて頂いています。
(January 11, 2009)
このタイトルは「逆Kは古いのケエ?」(tips_33.html)に対応しています【どちらも駄洒落】。
以前、全盛時代のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のアドレスは、左腕とシャフトが一直線になり、右腕と右足を加えるとKの字を左右逆にしたように見えました【図左】。これが逆Kのアドレスで、当時ほとんどのプロがこれを採用していました。
その後、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)やAnnika Sorenstam(アニカ・ソレンスタム)らが、グリップを身体の中心近くに置くYの字アドレス【図右】で活躍し始め、多くのプロが右へ倣(なら)えしました。このアドレスでは左腕とシャフトは一直線になっていません。
今回紹介するのは、逆Kのアドレスのリヴァイヴァルと云っていいものです。ボール位置のせいでKの縦棒が一直線ではありませんが、よく似ています。よって、「逆Kの逆襲」というタイトルにしようかという誘惑もあったのですが、何のことか分らなくなる恐れがあるので諦めました:-)。
'Attack Angle'
by Bruce Patterson with Michael Walker Jr. ('Golf Magazine,' February 2009)
この特集の正式題名は"The 5° secret to 25 more yards is your Attack Angle"で、要するに《秘密の攻撃角度5°で25ヤード増やせ》という、もう先刻御承知の「クラブヘッドが上昇角度でインパクトを迎えると飛距離が伸びる」tipなのですが、いくつか目新しいポイントがあるので紹介します。
「ボール位置をターゲット方向に移すこと。これまでのボール位置の8〜10センチほどターゲット寄りである。しかもティーアップを高くする。こうすれば自動的にインサイド・アウトのスウィングと、上昇軌道でのインパクトが実現する。
これまでメソッドのボール位置は左脇の下であり、アドレス・ポスチャーは、ほんの少し傾ぐだけで、両手はズボンのジッパーの前であった。これはアウトサイド・インのスウィングに繋がるものである。
自分のスウィング弧の最低点を見極め、その地点より8〜10センチほどターゲット寄りにボール位置を移す。これがインサイド・アウトのスウィングを可能にする。
両手は左太腿の前に位置する。
右肩は明確に左肩より下がっているべきである。上半身の右への傾き加減もかなり激しくする」
雑誌のこのページの写真を見た感じでは、ボール位置は左足爪先の前です。で、腕は突っ張っていませんので、シャフトと一直線を形成しているわけではなく、正面から見るとほんの少し「く」の字に中(身体の中心)に向って折れています。ほんの“気持”です。頭の傾ぎ具合は、鼻梁がほぼ右腕と平行になるちょい手前くらい。
私も数ヶ月前まではこういう風だったのですが、ポップアップが出始めた際に中くらいの高さのティーアップで、あまり右に傾かないポスチャーに変えてしまいました。おかげで飛距離は25ヤードほど減っています:-)。
現在、私のホームコースである市営ゴルフ場の練習場は工事で使えません。仕方なく本番で試してみました。この特集には「ミス・ショットの直し方」というおまけまで親切についており、「ポップアップには野球のようなスウィングをしろ」と書いてありました。で、私は上の諸ポイントを遵守し、長いティーを使って高いティーアップで、超フラット目なスウィングをするように努めました。
結果は、ポップアップはゼロ(テンプラは一個ありました)。飛距離は20ヤードほど増えた感じ。というか、以前の飛距離に戻ったに過ぎませんが…。今日のチームではよく飛ばすAプレイヤーが一緒だったのですが、彼を抜くドライヴが何度も出ました。もし、低めのティーアップであまり右に傾いだアドレスをしていない人がこのメソッドを採用すれば、多分10〜20ヤードは増えることでしょう。
(January 14, 2009)
'Bill Kroen's Golf Tip-A-Day 2003'
by Bill Kroen (Andrews McMeel Publishing, 2002)
古い「日めくりtips」から選んだ秀作の一つ。
「あなたがウェッジや9番アイアンはうまく打てるのに、ドライヴァーだとpop-up(ポップ・アップ)やゴロが出るという場合、あなたのスウィングは急角度過ぎるのだ。ドライヴァーを打つ時は、クラブを上下ではなく身体の周りに沿って振るように。クラブを右肩の突端目掛けて引いてトップを作る感覚を持ち【編者註:フラット目のトップ】、そのまま身体の回転に伴ってインパクトを迎える【編者註:ダウンブローにならないようにする】」
(January 14, 2009)
「Yの字アドレスは古いんだワイ」に続く、"The 5° secret to 25 more yards is your Attack Angle"《秘密の攻撃角度5°で25ヤード増やせ》という特集のパート2。
'Attack Angle'
by Bruce Patterson with Michael Walker Jr. ('Golf Magazine,' February 2009)
Ben Hogan(ベン・ホーガン)、Tiger Woods(タイガー・ウッズ)、John Daly(ジョン・デイリィ)らのインパクト時の地面に対するシャフトの角度は45°であるとして、三人の写真が掲載されています。われわれが45°のインパクトを迎えるためには、45°に構えたアドレスでなくてはいけないそうです。
「飛距離を伸ばすクラブヘッドの上昇角度でのヒッティングは、インパクト時のシャフトの適切な角度が伴わなければ機能しない。諸研究によれば、理想的な角度は45〜47°である。
45°のアドレスになっているかどうか確認するには、正方形の空き箱を見つける。床に接している遠い方の角にヘッドのヒールを合わせ、スタンスを調節しながら、身体に近い高い方の角にシャフトが合致しているかどうか調べればよい。
ほとんどのツァー・プロのインパクトは45°であるが、ほとんどのアマチュアは50°以上である。シャフトが角度がこう多いと、スピンと発射角度が増す。公式《高いスピン率+高い発射角度=短い飛距離》
Fred Funk(フレッド・ファンク)とCorey Pavin(コーリィ・ペイヴン)は、どちらもインパクトのシャフトの角度が40°に近い。彼らはストレートな弾道が特徴だが、ツァーの水準から云えば飛距離が短いことも特徴である」
「アマチュアは50°以上で飛距離が短い」、そして「Fred FunkとCorey Pavinは40°近くで 飛距離が短い」となると、45°以上でも以下でも飛距離が減るということでしょうか?よく解りません。
私の場合、自然に両手を垂らした状態でアドレスしますので(グリップと太股の間の間隔は拳一つ)、45°以下であるのは明白でした。この記事の写真のモデルは、グリップと太股の間が拳二つ以上空いています。私がアドレスをチェックしてみると、大幅に45°を下回るかと思われたのに、僅か2〜3°少ないだけでした。それも、膝の曲げを少し伸ばすポスチャーにすればぴったり45°になります。
私見ですが、このシャフトの角度というのは、身長や腕の長さで変わるべきだという気がします。本当に画一的に誰にでも当てはめていいものか、ちと疑問です。アイデアとしては面白いのですが。
(January 17, 2009)
この本はヨーロピアン・ツァーのプロを中心に、PGAツァー、LPGAツァーなどのプロのtipを集めたもの。今回の'Keep your head still'は、イギリスのプロでTV解説者でもあるKen Brown(ケン・ブラウン)執筆の記事です。
'Golf Tips from the Pros'
edited by Tim Baker (David and Charles Limited, 2006, $14.99)
「"Keeping your head down"(頭を下げ続けろ)というtipは、フル・スウィングの場合には最悪のものだ。しかし、もっとパットを成功させたい人にとっては、それは適切なアドヴァイスである。
ツァー・プロの間でよく行なわれている方法は、ボールのロゴを見つめてパットするというものだ。ボールを見続けることは完璧にボールを打つために不可欠の基本であり、あなたは是が非でもボールがパターに接触する瞬間を見ていなくてはならない。あなたが早期に頭を動かせば、アドレスした時のパターフェースの位置でボールを打つことは不可能である。自動車の運転を思い出してほしい。あなたが左に目を動かせば、車もそちらに曲がる筈だ。パッティングも全く同じ。あなたが目を逸らせば、パターもそちらを向くのである」
実は私はこの「自動車運転で左に目を動かせば、車もそちらに曲がる」という事実に以前から気づいていて、ゴルフとの関連を考え続けていました。車を運転する際、視野に障害物が存在しなければそちらが安全であることは明らかです。視野の外には危険が存在するかも知れないわけですから、本能的に視野の方向へハンドルが向ってしまうという傾向は容易に理解出来ます。ただ、パッティングにそういう安全・危険という状況はないので、なぜ目の方向に身体が開いてしまうのか、その理由はよく判りません。事実として「インパクト前後で頭を上げれば、それに連れてフェース角度が変わる」ということがあるだけです。
(January 19, 2009)
私は肩から両手・両腕を垂らして伸ばすパッティング・ポスチャーを採用しています。目はボールの真上。その両方を満足させるためにはかなり屈まないといけません。背を伸ばしたい誘惑に逆らって、カジモド(「ノートルダムの佝僂男」)風にしているわけです。これは、実は全盛期のJack Nicklaus(ジャック・ニクラス)のスタイルに他なりません。で、彼のパッティング理論を読み返してみました。
'Golf My Way'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1974, $14.00)
「目はボールの真上か、ボールのターゲットライン上の右でなくてはならない。多くのパット名人たちがそうしていると思う。ツァー・プロの多くはボールの真上に目が来るようにしているが、私はボールの遥か後方のターゲットライン上に目を置くようにしている。なぜこうするかと云うと、屈み込む姿勢と相まって、ラインがよく見えるからだ。射撃の名手は照準を透かしてターゲットを見る。特に短いパットでは、私も周辺視野によってカップを見ることが出来るのが利点である。
ボール位置は人それぞれだ。私は水平のパットの場合は左足爪先の向い側に置く。アドレス時の私のパターはほぼ垂直に近い。多くの場合、私はボールの上に低く屈んだ姿勢をとり、右肩は左肩よりも下げる。このポスチャーは右手による水平なピストン運動を可能にしてくれる。
私はコースによってストローク法を変えるので、一定のストロークはしない。しかし、メソッドが異なると云っても、その差は微妙なものである。週一ゴルファーにはストレート・パッティング(ターゲットラインにスクウェアに後退、スクウェアに前進)を薦める。
私のメソッドは手首と腕によるストロークで、右手で後退、右手で前進させる。私はボールを“打つ”のではなく、手首と前腕部によってゆっくり慎重なテンポで振り戻し、一定のテンポでボール位置を通過させる。私の右掌はターゲット(ボールが転がり始める地点)を向いており、そのままスクウェアに押し出して行く」
ここには何故カジモド風に低く屈まねばならないかの説明はありません。ある重要なトーナメントの重要なパットに失敗したヴィデオを観た彼は、屈み過ぎて目がターゲットラインを越えてしまったのが失敗の原因だったと回顧しています。イラストを見る限り、まさしくカジモドですが、パンタグラフ型に両肘を折っていて、真っ直ぐ伸ばしてはいません。確かに目はボール後方で、両手は左太腿の前にあります。
Tiger Woods(タイガー・ウッズ)もストレート・パッティングです。
'How I Play Golf'
by Tiger Woods with the editors of 'Golf Digest' (Warner Books, 2001, $34.95)
Tiger Woodsの場合は主に肩と腕を使うストロークで、緩めのグリップをするため僅かの手首の動きが加わるそうです。「私はアドレスで高く立つのがいいと考える」と彼は云っています。「低く構えるよりもラインがよく見え、肩の付け根から両腕がゆったり快適に垂れ下がるのを助けてくれる」Tiger Woodsの両手は伸ばされていて(完全に真っ直ぐかどうかは写真では判りません)、肘を横に突き出したパンタグラフ型ではありません。
Tiger Woodsは「前腕部とシャフトの角度が少ない方が、腕の動き通りにパターを動かすことが出来る。意図しない角度の変化やテコの作用を防ぐことが、ワンピース・アクションを可能にするという発想だ」と云っています。
Jack NicklausとTiger Woodsのもう一つの違いは首の角度ですね。二人の背中の角度はあまり変わらないのですが、Jack Nicklausは頭を肩よりも低くしています。これがカジモド風の所以です。私がこうすると、伸ばした手はどんどん下がってパターの金属シャフトを握らなくてはならなくなります。もし私の手が金属シャフトに及んでいなかったら、それは両手を伸ばしておらず、以前のパンタグラフ型に戻っている証拠です。注意すべきポイントです。
私もJack Nicklausの云う右手主導のフォワード・ストロークが、実感的にベターであると思っています。私の場合、ボール位置はスタンス中央ややターゲット寄りでしたので、彼の云うようにもっと後方に頭を置いてみようかと考えています。その際、両目を結ぶ線がターゲットラインに合致していなくてはなりません。往々にしてターゲットよりも右に目線が向いてしまいがちなので、これも注意点です。
(January 25, 2009)
チッピングの方法に二つあると思います。
1) 腕と手だけでバックスウィング、ダウンスウィングする方法。
2) 腕と手+重力の共同作業でダウンスウィングする方法。
あまり寄らないチッピングにうんざりしていたある日、「そう云えば重力を忘れていたな」と思い、次の機会にトップで充分に間を置き、クラブが戻り始めるのに合わせてダウンスウィングしました。ギミー(OK)の距離に寄りました。つまり、このショット以前の私は(1)の方法でチップしていたわけです。
私には重力との共同作業が合っていますが、どちらが正しいというものではなく、人それぞれではないかと思われます。大事なのは、二つを混ぜこぜにしてはいけないということでしょう。(1)は重力というエクストラのパワーを期待せず、自助努力(腕と手のパワーだけ)で処理する方法、(2)は外部のパワー(重力)の助けを待つ方法。これらをある時は(1)で、ある時は(2)でやったのでは、距離感が狂ってしまい、寄ったり寄らなかったりすることにになります。どっちかに統一すべきです。
私はフルスウィングでもパッティングでも(2)の方法を取っていますので、当然チッピングでも(2)の筈なのですが、往々にして忘れてしまいます。距離が短いと警戒心が薄れ、安易な気持になってしまうのでしょう。重力利用の利点は、いいリズムが生まれること、手・腕だけのスウィングではないので少しダフったとしても振り抜けること、重力のまま振り下ろせばいいので方向が狂わない…等々でしょうか。
(January 27, 2009)
'Escape the sand'
by Dana Rader with David Dusek ('Golf Magazine,' May 2005)
「バンカー・ショットで弾道を変えるのはボール位置であって、スウィングの早さではない。グリーンのアンジュレーションやピン配置によって、次のように調節する。
1) 高く出て、ランを少なくしたい場合
左踵の内側。
2) 中ぐらいの高さで中程度の転がりを得る
スタンス中央。
3) 低く出て、ラン多め
スタンス中央から5cm後方。
どのような軌道を選ぶベきか分らない場合は、スタンス中央からやや前方(ターゲット方向)をボール位置とする。これは必ず脱出出来る」
これはいいですね。これまで、私はピンまでの距離に関係なく一定のボール位置にしていました。距離調節はフォローの大きさと力加減でしたが、濡れた砂でもない限り力加減を使うのは常々よくないと思っていました。力加減はムラが多いからです。やはり同じスウィングの方が正確です。ボール位置によってランの多寡を変えられるのなら、それが一番安全です。
【参考】「バンカー・ショットの距離調節 」tips_76.html
(February 17, 2009)
ショート・ゲーム専門のインストラクターDave Pelz(デイヴ・ペルツ)による、グリーンを読む手順。これは45〜60秒以内に終わるべきもので、手順の大半は自分の番が来る前に終わらせることが出来ます。グリーンに上がりながらとか、他のプレイヤーが読んでいる最中に半分済ませてしまうのです。これなら「遅い!」と睨まれることもありません。
'Dave Pelz's Putting Bible' 「私のグリーンの読み方は5つのステップからなっている。 1) カップから約2m以内で下に向かう傾斜を見極める。 (註)何故三倍かは以下を参照して下さい。 |
(February 24, 2009)
'Tips from the tour'
by Ron Kaspriske ('Golf Digest,' April 2009)
この号の特集'Make me better"(上達させてチョー)の一部に「PGAツァーからのtips」というコーナーがあり、2007年のデータと比較して2008年に目覚ましい躍進を遂げた七人の侍がその秘密を公開しています。今田竜二の飛躍は「最終ラウンドにおける平均打数」というものでした。2007年の今田の最終ラウンドの平均スコアは71.35でツァー87位でしたが、2008年は69.40で堂々六位となっています。PGAのデータは100種類もあるそうですから、どのデータを選ぶかによってはプロの顔ぶれは全く変わって来ます。私としては、'Golf Digest'編集部が是非今田を入れたい…ということで、「最終ラウンドにおける平均打数」というカテゴリを選んだものと思っています。
「フェードを打ち始めてからスコアが良くなった。以前は出来るだけ遠くへ飛ばそうとしていた。インサイド・アウトのスウィング軌道で結構飛んでいたものの、14回のティーショットのうち四つはどこへ飛ぶか分らなかった。で、自分で命名した"tumbling fade"(タンブリング・フェード、転がるフェード)に変更した。
【註:西部劇を観ていると、風に吹かれて転がる丸まった草が出て来ますね。あれは"tumbleweed"(回転草)です。今田のイメージもあれだと思います】
私のスウィング・キイは可能な限り長くフェースをオープンにし続けることだ。インパクトでそうなるように、予行演習(素振り)を頻繁に行なう。私は若干トゥ寄りでボールを掴まえるように努力している、それはクラブフェースの中央近くではあるのだが、トゥ寄りで打つため(着地と同時に停止するボールではなく)"tumbling fade"(転がるフェード)を生み出してくれる」
アメリカの雑誌では、これまでも丸山などが話題として取り上げられたことはありましたが、テクニックの解説を所望された日本人プロは私の知る限り今田が初めてです(女性ゴルフ雑誌で宮里 藍のスウィングが分析されたことはある)。韓国人プロたちに負けないように頑張ってほしいものです。
(March 10, 2009)
以前、「上達しないならバックスウィングなどやめてしまえ」という'Golf Magazine'の記事を紹介しました(tips_110.html)。「ゴルフ・スウィングのエラーの70%はバックスウィングの過ちに由来するものなのだから、バックスウィングをやめればパワフルで正確なショットが出来る」というセオリーで、Dr. T.J. Tomasi(T.J.トマシ博士)ら筆者たちは"No-Backswing Swing"を略して"NBS"と呼んでいます。前回のはフル・スウィングに関するものでしたが、今回はNBSをチップ、ピッチ、パットなどショートゲームに応用したものです。今回は「パット篇」を紹介します。
'The No-Back Swing short game'
by T.J. Tomasi Ph. D with Michael Walker Jr. ('Golf Magazine,' April 2009)
「'Golf Magazine'のウェブサイトにおいて、NBSに関する記事は技術面の記事の中で最も人気のあるものだ。読者たちは直感的にその価値が分るのだろう。いいニュースがある。その方法はショートゲームにはもっと効果的なのだ。
あなたが円弧型の軌道のパッティングをする人であれ、ストレートなパッティングをする人であれ、NBSパッティングを問題なく利用出来る。想定したバックスウィングの95%分パターを後退させて、ヘッドを低く保つ。これはインパクトの瞬間に正しいロフトでボールと接触させるための鍵である。
肩主導の動きで残りの5%分パターを後退させる。これは野球のバッターの打つ前の動きと同じで、いいリズムを作り出す。
インパクトでパターヘッドを地面に平行に低く保つ。これはボールが滑走したり地面で跳ね返るようなトラブルを防止してくれる。
NBSパッティングにおける両手は鎹(かすがい)のようなもので、パターを動かさない【註:動かすのは肩である】。両手は固定されていなければならない」
(March 16, 2009)
'How to take divots'
by editors of 'Golf Magazine' ('Golf Magazine,' April 2009)
「あなたのウェッジ・ゲームにもうひと味加えたいと思っているなら、正しいディヴォットの取り方を覚えることだ。アマチュアはどのアイアンでも同じように打つ傾向がある。その多くは長く掃(はら)うような打ち方だ。地面からボールを掬い上げるような打ち方は長めのアイアンには向いているものの、ショート・アイアンには適さない。
ショート・アイアンでは急速に、下降気味に打つことだ。それはボールを正しい軌道で飛行させるだけでなく、グリーンに着地した後のボールの動きもコントロールすることが出来る。
ショート・アイアンで正しいディヴォットを取るには、ボールをスタンスの真ん中に置き、クラブが下降中にインパクトを迎えるようにしなければならない。
3/4スウィングをする。両手を飛行線後方に真っ直ぐ引くこと。これは自然に手首のコックを増すため、飛距離も増える。
下降途中でボールを打つように。でないと、わらじ大のディヴォットを取ってダフることになる」
(April 04, 2009)
今田竜二が'Golf Digest'誌で四種類のバンカー・ショットのテクニックを披露しているのですが、何と1ページ大の写真四枚(計4ページ!) が充てられているのです。凄いですね。今田はTitleist ProV1の最近のTV-CMにも多数のプロと一緒に登場していますし、いかに実力派として認められ始めたかが分ります。嬉しくなってしまいます。
'Lesson tee'
by Ryuji Imada with Ron Kaspriske ('Golf Digest,' May 2009)
「・ボールが普通に砂の上に乗っている場合
この場合のコツは、ウェッジで砂の表面の下を滑らすことだ。私は普通より広めのスタンスをとる。こうすると身体を地面に近づけ、浅いスウィング軌道を実現させてくれる。クラブフェースをオープンにすることによってフランジ(フェース下部の膨らみ)の効果を活かす。体重は、スウィングの間中左足に多めにかける。もし右足に体重が乗っていると、掬うような動きになってしまい、砂への突入地点に影響してしまう。
・ボールがある程度埋まっている場合
この場合はボールの下にクラブを到達させるために急角度のスウィングが必要だ。体重のほとんどを左足にかける。バックスウィングの初期から早めにコックする。こうすると、普通のバンカー・ショット(上記)ほど大きく腕を動かす必要がない。クラブの砂への突入地点はボールの後ろ1インチ前後である。砂を掘るのでも、掬い取るのでもなく、ウェッジで砂を炸裂させるのである。
・アップヒル・ライ
私はどんなバンカー・ショットでもコントロールを良くするためにウェッジを短く持つのだが、このアップヒルのライでは短く持つことは不可欠である。そうしないと、クラブが砂にめり込んでしまうからだ。スタンスを安定させ、左肩を上げることもクラブが急角度で砂に突入することを防ぐために大切である。スウィングに当たっては、私は8の字のループを作り出そうとする、ターゲット・ラインの外にテイクアウェイし、インサイドからボールに向かう。これはクラブヘッドの軌道をスロープに沿った浅いものにしてくれる。
・ダウンヒル・ライ
このライで本能的に考えることは、スタンス後方に寄りかかってボールを空中に上げようとすることだ。しかし、インパクトを過ぎるまでスロープに沿って充分に打ち下ろさないと、浅めのショットとなってしまい、バンカーの顎に阻まれるのが落ちである。バランスを保ち、しっかりスウィングするために、通常よりももっとスタンスをオープンにし、体重のほとんどを左足にかける。このような傾斜でクラブを打ち下ろすと、ボールはいつものように高くは上がらないが少なくともバンカーから脱出は可能になる」
(April 07, 2009)
“フロップ・ショット”とはグリーン周辺からボールを高く上げ、急速に停止させるショット。 'The flop shot' 「60°ウェッジなどロフトの多いクラブを選び、コントロールを良くするため、1インチ(2.5センチ)ほど短く持つ。 ボールは左足踵前方の内側に置き、シャフトを前傾させないこと(ロフトが減ってしまう)。 長く、けだるいようなスウィングをする。バックスウィング直後に手首をコックし、左腕とクラブが90°の角度を形成するように。体重はスタンス中央に維持する。 ダウンスウィングではボールに向って加速し、そのままフィニッシュへ。 フロップ・ショットを台無しにする動きの一つは、ダウンスウィングで左足方向に過激に体重を移動させることである。これはクラブ・シャフトの角度を前傾させてしまい、ロフトを減らす結果となる。これを防ぐには次のようなドリルを行なう。 左足踵を地面から浮かしてスウィングする。これだとターゲット方向に体重を移動させられないので、クラブのロフトを最後まで保持することが出来る」 |
(April 07, 2009)
'Add speed without swinging harder'
by Jerry King ('Golf Magazine,' May 2009)
「長めのパー4で希にしか二打で乗せられない人、ドライヴァーを安定して打てない人、なぜ巧い連中はエフォートレスに見えて飛距離が出せるのか不思議に思う人…などが実行すべき練習法。
【問題点】
あなたのドライヴァー・ショットにパワーが不足しているのは、ダウンスウィングが早過ぎ、インパクトに近づくと減速してしまうからである。腕と肩で力んでダウンスウィングを開始すると、右腕と右手首をあまりにも早期に真っ直ぐ伸ばしてしまう。それは、インパクト直後にチキン・ウィング(左手首がターゲット方向に折れる)か“芝刈り機”(左肘が身体の後方に捩じれる)を生じる。簡単に云うと、あなたはボール目掛けて打っていて、ボールを通過するようなスウィングをしていないのだ。
【解決策】
・練習場でボールの後方10センチに大きめのボール紙(段ボール)を置く。
・ショート・アイアンから始めて長いクラブへと移行すること。
・ボール紙を打たないようにボールを打つ。これはインパクト直前までリリースを引き伸ばすことでしか達成出来ない。それが出来ると、左腕が回って折り曲げられるようになる。
このドリルはスウィングが推移する間に早期リリースを防止する忍耐力と、インパクトの瞬間まで右サイドのエネルギーを蓄えておく能力を開発するものである」
(April 13, 2009)
'Jack Nicklaus' Lesson Tee'
by Jack Nicklaus with Ken Bowden (Simon & Schuster, 1978)
この本は'Golf Digest'誌に1972〜1976にわたって連載された記事をまとめたもので、Jack Nicklaus(ジャック・ニクラス)の技術論にアメコミ調のイラストを加えたユニークなものです。1972年のJack Nicklausというとメイジャーに二勝していますから、まだ最盛期と云っていいと思います。有名な著書'Golf My Way'は1974年の発行ですので、彼の理論は双方の本で似通っていて当然です。
「右サイドが主導権を握ったダウンスウィングは全てをぶち壊す。右手、右腕、右腰、右肩による力が左サイドを先導しコントロールするとしたら、左サイドは簡単に破壊されてしまう。私の場合、右膝がターゲット方向に動く以外、右サイドはダウンスウィングの間じゅう左サイドに追随するものであって、決して先導するものではない」
(April 27, 2009)
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