May 08, 2022

プロ的切り返しをすべし

 

[Lee]

17年もかけて100人以上の男女ツァー・プロのスウィングを撮影・分析し、それらの最大公約数をまとめた本のエッセンスを紹介するシリーズのパート6。

'Swing Like a Pro'
by Dr. Ralph Mann and Fred Griffin (Broadway, 1998)

「アドレスからバックスウィングまでの基本は、一旦取り組む決意をして記憶すれば一般ゴルファーにとっても容易なものである。しかし、切り返しの動作は少し複雑であり、世界レヴェルのゴルファーと一般ゴルファーとを劇的に隔てる要素である。

一つ例を挙げれば、クラブがトップに達した時点で、腰は既にインパクトに向かっているのである。腰はオープン、肩は未だにクローズ。これを達成しなければならない

上体、肩、腕がバックスウィングを完了する一瞬前に、腰にリードされた下半身がターゲットの方向に回転を開始する。胴体から腕までの筋肉は伸ばされ、凄い速度と強さを生むためにぴんと張り詰める。

ターゲット方向への下半身の動きが、上体を逆転させるための堅固な基盤を構築する。下半身の前方への最初の動きが、上体への連鎖反応を引き起こして正しい軌道でクラブを移動させる。

[Oh]

切り返しの主な目的はパワーを生むことだが、もう一つの効果として正しいスウィング軌道をも生み出す。ゴルファーがスライスを打つ主な理由は、上体とクラブが降りて来る前に下半身が邪魔にならないように下半身をクリアしておかないからである。下半身が邪魔をするとアウトサイド=インのスウィングしか出来ないので、スライスを生む。切り返しは、初期の段階で身体をターゲット方向に移しながら、邪魔物を取り除いてしまう。

切り返しは、スウィングのトップでクラブヘッドがボールから遠ざかる動きをも生む。この動きはクラブヘッドを自動的にダウンスウィングでのインサイド=アウトサイドの軌道に乗せる。

一般のゴルファーにとって、まだバックスウィングが完了していないのに下半身を逆転させることを学ぶのは、とてつもないことであろう。理解するのも大変なのだから、実行するのはなおさらだ。お勧めは、ベスト・プレイヤーのスウィングを目の前で見ること、彼らのスウィングをヴィデオで見ること、そして以下に述べるドリルを実行することだ。

【野球式切り返しドリル】
1) ショート・アイアンを手に、普通にアドレスする。
2) バックスウィングしながら全身を右側に移す。両肩も右足の上に。
3) クラブが垂直になった時点で、左踵を右踵にカツンと当て、肩と腕がバックスウィングを完了している間に、左腰と左脚を(地面を擦らずに)ターゲット方向に駆り立てる。パワフルな胴の筋肉が肩の回転を停め、腕とクラブをダウンスウィングに引っ張る感覚を得る筈だ。
4) 胴と腕の筋肉を伸ばしてダウンスウィングする。切り返しを急いではならない。パワーが構築されインパクトへ向かうのを感じ取ること。

[takeaway]

【重いクラブで切り返し】
練習用の重いクラブでもいいし、ドーナツ型の錘をクラブに嵌めてもよい。
1) バックスウィングでクラブシャフトが地面と平行になった時点(左図)で一時停止。
2) ゆっくりスウィングを再開し、全身の動きでトップへと向かう。
3) クラブが垂直になった時、クラブを腰→肩→腕の順で逆転させる。
4) 切り返しが完了したら、スウィングを継続し、勢いのままにフル・フォロースルーへと向かう。

《切り返しで起る諸問題》
・ボール位置がスタンス後方だと切り返しが困難になる。
・ウィーク・グリップだと切り返しが困難になる。
・体重を左に移さないと切り返しが困難になる。
・下半身を動かさないで上体でダウンスウィングすると切り返しが困難になる」

【シリーズ目次】
'Swing Like a Pro'(プロのようにスウィングせよ)(tips_202.html)[本の紹介]
・ニュートラル・グリップはなぜいけないのか?(04/01)
・アップライトにアドレスすべき理由(04/08)
・アドレスで決まるショットの成否(04/16)
・正しいバックスウィングの手順(04/24)
・スウィングのトップで為すべきこと(05/01)

(May 08, 2022)

手打ちを防ぐ簡単なコツ

 

「あ、いけね。手打ちをしちゃった!」という場合、単に「次のショットでは注意しよう」と考えるだけではうまくいきません。手打ちは悪性の病気なので、症状はそう簡単には消えてくれないのです。下半身主導でスウィングしようと考えるのは正しい方針ですが、二、三回素振りをしたぐらいでは身体に定着しません。【←経験者は語る】

どうすべきか?「トップの間(ま)」を使うのです。トップで一瞬の間を置き、クラブヘッドがボールに戻ろうとする動きを待つ。重力がクラブヘッドを引き戻す動き。それを察知した瞬間左膝で体重を左方(ターゲット方向)に移す。完璧な下半身主導のスウィングの実現。手打ちよ、さらば。

ある日のラウンド。私の手打ちの症状は三ホール続き、上の「トップで間(ま)を置く」をその後三ホールで自分に強制しなければなりませんでした。その後は意識することなく下半身主導でスウィングが出来るようになり、手打ちは消滅しました。

手打ちは、クラブに備わった飛距離性能を目一杯使おうとか、クラブの限界以上に飛ばそうとする際に起きがちです。あるいはライのせいでボールを宙に浮かべることに自信がなく、結果的に掬い打ちしちゃう場合とか…。ゆとりを持って打てる長いクラブに換えるとか、斜面に平行にスウィングするなどの智恵を使う必要があります。

 

【参考】
・「Butch Hamon(ブッチ・ハーモン)の手打ち防止法」(tips_92.html)
・「手打ち防止法」(tips_143.html)
・「手打ちの解剖学的考察」(tips_143.html)

(May 08, 2022)



[Anim

 Copyright © 1998−2022   Eiji Takano    高野英二
[Mail]
 Address: Eiji Takano, 421 Willow Ridge Drive #26, Meridian, MS 39301, U.S.A.